JP2002121537A - 塩素系殺菌剤の中和剤および、樹脂および繊維組成物 - Google Patents

塩素系殺菌剤の中和剤および、樹脂および繊維組成物

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JP2002121537A JP2000310228A JP2000310228A JP2002121537A JP 2002121537 A JP2002121537 A JP 2002121537A JP 2000310228 A JP2000310228 A JP 2000310228A JP 2000310228 A JP2000310228 A JP 2000310228A JP 2002121537 A JP2002121537 A JP 2002121537A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の塩素中和剤よりも中和能力が優れ、然も
樹脂とか繊維に配合しても分散性、紡糸性に問題が無
く、且つ、加工機械、ミシン等の磨耗性が低い中和剤及
び該中和剤製造方法の提供、耐塩素性樹脂または繊維組
成物の提供。 【解決手段】下記式(1) 【化1】 (但し、式中、xは0<x<0.167、M3+はAl等
の3価金属)で表わされ、累積50%の平均2次粒子径
が1.5μm、好ましくは1μm以下で、好ましくはア
ニオン系界面活性剤で表面処理した酸化亜鉛系固溶体を
有効成分とする塩素中和剤を、樹脂または繊維100重
量部に対し、0.01〜20重量部配合する。上記中和
剤の焼成前駆体を水熱処理することを特徴とする上記中
和剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、次亜塩素酸ナトリ
ウム、二酸化塩素等の塩素系殺菌剤の新規な中和剤(不
活性化剤)、及び該中和剤を含有することを特徴とする
樹脂または繊維組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉、高度
さらし粉、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等のいわゆ
る塩素系殺菌剤は低濃度で殺菌力が強く、しかも安価で
あることから、上・下水道、プール、温泉、水耕栽培等
の水の殺菌に広く使用されている。
【0003】しかし、塩素系殺菌剤は水に溶存している
有機化合物と反応してトリハロメタン等の発ガン性物質
を生成するとか、プール等の金属配管の腐蝕を促進させ
るとか、プールで泳ぐ人の髪を変色させたり、虹彩と
か、肌を刺激するとか、水着が変色したり、強度が低下
するとか、水道用ポリエチレン管が脆化し易いとか等の
種々の問題を生じる。
【0004】そのため、目的の殺菌が終った後の残存す
る塩素系殺菌剤を不活性化したり、塩素系殺菌剤から樹
脂とか繊維の劣化を防ぐ中和剤が開発されている。その
ような中和剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、ハイドロタルサイト(代表的にはMg4Al
2(OH)12CO3・3H2O)、亜鉛またはマグネシウ
ム:アルミニウムのモル比が1〜5:1の複合酸化物
[特開平10−292225]が提案されている。
【0005】前3者は中和活性が比較的低い問題があ
る。酸化マグネシウムはそれとは別に、中和処理後の水
のpHが約10近くまで上がり、且つ、耐酸性が弱い欠
点がある。プール水とかシャワー水等は中性付近が望ま
れている。
【0006】複合酸化物は前3者に比べると中和活性が
改善されている。しかし、樹脂中での分散と中和活性を
良くするため、ZnOとは別にスピネル(ZnAl
24)が生成する約700℃以上で焼成する必要があ
る。ところが、スピネルはモース硬度が高いため、加工
時の金属の磨耗が激しい問題がある。また、Zn:Al
のモル比が3を超えると凝集が強くなり、樹脂及び繊維
中での分散が悪化する問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の中和剤
の中で、最も優れている亜鉛とアルミニウムの複合酸化
物よりも更に中和活性が高く、スピネル副生による金属
磨耗の問題を生じず、微粒子で高分散性の新規な中和剤
を提供することを目的とする。更に本発明は該中和剤の
製造方法の提供を目的とする。そして更に、該中和剤を
含有する樹脂または繊維組成物を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は下記式(1)
【化1】 (但し、式中M3+はAl、Fe、In等の3価金属を示
し、xは0<x<0.167[1/6]、好ましくは
0.01≦x<0.167、特に好ましくは0.02≦
x≦0.15の範囲を満足する正の数を示し、δは格子
欠陥を示す)で表わされる酸化亜鉛の結晶に、アルミニ
ウム等の3価金属が固溶した酸化亜鉛固溶体を有効成分
とする塩素系殺菌剤の中和剤を提供する。該中和剤は樹
脂または繊維に配合する場合、累積50%の平均2次粒
子径が0.1〜1.5μm、特には0.1〜1.0μm
の範囲にあり、累積90%の平均2次粒子径が3μm以
下、特には2μm以下で、0.1〜10重量%、特には
0.5〜3重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理さ
れていることが好ましい。更に本発明は、水溶性の亜鉛
化合物とアルミニウム化合物の混合水溶液にアルカリを
加えて、約pH6以上で共沈させた後、100〜150
℃で約5時間以上、好ましくは10時間以上、水熱処理
後、焼成(300〜1000℃、好ましくは400〜9
00℃)する上記中和剤の製造方法を提供する。本発明
は更に、100重量部の樹脂または繊維に0.01〜2
0重量部の上記中和剤を有効成分として含有する耐塩素
性樹脂または繊維組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の式(1)で表わされる酸
化亜鉛固溶体は、M3+が例えばAlの場合、Alがほぼ
固溶範囲内にあるため、700℃以上で焼成してもスピ
ネルは殆ど生成しないか全く生成しない。従って、モー
ス硬度が高くならず、金属の磨耗の問題は発生しない。
しかも、中和活性が前述の亜鉛とアルミニウムの複合酸
化物に比べ、最大で約2.5倍に達する。その理由は塩
素の中和活性が全く無いスピネルを含まないためと考え
られる。本発明塩素中和剤のメカニズムは次の様に考え
られる。ZnOはn型半導体のため電子供与性であり、
これにZnより原子価の大きいAlが固溶すると、さら
に電子供与性はAlの固溶量に比例して増加する。この
電子により、+1または+2価の塩素が還元されて、−
1価の塩素イオンとなり、酸化力を失う。従って、Al
が固溶限界を超えてZnOに供給されると(xが約0.
15以上)、固溶限界以上のAlが塩素中和に不活性で
モース硬度が高いスピネル(ZnAl24)を生成し、
これが塩素中和に活性なAl固溶ZnOの結晶表面を被
覆することとなり、中和活性をさらに低下させる。ま
た、固溶限界を超えるAlが多くなる程、水酸化物(ハ
イドロタルサイトが主成分)を焼成後のBET比表面積
が大きくなり、樹脂中での分散性を悪化させる。逆に固
溶するAlの量が少なすぎると電子供与性が低下するの
で、固溶量xは0.01以上、特には0.02以上が好
ましい。
【0010】本発明の中和剤は純粋なZnOより少し高
角度側にシフトしているが、酸化亜鉛と同じX線回析パ
ターンを示す。Zn/Alのモル比が3を超えると凝集
性が強くなり、樹脂に適用するのは難しかったが、本発
明によりZnとAlの塩の水溶液とアルカリで、約pH
6以上で共沈後、水熱処理をすることによりその問題を
解決した。本発明の中和剤の製造は、塩化亜鉛、硝酸亜
鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛の水溶性塩と、塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸
ソーダ等のアルミニウム水溶性塩との混合水溶液、また
は単独溶液と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸ナトリウム等のアルカリの水溶液とをpHを約6以
上、好ましくは7〜12で共沈させた後、好ましくは炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩の水溶
液で洗浄してからスラリー状にしてオートクレーブに入
れ、約100〜150℃で約5時間以上、好ましくは約
10時間以上、水熱処理する。この後、ろ過、乾燥、粉
砕後、300〜1000℃、好ましくは400〜900
℃で焼成する。水熱処理を行うことにより、本発明中和
剤は飛躍的に微粒子・高分散性となる。その結果、焼成
後で累積50%の平均2次粒子径が約1μm以下とな
り、樹脂フィルム、繊維等に配合しても分散性、紡糸性
の問題は無い。
【0011】粒度分布(平均2次粒子径)の測定は、イ
ソプロピルアルコールに試料を加え、超音波処理を5分
間行って分散させた後、セイシン製レーザー回析法粒度
分布測定器を用いて測定する。
【0012】但し、樹脂に配合する場合は、樹脂との相
溶性を高める為に0.1〜10重量%、好ましくは0.
5〜3重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理した本
発明中和剤を用いることが好ましい。表面処理は本発明
中和剤粉末をエチルアルコール、イソプロピルアルコー
ル等の溶媒の共存下、または非共存下に、ヘンシェルミ
キサー等の攪拌機に入れ、攪拌下に表面処理剤をアルコ
ール等の溶剤に溶解、または分散させた液状、またはエ
マルジョン状の物を加熱下、または非加熱下に分散、滴
下させることにより実施することができる。
【0013】本発明で使用する表面処理剤としては、高
級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、リン酸エステ
ル、シラン、チタン及びアルミニウム系カップリング
剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル類等が例示され
る。この中で特に好ましいのは、ラウリン酸、ステアリ
ン酸、ステリルアシッドフォスフェート、ラウリルアシ
ッドフォスフェートである。
【0014】本発明で用いられる樹脂または繊維として
は次の様なものが例示される。例えば、ポリエチレン、
エチレンとα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレ
ン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニルとα−オレフィンとの共重合
体、ポリブテン−1、ポリスチレン、ポリエステル、ポ
リエーテル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹
脂。EPM、EPDM、シリコーンゴム、ウレタンゴ
ム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、NBRゴム等のゴ
ム。ポリウレタン(弾性)繊維、ナイロン、ポリエステ
ル、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン
繊維等の繊維。
【0015】本発明において、樹脂と中和剤との混合混
練は特別な制約は無く、両者を均一に混合し得る任意の
混合手段を採用できる。例えば、一軸または二軸押出
機、ロール、バンバリーミキサー等である。成形方法
は、例えば、射出成形、インフレーションフィルム成
形、T−ダイフィルム成形、カレンダー成形、押出し成
形、ブロー成形、プレス成形、回転成形、シートフォー
ミング成形、トランスファー成形、積層成形、真空成形
等である。繊維の場合は、紡糸前のポリマー溶液、また
はポリマー原料中、またはポリマー反応中に本発明中和
剤を添加後、ポリマー溶液を公知の乾式、または湿式紡
糸により、本発明中和剤配合繊維を製造できる。本発明
の樹脂組成物は樹脂100重量部に対して、中和剤を
0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部で
ある。
【0016】本発明の塩素系殺菌剤の中和剤は、直径が
0.1〜10mmの球形、円柱形等の形に造粒してカラ
ムに充填し、通水することにより、例えば、塩素殺菌プ
ール水、水道水を使用するシャワー水とか、観賞魚水等
の、塩素の中和にも使用できる。さらに、カイワレ大根
等、農産物の塩素殺菌処理水の中和等にも使用できる。
【0017】以下、実施例に基づき本発明をより詳細に
説明する。
【0018】
【実施例1】塩化亜鉛と硝酸アルミニウムの混合水溶液
(Zn2+=1.0モル/リットル、Al3+=0.1モル
/リットル)と4モル/リットルの水酸化ナトリウム水
溶液を、定量ポンプを用いて、混合水溶液を100ミリ
リットル/分、アルカリを約pH11(約25℃)に保
つように流量を調節して、容量2リットルのオーバーフ
ロー付き反応槽に攪拌下に供給し、共沈反応させた。反
応液(スラリー状)の1定量を採り、減圧ろ過後、約
0.2モル/リットルの炭酸ナトリウムで、ろ過中にA
gNO3を加えても白濁しなくなるまで洗浄し、得られ
たケーキに水を加え、攪拌して均一に分散後、オートク
レーブに入れ、120℃で15時間水熱処理を行った。
この処理物をろ過、乾燥、粉砕後、電気炉に入れ、50
0℃で1時間焼成した。焼成物は酸化亜鉛のみ(但し、
純粋なZnOより少し高角側にシフトしている)のパタ
―ンを示し、AlがZnOに固溶したZnO系固溶体で
あることを示している。焼成物の組成は、化学分析(キ
レート滴定法)の結果、下記の通りであった。
【化2】 (δ:格子欠陥)(モル比:Zn/Al=10) 焼成物のBET比表面積は32平方メートル/g、累積
50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.
56μm、1.21μmであった。この物の中和活性テ
スト結果を表1に示す。
【0019】
【実施例2】実施例1において、焼成温度を500℃か
ら800℃に変更する以外は実施例1と同様に行った。
焼成物のX線回析パターン及び化学組成は実施例1と同
じであった。BET比表面積は9平方メートル/g、累
積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ
0.61μm、1.41μmであった。この物の中和活
性テスト結果を表1に示す。
【0020】
【実施例3】実施例1において、硝酸アルミニウムの濃
度を0.14モル/リットルに変更する以外は実施例1
と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を600
℃、1時間電気炉で焼成した。焼成物の粉末X線回析は
純粋なZnOより少し高角側にシフトしているが、Zn
Oのみの回析パターンを示したのでAlがZnOに固溶
していることを示している。この物のBET比表面積は
52平方メートル/g、累積50%および90%の平均
2次粒子径は、それぞれ0.77μm、1.44μmで
あった。化学分析の結果、化学組成は次の通りであっ
た。
【化3】 (モル比:Zn/Al=7.3) この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0021】
【実施例4】実施例1において、硝酸アルミニウムの濃
度を0.04モル/リットルに変更する以外は実施例1
と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を500℃
で1時間焼成し、粉末X線回析を測定した結果、ZnO
より少し高角側にシフトしているが、ZnOのみの回析
パターンを示した。この物のBET比表面積は22平方
メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子
径は、それぞれ0.49μm、1.16μmであった。
化学分析の結果、化学組成は次の通りであった。
【化4】 (モル比:Zn/Al=24) この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0022】
【実施例5】実施例1において、硝酸アルミニウムの濃
度を0.025モル/リットルに変更する以外は実施例
1と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を400
℃で1時間焼成し、粉末X線回析を測定した結果、Zn
Oより少し高角側にシフトしているが、ZnOのみの回
析パターンを示した。この物のBET比表面積は21平
方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒
子径は、それぞれ0.71μm、1.98μmであっ
た。化学分析の結果、化学組成は次の通りであった。
【化5】 (モル比:Zn/Al=39) この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0023】
【比較例1】市販の1号亜鉛華を用い、実施例1と同様
にしてNaClOの中和活性を測定した結果を表1に示
す。
【0024】
【比較例2】実施例1において、硝酸アルミニウムの濃
度を0.5モル/リットルに変更する以外は実施例1と
同様に行って乾燥粉末を得た。この物の粉末X線回析
は、ハイドロタルサイトのみのパターンであった。この
物を800℃で焼成した。その粉末X線回析はZnOと
ZnAl24のパターンであり、両者の混合物であるこ
とが示された。化学分析の結果、Zn/Alのモル比は
22であった。この物を用い、実施例1と同様にしてN
aClOの中和活性を測定した結果を表1に示す。
【0025】
【実施例6】高密度ポリエチレン100重量部に、カー
ボンブラック3重量部と実施例1、3および4で得られ
た3種類の酸化亜鉛固溶体を、それぞれ1重量%のステ
アリン酸で表面処理し、それぞれ0.2重量部配合し、
混合後、押出し機を用いて200℃で熔融混練、造粒
し、ペレットを作成した。このペレットを用い、加圧成
型機により温度200℃で予熱後、50kg/平方セン
チメートルの圧力で厚さ2mmのシートを作成した。こ
のシートから20mm×150mmのテストピースを切
り出し、活性塩素濃度1000ppm、温度60℃の次
亜塩素酸ナトリウム添加水中にこのテストピースを浸潰
し、表面に水泡が現れるまでの時間を目視により測定し
た。その結果を表2に示す。塩素にポリエチレンが侵さ
れると水泡が生じるため、水泡が発生するまでの時間
(日数)が耐塩素性を示すことになる。上記、酸化亜鉛
固溶体の表面処理は次の様にして行った。100gの酸
化亜鉛固溶体を約200ミリリットルのエチルアルコー
ルに加え、攪拌し、均一に分散させた後、1gのステア
リン酸を約20ミリリットルのエチルアルコールに約6
0℃に過熱溶解したステアリン酸溶液を攪拌下に徐々に
加え、約20分間攪拌を継続した。これを減圧ろ過後、
乾燥、粉砕した。
【0026】
【比較例3】実施例6の耐塩素テストにおいて、酸化亜
鉛固溶体の代わりに酸化亜鉛を(1号亜鉛華)を0.2
部用いる以外は同様に行った。その結果を表2に示す。
【0027】
【比較例4】実施例6の耐塩素テストにおいて、酸化亜
鉛固溶体の代わりにハイドロタルサイト[Mg4Al
2(OH)12CO3・3H2O]を0.2重量部用いる以
外は同様に行った。その結果を表2に示す。
【0028】
【実施例7】平均分子量2000のポリテトラメチレン
エーテルグリコールと4,4‘−ジフェニルメタンジイ
ソシアネートとをモル比で1:2の割合で混合し、窒素
ガス雰囲気中、役60℃で90分反応させ、ポリウレタ
ンプレポリマーを製造した。これを冷却後、ジメチルア
セトアミドに溶解し、1,2プロピレンジアミンで鎖延
長を行い、ポリマー濃度30%重量、粘度2100ポイ
ズ(30℃)のポリウレタン溶液を調製した。実施例
1、2および3で得られた酸化亜鉛固溶体100gを、
それぞれ100mlのエチルアルコールに攪拌、分散さ
せた後、1.5gのステアリルアシッドフォスフェート
を溶解した50ml(約68℃)のエチルアルコール溶
液を攪拌下に加え、約20分間攪拌を継続後、ろ過、乾
燥、粉砕した。この酸化亜鉛固溶体粉末をジメチルアセ
トアミドにホモジナイザーで分散処理後、上記ポリウレ
タン溶液に、ポリウレタン100重量部に対し、酸化亜
鉛固溶体が5重量部となるように加え、均一混合後、常
法に従い乾式紡糸して40デニル/4フィラメントのポ
リウレタン系弾性繊維を作成した。この糸を用い、耐塩
素性試験を行った。 [耐塩素性試験]糸を50%伸長させ、30℃(pH
7.5)で活性塩素を5ppm含有する水に72時間浸
潰し、浸潰前後の強力を測定し、強力保持率を求め、劣
化の程度を評価した。強力保持率が高いほど塩素劣化が
少ないことを意味する。その結果を表3に示す。
【0029】
【比較例5】実施例7の耐塩素性試験において、塩素中
和剤として1号亜鉛華を用いる以外は同様にして行っ
た。その結果を表3に示す。
【0030】
【比較例6】実施例1において、水熱処理を省略する以
外は同様に行って焼成前の粉末を合成した後、500℃
で1時間焼成した。この物は粉末X線回析の結果、酸化
亜鉛固溶体であることが判った。この物のBET比表面
積は47平方メートル/g、累積50%および90%の
平均2次粒子径は、それぞれ3.25μm、7.81μ
mであった。化学組成は実施例1の[化2]と同じであ
った。この物を実施例7と同様に表面処理後、耐塩素性
試験を行った結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、塩素系殺菌剤の中和能
力が従来の中和剤に比べ、約2〜3倍に向上する。しか
も、スピネル(ZnAl24)が生成しないため、磨耗
性の問題が発生しない。その結果、例えば、水道水用ポ
リエチレン管とかポリウレタン繊維に本発明中和剤を配
合することにより、ポリエチレン管とかポリウレタン繊
維の耐塩素性を著しく改善できる。然も、本発明の製造
方法を採用することにより、従来品の製造方法では困難
であった樹脂及び繊維中での高分散性、良好な紡糸性を
実現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 1/10 D01F 1/10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (但し、式中M3+はAl、Fe、In、Ga等の3価の
    金属を示し、xは次の範囲、0<x<0.167[1/
    6]を満足する正の数を示し、δは格子欠陥を示す)で
    表わされる酸化亜鉛系固溶体を有効成分とすることを特
    徴とする塩素系殺菌剤の中和剤。
  2. 【請求項2】請求項1の式(1)において、M3+がAl
    である請求項1記載の中和剤。
  3. 【請求項3】 請求項1の式(1)において、xの範囲
    が0.01≦x<0.167である請求項1記載の中和
    剤。
  4. 【請求項4】 レーザー回析法で測定した累積50%お
    よび90%の平均2次粒子径が、それぞれ1.5μm以
    下、3μm以下である請求項1記載の塩素中和剤。
  5. 【請求項5】 0.1〜10重量%のアニオン系界面活
    性剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1記
    載の中和剤。
  6. 【請求項6】 亜鉛と3価金属の混合水溶液にアルカリ
    を攪拌下に加えて、約pH6以上で共沈し、好ましくは
    炭酸アルカリ、またはアンモニウム塩水溶液で洗浄し、
    100〜150℃で5時間以上、好ましくは10時間以
    上、水熱処理し、ろ過、乾燥後、300〜1000℃、
    好ましくは400〜900℃で焼成することを特徴とす
    る請求項1記載の中和剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 樹脂または繊維100重量部に、0.0
    1〜20重量部の請求項1記載の酸化亜鉛系固溶体を含
    有することを特徴とする耐塩素性樹脂または繊維組成
    物。
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