JP2007154815A - 水中ポンプ用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することで、吸水口からポンプケーシングに吸い込んだ水を効率良く吐出口から吐き出すことが可能な水中ポンプ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】ポンプケーシング内に回転自在に配置された羽根車と、羽根車が取り付けられた回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受とを備え、転がり軸受は、互いに相対回転可能に対向配置された軌道輪(内輪14、外輪16)と、軌道輪間に転動自在に組み込まれた複数の転動体(玉)18と、軸受両側に設けられた密封板32,34とを備える。羽根車寄りに位置する転がり軸受(玉軸受12)において、少なくとも羽根車側の密封板34は、基端34aが一方の軌道輪(外輪)に固定され、且つ、先端34bが他方の軌道輪(内輪)に形成された環状のシール溝36に対して周方向に接触する構造を成している。
【選択図】図1
【解決手段】ポンプケーシング内に回転自在に配置された羽根車と、羽根車が取り付けられた回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受とを備え、転がり軸受は、互いに相対回転可能に対向配置された軌道輪(内輪14、外輪16)と、軌道輪間に転動自在に組み込まれた複数の転動体(玉)18と、軸受両側に設けられた密封板32,34とを備える。羽根車寄りに位置する転がり軸受(玉軸受12)において、少なくとも羽根車側の密封板34は、基端34aが一方の軌道輪(外輪)に固定され、且つ、先端34bが他方の軌道輪(内輪)に形成された環状のシール溝36に対して周方向に接触する構造を成している。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば下水や浄水場などで用いられる水中ポンプにおいて、羽根車が取り付けられた回転軸を支持する転がり軸受に関し、特に密封されたシール構造を成す水中ポンプ用転がり軸受に関する。
従来から、例えば下水や浄水場などにおいて水没状態で用いられる種々の水中ポンプが知られている。その一例として図7(a)に示された水中ポンプは、吸水口2aと吐出口2bとを有し、羽根車(インペラ)4が回転自在に配置されたポンプケーシング2と、ポンプケーシング2上に縦型に配設され、羽根車4が取り付けられた回転軸6を収容するハウジング8とを備えている。
ハウジング8は、回転軸6を制御するモータ(電動機)が収容されたモータ室8aと、モータ室8aとポンプケーシング2との間のハウジング8内に設けられたオイル室8bとを有して構成されている。この場合、回転軸6は、モータ室8aからオイル室8bを通してポンプケーシング2内を垂直方向に沿って延出されており、その延出端に羽根車4が取り付けられている。図の構成例において、回転軸6は、モータ室8aの上下側にそれぞれ配設された転がり軸受10,12で回転自在に支持されている。
なお、転がり軸受10,12としては、例えば図7(b)に示すように、回転軸6に固定された内輪14と、ハウジング8に固定された外輪16と、内外輪間に転動自在に組み込まれた複数の転動体(玉)18と、これら各転動体(玉)18を1つずつ回転自在に保持する環状の保持器20とを備えた玉軸受が適用されている。この場合、モータ室8aの下側(羽根車4寄り)に配設された玉軸受12には、非接触の鋼板シールド22が設けられるのが一般的である。図の構成例において、上側(モータ室8a側)及び下側(オイル室8b側)の鋼板シールド22は、その基端(外径部)22aが外輪16に固定され、その先端(内径部)22bが内輪14に向けて延出し、内輪14に対して非接触状態に位置決めされている。
また、図7(a)に示すように、モータ室8aに収容されたモータ(電動機)は、回転軸6に固定されたロータ(例えば、永久磁石)24と、ロータ24に対向してハウジング8に固定されたステータ(例えば、電磁石)26とを備えている。一方、オイル室8bには、モータ室8aを液密状態に密封するためのメカニカルシール28が回転軸6に固定されていると共に、メカニカルシール28の耐摩耗性や潤滑性などを高めるために所定量の潤滑剤(例えば、鉱油系の潤滑油)30が封入されている。
このような水中ポンプにおいて、モータ(電動機)を駆動させて、ステータ(電磁石)26のコイル(図示しない)に電流を流すと、電磁石26とロータ(永久磁石)24との磁気相互作用により、フレミングの左手の法則に従って永久磁石24を介して回転軸6に回転力を与えることができる。このとき、回転軸6に取り付けられた羽根車4が当該回転軸6と共に回転することにより、吸水口2aから吸い込まれた水W1は、ポンプケーシング2に沿って移動した後(W2)、吐出口2bから吐き出される(W3)。
ところで、オイル室8bに封入する潤滑剤量は、モータ駆動時(回転軸6の回転時)の熱膨張率を考慮して、オイル室全容量の約80%程度に設定されており、オイル室8bの上部には空気溜まりが確保されている。このような状態で、モータ駆動時に回転軸6と共にメカニカルシール28が回転した際、その遠心力作用により、潤滑剤がオイル室8aの室壁方向へ過流状に押し付けられ、その中央部分(メカニカルシール28周辺部分)に空気溜まりが集中する場合がある。この場合、メカニカルシール28全体に亘って充分且つ均一な潤滑が困難になり、その結果、メカニカルシール28(特に、摺動面)に対する潤滑冷却機能が早期に低下してしまう場合がある。
そこで、メカニカルシール28の延命化を図るために、例えば特許文献1には、潤滑剤をメカニカルシールに沿って循環させることで、当該メカニカルシールに対する潤滑と冷却とを行う装置が提案されている。また、例えば特許文献2には、潤滑剤をメカニカルシールに沿って循環させるオイルリフタが提案されている。
しかしながら、このような延命化を施した場合でも、メカニカルシール28の寿命は、例えば回転軸6を支持する転がり軸受(モータ室8aの下側に配設された玉軸受12)の寿命よりも短いのが現状である。この場合、長期使用によりメカニカルシール28が磨耗すると、モータ室8aを液密状態に密封することが困難になり、その結果、オイル室8bの潤滑剤(鉱油系の潤滑油)30がメカニカルシール28を通って玉軸受12に侵入し、当該軸受の損傷や異音の発生、潤滑性能や回転性能の低下などを生じさせる場合がある。
具体的に説明すると、メカニカルシール28が磨耗すると、吸水口2aからポンプケーシング2に吸い込まれた水がオイル室8bに流入し、これにより潤滑剤30がメカニカルシール28を通って玉軸受12の側面に達し、非接触の鋼板シールド22から軸受内部に侵入する場合がある。このとき浸入した潤滑剤30は、水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した汚泥状態となっており、これにより軸受内部に封入されているグリースが洗い流されてしまうと、例えば潤滑不良により軸受内部の磨耗が増大したり、早期に焼き付きが生じたりすることで、玉軸受12の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することが困難になってしまう。
また、軸受内部に異物が侵入した状態で玉軸受12を回転させ続けると、転動体(玉)18と内外輪14,16との間に入り込んだ異物(磨耗粉など)により、転動体(玉)18の表面や内外輪14,16の軌道面が損傷したり、玉軸受12の潤滑性能や回転性能が低下してしまう場合がある。そして、このまま軸受を使用し続けると、上述した軸受内部の磨耗が更に増大するだけで無く、例えば転動体(玉)18の表面や内外輪14,16の軌道面の損傷が大きくなり、その結果、例えば回転軸6の振れ回りが発生することで羽根車4がポンプケーシング2に接触し、これにより、吸水口2aから吸い込んだ水を効率良く吐出口2bから吐き出すことが困難になってしまう場合がある。
ところで、上述したような水中ポンプでは、メカニカルシール28の寿命により異物が混在した潤滑剤30が玉軸受12近傍まで侵入するのを事前に防止するために、メカニカルシール28の早期交換が必要となる。この場合、メカニカルシール28の早期交換ができないと、玉軸受12に浸入した潤滑剤30により当該軸受の損傷や異音の発生、潤滑性能や回転性能の低下などの不具合を生じさせる場合がある。そこで、このような不具合を防止するために、例えば特許文献3,4に開示されたような軸受が提案されている。かかる軸受には、接触タイプの接触シール(図示しない)が設けられており、その先端(リップ)が内輪又は外輪の一方に摺接し、これにより異物の浸入防止が図れている。
また特に、縦型の水中ポンプに使用する軸受(例えば、上述した非接触の鋼板シールド22や、特許文献3,4の接触シールを有する軸受)には、長期に亘って軸受の潤滑性能や回転性能を一定に維持するために、例えば油やグリースなどの潤滑剤(図示しない)が封入されている。この場合、水中ポンプの稼動中、モータ室8a内のモータ(電動機)からの発熱で軸受温度が上昇するため、例えば潤滑剤(特にグリース)の軟化や当該グリースを構成する基油の蒸発が生じ易い状態となる。更に、縦型で使用されることで、軸受内部に封入された潤滑剤(特にグリース)は、その自重で軸受下方に移動し易い状態となる。
かかる状態において、例えば基油が蒸発すると、グリース本来の潤滑性を持続させることが困難になり、その結果、長期に亘って軸受の潤滑性能や回転性能を一定に維持することができなくなってしまう場合がある。また、例えば潤滑剤(特にグリース)がその自重で軸受下方に移動すると、そこから軸受外部へ潤滑剤が漏洩し、軸受内部の潤滑剤の封入量が減少することで、長期に亘って軸受の潤滑性能や回転性能を一定に維持することができなくなって早期の焼き付きなどが生じる場合がある。
特開2001−207995号公報
特開2001−208214号公報
特開2001−200857号公報
特開2005−69404号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、軸受の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することで、吸水口からポンプケーシングに吸い込んだ水を効率良く吐出口から吐き出すことが可能な水中ポンプ用転がり軸受を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、吸水口と吐出口とを有するポンプケーシング内に回転自在に配置された羽根車と、この羽根車が取り付けられた回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受とを備えた水中ポンプ用転がり軸受であって、転がり軸受は、互いに相対回転可能に対向配置された軌道輪と、軌道輪間に転動自在に組み込まれた複数の転動体と、軸受両側にそれぞれ設けられた密封板とを備えており、羽根車寄りに位置する転がり軸受において、少なくとも羽根車側の密封板は、その基端が一方の軌道輪に固定され、且つ、その先端が他方の軌道輪に形成された環状のシール溝に対して周方向に接触する構造を成している。
本発明における水中ポンプにおいて、ポンプケーシング上に、回転軸を制御するモータが収容されたモータ室と、モータ室とポンプケーシングとの間に設けられたオイル室とを有するハウジングが縦型に配設されており、また、回転軸は、モータ室からオイル室を通してポンプケーシング内を垂直方向に沿って延出し、その延出端に羽根車が取り付けられていると共に、オイル室には、モータ室を液密状態に密封するためのメカニカルシールが回転軸に固定されている。
本発明の転がり軸受において、密封板の先端は、シール溝の外周に接触している。この場合、シール溝の外周には、所定の傾斜角度を成した環状の傾斜面が形成されている。また、本発明の転がり軸受において、密封板の先端は、シール溝の内周に接触している。この場合、シール溝の内周には、所定の傾斜角度を成した環状の傾斜面が形成されている。
また、本発明において、転がり軸受には、複数の転動体を1つずつ回転自在に保持する複数のポケットが形成された環状の保持器が設けられていると共に、当該軸受の潤滑性能及び回転性能を一定に維持するための潤滑剤が封入されており、潤滑剤は、環状の保持器の片面側であって且つ水中ポンプの羽根車側とは反対側の密封板と軌道輪間とで囲まれた領域に封入されている。この場合、環状の保持器は樹脂材料で成形されており、当該保持器の片面側には、複数の転動体を1つずつ各ポケットに挿入するための複数の開口部が形成されている。保持器の開口部は、水中ポンプの羽根車の反対側を向いている。
本発明によれば、軸受の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することで、吸水口からポンプケーシングに吸い込んだ水を効率良く吐出口から吐き出すことが可能な水中ポンプ用転がり軸受を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ用転がり軸受について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施の形態は、上述した水中ポンプ(図7)に用いられた転がり軸受(特に、玉軸受12)の改良であるため、以下では改良部分の説明にとどめる。
図1(a)には、本発明の実施品1に係る水中ポンプ用転がり軸受(玉軸受12)の構成が示されている。この場合、モータ室8a側(図7(a))の密封板32は、その基端(外径部)32aが外輪16に固定され、その先端(内径部)32bが内輪14に向けて延出し、内輪14に対して非接触状態に位置決めされた鋼板シールドとして構成されている。一方、羽根車4側(図7(a))の密封板34は、心金入りでゴム製の接触シールとして構成されており、その基端(外径部)34aが外輪16に固定され、その先端(ゴム製リップ)34bがシール溝36に対して周方向外側に接触している。
この場合、シール溝36の外周(羽根車4側の周面)には、所定の傾斜角度αを成した環状の傾斜面36sが形成されており、当該傾斜面36sに対して密封板34の先端(ゴム製リップ)34bが接触(外側接触)している。ここで傾斜面36sの傾斜角度αは、例えば回転軸6を直交する面Hに対する傾斜面36sの成す角度αとして規定することができる。なお、密封板34の先端(ゴム製リップ)34bの形状としては、傾斜面36sに対して例えば凸当りや面当りで接触するような形状を適用すれば良い。また、傾斜面36sの傾斜角度αは、例えば玉軸受12の大きさや形状、或いはシール溝36の大きさや形状などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
以上、実施品1に係る玉軸受12によれば、メカニカルシール28の磨耗により、水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した潤滑剤(異物混在潤滑剤)30が、例えば図1(b)に示すように羽根車4側の密封板34に達した場合でも、当該潤滑剤30の軸受内部への侵入を確実に防止することができる。具体的に説明すると、潤滑剤30が密封板34に達すると、当該密封板34には、その先端(ゴム製リップ)34bをシール溝36の傾斜面36sから離間させようとする力が作用する。しかしながら、回転軸6と共に回転する内輪14の遠心力により、先端(ゴム製リップ)34b寄りの潤滑剤30には、当該潤滑剤30を外径寸法の大きい側に移動させようとする力が作用する。
このような力が作用すると、先端(ゴム製リップ)34bが傾斜面36s方向に引っ張られて圧接し、相互の接触状態が一定に保持されることになる。このため、異物混在潤滑剤30が玉軸受12内部に侵入するのを確実に防止することができる。この結果、当該軸受の損傷や異音の発生を生ずること無く、長期に亘って軸受の潤滑性能や回転性能を一定に維持することが可能となる。これにより、例えば回転軸6の振れ回りが発生することで羽根車4がポンプケーシング2に接触するといったような事態を生ずること無く、吸水口2aから吸い込んだ水を長期に亘って効率良く吐出口2bから吐き出すことが可能な水中ポンプを実現することができる。
また、実施品1に係る玉軸受12によれば、例えば水中ポンプ駆動時における軸受の温度上昇により、軸受内部に封入した潤滑剤が軟化し、その自重により下方(羽根車4側)の密封板34に移動した場合でも、密封板34から潤滑剤が軸受外部へ漏洩し難い。具体的に説明すると、当該密封板34の先端(ゴム製リップ)34bは、シール溝36の傾斜面36sに対して外側接触しているため、密封板34へ移動した潤滑剤により、当該密封板34には、その先端(ゴム製リップ)34bを傾斜面36sに圧接させようとする力が作用する。このとき、先端(ゴム製リップ)34bと傾斜面36sとの接触圧力が上昇することになる。これにより、密封板34から潤滑剤が軸受外部へ漏洩するのを防止することが可能となり、軸受の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することができる。
更に、実施品1に係る玉軸受12によれば、モータ室8a側の密封板32を非接触の鋼板シールドとし、羽根車4側の密封板34を接触シールとしたことで、羽根車4側の密封板34のみが内輪14に接触するシール構造となる。これにより、例えば起動時の摩擦トルクを小さくすることができるため、軸受の発熱抑制にも有効となる。
また、実施品1に係る玉軸受12によれば、例えばメカニカルシール28(図7(a))が磨耗した場合、玉軸受12の性能(例えば、潤滑性能、回転性能)が低下する前に、メカニカルシール28を交換することができる。この場合、メカニカルシール28のみの交換で水中ポンプの性能を一定に確保することができるため、水中ポンプに対するメンテナンス費用を低減することが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施品1に係る玉軸受12の構成に限定されることは無く、実施品2に係る玉軸受12として、例えば図1(c)に示すように、玉軸受12のモータ室8a側及び羽根車4側の双方に同様の接触シールとしての密封板34を設けても良い。かかる構成によれば、上述した実施品1と同様の効果を実現することができると共に、本実施品2に係る玉軸受12は、その上下(モータ室8a側、羽根車4側)の構成が対称形状となるため、水中ポンプに組み込む際の方向性を考慮するといった手間を無くすることができる。
また、図2(a)には、本発明の実施品3に係る水中ポンプ用転がり軸受(玉軸受12)の構成が示されている。この場合、羽根車4側(図7(a))の密封板38は、心金入りでゴム製の接触シールとして構成されており、その基端(外径部)38aが外輪16に固定され、その先端(ゴム製リップ)38bが、内輪14に形成されたシール溝40に対して周方向内側に接触している。なお、モータ室8a側(図7(a))の密封板32は、上述した実施品1(図1(a))と同様の非接触の鋼板シールドであるため、その説明は省略する。
この場合、シール溝40の内周(モータ室8a側の周面)には、所定の傾斜角度βを成した環状の傾斜面40sが形成されており、当該傾斜面40sに対して密封板38の先端(ゴム製リップ)38bが接触(内側接触)している。ここで傾斜面40sの傾斜角度βは、例えば回転軸6を直交する面Hに対する傾斜面40sの成す角度βとして規定することができる。なお、密封板38の先端(ゴム製リップ)38bの形状としては、傾斜面40sに対して例えば凸当りや面当りで接触するような形状を適用すれば良い。また、傾斜面40sの傾斜角度βは、例えば玉軸受12の大きさや形状、或いはシール溝40の大きさや形状などに応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
以上、実施品3に係る玉軸受12によれば、メカニカルシール28の磨耗により、例えば水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した潤滑剤(異物混在潤滑剤)30が、例えば図2(b)に示すように羽根車4側の密封板38に達した場合でも、当該潤滑剤30の軸受内部への侵入を防止することができる。具体的に説明すると、潤滑剤30が密封板38に達した状態において、回転軸6と共に回転する内輪14の遠心力が働くと、先端(ゴム製リップ)38b寄りの潤滑剤30には、当該先端(ゴム製リップ)38bと傾斜面40sとの間に入り込もうとする力が作用する。
しかしながら、これと同時に、先端(ゴム製リップ)38bには、潤滑剤30による押圧力も作用するため、当該先端(ゴム製リップ)38bが傾斜面40sに圧接し、相互の接触状態が一定に保持されることになる。このため、異物混在潤滑剤30が玉軸受12内部に侵入するのを防止することができる。この場合、防油効果としては、潤滑剤30が先端(ゴム製リップ)38bと傾斜面40sとの間に入り込もうとする力が介在する関係上、上述した実施品1及び実施品2に比べて若干低下する場合がある。
また、実施品3に係る玉軸受12によれば、モータ室8a側の密封板32を非接触の鋼板シールドとし、羽根車4側の密封板38を接触シールとしたことで、羽根車4側の密封板38のみが内輪14に接触するシール構造となる。これにより、例えば起動時の摩擦トルクを小さくすることができるため、軸受の発熱抑制にも有効となる。
なお、本発明は、上述した実施品3に係る玉軸受12の構成に限定されることは無く、実施品4に係る玉軸受12として、例えば図2(c)に示すように、玉軸受12のモータ室8a側及び羽根車4側の双方に同様の接触シールとしての密封板38を設けても良い。このような構成によれば、上述した実施品3と同様の効果を実現することができると共に、本実施品4に係る玉軸受12は、その上下(モータ室8a側、羽根車4側)の構成が対称形状となるため、水中ポンプに組み込む際の方向性を考慮するといった手間を無くすることができる。
また、上述した実施品1〜4に係る玉軸受12において、接触シールとしての密封板34,38は、軸受内部の圧力変動に対処するため、空気穴(図示しない)を設ける構造が一般的である。しかしながら、メカニカルシール28の磨耗により、例えば水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した潤滑剤30が密封板34,38に達した場合でも、当該潤滑剤30の軸受内部への侵入を防止するために、空気穴無しの構造とすることが好ましい。この場合、他方の密封板は、空気の流通が可能な空気穴付き接触シールや、非接触シールとすることが好ましい。これにより、軸受内部の圧力変動による密封板の吸着現象や潤滑剤の押出し漏洩などを防止することができる。
ここで、上述した実施品1〜4に対して注油試験及び発熱試験を実施して、それぞれの試験評価について考察する。なお、かかる評価試験では、図7(a)に示す玉軸受12を比較品とし、これに対しても同様の注油試験及び発熱試験を実施した。この場合、実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12は、外径を62mm、内径を25mm、幅を17mmに設定し、実施品1,2(図1(a))におけるシール溝36の傾斜面36sの傾斜角度αを30°とし、実施品3,4(図2(a))におけるシール溝40の傾斜面40sの傾斜角度βを5°とした。なお、保持器20として、鋼板打ち抜きの6305番を適用した。
また、実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12の潤滑剤の封入量は、3.5g(軸受内部の空間容積の約35%)に設定した。ここでは、潤滑剤としてグリースを適用し、当該グリースにおいて、ウレア系の増ちょう剤と、40℃における動粘度が48mm2/sの合成炭化水素油の基油とを混合し、混和ちょう度を250に設定した。なお、増ちょう剤は、特にウレア系に限定されることは無く、例えばリチウム石鹸、ナトリウム石鹸、ベントナイト、PTFE、カーボンブラックなどを適用しても良い。また、基油は、合成炭化水素油に限定されることは無く、例えばエステル油、エーテル油、フッ素油、シリコーン油、鉱油などを適用しても良い。更に、添加剤も適宜使用することが可能である。
まず、注油試験について説明する。
図3(a)には、注油試験を行うための装置が示されており、かかる装置において、試験用油(潤滑油VG10)42が貯留された貯留槽44上には、中空の本体ケース46がねじ込み固定されている。なお、貯留槽44には、その最上部から20mmの位置まで試験用油(潤滑油VG10)42が貯留されている。また、本体ケース46内には、回転軸48が回転自在に設けられており、当該回転軸48には、貯留槽44内に延出した注油軸50が取り付けられている。なお、注油軸50の表面には、螺旋状の注油溝52が形成されている。この場合、上述した実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12は、それぞれ回転軸48と本体ケース46との間に組み込まれ、各軸受毎に複数回(例えば、5回)の注油試験が実施される。
図3(a)には、注油試験を行うための装置が示されており、かかる装置において、試験用油(潤滑油VG10)42が貯留された貯留槽44上には、中空の本体ケース46がねじ込み固定されている。なお、貯留槽44には、その最上部から20mmの位置まで試験用油(潤滑油VG10)42が貯留されている。また、本体ケース46内には、回転軸48が回転自在に設けられており、当該回転軸48には、貯留槽44内に延出した注油軸50が取り付けられている。なお、注油軸50の表面には、螺旋状の注油溝52が形成されている。この場合、上述した実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12は、それぞれ回転軸48と本体ケース46との間に組み込まれ、各軸受毎に複数回(例えば、5回)の注油試験が実施される。
注油試験に際して、実施品1〜4に係る玉軸受12を回転軸48と本体ケース46との間に組み込む場合、密封板34,38が貯留槽44側に対向するように、内輪14を回転軸48に固定すると共に、外輪16を本体ケース46に固定する。なお、比較品に係る玉軸受12は、上下の密封板22が同一であるため、組込方向を考慮する必要は無い。また、実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12を装置に組み込んだ状態において、当該軸受に負荷されるアキシアル荷重が49Nとなるように設定した。
注油試験では、試験用油を充分に行き渡らせるために、回転軸48を毎分3000回転で10分間慣らし運転した後、毎分3000回転で30分間本運転を行った。なお、この間の注油量は、毎分190gに安定させている。そして、注油試験終了後、貯留槽44及び注油軸50を取り外し、玉軸受12を回転軸48から取り出した後、軸受まわりに付着した試験用油を拭き取り、当該玉軸受12の重量を測定することで、注油試験の評価を行った。
このときの評価では、重量増加が0.05g未満を優良と評価し、これを◎印で示し、重量増加が0.05〜0.1g未満を良と評価し、これを○印で示す。そして、重量増加が0.3g以上を不良と評価し、これを×印で示す。この場合、重量増加が0.05〜0.1g未満を良と評価した理由は、軸受内部に封入された潤滑剤の軟化現象による軸受外部への漏洩がほとんど無いと予想されるからである。また、重量増加が0.3g以上を不良と評価した理由は、軸受内部に封入された潤滑剤の軟化現象による軸受外部への漏洩が大きくなると予想されるからである。
図3(b)には、注油試験の評価結果が示されており、これによれば、比較品1に係る玉軸受12が全て不良と評価され、これに対して、実施品1〜4に係る玉軸受12は、全て「良」以上の評価となっている。この結果、実施品1〜4の玉軸受12の防油効果が比較品よりも優れていることが確認された。
次に、発熱試験について説明する。
図4(a)には、発熱試験を行うための装置が示されており、かかる装置において、実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12は、それぞれ、回転軸54と軸受箱56との間に組み込まれ、その内輪14が押さえ蓋58で回転軸54に固定される。なお、このとき玉軸受12に負荷されるラジアル荷重が400Nとなるように設定した。
図4(a)には、発熱試験を行うための装置が示されており、かかる装置において、実施品1〜4並びに比較品に係る玉軸受12は、それぞれ、回転軸54と軸受箱56との間に組み込まれ、その内輪14が押さえ蓋58で回転軸54に固定される。なお、このとき玉軸受12に負荷されるラジアル荷重が400Nとなるように設定した。
発熱試験では、回転軸54を毎分3600回転させた状態で、加熱ヒータ60で加熱された雰囲気温度を雰囲気温度測定用熱電対62で測定しつつ、外輪16に接触させた軸受温度測定用熱電対64で軸受温度を測定する。ここでは、回転軸54の回転開始から2時間経過後の軸受温度を測定している。なお、雰囲気温度測定用熱電対62は、軸受箱56側面から約40mmの距離に固定されており、また、雰囲気温度は、120℃に保持されている。
このときの評価では、各軸受毎に複数回(例えば、5回)の発熱試験を行って、非接触シール構造を成す比較品の軸受温度の平均値と接触シール構造を成す実施品1〜4のそれぞれの軸受温度との差分を算出し、その算出結果に基づいて発熱試験を評価している。この場合、比較品の平均軸受温度に対する温度差が3℃未満を優良と評価し、これを◎印で示し、温度差が3〜5℃未満を良と評価し、これを○印で示す。なお、かかる評価結果は、軸受温度が15℃上昇すると、軸受の焼き付き寿命が約1/2に半減するという事実に基づいており、温度差が3〜5℃未満(好ましくは、3℃未満)であれば焼き付き寿命の著しい減少を回避できる。
図4(b)には、発熱試験の評価結果が示されており、これによれば、実施品1〜4に係る玉軸受12は、全て「良」以上の評価となっている。この結果、実施品1〜4の玉軸受12は、起動時の摩擦トルクが小さい非接触シール構造の比較品と同様に、高い発熱抑制効果を実現できることが確認された。
ところで、上述した水中ポンプ用転がり軸受(図1、図2)において、玉軸受12内部に封入した潤滑剤(例えば、油やグリースなど)の封入方向について特に言及しなかったが、当該軸受の上方向に所定量の潤滑剤を封入することが好ましい。ここで、玉軸受12の上方向とは、環状の保持器20の一方の片面側であって且つ水中ポンプ(図7(a))の羽根車4側とは反対側の密封板(上側密封板)32,34,38と内外輪(軌道輪)14,16間とで囲まれた上方領域P1を指す(図1、図2)。一方、玉軸受12の下方向とは、環状の保持器20の他方の片面側であって且つ水中ポンプ(図7(a))の羽根車4側の密封板(下側密封板)34,38と内外輪14,16間とで囲まれた下方領域P2を指す(図1、図2)。
このように潤滑剤の封入方向を玉軸受12の上方向(上方領域P1)に限定することで、水中ポンプ稼動中の軸受温度の上昇により例えば潤滑剤(特にグリース)の軟化や当該グリースの基油の蒸発が生じ、当該潤滑剤がその自重で徐々に軸受下方に移動するが、このとき内外輪14,16の軌道面や転動体(玉)18、保持器20のポケットの摩擦面、転がり接触面を通過する可能性が高いので、長期に亘って軸受の潤滑性能や回転性能を一定に維持することができる。具体的に説明すると、玉軸受12の上方向(上方領域P1)に封入された潤滑剤は、当該軸受の回転に伴って保持器20近傍及び上側密封板32,34,38の裏面(上方領域P1側の面)に多く付着堆積するため、摩擦面(例えば、転動体(玉)18と内外輪14,16との摺接部分)の潤滑に充分な量の潤滑剤を長期に亘って供給し続けることができる。これにより軸受寿命の延命化による軸受の信頼性を向上させることができる。
そして、上述したような潤滑剤の封入方向の限定と共に、羽根車4側(図7(a))の下側密封板34,38を接触シールとして構成することで、玉軸受12内部への異物(例えば、水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した潤滑剤30)の浸入や当該軸受に封入した潤滑剤(例えば、油やグリースなど)の軸受外部への漏洩を防止しつつ同時に、玉軸受12の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することができる。この場合、メカニカルシール28を交換するだけで、水中ポンプの性能を長期に亘って一定に確保することができるため、水中ポンプに対するメンテナンス費用を低減することができる。
このような効果は、玉軸受12に適用する保持器20の種類を問わず実現することが可能である。なお、保持器20としては、例えば冠型保持器、鋼板打ち抜き保持器、樹脂材料や金属材料で形成された籾抜き保持器などを適用することができる。
ここで、保持器20として樹脂製の冠型保持器(図5(c))を適用した玉軸受12を想定し、潤滑剤の封入方向とその効果について、図5(a),(b)を参照して説明する。この場合、冠型保持器20以外の玉軸受12の構成は、図1(c)の構成と同一とする。
ここで、保持器20として樹脂製の冠型保持器(図5(c))を適用した玉軸受12を想定し、潤滑剤の封入方向とその効果について、図5(a),(b)を参照して説明する。この場合、冠型保持器20以外の玉軸受12の構成は、図1(c)の構成と同一とする。
図5(a),(c)に示すように、玉軸受12に適用した冠型保持器20には、その片面側に、複数の転動体(玉)18を1つずつ各ポケット20bに挿入するための複数の開口部20aが形成されており、各開口部20aから転動体(玉)18を1つずつポケット20bに挿入することで、各ポケット20b内に転動体(玉)18を回転自在に保持することができる。なお、冠型保持器20を成形するための樹脂材料としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維入りのナイロン(登録商標)、布入りフェノール樹脂やポリ四ふっ化エチレンなどを適用すれば良い。
このような冠型保持器20を玉軸受12に適用する場合、当該冠型保持器20の片面側(複数の開口部20aが形成された側)を玉軸受12の上方向(上方領域P1)に向けて配置することが好ましい(図5(a))。そして、当該開口部20aが形成された冠型保持器20の片面側に広がる上方領域P1に所定量の潤滑剤(例えば、グリース)を封入する。なお、図5(a)は、当該玉軸受12を水中ポンプの回転軸6(図7(a))に組み付けた姿勢をそのまま一部拡大して示している。また、図5(a)には、上方領域P1に封入された潤滑剤の封入状態がハッチングにより模式的に示されている。
この場合、水中ポンプの稼動に際し回転軸6が回転すると、これに伴って玉軸受12も回転するが、その回転初期では、軸受内部に封入した潤滑剤が遠心力の作用を受けて攪拌され、冠型保持器20の上部(開口部20a近傍)及び上側密封板34の裏面(上方領域P1側の面)に付着して安定する。
この場合、水中ポンプの稼動に際し回転軸6が回転すると、これに伴って玉軸受12も回転するが、その回転初期では、軸受内部に封入した潤滑剤が遠心力の作用を受けて攪拌され、冠型保持器20の上部(開口部20a近傍)及び上側密封板34の裏面(上方領域P1側の面)に付着して安定する。
そして、このまま水中ポンプを稼動し続けて約16時間経過後において、上側密封板34の裏面に付着している潤滑剤の量は、下側密封板34の裏面(下方領域P2側の面)に付着している潤滑剤の量よりも多かった。玉軸受12の摩擦面(例えば、転動体(玉)18と内外輪14,16との摺接部分)の潤滑性能は、上方領域P1に存する潤滑剤量に依存しているため、冠型保持器20の上部及び上側密封板34の裏面に付着している潤滑剤量が多くなることで、当該摩擦面に対して充分な量の潤滑剤を長期に亘って供給し続けることができる。
即ち、冠型保持器20の上部に付着している潤滑剤は遠心力の作用を受け、また、上側密封板34の裏面に付着している潤滑剤はその自重により摩擦面に順次供給され続ける。これにより、玉軸受12の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することができる。なお、下側密封板34の裏面に付着している潤滑剤は、その自重に逆らって摩擦面に供給されるようになるため、当該摩擦面に対する潤滑に寄与できる可能性は低い。
ここで、図5(a)に示す玉軸受12(実施品)に対して回転試験を実施して、潤滑剤の付着量について検討する。かかる回転試験では、比較品としての玉軸受12(図5(b))を用意し、これに対しても同様の回転試験を実施し、その試験結果を比較した。なお、図5(b)に示すように、比較品としての玉軸受12には、冠型保持器20がその片面側(複数の開口部20aが形成された側)を当該軸受の下方向(下方領域P2)に向けて配置されており、その下方領域P2に所定量の潤滑剤(例えば、グリース)を封入されている。また、図5(b)には、下方領域P2に封入された潤滑剤の封入状態がハッチングにより模式的に示されている。
この場合、実施品及び比較品に係る玉軸受12は、外径を62mm、内径を30mm、幅を16mmに設定し、冠型保持器20として、熱可塑性プラスチックであるポリアミド66をガラス繊維で強化した樹脂製の保持器(PA66)の6206番を適用した。また、実施品及び比較品に係る玉軸受12の潤滑剤の封入量は、約2.0g(軸受内部の空間容積の約25%)に設定した。ここでは、潤滑剤としてグリースを適用し、当該グリースにおいて、ウレア系の増ちょう剤と、40℃における動粘度が48mm2/sの合成炭化水素油の基油とを混合し、混和ちょう度を250に設定した。なお、増ちょう剤は、特にウレア系に限定されることは無く、例えばリチウム石鹸、ナトリウム石鹸、ベントナイト、PTFE、カーボンブラックなどを適用しても良い。また、基油は、合成炭化水素油に限定されることは無く、例えばエステル油、エーテル油、フッ素油、シリコーン油、鉱油などを適用しても良い。更に、添加剤も適宜使用することが可能である。
図6(a)には、回転試験を行うための装置が示されており、この装置において、実施品及び比較品に係る玉軸受12は、それぞれ回転軸66と軸受箱68との間に組み込まれ、その内輪14が押え部材70で回転軸66に固定される。このとき玉軸受12に負荷されるアキシアル荷重が49Nとなるように設定した。なお、同図には、実施品の玉軸受12が固定された状態が示されており、この場合、冠型保持器20の開口部20aが上向きに配置される。これに対して、比較品の玉軸受12を固定する場合には、冠型保持器20の開口部20aが下向きに配置される(図示しない)。
回転試験では、まず、上側及び下側密封板34の重量、及びヘキサンで洗浄した密封板無しの玉軸受12の重量を予め測定した後、潤滑剤(グリース)を約2.0g封入した。この場合、実施品では上方領域P1(図5(a))に潤滑剤(グリース)を封入し、比較品では下方領域P2(図5(b))に潤滑剤(グリース)を封入する。次に、上側及び下側密封板34を取り付けた後、上側及び下側密封板34及び潤滑剤(グリース)を含めた玉軸受12の総重量を測定する。そして、実施品及び比較品に係る玉軸受12をそれぞれ回転軸66に固定して回転試験を実施する。
回転試験において、室温環境下で回転軸66を毎分3000回転させた状態を16時間連続させた後、玉軸受12の総重量を測定した。また、上側及び下側密封板34を外した玉軸受12の重量も測定した。この場合、冠型保持器20の開口部20a近傍のグリース量は、玉軸受12の総重量から上側及び下側密封板34に付着したグリース量を差し引いた値とした。ここで、上側及び下側密封板34に付着したグリース量は、回転試験後に測定した上側及び下側密封板34の重量から回転試験前に予め測定した上側及び下側密封板34の重量を減算することで算出することができる。
図6(b)には、上述したような回転試験を実施品及び比較品について複数回(例えば、5回)を行った試験結果が示されている。かかる試験結果から明らかなように、実施品に係る玉軸受12では、冠型保持器20の近傍及び上側密封板34の裏面に付着している潤滑剤量(グリース付着量)は、全て比較品に係る玉軸受12に比べて高い数値を維持していることがわかる。これは、比較品の玉軸受12では、下方領域P2(図5(b))に潤滑剤(グリース)が封入されているため、上側密封板34の裏面に付着する潤滑剤量が少なく、逆に下側密封板34の裏面に付着する潤滑剤量が多くなったことが原因と考えられる。
以上、回転試験によれば、潤滑剤の封入方向を玉軸受12の上方向(上方領域P1)に限定することで、冠型保持器20の開口部20a近傍及び上側密封板34の裏面(上方領域P1側の面)に多くの潤滑剤(グリース)を付着堆積させることが可能となり、これにより摩擦面(例えば、転動体(玉)18と内外輪14,16との摺接部分)の潤滑に充分な量の潤滑剤を長期に亘って供給し続けられることが確認された。そして、羽根車4側(図7(a))の下側密封板34を接触シールとして構成することで、玉軸受12内部への異物(例えば、水やメカニカルシール28の磨耗粉などの異物が混在した潤滑剤30)の浸入や当該軸受に封入した潤滑剤(グリース)の軸受外部への漏洩を防止しつつ同時に、玉軸受12の潤滑性能や回転性能を長期に亘って一定に維持することができることも確認された。
12 玉軸受(転がり軸受)
14 内輪
16 外輪
18 転動体(玉)
32,34 密封板
36 シール溝
14 内輪
16 外輪
18 転動体(玉)
32,34 密封板
36 シール溝
Claims (9)
- 吸水口と吐出口とを有するポンプケーシング内に回転自在に配置された羽根車と、この羽根車が取り付けられた回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受とを備えた水中ポンプ用転がり軸受であって、
転がり軸受は、互いに相対回転可能に対向配置された軌道輪と、軌道輪間に転動自在に組み込まれた複数の転動体と、軸受両側にそれぞれ設けられた密封板とを備えており、
羽根車寄りに位置する転がり軸受において、少なくとも羽根車側の密封板は、その基端が一方の軌道輪に固定され、且つ、その先端が他方の軌道輪に形成された環状のシール溝に対して周方向に接触する構造を成していることを特徴とする水中ポンプ用転がり軸受。 - ポンプケーシング上には、回転軸を制御するモータが収容されたモータ室と、モータ室とポンプケーシングとの間に設けられたオイル室とを有するハウジングが縦型に配設されており、
回転軸は、モータ室からオイル室を通してポンプケーシング内を垂直方向に沿って延出し、その延出端に羽根車が取り付けられていると共に、オイル室には、モータ室を液密状態に密封するためのメカニカルシールが回転軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の水中ポンプ用転がり軸受。 - 密封板の先端は、シール溝の外周に接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- シール溝の外周には、所定の傾斜角度を成した環状の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- 密封板の先端は、シール溝の内周に接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- シール溝の内周には、所定の傾斜角度を成した環状の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- 転がり軸受には、複数の転動体を1つずつ回転自在に保持する複数のポケットが形成された環状の保持器が設けられていると共に、当該軸受の回転性能及び潤滑性能を一定に維持するための潤滑剤が封入されており、潤滑剤は、環状の保持器の片面側であって且つ水中ポンプの羽根車側とは反対側の密封板と軌道輪間とで囲まれた領域に封入されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- 環状の保持器は樹脂材料で成形されており、当該保持器の片面側には、複数の転動体を1つずつ各ポケットに挿入するための複数の開口部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
- 保持器の開口部は、水中ポンプの羽根車の反対側を向いていることを特徴とする請求項8に記載の水中ポンプ用転がり軸受。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20160076594A1 (en) * | 2015-11-24 | 2016-03-17 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Non-contacting fiber laminate bearing seal |
-
2005
- 2005-12-07 JP JP2005353295A patent/JP2007154815A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20160076594A1 (en) * | 2015-11-24 | 2016-03-17 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Non-contacting fiber laminate bearing seal |
US9587678B2 (en) * | 2015-11-24 | 2017-03-07 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Non-contacting fiber laminate bearing seal |
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