JP2002117570A - 光記録媒体処理装置 - Google Patents

光記録媒体処理装置

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JP2002117570A
JP2002117570A JP2000303419A JP2000303419A JP2002117570A JP 2002117570 A JP2002117570 A JP 2002117570A JP 2000303419 A JP2000303419 A JP 2000303419A JP 2000303419 A JP2000303419 A JP 2000303419A JP 2002117570 A JP2002117570 A JP 2002117570A
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sil
light
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JP2000303419A
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Hiroyasu Kawano
浩康 川野
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SIL系レンズを採用した光記録媒体処理装
置において、SIL系レンズと光記録媒体との間トライ
ボロジ性を十分に確保するとともに、SIL系レンズ位
置ないしは姿勢、ひいては光記録媒体上の光スポットの
位置を所望通りに制御できるようにする。 【解決手段】 半球状面42aと平坦面42bとを有す
るSIL系レンズ42において集束した光を利用して光
記録媒体Dに情報を記録し、または当該光記録媒体Dに
記録された情報を再生する光記録媒体処理装置1におい
て、SIL系レンズ42を光記録媒体D上に形成された
液体層d2上を摺動するように構成した。また、SIL
系レンズ42から出射する光束のうち、近接場光の発生
に寄与する周縁部光束(近接場光成分)を分離し、この
分離された周縁部光束の状態からSIL系レンズ42の
挙動を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、光記録媒体処理
装置に関する。なお、本明細書においては、光記録媒体
処理装置の意味中には、光ディスクなどの媒体の読み取
り専用装置のみならず、磁界変調方式や光強度変調方式
によって光磁気ディスクや相変化ディスクなどの媒体に
情報を記録し、あるいは記録された情報を再生する装置
も含まれる。
【0002】
【従来の技術】インターネットやビデオオンデマンドな
どの動画・音声などの膨大な情報を取り扱うマルチメデ
ィア環境においては、光ディスクや光磁気ディスクなど
の光記録媒体のさらなる大容量化が望まれている。光記
録媒体の大容量化、すなわち高密度記録化を図る方法と
して、半球SIL(Solid Immersion Lens)や超半球S
ILと呼ばれるSIL系レンズによる近接場光(エバネ
ッセント光)を利用したニアフィールド記録が脚光を浴
びている。
【0003】SIL系レンズは、平坦面と半球状または
超半球状の半球状面とを有しており、半球状面に入射し
た光が平坦面の中心部に集光するように構成されてい
る。平坦面に集光された光のうち、当該平坦面に対して
全反射臨界角よりも小さな角度で入射した光は平坦面か
ら出射する。一方、全反射臨界角を超えて平坦面に入射
した光は、当該平坦面と被照射体の間の距離が大きい場
合、当該平坦面において全反射するのであるが、距離が
小さい場合は当該平坦面から被照射体に伝播する。平坦
面から出射される。このようにして伝播される光は、近
接場光(エバネッセント光)と呼ばれ、距離に対して減
衰しやすい光であるため、近接場光の効果により平坦面
の直近に非常に径の小さなビームスポットが形成され
る。したがって、近接場光の効果を利用すれば、光記録
媒体に対して小さなマークが記録でき、高密度記録が可
能となる。
【0004】一方、近接場光は減衰しやすい光であるた
め、近接場光を有効に利用するためには、平坦面と記録
媒体の記録層との距離を極力小さく、たとえば0.1μ
m以下に設定するのが望ましい。かかる事情から、SI
L系レンズを採用した光記録媒体処理装置では、光記録
媒体の基板を介して記録層に光を照射するのではなく、
記録層に対して直接的に光を照射する必要がある。この
ため、たとえばSIL系レンズを浮上スライダに搭載
し、光記録媒体にコンタクトしてSIL系レンズを配置
している。そして、光記録媒体の回転により浮上スライ
ダと光記録媒体との間に空気を取り込んで浮上スライダ
とともにSIL系レンズを微小距離だけ浮上させ、空気
層を介して当該記録層に沿ってSIL系レンズを光記録
媒体に対して相対的に移動させる方法が採用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、SIL
系レンズを採用した従来の光記録媒体処理装置では、次
のような問題があった。
【0006】第1に、SIL系レンズと光記録媒体との
距離が小さくなれば、摩擦、摩耗および潤滑に代表され
るトライボロジ性を高く確保するのが必ずしも容易では
ないといった問題がある。とくに、空気層を介してSI
L系レンズを浮上させる場合には、光記録媒体のチルト
や厚みムラなどの原因とも相まって、その浮上量を一定
に維持するのが困難であり、場合によっては光記録媒体
上をスライダが跳躍するような現象も起こり得る。そう
なれば、トライボロジ性が著しく低下する。
【0007】第2に、空気層を介してSIL系レンズを
浮上させた場合には、空気の屈折率がSIL系レンズよ
りも小さく、しかもその差が比較的に大きいために、S
IL系レンズの平坦面と空気層との界面において半球状
面側から入射した光が反射されやすく、SIL系レンズ
に入射した光を有効に利用することができないといった
問題がある。
【0008】第3に、近接場光を利用する場合には、光
記録媒体上に形成されるビームスポットの径が非常に小
さいため、このビームスポットの位置を所望通りとする
ためには、SIL系レンズの位置ないし姿勢(傾き)の
制御がシビアになるといった問題がある。たとえば、S
IL系レンズと記録層との距離、SIL系レンズの姿
勢、対物レンズで集束した光をSIL系レンズに入射す
る場合には対物レンズとSIL系レンズとの間の光軸ず
れの制御がシビアになる。ところが、SIL系レンズを
利用して光学系を構築したとしても、従来ではSIL系
レンズを利用しない場合と同様な制御が行われていたた
め、SIL系レンズを使用した場合に要求されるシビア
な制御には十分に対応できなかった。
【0009】本願発明は、上記した事情のもとで考え出
されたものであって、SIL系レンズを採用した光記録
媒体処理装置において、SIL系レンズと光記録媒体と
の間トライボロジ性を十分に確保するとともに、SIL
系レンズ位置ないしは姿勢、ひいては光記録媒体上の光
スポットの位置を所望通りに制御できるようにすること
をその課題とする。
【0010】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明で
は、次の技術的手段を講じている。
【0011】すなわち、本願発明の第1の側面により提
供される光記録媒体処理装置は、半球状面と平坦面とを
有するSIL系レンズにおいて集束した光を利用して光
記録媒体に情報を記録し、または当該光記録媒体に記録
された情報を再生する光記録媒体処理装置であって、上
記SIL系レンズは、上記光記録媒体上に形成された液
体層上を摺動するように構成されていることを特徴とし
ている。
【0012】この光記録媒体処理装置では、液体層上を
SIL系レンズが摺動する場合、液体層の厚みは、SI
L系レンズの平坦面と光記録媒体の表面との間の距離に
一致または略一致することとなる。この距離は、上述し
た通り0.1μm以下に設定するのが望ましいが、この
程度の厚みの液体層が空気層を介することなくSIL系
レンズと光記録媒体との間に介在すれば、液体層による
表面張力によりSIL系レンズが光記録媒体側に引っ張
られることとなる。その結果、液体層が通常非圧縮性で
あるため、SIL系レンズが不用意に光記録媒体に近づ
きすぎることもなく、SIL系レンズの跳躍が適切に防
止されるとともに、SIL系レンズの平坦面と光記録媒
体表面との距離が安定に保たれ、SIL系レンズと光記
録媒体との間のトライボロジ性や光の利用効率が改善さ
れる。また、SIL系レンズと光記録媒体との間に液体
層が介在することにより、SIL系レンズの摺動時に
は、液体層が潤滑剤としての役割を果たすこととなるた
め、かかる点からもトライボロジ性が改善される。
【0013】また、上記光記録媒体処理装置では、SI
L系レンズは、空気層を介して光記録媒体に沿って移動
するのではなく、液体層上を摺動して光記録媒体に沿っ
て移動する。液体層は、通常、空気層に比べて屈折率が
高く、またSIL系レンズはガラスや樹脂などにより形
成されるため、液体層の屈折率は空気層に比べてSIL
系レンズにより近い。このため、SIL系レンズに入射
して光記録媒体側に出射する光は、SIL系レンズと空
気層により界面を形成する場合に比べて、SIL系レン
ズと液体層により界面を形成する場合のほうが、当該界
面における光記録媒体側に向かう光の反射量が少なくな
り、SIL系レンズに入射した光をより有効に利用でき
るようになる。
【0014】好ましい実施の形態においては、上記SI
L系レンズは、熱源が設けられたスライダに搭載されて
おり、上記液体層は、上記光記録媒体上に設けられた常
温固体層を上記熱源から供給される熱エネルギにより上
記SIL系レンズが通過する際に溶融させることにより
形成される。
【0015】この構成では、スライダと光記録媒体との
間のみを選択的に液体層とし、その他の領域を常温固体
層のままで維持することが可能となる。液体層は、上述
した通り表面張力によりSIL系レンズを光記録媒体側
に引っ張っている。言い換えれば、スライダ(SIL系
レンズ)と光記録媒体との間の微小隙間に生じる毛細管
現象により液体層が保持されている。したがって、光記
録媒体として回転ディスクを使用した場合であっても、
その回転にともなう液体層の飛散を十分に抑制できる。
【0016】なお、熱源は、たとえば通電することによ
り発熱する部材(コイルあるいは発熱抵抗体など)によ
り構成される。
【0017】また、常温固体層は、熱源からの熱エネル
ギによって70〜80℃程度に加熱することにより溶融
する成分、たとえば高級脂肪酸と高級1価アルコールか
らなる固形エステルであるロウ状物質により構成するこ
とができる。
【0018】好ましい実施の形態においては、上記スラ
イダにおける上記光記録媒体と対向する面には、上記常
温固体層ないし上記液体層に対する濡れ性の低い材質か
らなる層が設けられている。
【0019】この構成によれば、スライダが液体層上を
摺動する場合には、液体層とスライダとの間の摩擦抵抗
を小さくして液体層上をスライダひいてはSIL系レン
ズを適切に摺動させることができるようになる結果、ト
ライボロジ性が改善される。
【0020】一方、スライダの非移動状態では、通常は
熱源が作動されず、常温固体層上にスライダが待機する
ことになるが、スライダと常温固体層との間に当該常温
固体層に対する濡れ性の低い層が介在すれば、スライダ
と常温固体層との間が接着されてしまうことを回避でき
る。これにより、スライダの待機状態から作動状態への
移行をスムーズに行える。
【0021】なお、上記した濡れ性の低い材質として
は、公知の種々の材質を挙げることができるが、たとえ
ばフッ素化合物が好ましく使用される。
【0022】また、本願発明の第2の側面においては、
半球状面と平坦面とを有するSIL系レンズにおいて集
束した光を利用して光記録媒体に情報を記録し、または
当該光記録媒体に記録された情報を再生する光記録媒体
処理装置であって、上記半球状面からの出射光束のう
ち、近接場光の発生に寄与する周縁部光束を分離し、こ
の分離された周縁部光束の状態から上記SIL系レンズ
の挙動を制御するように構成されていることを特徴とす
る、光記録媒体処理装置が提供される。
【0023】近接場光は、光記録媒体とカップリングさ
れやすく、そのカップリングの程度はSIL系レンズの
平坦面と光記録媒体表面との間の距離に依存する。たと
えば、これらの間の距離が小さいほどカップリング量が
大きくなり、光記録媒体からの近接場光の反射光量が小
さくなる。したがって、光記録媒体側から進行してきて
SIL系レンズから出射する光束のうち、近接場光の発
生に寄与する周縁部の光束(近接場光成分)の強弱は、
SIL系レンズと光記録媒体との距離に敏感に反応す
る。このように、近接場光成分の状態は、所望とする状
態からのSIL系レンズの微小なずれを適切に反映して
おり、近接場光成分からはSIL系レンズの精緻な制御
が可能となる。
【0024】ここで、近接場光成分の強弱の程度は、た
とえば複数の受光部を有する光電変換手段から得られる
出力に基づいて把握される。光電変換手段としては、た
とえば4つの受光部を有するものが使用され、この場合
には、各受光部における受光量の総量および任意の2つ
の受光部の受光量の差のうちの少なくとも一方から近接
場光成分の状態が把握される。
【0025】また、SIL系レンズは、その傾き、光記
録媒体との距離、および記録媒体におけるトラッキング
方向のずれ、SIL系レンズを他のレンズと組み合わせ
て対物レンズ系を構成する場合のこれらのレンズ間の光
軸ずれのうちの少なくとも1つの要素が制御される。
【0026】これらの要素を制御する場合には、先に説
明したような複数の受光部を有する光電変換手段を用い
るとすれば、近接場光成分の状態は、たとえば次のよう
な特性を利用して把握される。
【0027】SIL系レンズが傾いていれば、これが傾
いていない状態に比べて光電変換手段により得られる出
力総量が大きくなるとともに、各受光部からの出力量に
バラツキが生じる。SIL系レンズと光記録媒体との間
の距離が適正化されていなければ、その距離の大小に応
じて出力総量にずれが生じるが、各受光部からの出力量
にはバラツキが生じない。トラッキング方向にSIL系
レンズがずれていて光記録媒体の溝部(たとえばグルー
ブやトラック案内溝)にビームスポットが形成されてい
れば、そのずれがない場合に比べて出力総量が大きくな
るが各受光部からの出力量にはバラツキが生じない。S
IL系レンズと他のレンズとの間に光軸ずれが生じてい
れば、光軸ずれがない場合と出力総量が同じであるが各
受光部からの出力にバラツキが生じる。
【0028】なお、上記したような制御に加えて、近接
場光成分を分離しない状態の光束から得られる情報に基
づく従来のフォーカッシング制御やトラッキング制御を
行ってもよい。この場合には、従来の制御により大まか
な制御がされ、近接場光成分からSIL系レンズの微細
な制御が行われることになる。
【0029】ところで、SIL系レンズは、通常スライ
ダに搭載されるが、SIL系レンズすなわちスライダの
制御は、スライダに可動翼状部または可動舵状部を設
け、これを動作させることにより、あるいはスライダに
対してSIL系レンズを変位可能に搭載し、これを動作
させることにより行われる。ここで、可動翼状部は、飛
行機の主翼の如きものであり、これを動作させることに
より主としてスライダの傾きの制御が可能となる。ま
た、可動舵状部は、船の舵の如きものであり、これを動
作させることにより主としてスライダの向き(進行方
向)の制御が可能となる。このような可動翼状部および
可動舵状部、あるいはレンズは、たとえば静電力、電磁
力、または圧電力を利用したマイクロアクチュエータに
より動作される。
【0030】本願発明のその他の特徴および利点は、添
付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より
明らかとなろう。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の
形態を図面を参照して具体的に説明する。図1ないし図
3は、本願発明に係る光記録媒体処理装置の一例として
の光ディスクDの再生専用として構成された光ディスク
装置の要部の概略構成を示している。
【0032】これらの図に示した光ディスク装置1は、
ガイド部材20によって支持されて光ディスクDの半径
方向(図1の矢印A方向またはB方向:トラッキング方
向)に往復移動可能とされたキャリッジ2を有してい
る。このキャリッジ2の往復移動は、たとえば直進型ボ
イスコイルモータなどの直進駆動機構21によって行わ
れる。
【0033】キャリッジ2には、磁気回路(図示略)に
より、たとえば光ディスクDの厚み方向(フォーカッシ
ング方向)に位置変位可能なアクチュエータ3が保持さ
れている。このアクチュエータ3には、凸レンズとして
構成された第1レンズ31がそのレンズ軸が光ディスク
Dの厚み方向を向くようにして搭載されている。
【0034】なお、図に示す実施形態では、第1レンズ
31は一枚のレンズからなっているが、第1レンズ31
に相当するものを複数枚のレンズを組み合わせて構成し
てもよく、またアクチュエータ3をトラッキング方向と
フォーカッシング方向の2方向に変位可能に構成しても
よい。
【0035】このようなアクチュエータ3の図1の下方
には、たとえばガルバノミラーなどの反射ミラー22が
配置されており、この反射ミラー22においてレーザ光
源50からの光が反射し、第1レンズ31に入射される
ように構成されている(図6参照)。
【0036】一方、アクチュエータ3の図1の上方に
は、キャリッジ2に支持されたサスペンション部材40
の先端部に対し、たとえばジンバルバネ(図示略)を介
して所定のピボットを中心として揺動可能に支持された
スライダ4が配置されている。
【0037】スライダ4は、図3および図4に示したよ
うに全体として板状に形成されているとともに、厚み方
向に貫通する貫通孔41を有している。スライダ4にお
ける光ディスクDと対向する面(対向面)4aには、貫
通孔41に通じる透孔47aを有するとともに、貫通孔
41を囲むようにして250μm程度の厚みのランド部
47が設けられている。
【0038】貫通孔41には、いわゆるSIL(Solid
Immersion Lens)として構成された第2レンズ42が保
持されている。第2レンズ42は、図3に良く表れてい
るように第1レンズ31と対向する第1面42aが半球
状面とされ、光ディスクDに対向する第2面42bが平
坦面とされている。このような形態を有するSILで
は、第1面42aに対して法線方向に光を入射させれ
ば、第2面42bの中心に焦点を結ぶ。そして、第2面
42bに対して全反射臨界角以下の角度で入射した光は
第2面42bから出射する。一方、第2面42bに対し
て全反射臨界角以上の角度で入射した光は、第2面42
bから伝播する。
【0039】この光は、近接場光(エバネッセント光)
と呼ばれるものであり、伝播しにくく極めて減衰しやす
い光であるため、第2面42bの極近傍には極めて径の
小さなスポットが形成される。近接場光はさらに、光デ
ィスクDにおける照射領域とカップリングされやすいと
いった特性を有している。カップリング吸収量は、第2
面42bにおける焦点位置と光ディスクDとの距離に依
存し、たとえばこれらの距離が小さいほどカップリング
量が大きくなる。
【0040】このような特性を有する近接場光を適切に
発生させるべく、第2レンズ42は、基本的には、第1
レンズ31とフォーカッシング方向の同一軸線上に配置
されるとともに、第1レンズ31と第2レンズ42との
距離は、第2レンズ42の第1面42aに対して法線方
向に光を入射させて、第2面42bの中心に焦点を結ぶ
ような距離に設定される。
【0041】また、第2レンズ42は、マイクロアクチ
ュエータ43により少なくとも光軸方向(スライダ4の
厚み方向)に微小変位可能に貫通孔41に保持されてい
る(図5(a)参照)。これにより、光ディスクDや第
1レンズ31と第2レンズ42との距離の微妙な制御が
可能となる。つまり、アクチュエータ3を動作させて第
1レンズ31を位置変位させることにより、これらのレ
ンズ31,42の間の距離の大まかに制御するととも
に、マイクロアクチュエータ43を動作させて第2レン
ズ42を位置変位させることにより、第1および第2レ
ンズ31,42間距離、および第2レンズ42と光ディ
スクDとの間の距離の微細な制御が行える。
【0042】なお、マイクロアクチュエータ43として
は、たとえば圧電力、静電気力、電磁気力を利用したも
のが使用され、また、第2レンズ42としては、第1面
が超半球状とされたいわゆる超半球SILを採用しても
よい。
【0043】スライダ4にはさらに、図4(a)および
(b)に良く表れているように発熱部44、翼状部4
5、および舵状部46が設けられている。
【0044】発熱部44は、通電することにより発熱
し、その熱エネルギを光ディスクDに供給する熱源であ
り、図3に良く表れているようにスライダ4の通過時に
光ディスクDの記録層d1上に設けられた常温固体層d2
を溶かして液体層d3とし、この液体層d3上において第
2レンズ42を摺動させるために必要なものである。こ
のため、発熱部44は、スライダ4の対向面4aの先端
部側(スライダ4の進行方向側)に、たとえば5μm程
度の厚みを有する発熱抵抗体を形成することにより設け
られている。一方、光ディスクDとしては、図7に良く
表れているように基板d4にトラックおよびトラック案
内溝d5が形成されて凹凸状とされ、その表面に記録層
1および常温固体層d2が形成されたものが使用され
る。
【0045】第2レンズ42としてSILを用いる場合
には、基板d4を介してではなく、記録層d1に対して直
接的に光を照射する必要がある。このため、光ディスク
Dがコンパクトディスク(CD)として構成される場合
には、基板d4として、たとえばガラス、シリコン、ア
ルミ、樹脂などの材料により表面に円周方向に延びる凹
凸を有する円盤状に形成されるとともに、凸部に情報に
応じたピットが形成されたものが使用される。そして、
この基板d4上のピット形成側には、Al合金層(10
0nm)およびDLC(ダイヤモンドライクカーボン)
層(3nm)が、この順で積層される。この構成では、
基板d4上に記録層d1を積層形成するのではなく、基板
4の表層部が記録層d1となる。
【0046】また、光記録媒体としてMO、DVD、C
DR、MSR−MOを使用する場合には、基板上に形成
される記録層などは、基板に近い層から順に次のような
構成とされる。MOでは、密着層としてのSiN層(1
0nm)、反射層としてのAl合金層(100nm)、
エンハンス層としてのSiN層(25nm)、記録層と
してのTbFeCo層(30nm)、保護層としてのS
iN層(3nm)およびDLC層(3nm)とされる。
DVDでは、密着層としてのZnS−SiO2層(10
nm)、反射層としてのAl合金層(100nm)、エ
ンハンス層としてのZnS−SiO2層(25nm)、
記録層としてのGeSbTe層(30nm)、保護層と
してのZnS−SiO2層(3nm)およびDLC層
(3nm)とされる。CDRでは、密着層としてのZn
S−SiO2層(10nm)、反射層としてのAl合金
層(100nm)、エンハンス層としてのZnS−Si
2層(25nm)、記録層としての有機色素層(30
nm)、保護層としてのZnS−SiO2層(3nm)
およびDLC層(3nm)とされる。MSR−MOで
は、密着層としてのSiN層(10nm)、放熱層とし
てのAl合金層(100nm)、エンハンス層としての
SiN層(25nm)、記録層としてのTbFeCo層
(50nm)、中間層としてのGdFe層(40n
m)、再生層としてのGdFeCo(40nm)、保護
層としてのSiN層(3nm)およびDLC層(3n
m)とされる。
【0047】なお、熱源は、スライダ4の先端側の部位
に、たとえばコイルなどをインサート成形することによ
り設けてもよい。また、常温固体層d2は、常温で固体
であるとともに少ない熱エネルギにより溶融する材料、
たとえば70〜80℃程度で溶融する材料(たとえば高
級脂肪酸と高級1価アルコールからなる固形エステルで
あるロウ状物質)により、たとえば0.1μm以下の厚
みに形成される。
【0048】翼状部45は、図4に良く表れているよう
に板状に形成されているとともに、スライダ4における
幅方向の両側面4bのそれぞれにおいて側方に突出して
設けられている。これらの翼状部45は、図5(b)に
示したように先端部および後端部のうちの少なくとも一
方がマクロアクチュエータ45aによりスライダ4の厚
み方向に微小動可能とされている。したがって、スライ
ダ4の移動時に各翼状部45を微小動させれば、その動
きに応じてスライダ4の側方における空気流れが変化
し、スライダ4の傾きが微小変化させられる。
【0049】なお、マイクロアクチュエータ45aとし
ては、たとえば圧電力、静電気力、電磁気力を利用した
ものが使用される。
【0050】舵状部46は、図4に良く表れているよう
に100μm程度の厚みを有する部材からなるととも
に、スライダ4の対向面4aにおいて、ランド部47の
両サイドに設けられている。図5(c)に示したように
マクロアクチュエータ(図示略)により先端部および後
端部のうちの少なくとも一方がスライダ4の幅方向に微
小動可能とされている。この舵状部46は、図7(a)
に示したようにスライダ4の移動時には液体層d3内を
移動することとなる。したがって、スライダ4の移動時
に舵状部46を微小動させれば、舵状部46が船の舵の
ように作用し、スライダ4の向きがスライダ4の幅方向
に微小変化させられる。
【0051】なお、マイクロアクチュエータとしては、
たとえば圧電力、静電気力、電磁気力を利用したものが
使用される。
【0052】また、スライダ4には、これの移動時に液
体層d3と接触する部分(第2レンズ42を除く)に液
体層d3および常温固体層d2に対する濡れ性の低い材
質、たとえばフッ素化合物によりコーディングを施して
もよい。そうすれば、液体層d 3とスライダ4との間の
摩擦抵抗を小さくして液体層d3上をスライダ4を適切
に摺動させることができるようになる結果、トライボロ
ジ性が改善できる。一方、スライダ4の非移動状態で
は、発熱部44が通常は駆動しないようになされるため
常温固体層d2上にスライダ4が待機することになる
が、スライダ4と常温固体層d2との間に当該常温固体
層d2に対する濡れ性の低い層が介在すれば、スライダ
4と常温固体層d2との間が接着されてしまうことを回
避できる。これにより、スライダ4の待機状態から作動
状態への移行をスムーズに行える。
【0053】このように構成された光ディスク装置1に
よる光ディスクDの情報の再生は、光ディスクDを回転
させつつ行われる。
【0054】光ディスクDを回転させる場合、図3に示
したようにスライダ4の発熱部44に通電され、その熱
エネルギにより光ディスクDの常温固体層d2が溶かさ
れて液体層d3とされる。発熱部44はスライダ4の先
端側に設けられ、常温固体層d2は少ない熱エネルギに
より溶融する材料(固化しやすい材料)により形成され
ているから、液体層d3はスライダ4の通過後に固化す
る。このため、スライダ4が通過する領域のみが選択的
に液体層d3とされ、スライダ4の対向面4aと光ディ
スクDの記録層d1との間にのみ液体層d3が介在する。
【0055】常温固体層d2は、その厚みが0.1μm
以下の微小な厚みに形成されているから、スライダ4と
光ディスクDとの間に介在する液体層d3の厚みも微小
なものとされる。このため、液体層d3は、毛細管現象
によりスライダ4と光ディスクDとの間に取り込まれ、
また液体層d3の表面張力によりスライダ4が光ディス
クD側に引きつけられる。
【0056】ここで、液体層d3は通常非圧縮性である
から、スライダ4が光ディスクD側に引きつけられた場
合には、これらの間の距離は略一定に維持される。この
ため、光ディスクDの回転時に光ディスクD上をスライ
ダ4が跳躍することもない。また、液体層d3は潤滑剤
として機能するから、液体層d3上にスライダ4を摺動
させることによりトライボロジ性が改善される。さらに
は、スライダ4の通過領域のみが選択的に液体層d3
され、また毛細管現象により液体層d3がスライダ4と
光ディスクDとの間に保持されているから、光ディスク
Dの回転時における液体の飛散も回避されるといった利
点が得られる。
【0057】本実施形態では、このようにして光ディス
クDを回転させつつ液体層d3上をスライダ4を摺動さ
せた状態において、キャリッジ2によりスライダ4を移
動させて所望の領域に光を照射し、その反射光により再
生情報を得る。
【0058】光ディスクDへの光の照射は、たとえば図
6に示したような光学系により次に説明するようにして
行われる。
【0059】半導体レーザなどの光源50から発せられ
た光は、コリメータレンズ51により平行光束化された
後、三角プリズム52、偏光プリズム53、およびλ/
4板54を透過して、反射ミラー22で反射してから第
1レンズ31に入射する。
【0060】ここで、偏光プリズム53は、一方向にの
み光を透過させるミラーであり、本実施形態では、光源
50からの光は透過するが、光ディスクD方向からの光
は反射するように構成されている。
【0061】第1レンズ31に入射した光は、当該第1
レンズ31を透過する際に、第2レンズ42の第1面4
2aに垂直に入射できるように集束されてから出射さ
れ、第2レンズ42に入射する。この第2レンズ42に
入射した光は、さらに集束されて第2面42bの中心に
焦点を結ぶ。
【0062】第2面42bに全反射臨界角よりも小さい
角度で入射した光は、第2面42bを透過して光ディス
クDの記録層d1に照射される。このとき、スライダ4
と光ディスクDとの間には、液体層d3のみが介在して
空気層が介在せず、また液体層は、通常、空気に比べて
屈折率が高い上、第2レンズ42はガラスや樹脂などに
より形成されるため、液体層d3の屈折率は空気層に比
べて第2レンズ42により近い。このため、第2レンズ
42と空気層により界面を形成する場合に比べて、第2
レンズ42と液体層d3とにより界面を形成する場合の
ほうが、当該界面における第2レンズ42の第1面42
a側から入射した光の反射量が少なくなり、第2レンズ
42に入射した光をより有効に利用できるようになる。
【0063】一方、全反射臨界角以上で第2面42bに
入射した光(図6においてハッチングで示した光束部
分:近接場光成分E)は、近接場光(エバネッセント
光)として第2面42bから伝播されて記録層d1に照
射される。
【0064】記録層d1からの反射光からなる光束は、
先とは反対の経路を辿って偏光プリズム53に到達す
る。この偏光プリズム53では、当該光束が反射して進
行方向が変えられて第1ビームスプリッタ55に到達す
る。
【0065】この第1ビームスプリッタ55は、たとえ
ば斜面に半透過ミラーコーティングを施した2つの直角
プリズムを斜面どうしで張り合わせた構造を有してい
る。したがって、第1ビームスプリッタ55に入射した
光束は、その一部が斜面を透過して第1受光器56にお
いて受光され、一部は斜面で反射して第2ビームスプリ
ッタ57に入射する。
【0066】第1受光器56は、たとえば光電変換機能
を有するものであり、この第1受光器56からは、受光
された光の光量に応じたレベルの信号が出力される。こ
の信号からは、たとえば光ディスクDに記録された情報
が得られる。
【0067】第2ビームスプリッタ57は、第1ビーム
スプリッタ55と同様な構成を有しており、当該第2ビ
ームスプリッタ57に入射した光は、その一部が斜面で
反射して第2受光器58において受光され、一部は斜面
を透過して第3受光器60側に向けて進行する。
【0068】第2受光器58もまた、たとえば光電変換
機能を有するものであり、この第2受光器58からは、
受光された光の光量に応じたレベルの信号が出力され
る。この信号からは、たとえば光ディスクD上に形成さ
れたビームスポットの焦点ぼけに対応する信号、すなわ
ちフォーカッシング信号およびトラッキング信号が得ら
れる。フォーカシング信号はたとえばフーコー法によ
り、トラッキング信号はたとえばプッシュプル法により
それぞれ検出される。このように得られたフォーカッシ
ング信号により、第1レンズ31がアクチュエータ3に
より光軸方向に位置変位させられてフォーカッシング制
御が行われ、トラッキング信号により第1レンズ31が
光軸と交差する方向に位置変位させられ、あるいは反射
ミラー22の反射面の向きが変えられてトラッキング制
御が行われる。
【0069】一方、第2ビームスプリッタ57を透過し
た光は、第3受光器60に向かう過程においてその中心
部の光束が遮蔽手段59により遮蔽・除去される。遮蔽
手段59により除去すべき光束は、第2レンズ42の第
2面42bに対して全反射臨界角よりも小さな角度で入
射した光成分である。その結果、第3受光器60におい
て受光される光は、第2レンズ42の第2面42bに対
して全反射臨界角よりも大きな角度で入射した近接場光
の発生に寄与する光(近接場光成分E)となる。
【0070】なお、遮蔽手段59は、たとえば光透過性
の高い部材の所定領域に光吸収領域を設けることによ
り、光吸収領域に対応する領域の光非透過状態を選択で
きる液晶シャッターにより、あるいは第3受光器60の
中央部に貫通孔などの光不感領域を設けることにより構
成される。
【0071】ところで、近接場光は、光ディスクDとカ
ップリングされやすい光であるが、その吸収の程度は第
2レンズ42の第2面42b(焦点)と光ディスクD
(ビームスポット)との間の距離に依存する。たとえ
ば、これらの間の距離が小さいほどカップリングの程度
が大きくなり、それにともないカップリング量も大きく
なる。したがって、図7に示したようにビームスポット
が記録トラック(基材d4の凸部に対応する部分:図7
のA,E,F,G,K)上に形成されていれば、上記し
た距離が小さくなって近接場光のカップリング量が多く
なることから、第3受光器60での近接場光成分Eの受
光量が少なくなる。その一方、ビームスポットがトラッ
ク案内溝d5(基材d4の凹部に対応する部分:図7の
C,I)に形成されていれば、近接場光のカップリング
量が少なくなることから、第3受光器60での近接場光
成分Eの受光量が多くなる。
【0072】このように、第3受光器60で受光される
近接場光成分Eの光量は、第2レンズ42と光ディスク
Dとの距離に敏感に反応するため、近接場光成分Eから
は第2レンズ42の精緻な制御が可能となる。たとえ
ば、図8(a)に示したように光ディスクDのトラック
案内溝d5にビームスポットが形成されていること、同
図(b)に示したように第2レンズ42と光ディスクD
との間の距離が適切でないこと、および同図(c)に示
したように第2レンズ42が傾いていることなどを検知
でき、また翼状部45、舵状部46あるいは第2レンズ
42を動作させることによりそれらを適正化できる。
【0073】ここで、第3受光器60としては、たとえ
ば図9に良く表れているように受光領域が4分割され
て、4つの受光部60a〜60dを有するものが使用さ
れる。この場合には、図8(a)〜(c)に示された状
態は次のようにして検知され、それが適正化される。
【0074】図8(a)に示したようにトラッキング方
向に第2レンズ42がずれていて光ディスクDのトラッ
ク案内溝d5にビームスポットが形成されていれば、第
2レンズ42の第2面42b(焦点)とビームスポット
との距離が大きくなるため、カップリング量が少なくな
って第3受光器60からの出力総量が多くなる。このた
め、出力総量がある基準値よりも大きいか、あるいは小
さいかにより第2レンズ42のトラッキング方向のずれ
を検出することができる。
【0075】なお、スライダ4をトラッキング方向に移
動させた場合に、第3受光器60からの出力総量が大き
くなるか、あるいは少なくなるかによりトラッキング方
向へのずれを検出することもできる。すなわち、図7か
らも分かるように、スライダ4を移動させた場合に出力
総量が大きくなれば、それは第2レンズ42の第2面4
2b(焦点)とビームスポットとの間の距離が大きくな
る方向にスライダ4が移動したということであり(たと
えばE→C,G→I)、もとの第2レンズ42の位置は
適正位置であったと検知できる。逆に、スライダ4のト
ラッキング方向への移動により出力総量が小さくなれば
(たとえばC→E,I→G)、もとの第2レンズ42の
位置がトラッキング方向にずれていたと検知できる。
【0076】このようにして第2レンズ42がトラッキ
ング方向にずれていたと検知された場合には、図5
(c)に示したようにマイクロアクチュエータにより各
舵状部46を動作することにより、スライダ4の向きが
変更されて第2レンズ42のトラッキング方向への微小
なずれが適正化される。
【0077】図8(b)に示したように第2レンズ42
(焦点)と光ディスクD(ビームスポット)との間の距
離が適正化されていなければ、その距離の大小に応じて
出力総量にすれが生じる。つまり、上記した距離が適正
化されている場合の出力総量を基準値とし、測定された
出力総量が基準値よりも大きければ上記した距離が多き
すぎ、逆に測定値が小さ過ぎることになる。
【0078】このようにして第2レンズ42と光ディス
クDとの間の距離が適正化されてないと検知された場合
には、図5(a)に示したようにマイクロアクチュエー
タ43により第2レンズ42をスライダ4の厚み方向に
位置変位することにより、上記した距離が適正化され
る。
【0079】図8(c)に示したようにスライダ4(第
2レンズ42)が傾いていれば、各受光部60a〜60
dからの出力量にバラツキが生じるため(図9(b)参
照)、これらから第2レンズ42の傾きを検知できる。
なお、各受光部60a〜60dの出力量のバラツキは、
任意の2つの受光部60a,60b(60c,60d)
の出力の差から判断される。
【0080】このようにして第2レンズ42が傾いてい
ると検知された場合には、その傾き具合に応じて、図5
(b)に示したようにマイクロアクチュエータ45aに
より各翼状部45を動作することによりスライダ4の傾
きが適正化される。
【0081】また、第1レンズ31と第2レンズ42と
の間の光軸がずれていた場合には、光軸がずれていない
場合と比べて出力総量に差は生じないが、各受光部60
a〜60dの出力量の差が生じるから(図9(b)参
照)、光軸ずれが検知できる。
【0082】このようにして光軸がずれていることが検
知された場合には、図5(c)に示したようにマイクロ
アクチュエータにより各舵状部46を動作することによ
りスライダ4の向きが変えられて第2レンズ42の位置
が適正化される。
【0083】このように、ビームスポットの径を小さく
して記録密度の向上を図るべく、第2レンズ42として
SILを使用したとしても、第2レンズ42の位置ない
し姿勢の制御を第2レンズ42(スライダ4)を微妙に
動作させることにより適切に行うことができる。
【0084】(付記1) 半球状面と平坦面とを有する
SIL系レンズにおいて集束した光を利用して光記録媒
体に情報を記録し、または当該光記録媒体に記録された
情報を再生する光記録媒体処理装置であって、上記SI
L系レンズは、上記光記録媒体上に形成された液体層上
を摺動するように構成されていることを特徴する、光記
録媒体処理装置。 (付記2) 上記SIL系レンズは、熱源が設けられた
スライダに搭載されており、上記液体層は、上記光記録
媒体上に設けられた常温固体層を上記熱源から供給され
る熱エネルギにより上記SIL系レンズが通過する際に
溶融させることにより形成される、付記1に記載の光記
録媒体処理装置。 (付記3) 上記常温固体層は、高級脂肪酸と高級1価
アルコールからなる固形エステルであるロウ状物質によ
り構成されている、付記2に記載の光記録媒体処理装
置。 (付記4) 上記スライダにおける上記光記録媒体と対
向する面には、上記液体層ないし上記常温固体層に対す
る濡れ性の低い材質からなる層が設けられている、付記
2または3に記載の光記録媒体処理装置。 (付記5) 上記濡れ性の低い材質は、フッ素化合物で
ある、付記4に記載の光記録媒体処理装置。 (付記6) 半球状面と平坦面とを有するSIL系レン
ズにおいて集束した光を利用して光記録媒体に情報を記
録し、または当該光記録媒体に記録された情報を再生す
る光記録媒体処理装置であって、上記半球状面からの出
射光束のうち、近接場光の発生に寄与する周縁部光束を
分離し、この周縁部光束の状態から上記SIL系レンズ
の挙動を制御するように構成されていることを特徴とす
る、光記録媒体処理装置。 (付記7) 上記周縁部光束の状態は、複数の受光部を
有する受光手段から得られる出力に基づいて把握され
る、付記6に記載の光記録媒体処理装置。 (付記8) 上記受光手段は、4つの受光部を有し、上
記各受光部の受光量の総量、または任意の2つの受光部
の受光量の差から上記周縁部光束の状態が把握される、
付記7に記載の光記録媒体処理装置。 (付記9) 上記SIL系レンズは、その傾き、光記録
媒体との距離、記録媒体におけるトラッキング方向のず
れ、および上記SIL系レンズを他のレンズと組み合わ
せて対物レンズ系を構成する場合のこれらのレンズ間の
光軸ずれのうちの少なくとも1つの要素が制御される、
付記6ないし8のいずれかに記載の光記録媒体処理装
置。 (付記10) 上記SIL系レンズは、スライダに搭載
されているとともに、SIL系レンズの制御は、上記ス
ライダに設けられた可動翼状部または可動舵状部を動作
させることにより、あるいはスライダに対して変位可能
に搭載されたレンズを動作させることにより行われる、
付記6ないし9に記載の光記録媒体処理装置。 (付記11) 上記可動翼状部、上記可動舵状部または
上記SIL系レンズは、静電力、電磁力、または圧電力
を利用したマイクロアクチュエータにより動作される、
付記10に記載の光記録媒体処理装置。
【0085】
【発明の効果】以上に説明したように、本願発明では、
SIL系レンズが液体層上を摺動して光記録媒体に沿っ
て移動するので、SIL系レンズに入射した光をより有
効に利用できるようになるとともに、SIL系レンズと
光記録媒体との間のトライボロジ性が改善される。
【0086】また、近接場光成分の状態からSIL系レ
ンズの位置ないし姿勢を把握することにより、SIL系
レンズの精緻な制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る光ディスク装置(光記録媒体処
理装置)の一例の要部を示す模式的斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】スライダ周りを拡大した断面図である。
【図4】スライダの全体斜視図である。
【図5】(a)はスライダにおける第2レンズ周りの断
面図であり、(b)はスライダにおける翼状部周りの拡
大側面図、(c)は舵状部周りの拡大平面図である。
【図6】図1の光ディスク装置の光学系を説明するため
の模式図である。
【図7】光ディスクにおけるビームスポットの位置と近
接場光成分の反射光量との関係を示す図である。
【図8】光ディスクに対する第2レンズ(スライダ)の
種々の位置ないし姿勢を説明するための要部断面図であ
る。
【図9】第3受光器における近接場光成分の受光状態を
説明するための平面図である。
【符号の説明】
1 光ディスク装置(光記録媒体処理装置) 31 第1レンズ 4 スライダ 42 第2レンズ(SIL系レンズ) 42a 第1面(半球状面) 42b 第2面(平坦面) 44 発熱部(熱源) 45 翼状部 46 舵状部 D 光ディスク d2 常温固体層 d3 液体層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半球状面と平坦面とを有するSIL系レ
    ンズにおいて集束した光を利用して光記録媒体に情報を
    記録し、または当該光記録媒体に記録された情報を再生
    する光記録媒体処理装置であって、 上記SIL系レンズは、上記光記録媒体上に形成された
    液体層上を摺動するように構成されていることを特徴と
    する、光記録媒体処理装置。
  2. 【請求項2】 上記SIL系レンズは、熱源が設けられ
    たスライダに搭載されており、上記液体層は、上記光記
    録媒体上に設けられた常温固体層を上記熱源から供給さ
    れる熱エネルギにより上記SIL系レンズが通過する際
    に溶融させることにより形成される、請求項1に記載の
    光記録媒体処理装置。
  3. 【請求項3】 上記スライダにおける上記光記録媒体と
    対向する面には、上記常温固体層ないし上記液体層に対
    する濡れ性の低い材質からなる層が設けられている、請
    求項2に記載の光記録媒体処理装置。
  4. 【請求項4】 半球状面と平坦面とを有するSIL系レ
    ンズにおいて集束した光を利用して光記録媒体に情報を
    記録し、または当該光記録媒体に記録された情報を再生
    する光記録媒体処理装置であって、 上記半球状面からの出射光束のうち、近接場光の発生に
    寄与する周縁部光束を分離し、この分離された光束の状
    態から上記SIL系レンズの挙動を制御するように構成
    されていることを特徴とする、光記録媒体処理装置。
  5. 【請求項5】 上記SIL系レンズは、その傾き、上記
    光記録媒体との距離、上記光記録媒体におけるトラッキ
    ング方向のずれ、および上記SIL系レンズを他のレン
    ズと組み合わせて対物レンズ系を構成する場合のこれら
    のレンズの間の光軸すれのうちの少なくとも1つの要素
    が制御される、請求項4に記載の光記録媒体処理装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006344351A (ja) * 2005-05-13 2006-12-21 Sony Corp 光記録再生装置、光学ヘッド、光記録再生方法及びスキュー検出方法

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