JP2002126471A - 中空糸膜モジュールのリーク検査方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 検査時間が短く確実なリーク検査方法を提供
する。 【解決手段】 先ず開閉弁Ｖ１、Ｖ２を開き、送液ポン
プ４により、ライン１を通してモジュール３の（中空糸
の）内側空間に洗浄液（例えばｎ−ノナン）を充填す
る。次に、開閉弁Ｖ１、Ｖ２を閉じ、開閉弁Ｖ３、Ｖ４
を開くことにより、ライン７を通して実質的に液体に不
溶な気体（例えば清浄な空気）を送り、モジュール３の
内側空間および気体室を所定時間加圧した後、開閉弁Ｖ
３、Ｖ４を閉じ、Ｖ５を開いてモジュール３の内側空間
と気体室５を連通させ、この気体室５の圧力を測定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸膜モジュー
ル、特に中空糸膜の微細孔部分にグリセリンを含む中空
糸膜モジュールのリーク検査方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】医療用に用いられる血液処理装置には、
一般に、多数の中空糸からなる中空糸膜モジュールが採
用されており、通常、中空糸の内側に血液を流し、外側
に透析液を流すことにより使用されている。血液処理
は、この中空糸の膜を通して物質交換を行うものであ
り、そのため、中空糸膜モジュールを構成する中空糸の
中に損傷した物が混じっていると、血液が中空糸の外に
漏れてしまう所謂リークが発生し、血液処理装置として
の機能が損なわれてしまう。

【０００３】そのため、従来、中空糸膜の微細孔部分に
グリセリンを含む中空糸膜モジュールの場合、中空糸の
内側空間にエアーを加圧封入し、一定時間の圧力降下を
測定することにより中空糸モジュールのリークの有無を
検査している。また、中空糸の内側空間又は外側空間の
一方の空間に加圧気体を充填し、他方の空間に液体又は
気体を封入して、他方の空間の圧力を測定する方法が提
案されている（特開平５−１５７６５４号公報参照）。

【０００４】しかしながら、上記方法を含む従来のリー
ク検査方法では、微細孔部分に含まれるグリセリンの含
有量が少ない場合、微小のエアー漏れが生じることがあ
り、そのため、中空糸に欠損が無い場合でも不良と判定
されることがあった。さらに、特開平５−１５７６５４
号公報に開示された方法では、検査精度を向上させるた
めに、加圧側および測定側の両側の配管の密閉性が要求
される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は如上の事情に
鑑みてなされたもので、検査時間が短く確実なリーク検
査方法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意検討の結果、中空糸の内側空間
又は外側空間を液体で満たし、該内側空間又は外側空間
を加圧することにより、グリセリンの含有量のバラツキ
を補うことが出きることに想到し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、中空糸の内側空間又は外側空間に
液体を充填した後、該液体の充填された空間を加圧し、
該加圧状態をしばらく維持した後、該液体の充填された
空間の圧力降下を測定することを特徴とする中空糸膜モ
ジュールのリーク検出方法に関する。ここで、液体の充
填された空間の圧力降下は、この空間に気体の充填され
た気密な気体室を連通し、この気体室の圧力降下を測定
する様にしてもよい。尚、中空糸の内側空間又は外側空
間に充填する液体を洗浄液にすれば、リーク検査と同時
に洗浄を行うことができる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について図面
を用いて説明する。図１は本発明の方法に採用されるリ
ーク検出装置の一例を示す図であり、中空糸の内側空間
に液体を充填する場合に採用される。図中、１は中空糸
の内側空間と連通するライン、２は中空糸の外側空間と
連通するライン、３はモジュール、４は送液ポンプ、５
は気体室、６は圧力計、７は加圧ライン、Ｖ１〜Ｖ６は
開閉弁である。先ず開閉弁Ｖ１、Ｖ２を開き、送液ポン
プ４により、ライン１を通してモジュール３の（中空糸
の）内側空間に洗浄液（例えばｎ−ノナン）を充填す
る。次に、開閉弁Ｖ１、Ｖ２を閉じ、開閉弁Ｖ３、Ｖ４
を開くことにより、ライン７を通して実質的に液体に不
溶な気体（例えば清浄な空気）を送り、モジュール３の
内側空間および気体室を所定時間加圧した後、開閉弁Ｖ
３、Ｖ４を閉じ、Ｖ５を開いてモジュール３の内側空間
と気体室５を連通させる。

【０００８】この時、欠陥の無い中空糸膜の場合には、
圧力計６により検出される液体側の圧力降下は、液体の
表面張力の働きにより微小であり、一定時間における圧
力の降下量は予め検知し得る。一方、欠損のある中空糸
膜の場合には、欠損部より液体が流出し、圧力降下量が
大きくなる。さらに、著しい欠損がある場合には、加圧
中の圧上昇速度が小さくなり、測定圧力に到達しない。

【０００９】圧力測定後、開閉弁Ｖ１、Ｖ２を開き、送
液ポンプ４によりライン１、２を通してモジュール３の
内空間に洗浄液を送って、内空間の洗浄を行うことがで
きる。尚、ここでは中空糸の内側空間に液体を充填する
ようにした場合について説明したが、外側空間に液体を
充填するようにした場合には、加圧ラインおよび気体室
を中空糸の外側空間と連通するラインに接続し、同様の
操作を行うようにすればよい。

【００１０】〔実施例〕 図１に示すリーク検出装置を
用い、セルロースアセテート系中空糸膜モジュール
（（株）ニッショー製）について、本発明の方法により
リーク試験を行い、欠損を有することが分かっているモ
ジュール（不良品）と、欠損の無いモジュール（良品）
について、一定時間における圧力降下の状態を比較し
た。その結果を図２に示す。但し、充填する液体として
は、ｎ−ノナンを用い、加圧圧力を１５０kPa、気体室
容積を５ｍｌ、圧力測定時間を１０秒とした。

【００１１】

【発明の効果】以上説明してきたことから明らかなよう
に、本発明を採用すれば、検査時間の短縮と歩留まりの
向上により、中空糸膜モジュールの製造コストの低減に
資することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の方法に採用されるリーク検出装置の
一例を示す図であり、中空糸の内側空間に液体を充填す
る場合に採用される。

【図２】 本発明を適用した場合の圧力降下量の分布図
である。

【符号の説明】

１ 中空糸の内側空間と連通するライン ２ 中空糸の外側空間と連通するライン ３ モジュール ４ 送液ポンプ ５ 気体室 ６ 圧力計 ７ 加圧ライン Ｖ１〜Ｖ６ 開閉弁

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空糸の内側空間又は外側空間に液体を
   充填した後、該液体の充填された空間を加圧し、該加圧
   状態をしばらく維持した後、該液体の充填された空間の
   圧力降下を測定することを特徴とする中空糸膜モジュー
   ルのリーク検出方法。
2. 【請求項２】 気体の充填された気密な気体室を液体の
   充填された空間と連通させ、該気体室の圧力降下を測定
   する請求項１に記載のリーク検出方法。
3. 【請求項３】 中空糸の内側空間又は外側空間に充填す
   る液体が洗浄液である請求項１または２に記載のリーク
   検出方法。