JP2002127320A - 透明導電性基材とその製造方法およびこの透明導電性基材が適用された表示装置 - Google Patents

透明導電性基材とその製造方法およびこの透明導電性基材が適用された表示装置

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JP2002127320A
JP2002127320A JP2000324282A JP2000324282A JP2002127320A JP 2002127320 A JP2002127320 A JP 2002127320A JP 2000324282 A JP2000324282 A JP 2000324282A JP 2000324282 A JP2000324282 A JP 2000324282A JP 2002127320 A JP2002127320 A JP 2002127320A
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transparent
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Masaya Yukinobu
雅也 行延
Harumi Nagao
晴美 永尾
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止・電界シールドおよび反射防止の機
能を有しかつクラック等の欠陥がない膜強度に優れた透
明導電性基材とその製造方法、この透明導電性基材が適
用された表示装置を提供すること。 【解決手段】 この透明導電性基材は、透明プラスチッ
ク基板およびこの透明プラスチック基板上に順次形成さ
れた透明導電層と透明コート層とで構成された透明2層
膜を備える透明導電性基材を前提とし、上記透明導電層
が、平均粒径1〜100nmの導電性微粒子とバインダ
ーマトリックスを主成分とし、かつ上記バインダーマト
リックスと上記透明コート層が、水素基、炭素数5以下
のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エ
ポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種
類以上の官能基が含まれた酸化ケイ素を主成分としてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明プラスチック
基板とこの上に順次形成された透明導電層と透明コート
層から成る透明2層膜を備え、例えば、ブラウン管(C
RT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光
表示管(VFD)、液晶ディスプレイ(LCD)等表示
装置の前面板等に前面板本体として直接利用され若しく
は上記前面板本体に積層して利用される透明導電性基材
に係り、特に、帯電防止・電界シールド、および反射防
止の機能を有し、膜強度に優れ、しかも製造コストの低
減が図れる透明導電性基材とその製造方法、およびこの
透明導電性基材が適用された表示装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年のオフィスオートメーション(O
A)化によりオフィスに多くのOA機器が導入され、O
A機器のディスプレイと向き合って終日作業を行わねば
ならないという環境が最近珍しくない。
【0003】ところで、OA機器の一例としてコンピュ
ータの陰極線管(上記ブラウン管とも称する:CRT)
等に接して仕事を行う場合、表示画面が見やすく、視覚
疲労を感じさせないことの外に、CRT表面の帯電によ
るほこりの付着や電撃ショックがないこと等が要求され
ている。更に、これ等に加えて最近ではCRTから発生
する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念され、こ
のような電磁波が外部に漏洩しないこともCRTに対し
て望まれている。
【0004】このような帯電防止、電磁波漏洩防止(電
界シールド)の対策として、CRT等の前面板表面に透
明導電層を形成する等の方法が採られている。そして、
これ等透明導電層の表面抵抗として帯電防止用には10
7〜1011Ω/□程度、また、電磁波漏洩防止用には少
なくとも106Ω/□以下、好ましくは5×103Ω/□
以下、さらに好ましくは103Ω/□以下が望まれてい
る。
【0005】そこで、これ等要求に対処するため、従来
よりいくつかの方法が提案されている。
【0006】例えば、 (1)導電性微粒子を溶媒中に分散した透明導電層形成用
塗液をCRTの前面ガラスパネル(前面板本体)に塗布
・乾燥後、シリカゾル等の無機バインダーを主成分とし
た透明コート層形成用塗布液を塗布した後、200℃程
度の温度で焼成する方法。 (2)スパッタ法等の気相法を用い、CRTの前面ガラス
パネル上にインジウム錫酸化物(ITO)膜や酸窒化チ
タン(TiOXY)等の透明導電層と、酸化ケイ素から
成る透明コート層を形成する方法。 (3)スパッタ法等の気相法を用いて形成された透明導電
性および反射防止性を有する多層膜を備えたプラスチッ
クフィルムをCRTの前面ガラスパネル(前面板本体)
に貼り合わせる方法。等が知られている。
【0007】ところで、上記透明導電層形成用塗液を用
いる(1)の方法は、スパッタ法等の気相法を用いる(2)
や(3)の方法に比べてはるかに簡便であり、製造コスト
も低く、極めて有利な方法である。
【0008】そして、上記導電性微粒子には、錫アンチ
モン酸化物(ATO)やインジウム錫酸化物(ITO)
等の透明導電性酸化物微粒子あるいは金属微粒子等が用
いられている。例えば、ATOが適用された場合、得ら
れる膜の表面抵抗は107〜1010Ω/□程度となるた
め帯電防止用として用いられる。また、ITOを適用し
た透明導電層形成用塗液は電界シールド用として利用さ
れているが、得られる膜の表面抵抗が104〜106Ω/
□程度で漏洩電界を遮蔽するには不十分なため電界キャ
ンセル用の補正回路が必要となる。
【0009】他方、上記金属微粒子が適用された透明導
電層形成用塗液では、ITOを用いた塗液に比べ、若
干、膜の透過率が低くなるが、102〜103Ω/□とい
う低抵抗膜が得られるため、上述した補正回路を用いる
ことなく電界シールドが可能である。
【0010】そして、上記透明導電層形成用塗液に適用
される金属微粒子としては、特開平8−77832号公
報や特開平9−55175号公報等に示されるように空
気中で酸化され難い、銀、金、白金、ロジウム、パラジ
ウム等の貴金属に限られている。これは、貴金属以外の
金属微粒子、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等が適用
された場合、大気雰囲気下でこれ等金属微粒子の表面に
酸化物被膜が必ず形成されてしまい透明導電層として良
好な導電性が得られなくなるからである。
【0011】また、一方では表示画面を見易くするため
に、前面板表面に防眩処理を施して画面の反射を抑える
ことも行われている。この防眩処理は、微細な凹凸を設
けて表面の拡散反射を増加させる方法によってもなされ
るが、この方法を用いた場合、解像度が低下して画質が
落ちるためあまり好ましい方法とはいえない。
【0012】従って、むしろ反射光が入射光に対して破
壊的干渉を生ずるように、透明被膜の屈折率と膜厚とを
制御する干渉法によって防眩処理を行うことが好まし
い。
【0013】このような干渉法により低反射効果を得る
ため、一般的には高屈折率膜と低屈折率膜の光学膜厚を
それぞれ1/4λと1/4λ、あるいは1/2λと1/
4λ(λは波長)に設定した二層構造膜が採用されてお
り、前述のインジウム錫酸化物(ITO)微粒子からな
る膜もこの種の高屈折率膜として用いられている。
【0014】尚、金属においては、光学定数(n−i
k,n:屈折率,i2=−1,k:消衰係数)のうち、
nの値は小さいがkの値がITO等と比べ極端に大きい
ため、金属微粒子からなる透明導電層を用いた場合で
も、ITO(高屈折率膜)と同様に、二層構造膜で光の
干渉による反射防止効果が得られる。
【0015】また、近年、この種の透明導電性基材に
は、上述した良好な導電性、低反射率等の諸特性に加え
て、表示画面が更に見やすくなるようにその透過率を1
00%より低い所定範囲(40〜75%)に調整して画
像のコントラストを向上させる特性も要請されており、
その場合、上記透明導電層形成用塗液に着色顔料微粒子
等を配合することも行われている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記(1)
の方法において透明導電膜形成用塗液および透明コート
層形成用塗布液のCRT前面ガラスパネル上への塗布
は、非常に均一な薄膜が得られるスピンコート法(高速
回転する基板にコーティング液を注いで塗布する方法)
により行われている。しかし、このスピンコート法で
は、用いられたコーティング液のほとんどが塗膜の形成
過程で前面ガラスパネルから周囲に飛び散ってしまうた
め、コーティング液としての利用効率が著しく低いとい
う欠点があった。但し、上記前面ガラスパネルのような
柔軟性のない基板に均一な薄膜を効率よく形成する方法
としては、現在、スピンコート法以外に適当な手段がな
いため上記利用効率の問題は依然として残されている。
【0017】他方、上記(3)の方法は、CRT等前面ガ
ラスパネル(前面板本体)にプラスチックフィルムを貼
り合わせる方法であるが、このプラスチックフィルム上
に透明導電性および反射防止性を有する多層膜を形成す
る手段としてスパッタ法等の気相法が適用されているた
め、煩雑で、高価な方法であった。しかし、プラスチッ
クフィルムは柔軟性が高い性質を有しているため種々の
コーティング方式が適用可能であり、例えば、透明導電
膜形成用塗液や透明コート層形成用塗布液を用いたグラ
ビアコーティング等の方法で均一な透明2層膜をプラス
チックフィルム上に形成できれば、上記(1)の方法に
おけるコーティング液の利用効率の問題は解消され、極
めて安価かつ容易に前面板本体として直接利用可能な若
しくはCRTの前面ガラスパネル(前面板本体)に積層
して適用可能な透明導電性基材を得ることができる。
【0018】しかしながら、上記(1)の方法において
CRTの前面ガラスパネルに適用されている従来の透明
導電層形成用塗液並びにシリカゾルを主成分とする透明
コート層形成用塗布液を用いて上記プラスチックフィル
ム上に透明2層膜を形成した場合、塗布・乾燥後の加熱
処理時に透明2層膜にクラックが発生し易く、膜特性が
大幅に劣化する別の問題があった。そして、このクラッ
クは、透明導電層におけるバインダーマトリックス並び
に透明コート層を構成するシリケートの加熱処理時の収
縮現象に起因しており、プラスチックフィルムの熱膨張
係数が上記前面ガラスパネル(前面板本体)を構成する
ガラス等に比べて大きいことと、プラスチックフィルム
とシリケート間の密着力が比較的弱いために発生してい
ると考えられる。
【0019】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、プラスチックフ
ィルム(プラスチック基板)上に形成された透明導電層
と透明コート層からなる透明2層膜を具備し、かつ、帯
電防止・電界シールド、および反射防止の機能を有する
と共に、クラック等の欠陥がない膜強度に優れた透明導
電性基材とその製造方法、およびこの透明導電性基材が
適用された表示装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、透明プラスチック基板、および、この透明プ
ラスチック基板上に順次形成された透明導電層と透明コ
ート層とで構成された透明2層膜を備える透明導電性基
材を前提とし、上記透明導電層が平均粒径1〜100n
mの導電性微粒子とバインダーマトリックスを主成分と
し、かつ、上記バインダーマトリックスと上記透明コー
ト層が水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシドキ
シ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基か
ら選択された少なくとも1種類以上の官能基が含まれた
酸化ケイ素を主成分としていることを特徴とし、請求項
2に係る発明は、請求項1記載の発明に係る透明導電性
基材を前提とし、水素基、炭素数5以下のアルキル基、
グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘ
キシル基から選択された少なくとも1種類以上の上記官
能基の酸化ケイ素に対する含有割合が、酸化ケイ素1モ
ルに対し0.05〜0.7モルであることを特徴とする
ものである。
【0021】また、請求項3に係る発明は、請求項1ま
たは2記載の発明に係る透明導電性基材を前提とし、上
記導電性微粒子が、透明導電性酸化物微粒子または/お
よび貴金属微粒子であることを特徴とし、請求項4に係
る発明は、請求項3記載の発明に係る透明導電性基材を
前提とし、上記透明導電性酸化物微粒子が、インジウム
錫酸化物または錫アンチモン酸化物であることを特徴と
している。
【0022】また、請求項5に係る発明は、請求項3記
載の発明に係る透明導電性基材を前提とし、上記貴金属
微粒子が、金、銀、白金、パラジウム、ロジウムから選
択された貴金属の微粒子、これら貴金属の合金微粒子、
あるいは、銀を除く上記貴金属により表面がコートされ
た貴金属コート銀微粒子のいずれかであることを特徴と
し、請求項6に係る発明は、請求項5記載の発明に係る
透明導電性基材を前提とし、上記貴金属コート銀微粒子
が、金若しくは白金単体または金と白金の複合体がコー
ティングされた銀微粒子であることを特徴とするもので
ある。
【0023】次に、請求項7〜13に係る発明は、上記
透明導電性基材の製造方法を特定した発明に関する。
【0024】すなわち、請求項7に係る発明は、請求項
1記載の透明導電性基材の製造方法を前提とし、溶媒と
この溶媒に分散された平均粒径1〜100nmの導電性
微粒子を主成分とする透明導電層形成用塗液を透明プラ
スチック基板上に塗布し、次いで、水素基、炭素数5以
下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、
エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1
種類以上の官能基が含まれたシリカゾルから成る無機バ
インダーを主成分とした透明コート層形成用塗布液を塗
布した後、加熱処理することを特徴とし、請求項8に係
る発明は、請求項7記載の透明導電性基材の製造方法を
前提とし、水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシ
ドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル
基から選択された少なくとも1種類以上の上記官能基の
シリカゾルに対する含有割合が、上記シリカゾルに含ま
れる酸化ケイ素1モルに対し0.05〜0.7モルであ
ることを特徴とするものである。
【0025】また、請求項9に係る発明は、請求項7ま
たは8記載の透明導電性基材の製造方法を前提とし、上
記導電性微粒子が、透明導電性酸化物微粒子または/お
よび貴金属微粒子であることを特徴とし、請求項10に
係る発明は、請求項9記載の透明導電性基材の製造方法
を前提とし、上記透明導電性酸化物微粒子が、インジウ
ム錫酸化物または錫アンチモン酸化物であることを特徴
とする。
【0026】また、請求項11に係る発明は、請求項9
記載の透明導電性基材の製造方法を前提とし、上記貴金
属微粒子が、金、銀、白金、パラジウム、ロジウムから
選択された貴金属の微粒子、これら貴金属の合金微粒
子、あるいは、銀を除く上記貴金属により表面がコート
された貴金属コート銀微粒子のいずれかであることを特
徴とし、請求項12に係る発明は、請求項11記載の透
明導電性基材の製造方法を前提とし、上記貴金属コート
銀微粒子が、金若しくは白金単体または金と白金の複合
体がコーティングされた銀微粒子であることを特徴と
し、また、請求項13に係る発明は、請求項7〜12の
いずれかに記載の透明導電性基材の製造方法を前提と
し、上記透明導電層形成用塗液内に、透明導電層のバイ
ンダーマトリックスを構成しかつ水素基、炭素数5以下
のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エ
ポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種
類以上の官能基が含まれたシリカゾルを主成分とする無
機バインダーが含まれていることを特徴とする。
【0027】次に、請求項14に係る発明は、装置本体
とこの前面側に配置された前面板とを備える表示装置を
前提とし、請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性
基材がその透明2層膜側を外面にして前面板本体として
直接組込まれ若しくは前面板本体に積層して組込まれて
いることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0029】まず、本発明においては、透明プラスチッ
ク基板、および、この透明プラスチック基板上に順次形
成された透明導電層と酸化ケイ素を主成分とする透明コ
ート層とで構成された透明2層膜を備える透明導電性基
材を前提にし、上記プラスチック基板上に透明導電層形
成用塗液とシリカゾルを主成分とする透明コート層形成
用塗布液を塗布・乾燥後、加熱処理して上記透明2層膜
を形成した場合でも、透明2層膜にクラックが発生せ
ず、優れた導電性、低反射特性、および、良好な膜強度
を具備した透明導電性基材を得ることを目指すものであ
る。
【0030】ところで、上記透明コート層形成用塗布液
に適用されるシリカゾル液としては、一般に、オルトア
ルキルシリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し、脱
水縮重合を進ませた重合物、あるいは既に4〜5量体ま
で重合を進ませた市販のアルキルシリケート溶液に水や
酸触媒を加えて、さらに加水分解と脱水縮重合を進行さ
せた重合物(シリカゾル)が用いられている。このシリ
カゾル液を基板に塗布・乾燥後、例えば、150℃程度
の加熱処理を施すと、その加熱処理により膜が緻密化す
るため著しい膜の収縮が生じる。
【0031】そして、上記基板にガラスが適用された場
合には、シリカとガラス基板の密着力が高いため膜にク
ラック等は生じ難いが、上記基板にプラスチックフィル
ムが適用された場合には、上述したようにプラスチック
フィルムの熱膨張係数がガラス等に比べて大きいこと
と、プラスチックフィルムとシリケート間の密着力が比
較的弱いために膜にクラックが発生し易いと考えられ
る。
【0032】そこで、透明コート層形成用塗布液の主要
部を構成する従来のシリカゾル、並びに、上記透明導電
層形成用塗液内に配合されることがある従来のシリカゾ
ルに代え、上述したような弊害を生じ難い材料について
本発明者等が鋭意探求を行ったところ、水素基、炭素数
5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ
基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくと
も1種類以上の官能基が含まれるシリカゾルを用いた場
合、透明プラスチック基板上に形成された透明2層膜に
クラックが発生し難く、優れた導電性、低反射特性、お
よび、良好な膜強度を有する透明導電性基材が得られる
ことを見出すに至った。
【0033】そして、透明コート層形成用塗布液の主要
部を構成する従来のシリカゾル、並びに、透明導電層形
成用塗液内に配合されることがある従来のシリカゾル内
に、水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシドキシ
基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から
選択された少なくとも1種類以上の官能基を導入する
と、形成された透明導電層および透明コート層における
酸化ケイ素のシロキサン結合(−Si−O−Si−)の
一部が、水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシド
キシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基
から選択された少なくとも1種類以上の官能基に置換さ
れるため、硬く脆い性質を有する酸化ケイ素膜にしなや
かさ、すなわち可撓性を付与することができ、上述した
クラックの発生が防止されるものと考えられる。
【0034】ここで、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の上
記官能基の含有割合は、上記バインダーマトリックスの
主要部を構成する酸化ケイ素1モルに対し、0.05〜
0.7モルであることが望ましく(請求項2)、より好
ましくは0.1〜0.3モルに設定するとよい。含有割
合が0.05モル未満であるとクラックを防止する効果
が不十分となる場合があり、また、0.5モルを超える
と上記透明導電層のバインダーマトリックスおよび透明
コート層自体の強度が低下する場合があるからである。
尚、上記バインダーマトリックスの主要部を構成する酸
化ケイ素のモル数とは、バインダーマトリックスに含有
されるケイ素元素のモル数が対応している。すなわち、
バインダーマトリックスに含有されるケイ素元素が全て
酸化ケイ素であると仮定して、上記官能基の含有割合が
決められている。
【0035】また、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基が含まれる上記シリカゾルは、後述するように例え
ば4〜5量体まで重合を進ませた市販のアルキルシリケ
ート溶液を加水分解、脱水縮重合させたものに、上記官
能基を含有する化合物を添加する等して得られる。
【0036】尚、添加される上記化合物が、分子内に加
水分解性アルコキシシリル基またはそれが加水分解して
生成した官能基(−SiR1 X(OR2)Y 、R1および
2:Cn2n+1、n=0〜4、X=0〜2、Y=3−X)を
含有する場合、上記加水分解したアルコキシシリル基が
シリカと強力に結合するため膜強度の低下が起き難く好
ましい。
【0037】例えば、後述の比較例1における金−銀2
成分系微粒子と酸化ケイ素のバインダーマトリックスか
ら成る透明導電膜では膜にクラック等が生じるのに対
し、メチル基とトリメトキシシリル基[(−Si(OC
3)3](実際には、透明コート層形成用塗布液中で加
水分解された基[(−Si(OH)3]が生じている。)
が含まれた酸化ケイ素のバインダーマトリックスを適用
した後述の実施例1における透明導電層の場合には、ク
ラック等は発生せず、低抵抗かつ高強度(鉛筆硬度3
H)の膜が得られている。
【0038】ここで、本発明における上記導電性微粒子
はその平均粒径が1〜100nmであることを要する
(請求項1)。1nm未満の場合、この微粒子の製造は
困難であり、更に、塗液中で凝集しやすく実用的でな
い。また、100nmを超えると、形成された透明導電
層の可視光線透過率が低くなりすぎてしまい、仮に、膜
厚を薄く設定して可視光線透過率を高くした場合でも、
表面抵抗が高くなりすぎてしまい実用的ではないからで
ある。
【0039】尚、ここで言う平均粒径とは、透過電子顕
微鏡(TEM)で観察される微粒子の平均粒径を示して
いる。
【0040】そして、本発明の透明導電層および透明導
電層形成用塗液内に含まれる上記導電性微粒子には透明
導電性酸化物微粒子または/および貴金属微粒子が適用
され(請求項3、9)、上記透明導電性酸化物微粒子に
はインジウム錫酸化物または錫アンチモン酸化物導電性
酸化物微粒子(請求項4、10)が、また、上記貴金属
微粒子には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウムから
選択された貴金属の微粒子、これら貴金属の合金微粒
子、あるいは、銀を除く上記貴金属により表面がコート
された貴金属コート銀微粒子のいずれかを適用すること
ができる(請求項5、11)。
【0041】ここで、銀、金、白金、ロジウム、パラジ
ウムなどの比抵抗を比較した場合、白金、ロジウム、パ
ラジウムの比抵抗は、それぞれ10.6、5.1、1
0.8μΩ・cmで、銀、金の1.62、2.2μΩ・
cmに比べて高いため、表面抵抗の低い透明導電層を形
成するには銀微粒子や金微粒子を適用した方が有利と考
えられる。
【0042】但し、銀微粒子が適用された場合、硫化や
食塩水による劣化が激しいという耐候性の面から用途が
制限され、他方、金微粒子が適用された場合には上記耐
候性の問題はなくなるが、コスト面を考慮すると必ずし
も最適とは言えない。
【0043】そこで、銀微粒子の表面に銀以外の貴金属
をコーティングした微粒子を用いることもできる。例え
ば、本発明者は、表面に金若しくは白金単体または金と
白金の複合体がコーティングされた平均粒径1〜100
nmの貴金属コート銀微粒子(請求項6、12)を適用
した透明導電層形成用塗液とその製造方法を既に提案し
ている(特開平11−228872号公報および特願平
11−366343号明細書参照)。
【0044】尚、上記貴金属コート銀微粒子において、
白金の電気抵抗は上述したように銀、金に比べて若干高
いため、透明導電膜の表面抵抗としては、Ag−Pt
系、Ag−Au−Pt系に比べAg−Au系が好まし
い。しかし、金若しくは白金単体または金と白金の複合
体材料は上記銀微粒子表面のコーティング層として適用
されていることから、上記Ag−Pt系やAg−Au−
Pt系を適用しても、銀の良好な導電性を実用レベル以
下となる程に著しく損なうこともない。
【0045】次に、上記貴金属コート銀微粒子におい
て、金若しくは白金単体または金、白金複合体のコーテ
ィング量は、銀100重量部に対し5重量部以上190
0重量部の範囲に設定することが好ましく、さらに好ま
しくは100重量部以上900重量部の範囲に設定する
とよい。金若しくは白金単体または金、白金複合体のコ
ーティング量が5重量部未満だと、紫外線等の影響によ
る膜劣化が起こり易くコーティングの保護効果が見られ
ず、逆に、1900重量部を越えると貴金属コート銀微
粒子の生産性が悪化すると共にコスト的にも難があるか
らである。
【0046】そして、銀微粒子の表面に金若しくは白金
単体または金と白金の複合体をコーティングすると、貴
金属コート銀微粒子内部の銀が金若しくは白金単体また
は金と白金の複合体により保護されるため、耐候性、耐
薬品性、耐紫外線性等が著しく改善される。
【0047】次に、本発明において貴金属コート銀微粒
子、透明導電性酸化物微粒子が導電性微粒子として適用
された透明導電層形成用塗液は、例えば、それぞれ以下
の方法でこれを製造することができる。
【0048】すなわち、貴金属コート銀微粒子が適用さ
れた透明導電層形成用塗液については、既知の方法[例
えば、Carey-Lea法、Am.J.Sci.、37、47(1889)、 Am.J.Sc
i.、38(1889)]により、銀微粒子のコロイド分散液を調
製した後、この分散液にヒドラジン等の還元剤と金酸塩
の溶液を加えることにより、銀微粒子に対し金のコーテ
ィングを行い、貴金属コート銀微粒子分散液が得られ
る。尚、必要により、金コーティング工程で、銀微粒子
のコロイド分散液、金酸塩溶液の一方、又は双方に少量
の分散剤を加えてもよい。
【0049】この後、透析、電気透析、イオン交換、限
外ろ過等の方法で、分散液内の電解質濃度を下げること
が好ましい。これは、電解質濃度を下げないとコロイド
は電解質で一般に凝集してしまうからであり、この現象
は、Schulze-Hardy則としても知られている。
【0050】そして、最終的には、貴金属コート銀微粒
子分散液からの濃縮脱水、有機溶剤等の添加による成分
調整(微粒子濃度、水分濃度等)等がなされ貴金属コー
ト銀微粒子含有塗液が調製される。
【0051】また、透明導電性酸化物微粒子が適用され
た透明導電層形成用塗液については、溶媒にインジウム
錫酸化物(ITO)微粒子、アンチモン錫酸化物(AT
O)微粒子等の透明導電性酸化物微粒子と分散剤を加え
た後、ペイントシェーカー、ビーズミル、超音波等を用
いて分散処理を行い導電性酸化物微粒子分散液を得る。
この分散液に有機溶剤等を添加して成分調整(微粒子濃
度等)等を行い、透明導電性酸化物微粒子を含有する透
明導電層形成用塗液が調製される。
【0052】このようにして調製された貴金属コート銀
微粒子または透明導電性酸化物微粒子等の導電性微粒子
が含まれた透明導電層形成用塗液を用いて透明プラスチ
ック基板上に上記透明2層膜を形成するには以下の方法
でこれを行うことができる。
【0053】すなわち、溶媒とこの溶媒に分散された平
均粒径1〜100nmの導電性微粒子を主成分とする透
明導電層形成用塗液を、透明プラスチック基板上にスプ
レーコート、スピンコート、ワイヤーバーコート、ドク
ターブレードコート、グラビアコート、ロールコート等
の手法にて塗布し、必要に応じて乾燥した後、水素基、
炭素数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリ
ロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少
なくとも1種類以上の官能基が含まれたシリカゾルから
成る無機バインダーを主成分とする透明コート層形成用
塗布液を上述した手法によりオーバーコートする。尚、
上記透明プラスチック基板としては、アクリル、ポリカ
ーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテ
ルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド
(PEI)、ポリイミド(PI)等で構成される基板が
挙げられるがこれらに限定されない。また、プラスチッ
ク基板は一般に表面エネルギーが低いため、コーティン
グ前にコロナ放電処理やプライマー処理等の易接着処理
を施しておくことが望ましい。
【0054】次に、上記オーバーコートした後、例えば
50〜200℃程度の温度で加熱処理を施しオーバーコ
ートした透明コート層形成用塗布液の硬化を行って上記
透明2層膜を形成する(請求項7)。尚、加熱処理温度
は、適用する透明プラスチック基板の耐熱温度以下であ
ればよく、例えば、上記PETフィルムであれば150
℃程度以下が好ましい。
【0055】ここで、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基が含まれたシリカゾルから成る無機バインダーを主
成分とする透明コート層形成用塗布液を上述した手法に
よりオーバーコートした際、予め塗布された導電性微粒
子を主成分とする透明導電層形成用塗液により形成され
た導電性微粒子層の間隙に、オーバーコートした上記官
能基が含まれたシリカゾル液(この水素基、炭素数5以
下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、
エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1
種類以上の官能基が含まれたシリカゾル液は加熱処理に
より上記官能基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするバ
インダーマトリックスとなる)がしみ込み、最終的にバ
インダーマトリックスが透明プラスチック基板および導
電性微粒子と強固に結合することで、導電性の向上、強
度の向上、耐候性の一層の向上が同時に達成される。
【0056】また、上記透明2層膜の反射率は、水素
基、炭素数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタ
クリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択され
た少なくとも1種類以上の官能基が含まれた酸化ケイ素
を主成分とする上記バインダーマトリックス中に導電性
微粒子が分散された透明導電層と透明コート層の透明2
層膜構造により、透明2層膜の反射率を大幅に低下でき
る。尚、上記透明2層膜の反射、透過等の光学特性は、
上記官能基が含まれない酸化ケイ素を主成分とするバイ
ンダーマトリックスを用いても、上記官能基を含んだ場
合と同様の優れた特性を示す。この理由については、水
素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メ
タクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択さ
れた少なくとも1種類以上の官能基について上記酸化ケ
イ素を主成分とするバインダーマトリックスへ導入して
も、バインダーマトリックスの光学定数がほとんど変化
しないためと考えられる。
【0057】ここで、上記透明コート層形成用塗布液に
適用される、水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリ
シドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシ
ル基から選択された少なくとも1種類以上の官能基が含
まれたシリカゾルとしては、水素基、炭素数5以下のア
ルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキ
シシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以
上の官能基が含まれた官能基含有シリコン化合物とオル
トアルキルシリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し
かつ脱水縮重合を進ませた重合物、あるいは、既に4〜
5量体まで重合を進ませた市販のアルキルシリケート溶
液に水や酸触媒を加えてさらに加水分解と脱水縮重合を
進行させた重合物(シリカゾル)に上記水素基、炭素数
5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ
基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少なくと
も1種類以上の官能基が含まれた官能基含有シリコン化
合物を添加したもの等を利用することができる。
【0058】そして、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基が含まれた上記官能基含有シリコン化合物には、例
えば、トリメチルメトキシシラン(Me3SiOM
e)、トリメチルエトキシシラン(Me3SiOE
t)、ジメチルジメトキシシラン(Me2SiOM
2)、ジメチルジエトキシシラン(Me2SiOE
2)、メチルトリメトキシシラン(MeSiOM
3)、メチルトリエトキシシラン(MeSiOE
3)、トリエトキシシラン(HSiOEt3)、メチル
ジメトキシシラン(MeHSiOMe2)、メチルジエ
トキシシラン(MeHSiOEt2)、ジメチルエトキ
シシラン(Me2HSiOEt)、n−プロピルトリメ
トキシシラン(n−C37SiOMe3)、イソブチル
トリメトキシシラン[Me(Me)CHCH2SiOM
3]、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−
(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ
シラン等を適用することができる(但し、Me、Etは
メチル基、エチル基をそれぞれ示している)。尚、上記
官能基含有シリコン化合物におけるアルコキシシリル基
部分は、シリカゾルに添加されると数時間〜数日以内に
は加水分解されるが、上記透明コート層形成用塗布液は
この加水分解後に用いることが好ましい。
【0059】また、上記脱水縮重合が進行すると、溶液
粘度が上昇して最終的には固化してしまうので、脱水縮
重合の度合いについては、透明プラスチック基板上に塗
布可能な上限粘度以下のところに調製する。但し、脱水
縮重合の度合いはそれ以下のレベルであれば特に指定さ
れない。
【0060】そして、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の上
記官能基が含まれたアルキルシリケートの加水分解重合
物は、透明2層膜の加熱焼成時に脱水縮重合反応がほぼ
完結して、硬いシリケート膜(水素基、炭素数5以下の
アルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポ
キシシクロヘキシル基から選択された少なくとも1種類
以上の官能基が含まれた酸化ケイ素を主成分とする膜)
になる。
【0061】尚、水素基、炭素数5以下のアルキル基、
グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘ
キシル基から選択された少なくとも1種類以上の上記官
能基が含まれたシリカゾル内に、弗化マグネシウム微粒
子、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等を
加え、透明コート層の屈折率を調節して透明2層膜の反
射率を変えることも可能である。
【0062】また、上記透明導電層の形成工程におい
て、溶媒とこの溶媒に分散された平均粒径1〜100n
mの導電性微粒子に加え、透明導電層のバインダーマト
リックスを構成しかつ水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基を含むシリカゾルを主成分とする無機バインダーが
含まれた透明導電層形成用塗液(請求項13)を用いて
もよい。この場合も、上記シリカゾル液が含まれる透明
導電層形成用塗液を塗布し、必要に応じて乾燥させた後
に透明コート層形成用塗布液を上述した手法によりオー
バーコートすることで同様の透明2層膜が得られる。
【0063】さらに、上記透明導電層の形成工程におい
て、溶媒とこの溶媒に分散された平均粒径1〜100n
mの導電性微粒子に加え、高分子樹脂を配合した透明導
電層形成用塗液を用いてもよい。高分子樹脂を添加する
と、透明導電層形成用塗液中の導電性微粒子が安定化さ
れ、透明導電層形成用塗液のポットライフを長くするこ
とが可能となる。但し、得られる透明導電膜の強度、耐
候性が若干悪くなる傾向があるため、適用に際しては注
意を要する。
【0064】また、上記透明2層膜の透過率を100%
より低い所定範囲(40〜75%)に調整して表示画面
を見やすくするため、上記透明導電層形成用塗液に着色
顔料微粒子等を配合してもよい。上記有色顔料微粒子に
は、例えば、カーボン、チタンブラック、窒化チタン、
複合酸化物顔料、コバルトバイオレット、モリブデンオ
レンジ、群青、紺青、キナクリドン系顔料、アントラキ
ノン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔
料、アゾ系顔料およびフタロシアニン系顔料等から選択
された1種以上の微粒子を用いることができる。
【0065】以上説明したように、本発明に係る透明導
電性基材は、従来よりも優れた被膜強度と耐候性を有
し、優れた反射防止効果と透過光線プロファイルを有す
ると共に、帯電防止若しくは電界シールド効果を有する
ため、例えば、CRT、プラズマディスプレイパネル
(PDP)、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッ
ションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(ELD)、液晶ディスプレイ(LC
D)等表示装置における前面板等に前面板本体として直
接若しくは前面板本体に積層して用いることができる。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、本文中の「%」は、透過率、反射率、ヘーズ値の
(%)を除いて「重量%」を示し、また「部」は「重量
部」を示している。
【0067】[実施例1]前述のCarey-Lea法により銀
微粒子のコロイド分散液を調製した。
【0068】具体的には、9%硝酸銀水溶液33gに、
23%硫酸鉄(II)水溶液39gと37.5%クエン酸
ナトリウム水溶液48gの混合液を加えた後、沈降物を
ろ過・洗浄した後、純水を加えて、銀微粒子のコロイド
分散液(Ag:0.15%)を調製した。
【0069】この銀微粒子のコロイド分散液60gに、
ヒドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液
8.0g、金酸カリウム[KAu(OH)4]水溶液(A
u:0.075%)480gと1%高分子分散剤水溶液
0.2gの混合液を攪拌しながら加え、貴金属コート銀
微粒子のコロイド分散液を得た。
【0070】この貴金属コート銀微粒子のコロイド分散
液をイオン交換樹脂(三菱化学社製商品名ダイヤイオン
SK1B,SA20AP)で脱塩した後、限外ろ過を行
い得られた貴金属コート銀微粒子の濃縮液に、エタノー
ル(EA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(PGM)、ジアセトンアルコール(DAA)、ホルム
アミド(FA)を加え、貴金属コート銀微粒子が含まれ
た透明導電層形成用塗液(Ag:0.08%、Au:
0.32%、水:10.7%、EA:53.8%、PG
M:25%、DAA:10%、FA:0.1%)を得
た。
【0071】得られた透明導電層形成用塗液を透過電子
顕微鏡で観察した結果、貴金属コート銀微粒子の平均粒
径は、7.5nmであった。
【0072】次に、この透明導電層形成用塗液を、40
℃に加熱されたポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルム(厚さ100μm、易接着処理済品)上に、ス
ピンコート(150rpm,60秒間)した後、続け
て、透明コート層形成用塗布液をスピンコート(150
rpm,60秒間)し、さらに、150℃、20分間硬
化させて、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明
導電層と、メチル基(CH3−)が含まれた酸化ケイ素
を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで
構成された透明2層膜付きのプラスチック基板、すなわ
ち、実施例1に係る透明導電性基材を得た。
【0073】ここで、上記透明導電層形成用塗液内に含
まれる貴金属コート銀微粒子は、150℃、20分間の
上記硬化処理の際に合金化層形成の可能性があり、この
合金化層の形成により銀微粒子表面の貴金属コート層
(貴金属コート層は銀を除く貴金属により構成されてい
る)が金のみによって構成されているとは限らない場合
が存在するため、上記透明導電層内における金と銀から
成る微粒子については、貴金属コート銀微粒子と表現せ
ずに上述したように金と銀から成る貴金属微粒子と表現
している。
【0074】また、上記透明コート層形成用塗布液は、
メチルシリケート51(コルコート社製商品名)を1
6.9部、官能基含有シリコン化合物であるメチルトリ
メトキシシラン[CH3Si(OCH3)3]を2.8部、
エタノール56.2部、1%硝酸水溶液7.9部、純水
14.7部を用いて、SiO2(酸化ケイ素)固形分濃
度が10%で、重量平均分子量が1660のものを調製
し、最終的に、SiO2固形分濃度が0.8%となるよ
うにイソプロピルアルコール(IPA)とn−ブタノー
ル(NBA)の混合物(IPA/NBA=3/1)によ
り希釈して得られたメチル基含有のシリカゾル液にて構
成されている。ここで、SiO2固形分濃度は、上記メ
チル基含有のシリカゾル液(以下の実施例において挙げ
られている水素基含有のシリカゾル液、グリシドキシ基
含有のシリカゾル液、エポキシシクロヘキシル基含有の
シリカゾル液、メタクリロキシ基含有のシリカゾル液、
プロピル基含有のシリカゾル液等も同様)に含まれるケ
イ素元素(Si)が全て酸化ケイ素であると仮定して計
算した値である。
【0075】そして、プラスチック基板上に形成された
透明2層膜の膜特性(表面抵抗、可視光線透過率、透過
率の標準偏差、ヘーズ値、ボトム反射率/ボトム波長、
鉛筆硬度)を以下の表2に示す。
【0076】尚、上記ボトム反射率とは透明導電性基材
の反射プロファイルにおいて極小の反射率をいい、ボト
ム波長とは反射率が極小における波長を意味している。
また、鉛筆硬度は、透明2層膜表面に荷重1kg下、H
〜9Hの硬度の鉛筆でラインを引き、擦傷を観察して評
価した。
【0077】また、製造された実施例1に係る透明導電
性基材の反射プロファイルを図1に、また、透過プロフ
ァイルを図2に合わせて示す。
【0078】尚、表1において可視光線波長域(380
〜780nm)の5nmおきの各波長における透明基板
(プラスチック基板)を含まない透明2層膜だけの透過
率は、以下の様にして求められている。すなわち、 透明基板を含まない透明2層膜だけの透過率(%)=
[(透明基板ごと測定した透過率)/(透明基板の透過
率)]×100 ここで、本明細書においては、特に言及しない限り、透
過率としては、透明基板(プラスチック基板)を含まな
い透明2層膜だけの透過率の値を用いている。
【0079】また、透明2層膜の表面抵抗は、三菱化学
(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T40
0)を用い測定し、ヘイズ値と可視光線透過率は、村上
色彩技術研究所製ヘイズメーター(HR−200)を用
いて測定した。尚、透明2層膜のヘイズ値は、以下の様
にして求められている。すなわち、 透明基板(プラスチック基板)を含まない透明2層膜だ
けのヘイズ値(%)=(透明基板ごと測定したヘイズ
値)−(透明基板のヘイズ値) また、反射率、および反射・透過プロファイルは、日立
製作所(株)製分光光度計(U−4000)を用いて測
定し、貴金属微粒子の粒径は日本電子製の透過電子顕微
鏡で評価している。
【0080】[実施例2]実施例1において、透明コー
ト層形成用塗布液の調製時に、メチルシリケート51を
14.4部、上記メチルトリメトキシシランを5.6
部、エタノール55.5部、1%硝酸水溶液7.9部、
純水14.7部を用い、SiO2固形分濃度が0.7%
となるように希釈し、重量平均分子量が1540のメチ
ル基含有のシリカゾル液を得た以外は、実施例1と同様
に行い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導
電層と、メチル基(CH3−)が含まれた酸化ケイ素を
主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構
成された透明2層膜付きのプラスチック基板、すなわ
ち、実施例2に係る透明導電性基材を得た。
【0081】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の上記膜特性を以下の表2に示す。
【0082】[実施例3]実施例1において、透明コー
ト層形成用塗布液の調製時に、メチルシリケート51を
9.1部、上記メチルトリメトキシシランを10.5
部、エタノール50.5部、1%硝酸水溶液7.9部、
純水14.7部を用い、SiO2固形分濃度が0.7%
となるように希釈し、重量平均分子量が1580のメチ
ル基含有のシリカゾル液を得た以外は、実施例1と同様
に行い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導
電層と、メチル基(CH3−)が含まれた酸化ケイ素を
主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構
成された透明2層膜付きのプラスチック基板、すなわ
ち、実施例3に係る透明導電性基材を得た。
【0083】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の上記膜特性を以下の表2に示す。
【0084】[実施例4]実施例1において、上記透明
コート層形成用塗布液の調製時に、メチルシリケート5
1を16.9部、官能基含有シリコン化合物であるトリ
エトキシシラン[HSi(OC25)3]2.5部、エタ
ノール56.5部、1%硝酸水溶液7.9部、純水1
4.7部を用い、重量平均分子量が1430の水素基含
有のシリカゾル液を得た以外は、実施例1と同様に行
い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導電層
と、水素基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするシリケ
ート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層膜
付きのプラスチック基板、すなわち、実施例4に係る透
明導電性基材を得た。
【0085】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0086】[実施例5]透明コート層形成用塗布液の
調製時に、メチルシリケート51を14.4部、上記ト
リエトキシシランを5.0部、エタノール56.0部、
1%硝酸水溶液7.9部、純水14.7部を用い、重量
平均分子量が1470の水素基含有のシリカゾル液を得
た以外は、実施例1と同様に行い、金と銀から成る貴金
属微粒子が含まれた透明導電層と、水素基が含まれた酸
化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コー
ト層とで構成された透明2層膜付きのプラスチック基
板、すなわち、実施例5に係る透明導電性基材を得た。
【0087】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0088】[実施例6]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、官能基含有シリコン
化合物であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランを0.16部、イソプロピルアルコール23.0部
を加え、グリシドキシ基含有のシリカゾル液を得た以外
は、実施例1と同様に行い、金と銀から成る貴金属微粒
子が含まれた透明導電層と、グリシドキシ基が含まれた
酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コ
ート層とで構成された透明2層膜付きのプラスチック基
板、すなわち、実施例6に係る透明導電性基材を得た。
【0089】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0090】ここで、上記シリカゾル液は、メチルシリ
ケート51(コルコート社製商品名)を19.6部、エ
タノール57.8部、1%硝酸水溶液7.9部、純水1
4.7部を用いて、SiO2(酸化ケイ素)固形分濃度
が10%で、重量平均分子量が1350のものを調製
し、最終的に、SiO2固形分濃度が0.8%となるよ
うにイソプロピルアルコール(IPA)とn−ブタノー
ル(NBA)の混合物(IPA/NBA=3/1)によ
り希釈して得ている。
【0091】[実施例7]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、官能基含有シリコン
化合物であるβ−(3、4エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシランを0.16部、イソプロピルア
ルコール14.51部を加え、エポキシシクロヘキシル
基含有のシリカゾル液を得た以外は、実施例6と同様に
行い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導電
層と、エポキシシクロヘキシル基が含まれた酸化ケイ素
を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで
構成された透明2層膜付きのプラスチック基板、すなわ
ち、実施例7に係る透明導電性基材を得た。
【0092】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0093】[実施例8]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、官能基含有シリコン
化合物であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランを0.17部、イソプロピルアルコール14.5
部を加え、メタクリロキシ基含有のシリカゾル液を得た
以外は、実施例6と同様に行い、金と銀から成る貴金属
微粒子が含まれた透明導電層と、メタクリロキシ基が含
まれた酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る
透明コート層とで構成された透明2層膜付きのプラスチ
ック基板、すなわち、実施例8に係る透明導電性基材を
得た。
【0094】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0095】[実施例9]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、官能基含有シリコン
化合物であるn−プロピルトリメトキシシラン0.11
部、イソプロピルアルコール8.46部を加え、プロピ
ル基含有のシリカゾル液を得た以外は、実施例6と同様
に行い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導
電層と、プロピル基が含まれた酸化ケイ素を主成分とす
るシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透
明2層膜付きのプラスチック基板、すなわち、実施例9
に係る透明導電性基材を得た。
【0096】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0097】[実施例10]平均粒径30nmのITO
微粒子[SUFP−HX、住友金属鉱山(株)製]2
0.0gと分散剤1.5gをEA78.5gと混合した
後、ジルコニアビーズと共にペイントシェーカー分散を
行い、分散粒径105nmのITO微粒子分散液を得
た。
【0098】このITO微粒子分散液に、エタノール
(EA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル
(PGM)、ジアセトンアルコール(DAA)、を加
え、ITO微粒子が含まれた透明導電層形成用塗液(I
TO:2.0%、EA:82.8%、PGM:10.0
%、DAA:5.0%)を得た。
【0099】実施例2において、貴金属コート銀微粒子
が含まれた透明導電層形成用塗液に代えて上記ITO微
粒子が含まれた透明導電層形成用塗液を用い、かつ、透
明コート層形成用塗布液をSiO2固形分濃度が1.0
%となるように希釈した以外は、実施例2と同様に行
い、ITO微粒子が含まれた透明導電層と、メチル基が
含まれた酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成
る透明コート層とで構成された透明2層膜付きのプラス
チック基板、すなわち、実施例10に係る透明導電性基
材を得た。
【0100】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0101】[実施例11]実施例5において、貴金属
コート銀微粒子が含まれた透明導電層形成用塗液に代え
て実施例10のITO微粒子が含まれた透明導電層形成
用塗液を用い、かつ、透明コート層形成用塗布液をSi
2固形分濃度が1.1%となるように希釈した以外
は、実施例5と同様に行い、ITO微粒子が含まれた透
明導電層と、水素基が含まれた酸化ケイ素を主成分とす
るシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透
明2層膜付きのプラスチック基板、すなわち、実施例1
1に係る透明導電性基材を得た。
【0102】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0103】[比較例1]実施例1において、透明コー
ト層形成用塗布液に実施例6のシリカゾル液(但し、グ
リシドキシ基を含有しないシリカゾル液)が適用されて
いる以外は、実施例1と同様に行い、金と銀から成る貴
金属微粒子が含まれた透明導電層と、酸化ケイ素を主成
分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成さ
れた透明2層膜付きのプラスチック基板、すなわち、比
較例1に係る透明導電性基材を得た。
【0104】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を表2に示す。
【0105】[比較例2]実施例6で、透明コート層形
成用塗布液に、SiO2固形分濃度が1.1%となるよ
うに希釈したシリカゾル液(但し、グリシドキシ基を含
有しないシリカゾル液)が適用されている以外は、実施
例6と同様に行い、ITO微粒子が含まれた透明導電層
と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透
明コート層とで構成された透明2層膜付きのプラスチッ
ク基板、すなわち、比較例2に係る透明導電性基材を得
た。
【0106】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を表2に示す。
【0107】[比較例3]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、ビニルトリメトキシ
シラン[CH2=CHSi(OCH3)3]を0.10部、
イソプロピルアルコール8.47部を加え、ビニル基含
有のシリカゾル液を得た以外は、実施例6と同様に行
い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導電層
と、ビニル基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするシリ
ケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層
膜付きのプラスチック基板、すなわち、比較例3に係る
透明導電性基材を得た。
【0108】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0109】[比較例4]透明コート層形成用塗布液と
して、シリカゾル液28.0部に、フェニルトリメトキ
シシラン[C65Si(OCH3)3]を0.13部、イソ
プロピルアルコール14.54部を加え、フェニル基含
有のシリカゾル液を得た以外は、実施例6と同様に行
い、金と銀から成る貴金属微粒子が含まれた透明導電層
と、フェニル基が含まれた酸化ケイ素を主成分とするシ
リケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2
層膜付きのプラスチック基板、すなわち、比較例4に係
る透明導電性基材を得た。
【0110】プラスチック基板上に形成された透明2層
膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】 「耐薬品試験」尚、実施例1〜9に係る透明導電性基材
を、5%食塩水に24時間浸漬し、透明プラスチック基
板(プラスチック基板)上に設けた透明2層膜の表面抵
抗値、膜の外観を調べたが、変化は見られなかった。
【0113】「評 価」 (1)表2に示された結果から明らかなように、導電性
微粒子としてAg−Auの貴金属微粒子が適用された実
施例1〜9に係る透明2層膜の表面抵抗(Ω/□)は非
常に優れた値を示すのに対し、同様の貴金属微粒子が適
用された比較例1、3および4に係る透明2層膜では膜
にクラックが生じたため導電性が失われているか、また
は大幅に劣化している。導電性微粒子としてITOの透
明導電性酸化物微粒子が適用された実施例10〜11と
比較例2の比較においても同様である。
【0114】また、鉛筆硬度においても、比較例1〜4
に係る透明2層膜がクラックの発生により著しく低いの
に対し、実施例1〜11に係る透明2層膜では、透明コ
ート層に水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリシド
キシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシル基
から選択された少なくとも1種類以上の官能基が導入さ
れたことにより、膜の強度が高いことが確認される。 (2)耐薬品試験の結果から、実施例1〜9に係る透明
2層膜は、優れた耐候性を有していることも確認され
る。
【0115】
【発明の効果】請求項1〜6記載の発明に係る透明導電
性基材によれば、透明プラスチック基板上に形成された
透明2層膜における透明導電層のバインダーマトリック
スと透明コート層が、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基が含まれた酸化ケイ素を主成分としているため、従
来の透明導電性基材に比べ、良好な導電性、かつ、優れ
た反射防止効果、膜強度を有している。
【0116】また、請求項7〜13記載の発明に係る透
明導電性基材の製造方法によれば、溶媒とこの溶媒に分
散された平均粒径1〜100nmの導電性微粒子を主成
分とする透明導電層形成用塗液を透明プラスチック基板
上に塗布し、次いで、水素基、炭素数5以下のアルキル
基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシク
ロヘキシル基から選択された少なくとも1種類以上の官
能基が含まれたシリカゾルから成る無機バインダーを主
成分とする透明コート層形成用塗布液を塗布した後、加
熱処理しているため、請求項1〜6に係る透明導電性基
材を低コストでかつ簡便に製造できる効果を有してい
る。
【0117】更に、請求項14記載の発明に係る表示装
置によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電
性基材がその透明2層膜側を外面にして前面板本体とし
て直接組込まれ若しくは前面板本体に積層して組込まれ
ているため、表示画面の表面反射が抑制されかつ高い電
界シールド効果を具備している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る透明導電性基材の反射プロファ
イルを示すグラフ図。
【図2】実施例1に係る透明導電性基材の透過プロファ
イルを示すグラフ図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 5C094 1/1335 1/1335 G09F 9/30 310 G09F 9/30 310 // B05D 5/12 B05D 5/12 B Fターム(参考) 2H090 JA07 JB03 JC07 LA01 2H091 FA37X FB06 FB08 GA03 LA02 LA07 LA08 4D075 BB26Y CA02 CA22 CB03 DB31 DC21 EA12 EA19 EB33 EC10 4F100 AA20B AA20H AA28B AA28H AA29B AA29H AB24B AB24H AB25B AB25H AB31B AB31H AK01A AK42 AS00B AT00A BA03 BA07 BA10A BA10C DE01B EH46 EH462 EJ42 EJ422 GB41 JG01B JG03 JM02C JN01A JN01B JN01C JN06 YY00B 4J038 DL031 DL041 DL051 GA02 GA07 HA066 HA216 KA12 KA20 NA11 NA20 PB08 PB09 PC08 5C094 AA11 AA31 AA43 AA56 DA13 EA05 EB02 ED12 FB01 FB02 FB12 FB15 GB10 JA01 JA08 JA20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明プラスチック基板、および、この透明
    プラスチック基板上に順次形成された透明導電層と透明
    コート層とで構成された透明2層膜を備える透明導電性
    基材において、 上記透明導電層が平均粒径1〜100nmの導電性微粒
    子とバインダーマトリックスを主成分とし、かつ、上記
    バインダーマトリックスと上記透明コート層が水素基、
    炭素数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリ
    ロキシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少
    なくとも1種類以上の官能基が含まれた酸化ケイ素を主
    成分としていることを特徴とする透明導電性基材。
  2. 【請求項2】水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリ
    シドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシ
    ル基から選択された少なくとも1種類以上の上記官能基
    の酸化ケイ素に対する含有割合が、酸化ケイ素1モルに
    対し0.05〜0.7モルであることを特徴とする請求
    項1記載の透明導電性基材。
  3. 【請求項3】上記導電性微粒子が、透明導電性酸化物微
    粒子または/および貴金属微粒子であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の透明導電性基材。
  4. 【請求項4】上記透明導電性酸化物微粒子が、インジウ
    ム錫酸化物または錫アンチモン酸化物であることを特徴
    とする請求項3記載の透明導電性基材。
  5. 【請求項5】上記貴金属微粒子が、金、銀、白金、パラ
    ジウム、ロジウムから選択された貴金属の微粒子、これ
    ら貴金属の合金微粒子、あるいは、銀を除く上記貴金属
    により表面がコートされた貴金属コート銀微粒子のいず
    れかであることを特徴とする請求項3記載の透明導電性
    基材。
  6. 【請求項6】上記貴金属コート銀微粒子が、金若しくは
    白金単体または金と白金の複合体がコーティングされた
    銀微粒子であることを特徴とする請求項5記載の透明導
    電性基材。
  7. 【請求項7】請求項1記載の透明導電性基材の製造方法
    において、 溶媒とこの溶媒に分散された平均粒径1〜100nmの
    導電性微粒子を主成分とする透明導電層形成用塗液を透
    明プラスチック基板上に塗布し、次いで、水素基、炭素
    数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロキ
    シ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少なく
    とも1種類以上の官能基が含まれたシリカゾルから成る
    無機バインダーを主成分とする透明コート層形成用塗布
    液を塗布した後、加熱処理することを特徴とする透明導
    電性基材の製造方法。
  8. 【請求項8】水素基、炭素数5以下のアルキル基、グリ
    シドキシ基、メタクリロキシ基、エポキシシクロヘキシ
    ル基から選択された少なくとも1種類以上の上記官能基
    のシリカゾルに対する含有割合が、上記シリカゾルに含
    まれる酸化ケイ素1モルに対し0.05〜0.7モルで
    あることを特徴とする請求項7記載の透明導電性基材の
    製造方法。
  9. 【請求項9】上記導電性微粒子が、透明導電性酸化物微
    粒子または/および貴金属微粒子であることを特徴とす
    る請求項7または8記載の透明導電性基材の製造方法。
  10. 【請求項10】上記透明導電性酸化物微粒子が、インジ
    ウム錫酸化物または錫アンチモン酸化物であることを特
    徴とする請求項9記載の透明導電性基材の製造方法。
  11. 【請求項11】上記貴金属微粒子が、金、銀、白金、パ
    ラジウム、ロジウムから選択された貴金属の微粒子、こ
    れら貴金属の合金微粒子、あるいは、銀を除く上記貴金
    属により表面がコートされた貴金属コート銀微粒子のい
    ずれかであることを特徴とする請求項9記載の透明導電
    性基材の製造方法。
  12. 【請求項12】上記貴金属コート銀微粒子が、金若しく
    は白金単体または金と白金の複合体がコーティングされ
    た銀微粒子であることを特徴とする請求項11記載の透
    明導電性基材の製造方法。
  13. 【請求項13】上記透明導電層形成用塗液内に、透明導
    電層のバインダーマトリックスを構成しかつ水素基、炭
    素数5以下のアルキル基、グリシドキシ基、メタクリロ
    キシ基、エポキシシクロヘキシル基から選択された少な
    くとも1種類以上の官能基が含まれたシリカゾルを主成
    分とする無機バインダーが含まれていることを特徴とす
    る請求項7〜12のいずれかに記載の透明導電性基材の
    製造方法。
  14. 【請求項14】装置本体とこの前面側に配置された前面
    板とを備える表示装置において、請求項1〜6のいずれ
    かに記載の透明導電性基材がその透明2層膜側を外面に
    して前面板本体として直接組込まれ若しくは前面板本体
    に積層して組込まれていることを特徴とする表示装置。
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