JP3922680B2 - 塩素系殺菌剤の中和剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素等の塩素系殺菌剤の新規な中和剤(不活性化剤)、及び該中和剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉、高度さらし粉、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等のいわゆる塩素系殺菌剤は低濃度で殺菌力が強く、しかも安価であることから、上・下水道、プール、温泉、水耕栽培等の水の殺菌に広く使用されている。
【0003】
しかし、塩素系殺菌剤は水に溶存している有機化合物と反応してトリハロメタン等の発ガン性物質を生成するとか、プール等の金属配管の腐蝕を促進させるとか、プールで泳ぐ人の髪を変色させたり、虹彩とか、肌を刺激するとか、水着が変色したり、強度が低下するとか、水道用ポリエチレン管が脆化し易いとか等の種々の問題を生じる。
【0004】
そのため、目的の殺菌が終った後の残存する塩素系殺菌剤を不活性化したり、塩素系殺菌剤から樹脂とか繊維の劣化を防ぐ中和剤が開発されている。そのような中和剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト(代表的にはMg4Al2(OH)12CO3・3H2O)、亜鉛またはマグネシウム:アルミニウムのモル比が1〜5:1の複合酸化物[特開平10−292225]が提案されている。
【0005】
前3者は中和活性が比較的低い問題がある。酸化マグネシウムはそれとは別に、中和処理後の水のpHが約10近くまで上がり、且つ、耐酸性が弱い欠点がある。プール水とかシャワー水等は中性付近が望まれている。
【0006】
複合酸化物は前3者に比べると中和活性が改善されている。しかし、樹脂中での分散と中和活性を良くするため、ZnOとは別にスピネル(ZnAl2O4)が生成する約700℃以上で焼成する必要がある。ところが、スピネルはモース硬度が高いため、加工時の金属の磨耗が激しい問題がある。また、Zn:Alのモル比が3を超えると凝集が強くなり、樹脂及び繊維中での分散が悪化する問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の中和剤の中で、最も優れている亜鉛とアルミニウムの複合酸化物よりも更に中和活性が高く、スピネル副生による金属磨耗の問題を生じず、微粒子で高分散性の新規な中和剤を提供することを目的とする。更に本発明は該中和剤の製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記式(1)
【化1】
(但し、式中M3+はAl、Fe、In等の3価金属を示し、xは0<x<0.167、好ましくは0.01≦x<0.167、特に好ましくは0.02≦x≦0.15の範囲を満足する正の数を示し、δは格子欠陥を示す)で表わされる酸化亜鉛の結晶に、アルミニウム等の3価金属が固溶した酸化亜鉛固溶体を有効成分とする塩素系殺菌剤の中和剤を提供する。該中和剤は樹脂または繊維に配合する場合、累積50%の平均2次粒子径が0.1〜1.5μm、特には0.1〜1.0μmの範囲にあり、累積90%の平均2次粒子径が3μm以下、特には2μm以下で、0.1〜10重量%、特には0.5〜3重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理されていることが好ましい。更に本発明は、水溶性の亜鉛化合物とアルミニウム化合物の混合水溶液にアルカリを加えて、約pH6以上で共沈させた後、100〜150℃で約5時間以上、好ましくは10時間以上、水熱処理後、焼成(300〜1000℃、好ましくは400〜900℃)する上記中和剤の製造方法を提供する。本発明の好ましい使用例として、100重量部の樹脂または繊維に0.01〜20重量部の上記中和剤を有効成分として含有する耐塩素性樹脂または繊維組成物を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の式(1)で表わされる酸化亜鉛固溶体は、M3+が例えばAlの場合、Alがほぼ固溶範囲内にあるため、700℃以上で焼成してもスピネルは殆ど生成しないか全く生成しない。従って、モース硬度が高くならず、金属の磨耗の問題は発生しない。しかも、中和活性が前述の亜鉛とアルミニウムの複合酸化物に比べ、最大で約2.5倍に達する。その理由は塩素の中和活性が全く無いスピネルを含まないためと考えられる。本発明塩素中和剤のメカニズムは次の様に考えられる。ZnOはn型半導体のため電子供与性であり、これにZnより原子価の大きいAlが固溶すると、さらに電子供与性はAlの固溶量に比例して増加する。この電子により、+1または+2価の塩素が還元されて、−1価の塩素イオンとなり、酸化力を失う。従って、Alが固溶限界を超えてZnOに供給されると(xが約0.15以上)、固溶限界以上のAlが塩素中和に不活性でモース硬度が高いスピネル(ZnAl2O4)を生成し、これが塩素中和に活性なAl固溶ZnOの結晶表面を被覆することとなり、中和活性をさらに低下させる。また、固溶限界を超えるAlが多くなる程、水酸化物(ハイドロタルサイトが主成分)を焼成後のBET比表面積が大きくなり、樹脂中での分散性を悪化させる。逆に固溶するAlの量が少なすぎると電子供与性が低下するので、固溶量xは0.01以上、特には0.02以上が好ましい。
【0010】
本発明の中和剤は純粋なZnOより少し高角度側にシフトしているが、酸化亜鉛と同じX線回析パターンを示す。Zn/Alのモル比が3を超えると凝集性が強くなり、樹脂に適用するのは難しかったが、本発明によりZnとAlの塩の水溶液とアルカリで、約pH6以上で共沈後、水熱処理をすることによりその問題を解決した。本発明の中和剤の製造は、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛の水溶性塩と、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ソーダ等のアルミニウム水溶性塩との混合水溶液、または単独溶液と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液とをpHを約6以上、好ましくは7〜12で共沈させた後、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩の水溶液で洗浄してからスラリー状にしてオートクレーブに入れ、約100〜150℃で約5時間以上、好ましくは約10時間以上、水熱処理する。この後、ろ過、乾燥、粉砕後、300〜1000℃、好ましくは400〜900℃で焼成する。水熱処理を行うことにより、本発明中和剤は飛躍的に微粒子・高分散性となる。その結果、焼成後で累積50%の平均2次粒子径が約1μm以下となり、樹脂フィルム、繊維等に配合しても分散性、紡糸性の問題は無い。
【0011】
粒度分布(平均2次粒子径)の測定は、イソプロピルアルコールに試料を加え、超音波処理を5分間行って分散させた後、セイシン製レーザー回析法粒度分布測定器を用いて測定する。
【0012】
但し、樹脂に配合する場合は、樹脂との相溶性を高める為に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理した本発明中和剤を用いることが好ましい。表面処理は本発明中和剤粉末をエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒の共存下、または非共存下に、ヘンシェルミキサー等の攪拌機に入れ、攪拌下に表面処理剤をアルコール等の溶剤に溶解、または分散させた液状、またはエマルジョン状の物を加熱下、または非加熱下に分散、滴下させることにより実施することができる。
【0013】
本発明で使用する表面処理剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、リン酸エステル、シラン、チタン及びアルミニウム系カップリング剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル類等が例示される。この中で特に好ましいのは、ラウリン酸、ステアリン酸、ステリルアシッドフォスフェート、ラウリルアシッドフォスフェートである。
【0014】
本発明で用いられる樹脂または繊維としては次の様なものが例示される。例えば、ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルとα−オレフィンとの共重合体、ポリブテン−1、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂。EPM、EPDM、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、NBRゴム等のゴム。ポリウレタン(弾性)繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の繊維。
【0015】
本発明において、樹脂と中和剤との混合混練は特別な制約は無く、両者を均一に混合し得る任意の混合手段を採用できる。例えば、一軸または二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等である。成形方法は、例えば、射出成形、インフレーションフィルム成形、T−ダイフィルム成形、カレンダー成形、押出し成形、ブロー成形、プレス成形、回転成形、シートフォーミング成形、トランスファー成形、積層成形、真空成形等である。繊維の場合は、紡糸前のポリマー溶液、またはポリマー原料中、またはポリマー反応中に本発明中和剤を添加後、ポリマー溶液を公知の乾式、または湿式紡糸により、本発明中和剤配合繊維を製造できる。本発明の樹脂組成物は樹脂100重量部に対して、中和剤を0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0016】
本発明の塩素系殺菌剤の中和剤は、直径が0.1〜10mmの球形、円柱形等の形に造粒してカラムに充填し、通水することにより、例えば、塩素殺菌プール水、水道水を使用するシャワー水とか、観賞魚水等の、塩素の中和にも使用できる。さらに、カイワレ大根等、農産物の塩素殺菌処理水の中和等にも使用できる。
【0017】
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。
【0018】
【実施例1】
塩化亜鉛と硝酸アルミニウムの混合水溶液(Zn2+=1.0モル/リットル、Al3+=0.1モル/リットル)と4モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を、定量ポンプを用いて、混合水溶液を100ミリリットル/分、アルカリを約pH11(約25℃)に保つように流量を調節して、容量2リットルのオーバーフロー付き反応槽に攪拌下に供給し、共沈反応させた。反応液(スラリー状)の1定量を採り、減圧ろ過後、約0.2モル/リットルの炭酸ナトリウムで、ろ過中にAgNO3を加えても白濁しなくなるまで洗浄し、得られたケーキに水を加え、攪拌して均一に分散後、オートクレーブに入れ、120℃で15時間水熱処理を行った。この処理物をろ過、乾燥、粉砕後、電気炉に入れ、500℃で1時間焼成した。焼成物は酸化亜鉛のみ(但し、純粋なZnOより少し高角側にシフトしている)のパターンを示し、AlがZnOに固溶したZnO系固溶体であることを示している。焼成物の組成は、化学分析(キレート滴定法)の結果、下記の通りであった。
【化2】
(δ:格子欠陥)(モル比:Zn/Al=10)
焼成物のBET比表面積は32平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.56μm、1.21μmであった。この物の中和活性テスト結果を表1に示す。中和活性テストの方法は、有効塩素量がCl換算で50ppmの水溶液200mlを容量300mlのエルレンマイヤーフラスコに採り、これに試料1.0gを添加し、栓をして、20℃の恒温水槽に浸し、マグネチックスターラーで1時間撹拌する。これを濾過し、濾液から100mlを採り、有効塩素濃度をヨウ素滴定法で定量し、吸着、中和された有効塩素量を求める。
【0019】
【実施例2】
実施例1において、焼成温度を500℃から800℃に変更する以外は実施例1と同様に行った。焼成物のX線回析パターン及び化学組成は実施例1と同じであった。BET比表面積は9平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.61μm、1.41μmであった。この物の中和活性テスト結果を表1に示す。
【0020】
【実施例3】
実施例1において、硝酸アルミニウムの濃度を0.14モル/リットルに変更する以外は実施例1と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を600℃、1時間電気炉で焼成した。焼成物の粉末X線回析は純粋なZnOより少し高角側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンを示したのでAlがZnOに固溶していることを示している。この物のBET比表面積は52平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.77μm、1.44μmであった。化学分析の結果、化学組成は次の通りであった。
【化3】
(モル比:Zn/Al=7.3)
この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0021】
【実施例4】
実施例1において、硝酸アルミニウムの濃度を0.04モル/リットルに変更する以外は実施例1と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を500℃で1時間焼成し、粉末X線回析を測定した結果、ZnOより少し高角側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンを示した。この物のBET比表面積は22平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.49μm、1.16μmであった。化学分析の結果、化学組成は次の通りであった。
【化4】
(モル比:Zn/Al=24)
この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0022】
【実施例5】
実施例1において、硝酸アルミニウムの濃度を0.025モル/リットルに変更する以外は実施例1と同様に行って焼成前の粉末を得た。この物を400℃で1時間焼成し、粉末X線回析を測定した結果、ZnOより少し高角側にシフトしているが、ZnOのみの回析パターンを示した。この物のBET比表面積は21平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ0.71μm、1.98μmであった。化学分析の結果、化学組成は次の通りであった。
【化5】
(モル比:Zn/Al=39)
この物の中和活性測定結果を表1に示す。
【0023】
【比較例1】
市販の1号亜鉛華を用い、実施例1と同様にしてNaClOの中和活性を測定した結果を表1に示す。
【0024】
【比較例2】
実施例1において、硝酸アルミニウムの濃度を0.5モル/リットルに変更する以外は実施例1と同様に行って乾燥粉末を得た。この物の粉末X線回析は、ハイドロタルサイトのみのパターンであった。この物を800℃で焼成した。その粉末X線回析はZnOとZnAl2O4のパターンであり、両者の混合物であることが示された。化学分析の結果、Zn/Alのモル比は22であった。この物を用い、実施例1と同様にしてNaClOの中和活性を測定した結果を表1に示す。
【0025】
【参考例1】
高密度ポリエチレン100重量部に、カーボンブラック3重量部と実施例1、3および4で得られた3種類の酸化亜鉛固溶体を、それぞれ1重量%のステアリン酸で表面処理し、それぞれ0.2重量部配合し、混合後、押出し機を用いて200℃で熔融混練、造粒し、ペレットを作成した。このペレットを用い、加圧成型機により温度200℃で予熱後、50kg/平方センチメートルの圧力で厚さ2mmのシートを作成した。このシートから20mm×150mmのテストピースを切り出し、活性塩素濃度1000ppm、温度60℃の次亜塩素酸ナトリウム添加水中にこのテストピースを浸潰し、表面に水泡が現れるまでの時間を目視により測定した。その結果を表2に示す。塩素にポリエチレンが侵されると水泡が生じるため、水泡が発生するまでの時間(日数)が耐塩素性を示すことになる。上記、酸化亜鉛固溶体の表面処理は次の様にして行った。100gの酸化亜鉛固溶体を約200ミリリットルのエチルアルコールに加え、攪拌し、均一に分散させた後、1gのステアリン酸を約20ミリリットルのエチルアルコールに約60℃に過熱溶解したステアリン酸溶液を攪拌下に徐々に加え、約20分間攪拌を継続した。これを減圧ろ過後、乾燥、粉砕した。
【0026】
【参考比較例1】
参考例1の耐塩素テストにおいて、酸化亜鉛固溶体の代わりに酸化亜鉛を(1号亜鉛華)を0.2部用いる以外は同様に行った。その結果を表2に示す。
【0027】
【参考例比較例2】
参考例1の耐塩素テストにおいて、酸化亜鉛固溶体の代わりにハイドロタルサイト[Mg4Al2(OH)12CO3・3H2O]を0.2重量部用いる以外は同様に行った。その結果を表2に示す。
【0028】
【参考例2】
平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールと4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとをモル比で1:2の割合で混合し、窒素ガス雰囲気中、役60℃で90分反応させ、ポリウレタンプレポリマーを製造した。これを冷却後、ジメチルアセトアミドに溶解し、1,2プロピレンジアミンで鎖延長を行い、ポリマー濃度30%重量、粘度2100ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を調製した。実施例1、2および3で得られた酸化亜鉛固溶体100gを、それぞれ100mlのエチルアルコールに攪拌、分散させた後、1.5gのステアリルアシッドフォスフェートを溶解した50ml(約68℃)のエチルアルコール溶液を攪拌下に加え、約20分間攪拌を継続後、ろ過、乾燥、粉砕した。この酸化亜鉛固溶体粉末をジメチルアセトアミドにホモジナイザーで分散処理後、上記ポリウレタン溶液に、ポリウレタン100重量部に対し、酸化亜鉛固溶体が5重量部となるように加え、均一混合後、常法に従い乾式紡糸して40デニル/4フィラメントのポリウレタン系弾性繊維を作成した。この糸を用い、耐塩素性試験を行った。
[耐塩素性試験]糸を50%伸長させ、30℃(pH7.5)で活性塩素を5ppm含有する水に72時間浸潰し、浸潰前後の強力を測定し、強力保持率を求め、劣化の程度を評価した。強力保持率が高いほど塩素劣化が少ないことを意味する。その結果を表3に示す。
【0029】
【参考例比較例3】
参考例2の耐塩素性試験において、塩素中和剤として1号亜鉛華を用いる以外は同様にして行った。その結果を表3に示す。
【0030】
【参考比較例4】
実施例1において、水熱処理を省略する以外は同様に行って焼成前の粉末を合成した後、500℃で1時間焼成した。この物は粉末X線回析の結果、酸化亜鉛固溶体であることが判った。この物のBET比表面積は47平方メートル/g、累積50%および90%の平均2次粒子径は、それぞれ3.25μm、7.81μmであった。化学組成は実施例1の[化2]と同じであった。この物を参考例2と同様に表面処理後、耐塩素性試験を行った結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、塩素系殺菌剤の中和能力が従来の中和剤に比べ、約2〜3倍に向上する。しかも、スピネル(ZnAl2O4)が生成しないため、磨耗性の問題が発生しない。その結果、例えば、水道水用ポリエチレン管とかポリウレタン繊維に本発明中和剤を配合することにより、ポリエチレン管とかポリウレタン繊維の耐塩素性を著しく改善できる。然も、本発明の製造方法を採用することにより、従来品の製造方法では困難であった樹脂及び繊維中での高分散性、良好な紡糸性を実現できる。
Claims (6)
- 請求項1の式(1)において、M3+がAlである請求項1記載の中和剤。
- 請求項1の式(1)において、xの範囲が0.01≦x<0.167である請求項1記載の中和剤。
- レーザー回析法で測定した累積50%および90%の平均2次粒子径が、それぞれ1.5μm以下、3μm以下である請求項1記載の塩素中和剤。
- 0.1〜10重量%のアニオン系界面活性剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の中和剤。
- 亜鉛と3価金属の混合水溶液にアルカリを攪拌下に加えて、pH6以上で共沈し、炭酸アルカリ、またはアンモニウム塩水溶液で洗浄し、100〜150℃で5時間以上水熱処理し、ろ過、乾燥後、300〜1000℃で焼成することを特徴とする請求項1記載の中和剤の製造方法。
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