JP2002129283A - 拡管加工性に優れた鋼管 - Google Patents
拡管加工性に優れた鋼管Info
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Abstract
このままで使用される鋼管を提供する。 【解決手段】 C含有量が下記(1) 式を満足するととも
にSi:0.1 〜0.50%、Mn:0.3 〜1.5 %、P:0.03%以
下、S:0.010 %以下、sol.Al:0.001 〜0.05%および
N:0.010 %以下を含有し、焼入れ焼戻し処理されてな
る、井戸内に挿入された状態で拡管加工を行われて使用
されるとともに降伏比が0.85以下である、焼入れ焼戻し
処理されてなる拡管加工性に優れた鋼管である。 C≧8.3 ×10-10(YS)3 −0.02 ・・・・・・・
(1)
Description
た鋼管に関する。より具体的には、本発明は、油井戸ま
たはガス井戸に挿入された状態で拡管加工を行われ、こ
のままで使用される鋼管に関する。
単に「井戸」という)の従来の施工を模式的に示す垂直
断面図である。同図に示すように、従来は、まず第1の
管1を油井戸またはガス井戸の土中に埋設し、その内側
に第2の管2を埋設し、以下順次、第3の管3および第
4の管4を埋設し、最後に、油井またはガス井に到達す
る第5の管5を埋設することによって、井戸6を施工し
ていた。このため、より深い井戸を構築するためには、
その深さに応じて使用する鋼管の量が増えるとともに堀
削面積も拡大するため、相当な施工コストを要してい
た。
管は、軽量化、すなわち材料自体の高強度化によって薄
肉化を図ることによる材料使用量の低減により、製造コ
ストの削減が図られてきたものの、材料使用量の低減に
よる製造コストの削減は限界に達した感があった。そこ
で、よりいっそう製造コストを削減するために、既に埋
設された鋼管の内部に他の鋼管を挿入した後にこの鋼管
に拡管加工を行うことによって鋼管使用量を削減すると
いう新しい施工方法が開発され、実用化に向けて検討さ
れている。
法による井戸の施工を模式的に示す説明図である。同図
に示すように、この施工方法は、先に土中に埋設された
鋼管7の外径よりも小さな外径の鋼管8を井戸内に挿入
し(図4(a) 参照)、この鋼管8にマンドレル9等を用
いて拡管加工を施し(図4(b) 参照)、これにより、鋼
管8を鋼管7に嵌合させた状態で使用し(図4(c) 参
照)、以下井戸の深さに応じてかかる作業を適当な回数
繰り返していくものである。この施工方法によれば、同
一外径の鋼管を使用する深さを、従来よりも大幅に増加
することが可能となる。
戸9の一例を示す説明図である。つまり、図5に示すよ
うに、この新しい施工方法によれば、従来の施工方法に
比較して、最も外側の鋼管10a の径を小さくすることが
でき、井戸当たりの鋼管10a〜10c の総使用量を減らす
ことができるとともに堀削面積を抑制できる。このた
め、井戸の施工に要するコストを大幅に削減することが
できる。
井戸9内で拡管してそのままの状態で使用されるため、
拡管加工後に熱処理を行うことができず、また、疵など
の発生も許されないとともに、拡管加工後の品質を殆ど
確認できない。拡管加工後の品質確認することができた
としても、既に拡管加工された鋼管を地中から引き上げ
ることは現実には不可能である。このため、この新しい
施工方法に供される鋼管10a 、10b には、従来の施工方
法では要求されなかった優れた冷間における拡管加工性
が要求されている。
対象としたものではないが、一般的に鋼管の拡管加工性
を高める技術として、特公平6−17542 号公報には、電
縫溶接部のメタルフローの状態を特定するとともに鋼中
のS含有量を強度および鋼管の寸法によって制御するこ
とにより、高強度電縫鋼管全体を熱処理せずに拡管加工
性を高めて、棒鋼で製造されてきた自動車用部品の代替
が可能な鋼管を製造する発明が、提案されている。
3 号には、鋼管の降伏比を下げる技術が提案されてい
る。すなわち、特許第2957717 号には、製管圧延の各段
階における加工温度および加工量を特定するものであ
り、特許第2556643 号は、組成を特定するとともに製管
圧延の各段階における加工温度および加工量を特許第29
57717 号と同様に特定するものである。
れの発明によっても、前述した井戸の新しい施工方法に
供され得る優れた冷間における拡管加工性を有する鋼管
を提供することは不可能である。
に供される鋼管は、井戸内で拡管加工されそのまま使用
され、拡管加工後にその状態を検査することは事実上不
可能であるとともにその施工コストも高い。このため、
この鋼管には極めて高い信頼性が要求される。一方、一
般的に、鋼管の信頼性を高めるためには、全体を熱処理
することにより組織の均一化を図ることが必要である。
しかし、特公平6−17542 号公報により提案された発明
では、必ずしも組織の均一化を図ることができないた
め、この発明に基づいても前述した井戸の新しい施工方
法に供され得る優れた冷間における拡管加工性を有する
鋼管を提供することはできない。また、この発明によれ
ば、例えば外径が20mm程度の小径鋼管の拡管加工時の割
れ感受性を抑制することは確かに可能であるが、前述し
た井戸の新しい施工方法に供される鋼管に対しては、こ
のような小径鋼管よりも相当過酷な拡管加工が行われる
ことになるため、発生する局部応力集中を防ぐことがで
きず、その結果として拡管加工時に割れてしまうおそれ
がある。
発明は建築物や橋梁等に供される鋼管を、特許第255664
3 号により提案された発明は井戸から掘削された材料を
輸送するために地表に設置されるラインパイプに供され
る鋼管を、それぞれ適用対象とするために、降伏比低下
だけを目的としたものであり、拡管加工性は何ら考慮し
ていない。
各段階の加工温度および加工量を規定するため、圧延機
器毎に冷却装置や加熱装置を設けて圧延機毎に圧延時間
の間隔を確保する必要があり、生産性低下は免れない。
また、加工量についても最終寸法に対して適用できる寸
法が制限される場合がある。さらに、2相域での加熱
は、温度および時間に対する感受性が高いため、常に一
定して同じ性質の鋼管を得ることは難しい。このため、
製造時の条件管理が非常に複雑となり大量生産に適さな
い。
れた発明は、前述したように、鋼管の熱処理を考慮して
おらず組織の均一化を図ることができないため、極めて
高い信頼性が要求される、新しい施工方法に供される鋼
管に対して適用することはできない。また、この発明が
適用対象とする鋼管の引張強度は、294 〜441N/mm2と、
比較的低強度である。このため、450 〜900N/mm2程度の
高強度が要求される、新しい施工方法に供される鋼管に
対しては適用できない。特許番号第2556643 号のみでは
対応が困難である。
すること、より具体的には、井戸に挿入された状態で拡
管加工を行われ、このままで使用される鋼管を提供する
ことである。
管加工性を有する鋼管について鋭意検討を重ねた結果、
以下に列記する重要な知見(1) 〜(3) を得た。
法精度が拡管加工性に大きな影響を及ぼす。しかし、降
伏強度と破断強度との比である降伏比が低いと加工硬化
が起こり易くなり、これにより、肉厚の寸法によって局
部的に集中した応力が分散され、均一な拡管加工を行う
ことができる。
工を可能とするには、靱性が優れることも重要である。 (3) 降伏比を低く保つには、C含有量を制御することが
重要である。
ともに、従来よりよく知られているように、 (4) 井戸に埋設されて使用される鋼管として要求される
基本的特性 (例えば、引張強度、硬度さらには衝撃性能
等) を満たすためには、拡管加工後そのまま使用される
鋼管についても通常の鋼管と同様にC以外の元素の含有
量の制御が有効である。
たものであり、鋼管に含有する成分を最適に制御するこ
とにより降伏比を低く保ち、これにより優れた拡管加工
性を有する鋼管を提供するという技術思想に基づくもの
である。
された状態で拡管加工を行われて使用されるとともに降
伏比が0.85以下であることを特徴とする、焼入れ焼戻し
処理されてなる拡管加工性に優れた鋼管である。
339.73mmであり、肉厚は5.0 〜18.0mmであり、さらに引
張強度は450 〜900N/mm2であることが、それぞれ例示さ
れる。
有量が下記(1) 式を満足するとともに、焼入れ焼戻し処
理されてなることが望ましい。 C≧8.3 ×10-10(YS)3−0.02 ・・・・・・・(1) ただし、(1) 式においてCはC含有量 (質量%) を示
し、YSは降伏応力 (N/mm 2)を示す。
0.1 〜0.50% (本明細書では特にことわりがない限り
「%」は質量%を意味する) 、Mn:0.3 〜1.5 %、P:
0.03%以下およびS:0.010 %以下、sol.Al:0.001 〜
0.05%およびN:0.010 %以下を含有することが、例示
される。
r:1.50%以下、Mo:0.80%以下、Cu:0.35%以下、N
i:0.50%以下、Ti:0.03%以下、Nb:0.03%以下、
V:0.2 %以下およびCa:0.005 %以下を含有すること
が、例示される。
に優れた鋼管の実施の形態について、その特徴毎に詳細
に分説する。
以下である。図1に示す拡管試験機11を用いて、コーン
12の上に鋼管13を設置し、コーン12と接触していない管
端面13a から適当な圧力Fを負荷することにより鋼管13
を拡管する拡管試験を行い、鋼管13の拡管前外径Diと拡
管終了時外径Dfとの比Df/Diをして定義される拡管率の
うちで、割れ発生時の拡管率を限界拡管率として測定し
た。なお、試験機の能力限界時 (加圧力限界等) に達し
ても割れが発生しなかった場合にはその時点で拡管試験
を終了した。
ば拡管加工が周方向に均一に施され、限界拡管率が向上
することがわかった。この理由は、以下の機構がその一
つと考えられる。すなわち、拡管加工を行われる前の鋼
管の降伏比が0.85以下であれば加工硬化代が高くなる。
一方、肉厚が薄いほど拡管加工中に応力集中が発生し易
くなるが、鋼管の降伏比が0.85以下であれば加工硬化分
により、応力集中がより肉厚の厚い部分に移動すること
になり、結果として、拡管加工が周方向に均一に行われ
るようになる。そこで、本発明では、鋼管の降伏比は、
0.85以下と限定する。同様の観点から、降伏比の上限値
は0.85以下、下限値は0.70以上であることが、それぞれ
望ましい。
3 〜339.73mmであり、鋼管の肉厚は5.0 〜18.0mmであ
り、さらに引張強度は450 〜900N/mm2であることが望ま
しい。 (2) 本実施の形態の鋼管のC含有量は、下記(1) 式を満
足するとともに、焼入れ焼戻し処理されてなる。ただ
し、(1) 式においてCはC含有量 (質量%) を示し、YS
は降伏応力 (N/mm2)を示す。
拡管加工性に優れていたことが判明した。
る鋼管では、高強度化および高靱性化を図るために高C
材を使用して焼戻しマルテンサイト組織を有するものが
主流であった。しかし、マルテンサイト組織を有するに
十分なC量を添加してしまうと、低強度の鋼管を製造で
きなくなる。そこで、従来は、低強度鋼管については、
熱処理を行わずに製造するか、あるいは焼準熱処理を行
うことにより、製造されていた。しかし、熱処理を行わ
ない鋼管や焼準熱処理を行った鋼管は、優れた靱性を保
有していない。
る鋼管に対して、高い加工量が加わる拡管加工を行う
と、限界拡管率が低下しており、割れ等の加工不良を発
生してしまう可能性があった。
井戸内に挿入されて埋設された状態で拡管加工を行わ
れ、このままで使用されるため、加工不良の発生抑制に
ついて高い信頼性を有することが重要である。このため
には、優れた靱性を有することが好ましい。
度に応じてC含有量を制御すること、具体的には上記
(1) 式を満足するようにC含有量を制御するとともに周
知慣用の焼入れ焼戻し処理を行う。なお、この焼入れ焼
戻し処理は、熱間圧延終了後にオーステナイト域の適当
な温度に再加熱し、適当な時間均熱した後に例えば水焼
入れを行い、その後にオーステナイト域以下の適当な温
度で適当な時間焼戻し処理することが、例示される。
の降伏比を0.85以下に低減できる。これにより、低強度
から高強度の鋼管を製造することができる。 (3) 本実施の形態の鋼管は、目標の強度、靱性等の機械
的性質を得るためにはC以外にさらに、Si、Mn、P、S
およびsol.AlおよびNを必須元素として含有するととも
に、Cr、Mo、Cu、Ni、Ti、Nb、VおよびCaを任意添加元
素として含有する。以下、これらの元素についてもその
含有量の限定理由を説明する。
化抵抗を高めて強度を上昇させる。脱酸の目的を達成す
るには0.1 %以上の添加が必要である。一方、0.50%を
越えて添加すると、熱間加工性が著しく悪化する。そこ
で、本実施の形態では、Si含有量は0.1 %以上0.50%以
下と限定する。
る。Mn含有量が0.3 %未満であると強度および靱性がと
もに低下する。一方、Mn含有量が1.5 %を越えると、鋼
の肉厚方向等での偏析を増加し、靱性を低下させる。そ
こで、本実施の形態では、Mn含有量は0.3 %以上1.5 %
以下と限定する。
量が0.03%を越えると、粒界に偏析して靱性を低下させ
る。そこで、本実施の形態では、P含有量は0.03%以下
と限定する。同様の観点から望ましくは0.015 %以下で
ある。
延の際に延伸するため、靱性への悪影響が大きく、S含
有量が0.010 %を超えると靱性を劣化させる。そこで、
本実施の形態では、S含有量は0.010 %以下と限定す
る。同様の観点から望ましくは0.005 %以下である。
が0.001 %未満であると脱酸不足によって鋼質が劣化
し、靱性が低下する。しかし、sol.Al含有量が0.05%を
越えると、かえって靱性の低下を招くため好ましくな
い。そこで、本実施の形態では、sol.Al含有量は0.001
%以上0.05%以下と限定する。
等と結合して窒化物を形成する。特に、AlNやTiNが多
量に析出すると、靱性に悪影響を及ぼす。そこで、本実
施の形態では、N含有量は0.010 %以下と限定する。
では炭酸ガス腐食を防ぐ役割があり、有益な元素であ
る。しかし、一方で粗大な炭化物を形成しやすい元素で
もあるため、適量に抑制すべきである。そこで、本実施
の形態では、粗大な炭化物の形成を防ぐ観点からCr含有
量の上限値は1.50%と限定する。Cr含有量の下限値は特
に定める必要はなく、前述したように0%、すなわちCr
は添加しなくてもよい。
制する効果等があり、有益な元素である。ただし、高価
であるためにコスト上昇をもたらすとともに、炭化物の
形態を左右する元素であるために多量の添加は粗大な炭
化物の形成による悪影響を及ぼすことがある。そこで、
本実施の形態では、Mo含有量は0.80%以下と限定する。
また、Moは任意添加元素であるから添加しなくてもよ
い。
ると赤熱脆性による疵や脆化の影響が強くなる。そこ
で、本実施の形態では、Cu含有量は0.35%以下と限定す
る。また、Cuは任意添加元素であるから添加しなくても
よい。
上に寄与する。しかし、Ni含有量が0.50%を超えると悪
影響がある。そこで、本実施の形態では、Ni含有量は0.
50%以下と限定する。また、Niは任意添加元素であるか
ら添加しなくてもよい。
果がある。しかし、Ti含有量が0.03%を越えるとCと結
合してTiCを生成する量が増加し、靱性に悪影響を及ぼ
す。そこで、本実施の形態では、Ti含有量は0.03%以下
と限定する。また、Tiは任意添加元素であるから添加し
なくてもよい。
ぐことに効果がある。しかし、Nb含有量が0.03%を超え
ると偏析や伸延粒の原因となる。そこで、本実施の形態
では、Nb含有量は0.03%以下と限定する。また、Nbは任
意添加元素であるから添加しなくてもよい。
V含有量が0.2 %を越えると、靱性に悪影響を及ぼす。
そこで、本実施の形態では、V含有量は0.2 %以下と限
定する。また、Vは任意添加元素であるから添加しなく
てもよい。
ある。しかし、Ca含有量が0.005 %を超えると介在物が
多量に発生する。そこで、本実施の形態では、Ca含有量
は0.005 %以下と限定する。また、Caは任意添加元素で
あるから添加しなくてもよい。
Feおよび不可避的不純物である。この本実施の形態の鋼
管は、前述したように、井戸内に挿入された状態で拡管
加工を行われて使用されるため、素材鋼管自体の製法は
特に限定を要するものではない。例えば、鋼板の突き合
わせ部分を溶接した電縫鋼管 (ERW)や、ビレットから継
ぎ目無く製管された継目無鋼管等を適用することができ
る。
する成分を最適に制御することにより降伏比を低く保っ
ている。このため、井戸に挿入された状態で拡管加工を
行われる際の冷間における拡管鋼管拡管性に優れてお
り、このままの状態で確実に使用することができ、前述
した井戸の新しい施工方法に供され得るものである。こ
のため、堀削コストを削減することができる新しい井戸
設計を採用することができる。
に説明する。表1に示す組成を有するビレットを、1200
〜1250℃に加熱した後、マンネスマン−マンドレル製管
法により外径:88.9mm、および肉厚:7.34mmの寸法を有
する継目無鋼管を製造した。
処理QT、焼準熱処理NOR 、および熱処理を行わない圧延
ままARのいずれかを行い、作成した鋼管の管軸方向から
API 規格5CTに規定された弧状引張試験片およびシャル
ピー試験片を採取し、試料No.1〜試料No.29 とした。
でオーステナイト域 (890 ℃〜980℃) に再加熱して約2
0分間均熱をした後、水焼入れを行い、オーステナイト
域以下の温度 (450 ℃〜700 ℃) で30分間均熱する焼戻
し処理を行った。また、焼準熱処理NOR では、焼入れ炉
でオーステナイト域 (890 ℃〜980 ℃) に再加熱し、約
20分間均熱する処理を行った。
状引張試験およびシャルピー試験と、図1に示す鋼管試
験機を用いた拡管試験とを行った。なお、シャルピー試
験は0℃で行った。
効果を享受できるか否かという観点から、限界拡管率:
1.3 を超えるものを良好な拡管性を有する鋼管として評
価した。
鋼管の内、降伏比が0.85以下である試料No.1〜試料No.1
4 は、いずれも、限界拡管率が1.3 を超えており、良好
な拡管加工性を有することがわかる。
内、降伏比が0.85を超える試料No.15 〜試料No.25 は、
いずれも、限界拡管率1.3 を下回り、拡管加工性が良好
でなかった。したがって、降伏比0.85以下を満足しなけ
れば、良好な拡管加工性を有することができない。
料No.29)、および焼準熱処理NOR(試料No.26 および試料
No.27)も、限界拡管率:1.3 を安定して超えることがで
きなかった。
No.1〜試料No.25 について、C量と降伏応力との関係を
グラフで示す (非熱処理品および焼準熱処理品を除く)
。図2のグラフでは、降伏比が0.85以下であるものを
○印で示し、降伏比が0.85を下回るものを×印で示し
た。
には、降伏比が変化するある境界が存在することが分か
る。この試験結果に基づいてこの関係を数式で求める
と、図2のグラフにおける式aとなる。この式aは、C
≧8.3 ×10-10(YS)3−0.02である。すなわち、C≧8.3
×10-10(YS)3−0.02を満足することにより、降伏比を0.
85以下に制御できることがわかる。
めには、降伏比0.85以下であることが必要であり、さら
に焼入れ焼戻し処理を実施することが望ましいことがわ
かる。さらに、焼入れ焼戻し鋼管にて降伏比0.85以下を
得るためには、C量と降伏応力とが式aの関係を満足す
ることが望ましい。
り、拡管加工性に優れた鋼管を提供すること、より具体
的には、井戸に挿入された状態で拡管加工を行われ、こ
のままで使用される鋼管を提供することができた。
て著しい。
料について、C量と降伏応力との関係を示すグラフであ
る。
ある。
井戸の施工を模式的に示す説明図である。
示す説明図である
Claims (4)
- 【請求項1】 油井戸またはガス井戸内に挿入された状
態で拡管加工を行われて使用されるとともに降伏比が0.
85以下であることを特徴とする、焼入れ焼戻し処理され
てなる拡管加工性に優れた鋼管。 - 【請求項2】 C含有量が下記(1) 式を満足する請求項
1に記載された拡管加工性に優れた鋼管。 C≧8.3 ×10-10(YS)3−0.02 ・・・・・・・(1) ただし、CはC含有量 (質量%) を示し、YSは降伏応力
(N/mm2)を示す。 - 【請求項3】 質量%で、Si:0.1 〜0.50%、Mn:0.3
〜1.5 %、P:0.03%以下およびS:0.010 %以下、so
l.Al:0.001 〜0.05%およびN:0.010 %以下を含有す
る請求項2に記載された拡管加工性に優れた鋼管。 - 【請求項4】 質量%で、Cr:1.50%以下、Mo:0.80%
以下、Cu:0.35%以下、Ni:0.50%以下、Ti:0.03%以
下、Nb:0.03%以下、V:0.2 %以下およびCa:0.005
%以下を含有する請求項3に記載された拡管加工性に優
れた鋼管。
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