JP2002120705A - 自動ブレーキ装置 - Google Patents

自動ブレーキ装置

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JP2002120705A
JP2002120705A JP2000319501A JP2000319501A JP2002120705A JP 2002120705 A JP2002120705 A JP 2002120705A JP 2000319501 A JP2000319501 A JP 2000319501A JP 2000319501 A JP2000319501 A JP 2000319501A JP 2002120705 A JP2002120705 A JP 2002120705A
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hydraulic pressure
pressure
brake
deviation
valve mechanism
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Atsushi Yokoyama
篤 横山
Masanori Ichinose
昌則 一野瀬
Yuzo Kadomukai
裕三 門向
Takaomi Nishigaito
貴臣 西垣戸
Hiroyuki Saito
博之 斎藤
Hideshi Adachi
秀史 安達
Satoshi Kuragaki
倉垣  智
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気圧式の電子制御倍力装置を備えた自動ブレ
ーキ装置を、ブレーキ力を円滑に操作できるものとす
る。 【解決手段】 電磁気的に作動される弁機構と、該弁機
構により圧力を制御される二つの区画室と、該二つの区
画室の差圧により進退する出力軸と、を有し、前記出力
軸により出力する電子制御倍力装置と、ブレーキ液圧を
検出する液圧検出手段と、目標ブレーキ液圧を出力する
目標ブレーキ液圧出力手段と、前記液圧検出手段と目標
ブレーキ液圧出力手段の各出力を入力として電子制御倍
力装置の弁機構を電磁気的に駆動する電流を制御する制
御装置とを備え、この制御装置を、目標ブレーキ液圧と
前記検出されたブレーキ液圧との偏差を算出し、得られ
た偏差と該偏差に対応してあらかじめ設定された制御ゲ
インを用いて前記電流を制御するよう構成し、前記制御
ゲインは前記偏差の増加に伴って減少するように設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のブレーキ
装置に係り、特に、自動作動可能な気圧式の電子制御倍
力装置を備える自動ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】気圧式の電子制御倍力装置を備える自動
ブレーキ装置は、自車の車両運動状態や周囲環境により
ブレーキ力が必要と判断される場合に、運転者のブレー
キ操作から独立してブレーキ力を発生させたり、緊急時
に運転者のブレーキ操作力を助勢する力を発生させるも
のである。
【0003】このような自動ブレーキ装置の電子制御倍
力装置として、例えば、特開平11−208453号公
報記載のような、ソレノイドにより電磁気的にハウジン
グ内の弁機構を作動させるようにした電子制御倍力装置
が発明されている。この電子制御倍力装置では、電磁気
的に大気−変圧室間の弁を開き、変圧室を増圧させ、変
圧室より低圧に保たれた定圧室と変圧室の差圧によって
ブレーキ力を発生させる。この弁機構では、ばね力と変
圧室−定圧室間の差圧が弁をフロント側(図1の左側)
へ付勢し、ソレノイドの電磁気力が弁をリア側(図1の
右側)へ付勢する機構となっており、これらの付勢力が
均衡すると弁が閉鎖される。この弁機構によって、ソレ
ノイドの電磁気力に応じた差圧が発生することになり、
ソレノイドに通電する電流の大小に応じて電子制御倍力
装置の出力を自由に調整することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術の電子制御倍力装置を備える自動ブレーキ装置では、
電流値と出力に応じた弁機構の付勢力がバランスし、閉
弁保持状態となる電流値(以下、均衡電流値と呼ぶ)が
ある。この均衡電流値から電流値を増減させると、この
均衡電流値からの電流値偏差の分だけ弁機構の付勢力バ
ランスがくずれることによって、弁が開弁し、電子制御
倍力装置の出力が変化する。このとき、均衡電流値から
の電流値偏差が大きいほど、弁の開弁量は大きくなり、
空気流量が大きくなるため、電子制御倍力装置の出力変
化率が大きくなる。
【0005】しかしながら、電流値偏差−出力変化率の
特性は、電流値偏差が増加するにしたがって、出力変化
率が急激に大きくなる非線形特性を有するため、出力の
円滑な制御が困難となる。電流値偏差−出力変化率が非
線形特性を有する第一の要因として、弁機構への摩擦力
や空気流体力の影響によって、開弁量の増加量が電流値
偏差の増加分に比例せず、実際には比例した場合より大
きな開弁量になることが挙げられる。第二の要因とし
て、空気流量の増加量が開弁量の増加分に比例せず、比
例した場合より多くの空気が流れることが挙げられる。
これらの要因によって、電子制御倍力装置の出力変化率
の増加量は、電流値偏差の増加量に比例せず、電流値偏
差が大きくなるほど、急激に出力が変化する特性をもつ
ことになる。従って、電流値偏差−出力変化率を線形特
性と仮定した制御装置では、ブレーキ力の変化が急激
で、円滑な制御が困難となる。
【0006】そこで、本発明は、自動ブレーキ装置の電
子制御倍力装置を構成する弁機構の非線形特性を考慮
し、ブレーキ力を円滑に操作できる自動ブレーキ装置を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的は、電磁気的に
作動され空気の流れを制御する弁機構と、該弁機構によ
り圧力を制御される二つの区画室と、該二つの区画室の
差圧により進退する出力軸と、を有する電子制御倍力装
置と、該電子制御倍力装置の前記出力軸によってピスト
ンを作動されブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ
と、該マスタシリンダからブレーキ液圧が供給されてブ
レーキ力を発生させるホイールシリンダと、前記ブレー
キ液圧を検出する液圧検出手段と、目標ブレーキ液圧を
出力する目標ブレーキ液圧出力手段と、前記液圧検出手
段の出力と目標ブレーキ液圧出力手段の出力を入力とし
て前記電子制御倍力装置の弁機構を電磁気的に駆動する
電流を制御する制御装置とを備えてなる自動ブレーキ装
置において、前記制御装置を、目標ブレーキ液圧と前記
検出されたブレーキ液圧との偏差を算出し、得られた偏
差と制御ゲインを用いて前記電流を制御するよう構成
し、前記制御ゲインを前記偏差の増加に伴って減少する
ように設定することにより達成される。
【0008】このように制御ゲインを前記偏差の増加に
伴って減少するように設定することにより、目標ブレー
キ液圧と前記検出されたブレーキ液圧との偏差が大きく
なっても、その偏差を解消するために弁機構を電磁気的
に駆動する電流の大きさの増加の割合を小さくしていく
ことができる。電流の増加の割合が小さくなると、この
電流で電磁気的に駆動される弁機構の開度の増加の割合
も小さくなり、したがって弁機構を通過する空気流量の
増加の割合も小さくなる。弁機構を通過する空気流量の
増加の割合が小さくなることは、目標ブレーキ液圧と前
記検出されたブレーキ液圧との偏差の増加の割合に対す
る前記二つの区画室の差圧の増加の割合を小さくするこ
とであり、したがって前記差圧に基づくブレーキ力の増
加の割合を前記偏差の増加の割合に対して小さくする。
すなわち、弁機構の非線形特性を補償することになる。
つまり、上記構成により、弁機構の非線形特性を補償す
ることができるので、ブレーキ力を円滑に操作できる自
動ブレーキ装置を実現可能となる。
【0009】前記制御装置が、所定の偏差を境界とし
て、制御ゲインを切換えるように構成されたものであっ
てもよい。このように構成しても、弁機構の非線形特性
を補償することができるので、ブレーキ力を円滑に操作
できる自動ブレーキ装置を実現可能となる。
【0010】また、前記制御装置は、ブレーキ液圧を増
圧制御する場合と、減圧制御する場合とで、異なる制御
ゲインを用いるよう構成してもよい。これにより、増圧
時と減圧時とで弁機構特性が異なる性質を補償すること
ができるので、ブレーキ力を円滑に操作できる自動ブレ
ーキ装置を実現可能となる。
【0011】さらに、前記目的は、電磁気的に作動され
空気の流れを制御する弁機構と、該弁機構により圧力を
制御される二つの区画室と、該二つの区画室の差圧によ
り進退する出力軸と、を有する電子制御倍力装置と、該
電子制御倍力装置の前記出力軸によってピストンを作動
されブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、該マス
タシリンダからブレーキ液圧が供給されてブレーキ力を
発生させるホイールシリンダと、前記ブレーキ液圧を検
出する液圧検出手段と、目標ブレーキ液圧を出力する目
標ブレーキ液圧出力手段と、前記液圧検出手段の出力と
目標ブレーキ液圧出力手段の出力を入力として前記電子
制御倍力装置の弁機構を電磁気的に駆動する電流を制御
する制御装置とを備えてなる自動ブレーキ装置におい
て、前記制御装置を、目標ブレーキ液圧と前記検出され
たブレーキ液圧との偏差を算出し、得られた偏差を用い
て前記電流を制御するよう構成し、かつ前記偏差に基づ
いて前記電流の下限値および上限値を算出し、弁機構を
電磁気的に駆動する前記電流の値を前記下限値以上、前
記上限値以下に制御するよう構成することによっても達
成される。これにより、ブレーキ力の急激な変化を抑制
できるので、ブレーキ力を円滑に操作できる自動ブレー
キ装置を実現可能となる。
【0012】さらに、前記目的は、電磁気的に作動され
空気の流れを制御する弁機構と、この弁機構に前記電磁
気的に加わる力と反対方向の力を付勢する戻しばねと、
前記弁機構により圧力を制御される二つの区画室と、該
二つの区画室の差圧により進退する出力軸と、を有する
電子制御倍力装置と、該電子制御倍力装置の前記出力軸
によってピストンを作動されブレーキ液圧を発生するマ
スタシリンダと、該マスタシリンダからブレーキ液圧が
供給されてブレーキ力を発生させるホイールシリンダ
と、前記ブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、目標
ブレーキ液圧を出力する目標ブレーキ液圧出力手段と、
前記液圧検出手段の出力と目標ブレーキ液圧出力手段の
出力を入力として前記電子制御倍力装置の弁機構を電磁
気的に駆動する電流を制御する制御装置とを備えてなる
自動ブレーキ装置において、前記戻しばねを、その変位
−荷重特性が非線形特性のものとすることより達成され
る。これにより、弁機構の非線形特性を線形特性に近づ
けることができるので、ブレーキ力を円滑に操作できる
自動ブレーキ装置を実現可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の自動ブレーキ装置
の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、
以下の説明では、図上、右側をリア側、左側をフロント
側として説明する。
【0014】≪基本構成≫ 自動ブレーキ装置全体 図1に示すように、本実施の形態の自動ブレーキ装置
は、ブレーキペダル2と、ブレーキペダル2の操作また
は電磁気的な操作により作動される気圧式の電子制御倍
力装置1と、この電子制御倍力装置1の出力により2つ
の液室にそれぞれブレーキ液圧を発生するマスタシリン
ダ3と、このマスタシリンダ3の液室に発生したブレー
キ液圧を各輪に伝達する液圧配管4a,4bと、4つの
車輪のそれぞれに設けられてブレーキ力を発生するホイ
ールシリンダ6a〜6dと、ブレーキ液圧を検出する液
圧検出手段20と、電子制御倍力装置1に負圧を供給す
る負圧源7と、車両の運転状態を検知する運転状態検出
手段21と、他車や障害物などの外界環境の状態を検知
する外界環境検出手段22と、目標ブレーキ液圧(以
下、目標液圧という)を演算、出力する目標ブレーキ液
圧出力手段である目標液圧演算装置23と、前記電子制
御倍力装置1を駆動制御する制御装置10と、を含んで
構成されている。
【0015】電子制御倍力装置1は、負圧源7にて発生
する負圧Pmと大気圧Paとの圧力差P(=Pa−P
m)を利用してブレーキ力を発生する。この電子制御倍
力装置1は、運転者によるブレーキ操作時にはブレーキ
ペダル2の操作量に応じて圧力差を調整し、マスタシリ
ンダ3に出力する力を増大させる。また、自動ブレーキ
時にはソレノイド66への駆動電流値に応じて圧力差を
調整し、マスタシリンダ3に出力する力を発生する。
【0016】マスタシリンダ3は、電子制御倍力装置1
の出力軸である出力ロッド33からの入力(出力ロッド
33の移動量)を液圧に変換するピストン43と、第一
液室41と、第二液室42とを備え、第一液室41は、
液圧配管4aを経由して、右前輪のホイールシリンダ6
aと左前輪のホイールシリンダ6bと連通しており、第
二液室42は、液圧配管4bを経由して、右後輪のホイ
ールシリンダ6cと左後輪のホイールシリンダ6dと連
通している。
【0017】運転状態検出手段21は、例えば、車両の
速度、車両の加速度、車両の旋回角速度、各車輪の回転
速度、各車輪のスリップ状態、ブレーキペダル踏込み
量、ステアリングの舵角、エンジンのスロットル開度、
などを検出し、各運転状態に応じた信号を目標液圧演算
装置23へ送るものである。外界環境検出手段22は、
前方走行車との車間距離や相対速度、障害物の有無、道
路勾配、などを検出し、外界環境に応じた信号を目標液
圧演算装置23へ送るものである。目標液圧演算装置2
3は、運転状態検出手段21と外界環境検出手段22の
信号から、ブレーキ液圧の目標値を演算し、制御装置1
0へ送るものである。液圧検出手段20は、ブレーキ液
圧を検出するセンサで、例えば圧力センサである。制御
装置10は、目標液圧演算装置23と、液圧検出手段2
0からの信号に応じて、電子制御倍力装置1への駆動電
流値を演算し、ソレノイド66を駆動制御する。
【0018】運転状態検出手段21、外界環境検出手段
22、目標液圧演算装置23、および制御装置10との
間の信号の伝達は、信号別に設けた信号線を用いて行う
ことも可能であるし、CAN(Control Area Networ
k)などのネットワークを用いて行うことも可能であ
る。信号線の削減、信号の共有性の向上、拡張性の高さ
などの理由により、CANを用いて信号の伝達を行うこ
とが有効である。また、常時利用する信号については専
用の信号線をCANと併用しても構わない。
【0019】伝達されている信号の内容は、CAN用ア
ナライザでモニターすることが可能である。専用の信号
線を用いている信号についても、運転状態検出手段2
1、外界環境検出手段22、目標液圧演算装置23、お
よび制御装置10において、信号が格納されているメモ
リーの内容を呼び出すことによりモニターすることが可
能である。すなわち、自動ブレーキ装置のなかでやり取
りされている検出量や制御量などの信号は、上記のアナ
ライザーなどの手段を用いることにより、必要に応じて
外部からモニターすることができる。
【0020】電子制御倍力装置電子制御倍力装置1は、
軸方向両端が閉じられ軸線を横方向にして配置された短
円筒状のケーシング100と、このケーシング100の
内部に配置され、筒状の弁機構室をケーシング100の
軸方向リア側の端面に形成された開口に挿通させたバル
ブボディ51と、前記ケーシング100のフロント側端
部内面とバルブボディ51のフロント側端面の間に介装
されてバルブボディ51をリア側に向かって付勢するリ
ターンスプリング35を含んでいる。
【0021】バルブボディ51は、軸方向のほぼ中央部
に、外径がケーシング100の内径より小さい円板状の
仕切壁を備え、該仕切壁の外周縁とケーシング100の
内周面の間は、環状のダイアフラム52で気密に接続さ
れている。すなわち、ケーシング100の内部は、前記
円板状の仕切壁とダイアフラム52により、二つの区画
室、すなわち、フロント側の定圧室53とリア側の変圧
室54に区画されている。
【0022】バルブボディ51の前記仕切壁のフロント
側には、前記円板状の仕切壁と同心状に、円筒状にフロ
ント側に向かって突出したソレノイド室が形成され、そ
の内周壁に沿って、環状にソレノイド66が装着されて
いる。また、バルブボディ51の前記仕切壁のリア側に
は、前記円板状の仕切壁と同心状に、前記弁機構室が円
筒状にリア側に向かって突出して形成されている。この
弁機構室は前述のように、ケーシング100のリア側端
部壁面に形成された開口に挿通されており、バルブボデ
ィ51は前記リターンスプリングに35に付勢されて、
弁機構室の付け根部に形成された段差(ケーシング10
0のリア側端部壁面の開口の径よりも大きい径の部分)
がケーシング100のリア側端部壁面内面に当接し、バ
ルブボディ51がケーシング100からリア側へ飛び出
さないようになっている。なお、前記段差がケーシング
100のリア側端部壁面内面に当接した状態でも、前記
円板状の仕切壁とケーシング100のリア側端部壁面内
面の間には、変圧室54を形成する空間が維持されるよ
うになっている。
【0023】前記仕切壁とソレノイド室のフロント側端
部の壁面には、バルブボディ51の軸心と同心に開口が
設けられ、入力ロッド32が軸心方向に進退可能に挿通
されている。入力ロッド32は、前記ソレノイド室と弁
機構室を貫通しており、弁機構室のリア側の外部に位置
するリア側端部には、ブレーキペダル2が結合されてい
る。
【0024】ソレノイド室の外径は弁機構室の内径より
も小さくなっており、前記仕切壁には、定圧室53と弁
機構室内部外周より部分を連通する開孔が設けられ、前
記段差と前記仕切壁の間の弁機構室外周壁には、弁機構
室の内周部分と変圧室54を連通する開口が設けられて
いる。仕切壁の中央部分は外周側よりも肉厚に形成さ
れ、この肉厚部分にはリア側から、前記入力ロッド32
の貫通孔よりも大きい径の貫通しない穴が形成されてい
る。この穴に、リア側から、リア側端部に該穴の径より
も大きい径のフランジ部69を備えた筒状部材68が、
軸方向に摺動可能に嵌め込まれている。フランジ部69
のリア側端面には、バルブボディ51の軸線と同心環状
に真空弁座61が形成されている。
【0025】入力ロッド32の前記弁機構室内部にある
位置に、バルブボディ51の軸線と同心に、前記真空弁
座61とほぼ同じ径の円板状部分が形成され、その外周
端リア側の面に、環状の大気弁座62が形成されてい
る。前記円板状部分の外周端を覆うように、半径方向断
面がコの字形の環状の弁体63が、コの字形の開放端を
中心側にして配置されている。なお、弁体63は、コの
字形の断面のフロント側の辺のフロント側端面を前記真
空弁座61に対向させ、コの字形の断面のリア側の辺の
フロント側端面を前記大気弁座62に対向させている。
【0026】入力ロッド32の前記円板状部分が形成さ
れている部分よりリア側に、リア側になるにつれて径が
大きくなる2段階の段差部が形成されている。弁体63
のリア側の端面に形成された凹みと前記2段階の段差部
のうちのフロント側の段差部の間に、バルブスプリング
55が介装され、弁体63を大気弁座62に着座させる
方向に付勢している。また、前記フランジ部69のリア
側の端面と前記円板状部分のフロント側端面の間にはソ
レノイドスプリング57が介装され、入力ロッド32を
リア側に向かって、云いかえると大気弁座62を弁体6
3に当接させる方向に、付勢している。
【0027】ソレノイド66の内周側には、入力ロッド
32に嵌め込まれた円筒状のピストン67が軸方向に摺
動可能に配置されている。前記筒状部材68のフロント
側の一部が延長されてその端部が前記ピストン67のリ
ア側端面に当接している。図示の状態では、ピストン6
7のフロント側端面がソレノイド室のフロント側端面に
当接し、筒状部材68は、そのフロント側端部がピスト
ン67のリア側端面に当接しているとともに、フランジ
部69のフロント側端面がバルブボディ51の仕切壁中
央部分のリア側端面に当接している。
【0028】ソレノイド室のフロント側端部壁面のフロ
ント側の面には、入力ロッド32と同心状に、短円筒状
の突出部が形成され、その内部にリアクションディスク
34が配置されている。さらに、円板部とロッド部から
なる出力ロッド33が、前記円板部を前記リアクション
ディスク34に当接させて配置され、そのロッド部はケ
ーシング100のフロント側端面に形成された開口を貫
通してケーシング100外部に突出している。
【0029】ケーシング100のフロント側端面に結合
してマスタシリンダ3が、出力ロッド33と同心に配置
され、出力ロッド33のフロント側端部は、マスタシリ
ンダ3リア側壁面を貫通して、マスタシリンダ3内部に
達している。マスタシリンダ3内部には、出力ロッド3
3のフロント側端部に当接する位置にピストン43が配
置されている。ピストン43のフロント側に中間ピスト
ン43Aが配置されており、中間ピストン43Aとピス
トン43の間に第2液室42を、中間ピストン43Aと
マスタシリンダ3のフロント側端部との間に第1液室4
2を、それぞれ形成している。また、中間ピストン43
Aとピストン43の間、中間ピストン43Aとマスタシ
リンダ3のフロント側端部との間にはそれぞれスプリン
グが介装され、各両者を離隔させる方向に付勢してい
る。
【0030】前記真空弁座61、大気弁座62と、真空
弁座61、大気弁座62にリア側からバルブスプリング
55によって着座する弁体63とを備えて弁機構60が
構成され、この弁機構60により、定圧室53と変圧室
54との連通状態を切り換えるようになっている。
【0031】上記真空弁座61とそれに接離する弁体6
3のシート部とによって真空弁64が構成され、この真
空弁64よりも外周側の空間は、定圧室53に連通して
いる。定圧室53は負圧源7と連通しており、常時負圧
が導入されている。また、大気弁座62とそれに接離す
る弁体63のシート部とによって大気弁65が構成され
ている。そして、大気弁65の外周側の空間は、変圧室
54に連通しており、大気弁65の内周側の空間は、大
気に連通している。入力ロッド32とバルブボディ51
との間にバルブスプリング55より大きなばね力で入力
ロッド32をリア側に付勢するスプリング56が介装さ
れている。これにより、電子制御倍力装置1の非作動状
態(ソレノイド66に通電されていない状態)かつブレ
ーキペダルが踏まれていない状態では、大気弁65を閉
鎖させるとともに、弁体63をリア側に動かして真空弁
64を開放させている。なお、スプリング56により弁
体63がリア側に過大に移動するのを抑えるため、図示
のようにバネ材が設けられ、弁体63を受け止めるよう
にしてある。また、電子制御倍力装置1の非作動状態で
は、バルブボディ51は、前記リターンスプリング35
により、図1に示す位置に保持される。
【0032】筒状部材68のフランジ部69と入力ロッ
ド32の間に介装されたソレノイドスプリング57は、
入力ロッド32をリア側に向かって付勢するとともに、
筒状部材68とピストン66をフロント側に向けて付勢
する。 ≪電子制御倍力装置の基本動作≫ 通常ブレーキ時 ブレーキペダル2の踏込力により入力ロッド32がフロ
ント側へ押され、それに応じて、真空弁64が閉じて大
気弁65が開くので、定圧室53と変圧室54は遮断状
態、変圧室54と大気は連通状態となる。これにより、
大気が変圧室54に導入され、変圧室54内部の圧力
が、負圧源7に接続されていて負圧に保持されている定
圧室53内部の圧力よりも高くなる。従って、ダイヤフ
ラム52の前後に圧力差が生じ、バルブボディ51およ
び出力ロッド33が、ブレーキペダル2に加わる踏み込
み力に前記圧力差による力を加算した力で、リターンス
プリング35の付勢力に抗してフロント側へ推進され
る。この出力ロッド33のフロント側への移動は、その
ままピストン43の移動に変換される。すなわち、ブレ
ークペダル2からの入力が所定の倍率で倍力されてマス
タシリンダ3のピストン43へ伝達される。
【0033】ピストン43のフロント側への移動によ
り、第一液室41および第二液室42に同じ大きさのブ
レーキ液圧が発生する。第一液室41の液圧はホイール
シリンダ6a、6bに供給され、第二液室42の液圧は
ホイールシリンダ6c、6dに供給され、各輪にブレー
キ力が加わる。
【0034】自動ブレーキ時−増圧時 電子制御倍力装置1を自動ブレーキとして作動させる場
合には、ソレノイド66に所要値の電流を通電して励磁
させる。電流値に応じた電磁気力がピストン67に加わ
り、この電磁気力によって、ピストン67がソレノイド
スプリング57に抗して筒状部材68をリア側に動か
し、真空弁64を閉じる。ピストン67は更にリア側に
動き、筒状部材68を介して弁体63を、バルブスプリ
ング55に抗して、リア側に動かし、大気弁65を開
く。これにより、大気が変圧室54に導入される。変圧
室54へ大気が導入されると、変圧室54内部の圧力が
定圧室53内部の圧力よりも高くなり、ダイヤフラム5
2の前後に圧力差が生じる。この圧力差に基づく力で、
バルブボディ51および出力ロッド33がフロント側に
推進され、ピストン43がフロント側に押されてマスタ
シリンダ3の第1液室41、第2液室42の液圧が上昇
する。
【0035】このとき、ピストン67の位置は、電磁気
力によるリア側への付勢力と、バルブスプリング55、
ソレノイドスプリング57によるフロント側への付勢力
が釣合う位置となる。従って、電流値が大きいほど、ピ
ストン67の位置はリア側へ移動することとなり、大気
弁65の開弁量は大きくなる。従って、変圧室54へ導
入される大気の流量も大きくなり、ブレーキ液圧の変化
率は大きくなる。
【0036】また、筒状部材68のフランジ部69のフ
ロント側には定圧室53の負圧が作用し、フランジ部6
9のリア側には変圧室54の圧力が作用する。このた
め、フランジ部69には、変圧室54の圧力増加に伴う
差圧が作用し、ピストン67に対するフロント側への付
勢力となる。変圧室54の圧力が上昇すると、差圧によ
り筒状部材68に加わるフロント側への付勢力が増加
し、ピストン67は筒状部材68に押されてフロント側
へ移動される。従って、弁体63は真空弁座61のフロ
ント側への移動に合わせてフロント側へ移動するから大
気弁65の開弁量は減少し、変圧室54へ導入される大
気の流量は次第に減少し、ブレーキ液圧の変化率は減少
する。差圧による付勢力がさらに増加すると、大気弁6
5は閉じられ、大気の流入が遮断されるので、ブレーキ
液圧が保持される。これによって、弁機構60はサーボ
バランス状態となり、自動ブレーキとして作動された電
子制御倍力装置1は所望の出力を得られたことになる。
【0037】以上のような電子制御倍力装置1の動作に
おいて、サーボバランス状態である閉弁状態(真空弁6
4、大気弁65がともに閉の状態)となった均衡電流値
Isから、電流値を増加させる。すると、弁機構60の
付勢力バランスがくずれて弁体63がリア側へ動かされ
ることにより大気弁65が開弁し、電子制御倍力装置1
の出力が変化する。このとき、均衡電流値からの電流値
の増減量(以下、電流値偏差と呼ぶ)が大きいほど、大
気弁65の開弁量は大きくなり、空気流量が大きくなる
ため、電子制御倍力装置1の出力変化率が大きくなる。
【0038】図2に、電流値偏差に対する出力変化率の
特性、すなわち電流値偏差−出力変化率特性の一例を示
す。図中、曲線(a)は増圧時(電流増加時)の特性、
曲線(b)は減圧時(電流減少時)の特性を示してい
る。
【0039】曲線(a)で示されるように、増圧時の電
流値偏差−出力変化率の特性は、電流値偏差が増加する
にしたがって、出力変化率が急激に大きくなる非線形特
性を有するため、ブレーキ力の変化が運転者の操作感覚
に合わず、出力の円滑な制御が困難となる。電流値偏差
−出力変化率が非線形特性を有する第一の要因として、
弁機構60への摩擦や空気流体力によって、開弁量の増
加量が電流値偏差の増加分に比例せず、実際には比例分
より大きな開弁量になることが挙げられる。第二の要因
として、空気流量の増加量が開弁量の増加分に比例せ
ず、比例分より多くの空気が流れることが挙げられる。
これらの要因によって、電子制御倍力装置1の出力変化
率の増加量は、電流値偏差の増加量に比例せず、電流値
偏差が大きくなるほど、急激に出力が変化する特性をも
つことになる。
【0040】したがって、ソレノイド66駆動電流値
が、ブレーキ液圧の目標値と検出値との偏差(以下液圧
偏差と呼ぶ)によって線形的に演算されるPID制御で
は、ブレーキ力の変化が急激で運転者のブレーキ操作感
覚に対応しない。このため、本実施の形態では、後述す
るように、制御装置20が、液圧偏差の大小に応じて上
記非線形特性を補償することによって、運転者のブレー
キ操作感覚に対応したブレーキ作動を実現する。
【0041】また、ソレノイド66による電磁気力と対
向する方向に弁体63あるいは筒状部材68を付勢する
戻しばねであるソレノイドスプリング57、バルブスプ
リング55として、変位−荷重特性が変位の増加ととも
に荷重の変化率が増加する非線形特性を有するスプリン
グを用いることによって、電流値偏差−出力変化率の非
線形特性を、図2中の破線(c)で示されるように線形
特性に近づけることも可能となる。
【0042】自動ブレーキ時−減圧時 ブレーキ液圧を減圧させる場合(ブレーキ力を減少させ
るとき)には、ソレノイド66の電流値を減少させる。
電流値の減少に伴って電磁気力が減少する。サーボバラ
ンス状態にあった弁機構60では、ソレノイド66によ
るリア側への付勢力が減少することによって付勢力のバ
ランスがくずれる。従って、ピストン67(したがっ
て、筒状部材68)はフロント側へ移動される。これ伴
って、真空弁64が開放され、変圧室54の空気が定圧
室53へ流出して変圧室54内部の圧力が減少する。変
圧室54の圧力が減少すると、ダイヤフラム52の前後
の圧力差が減少し、バルブボディ51および出力ロッド
33がリア側へ戻され、マスタシリンダ3の第1液室4
1、第2液室42の各液圧が減少する。すなわち、ブレ
ーキ力が減少する。
【0043】変圧室54の圧力が減少すると、変圧室5
4と定圧室53の差圧によるフロント側への付勢力が減
少し、バルブボディ51のリア側への戻りとともにピス
トン67もリア側へ移動される。従って、真空弁64の
開弁量が小さくなるのに伴い、定圧室53へ流出する空
気の流量は次第に減少し、ブレーキ液圧の変化率は減少
する。差圧による付勢力がさらに減少すると、真空弁6
4は閉じられ、空気の流出が遮断されるので、ブレーキ
液圧が保持される。これによって、弁機構60はサーボ
バランス状態となり、自動ブレーキとして作動された電
子制御倍力装置1は所望の出力を得られたことになる。
【0044】図2中の曲線(b)に示したとおり、減圧
時においても、増圧時と同様に電流値偏差−出力変化率
の特性は、非線形特性を有するため、ブレーキ力の変化
が急激で運転者のブレーキ操作感覚に合わず、円滑な運
転操作が困難になる。さらに、減圧時には、弁機構60
への付勢力としてバルブスプリング55の荷重は作用し
ないので、電流値偏差−出力変化率の特性は、増圧時と
異なる特性を有する。従って、電子制御倍力装置1の駆
動制御において、増圧時と減圧時で同じ制御ゲインを使
用すると円滑な制御が困難となる。したがって、本実施
の形態では、後述するように、増圧時と減圧時とで制御
ゲインを切換えることにより、円滑なブレーキ制御が可
能とした。
【0045】≪自動ブレーキ装置の制御方法≫以上のよ
うな基本構成と基本動作をもつ本実施の形態の自動ブレ
ーキ装置の制御について、以下説明する。
【0046】本実施の形態においては、外界環境検出手
段22により車両の前方に他車や障害物が検知された場
合、または、運動状態検出手段21により車輪の過大な
スリップ率や不安定な車両挙動が検出された場合、目標
液圧演算装置23は、ブレーキ液圧の目標値を演算し、
制御装置10へブレーキ力の発生を要求する。制御装置
10は、運転者のブレーキ操作の有無に関わらず、電子
制御倍力装置1を駆動し、自動ブレーキを作動させる。
【0047】以下、図3のフローチャートに基づいて説
明する。
【0048】制御装置10は、目標液圧演算装置23か
らブレーキ液圧の目標値が出力されたらステップ100
にて、ブレーキ液圧の目標値Pmoとブレーキ液圧の検
出値Pmの情報を読込み、偏差ΔP(=Pmo−Pm)
を演算しステップ110へ進む。ステップ110では、
偏差ΔPが負の値か否かを判定し、負の値でない場合に
は増圧制御を行うためにステップ120へ進み、一方負
の値の場合は、減圧制御を行うためにステップ220へ
進む。
【0049】ステップ120から増圧制御が開始され
る。ステップ120にて、偏差ΔPの時間変化率ΔP′
と時間積分∫ΔPを算出し、ステップ130へ進む。ス
テップ130では、偏差ΔPを入力として、偏差に対応
する補正係数Kp、時間変化率に対応する補正係数K
d、時間積分に対応する補正係数Kiを演算し、ステッ
プ140へ進む。ステップ140では、PID制御ゲイ
ンの初期値に補正係数を乗じて補正制御ゲインCp、C
d、Ciを得る。偏差ΔPの初期ゲインはCpi、時間
変化率ΔP′の初期ゲインはCdi、時間積分∫ΔPの
初期ゲインはCiiであり、補正後のゲイン(補正制御
ゲイン)は、それぞれCp=Kp×Cpi、Cd=Kd
×Cdi、Ci=Ki×Ciiとなる。
【0050】なお、補正係数は、図4に示すように、偏
差ΔPが小さいときは1.0となり、偏差ΔPが大きく
なるに従って1.0より小さい値をとる関数となってい
る。すなわち、偏差ΔPが小さいときは、PID制御ゲ
インは初期値と等しくなり、偏差ΔPが大きくなるほ
ど、PID制御ゲインは初期値より小さい値と変換され
る。したがって、偏差ΔPが大きいときの駆動電流が必
要以上に急激に変化するのを防ぐことができ、ブレーキ
液圧の急激な増減を抑制することになる。補正係数に関
しては、Kpのみを可変とし、KdとKiを1.0の固
定値と設定しても、偏差ΔPが大きいときの駆動電流変
化を抑制することができるので、KdとKiをも可変と
した場合と同様の効果を得ることができる。これによっ
て、制御側を簡素化することが可能となる。
【0051】補正制御ゲインが得られたら、ステップ1
50に進み、上記の補正されたPID制御ゲインCp、
Cd、Ciと、偏差ΔP、時間変化率ΔP′、及び時間
積分∫ΔPを使用して、ソレノイド66に通電する電流
値Iが算出される。オフセット電流(前記均衡電流値)
をIsとすると、電流値Iは、 I=Is+Cp×ΔP+Cd×ΔP′+Ci×∫ΔP で求められる。
【0052】電流値Iが得られたらステップ160に進
む。あらかじめ、図5に示すように、ブレーキ液圧の検
出値Pmに対応して電流上限値Imaxと電流下限値I
minを設定しておき、ブレーキ液圧の検出値Pmから
電流上限値Imaxを求める。さらに、ステップ150
で演算した電流値Iと求めた電流上限値Imaxを比較
し、電流値Iが電流上限値Imax以下か否か判定す
る。I≦Imaxの場合は、ステップ300へ進み、一
方I>Imax時は、ステップ170へ進む。
【0053】ステップ170では、I=Imaxに変換
してステップ300へ進む。このように、電流値に上限
値Imaxを設定することによって、ブレーキ液圧が必
要以上に急激に上昇することを抑制することができる。
【0054】ステップ110から減圧制御へ進んだ場
合、ステップ220より減圧制御が開始される。図3の
ステップ220からステップ250までは、増圧制御と
同様な処理を行うが、ステップ260においては、前記
図5に示す電流下限値Iminを求めて電流値Iと対比
し、電流値Iが電流下限値Imin以上か否かを判定す
る。I≧Iminの場合は、ステップ300へ進み、一
方I<Imin時は、ステップ270へ進む。
【0055】ステップ270では、I=Iminに変換
してステップ300へ進む。このように、電流値に下限
値Imin設定することによって、ブレーキ液圧が必要
以上に急激に減少することを抑制する。また、減圧制御
におけるPID制御ゲインの初期値および補正係数とし
て、減圧時の電流値偏差−出力変化率特性に合わせて、
増圧制御とは異なる値を用いることにより、より円滑な
制御ができる。これらによって、増圧時と減圧時とで液
圧変化特性が異なるという性質を考慮でき、増圧制御と
減圧制御の両方で円滑なブレーキ制御を実現することが
可能となる。
【0056】なお、図5において、電流上限値Imax
および電流下限値Iminは、ブレーキ液圧Pmが大き
くなるのにつれて大きくなるように設定している。これ
はブレーキ液圧Pmが大きいほど、均衡電流値も増加す
る特性を考慮して設定しているためである。図5におけ
る横軸のブレーキ液圧は、検出されたブレーキ液圧Pm
であるが、目標液圧Pmoに対して電流上限値Imax
および電流下限値Iminを設定するようにしてもよ
い。
【0057】ステップ300では、自動ブレーキ制御を
終了するか否かを判断し、肯定判断されると自動ブレー
キ制御を終了し、否定判断されるとステップ100へ戻
る。
【0058】本実施の形態では、電流値偏差−出力変化
率特性を図2中に示す一点鎖線(d)で示される線形特
性に近づけることができるため、以上のような自動ブレ
ーキ制御を繰り返すことにより、運転者の操作感覚に適
合した円滑なブレーキ力を発生する自動ブレーキ装置が
実現可能となる。
【0059】なお、上述のような電流制御が実施されて
いるか否かは、前述したCANや信号線によって伝達さ
れる信号を調べることにより知ることができる。すなわ
ち、目標液圧演算装置23から出力されるブレーキ液圧
の目標値と液圧検出手段20から出力される液圧の検出
値との偏差(以下、液圧偏差)と、制御装置10から出
力される駆動電流値との比をモニターした信号の内容か
ら算出すると、液圧偏差が大きな場合には液圧偏差と駆
動電流値の比が小さくなる。
【0060】以上、本発明の第1の実施の形態を説明し
たが、本発明は前記第1の実施の形態に限定されるもの
ではなく、発明の趣旨から逸脱しない限り、種々の変更
を行うことができる。
【0061】例えば、上記第1の実施の形態では、補正
係数をず4に示すように連続的に変化するものとした
が、所定の偏差ΔPoを境界として、制御ゲインを段階
的に切換えることも可能である。連続した補正係数の関
数を有する必要がないので、制御則がより簡潔になる。
【0062】また、上記実施の形態では、補正係数を制
御ゲインの初期値に乗じて非線形特性を補償したが、他
の方法も考えられる。例えば、制御ゲインそのものを偏
差ΔPの関数として設定することも可能である。また例
えば、偏差ΔPに補正係数を乗じたあと、補正後の偏差
を用いてPID制御することも可能である。また例え
ば、偏差ΔPと固定制御ゲインとから演算した電流値に
補正係数を乗じることも可能である。これらの方法を比
較適用することで、電子制御倍力装置の特性や制御装置
10の動作条件に適した制御ループを組むことができ
る。
【0063】
【発明の効果】本発明の自動ブレーキ装置によれば、電
子制御倍力装置の非線形特性を考慮した制御ゲインの調
整を行うので、円滑なブレーキ力操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す自動ブレーキ装置の
全体基本構成を表す断面図である。
【図2】ソレノイドに通電される電流値偏差に対するブ
レーキ出力変化率の特性を表す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態における制御を表すフロー
チャートである。
【図4】図3に示すフローチャートにおける補正係数の
例を表す概念図である。
【図5】図3に示すフローチャートにおける電流上限値
と電流下限値を表す図である。
【符号の説明】
1 電子制御倍力装置 2 ブレーキペダル 3 マスタシリンダ 4a,4b 液圧配管 6a〜6d ホイールシリンダ 7 負圧源 10 制御装置 20 液圧検出手段 21 運転状態検出手段 22 外界環境検出手段 23 目標液圧演算装置 32 入力ロッド 33 出力ロッド 34 リアクションディスク 35 リターンスプリング 41 第1液室 42 第2液室 43 ピストン 43A 中間ピストン 51 バルブボディ 52 ダイヤフラム 53 定圧室 54 変圧室 55 バルブスプリング 56 スプリング 57 ソレノイドスプリング 60 弁機構 61 真空弁座 62 大気弁座 63 弁体 64 真空弁 65 大気弁 66 ソレノイド 67 ピストン 68 筒状部材 69 フランジ部 100 ケーシング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門向 裕三 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 西垣戸 貴臣 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 斎藤 博之 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 安達 秀史 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 倉垣 智 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 3D046 BB18 CC02 EE01 HH02 HH05 HH08 HH16 HH20 HH22 HH26 HH36 JJ00 JJ03 LL02 LL05 LL10 3D048 BB33 BB35 BB37 CC26 EE10 EE14 EE16 EE17 HH08 HH42 HH53 HH66 RR00 RR01 RR02 RR06 RR11 RR16 RR35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁気的に作動され空気の流れを制御す
    る弁機構と、該弁機構により圧力を制御される二つの区
    画室と、該二つの区画室の差圧により進退する出力軸
    と、を有する電子制御倍力装置と、該電子制御倍力装置
    の前記出力軸によってピストンを作動されブレーキ液圧
    を発生するマスタシリンダと、該マスタシリンダからブ
    レーキ液圧が供給されてブレーキ力を発生させるホイー
    ルシリンダと、前記ブレーキ液圧を検出する液圧検出手
    段と、目標ブレーキ液圧を出力する目標ブレーキ液圧出
    力手段と、前記液圧検出手段の出力と目標ブレーキ液圧
    出力手段の出力を入力として前記電子制御倍力装置の弁
    機構を電磁気的に駆動する電流を制御する制御装置とを
    備えてなる自動ブレーキ装置において、前記制御装置
    は、目標ブレーキ液圧と前記検出されたブレーキ液圧と
    の偏差を算出し、得られた偏差と該偏差に対応してあら
    かじめ設定された制御ゲインを用いて前記電流を制御す
    るよう構成され、前記制御ゲインは前記偏差の増加に伴
    って減少するように設定されていることを特徴とする自
    動ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の自動ブレーキ装置におい
    て、前記制御装置は、あらかじめ設定された値の偏差を
    境界として、制御ゲインを切換えるように構成されてい
    ることを特徴とする自動ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の自動ブレーキ装
    置において、前記制御装置は、ブレーキ液圧を増圧制御
    する場合と、減圧制御する場合とで、異なる制御ゲイン
    を用いるよう構成されていることを特徴とする自動ブレ
    ーキ装置。
  4. 【請求項4】 電磁気的に作動され空気の流れを制御す
    る弁機構と、該弁機構により圧力を制御される二つの区
    画室と、該二つの区画室の差圧により進退する出力軸
    と、を有する電子制御倍力装置と、該電子制御倍力装置
    の前記出力軸によってピストンを作動されブレーキ液圧
    を発生するマスタシリンダと、該マスタシリンダからブ
    レーキ液圧が供給されてブレーキ力を発生させるホイー
    ルシリンダと、前記ブレーキ液圧を検出する液圧検出手
    段と、目標ブレーキ液圧を出力する目標ブレーキ液圧出
    力手段と、前記液圧検出手段の出力と目標ブレーキ液圧
    出力手段の出力を入力として前記電子制御倍力装置の弁
    機構を電磁気的に駆動する電流を制御する制御装置とを
    備えてなる自動ブレーキ装置において、前記制御装置
    は、目標ブレーキ液圧と前記検出されたブレーキ液圧と
    の偏差を算出し、得られた偏差を用いて前記電流を制御
    するよう構成され、かつ前記偏差に基づいて前記電流の
    下限値および上限値を算出し、弁機構を電磁気的に駆動
    する前記電流の値を前記下限値以上、前記上限値以下に
    制御するよう構成されていることを特徴とする自動ブレ
    ーキ装置。
  5. 【請求項5】 電磁気的に作動され空気の流れを制御す
    る弁機構と、この弁機構に前記電磁気的に加わる力と反
    対方向の力を付勢する戻しばねと、前記弁機構により圧
    力を制御される二つの区画室と、該二つの区画室の差圧
    により進退する出力軸と、を有し、該出力軸により出力
    する電子制御倍力装置と、該電子制御倍力装置の前記出
    力軸によってピストンを作動されブレーキ液圧を発生す
    るマスタシリンダと、該マスタシリンダからブレーキ液
    圧が供給されてブレーキ力を発生させるホイールシリン
    ダと、前記ブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、目
    標ブレーキ液圧を出力する目標ブレーキ液圧出力手段
    と、前記液圧検出手段の出力と目標ブレーキ液圧出力手
    段の出力を入力として前記電子制御倍力装置の弁機構を
    電磁気的に駆動する電流を制御する制御装置とを備えて
    なる自動ブレーキ装置において、前記戻しばねが、変位
    −荷重特性として非線形特性を有することを特徴とする
    自動ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の自動ブレーキ装置にお
    いて、弁機構が閉状態に均衡した均衡状態にあるときに
    弁機構を電磁気的に駆動している駆動電流の値を均衡電
    流とし、前記均衡電流から駆動電流を偏差させて前記電
    子制御倍力装置の出力を変化させるときの電流偏差―出
    力変化率特性が線形特性になるように、前記戻しばねの
    変位―荷重特性が設定されていることを特徴とする自動
    ブレーキ装置。
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