JP2010074873A - インバータ駆動モータ用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ駆動モータ用転がり軸受の電食による損傷を安価でありながら効果的に抑制する技術を提供する。
【解決手段】相対回転可能に対向して配置された軌道輪2,4と、当該軌道輪に形成された軌道面2a,4a間に転動可能に組み込まれた複数の転動体6とを備え、インバータ制御されるモータの回転軸を回転自在に支持するためのインバータ駆動モータ用転がり軸受であって、前記転動体の少なくとも前記軌道面との接触面6aの中心線平均面粗さを0.05〜0.2μmRaに設定するとともに、前記接触面の表面硬さを前記軌道面の表面硬さよりも、ロックウェル硬さのCスケール硬度で+2〜+5ポイント高く設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、ファンモータや三相モータ、サーボモータ等の産業機械用モータなどのように、インバータ制御により駆動されるモータに組み込まれる転がり軸受に関し、特に、転がり軸受の電食による損傷防止技術に関する。
ファンモータや三相モータ、サーボモータなどの産業機械用モータは、回転制御や省エネルギー化、静音化を図るべく、インバータ制御されているものが多い。このようなインバータ制御されるモータ(インバータ駆動モータ)において、その回転軸は、軸受(例えば、転がり軸受)によって回転自在に支持されている。
インバータ制御は、設定回転数に合わせて電圧と周波数とを調整するものであり、インバータのスイッチング周波数が高くなると、それに伴って軸電圧の発生頻度も高められる。この結果、インバータ駆動モータに組み込まれた転がり軸受において、その軌道輪間に電位差が生じる場合がある。この場合、かかる電位差が大きくなり、軸受軌道輪間の絶縁破壊電圧を超えると、軌道輪と転動体との間で放電が起こり、軸受内部に電食と呼ばれる損傷を生じさせることが稀にある。このような電食による損傷が進行すると、転動体の転走面に波状の凹凸摩耗が発生し、騒音や潤滑不良を招く虞がある。なお、電食とは、軸受の軌道輪間に電気が通電した際に、軌道輪と転動体との間で放電現象が発生し、局部的に素材を溶解させ、軌道面や転動体の転走面に異常を生じさせる状態のことをいう。
そこで、上述したような電食による損傷を抑制すべく、従来から様々な方策が講じられており、これを実現するための各種軸受構成が知られている。
例えば、特許文献1には、窒化ケイ素を転動体の材料とした転がり軸受の構成が開示されている。窒化ケイ素は絶縁体であることから、当該窒化ケイ素製の転動体と軌道輪との間では放電が起こらず、電食損傷の発生を防止することができる。しかしながら、窒化ケイ素製の転動体(窒化ケイ素製球)を使用した転がり軸受は、従来の鋼球を使用した転がり軸受と比較して非常に高価となり、ファンモータや三相モータ、サーボモータなどに組み込まれる軸受として使用するにはコスト的に厳しく、一般的な方策にはなり難い。
また、特許文献2には、密封板に放電ブラシを設けた転がり軸受の構成が開示されている。このように放電ブラシを密封板に設けることで、軌道輪(内外輪)を短絡させ、軌道輪と転動体との間での放電防止を可能としている。しかしながら、密封板に放電ブラシを取り付けるためのコストが上昇するというデメリットがあることに加え、放電ブラシ自身の摩耗により導通性が損なわれた場合、軌道輪と転動体との間よりも放電ブラシの抵抗が上昇してしまい、軌道輪間の通電が再開されてしまう。この結果、軌道輪と転動体との間で放電現象が発生し、軌道面や転走面で電食が発生する虞がある。
さらに、特許文献3には、低基油動粘度のグリースを内部に封入した転がり軸受の構成が開示されている。このように低基油動粘度のグリースを使用することで、油膜パラメータを下げ、軌道輪と転動体との間の電位差が大きくならないように徐々に放電させることで、波状摩耗の抑制を可能としている。しかしながら、産業機械用モータは、80℃以上の高温環境下で使用される場合も少なくない。低基油動粘度のグリースは、高温で使用すると油膜が薄くなって潤滑効率が低下するため、産業機械用モータに組み込まれる軸受の潤滑剤としてかかる低基油動粘度のグリースを使用した場合には、波状摩耗の抑制効果が十分に発揮されない虞がある。
特許第2934697号公報 特開2007−146966号公報 特開2006−153130号公報
上述したように、特許文献1から3に開示された方策は、いずれもモータ、より具体的にはその組み込み軸受の製造コストの上昇を招く要因となる虞があるとともに、電食損傷の抑制効果が十分に発揮されない虞がある。このため、より簡易で安価な、かつ電食損傷の抑制効果の高い方策が望まれているが、現状ではそのような方策は知られていない。
本発明は、このような要望に応えるためになされており、その目的は、インバータ駆動モータ用転がり軸受の電食による損傷を安価でありながら効果的に抑制する技術を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係るインバータ駆動モータ用転がり軸受は、相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪に形成された軌道面間に転動可能に組み込まれた複数の転動体とを備え、インバータ制御されるモータの回転軸を回転自在に支持している。かかるインバータ駆動モータ用転がり軸受において、前記転動体は、少なくとも前記軌道面との接触面の中心線平均面粗さを0.05〜0.2μmRaに設定する。
この場合、前記接触面の表面硬さは、前記軌道面の表面硬さよりも、ロックウェル硬さのCスケール硬度で+2〜+5ポイント高く設定すればよい。
本発明のインバータ駆動モータ用転がり軸受によれば、転動体の面粗さを粗くすることで、転走面での通電頻度を高め、軌道輪との電位差を低位に保つことができ、放電による電食損傷を抑制させることができる。一方、転走面を軌道面よりも硬くすることで、かかる電食損傷の抑制効果を長期に亘って維持することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ続けることが可能なインバータ駆動モータを容易に、かつ低コストに実現することができる。
以下、本発明の一実施形態に係るインバータ駆動モータ用転がり軸受(以下、転がり軸受、あるいは単に軸受という)について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る転がり軸受は、相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪に形成された軌道面間に転動可能に組み込まれた複数の転動体とを備えており、インバータ制御されるモータ(以下、インバータ駆動モータという)の回転軸を回転自在に支持するために、当該インバータ駆動モータに組み込まれている。なお、インバータ制御は、設定回転数に合わせて電圧と周波数とを調整するものであり、インバータ駆動モータとしては、例えば、ファンモータや三相モータ、サーボモータ等の産業機械用モータなどを想定することができる。
転がり軸受は、インバータ駆動モータの使用条件や使用目的などに応じて任意の構成(大きさ、形状及び数、あるいは材質や動作など)とすることができる。
例えば、図1には、軌道輪を一対の内輪2及び外輪4とし、転動体を玉6とした深溝玉軸受の構成を示している。この場合、内輪2の外周面、及び外輪4の内周面には、これらの全周に亘って玉6を転動させるための軌道面2a,4aが対向して形成されており、当該軌道面2a,4a間に各玉6が組み込まれている。
その際、これらの玉6は、環状を成す保持器8のポケットに1つずつ所定間隔(一例として、等間隔)で配されるとともに、当該ポケット内で回転自在に保持された状態で、軌道面2a,4a間に組み込まれている。これにより、各玉6は、所定間隔を保った状態で、その転走面(軌道面2a,4aとの接触面)6aが相互に接触することなく、軌道面2a,4a間を転動することができ、結果として、当該各玉6が相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や、焼付きなどを防止することができる。
なお、かかる転がり軸受においては、内外輪2,4のいずれを回転輪あるいは静止輪としてもよいし、転動体を図1(a),(b)に示すような玉6に代えて、各種のころ(円錐ころ、円筒ころ及び球面ころなど)とすることも可能である。また、保持器8としては、転動体の種類に応じて任意のタイプを適用すればよい。例えば、転動体を玉6とした場合、冠型(図1)や波型の合わせタイプなどを適用することができ、転動体を各種のころとした場合、もみ抜き型、くし型及びかご型などのタイプを適用することができる。また、転がり軸受は、各種の金属製や樹脂製などの内外輪2,4、転動体6及び保持器8を任意に組み合わせて構成することができる。
また、図1には、内外輪2,4の間の両側に、シール部材として一対の接触型のシール(例えば、鋼板製の芯金の全体若しくは一部を各種の弾性材で連結して成るシールなど)10を介在させた軸受構成の一例が示されている。かかるシール10は、環状の平板状に成形されており、その外径部が外輪4に固定(例えば、嵌合や圧入など)され、かかる固定状態において、その内径部(リップ部)が内輪2と接触(摺接)するとともに、その内側面が玉6及び保持器8と接触することなく対向するように位置付けられている。この場合、外輪4の内周面には、その軸方向両端部に全周に亘ってシール10の外径部を固定するための凹状の取付溝4bが形成されているとともに、内輪2の外周面には、その軸方向両端部に全周に亘って当該シール10の内径部(リップ部)を接触(摺接)させるための凹状のシール溝2bが形成されている。
このように、シール10を設けることで、軸受の外部から内部への異物(例えば、水や塵埃など)の侵入を防止することができるとともに、軸受内部に潤滑剤(例えば、グリースや潤滑油など)を充填した場合、当該潤滑剤の軸受外部への漏洩を有効に防止することができる。これにより、転がり軸受の内部を外部から遮蔽し、その内部を密封状態(気密状態及び液密状態)に保つことができる。その際、例えば、シールの内径部の先端に複数のリップ部を設け、当該各リップ部をシール溝2bの底部や側面部などにそれぞれ接触させることで、さらに軸受のシール性(気密性及び液密性)を高めることができる。
なお、シール部材は、図1に示す構成(大きさ、形状、数及び材質など)には特に限定されず、転がり軸受が組み込まれるインバータ駆動モータの使用条件や使用態様などに応じて任意の構成とすればよい。例えば、密封部材は、図1に示すような接触型のシール10に代えて、非接触型のシールやシールド(ステンレス板、鉄板等の薄い金属板からプレス成形されたシールドなど)を適用してもよい。
かかる転がり軸受に対しては、内外輪2,4、玉6及び保持器8が相互に接触する部分(内外輪2,4の軌道面2a,4aや玉6の転走面6aなど)の摩擦や摩耗の減少、焼付き防止、あるいは疲れ寿命の延長などを目的として、軸受内部に潤滑剤Gを充填することにより潤滑が行われている。なお、潤滑剤Gは、転がり軸受の使用条件や使用態様などに応じて、各種のグリースあるいは潤滑油を選択して使用すればよい。本実施形態においては、潤滑剤Gが各種の基油と増ちょう剤でなるグリースである場合を一例として想定する。
このように軸受内部が密封部材(シール)10によって密封状態に保たれ、その内部にグリースGが充填された転がり軸受を回転させた場合、内外輪2,4の軌道面2a,4aや玉6の転走面6aに潤滑剤Gによる油膜が形成される。かかる油膜の形成状態は、軸受の回転数、温度、荷重、あるいはグリースGの基油動粘度などによって変化することが経験的に知られている。前記条件のうち、軸受の回転数、温度、及び荷重は、インバータ駆動モータ(例えば、産業機械用モータ)の使用条件や使用態様などにより変化するため、前記回転数などを制限することによって、油膜の形成状態を制御することは実際上、容易ではない。
そこで、本実施形態においては、軌道輪である内外輪2,4、及び当該内外輪2,4の軌道面2a,4aとの接触面である転動体(玉6)の転走面6aの面粗さを所定の粗さに設定することで、油膜の形成状態を制御し、インバータ駆動モータ(例えば、産業機械用モータ)で使用される運転条件(回転数や回転時間、雰囲気温度など)における転がり軸受の交流抵抗を低減させることを可能としている。
具体的に説明すると、本実施形態において、転動体である玉6は、少なくとも軌道面2a,4aとの接触面である転走面6aの中心線平均面粗さが、0.05〜0.2μmRaに設定されている。これにより、転がり軸受の交流抵抗が低減され、内外輪2,4間の電位差が大きくなることがない(別の捉え方をすれば、電位差を低位に保つことができる)。したがって、内外輪2,4間に通電された電気を徐々に放電させることが可能となり、内外輪2,4の軌道面2a,4aや玉6の転走面6aに発生する電食特有の波状の摩耗を有効に抑制することができる。
なお、転走面6aの面粗さを設定するに当たっては、中心線平均面粗さが0.05μmRa未満であると油膜が厚く形成され、軸受の交流抵抗が大きくなるため、転走面6aにおける電食による波状の摩耗が生じ易い。一方、中心線平均面粗さが0.2μmRaを超えると回転時の軸受振動が大きくなり、騒音レベルが高くなるため、インバータ駆動モータ(例えば、産業機械用モータ)としては問題が生じ易い。
ここで、転動体である玉6の表面硬さは、電食による波状の摩耗を抑制することが可能な時間に影響を与えており、当該摩耗抑制効果を長期に亘って維持するためには、玉6の表面(転走面6a)が内外輪2,4の軌道面2a,4aよりも硬いことが必要となる。
したがって、本実施形態においては、転走面6aの面粗さを上記のような設定とすることに加えて、転走面6aの表面硬さを内外輪2,4の軌道面2a,4aの表面硬さよりも、ロックウェル硬さのCスケール硬度で+2〜+5ポイント高く設定している。これにより、転走面6aの面粗さが平滑化され難く、上記のような設定とした面粗さを長期に亘って維持させることができる。
なお、転走面6aの表面硬さを設定するに当たっては、軌道面2a,4aの表面硬さとのロックウェル硬さのCスケール硬度差が+2ポイント未満であると、両者の硬度が近い(硬度差がほとんどない)ため、転走面6aが平滑化され易くなり、電食による波状摩耗の十分な抑制効果が得られなくなるまでの時間が短縮されてしまう(すなわち、早期の波状摩耗を招いてしまう)。一方、ロックウェル硬さのCスケール硬度差が+5ポイントを超えると、転走面6aにより軌道面2a,4aが損傷され易くなり、騒音レベルの上昇を招いてしまう。
以上を踏まえ、転走面6aの面粗さの最適範囲、及び転走面6aの表面硬さの最適範囲を検証、設定すべく、以下に示すような軸受の電食耐久試験を行った。
図3には、高周波電流を印加させた場合における加速度振動実行値を経時的に測定した試験(高周波電流印加電食耐久試験、以下、第1試験という)の結果が示されている。この場合、供試軸受(サンプル)として同一型式の深溝玉軸受(日本精工株式会社製「呼び番号6201」:内径寸法12mm、外径寸法32mm、幅寸法10mm、SUJ2材製)を3個用意し、これらの転動体及び軌道面の表面粗さと表面硬さをそれぞれ異なる設定とするとともに、同一の試験条件(回転数:3600min−1、予圧:39.2N、スイッチング周波数:16kHz、印加電流:2A)のもとで、同一試験時間(168h)だけ回転させ、加速度振動実行値(Grms)を当該試験時間中、経時的に測定した。
具体的には、3つの供試軸受を図2に示すような設定とし、転動体面粗さ(中心線平均面粗さ)を0.10μmRa、軌道輪面粗さ(中心線平均面粗さ)を0.020μmRa、転動体の転走面と軌道輪(内外輪)の軌道面の表面硬さのロックウェル硬さのCスケール硬度差(転動体−軌道輪)を+2にそれぞれ設定した供試軸受を実施例1、同様に転動体面粗さ、軌道輪面粗さ及び硬度差を0.012、0.020及び0(ゼロ)にそれぞれ設定した供試軸受を比較例1、0.012、0.010及び+2にそれぞれ設定した供試軸受を比較例2とした。なお、上述した転走面と軌道面の硬度差は、転動体の転走面の表面硬さを任意に変更させることで、上述した各ポイントに設定した(以下、かかる転走面と軌道面の硬度差を単に硬度差という)。
図3に示すように、比較例1においては試験時間が約30時間経過後に加速度振動実行値(Grms)が急激に上昇し始め、最大で2.5程度まで達した。また、比較例2においては試験時間が約50時間経過後に加速度振動実行値(Grms)が急激に上昇し始め、最大で1.7程度まで達した。これに対し、実施例1においては、全試験時間(168h)に亘って加速度振動実行値(Grms)が低位(0.2程度)のまま安定していた。
比較例1は、軌道輪と転動体との間に絶縁の油膜を形成し易く、両者の電位差が大きい。この結果、強い放電が短時間で発生し、加速度振動実行値(Grms)が0.5に達した試験開始から約40時間経過以降、波状摩耗が発生した(図3)。また、比較例2は、初期の交流抵抗は低位に保たれるが、回転により面粗さが徐々に平滑化されてしまう。この結果、交流抵抗が上昇し、加速度振動実行値(Grms)が0.5に達した試験開始から約60時間経過以降、波状摩耗が発生した(図3)。
これに対し、実施例1は、転動体の転走面が軌道輪の軌道面よりも硬いことから(硬度差+2)、長時間に亘って交流抵抗を低位に保つことができる。すなわち、上述した比較例1及び比較例2のように、加速度振動実行値(Grms)が0.5に達することなく、波状摩耗が発生することもなかった(図3)。
また、図4には、高周波電流を印加させ、転動体の面粗さを変更させた場合における波状摩耗の発生状況を観察した試験(以下、第2試験という)の結果が示されている。この場合、供試軸受(サンプル)として上述した第1試験と同一型式の深溝玉軸受を多数用いており、その転動体の面粗さ(中心線平均面粗さ)を約0.01〜0.3μmRa程度までの所定値に設定し、いずれも第1試験と同一試験条件のもとで同一試験時間だけ回転させ、波状摩耗発生率(%)を求めた。なお、硬度差(転動体−軌道輪)は、いずれの供試軸受においても+2に設定した。
図4に示すように、転動体の面粗さを0.05μmRaよりも小さな設定とした場合、波状摩耗発生率(%)は、転動体面粗さが小さくなるに従って一気に上昇し、転動体面粗さを約0.01μmRaに設定した場合、約80%に達した。その一方で、転動体の面粗さを0.2μmRaよりも大きな設定とした場合、波状摩耗発生率(%)はゼロであったが、軸受振動が大きく、静粛性に問題が生じた。
これに対し、転動体面粗さを0.05〜0.2μmRaに設定した場合、波状摩耗発生率(%)はゼロであり、軸受振動も抑制され、静粛性にも問題はなかった。
そして、図5には、高周波電流を印加させ、硬度差(転動体−軌道輪)を変更させた場合において波状摩耗が観察されるまでの時間(波状摩耗発生時間)を測定した試験(以下、第3試験という)の結果が示されている。なお、図5には、硬度差がゼロポイントの波状摩耗発生時間を1とした場合における、各硬度差ポイントの相対的な波状摩耗発生までの時間比を示している。
この場合、供試軸受(サンプル)として、上述した第1試験及び第2試験と同一型式の深溝玉軸受を用いており、その硬度差を−1〜+6ポイントまでの所定値に設定し、いずれも第1試験及び第2試験と同一試験条件のもとで所定時間だけ回転させ、波状摩耗発生時間を測定した。なお、転動体の面粗さ(中心線平均面粗さ)は、いずれの供試軸受においても0.1μmRaに設定した。
図5に示すように、硬度差を+2ポイントよりも小さな設定とした場合、波状摩耗発生時間比は、硬度差が小さくなるに従って低下した。その一方で、硬度差を+5ポイントよりも大きな設定とした場合、波状摩耗発生時間比は高かったが、軸受振動が大きく、静粛性に問題が生じた。
これに対し、硬度差を+2〜+5ポイントに設定した場合、波状摩耗発生時間比が高く(+1ポイントの場合の約4〜6倍)、軸受振動も抑制され、静粛性にも問題はなかった。
以上のように、本実施形態に係るインバータ駆動モータ用転がり軸受によれば、転動体面粗さ(中心線平均面粗さ)を0.05〜0.2μmRaに設定し、転動体(玉)6の転走面6aを粗面とすることで、当該転走面6aでの通電頻度を高め、軌道輪(内外輪)2,4との電位差を低位に保つことができ、放電による電食損傷を抑制させることができる。
また、転動体(玉)6の転走面6aと軌道輪(内外輪)2,4の軌道面2a,4aの表面硬さのロックウェル硬さのCスケールに基づく硬度差(転動体−軌道輪)を+2〜+5ポイントに設定し、転走面6aを軌道面2a,4aよりも硬くすることで、かかる電食損傷の抑制効果を長期に亘って維持することができる。
これにより、転がり軸受を長期に亘ってスムーズに回転させ続けることが可能なインバータ駆動モータを容易に、かつ低コストに実現することができる。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受の構成を示す断面図。 第1試験(高周波電流印加電食耐久試験)に用いた供試軸受の諸元(転動体面粗さ、軌道輪面粗さ、及び硬度差)を示す図。 第1試験(高周波電流印加電食耐久試験)の結果を示す図。 第2試験(高周波電流を印加させ、転動体の面粗さを変更させた場合における波状摩耗の発生状況を観察した試験)の結果を示す図。 第3試験(高周波電流を印加させ、硬度差(転動体−軌道輪)を変更させた場合において波状摩耗が観察されるまでの時間(波状摩耗発生時間)を測定した試験)の結果を示す図。
符号の説明
2 軌道輪(内輪)
2a 内輪軌道面
4 軌道輪(外輪)
4a 外輪軌道面
6 転動体(玉)
6a 転動体転走面

Claims (2)

  1. 相対回転可能に対向して配置された軌道輪と、当該軌道輪に形成された軌道面間に転動可能に組み込まれた複数の転動体とを備え、インバータ制御されるモータの回転軸を回転自在に支持するためのインバータ駆動モータ用転がり軸受であって、
    前記転動体は、少なくとも前記軌道面との接触面の中心線平均面粗さが、0.05〜0.2μmRaに設定されていることを特徴とするインバータ駆動モータ用転がり軸受。
  2. 前記接触面は、その表面硬さが前記軌道面の表面硬さよりも、ロックウェル硬さのCスケール硬度で+2〜+5ポイント高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のインバータ駆動モータ用転がり軸受。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102780306A (zh) * 2011-05-10 2012-11-14 美蓓亚株式会社 逆变器驱动马达用滚动轴承以及逆变器驱动马达

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