JP2002120715A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JP2002120715A
JP2002120715A JP2000312360A JP2000312360A JP2002120715A JP 2002120715 A JP2002120715 A JP 2002120715A JP 2000312360 A JP2000312360 A JP 2000312360A JP 2000312360 A JP2000312360 A JP 2000312360A JP 2002120715 A JP2002120715 A JP 2002120715A
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Japan
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brake
hydraulic pressure
failure
braking force
control
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Masaaki Komazawa
雅明 駒沢
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2つのブレーキ系統を含むX配管式のブレーキ
装置において、1系統失陥が検出された場合に大きなヨ
ーモーメントが生じることを回避する。 【解決手段】2つのブレーキ系統の液圧のうちの小さい
方が第1設定値β以下であり、大きい方が第2設定値γ
以上である場合(S54,55の判定がYESである場
合)には、1系統失陥であるとされ、前輪22,36の
増圧弁60がデューティ制御される(S14)。前輪の
ブレーキ力の増加勾配が抑制される。正常なブレーキ系
統の2つのブレーキのブレーキ力差が抑制され、ブレー
キ力差に起因するヨーモメントを抑制することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、互いに独立した2
つのブレーキ系統を備えたブレーキ装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】2つのブレーキ系統を備えたブレーキ装
置の一例が特開平8−282465号公報に記載されて
いる。この公報に記載のブレーキ装置は、(a)2つのブ
レーキ系統のうちのいずれか一方のブレーキ系統に失陥
が生じたことを検出する失陥検出装置と、(b)その失陥
検出装置によりいずれか一方のブレーキ系統に失陥が生
じたと検出された場合に、他方のブレーキ系統に含まれ
る2つのブレーキのブレーキ力を大きめに制御するブレ
ーキ力制御装置とを含む。このブレーキ装置においては
一方のブレーキ系統が失陥しても他方のブレーキ系統の
ブレーキのブレーキ力が大きめに制御されるため、1系
統失陥に起因するブレーキ力の不足を抑制することがで
きる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段、作用お
よび効果】しかし、上記従来のブレーキ装置において
は、一方のブレーキ系統が失陥した場合に、車両に発生
させられるヨーモーメントを考慮した制御が行われてい
なかった。そこで、本発明の課題は一方のブレーキ系統
が失陥した場合に発生するヨーモーメントの抑制を図る
ことにある。この課題は、ブレーキ装置を下記各態様の
構成のものとすることによって解決される。各態様は、
請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要
に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これ
は、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にす
るためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれ
らの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈される
べきではない。また、1つの項に複数の事項が記載され
ている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなけれ
ばならないものではなく、一部の事項のみを取り出して
採用することも可能である。 (1)それぞれ対角位置にある車輪のブレーキを含み、互
いに独立した2つのブレーキ系統を備えたブレーキ装置
において、前記2つのブレーキ系統のうちのいずれか一
方のブレーキ系統に失陥が生じたことを検出する失陥検
出装置と、その失陥検出装置によりいずれか一方のブレ
ーキ系統に失陥が生じたことが検出された場合に、他方
のブレーキ系統に含まれる2つのブレーキのブレーキ力
の差が小さくなる方向に少なくとも一方のブレーキのブ
レーキ力を制御するブレーキ力制御装置とを含むことを
特徴とするブレーキ装置(請求項1)。本項に記載のブ
レーキ装置においては、一方のブレーキ系統に失陥が生
じたことが検出された場合に、他方のブレーキ系統に含
まれる2つのブレーキのブレーキ力の差が抑制される。
その結果、一方のブレーキ系統が失陥し、他方のブレー
キ系統が正常である場合に、2つのブレーキのブレーキ
力の差に起因して発生させられるヨーモーメントを抑制
することができ、走行安定性の低下を抑制することがで
きる。 (2)前記ブレーキが、液圧シリンダであるブレーキシリ
ンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するものであ
り、当該ブレーキ装置が、互いに独立に、それぞれ別個
に液圧を発生させる2つの液圧源と、それら2つの液圧
源の一方と、右前輪のブレーキシリンダと左後輪のブレ
ーキシリンダとを接続する第1液通路と、前記2つの液
圧源の他方と、左前輪のブレーキシリンダと右後輪のブ
レーキシリンダとを接続する第2液通路とを含む(1)項
に記載のブレーキ装置。本項に記載のブレーキ装置はい
わゆるX配管式の液圧ブレーキ装置である。液圧源の一
方、第1液通路、右前輪,左後輪のブレーキ等により1
つのブレーキ系統が構成され、液圧源の他方、第2液通
路、左前輪,右後輪のブレーキ等により別の1つのブレ
ーキ系統が構成される。液圧源は、例えば、タンデム式
のマスタシリンダの互に独立した加圧室とすることがで
きる。それら加圧室の各々には、それぞれ、互いに対角
位置にある2つの車輪のブレーキシリンダが接続され
る。また、動力式液圧源(例えば、ポンプ装置)とする
こともできる。2つの動力式液圧源の各々に、互いに対
角位置にある2つの車輪のブレーキシリンダが接続され
る。ブレーキ系統の失陥は、液圧源の失陥、液通路の漏
れ等に起因して生じる。 (3)前記ブレーキが電動アクチュエータの作動に基づい
て車輪の回転を抑制するものであり、当該ブレーキ装置
が、2つの電源と、それら電源のうちの一方と右前輪の
電動アクチュエータおよび左後輪の電動アクチュエータ
とを接続する第1電力供給線と、前記電源の他方と左前
輪の電動アクチュエータおよび右後輪の電動アクチュエ
ータとを接続する第2電力供給線とを含む(1)項に記載
のブレーキ装置。本項に記載のブレーキ装置において
は、電源の一方、第1電力供給線、右前輪,左後輪の電
動アクチュエータ等により1つのブレーキ系統が構成さ
れ、電源の他方、第2電力供給線、左前輪,右後輪の電
動アクチュエータ等により別の1つのブレーキ系統が構
成される。電動アクチュエータは、車輪とともに回転す
るブレーキ回転体に摩擦部材を押し付ける電動モータと
したり、電動モータの代わりに圧電部材を含むものとし
たりすることができる。 (4)前記ブレーキ力制御装置が、前記他方のブレーキ系
統の2つのブレーキのうちブレーキ力の増加勾配が大き
い方のブレーキのブレーキ力の増加勾配を抑制する増加
勾配抑制部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記
載のブレーキ装置(請求項2)。本項に記載のブレーキ
装置においては、正常な系統の、ブレーキ力の増加勾配
が大きい方のブレーキのブレーキ力の増加勾配が抑制さ
れることによってブレーキ力の差が抑制される。増加勾
配が大きい方のブレーキのブレーキ力の増加勾配が抑制
されれば、ブレーキ力差の増加速度を小さくすることが
でき、ヨーモーメントの増加速度を小さくすることがで
きる。その結果、運転者の操舵により車両の姿勢を修正
することが容易となる。ブレーキ力の増加勾配の抑制に
はブレーキ力の保持も含まれる。ブレーキ力が保持され
れば増加勾配を0に抑制することができる。また、ブレ
ーキ力の増加と保持とが交互に行われることによってブ
レーキ力の増加勾配が抑制されるようにしたり、増加と
減少とが交互に行われることによって抑制されるように
したりすることができる。ブレーキが液圧ブレーキであ
る場合には、ブレーキ力の大きさとブレーキシリンダの
液圧とは常に一対一に対応するわけではない。液圧が同
じであっても、車輪とともに回転するブレーキ回転体に
摩擦部材を押し付ける際の押付け力が同じであるとは限
らないのである。例えば、ブレーキシリンダの径が大き
い方が押付け力が大きくなる。また、前輪と後輪とで
は、前輪の方がブレーキシリンダの径が大きくされるの
が普通である。そのため、液圧が同じであっても、前輪
の方がブレーキ力が大きくなり、液圧の増加勾配が同じ
であっても、前輪の方がブレーキ力の増加勾配が大きく
なる。なお、他方のブレーキ系統(正常な系統)に含ま
れる2つのブレーキにおいて、ブレーキ力の増加勾配を
実際に比較して、大きい方のブレーキを特定し、その特
定されたブレーキのブレーキ力の増加勾配が抑制される
ようにすることもできるが、いずれのブレーキが増加勾
配が大きいかが予めわかっている場合には、実際に比較
することなく、そのブレーキのブレーキ力の増加勾配が
抑制されるようにすることができる。 (5)前記ブレーキ力制御装置が、前記他方のブレーキ系
統の2つのブレーキのうち、前輪の回転を抑制するブレ
ーキのブレーキ力の増加勾配を抑制する増加勾配抑制部
を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレー
キ装置。本項に記載のブレーキ装置においては、前輪の
ブレーキのブレーキ力の増加勾配が抑制される。たいて
いのブレーキ装置においては、前輪の方が後輪よりブレ
ーキ力の増加勾配が大きいのが普通である。 (6)前記ブレーキ力制御装置が、前記他方のブレーキ系
統の2つのブレーキのうち、ブレーキ力の大きい方のブ
レーキのブレーキ力を当該制御が行われない場合より小
さくするブレーキ力抑制部を含む(1)項ないし(5)項のい
ずれか1つに記載のブレーキ装置。 (7)前記ブレーキ力制御装置が、車両の減速度が予め定
められた設定減速度以上である場合に、前記他方のブレ
ーキ系統の2つのブレーキのうちの少なくとも一方のブ
レーキのブレーキ力を保持する保持部を含む(1)項ない
し(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項
3)。本項に記載のブレーキ装置においてはブレーキ力
が保持される。その結果、正常なブレーキ系統に含まれ
る2つのブレーキのブレーキ力差の増加を抑制すること
ができる。例えば、設定減速度が通常のブレーキ作動時
に十分なまたは必要な減速度の大きさに設定された場合
には、減速度が設定減速度以上であれば、これ以上減速
度を大きくする必要はないのであり、ブレーキ力を保持
しても差し支えない。また、その車輪についてアンチロ
ック制御が開始され難くできるという効果も得られる。
ブレーキ力が保持されるブレーキはブレーキ力の増加勾
配が大きい方のブレーキとすることが望ましいがそれに
限定されない。両方のブレーキのブレーキ力が保持され
るようにしてもよい。なお、ブレーキ力を減少させても
よい。減速度が十分大きい場合に、大きい方のブレーキ
力を減少させれば、正常なブレーキ系統に含まれる2つ
のブレーキのブレーキ力の差を小さくすることができ
る。 (8)前記ブレーキが液圧シリンダであるブレーキシリン
ダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するものであり、
前記ブレーキ力制御装置が、(a)前記ブレーキシリンダ
の液圧を制御可能な電磁液圧制御弁装置と、(b)その電
磁液圧制御弁装置への供給電流を制御することにより、
前記液圧の増加勾配を抑制する供給電流制御部とを含む
ブレーキ液圧制御装置である(1)項、(2)項、(4)項ない
し(7)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項
4)。本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキ
シリンダの液圧が電磁液圧制御弁装置の制御により制御
される。電磁液圧制御弁装置は、供給電流のON・OFFに
より開閉させられる電磁開閉弁を含むものであっても、
前後の差圧を供給電流量の変化に応じた大きさに制御す
るリニア液圧制御弁を含むものであってもよい。 (9)前記供給電流制御部が、前記電磁液圧制御弁装置へ
の供給電流をON・OFF制御することにより、前記液圧の
増加勾配を抑制するものである(8)項に記載のブレーキ
装置。電磁液圧制御弁装置に含まれる電磁液圧制御弁
は、供給電流のON・OFF制御により、ブレーキシリ
ンダへの作動液の流入を許容する増圧状態と作動液の流
入も流出も阻止する保持状態とに切り換え可能なもので
あっても、増圧状態とブレーキシリンダからの作動液の
流出を許容する減圧状態とに切り換え可能なものであっ
てもよい。いずれにしても、供給電流のON・OFF制
御により、ブレーキシリンダの液圧の増圧勾配を抑制す
ることができる。この場合には、ブレーキシリンダの液
圧は、パルス的に増加させられることになる。 (10)前記ブレーキ力制御装置が、前記電磁液圧制御弁
装置への供給電流を制御することにより、前記車輪の制
動スリップ状態が適正状態に保たれるようにするアンチ
ロック制御部を含む(8)項または(9)項に記載のブレーキ
装置(請求項5)。電磁液圧制御弁装置がアンチロック
制御に利用されるものである場合には、1系統失陥時に
ブレーキ力差を抑制する制御のための専用の電磁液圧制
御弁装置が不要となり、コストアップを回避することが
できる。なお、アンチロック制御に限らず、電磁液圧制
御弁装置は広くブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧制
御に利用されるものとすることができる。ブレーキ液圧
制御には、トラクション制御、前後制動力配分制御等が
該当する。この1系統失陥時にブレーキ力の増加を抑制
する制御は、1系統失陥時ブレーキ力制御、ヨーモーメ
ント抑制制御、ブレーキ力増加勾配抑制制御等と称する
ことができる。 (11)前記ブレーキが電動アクチュエータへの電気エネ
ルギの供給により作動させられるものであり、前記ブレ
ーキ力制御装置が、前記ブレーキの電動アクチュエータ
への供給電気エネルギを制御する電動アクチュエータ制
御部を含む(1)項, (3)項ないし(7)項のいずれか1つに
記載のブレーキ装置。電動アクチュエータによる摩擦部
材の押付け力は、供給電気エネルギの制御により制御さ
れる。 (12)前記失陥検出装置が、前記2つのブレーキ系統の
各々に属するブレーキにより回転が抑制される車輪の回
転速度の差に基づいてブレーキ系統の失陥を検出する回
転速度差依拠失陥検出部を含む(1)項ないし(11)項のい
ずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項6)。失陥し
たブレーキ系統に含まれるブレーキにより回転が抑制さ
れる車輪の回転速度は正常なブレーキ系統に含まれるブ
レーキにより回転が抑制される車輪の回転速度より大き
くなる。そのため、2つのブレーキ系統に含まれるブレ
ーキの車輪の回転速度の差が設定値以上である場合には
一方のブレーキ系統が失陥したとすることができる。ま
た、回転速度が大きい方の車輪のブレーキを含むブレー
キ系統が失陥したブレーキ系統であると特定することが
できる。本項に記載のブレーキ装置には、車輪の回転速
度を検出する回転速度センサが設けられるが、その回転
速度センサとしてアンチロック制御用のものを利用する
ことができる。その場合には、前述のように、コストア
ップを回避することができる。 (13)前記失陥検出装置が、前記2つのブレーキ系統の
各々に属するブレーキによって回転が抑制される車輪の
回転速度に基づいて失陥が生じたブレーキ系統を特定す
る失陥系統特定部を含む(1)項ないし(11)項のいずれか
1つに記載のブレーキ装置。 (14)前記ブレーキが液圧シリンダであるブレーキシリ
ンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するものであ
り、前記失陥検出装置が、前記2つのブレーキ系統のそ
れぞれの液圧に基づいてブレーキ系統の失陥を検出する
液圧依拠失陥検出部を含む(1)項、(2)項、(4)項ないし
(13)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項
7)。例えば、2つのブレーキ系統のそれぞれの液圧の
うち小さい方が第1設定液圧以下であり、大きい方が第
2設定液圧以上である場合には、一方のブレーキ系統が
失陥状態にあるとすることができる。第1設定液圧は失
陥状態にあると推定し得るのに十分小さい値とすること
が望ましい。本項に記載のブレーキ装置においては、ブ
レーキ系統の液圧を検出する液圧センサが設けられる
が、液圧センサを、ブレーキ系統毎にそれぞれ2つずつ
設けることができる。液圧センサを2つずつ設ければ、
検出液圧の信頼性を向上させることができ、失陥検出結
果の信頼性を向上させることができる。ブレーキ系統の
液圧としては、ブレーキ系統に含まれる液圧源、液通
路、ブレーキシリンダの液圧の少なくとも1つを採用す
ることができる。 (15)前記液圧依拠失陥検出部が、前記2つのブレーキ
系統の各々の液圧に基づいて失陥であるブレーキ系統を
特定する失陥系統特定部を含む(14)項のいずれか1つに
記載のブレーキ装置。 (16)前記ブレーキが液圧シリンダであるブレーキシリ
ンダにより作動させられるものであり、前記失陥検出装
置が、前記2つのブレーキ系統の液圧差に基づいてブレ
ーキ系統の失陥を検出する液圧差依拠失陥検出部を含む
(1)項、(2)項、(4)項ないし(13)項のいずれか1つに記
載のブレーキ装置。2つのブレーキ系統の液圧差の絶対
値が設定値以上である場合に、一方のブレーキ系統が失
陥状態にあるとすることができる。また、液圧の小さい
方のブレーキ系統が失陥状態にあると特定することがで
きる。 (17)前記ブレーキが液圧シリンダであるブレーキシリ
ンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するものであ
り、前記失陥検出装置が、運転者によるブレーキ操作部
材の操作ストロークと、前記2つのブレーキ系統の少な
くとも一方の液圧とに基づいてブレーキ系統の失陥を検
出する操作ストローク/液圧依拠失陥検出部を含む(1)
項、(2)項、(4)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の
ブレーキ装置(請求項8)。操作ストロークに基づいて
本来発生すべき液圧が決まる場合には、実際の液圧が、
操作ストロークに応じて決まる液圧より設定値以上小さ
い場合には少なくとも一方のブレーキ系統が失陥してい
るとすることができる。また、操作ストロークと液圧と
の関係を利用すれば、一方のブレーキ系統が失陥してい
るか両方のブレーキ系統が失陥しているかを区別して検
出することもできる。なお、両方のブレーキ系統が失陥
している状態ではないことが予めわかっていれば(例え
ば、両方のブレーキ系統が失陥していることは別の検出
装置によって検出されるようにされている場合が該当す
る)、上述の場合には、一方のブレーキ系統が失陥して
いるとすることができる。また、[発明の実施形態]にお
いて詳述するように、操作ストロークと液圧とに基づけ
ば、正常なブレーキ系統に液圧が発生する以前に一方の
ブレーキ系統の失陥を検出することも可能であり、この
場合には一方のブレーキ系統の失陥に起因して大きなヨ
ーモーメントが発生することを未然に防止することも可
能である。本項に記載のブレーキ系統に含まれる液圧源
はブレーキ操作部材の操作ストロークに応じた液圧を発
生させるものである。液圧源は、例えば、マスタシリン
ダを含むものとすることができる。マスタシリンダの加
圧室には操作ストロークに応じた液圧が発生させられ
る。液圧源が動力式液圧源である場合には、動力式液圧
源の出力液圧が操作ストロークの大きさに応じた液圧と
なるように供給エネルギが制御される。なお、ブレーキ
操作部材の操作ストロークの代わりにマスタシリンダの
加圧ピストンのストロークを利用することもできる。加
圧ピストンのストロークとブレーキ操作部材のストロー
クとは、加圧ピストンに加えられる操作力がマスタシリ
ンダのリターンスプリングのセット荷重より大きい領域
においては比例する。 (18)当該ブレーキ装置が、前記ブレーキ操作部材に連
携させられた第1加圧ピストンと、第1加圧ピストンの
前進に伴って前進させられる第2加圧ピストンとを含む
マスタシリンダと、前記第1,第2加圧ピストンの前方
にそれぞれ形成された加圧室と互いに対角位置にある2
組の車輪のブレーキシリンダとをそれぞれ接続する液通
路とを含み、前記失陥検出装置が、前記操作ストローク
が、一方の加圧室の容積が非常に小さくなった場合に対
応する大きさとなった状態において、前記2つの液通路
のうちの少なくとも一方の液圧が予め定められた設定圧
より小さい場合に一方のブレーキ系統が失陥状態にある
と検出するものである(17)項に記載のブレーキ装置。
「操作ストロークが、一方の加圧室の容積が非常に小さ
くなった場合に対応する大きさとなった状態」は、例え
ば、「一方の加圧室において加圧ピストンを前進端位置
まで前進させるのに要する操作ストロークより設定値だ
け小さい大きさになった状態」とすることができる。 (19)前記失陥検出装置が、運転者によるブレーキ操作
部材の操作ストロークと、車両の減速度とに基づいて前
記ブレーキ系統の失陥を検出する操作ストローク/減速
度依拠失陥検出部を含む(1)項ないし(18)項のいずれか
1つに記載のブレーキ装置(請求項9) ブレーキシリンダの液圧と減速度とはほぼ対応するた
め、(17)項における場合と同様に一方のブレーキ系統の
失陥を検出することができる。また、本発明は、ブレー
キ装置が電動ブレーキ装置である場合にも適用すること
ができる。電動ブレーキのブレーキ力が操作ストローク
に応じて制御される場合には、操作ストロークに基づい
て本来得られるべき減速度が決まる。 (20)当該ブレーキ装置が、車輪の制動スリップ状態が
適正状態に保たれるように、制動トルクを制御するアン
チロック制御部を含み、前記失陥検出装置が、前記アン
チロック制御部による制御が行われていない場合に、一
方のブレーキ系統の失陥を検出するものである(1)項な
いし(19)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。アン
チロック制御は、各輪独立に、あるいは、後輪について
は共通に行われるため、アンチロック制御中の車輪の回
転速度や液圧に基づいても、一方のブレーキ系統の失陥
を精度よく検出することは困難である。そのため、ブレ
ーキ系統の失陥は非アンチロック制御中における回転速
度や液圧に基づいて検出されるようにするのが望まし
い。 (21)当該ブレーキ装置が、車輪の制動スリップ状態が
適正状態に保たれるように、制動トルクを制御するアン
チロック制御部を含み、前記ブレーキ力制御装置が、前
記アンチロック制御部による制御が行われていない場合
に、前記他方のブレーキ系統の2つのブレーキの少なく
とも一方のブレーキ力の制御を行うものである(1)項な
いし(20)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。1系
統失陥時ブレーキ力制御は、アンチロック制御が行われ
ていない場合に行われる。アンチロック制御が行われて
いる場合にはアンチロック制御が継続して行われるので
あり、アンチロック制御が中断されて1系統失陥時ブレ
ーキ力制御が開始されることはない。また、1系統失陥
時ブレーキ力制御が行われる場合にもアンチロック開始
条件が満たされた場合にはアンチロック制御が行われる
ようにすることが望ましい。アンチロック制御が行われ
る方がロック傾向を抑制し、車両の走行安定性の低下を
抑制することができる。このように、アンチロック制御
が1系統失陥時ブレーキ制御に優先して行われる。仮
に、1系統失陥時ブレーキ力制御が行われない場合に
は、高μ路を走行中に大きなヨーモーメントが発生し、
大きな修正操舵が必要になる。この状態において、前輪
のブレーキ力が過大になると、アンチロック制御により
ブレーキ力が増減させられ、修正操舵が困難になる。そ
れに対して、1系統失陥時ブレーキ力制御が行われる場
合には、大きなヨーモーメントが発生することを回避
し、アンチロック制御が開始されることを回避すること
ができる。 (22)2つのブレーキを含み、互いに独立した2つの
ブレーキ系統を備えたブレーキ装置において、前記2つ
のブレーキ系統のうちのいずれか一方のブレーキ系統に
失陥が生じたことを検出する失陥検出装置と、その失陥
検出装置によりいずれか一方のブレーキ系統に失陥が生
じたことが検出された場合に、他方のブレーキ系統に含
まれる2つのブレーキのブレーキ力の差が小さくなる方
向に少なくとも一方のブレーキのブレーキ力を制御する
ブレーキ力制御装置とを含むことを特徴とするブレーキ
装置。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態であるブレー
キ装置について図面に基づいて詳細に説明する。図1に
おいて、10はブレーキ操作部材としてのブレーキペダ
ルであり、12はブースタであり、14は2つの加圧ピ
ストンを備えたタンデム式のマスタシリンダである。マ
スタシリンダ14の後退側の加圧ピストンにはブレーキ
ペダル10がブースタ12のパワーピストンを介して連
携させられている。マスタシリンダ14の2つの加圧ピ
ストンの前方には、それぞれ、互いに独立に、加圧室1
6,18が形成される。一方の加圧室16には液通路2
0を介して左前輪22のブレーキ24のブレーキシリン
ダ26と右後輪28のブレーキ30のブレーキシリンダ
32とが接続され、他方の加圧室18には液通路34を
介して右前輪36のブレーキ38のブレーキシリンダ4
0と左後輪42のブレーキ44のブレーキシリンダ46
とが接続されている。
【0005】本ブレーキ装置は、ブレーキシリンダの液
圧により作動させられる液圧ブレーキ24,30,3
8,44を含むものであり、X配管式のものである。互
いに対角位置にある車輪のブレーキを含むブレーキ系統
を一つの系統とする2つのブレーキ系統を含むものであ
り、加圧室16、左前輪22のブレーキ24、右後輪2
8のブレーキ30を含む系統をブレーキ系統50とし、
加圧室18、右前輪36のブレーキ38、左後輪42の
ブレーキ44を含む系統をブレーキ系統52とする。
【0006】液通路20.36の途中にはそれぞれマス
タ遮断弁54が設けられている。マスタ遮断弁54は、
開状態と閉状態とに供給電流のON・OFFにより切り
換え可能なものであり、閉状態において各々のブレーキ
シリンダ26,32,40,46がマスタシリンダ14
から遮断される。また、マスタ遮断弁54と並列に、マ
スタシリンダからブレーキシリンダへ向かう作動液の流
れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁56が設け
られ、マスタ遮断弁54の閉状態において、加圧室1
6.18の液圧が高くなった場合に、マスタシリンダか
らブレーキシリンダへの作動液が供給される。
【0007】各々のブレーキシリンダ26,32,4
0,46に対応して電磁液圧制御弁装置56が設けられ
ている。電磁液圧制御弁装置56は、それぞれ、マスタ
シリンダ14とブレーキシリンダとの間に設けられた増
圧弁60と、ブレーキシリンダとリザーバ62との間に
設けられた減圧弁64とを含む。増圧弁60、減圧弁6
4は、それぞれ、開状態と閉状態とに供給電流のON・
OFFにより切り換え可能なものであり、これら増圧弁
60,減圧弁64の制御により、各ブレーキシリンダ2
6,32,40,46の液圧が独立に制御可能とされて
いる。増圧弁60と並列にはブレーキシリンダからマス
タシリンダ14へ向う作動液の流れを許容し、逆向きの
流れを阻止する逆止弁66が設けられ、ブレーキの作動
が終了させられた場合にブレーキシリンダの作動液が早
急に戻されるようにされている。
【0008】リザーバ62にはポンプ通路68が接続さ
れ、それぞれ、液通路20,34の前記マスタ遮断弁5
4の下流側に接続されている。ポンプ通路68には、ポ
ンプ70、ポンプ70の吐出側の逆止弁72、吸入側の
2つの逆止弁74,76、ダンパ78等が設られてい
る。ポンプ通路68のポンプ70の吸入側の2つの逆止
弁74,76の間にはマスタシリンダ14から延び出さ
せられた作動液供給通路80が接続されている。作動液
供給通路80には供給弁82が設けられ、供給弁82が
開状態にある状態で、マスタシリンダ14からの作動液
のポンプ70への供給が許容される。作動液供給通路8
0が逆止弁76よりポンプ側に接続されるため、マスタ
シリンダ14の作動液がリザーバ62に供給されること
なく、ポンプ70によって汲み上げ可能とされている。
ポンプ70はポンプモータ84によって作動させられ
る。
【0009】本ブレーキ装置はブレーキ液圧制御装置1
00によって制御される。ブレーキ液圧制御装置100
はコンピュータを主体とするものであり、CPU10
2,ROM104,RAM106,入出力部108等を
含む。入出力部108には、液通路20の液圧を検出す
る2つの液圧センサ110,112、液通路34の液圧
を検出する2つの液圧センサ114,116、各車輪2
2,28,36,42の回転速度をそれぞれ検出する車
輪速度センサ120,122,124,126、ブレー
キペダル10のストロークを検出するストロークセンサ
130等が接続されるとともに、マスタ遮断弁54,増
圧弁60,減圧弁64,供給弁82等のソレノイド、警
報装置としてのブレーキ警告灯134が図示しない駆動
回路を介して接続されている。本実施形態においては、
加圧室16,18に接続された液通路20,34の液圧
が、それぞれ、ブレーキ系統50,52の液圧として検
出される。また、1つのブレーキ系統に、2つずつの液
圧センサが設けられているのは、各々のブレーキ系統の
液圧の検出精度を向上させるためである。ROM104
には図2のフローチャートで表される失陥検出・ブレー
キ液圧制御プログラム、フローチャートの図示は省略す
るが、車輪の制動スリップが適正状態に保たれるように
電磁液圧制御弁装置56を制御するアンチロック制御プ
ログラム等が格納されている。
【0010】通常ブレーキ作動時には、各電磁弁は図示
する原位置に保たれる。ブレーキペダル10の操作に伴
って加圧室16,18に液圧が発生させられ、加圧室1
6,18の作動液が、それぞれ、液通路20,36を経
てブレーキシリンダに供給され、その液圧によりブレー
キが作動させられる。車輪の制動スリップが過大になる
等のアンチロック開始条件が満たされると、アンチロッ
ク制御が行われる。増圧弁60,減圧弁64が開閉させ
られることにより、各ブレーキシリンダの液圧が車輪の
制動スリップ状態が適正状態に保たれるように制御され
る。本実施形態においては、アンチロック制御中は、マ
スタ遮断弁54は開状態に保たれるが、閉状態に保つこ
ともできる。また、アンチロック制御中に、ブレーキ操
作が解除されたこと、車速が設定値以下になったこと、
スリップ状態が予め定められた設定状態より安定側にな
ったこと等の少なくとも1つが満たされた場合にアンチ
ロック終了条件が満たされたとされて、アンチロック制
御が終了させられる。
【0011】車輪の駆動スリップが過大になる等のトラ
クション開始条件が満たされると、トラクション制御が
行われる。マスタ遮断弁54が閉状態、供給弁82が開
状態にされた状態で、増圧弁60,減圧弁64の開閉制
御により、各ブレーキシリンダの液圧が車輪の駆動スリ
ップ状態が適正状態に保たれるように制御される。ま
た、ブレーキアシスト制御が行われるようにすることも
できるが、この場合にも、マスタ遮断弁54が閉状態
に、供給弁82が開状態にされる。
【0012】本実施形態においては、ストロークセンサ
130によって検出されるブレーキペダル10のストロ
ークと液圧センサ110,112によって検出されるブ
レーキ系統50の液圧とに基づいて2つのブレーキ系統
50,52のうちのいずれか一方が失陥であるか否かが
検出され、一方のブレーキ系統が失陥であると検出され
た場合には他方のブレーキ系統の前輪のブレーキシリン
ダの液圧の増加勾配が抑制される。ストロークが予め定
められた第1設定ストロークSa以上である場合におけ
るブレーキ系統50の液圧が設定液圧β以下である場合
には、一方のブレーキ系統に失陥が生じたとする。
【0013】ブレーキ系統50,52のいずれにも失陥
が生じていない場合、すなわち、2つのブレーキ系統5
0,52の両方が正常である場合には、前述のように、
操作ストロークの増加に伴って(加圧ピストンの前進に
伴って)2つの加圧室16,18に等しい高さの液圧が
発生させられる。加圧室16,18には、それぞれ、ス
トロークに応じた液圧が発生させられる。それに対し
て、少なくとも一方のブレーキ系統が失陥している場合
には、ストロークがマスタシリンダ14の一方の加圧室
の容積が0になる大きさ、すなわち、一方の加圧室にお
いて加圧ピストンを前進端位置まで前進させるのに要す
る大きさ(1系統フルストロークと称することもでき
る)になるまでの間は、両方のブレーキ系統において液
圧は発生しない。一方の加圧室の容積が殆ど0になり、
2つの加圧ピストンが互いに当接した状態、あるいは、
前方の加圧ピストンがマスタシリンダ14のストッパあ
るいは底部に当接した状態から、さらにストロークが増
加させられると、正常なブレーキ系統には液圧が発生さ
せられるが、両方のブレーキ系統が失陥している場合に
はいずれのブレーキ系統においても液圧が発生させられ
ることはない。この状態において、1系統失陥と2系統
失陥とを区別して検出することができる。
【0014】したがって、一方の加圧室の容積が0にな
る以前の、ストロークが1系統フルストローク近傍の大
きさである状態において、ブレーキ系統の液圧が設定液
圧β以下である場合には、少なくとも一方のブレーキ系
統が失陥であるとすることができる。この場合に検出さ
れる液圧は、いずれのブレーキ系統の液圧であってもよ
い。この場合には一方のブレーキ系統が失陥している場
合と両方のブレーキ系統が失陥している場合とのいずれ
かであり、この時点においては、1系統失陥と2系統失
陥とを区別することができない。しかし、両方のブレー
キ系統が失陥していることは稀であること、両方のブレ
ーキ系統が失陥している場合には、別の手段で検出され
るようにされていること等の理由により、この場合には
1系統失陥であるとすることができる。なお、前述のよ
うに、他方のブレーキ系統が正常であることが検出され
た後に、一方のブレーキ系統が失陥していると検出され
るようにすることもできる。
【0015】本実施形態においては、一方のブレーキ系
統が失陥であると検出された場合には両ブレーキ系統5
0,52の左右前輪22,36の電磁液圧制御弁装置5
6が、ブレーキシリンダ26,40の液圧の増加勾配が
抑制される向きに制御される。両方の電磁液圧制御弁装
置56を制御する必要は必ずしもないが、失陥が生じた
ブレーキ系統については電磁液圧制御弁装置56を制御
しても、それに応じて、ブレーキシリンダの液圧が変化
させられることはなく、正常なブレーキ系統のブレーキ
シリンダ液圧のみが電磁液圧制御弁装置56の制御によ
って制御されることになる。また、本実施形態において
は、いずれのブレーキ系統が失陥したかが特定されない
ため、左右前輪22,36の電磁液圧制御弁装置56が
同様に制御されるのである。
【0016】前輪と後輪とでは、ブレーキシリンダの液
圧が同じである場合のブレーキ力は前輪の方が大きい。
また、液圧増加勾配が同じである場合のブレーキ力の増
加勾配も前輪の方が大きい。そのため、後輪ではなく、
前輪のブレーキシリンダの液圧の増加勾配が制御され
る。この場合には、正常なブレーキ系統の前輪と後輪と
で、ブレーキ力の増加勾配を実際に比較して、その比較
した結果に基づいて増加勾配を抑制するブレーキを特定
するわけではなく、前輪のブレーキの方がブレーキ力の
増加勾配が大きいことが予めわかっているため、その事
実に基づいて、前輪のブレーキ力の増加勾配が抑制され
るのである。
【0017】一方のブレーキ系統に失陥が生じたか否か
は、失陥検出・ブレーキ液圧制御プログラムの実行に従
って検出される。一方のブレーキ系統に失陥が生じてい
ることが検出された場合には失陥フラグがセットされる
が、失陥フラグは図示しないメインルーチンの初期設定
において1制動毎にリセット状態にされている。ステッ
プ1(以下、S1と略称する。他のステップについても
同様とする)において、車輪速度センサ120〜126
の出力信号に基づいて各車輪22,28,36,42の
回転速度が求められ、S2において、これら車輪の回転
速度に基づいて推定車体速度が演算により求められ、推
定車体速度の変化量に基づいて車体減速度が求められ
る。次に、S3において、2つの液圧センサ110,1
12の検出液圧の差が設定値α以下であるか否かが判定
される。差が設定値α以下である場合には2つの液圧セ
ンサ110,112は正常であるが、差が設定値αより
大きい場合には少なくとも一方のセンサが異常であると
されて、S4において、ブレーキ警告灯134が作動さ
せられる。液圧センサ110,112の異常検出、0点
補正、ゲインの修正等は別のプログラムの実行に従って
行われるが、例えば、ブレーキの非作動状態における出
力値に基づけば0点を補正することができる。また、液
圧センサ110,112の検出値の差が設定値αより大
きい場合は、ゲインの異常であると検出することができ
るが、その他、一方のセンサにおいて断線が生じた可能
性もある。ゲインの異常である場合には、別個修正され
るようにすることが望ましい。
【0018】2つの液圧センサ110,112による検
出液圧の差が設定値α以下である場合には、S5におい
てストロークが設定ストロークSa以上であるか否かが
判定される。設定ストロークSaは前述の1系統フルス
トロークより多少小さめの値(例えば、1系統フルスト
ロークより設定値だけ小さい値とすることができる)と
されている。設定ストロークSa以上である場合には、
S6において、失陥フラグがセット状態にあるか否かが
判定され、リセット状態にある場合にはS7において液
圧センサ110、112のいずれか一方の液圧が設定液
圧β以下であるか否かが判定される(本実施形態におい
ては、液圧センサ110の検出液圧が採用される)。設
定液圧β以下である場合には、S8、S9においてブレ
ーキ警告灯134が点灯され、失陥フラグがセットされ
る。それに対して、液圧センサ110の液圧が設定液圧
βより大きい場合には失陥フラグはリセット状態に保た
れる。前述のように、液圧センサ110,112のいず
れか一方の液圧が設定液圧β以上である場合には両方の
ブレーキ系統50,52がともに正常なのである。本実
施形態においては、2つのブレーキ系統のうちのいずれ
が失陥しているかが特定されるのではなく、一方が失陥
している状態であることが判定されるのである。また、
ストロークが設定ストロークSa以下である場合には、
失陥の検出は行われず、S10において、失陥フラグが
リセット状態に保たれる。
【0019】また、S6のステップは、ストロークが設
定ストロークSa以上の1系統フルストローク以上にな
った場合に、正常なブレーキ系統に液圧が発生させら
れ、一方のブレーキ系統が失陥であるのに、誤って正常
であると検出されるのを回避するために設けられたステ
ップである。それに対して、例えば、S5において、ブ
レーキペダル10の操作ストロークが、予め設定された
下限値(例えば、1系統フルストロークの50%程度の
値)と、1系統フルストロークより多少小さめの値(上
限値)とで決まる設定範囲内にあるか否かが判定され、
設定範囲内にある状態の液圧に基づいて、一方のブレー
キ系統の異常が検出されるようにすれば、一旦セットさ
れた失陥フラグがストロークの増加に伴って液圧が発生
させられて、リセットされることが回避されるのであ
り、この場合には、S6のステップは不可欠ではなくな
る。
【0020】一方のブレーキ系統が失陥であるとされた
場合には、ヨーモーメント抑制制御(1系統失陥時ブレ
ーキ液圧制御と称することができる)が行われる。S1
1において、2つの前輪のうちの少なくとも一方がアン
チロック制御中か否かが判定される。アンチロック制御
中である場合には、前輪22,36に対応して設けられ
た電磁液圧弁装置56の増圧弁60,減圧弁64は、ア
ンチロック制御プログラムの実行に従って制御される。
本実施形態においては、ヨーモーメント抑制制御よりア
ンチロック制御が優先して行われるようにされている。
アンチロック制御が行われる方が車両の走行安定性の低
下を抑制することができる。
【0021】前輪22,36がともにアンチロック制御
中でない場合には、S12において車体速度が設定速度
Va 以上であるか否かが判定され、S13において車体
減速度が設定減速度Ga以下であるか否かが判定され
る。設定速度Va以上であり、減速度が設定減速度Ga以
下である場合には、いずれのステップにおける判定もY
ESとなり、S14において、駆動回路に増圧弁60の
ソレノイドへの供給電流をデューティ制御する指令が出
力される。この場合のデューティ比は予め定められた大
きさとされる。前輪22,36の増圧弁60は予め定め
られた比率で開状態と閉状態とに交互に切り換えられ
る。正常なブレーキ系統の前輪のブレーキシリンダの液
圧がパルス的に増加させられるのであり、ブレーキ力が
パルス的に増加させられる。正常なブレーキ系統の前輪
のブレーキ力の増加勾配が抑制されるのであり、ヨーモ
ーメント抑制制御が行われない場合に比較して、ブレー
キ力が小さくされる。なお、この状態においては、減圧
弁64は、閉状態に保たれる。
【0022】減速度が設定減速度Ga以上である場合に
は、S15において、駆動回路に増圧弁60のソレノイ
ドへの供給電流をONにする指令が出力される。増圧弁
60が閉状態にされるのであり、前輪のブレーキ液圧が
保持され、ブレーキ力が保持される。減速度が十分に大
きいため、それ以上ブレーキ力を増加させる必要はない
のであり、ブレーキ力が保持されれば、正常なブレーキ
系統において対角位置にある車輪に加わるブレーキ力の
差が大きくなることを回避することができる。車体速度
が設定速度Va 以下である場合には、S16において、
増圧弁60のソレノイドへの供給電流をOFFにする指
令が出力される。増圧弁60が開状態に戻され、ブレー
キシリンダはマスタシリンダ14に連通させられる。車
体速度が設定速度Va以下である場合にはヨーモーメン
ト抑制制御を行う必要性が低いからである。なお、本実
施形態においては、車輪速度に基づいて車体減速度が演
算により求められるようにされていたが、減速度センサ
を設け、減速度センサによる検出値を利用することもで
きる。また、液圧センサ114,116による検出液圧
に基づいて失陥検出が行われるようにすることもでき
る。さらに、デューティ比は予め定められた値ではな
く、減速度、ブレーキ系統の液圧等に基づいて決まる値
とすることもできる。
【0023】図3に示すように、時点t1において、ス
トロークが設定ストロークSaに達した場合に液圧セン
サ110の液圧が検出される。例えば、液圧センサ11
0の検出液圧が設定液圧β以下である場合にはブレーキ
系統50が失陥していることになる。前輪22,36に
対応する増圧弁60がデューティ制御され、正常なブレ
ーキ系統52の前輪36のブレーキ液圧がパルス的に増
加させられ、ブレーキ力がパルス的に増加させられる。
そして、時点t2において、減速度が設定減速度Gaに達
した場合に、増圧弁60が閉状態にされる。前輪36の
ブレーキ液圧が保持され、ブレーキ力が保持される。そ
して、時点t3において、車体速度が設定速度Va 以下
になった場合に、ヨーモーメント抑制制御が終了させら
れて、前輪のブレーキシリンダがマスタシリンダ14に
連通させられる。液圧の増加勾配の抑制が解除されるの
である。この場合には、大きなヨーモーメントが発生さ
せられることがない。また、運転者も、ブレーキ失陥で
あることがわかっているため、ヨーモーメントが発生し
ても修正操舵が可能なのである。
【0024】以上のように、本実施形態によれば、一方
のブレーキ系統の失陥時に正常なブレーキ系統の前輪の
液圧の増加勾配が抑制される。その結果、正常なブレー
キ系統の2つのブレーキのブレーキ力の差が抑制され
る。車両に大きなヨーモーメントが発生させられること
が回避され、ヨーモーメントの増加勾配が抑制されるた
め、運転者による操舵修正が容易となる。また、正常な
ブレーキ系統に液圧が発生する以前に一方のブレーキ系
統の失陥を検出することができる。換言すれば、車両に
ヨーモーメントが発生する以前に失陥したことを検出す
ることができるため、走行安定性の低下を良好に抑制す
ることができる。
【0025】本実施形態においては、液圧センサ11
0,112,ストロークセンサ130,ブレーキ制御装
置100のS1〜S10を記憶する部分、実行する部分
等によって失陥検出装置が構成される。失陥検出装置は
操作ストローク/液圧依拠失陥検出部でもある。また、
電磁液圧制御弁装置56,ブレーキ制御装置100等に
よりブレーキ力制御装置が構成される。ブレーキ力制御
装置のうち、電磁液圧制御弁装置56,ブレーキ液圧制
御装置100のS13,14を記憶する部分、実行する
部分等により増加勾配抑制部が構成され、電磁液圧制御
弁装置56,ブレーキ制御装置100のS13,15を
記憶する部分、実行する部分等により保持部が構成され
る。
【0026】なお、上記実施形態においては、ストロー
クと液圧とに基づいて失陥が検出されたが、ストローク
と車両減速度とに基づいて検出されるようにすることも
できる。ブレーキシリンダに液圧が発生していない状態
においては減速度も発生していない。この場合には図4
に示すように、ストロークが設定ストロークSa以上で
ある場合における車両減速度が設定減速度G0以下であ
る場合に、S7′における判定がYESとなり、一方の
ブレーキ系統が失陥であるとされる。本実施形態におい
ては、車輪速度センサ120〜126、ブレーキ液圧制
御装置100のS1〜6,7′、8から10を記憶する
部分、実行する部分等によって、操作ストローク/減速
度依拠失陥検出部が構成される。本実施形態において
は、液圧センサ110,112,114,116は不要
となる。
【0027】また、一系統失陥の検出の態様は、上記実
施形態に限らない。例えば、2つのブレーキ系統50,
52の各々における液圧に基づいて検出することができ
る。ブレーキ系統50,52の液圧の小さい方が設定液
圧β以下であり、大きい方が設定液圧γ以上である場合
には一方のブレーキ系統が失陥であるとすることができ
る。設定液圧βは失陥していると考え得る値であり、設
定液圧γは液圧βより大きい値である。この場合には図
5のフローチャートで表される失陥検出プログラムの実
行に従って1系統失陥が検出される。
【0028】S51、S52において、それぞれのブレ
ーキ系統の液圧を検出する2つの液圧センサ110,1
12の検出液圧の差、2つの液圧センサ114,116
の検出液圧の差に基づいてこれらセンサが正常であるか
否かが判定される。正常でない場合にはS53において
警告灯が点灯される。正常である場合には、S54にお
いて、液圧センサ110,114のいずれかの検出液圧
が設定液圧β以下であるか否かが判定され、S55にお
いて、いずれかが設定液圧γ以上であるかが判定され
る。S54,55の判定がいずれもYESである場合に
は一系統失陥であるとされて、S56においてブレーキ
警告灯134が点灯される。また、S11以降におい
て、上記実施形態における場合と同様にブレーキ力の増
加勾配が抑制される。
【0029】また、液圧センサ110,114の両方の
検出液圧が小さい場合には(例えば、設定液圧β以下で
ある場合には)、S54の判定がYES,S55の判定
がNOとなるが、この場合には、ブレーキペダル10が
操作されていないと考えることができ、ヨーモーメント
抑制制御が行われることはない。
【0030】本実施形態においては2つのブレーキ系統
50、52のそれぞれの液圧に基づいて一方のブレーキ
系統の失陥が検出される。液圧センサ110〜116,
ブレーキ液圧制御装置100のS54,55を記憶する
部分、実行する部分等によって液圧依拠失陥検出部が構
成される。本実施形態においては、失陥したブレーキ系
統がいずれであるかが特定されるようにされていない
が、S54,55のステップにおいて、出力液圧が設定
液圧β以下であるセンサがいずれであるか、設定液圧γ
以上であるセンサがいずれであるかが検出されるように
すれば、いずれのブレーキ系統に失陥が生じたかを特定
することができる。失陥であるブレーキ系統が特定でき
れば、失陥が検出されたブレーキ系統の前輪のブレーキ
シリンダに対応する増圧弁60のみがデューティ制御さ
れるようにすることができる。このようにすれば、両前
輪22,36に対応する増圧弁60を制御する場合に比
較して電力消費量を少なくすることができる。また、図
6に示すように、時点t1において一方のブレーキ系統
が失陥であると検出され、前輪のブレーキ力がパルス的
に増加されるのであるが、時点t2において保持され、
時点t3ににおいて増圧勾配抑制制御が終了させられ
る。本実施形態においては、ストロークセンサ130が
不要である。
【0031】さらに、2つのブレーキ系統に含まれるブ
レーキの車輪の回転速度に基づいて失陥を検出すること
ができる。一方のブレーキ系統に含まれるブレーキによ
って回転が抑制される車輪の回転速度が、他方のブレー
キ系統に含まれるブレーキによって回転が抑制される車
輪の回転速度より大きい状態が設定時間以上継続した場
合には一系統失陥であるとすることができる。
【0032】この場合には、図7で表されるフローチャ
ートの失陥検出プログラムの実行に従って、失陥が検出
される。失陥カウンタは、失陥フラグと同様にメインル
ーチンの初期設定においてリセットされる。S71、S
72において、前輪の少なくとも一方がアンチロック制
御中であるか否か、後輪の少なくとも一方がアンチロッ
ク制御中であるか否かが判定される。いずれもアンチロ
ック制御中でない場合には、S73 、S74におい
て、右前輪36(ブレーキ系統52)の回転速度が右後
輪28(ブレーキ系統50)の回転速度より設定値以上
大きいか否かが判定され、左前輪22(ブレーキ系統5
0)の回転速度が左後輪42(ブレーキ系統52)の回
転速度より設定値以上小さいか否かが判定される。これ
らいずれのステップにおける判定もYESである場合に
は、S75において失陥カウンタが1増加させられる。
そして、S76において、失陥カウンタのカウント値が
予め定められた設定回数以上であるか否かが判定され
る。最初にS76が実行される場合には判定はNOとな
り、ヨーモーメント抑制制御が行われることはないが、
S71ないしS76が繰り返し実行されることにより、
カウント値が設定回数以上になった場合には、S77に
おいて失陥フラグがセットされる。回転速度差がある状
態が設定時間以上継続して続いたため、一方のブレーキ
系統が失陥しているとすることができるのである。この
場合に、回転速度が大きい方の右前輪36のブレーキと
左後輪42のブレーキとを含むブレーキ系統52が失陥
であるとすることができる。
【0033】前輪22,36の少なくとも一方がアンチ
ロック制御中である場合には、車体減速度が設定減速度
Gaより小さいにも係わらずアンチロック制御が行われ
ている場合であり、圧雪路を走行している場合等路面の
摩擦係数が小さい場合であると考えられる。この場合に
は、たとえ、1系統が失陥していても、正常なブレーキ
系統の2つのブレーキのブレーキ力の差は小さいため、
ヨーモーメント抑制制御を行う必要性は低い。また、ア
ンチロック制御を失陥時ブレーキ液圧制御より優先させ
る方が望ましい。アンチロック制御が必要な状態におい
てヨーモーメント抑制制御が行われると、車輪のスリッ
プ状態がロック傾向に近づくおそれがあるのである。さ
らに、アンチロック制御中には、回転速度に基づいて1
系統失陥か否かを精度よく検出できない。そのため、前
輪22,36の少なくとも一方がアンチロック制御中で
ある場合には、1系統失陥の検出も、ヨーモーメント抑
制制御も行われないのであり、S78、S79におい
て、失陥カウンタのカウント値がリセットされ、失陥フ
ラグがリセット状態にされる。
【0034】また、後輪28,42の少なくとも一方が
アンチロック制御中である場合には、回転速度の比較は
行われないが、失陥カウンタのカウント値はリセットさ
れない。後輪についてアンチロック制御が開始される以
前のカウント値が保たれ、アンチロック終了後に、失陥
カウンタのカウント値が継続してカウントされ、設定値
以上になれば1系統失陥であるとされる。アンチロック
制御中には、車輪の回転速度の変化が大きいため、実際
には1系統失陥であるのに誤って2系統ともに正常であ
ると検出されるおそれがある。そのため、回転速度の比
較が行われないのである。また、ヨーモーメント抑制制
御を行う必要性がないとは限らないため、失陥カウンタ
のカウント値がリセットされることなく保持されるので
ある。
【0035】S73における判定がNOである場合に
は、S80、S81において、左前輪22(ブレーキ系
統50)の回転速度が左後輪42(ブレーキ系統52)
の回転速度より設定値以上大きいか否か、右前輪36
(ブレーキ系統52)の回転速度が右後輪28(ブレー
キ系統50)の回転速度より設定値以上小さいか否かが
判定される。いずれの判定もYESである場合には、S
75において失陥カウンタが1増加させられる。この場
合には、ブレーキ系統50が失陥であるとされるのであ
る。また、S80,81のいずれか一方の判定がNOで
ある場合には、S78,79において失陥カウンタのカ
ウント値が0とされて、失陥フラグがリセットされる。
この場合には、ブレーキ系統50も52も正常なのであ
る。
【0036】失陥したブレーキ系統に含まれるブレーキ
によって回転が抑制される車輪の回転速度は図8に示す
ように推定車体速度にほぼ等しいが、正常なブレーキ系
統のブレーキによって回転が抑制される車輪の回転速度
は、それより小さくなる。この場合には、前輪の方が後
輪よりブレーキ力が大きいため、前輪の方が回転速度が
小さくなる。このことを利用して前述の回転速度差の設
定値が決定される。失陥しているか否かの判定対象のブ
レーキ系統の前輪と正常であると考えられる(基準とな
る)ブレーキ系統の後輪との回転速度差dVa、判定対
象のブレーキ系統の後輪と基準となる前輪との回転速度
差dVbに基づいて決定することができるのである。以
上のように、本実施形態においては、2つのブレーキ系
統50,52に含まれる車輪の回転速度差に基づいて失
陥が検出される。この場合に、失陥が、アンチロック制
御中でない状態で検出されるため、失陥か否かの検出結
果の信頼性を向上させることができる。また、本実施形
態においては、回転速度センサ120〜126、ブレー
キ液圧制御装置100のS73〜81を記憶する部分、
実行する部分等により回転速度依拠失陥検出部が構成さ
れる。本実施形態においては液圧センサ110,11
2,114,116、ストロークセンサ130は不要で
ある。
【0037】なお、左右前輪22,36の回転速度差、
左右後輪28,42の回転速度差に基づいて1系統失陥
を検出することもできる。これら回転速度差が設定値よ
り大きく、かつ、回転速度が大きい方の車輪のブレーキ
が同じブレーキ系統に属する場合には、このブレーキ系
統が失陥しているとすることができる。また、ブレーキ
系統50,52のそれぞれにおいて、回転速度が大きい
方の車輪の回転速度の差に基づいて検出したり、ブレー
キ系統50,52のそれぞれに含まれるブレーキの車輪
の回転速度の平均値、中間値等の統計的に処理した値に
基づいて検出したりすることができる。
【0038】さらに、上記各実施形態においては、ブレ
ーキ系統の液圧を検出する液圧センサが2つずつ設けら
れていたが、1つずつでもよい。ゲイン不良を自己診断
できるものであれば1つでも失陥検出結果の信頼性を保
つことができる。また、ブレーキ系統の液通路の液圧を
検出する液圧センサは不可欠ではない。ブレーキシリン
ダの液圧を検出するブレーキ液圧センサを設け、ブレー
キ液圧センサによる検出液圧に基づいて失陥が検出され
るようにすることもできる。
【0039】さらに、1系統失陥検出と失陥時ブレーキ
液圧制御とが1つのプログラムの実行に従って行われる
ようにされていたが、1系統失陥検出とブレーキ液圧制
御とが異なるプログラムの実行に従って行われるように
することもできる。また、ブレーキは液圧ブレーキでな
く、電動ブレーキとすることもできる。さらに、ブレー
キ装置の構造も上記実施形態におけるそれに限らない。
以上、本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明したが、
これは文字通り例示であり、本発明は[発明が解決しよ
うとする課題、課題解決手段および効果]の項に記載さ
れた態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の
変更、改良を施した態様で、実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置の回路
図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれるブレーキ液圧制御
装置のROMに格納された失陥検出プログラムを表すフロ
ーチャートである。
【図3】上記ブレーキ制御装置における一制御例を表す
図である。
【図4】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置に
含まれるブレーキ液圧制御装置のROMに格納された失陥
検出・ブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャー
トである。
【図5】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置に
含まれるブレーキ液圧制御装置のROMに格納された失陥
検出・ブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャー
トである。
【図6】上記ブレーキ制御装置における一制御例を表す
図である。
【図7】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ
装置に含まれるブレーキ液圧制御装置のROMに格納され
た失陥検出・ブレーキ液圧制御プログラムを表すフロー
チャートである。
【図8】上記ブレーキ制御装置における一制御例を表す
図である。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 14 マスタシリンダ 16,18 加圧室 24,30,38,44 ブレーキ 50,52 ブレーキ系統 56 電磁液圧制御弁装置 100 ブレーキ液圧制御装置 110,112,114,116 液圧センサ 120,122,124,126 車輪速度センサ 130 ストロークセンサ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ対角位置にある車輪のブレーキを
    含み、互いに独立した2つのブレーキ系統を備えたブレ
    ーキ装置において、 前記2つのブレーキ系統のうちのいずれか一方のブレー
    キ系統に失陥が生じたことを検出する失陥検出装置と、 その失陥検出装置によりいずれか一方のブレーキ系統に
    失陥が生じたことが検出された場合に、他方のブレーキ
    系統に含まれる2つのブレーキのブレーキ力の差が小さ
    くなる方向に少なくとも一方のブレーキのブレーキ力を
    制御するブレーキ力制御装置とを含むことを特徴とする
    ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記ブレーキ力制御装置が、前記他方のブ
    レーキ系統の2つのブレーキのうちブレーキ力の増加勾
    配が大きい方のブレーキのブレーキ力の増加勾配を抑制
    する増加勾配抑制部を含む請求項1に記載のブレーキ装
    置。
  3. 【請求項3】前記ブレーキ力制御装置が、車両の減速度
    が予め定められた設定減速度以上である場合に、前記他
    方のブレーキ系統の2つのブレーキのうちの少なくとも
    一方のブレーキのブレーキ力を保持する保持部を含む請
    求項1または2に記載のブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記ブレーキが液圧シリンダであるブレー
    キシリンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するもの
    であり、 前記ブレーキ力制御装置が、 (a)前記ブレーキシリンダの液圧を制御可能な電磁液圧
    制御弁装置と、(b)その電磁液圧制御弁装置への供給電
    流を制御することにより、前記液圧の増加勾配を抑制す
    る供給電流制御部とを含むブレーキ液圧制御装置を含む
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装
    置。
  5. 【請求項5】前記ブレーキ力制御装置が、前記電磁液圧
    制御弁装置への供給電流を制御することにより、前記車
    輪の制動スリップ状態が適正状態に保たれるようにする
    アンチロック制御部を含み、 前記供給電流制御部が、前記電磁液圧制御装置への供給
    電流をON・OFF制御することにより、前記液圧の増
    加勾配を抑制するものである請求項4に記載のブレーキ
    装置。
  6. 【請求項6】前記失陥検出装置が、前記2つのブレーキ
    系統の各々に属するブレーキにより回転が抑制される車
    輪の回転速度差に基づいて一方のブレーキ系統の失陥を
    検出する回転速度差依拠失陥検出部を含む請求項1ない
    し5のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  7. 【請求項7】前記ブレーキが液圧シリンダであるブレー
    キシリンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するもの
    であり、 前記失陥検出装置が、前記2つのブレーキ系統における
    それぞれの液圧に基づいて一方のブレーキ系統の失陥を
    検出する液圧依拠失陥検出部を含む請求項1ないし6の
    いずれか1つに記載のブレーキ装置。
  8. 【請求項8】前記ブレーキが液圧シリンダであるブレー
    キシリンダの作動に基づいて車輪の回転を抑制するもの
    であり、 前記失陥検出装置が、運転者によるブレーキ操作部材の
    操作ストロークと、前記2つのブレーキ系統の少なくと
    も一方の液圧とに基づいて一方のブレーキ系統の失陥を
    検出する操作ストローク/液圧依拠失陥検出部を含む請
    求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  9. 【請求項9】前記失陥検出装置が、運転者によるブレー
    キ操作部材の操作ストロークと、車両の減速度とに基づ
    いて前記一方のブレーキ系統の失陥を検出する操作スト
    ローク/減速度依拠失陥検出部を含む請求項1ないし8
    のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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