JPWO2012029400A1 - 帯電防止塗料、並びにそれを用いた複合材製構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
電食を防止でき、且つ、帯電しにくい塗料を提供することを目的とする。プライマに、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oと、を含む無機繊維、又は、Agフィラーが含有される帯電防止塗料を提供する。また、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oと、を含む無機繊維、又は、Agフィラーが含有される帯電防止塗料を複合材製構造体の表面に塗布して層を形成させることで、電食や静電気の帯電などが生じ難い複合材製構造体となる。
Description
本発明は、帯電防止塗料、並びにそれを用いた複合材製構造体およびその製造方法に関するものである。
航空機の主翼や燃料タンク等の構造体の材料として、アルミニウム合金や繊維で強化された樹脂材料(複合材料)などが使用されている。複合材料としては、炭素繊維をエポキシ樹脂などで固めた炭素繊維強化樹脂(CFRP)がよく用いられている。
例えば、複合材製の航空機燃料タンク内にアルミニウム合金製のL型クリップを取り付ける場合、アルミニウム合金部材と複合材部材との相互間の標準電極電位差のため、複合材料とアルミニウム合金との接触部分にガルバニック電流が流れ、アルミニウム合金に電気化学腐食(電食)が生じる恐れがある。
このような電食を防止するために、アルミニウム合金によって形成される内部構造体と接触する箇所を含む周辺部分のタンク構造体の内面の表層に、例えば、ガラス繊維をエポキシ樹脂などで固めたガラス繊維強化樹脂(GFRP)のような絶縁体の層を形成することが提案されている。
しかしながら、燃料タンク構造体の内面の表層がGFRPのような絶縁体で形成されると、GFRPと燃料との流動帯電によって生じる帯電電荷がGFRP上に集積する。これにより、燃料への引火源となる静電気放電が発生する恐れを無視できない。
しかしながら、燃料タンク構造体の内面の表層がGFRPのような絶縁体で形成されると、GFRPと燃料との流動帯電によって生じる帯電電荷がGFRP上に集積する。これにより、燃料への引火源となる静電気放電が発生する恐れを無視できない。
また、電食を防止するために、両部材の接続面全面にプライマが塗布されて用いられる。プライマは、主成分が樹脂とされ、一般に絶縁性を有する。そのため、燃料タンク内のプライマが塗布された部材では、摩擦などにより静電気が帯電してスパークが発生し、爆発する危険性がある。
上記問題を解決するため、特許文献1に、燃料タンク内の部材に、部分的にプライマを塗布しない部位を周期的に設け、静電気を逃す方法が開示されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電食を防止でき、且つ、塗布領域を制限しなくても帯電しにくい塗料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、プライマに、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oと、を含む無機繊維、又は、Agフィラーが含有される帯電防止塗料を提供する。
本発明によれば、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oと、を含む無機繊維(Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維)、又は、Agフィラーを樹脂に含有させることによって、防食機能及び帯電防止機能を兼ね備えた塗料とすることができる。
上記発明の一態様において、プライマに、Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を含有させる場合、Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維の含有率は0.1質量%以上5質量%以下とされることが好ましい。プライマにSi−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を含有させることによって、帯電防止塗料から形成される層の放電電荷量を減少させることができる。また、プライマ中にSi−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を5質量%以下で含有させることで、防食機能をより向上できる。
上記発明の一態様において、プライマに、Agフィラーを含有させる場合、Agフィラーの含有率は0.005質量%以上0.5質量%以下とされることが好ましい。プライマにAgフィラーを含有させることによって、帯電防止塗料から形成される層の放電電荷量を減少させることができる。また、プライマ中にAgフィラーを0.5質量%以下で含有させることで、防食機能がより向上できる。
上記に記載の帯電防止塗料を複合材製構造体の表面に塗布して層を形成させる。このようにすることで、電食や静電気の帯電などが生じ難い複合材製構造体となる。
プライマに適切な種類の導電性材料を適切な量で含有させることで、防食機能及び帯電防止機能を兼ね備えた帯電防止塗料とすることができる。
以下に、本発明に係る帯電防止塗料の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る帯電防止塗料は、プライマに、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oとを含む無機繊維(Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維)、又は、Agフィラーが含有されている。
本実施形態に係る帯電防止塗料は、プライマに、Siと、TiまたはZrと、Cと、Oとを含む無機繊維(Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維)、又は、Agフィラーが含有されている。
プライマは、炭素繊維強化複合材(CFRP)、アルミニウム合金(Al)などに適用可能なものが使用される。例えば、プライマとしてANAC(AkzoNobel Aerospace Coatings)から入手可能な2液型のエポキシ系樹脂454−4−1が用いられる。
Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維は、比抵抗が106Ω・cm〜10−1Ω・cmとされる。Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維において、無機繊維を構成する最小単位の繊維(フィラメント)の直径は5μm〜20μmとされる。Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維は、フィラメントの束であっても良い。
Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維としては、チラノ繊維(登録商標、宇部興産(株)製)などが用いられる。上記無機繊維の形態は、長さ方向に裁断したチョップ状であることが好ましい。例えば、連続繊維が長さ0.5mmに切断されたチョップ状繊維が用いられる。このチョップ状繊維は、フィラメントの直径が8.5μm程度、繊維束の直径が27μm程度、比抵抗が10−1Ω・cm(±10%)とされる。
Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維としては、チラノ繊維(登録商標、宇部興産(株)製)などが用いられる。上記無機繊維の形態は、長さ方向に裁断したチョップ状であることが好ましい。例えば、連続繊維が長さ0.5mmに切断されたチョップ状繊維が用いられる。このチョップ状繊維は、フィラメントの直径が8.5μm程度、繊維束の直径が27μm程度、比抵抗が10−1Ω・cm(±10%)とされる。
Agフィラーは、長さが数μm〜200μm、直径が10nm〜500nmであるAgのナノファイバまたは銀(Ag)微粒子(直径:0.1μm〜5μm)などとされる。Agフィラーは、直径が小さい場合には細長い形状とすることが望ましい。詳細には、長さが一定の場合、Agフィラーの直径を1/4とすると、質量は1/16倍となる。すなわち、Agフィラーが細長い形状であれば、含有量を少なくして導電性を発揮(ネットワークを形成)させることができる。
Agフィラーとして、例えば、NANOGAPから入手可能なNGAP NF Ag−3101(長さ:20μm、直径:100nm)が用いられる。Agフィラーとして、例えば、富士フィルム(株)から入手可能なナノ銀ワイヤ(直径20nm〜30nm、長さ数μm)が用いられる。
Agフィラーとして、例えば、NANOGAPから入手可能なNGAP NF Ag−3101(長さ:20μm、直径:100nm)が用いられる。Agフィラーとして、例えば、富士フィルム(株)から入手可能なナノ銀ワイヤ(直径20nm〜30nm、長さ数μm)が用いられる。
本実施形態に係る帯電防止塗料は、Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維、又は、Agフィラーをプライマに所定量添加し、適宜撹拌することで調製される。所定量は、適用に応じて帯電防止塗料からなる層を形成させたときの放電電荷量に閾値を設け、層としたときの放電電荷量が閾値よりも低くなるよう設定されると良い。Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を添加する場合の所定量は、0.1質量%以上5質量%以下とされることが好ましい。Agフィラーを添加する場合の所定量は、0.005質量%以上0.5質量%以下とされることが好ましい。
プライマにSi−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を添加して撹拌した帯電防止塗料では、上記Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維の束がフィラメントとして分離されるとともに、フィラメント単位とならないまでも機械的に撹拌されることによって、繊維の一部が分離し、繊維の長さが短くなる可能性がある。すなわち、プライマと混合する前の無機繊維のフィラメント径から無機繊維束の直径の間の大きさで、且つ、プライマと混合する前の繊維長さ以下である任意の長さの繊維が混合された状態となる可能性がある。
プライマにSi−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維を添加して撹拌した帯電防止塗料では、上記Si−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維の束がフィラメントとして分離されるとともに、フィラメント単位とならないまでも機械的に撹拌されることによって、繊維の一部が分離し、繊維の長さが短くなる可能性がある。すなわち、プライマと混合する前の無機繊維のフィラメント径から無機繊維束の直径の間の大きさで、且つ、プライマと混合する前の繊維長さ以下である任意の長さの繊維が混合された状態となる可能性がある。
上記で調製された帯電防止塗料は、スプレー法などにより構造体表面に塗布される。構造体の材質は、CFRPなどの複合材料やアルミニウム合金などとされて良いが、特に、複合材料が好ましい。帯電防止塗料の噴霧に用いるガンの噴射出口の大きさなど、プライマの特性やSi−Ti(又はZr)−C−O系無機繊維、又は、Agフィラーの添加量などを考慮して決定すると良い。
帯電防止塗料からなる層の厚さが厚すぎると絶縁破壊電圧が大きくなる。そのため、帯電防止塗料からなる層の厚さは、塗料の種類に応じて適宜設定されると良い。プライマとして454−4−1を用いる場合、454−4−1を1〜2回、または3回塗布した後に硬化させると良い。この場合、厚さが8μm〜40、または65μm程度の層が形成される。
帯電防止塗料からなる層の厚さが厚すぎると絶縁破壊電圧が大きくなる。そのため、帯電防止塗料からなる層の厚さは、塗料の種類に応じて適宜設定されると良い。プライマとして454−4−1を用いる場合、454−4−1を1〜2回、または3回塗布した後に硬化させると良い。この場合、厚さが8μm〜40、または65μm程度の層が形成される。
(塗料の調製)
樹脂(プライマ)として454−4−1を用い、各種導電性材料を含有させた塗料を調製した。
(1)塗料A
塗料Aは、454−4−1に硬化液CA−109を3:1(体積比)で添加した後、機械的によく撹拌して調製した。プライマに導電性材料は添加しなかった。
(2)塗料B
導電性材料は、AlをドープしたZnO微粒子(例えば、ハクスイテック製Pazet CK)を用いた。
塗料Bは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を1質量%、3質量%添加したものを、それぞれ塗料B1、塗料B3とした。
(3)塗料C
導電性材料は、GaをドープしたZnO微粒子(例えば、ハクスイテック製Pazet GK−40)を用いた。
塗料Cは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を1質量%、3質量%添加したものを、それぞれ塗料C1、塗料C3とした。
(4)塗料D
導電性材料は、チョップ状のチラノ繊維(Hグレード:フィラメント径0.5mm×長さ5mm、比抵抗10−1Ω・cm)を用いた。
塗料Dは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.1質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%を添加したものを、それぞれ塗料D0.1、塗料D0.5、塗料D1、塗料D2、塗料D3、塗料D5とした。
(5)塗料E
導電性材料は、Agフィラー1(直径100nm〜300nm、長さ数μm〜数10μm、Nanogap製)を用いた。
塗料Eは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.05質量%、0.01質量%、0.1質量%添加したものを、それぞれ塗料E0.05、塗料E0.01、塗料E0.1とした。
(6)塗料F
導電性材料は、Agフィラー2(直径20nm〜30nm、長さ数μm、富士フィルム製)を用いた。
塗料Fは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.005質量%、0.01質量%添加したものを、それぞれ塗料F0.005、塗料F0.01とした。
(7)塗料G
導電性材料は、Ag微粒子(平均粒径0.46μm、福田金属箔粉工業製)を用いた。
塗料Gは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.1質量%添加したものを塗料G0.1とした。
樹脂(プライマ)として454−4−1を用い、各種導電性材料を含有させた塗料を調製した。
(1)塗料A
塗料Aは、454−4−1に硬化液CA−109を3:1(体積比)で添加した後、機械的によく撹拌して調製した。プライマに導電性材料は添加しなかった。
(2)塗料B
導電性材料は、AlをドープしたZnO微粒子(例えば、ハクスイテック製Pazet CK)を用いた。
塗料Bは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を1質量%、3質量%添加したものを、それぞれ塗料B1、塗料B3とした。
(3)塗料C
導電性材料は、GaをドープしたZnO微粒子(例えば、ハクスイテック製Pazet GK−40)を用いた。
塗料Cは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を1質量%、3質量%添加したものを、それぞれ塗料C1、塗料C3とした。
(4)塗料D
導電性材料は、チョップ状のチラノ繊維(Hグレード:フィラメント径0.5mm×長さ5mm、比抵抗10−1Ω・cm)を用いた。
塗料Dは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.1質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%を添加したものを、それぞれ塗料D0.1、塗料D0.5、塗料D1、塗料D2、塗料D3、塗料D5とした。
(5)塗料E
導電性材料は、Agフィラー1(直径100nm〜300nm、長さ数μm〜数10μm、Nanogap製)を用いた。
塗料Eは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.05質量%、0.01質量%、0.1質量%添加したものを、それぞれ塗料E0.05、塗料E0.01、塗料E0.1とした。
(6)塗料F
導電性材料は、Agフィラー2(直径20nm〜30nm、長さ数μm、富士フィルム製)を用いた。
塗料Fは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.005質量%、0.01質量%添加したものを、それぞれ塗料F0.005、塗料F0.01とした。
(7)塗料G
導電性材料は、Ag微粒子(平均粒径0.46μm、福田金属箔粉工業製)を用いた。
塗料Gは、塗料Aに上記導電性材料を所定量添加して機械的に撹拌した。塗料A(100質量%)に対して導電性材料を0.1質量%添加したものを塗料G0.1とした。
(供試体の作製)
基材として、アルミニウム合金(Al)または炭素繊維強化複合材(CFRP)を用いた。
(1)塗料2回塗布
基材上に、塗料A〜塗料Eをそれぞれ2回塗布し、適宜硬化させて供試体A〜供試体Eとし、それぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPが燃料タンクに用いられる場合、一般に、CFRPのbag面が燃料タンク内部に配置される。これを考慮して、CFPRを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A〜塗料Eをそれぞれ塗布した。
(2)塗料1回塗布
基材上に、塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ1回塗布し、適宜硬化させて供試体a及び供試体d〜供試体gとした。供試体a及び供試体d〜供試体gはそれぞれ3体ずつ作製した。なお、CFPRを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料a及び塗料d〜塗料gをそれぞれ塗布した。
基材として、アルミニウム合金(Al)または炭素繊維強化複合材(CFRP)を用いた。
(1)塗料2回塗布
基材上に、塗料A〜塗料Eをそれぞれ2回塗布し、適宜硬化させて供試体A〜供試体Eとし、それぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPが燃料タンクに用いられる場合、一般に、CFRPのbag面が燃料タンク内部に配置される。これを考慮して、CFPRを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A〜塗料Eをそれぞれ塗布した。
(2)塗料1回塗布
基材上に、塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ1回塗布し、適宜硬化させて供試体a及び供試体d〜供試体gとした。供試体a及び供試体d〜供試体gはそれぞれ3体ずつ作製した。なお、CFPRを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料a及び塗料d〜塗料gをそれぞれ塗布した。
(表面粗さ及び膜厚)
上記供試体の作製時に、同時にスライドガラスに各塗料を塗布して、確認用供試体A〜確認用供試体E、確認用供試体a及び確認用供試体d〜確認用供試体gを作製した。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の表面粗さ(Ra)を、各確認用供試体を用い接触式の表面粗さ計により測定した。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体における各塗料からなる層の厚さを、確認用供試体A〜確認用供試体E、確認用供試体a及び確認用供試体d〜確認用供試体gを用い断面観察により測定した。
上記供試体の作製時に、同時にスライドガラスに各塗料を塗布して、確認用供試体A〜確認用供試体E、確認用供試体a及び確認用供試体d〜確認用供試体gを作製した。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の表面粗さ(Ra)を、各確認用供試体を用い接触式の表面粗さ計により測定した。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体における各塗料からなる層の厚さを、確認用供試体A〜確認用供試体E、確認用供試体a及び確認用供試体d〜確認用供試体gを用い断面観察により測定した。
(体積抵抗率)
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の体積抵抗率を、デジタル超高抵抗計を用いて測定した。抵抗値の測定限界の上限は、10×1015Ω・cmである。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の体積抵抗率を、デジタル超高抵抗計を用いて測定した。抵抗値の測定限界の上限は、10×1015Ω・cmである。
(表面電位)
各供試体を用いた表面電位の測定について説明する。図1に、表面電位測定装置の概略図を示す。表面電位計として、キーエンス社製のSK−200を用いた。
コロナ電極より、負電荷を供試体に照射して帯電させた後、表面電位計により、供試体の初期表面電位を取得した。この際、表面電位測定は各3回以上実施した。コロナ電極と供試体との距離は3cm、電源電圧は20kV、照射時間は20秒とした。表面電位の測定は、塗料を1回塗布した供試体を気温19.5℃、湿度33%RHの環境下で実施し、塗料を2回塗布した供試体を気温22℃〜26℃、湿度33%RH〜45%RHの環境下で実施した。
各供試体を用いた表面電位の測定について説明する。図1に、表面電位測定装置の概略図を示す。表面電位計として、キーエンス社製のSK−200を用いた。
コロナ電極より、負電荷を供試体に照射して帯電させた後、表面電位計により、供試体の初期表面電位を取得した。この際、表面電位測定は各3回以上実施した。コロナ電極と供試体との距離は3cm、電源電圧は20kV、照射時間は20秒とした。表面電位の測定は、塗料を1回塗布した供試体を気温19.5℃、湿度33%RHの環境下で実施し、塗料を2回塗布した供試体を気温22℃〜26℃、湿度33%RH〜45%RHの環境下で実施した。
(放電電荷量)
各供試体を用いた放電電荷量の測定について説明する。図2に、放電電荷測定装置の概略図を示す。電圧計(エレクトロメータ)として、アドバンテスト社製のR8240、又はR8252を用いた。
コロナ電極より、負電荷を供試体に照射して帯電させた後、接地させた球電極を放電が発生するまで供試体に近接させ、コンデンサに蓄積した電荷量を測定した。この際、放電電荷量は、各10回データを取得した。コロナ電極と供試体との距離は3cm、電源電圧は30kV、照射時間は、20秒で帯電電荷が十分飽和するため、20秒とした。ただし、供試体a及び供試体d〜供試体gについては、電流値が大きくなり電源電圧を30kVに設定できなかったため、電源電圧を25kV〜30kVとすることを許容した。なお、放電電荷量の測定は、塗料を1回塗布した供試体を気温20.0℃、湿度35%RHの環境下で実施し、塗料を2回塗布した供試体を気温23.5℃、湿度29%RHの環境下で実施した。
各供試体を用いた放電電荷量の測定について説明する。図2に、放電電荷測定装置の概略図を示す。電圧計(エレクトロメータ)として、アドバンテスト社製のR8240、又はR8252を用いた。
コロナ電極より、負電荷を供試体に照射して帯電させた後、接地させた球電極を放電が発生するまで供試体に近接させ、コンデンサに蓄積した電荷量を測定した。この際、放電電荷量は、各10回データを取得した。コロナ電極と供試体との距離は3cm、電源電圧は30kV、照射時間は、20秒で帯電電荷が十分飽和するため、20秒とした。ただし、供試体a及び供試体d〜供試体gについては、電流値が大きくなり電源電圧を30kVに設定できなかったため、電源電圧を25kV〜30kVとすることを許容した。なお、放電電荷量の測定は、塗料を1回塗布した供試体を気温20.0℃、湿度35%RHの環境下で実施し、塗料を2回塗布した供試体を気温23.5℃、湿度29%RHの環境下で実施した。
(絶縁破壊電圧測定)
各供試体を用いた絶縁破壊電圧の測定について説明する。図3に、絶縁破壊電圧測定装置の概略図を示す。絶縁破壊試験機として菊水電子工業社製のTOS8700、デジタルマルチメータとして菊水電子工業社製の7555を用いた。
絶縁破壊試験機にて供試体に高電圧を印加し、絶縁破壊電圧を計測した。絶縁破壊の判断基準は、電流の上昇(絶縁破壊試験機は5mAで遮断)とした。なお、絶縁破壊電圧の測定は、気温21.5℃、湿度37%RHの環境下で実施した。
各供試体を用いた絶縁破壊電圧の測定について説明する。図3に、絶縁破壊電圧測定装置の概略図を示す。絶縁破壊試験機として菊水電子工業社製のTOS8700、デジタルマルチメータとして菊水電子工業社製の7555を用いた。
絶縁破壊試験機にて供試体に高電圧を印加し、絶縁破壊電圧を計測した。絶縁破壊の判断基準は、電流の上昇(絶縁破壊試験機は5mAで遮断)とした。なお、絶縁破壊電圧の測定は、気温21.5℃、湿度37%RHの環境下で実施した。
Agフィラーを含む供試体e及び供試体fの表面粗さRaは、導電性材料を含まない供試体aと同等程度の値を示した。チラノ繊維を含む供試体d及びAg微粒子を含む供試体gの表面粗さRaは、供試体aの表面粗さRaより少し高い値となった。
供試体a及び供試体e〜供試体gにおいて、それぞれ塗料A及び塗料E〜塗料Gからなる層の厚さは、18μm〜23μmであった。
供試体a及び供試体e〜供試体gの体積抵抗率は、いずれも測定限界の上限(1015Ω・cm)を超える結果となった。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電荷及び放電電荷量が大きな値となった。
表1によれば、表面電位は、基材をAlとした一部の供試体を除き、供試体aよりも導電性材料を含む供試体d〜供試体gの方が低くなった。基材をCFRPとした供試体e〜供試体gの絶縁破壊電圧は、いずれも供試体aの絶縁破壊電圧よりも低かった。また、基材にCFRPを用いた供試体における放電電荷量は、導電性材料を添加することで低下した。
上記結果から、複合材製の基材にチラノ繊維を含む塗料を塗布する場合、プライマにチラノ繊維を0.1質量%〜0.5質量%含有させることで、放電電荷量を抑制できることが確認された。また、複合材製の基材にAgフィラーを含む塗料を塗布する場合、プライマにAgフィラーを0.005質量%〜0.05質量%含有させることで、放電電荷量を抑制できることが確認された。Agフィラーは、0.1質量%のAg微粒子であって良いが、ワイヤーなどの細長い形状である方がより少ない含有量で放電電荷量を抑制することができる。
供試体A〜供試体Eの試験結果を表2に示す。放電電荷量は、10回取得したデータのうち、最大値及び平均値を表示した。
供試体B、供試体C及び供試体Eの表面粗さRaは、供試体Aと同等もしくはわずかに高い値を示した。供試体Dの表面粗さRaは、供試体Aの表面粗さRaの2〜2.5倍程度の値であった。
供試体A〜供試体Eにおいて、それぞれ塗料A〜塗料Eからなる層の厚さは、35μm〜40μmであった。
チラノ繊維を含む塗料Dが塗布された供試体Dでは、チラノ繊維の含有量が多いほど体積抵抗率は低くなった。具体的には、供試体D0.5及び供試体D1では体積抵抗率が高すぎて測定不可となった。供試体D2、供試体D3、供試体D5では、それぞれ体積抵抗率が1.6×1014Ω・cm、1.0×1013Ω・cm、及び2.0×1012Ω・cmであった。供試体A〜供試体C及び供試体Eでは、体積抵抗率の測定限界の上限を超える結果となった。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電荷及び放電電荷量が大きな値となった。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電荷及び放電電荷量が大きな値となった。
表2によれば、AlをドープしたZnO及びGaドープしたZnOを導電性材料として含む塗料Bおよび塗料CがそれぞれCFRPに塗布された供試体B及び供試体Cでは、導電性材料の含有量に関わらず、導電性材料を含まない塗料Aが塗布された供試体Aと比べ、表面電位に大きな差異は見受けられなかった。チラノ繊維を含む塗料Dが塗布された供試体D及びAgフィラーを含む塗料Eが塗布された供試体Eの表面電位は、基材をAlとした一部の結果を除き、いずれも供試体Aよりも低くかった。また、供試体Dの表面電位は、チラノ繊維の含有量が増加するにしたがって低下した。表面電位は低い方が好ましい。
IEC/EN 60079−0に規定されている最小点火電流に応じたガスと蒸気の分類に対して、例えば、BS13463−1には、絶縁物の放電電荷量の閾値が記載されている。これによると、燃料環境下にある絶縁物の放電電荷量の閾値は60nCとなる。表2によれば、供試体A、供試体B及び供試体Cの放電電荷量は、閾値を超えていた。一方、供試体D及び供試体Eの放電電荷量は、閾値の半分程度の値であった。塗料A〜塗料Eからなる層の厚さが厚いほど、帯電しやすくなる。上記結果によれば、複合材製の基材にチラノ繊維を含む塗料を2回塗布した場合でも、プライマにチラノ繊維を0.5質量%以上5質量%以下含有させることで、放電電荷量を閾値より小さい値とすることができる。上記結果によれば、複合材製の基材にAgフィラーを含む塗料を2回塗布する場合、プライマにAgフィラーを0.05質量%以上0.1質量%以下含有させることで、放電電荷量を閾値より小さい値とすることができる。
図4に、塗料を1回塗布した供試体と塗料を2回塗布した供試体との放電電荷量をまとめて示した。同図において、横軸が導電性材料の含有量、縦軸が放電電荷量の平均値である。図4において、塗料を2回塗布した層の厚さを1回塗布した層の厚さの1.8倍と定義し、且つ、放電電荷量は層の厚さに比例すると仮定した上で、塗料を1回塗布した供試体の放電電荷量を1.8倍して表示した。
図4によれば、塗料の塗布回数によらず、導電性材料を添加することで放電電荷量が低下することが確認された。また、導電性材料の含有量が多くなるにつれて放電電荷量が減少する傾向を示した。
図4によれば、塗料の塗布回数によらず、導電性材料を添加することで放電電荷量が低下することが確認された。また、導電性材料の含有量が多くなるにつれて放電電荷量が減少する傾向を示した。
上記結果から、プライマにチラノ繊維またはAgフィラーを含有させた塗料を塗布することで、帯電防止効果が得られることがわかった。また、プライマに導電性材料を含有させるだけでは所望の帯電防止効果を得られず、導電性材料の種類及び含有量などを考慮する必要があることが確認された。
チラノ繊維を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有させることで、更に放電電荷量を減少させるとともに、十分な防食機能を実現することができる。上記試験結果によれば、チラノ繊維を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有させることで、帯電防止効果の高い塗料となる。
Agフィラーを0.005質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有させることで、更に放電電荷量を減少させるとともに、十分な防食機能を実現することができる。上記試験結果によれば、Agフィラーの含有量が0.005質量%以上0.1質量%以下の範囲で、より高い帯電防止効果を得られる。また、導電性材料の含有量を少なくすることにより、重量の増加抑制、製造コストの抑制、及び材料耐性の劣化抑制といった副次的な効果も得られる。
チラノ繊維を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有させることで、更に放電電荷量を減少させるとともに、十分な防食機能を実現することができる。上記試験結果によれば、チラノ繊維を0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有させることで、帯電防止効果の高い塗料となる。
Agフィラーを0.005質量%以上0.5質量%以下の範囲で含有させることで、更に放電電荷量を減少させるとともに、十分な防食機能を実現することができる。上記試験結果によれば、Agフィラーの含有量が0.005質量%以上0.1質量%以下の範囲で、より高い帯電防止効果を得られる。また、導電性材料の含有量を少なくすることにより、重量の増加抑制、製造コストの抑制、及び材料耐性の劣化抑制といった副次的な効果も得られる。
一般に、帯電防止を目的とする静電気拡散性材料の体積抵抗率は1010Ω・cm〜1011Ω・cmのオーダーが上限とされる。しかしながら、体積抵抗率を下げると電食が起きやすい。従って、電食を防止しつつ帯電も防止するためには、体積抵抗率を下げすぎず、且つ、燃料に着火する能力のある静電気放電が発生しないよう、導電性材料を含有させると良い。
また、導電性材料の含有量を少なくすると、プライマそのものの特性変化を少なくすることができるため、好適である。例えば、燃料タンクプライマに要求される特性として、基材との密着性、シーラントとの密着性、耐溶媒性、及び耐燃料性が挙げられる。従って、帯電防止効果が得られる範囲で、要求される特性に応じて導電性材料を含有させると良い。
供試体A〜供試体Eを用いて塩水噴霧試験を実施し、電食性を評価した。5質量%の塩水を供試体A〜供試体Eに噴霧し、室温で放置して目視で観察した。
供試体A〜供試体Eは、塩水噴霧後2週間たっても外観に変化はなかった。
供試体A〜供試体Eは、塩水噴霧後2週間たっても外観に変化はなかった。
(供試体の作製)
基材として、アルミニウム合金(Al)または炭素繊維強化複合材(CFRP)を用いた。
(1)塗料2回塗布
基材上に、塗料A〜塗料Eをそれぞれ2回塗布し、適宜硬化させて供試体A〜供試体Eとし、それぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPが燃料タンクに用いられる場合、一般に、CFRPのbag面が燃料タンク内部に配置される。これを考慮して、CFRPを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A〜塗料Eをそれぞれ塗布した。
(2)塗料1回塗布
基材上に、塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ1回塗布し、適宜硬化させて供試体a及び供試体d〜供試体gとした。供試体a及び供試体d〜供試体gはそれぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ塗布した。
基材として、アルミニウム合金(Al)または炭素繊維強化複合材(CFRP)を用いた。
(1)塗料2回塗布
基材上に、塗料A〜塗料Eをそれぞれ2回塗布し、適宜硬化させて供試体A〜供試体Eとし、それぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPが燃料タンクに用いられる場合、一般に、CFRPのbag面が燃料タンク内部に配置される。これを考慮して、CFRPを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A〜塗料Eをそれぞれ塗布した。
(2)塗料1回塗布
基材上に、塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ1回塗布し、適宜硬化させて供試体a及び供試体d〜供試体gとした。供試体a及び供試体d〜供試体gはそれぞれ3体ずつ作製した。なお、CFRPを基材とした場合は、CFRPのbag面に塗料A及び塗料D〜塗料Gをそれぞれ塗布した。
(体積抵抗率)
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の体積抵抗率を、デジタル超高抵抗計を用いて測定した。抵抗値の測定限界の上限は、10 15 Ω・cmである。
基材としてCFRPを用いた場合の各供試体の体積抵抗率を、デジタル超高抵抗計を用いて測定した。抵抗値の測定限界の上限は、10 15 Ω・cmである。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電位及び放電電荷量が大きな値となった。
チラノ繊維を含む塗料Dが塗布された供試体Dでは、チラノ繊維の含有量が多いほど体積抵抗率は低くなった。具体的には、供試体D0.5及び供試体D1では体積抵抗率が高すぎて測定不可となった。供試体D2、供試体D3、供試体D5では、それぞれ体積抵抗率が1.6×1014Ω・cm、1.0×1013Ω・cm、及び2.0×1012Ω・cmであった。供試体A〜供試体C及び供試体Eでは、体積抵抗率の測定限界の上限を超える結果となった。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電位及び放電電荷量が大きな値となった。
同じ塗料を用いた場合、基材にAlを用いた供試体と比べ、基材にCFRPを用いた供試体の方が、表面電位及び放電電荷量が大きな値となった。
Claims (5)
- プライマに、
Siと、TiまたはZrと、Cと、Oと、を含む無機繊維、
又は、
Agフィラー
が含有される帯電防止塗料。 - 前記Siと、TiまたはZrと、Cと、Oとを含む無機繊維が0.1質量%以上5質量%以下で含有される請求項1に記載の帯電防止塗料。
- 前記Agフィラーが0.005質量%以上0.5質量%以下で含有される請求項1に記載の帯電防止塗料。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の帯電防止塗料からなる層を表面に有する複合材製構造体。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の帯電防止塗料を表面に塗布して層を形成する工程を備える複合材製構造体の製造方法。
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