JP2002123016A - 電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置

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JP2002123016A
JP2002123016A JP2000313875A JP2000313875A JP2002123016A JP 2002123016 A JP2002123016 A JP 2002123016A JP 2000313875 A JP2000313875 A JP 2000313875A JP 2000313875 A JP2000313875 A JP 2000313875A JP 2002123016 A JP2002123016 A JP 2002123016A
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JP2000313875A
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English (en)
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Satoshi Katayama
聡 片山
Koichi Toriyama
幸一 鳥山
幹男 ▲角▼井
Mikio Kadoi
Arihiko Kawahara
在彦 川原
Sayaka Fujita
さやか 藤田
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光のレーザ光に高感度を有し、光によっ
て疲労劣化しない耐久性に優れる電子写真感光体、およ
び該感光体を用いて可視光のレーザ光を露光光源とし、
高感度かつ高解像力を有して安定した画質が得られる電
子写真装置を提供する。 【解決手段】 可視光を出力するレーザ光を露光光源と
して使用される電子写真感光体において、導電性支持体
1上の感光層5に、電荷発生材料として下記構造式
(4)や(5)などで示されるペリノン系化合物を含有
する。 【化18】 【化19】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真技術にお
いて短波長で発振するレーザを露光用光源とする画像形
成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真感光体において、有機系
の光導電性材料は、その開発の進歩により、従来から用
いられてきた無機系の光導電性材料に対して一般的によ
く使用されるようになってきた。有機系の光導電性材料
を用いた電子写真感光体は、感度、耐久性および環境に
対する安定性などに若干の問題はあるが、毒性、原価お
よび材料設計の自由度などの点において、無機系光導電
性材料に比べて多くの利点を有しているからである。
【0003】現在、一般的に実用化されている有機系光
導電性材料を用いた電子写真感光体の構成としては、光
導電性機能における電荷発生機能と電荷輸送機能とをそ
れぞれ別個の物質に分担させた積層型または分散型の機
能分離型感光体が挙げられる。このような機能分離型感
光体においては各物質の選択範囲が広くなるので、帯電
特性、感度、残留電位、繰返し特性および耐刷性などの
電子写真特性において最良の物質を組合せることによっ
て、高性能な感光体を提供することができる。また有機
系光導電性材料を用いた電子写真感光体は、導電性支持
体上に感光層を塗工することにより生産できるため、き
わめて生産性が高く、安価な感光体を提供できるととも
に、電荷発生材料を適当に選択することにより感光波長
域および光感度を自在に制御することができる。さら
に、電荷輸送層中に含有するバインダ樹脂を適宜選択す
ることにより、耐摩耗特性に優れた感光体を設計するこ
とができる。
【0004】このようにして、有機系の光導電性材料を
用いた電子写真感光体における従来からの特性の問題点
を克服するように、その性能の向上が図られた結果、有
機系の光導電性材料が無機系の光導電性材料に比べて多
用されるようになっている。
【0005】また、レーザ光を露光用光源とする電子写
真技術による画像形成装置としては、レーザプリンタが
代表的な例であり、近年では複写機においてもデジタル
化が進み、レーザが露光用光源に用いられることが一般
的となっている。
【0006】主に露光用光源として用いられるレーザと
して、低原価で消費エネルギが少なくて軽量小型である
半導体レーザが実用化されている。該半導体レーザは、
出力の安定性および寿命の点から、800nm付近の近
赤外領域に発振波長を有するものが一般的である。これ
は、単に技術的な問題から短波長で発振するレーザが、
これまでは実用化に至っていなかったためである。これ
を受けて、レーザを露光光源とした電子写真装置で用い
るため、電荷発生材料として、長波長領域に光を吸収し
て感度を有する有機化合物、特にフタロシアニン顔料
を、電荷発生層に含有する積層型感光体が開発されてき
た。
【0007】さらに、電子写真技術による画像形成装置
の出力画像の画質向上を図るために、画質の高解像度化
が検討されている。記録密度の高い高解像度を達成する
ためには、いくつかの手段があり、光学的な手段として
はレーザビームのスポット径を絞り、書込み密度を上げ
ることが挙げられる。そこで使用するレンズの焦点距離
を短くすればよいが、光学系の設計上の難しさに加え、
800nm付近の近赤外領域に発振波長を持つレーザで
は、光学系の操作でビーム径を細くしてもスポット輪郭
の鮮明さが得られにくい。その原因はレーザ光の回折限
界にあり、これは避けることのできない現象である。
【0008】感光体の表面に収束されるレーザのスポッ
ト径Dは、レーザビームの波長λおよびレンズ開口数N
Aと、以下の式(1)で示される関係にある。 D=1.22λ/NA …(1)
【0009】式(1)から、スポット径Dはレーザ光の
発振波長に比例しているため、スポット径Dを小さくす
るには発振波長の短いレーザを用いればよいことが判
る。
【0010】また、前述のように発振波長の短いレーザ
の開発は、発振波長の長いレーザに比べて遅れていた
が、1990年代初頭には650nm近傍に発振波長を
持つ赤色レーザが実用化された。また1995年には4
10nm発振の青紫色レーザの開発成功が発表され、そ
の実用化が現実味を帯びてきた。
【0011】したがって、発振波長の短いレーザを用い
てスポット径Dを小さくすれば、記録密度の高い高解像
度を達成することができる。しかし、このような青色系
レーザは、光ディスクにおいて記録密度を向上させると
いう大きな期待が寄せられているが、電子写真装置の露
光用光源としてはほとんど期待されていなかった。従来
の電子写真感光体は、この波長域に感度を示さないから
である。
【0012】すなわち、従来の積層型電子写真感光体
は、導電性基体の上に順次、電荷発生層、電荷輸送層を
積層したものが一般的に実用化されている。該感光体に
おいて、500nm以下の波長にも吸収を示す電荷発生
材料を用いれば、一般的に500nm以下の短波長レー
ザの露光にも感度を示すはずである。しかし、実際には
電荷発生層の上に積層された電荷輸送層、特に電荷輸送
材料が500nm以下の波長に吸収を示すことから、露
光光源として用いた短波長のレーザ光が感光層の表面で
吸収されて電荷発生層まで到達できないので、積層型電
子写真感光体ではこの波長域に感度を示さない。
【0013】また、波長成分の揃った高強度の光で露光
されるために、電荷輸送材料や電荷発生材料が変質しや
すく、長期の使用によって感光体の感度が低下し、高画
質が維持できないという問題もある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可視
光のレーザ光に高感度を有し、光によって疲労劣化しな
い耐久性に優れる電子写真感光体、および該感光体を用
いて可視光のレーザ光を露光光源とし、高感度かつ高解
像力を有して安定した画質が得られる電子写真装置を提
供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、可視光を出力
するレーザ光を露光光源として使用される電子写真感光
体であって、導電性支持体上の感光層は、電荷発生材料
として下記一般式(1)、(2)および(3)で示され
るペリノン系化合物のうちの少なくとも1つの化合物を
含有していることを特徴とする電子写真感光体である。
【0016】
【化6】
【0017】(一般式(1)中、kおよびmは、0〜3
の整数を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換も
しくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のアルキ
ル基、または、置換もしくは未置換のアリール基を示
す。aは、0〜4の整数を示す。bおよびdは、0〜3
の整数を示す。ただし、k、m、a、bおよびdが各々
2以上のとき、Rは同一でも異なっていてもよく、互い
に隣接するRが結合して飽和脂肪族環、芳香族環もしく
は複素環を形成してもよい。)
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】(一般式(2)および(3)中、k、mお
よびRは、一般式(1)において示したものと同義であ
る。nおよびpは、0〜3の整数を示す。xは、0〜2
の整数を示す。yおよびzは、0〜2の整数を示す。た
だし、n、p、x、yおよびzが各々2以上のとき、R
は同一でも異なっていてもよく、互いに隣接するRが結
合して飽和脂肪族環、芳香族環、もしくは複素環を形成
してもよい。)
【0021】本発明に従えば、電荷発生材料として特定
のペリノン系化合物を含有することによって、露光光源
である可視光を出力するレーザに対して、高感度を有
し、光によって疲労劣化しない耐久性に優れる電子写真
感光体を提供することができる。
【0022】また本発明は、前記感光層が、少なくとも
前記電荷発生材料を樹脂中に分散させた単一層から成る
単層型であることを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、特定のペリノン系化合物
を、電荷輸送材料が溶解したバインダ樹脂の溶液中で分
散させた感光層用塗布液を塗布して、単層型の感光層を
形成することにより、画像の解像度が非常に高い電子写
真感光体を低原価で提供することができる。また、該電
子写真感光体において、可視光領域に吸収を持つ電荷輸
送材料を使用しても、導電性支持体上に電荷発生層、電
荷輸送層の順に形成された積層型の電子写真感光体と比
較して、電荷輸送材料がレーザ光を吸収することによる
感度低下が少なく、高感度な電子写真感光体を提供する
ことができる。
【0024】また本発明は、前記感光層が、少なくとも
電荷発生層上に電荷輸送層が形成された積層型であるこ
とを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、特定のペリノン系化合物
を含有した電荷発生層を塗布した後、電荷輸送層を塗布
して積層型の感光層を形成することにより、高感度で画
像の解像度が非常に高く、高耐久性を有する電子写真感
光体を提供することができる。
【0026】また本発明は、前記電荷発生材料が、少な
くとも下記構造式(4)および(5)で示されるペリノ
ン化合物のいずれかであることを特徴とする。
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】本発明に従えば、電荷発生材料として特定
の構造式で示されるペリノン系化合物を含有することに
より、従来から実用化されている800nm付近の近赤
外領域に発振波長を有する半導体レーザに対して、60
0nm以下の短波長領域を発振するレーザを露光光源と
した画像形成装置に搭載することにより、光学系の設計
を変更することなく記録密度の高い高解像度の画像を容
易に得られる電子写真感光体を提供することができる。
【0030】本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載
の電子写真感光体と、帯電、露光、現像、転写およびク
リーニングの各手段とを含み、画像を形成する画像形成
装置であって、該露光手段には、可視光を出力する半導
体レーザを光源として備えていることを特徴とする。
【0031】本発明に従えば、画像形成装置において可
視光領域を出力する半導体レーザを光源とし、前記電子
写真感光体を搭載することにより、従来からのガスレー
ザに対して非常に小型軽量で消費エネルギが小さく、低
原価で高感度かつ高耐久性を有する画像形成装置を提供
することができる。
【0032】また本発明は、前記半導体レーザが、40
0nm以上500nm未満の波長範囲に主たる発振波長
を有することを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、画像形成装置において、
400nm以上500nm未満の波長範囲に主たる発振
波長を有する青色光半導体レーザを光源とし、特定の化
学構造や結晶構造を有するペリノン系化合物を電荷発生
材料として含有する電子写真感光体を搭載することによ
り、従来からのガスレーザに対して非常に小型軽量で消
費エネルギが小さく、光学系の設計を変更することな
く、非常に記録密度の高い高解像度の画像が容易に得ら
れる画像形成装置を低原価で提供することができる。
【0034】また本発明は、前記半導体レーザが、50
0nm以上600nm以下の波長範囲に主たる発振波長
を有することを特徴とする。
【0035】本発明に従えば、画像形成装置において、
500nm以上600nm以下の波長範囲に主たる発振
波長を有する緑色光半導体レーザを光源とし、特定の化
学構造や結晶構造を有するペリノン系化合物を電荷発生
材料として含有する電子写真感光体を搭載することによ
り、従来からのガスレーザに対して非常に小型軽量で消
費エネルギが小さく、光学系の設計を変更することな
く、非常に記録密度の高い高解像度の画像が容易に得ら
れる画像形成装置を低原価で提供することができる。
【0036】また本発明は、反転現像プロセスを用いて
画像を形成することを特徴とする。本発明に従えば、反
転現像によってドット状のトナー像を形成して画像を得
る画像形成装置において、可視光、特に短波長領域に発
振波長を有する半導体レーザと、特定の化学構造や結晶
構造を有するペリノン系化合物を電荷発生材料として含
有する電子写真感光体とを組合わせることにより、感光
体の疲労劣化がなく、高感度かつ高耐久性で、シャープ
なドット画像を形成することができ、高解像度の画像が
得られる画像形成装置を提供することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態による電子写
真感光体は、導電性支持体上の感光層中に、電荷発生材
料として下記一般式(1)、(2)および(3)で示さ
れるペリノン系化合物のうちの少なくとも1つの化合物
を含有する。
【0038】
【化11】
【0039】一般式(1)中、kおよびmは、0〜3の
整数を示す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換もし
くは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のアルキル
基、または、置換もしくは未置換のアリール基を示す。
aは、0〜4の整数を示す。bおよびdは、0〜3の整
数を示す。ただし、k、m、a、bおよびdが各々2以
上のとき、Rは同一でも異なっていてもよく、互いに隣
接するRが結合して飽和脂肪族環、芳香族環もしくは複
素環を形成してもよい。
【0040】次に、前記一般式(1)で示されるペリノ
ン系化合物の具体例を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】一般式(2)および(3)中、k、mおよ
びRは、一般式(1)において示したものと同義であ
る。nおよびpは、0〜3の整数を示す。xは、0〜2
の整数を示す。yおよびzは、0〜2の整数を示す。た
だし、n、p、x、yおよびzが各々2以上のとき、R
は同一でも異なっていてもよく、互いに隣接するRが結
合して飽和脂肪族環、芳香族環、もしくは複素環を形成
してもよい。
【0045】次に、前記一般式(2)および(3)で示
されるペリノン系化合物の具体例を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】図1は、本実施の形態による電子写真感光
体の層構成の一例を模式的に示す断面図である。図2
は、本実施の形態による電子写真感光体の層構成の他の
例を模式的に示す断面図である。図3は、本実施の形態
による電子写真感光体の層構成のさらに他の例を模式的
に示す断面図である。図1に示す層構成は、導電性支持
体1上に形成された下引き層2上に、順次、電荷発生材
料を含む電荷発生層3、電荷輸送材料を含む電荷輸送層
4が積層された感光層5を有する積層型である。図2に
示す層構成は、導電性支持体1上に形成された下引き層
2上に、順次、電荷輸送材料を含む電荷輸送層4、電荷
発生材料を含む電荷発生層3が積層された感光層5を有
する積層型である。図3に示す層構成は、導電性支持体
1上に形成された下引き層2上に、電荷発生材料を含む
感光層15が形成された単層型である。
【0048】本実施の形態による電子写真感光体の材料
および構成について、図1に示す積層型感光体を例に説
明する。
【0049】導電性支持体1としては、アルミニウム、
アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレスおよびチタン
などの金属製のドラムやシート、ならびに、ポリエチレ
ンテレフタレート、ナイロンおよびポリスチレンなどの
高分子材料や硬質紙上に、金属箔ラミネートや金属蒸着
処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトな
どが挙げられる。
【0050】導電性支持体1の表面には、必要に応じて
画質に影響のない範囲で、陽極酸化皮膜処理、薬品また
は熱水などによる表面処理、着色処理、粗面化するなど
の乱反射処理を施し、波長の整ったレーザ光の干渉によ
る画像欠陥を防止するようにしてもよい。すなわち、レ
ーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、入
射したレーザ光と電子写真感光体内で反射する光が干渉
を起こし、その干渉縞が画像上に現れ、画像欠陥を引起
こすので、これを防止する。
【0051】下引き層2は、導電性支持体1と感光層5
との間に設けられる。反転現像プロセスを用いて画像を
形成する場合には、露光部の表面電荷が減少した部分に
トナー像が形成されるので、導電性支持体1や感光層5
の欠陥に起因して微少な領域で帯電性が低下するなど、
露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナー
が付着する微小黒点(黒ポチ)と呼ばれる画像のカブリ
が発生し、画質の著しい劣化を生じる。下引き層2を設
けることによって、これを防止するとともに、導電性支
持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層5の接着
性の向上および感光層5の塗布性改善などが図られる。
【0052】下引き層2の材料としては、各種樹脂材
料、金属粒子、および金属酸化物粒子が挙げられる。下
引き層2は、樹脂材料だけの単一層に形成してもよい
し、樹脂に酸化チタンなどの金属酸化物を含有し、下引
き層2中の体積抵抗値を調節し、導電性支持体1からの
電荷の注入を防止するとともに、各種環境下での感光体
の電気特性を維持するようにしてもよい。
【0053】樹脂単一層の下引き層2を形成する場合に
用いられる材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニ
ルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂材
料、これらの樹脂を構成するモノマーのうちの2つ以上
を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニル
アルコールならびにエチルセルロースなどの従来公知の
材料が挙げられる。これらのうち、特にポリアミド樹脂
が好ましい。ポリアミド樹脂のうちでも、アルコール可
溶性ナイロン樹脂がより好ましい。たとえば6−ナイロ
ン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロ
ンおよび12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる
共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロン
およびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナ
イロンを化学的に変性させたタイプが好ましい。
【0054】酸化チタンなどの金属酸化物を含有させる
場合には、前記樹脂を、水および各種有機溶剤、特に
水、メタノール、エタノールもしくはブタノールの単独
溶剤、水とアルコール類、もしくは2種以上のアルコー
ル類の混合溶剤、アセトンおよびジオキソランなどとア
ルコール類との混合溶剤、または、ジクロロエタン、ク
ロロホルムおよびトリクロロエタンなどの塩素系溶剤と
アルコール類の混合溶剤に溶解させた溶液中で、酸化チ
タンなどの金属酸化物を分散して下引き層用塗布液を調
製する。この分散液を用いて導電性支持体1上に塗布す
ることにより下引き層2を形成することができる。
【0055】下引き層用塗布液中において、樹脂と金属
酸化物との含有量の合計は、下引き層用塗布液に使用さ
れている有機溶剤の含有量に対して重量比で3/97〜
20/20の範囲であることが好ましく、樹脂/金属酸
化物は重量比で90/10〜1/99であることが好ま
しく、70/30〜5/95が、さらに好ましい。
【0056】下引き層用塗布液の分散方法としては、ボ
ールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超
音波分散機などの一般的な方法を適用できる。
【0057】下引き層用塗布液を塗布する方法として
は、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレ
ード法、リング法および浸漬法などが挙げられる。これ
らの塗布方法から、塗液の物性や生産性などを考慮に入
れて最適な方法を選択することができ、特に浸漬塗布方
法は、塗布液を満たした塗布槽に、導電性支持体1であ
る基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度
で引上げることにより下引き槽を形成する方法であり、
比較的簡単で、生産性およびコストの点で優れているた
めに、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されて
いる。
【0058】図4は、浸漬塗布法において用いる浸漬塗
布装置の一例を示す構成図である。塗布槽13内に満た
された塗布液12中に、円筒状の導電性の基体2が浸漬
される。基体2は、モータ11を備える昇降装置10に
よって下降され、塗布液12中に浸漬される。昇降装置
10はモータ11の回転量を制御することによって、所
望の深さだけ基体2を塗布槽13に浸漬することができ
る。基体2は充分浸漬された後、昇降装置10におって
一定速度または逐次変化する速度で引上げられる。基体
浸漬時に塗布槽13からオーバフローした塗布液12
は、回収槽14に回収される。回収された塗布液は撹拌
装置15にて撹拌された後、ポンプ16によって塗布槽
13に戻される。なお、塗布液の分散性を安定させるた
め、図示しない超音波発生装置に代表される塗布液分散
装置を設けてもよい。
【0059】下引き層2の膜厚としては、好ましくは
0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.0
5μm以上10μm以下の範囲である。下引き層2の膜
厚が0.01μmより小さければ実質的に下引き層2と
して機能しなくなり、導電性支持体1の欠陥を被覆して
均一な表面性が得られず、導電性支持体1からの電荷の
注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生
じる。20μmよりも大きくすることは、下引き層2を
浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり、
感光体の感度が低下する。
【0060】電荷発生層3は、電荷発生材料として、前
記一般式(1)、(2)および(3)で示されるペリノ
ン系化合物のうちの少なくとも1つの化合物を含有す
る。
【0061】バインダ樹脂としては、ポリエステル樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール
樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、
シリコン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカ
ーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマ
ール樹脂などの樹脂材料、これらの樹脂を構成するモノ
マーのうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられ
る。共重合体樹脂としては、たとえば、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水
マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン
共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができる
が、これらに限定されるものではなく、一般に用いられ
る全ての樹脂を単独または2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0062】これらの樹脂を溶解させる溶媒としては、
塩化メチレンおよび二塩化エタンなどのハロゲン化炭化
水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキ
サノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルな
どのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサン
などのエーテル類、ジメトキシエタンなどのセロソルブ
類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭
化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N
−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒、
ならびにこれらの混合溶剤などを用いることができる。
【0063】前記ペリノン系化合物とバインダ樹脂との
配合比は、これらの合計量に対し、ペリノン系化合物が
10重量%〜99重量%の範囲が好ましい。この範囲よ
り少ない場合は感度が低下し、多ければ電荷発生層3の
膜強度が低下するだけでなく、分散性も低下するために
粗大粒子が増大するので、画像欠陥、特に黒ポチが多く
なる。
【0064】電荷発生層3の形成方法としては、ペリノ
ン系化合物を真空蒸着することによって形成する方法も
あるが、公知の方法によってバインダ樹脂を有機溶剤に
混合分散した塗布液を塗布して成膜する方法が好まし
い。混合分散処理する前に予め粉砕機によって粉砕処理
を行ってもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機として
は、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルお
よび超音波分散機などがある。分散条件としては、用い
る容器や分散メディアの摩耗などによる不純物の混入が
起こらないように適当な分散条件を選択する。選択した
分散条件にて、ペリノン系化合物を前記溶媒中で前記バ
インダ樹脂とともに分散し、電荷発生層用塗布液を調製
する。
【0065】塗布方法としては、スプレイ法、バーコー
ト法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸
漬法などが挙げられる。特に図4に示した浸漬塗布装置
を用いる浸漬塗布方法は、比較的簡単で、生産性および
原価の点で優れているので、下引き層2と同様にして、
浸漬塗布方法によって、下引き層2上に電荷発生層用塗
布液を塗布して電荷発生層3を形成する。
【0066】電荷発生層3の膜厚としては、好ましくは
0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μ
m以上1μm以下の範囲である。
【0067】電荷輸送層4は、電荷輸送材料を、単独
で、またはバインダ樹脂とともに、溶剤に溶解させて調
製した電荷輸送層用塗布液を用いて形成する。
【0068】電荷輸送材料としては、カルバゾール誘導
体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チ
アゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール
誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、イ
ミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチ
リル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン誘導体、オ
キサゾリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾ
リン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、
フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリ
ールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチル
ベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカル
バゾール、ポリ−9−ビニルアントラセン、およびポリ
シランなどが挙げられる。
【0069】電荷輸送材料は、これらに限定されるもの
ではなく、これらを単独で、または2種以上混合して、
用いてもよい。ただし、図1に示した積層型の感光体で
は、前述のように使用する半導体レーザの発振波長に対
して透過性のある電荷輸送材料やバインダ樹脂を適宜選
択することが肝要である。本実施の形態による電子写真
感光体は、後述するように露光光源として400〜50
0nmの発振波長である半導体レーザ光を使用する場
合、電荷輸送材料には、400〜500nm程度の短波
長領域に吸収を示さないアリールアミン系およびベンジ
ジン系の化合物が特に好ましい。
【0070】電荷輸送層4のバインダ樹脂としては、電
荷輸送材料と相溶性を有するものが選ばれ、たとえばポ
リカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニル
ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリアクリルアミド樹脂、フェノール樹脂およびフェノ
キシ樹脂などが挙げられる。
【0071】溶剤としては、前述の電荷発生層用塗布液
の調製に用いた溶媒を使用することができる。
【0072】電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて従
来公知の、たとえば二塩基酸エステル、脂肪酸エステ
ル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフ
ィンおよびエポキシ型可塑剤などの可塑剤や、シリコー
ン系レベリング剤を添加し、感光層5の加工性および可
撓性を付与したり表面平滑性を向上させることもでき
る。
【0073】また電荷輸送層用塗布液には、無機および
有機化合物の微粒子を添加して、機械的強度の増加およ
び電気的特性の向上を図ることもできる。
【0074】さらに電荷輸送層用塗布液には、1種以上
の電子受容物質や色素を含有して、電子写真感光体の感
度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇および
疲労などを抑えるようにしてもよい。該電子受容物質と
しては、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水
フタル酸および4−クロルナフタル酸無水物などの酸無
水物、テトラシアノエチレンおよびテレフタルマロンジ
ニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデ
ヒドなどのアルデヒド類、アントラキノンおよび1−ニ
トロアントラキノンなどのアントラキノン類、ならび
に、2,4,7−トリニトロフルオレノンおよび2,
4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環また
は複素環ニトロ化合物が挙げられる。これらの電子受容
物質を化学増感剤として用いることができる。
【0075】色素としては、たとえばキサンテン系色
素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン
系顔料および銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合
物が挙げられる。これらの有機光導電性化合物である色
素を光学増感剤として用いることができる。
【0076】これらの材料を用いて調製された電荷輸送
層用塗布液は、下引き層2および電荷発生層3と同様に
して、図4に示した浸漬塗布装置を用いる浸漬塗布方法
によって、電荷発生層3上に電荷輸送層用塗布液を塗布
して電荷輸送層4を形成する。
【0077】電荷輸送層4の膜厚としては、好ましくは
5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上
40μm以下の範囲である。
【0078】電荷発生層3および電荷輸送層4から成る
感光層5の表面には、保護層を設けることにより、感光
層5の摩耗性を改善し、オゾンや窒素酸化物などによる
化学的悪影響を防止することができる。同様に、電子写
真感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減、または
耐久性を向上させるため、感光層5を構成する電荷発生
層3および電荷輸送層4の各層に、従来公知のフェノー
ル系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール
系化合物およびアミン系化合物などの酸化防止剤や紫外
線吸収剤などを、必要に応じて適量添加して用いること
ができる。
【0079】以上のような材料および構成により作製さ
れる図1に示した電子写真感光体の他、同様の材料を用
いて図2または図3に示した電子写真感光体を作製する
ことができる。すなわち、図2に示した積層型感光体
は、電荷輸送層4上に電荷発生層3を形成した以外は、
図1に示した積層型感光体と同様にして作製される。ま
た、図3に示した単層型感光体は、前述のバインダ樹脂
および電荷輸送物質を溶解させた溶液中に本発明の電荷
発生材料を分散させて感光層15を形成し、作製され
る。
【0080】図3に示した単層型感光体は、オゾン発生
が少ない正帯電型画像形成装置用の感光体として使用で
きる利点がある。また塗布する感光層15が1層のみで
あるため、積層型に比べて製造原価や歩留まりがよい点
も挙げられる。また、図2に示したような導電性支持体
1上に、電荷輸送層4、電荷発生層3の順に形成した積
層型感光体についても、単層型感光体と同様にオゾン発
生が少ない正帯電型画像形成装置用の感光体として使用
することができる。図2および図3に示した感光体で
は、露光光源からのレーザ光が電荷輸送層4を通ること
なく電荷発生材料に届き、レーザ光が電荷輸送材料によ
って吸収されることがないため、該レーザ光の発振波長
と同じ短波領域に吸収を持つ電荷輸送材料を使用するこ
とができる。
【0081】このようにして作製した電子写真感光体
を、露光光源として可視光を出力する半導体レーザを備
え、反転現像方式を採用する画像形成装置に搭載して使
用する。
【0082】図5は、本発明の実施の形態による電子写
真感光体を搭載した複写機を示す構成図である。画像形
成装置である複写機は、感光体20、帯電器21、露光
装置である半導体レーザ22、現像装置23、転写装置
24、剥離装置25、クリーニングユニット26および
除電器27を含んで構成される。複写機は、帯電器21
によって感光体20の表面をマイナス極性に均一に帯電
させ、スキャナなどの外部信号源からの画像信号に変調
された半導体レーザ22の出力を感光体20の表面に書
込むことによって、感光体20に静電潜像を形成する。
その感光体20を回転させて露光領域にマイナス帯電さ
れたトナーを付着させて現像する反転現像により、ドッ
ト状のトナー像を形成し、トナー像を転写、定着するこ
とにより画像を得る。半導体レーザ22には、400〜
500nmに主たる発振波長を有する青色光半導体レー
ザ、または500〜600nmに主たる発振波長を有す
る緑色半導体レーザを用いる。
【0083】このような半導体レーザ22を光源とし、
前述のペリノン系化合物を電荷発生材料として含有する
電子写真感光体を搭載することにより、従来からのガス
レーザに対して非常に小型軽量で消費エネルギが小さ
く、さらに近赤外半導体レーザに比べ光学系の設計を変
更することなく非常に記録密度の高い高解像度の画像を
容易に得られる画像形成装置を低原価で提供することが
できる。特に反転現像プロセスにおいて、前記電子写真
感光体を使用することにより、感光体の疲労劣化がな
く、高感度かつ高耐久性であり、シャープなドット画像
を形成することができるため、高解像度な画質を有する
画像形成装置を提供することができる。
【0084】以下、本発明による電子写真感光体および
これを用いた画像形成装置について、実施例により図面
を参照してさらに具体的に説明するが、本発明は以下の
実施例に限定されるものではない。
【0085】[実施例1]Al23およびZrO2で表
面処理を行った樹枝状の酸化チタン(石原産業社製:T
TO−D−1)9重量部および共重合ナイロン樹脂(東
レ社製:CM8000)9重量部を、1,3−ジオキソ
ラン41重量部およびメチルアルコール41重量部に加
え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、下引
き層用塗布液を調製した。アルミニウム基板上にベーカ
ーアプリケータにて乾燥後の膜厚が1μmになるように
塗布して下引き層2を形成した。
【0086】次に、例示化合物(2)−1のトランス型
のペリノン系化合物2重量部を、テトラヒドロフラン9
7重量部にブチラール樹脂(積水化学社製:BX−1)
1重量部を溶解させた樹脂溶液に加えた後、ペイントシ
ェーカで10時間分散させ、電荷発生層用塗布液を調製
した。この塗布液を下引き層2上にベーカーアプリケー
タにて乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布して電荷
発生層3を形成した。
【0087】さらに、下記構造式(6)で示される電荷
輸送材料10重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯
化学社製:Z200)10重量部とを、テトラヒドロフ
ラン80重量部に溶解させた後、この塗布液を電荷発生
層3上にベーカーアプリケータにて、乾燥後の膜厚が1
8μmになるように塗布して電荷輸送層4を形成した。
このようにして図1に示した層構成を持つ積層型の電子
写真感光体を作製した。
【0088】
【化14】
【0089】[実施例2および3]例示化合物(2)−
1に代えて例示化合物(1)−13および(1)−4で
示されるペリノン系化合物をそれぞれ用いた以外は、実
施例1と同様にして各々実施例2および実施例3の電子
写真感光体を作製した。
【0090】[比較例1]例示化合物(2)−1に代え
てτ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製造社製:T
PA−891)を用いた以外は、実施例1と同様にして
電子写真感光体を作製した。
【0091】[評価1]前述のようにして作製した実施
例1〜3および比較例1の電子写真感光体を、静電複写
機試験装置(川口電機社製:EPA−8200)を用い
て下記の条件下で評価した。
【0092】感光体の表面電位:−600V 露光波長(モノクロメータにて分離):400nm,5
00nm,600nm 評価感度(E1/2):各単色波長で表面電位が−300
Vを示すときの光量から換算
【0093】さらに、500nmの単色光を用いて初期
の暗部電位(Vo:−600V設定)および明部電位
(Vl:−100V設定)の感度から、帯電、露光およ
び除電を1000回繰返した後の電位変化量(ΔVoお
よびΔVl)をそれぞれ求めた。電位の上昇はプラス、
低下はマイナスで示す。その評価結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】表3から、実施例1〜3の電子写真感光体
は比較例1に比べ、短波長領域での感度が優れているう
えに、繰返し特性も安定していることが判る。
【0096】[実施例4]実施例1と同様にして、下引
き層用塗布液を調製し、これをアルミニウム基板上に乾
燥後の膜厚が1μmになるように塗布して、下引き層2
を形成した。
【0097】次に、実施例1で使用した電荷輸送材料の
代りに、下記構造式(7)で示される電荷輸送材料を用
いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層用塗布液
を調製し、これを下引き層2上に実施例1と同様に乾燥
後の膜厚が18μmになるように塗布し、電荷輸送層4
を形成した。
【0098】さらに、実施例1で使用した例示化合物
(2)−1に代えて、例示化合物(2)−2で示される
ペリノン系化合物を用いた以外は、実施例1と同様にし
て電荷発生層用塗布液を調製した。これを電荷輸送層4
上に実施例1と同様に乾燥後の膜厚が1μmになるよう
にして塗布して電荷発生層3を形成することによって、
図2に示した層構成を持つ積層型の電子写真感光体を作
製した。
【0099】
【化15】
【0100】[実施例5]実施例1と同様にして下引き
層用塗布液を調製し、これをアルミニウム基板上に乾燥
後の膜厚が1μmになるように塗布して下引き層2を形
成した。
【0101】次に、下記の成分をボールミルで12時間
分散し、感光層用塗布液を調製した。その塗布液を下引
き層2上にベーカーアプリケータによって塗布し、11
0℃で1時間、熱風乾燥し、乾燥膜厚20μmの感光層
15を形成して図3の層構成を持つ単層型の電子写真感
光体を作製した。
【0102】 (感光層塗布液) 例示化合物(1)−12 17.1重量部 ポリカーボネート樹脂 Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部 ヒドラゾン系化合物 下記構造式(8)で示される化合物 17.1重量部 ジフェノキノン化合物 下記構造式(9)で示される化合物 17.1重量部 テトラヒドロフラン 100重量部
【0103】
【化16】
【0104】
【化17】
【0105】[比較例2]比較例1において、電荷輸送
材料を前記構造式(7)で示される化合物に代えて使用
し、電荷輸送層4を電荷発生層3より先に形成し、比較
例1の電荷発生層3および電荷輸送層4の層構成を逆に
した図2の積層型電子写真感光体を作製した。
【0106】[評価2]実施例4、実施例5および比較
例2の電子写真感光体について、帯電極性をプラスとし
た以外は、評価1と同様にして感度および繰返し特性を
測定した。これらの評価結果を表4に示す。
【0107】
【表4】
【0108】表4の結果から、実施例4および5の電子
写真感光体は比較例2に比べ、短波長領域での感度が優
れているうえに、繰り返し特性にも安定していることが
判る。
【0109】[実施例6]実施例1において、酸化チタ
ンの代りに表面未処理の針状酸化チタン(テイカ社製:
MT−150A)を用い、共重合ナイロン樹脂の代りに
N−メトキシメチル化ナイロン樹脂(帝国化学社製:E
F−30T)を用いた以外は、実施例1と同様にして下
引き層用塗布液を調製した。
【0110】この塗布液を図2に示した浸漬塗布装置の
塗布槽13に満たし、その塗布液中に、アルミニウム製
で厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ3
26.3mmの導電性支持体1を浸漬し、その表面に塗
布して乾燥膜厚が1.0μmの下引き層2を形成した。
【0111】次に実施例1で使用したペリノン系化合物
について、例示化合物(2)−1のトランス型のペリノ
ン系化合物と、例示化合物(3)−1のシス型のペリノ
ン系化合物との異性体を、各々1重量部ずつ用いた以外
は、実施例1と同様にして電荷発生層用塗布液を調製し
た。この塗布液中に下引き層2を形成したアルミニウム
製ドラムを浸漬塗布した後、100℃で10分間乾燥し
て膜厚1μmの電荷発生層3を形成した。
【0112】さらに、電荷発生層3が形成されたドラム
を、実施例1と全く同様にして調製した電荷輸送層用塗
布液中に浸漬塗布し、この塗布液を電荷発生層3上に塗
布した後、110℃で1時間乾燥して乾燥膜厚20μm
の電荷輸送層4を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0113】[比較例3]実施例6で用いた電荷発生材
料の代りに、τ型無金属フタロシアニン(東洋インキ製
造社製:TPA−891)を電荷発生材料として用いた
以外は、実施例6と同様にして電子写真感光体を作製し
た。
【0114】[評価3]実施例6および比較例3の電子
写真感光体を、複写機(シャープ社製:AR−N20
0)の改造機において、露光光源として発振波長48
9.9nmの半導体レーザ(ソニー社製)を搭載し、6
00dpi相当の1ドット1スペース画像および5ポイ
ントの文字画像を出力し、画像評価を行った。その結果
を表5に示す。
【0115】
【表5】 ドット再現性 ○:鮮明な画像 ×:ドットの乱れが
発生し不鮮明 文字再現性 ○:鮮明な画像 ×:文字が不鮮明
【0116】表5から、実施例6の電子写真感光体を搭
載した画像形成装置では、ドットの再現性や文字再現性
に非常に優れ、高解像度の出力画像が得られることが判
った。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、電荷発生材料として特
定のペリノン系化合物を含有することによって、露光光
源である可視光を出力するレーザに対して、高感度を有
し、光によって疲労劣化しない耐久性に優れる電子写真
感光体を提供することができる。
【0118】また本発明によれば、画像形成装置におい
て、可視光領域を出力する半導体レーザを光源とし、前
記電子写真感光体を搭載することにより、従来からのガ
スレーザに対して非常に小型軽量で消費エネルギが小さ
く、低原価で高感度かつ高耐久性を有する画像形成装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による電子写真感光体の層構成の
一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本実施の形態による電子写真感光体の層構成の
他の例を模式的に示す断面図である。
【図3】本実施の形態による電子写真感光体の層構成の
さらに他の例を模式的に示す断面図である。
【図4】浸漬塗布法において用いる浸漬塗布装置の一例
を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態による電子写真感光体を搭
載した複写機を示す構成図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 下引き層 3 電荷発生層 4 電荷輸送層 5,15 感光層
フロントページの続き (72)発明者 ▲角▼井 幹男 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 川原 在彦 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 藤田 さやか 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H068 AA19 AA21 AA31 AA32 BA55 FB05 FC05 FC08 2H076 AB05 DA37

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光を出力するレーザ光を露光光源と
    して使用される電子写真感光体であって、導電性支持体
    上の感光層は、電荷発生材料として下記一般式(1)、
    (2)および(3)で示されるペリノン系化合物のうち
    の少なくとも1つの化合物を含有していることを特徴と
    する電子写真感光体。 【化1】 (一般式(1)中、kおよびmは、0〜3の整数を示
    す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置
    換のアミノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、また
    は、置換もしくは未置換のアリール基を示す。aは、0
    〜4の整数を示す。bおよびdは、0〜3の整数を示
    す。ただし、k、m、a、bおよびdが各々2以上のと
    き、Rは同一でも異なっていてもよく、互いに隣接する
    Rが結合して飽和脂肪族環、芳香族環もしくは複素環を
    形成してもよい。) 【化2】 【化3】 (一般式(2)および(3)中、k、mおよびRは、一
    般式(1)において示したものと同義である。nおよび
    pは、0〜3の整数を示す。xは、0〜2の整数を示
    す。yおよびzは、0〜2の整数を示す。ただし、n、
    p、x、yおよびzが各々2以上のとき、Rは同一でも
    異なっていてもよく、互いに隣接するRが結合して飽和
    脂肪族環、芳香族環、もしくは複素環を形成してもよ
    い。)
  2. 【請求項2】 前記感光層が、少なくとも前記電荷発生
    材料を樹脂中に分散させた単一層から成る単層型である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記感光層が、少なくとも電荷発生層上
    に電荷輸送層が形成された積層型であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記電荷発生材料が、少なくとも下記構
    造式(4)および(5)で示されるペリノン化合物のい
    ずれかであることを特徴とする請求項1記載の電子写真
    感光体。 【化4】 【化5】
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電子写
    真感光体と、帯電、露光、現像、転写およびクリーニン
    グの各手段とを含み、画像を形成する画像形成装置であ
    って、該露光手段には、可視光を出力する半導体レーザ
    を光源として備えていることを特徴とする画像形成装
    置。
  6. 【請求項6】 前記半導体レーザが、400nm以上5
    00nm未満の波長範囲に主たる発振波長を有すること
    を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 前記半導体レーザが、500nm以上6
    00nm以下の波長範囲に主たる発振波長を有すること
    を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 反転現像プロセスを用いて画像を形成す
    ることを特徴とする請求項5〜7のうちのいずれか1記
    載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014507491A (ja) * 2010-12-17 2014-03-27 バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 耐候性について高安定性を有する有機着色剤および着色ポリマー組成物
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