JP3735449B2 - 光記録媒体及び光再生システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浮上型光ヘッドを用いて再生される高密度光記録媒体に関し、さらに詳細には、浮上型光ヘッドからの再生光が光記録媒体の基板と反対側から入射される光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア時代の到来により、情報の大容量化とグラフィックや動画像の取り扱いに対応可能な光メディアとして、光磁気記録媒体や相変化型光記録媒体が注目されている。これらの光記録媒体は、情報の書き換えが可能であり、記憶容量が大きく、信頼性が高いという利点を有するため、パーソナルコンピュータなどの外部記憶装置に使用され始めている。これらの光記録媒体を一層高密度化するために、微小な記録マークを形成し、かかる微小マークを再生する方向に開発が進められている。微小な記録マークを記録及び再生するには、光ヘッド(または光磁気ヘッド)の光学系のNAを大きくすることによって光スポットサイズを縮小することが考えられる。
【0003】
光学系のNAを大きくする一例として、固体イマージョンレンズを用いた近接場の光記録が注目されている。固体イマージョンレンズは、例えば、屈折率の高いガラス等で構成される球の一部を切断し、切断面と記録媒体の記録面が平行となるように配置したレンズであり、光学系のNAを大きくすることで回折限界を低下することを可能にする。これは、固体イマージョンレンズの内部において、光を集光することによって空気中における最小のスポット径よりも小さなスポット径を得ることができるためである。例えば、B.D.Terris等は、固体イマージョンレンズを用いることによって光学系のNAを1よりも大きくし、真空中の最小スポット径より小さなスポット径を得たことを報告している(“Near-field optical data storage using a solid immersion lens”, Applied Physics Letters, vol.65 pp.388-390 (1994) )。この報告によると、固体イマージョンレンズを用いるとレンズの屈折率nに対して、NAをnまで大きくすることが可能であり、入射光のNAと比較してn2 倍まで大きくでき、結果としてスポット径を1/n2 まで小さくすることが可能となる。青色レ−ザを用いれば、125nmのスポット径が実現される可能性が生じ、この場合の記録密度は約40ギガビット/平方インチにもなり得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように光学系のNAを増大すると光学系の焦点深度が浅くなるために、従来のように記録光または再生光を光記録媒体の透明基板を透過させて入射することができないことになる。それゆえ、光記録媒体の各層の積層順序を変更して媒体を構成して、基板と反対側から記録光または再生光を媒体に入射させることが考えられる。光記録媒体に対するかかる入射方向を採用した媒体は、例えば、米国特許第5.202,880号に開示されている。しかしながら、このように記録光または再生光の入射方向に対する媒体構成を変更した場合には、次のような問題が生じる。NAの大きな光学系を用いるためにその焦点深度内に、ヘッドと光記録媒体との間の空気層が存在する場合が起こり得る。そして、この空気層は光源の可干渉距離以下の厚さであるために空気層の厚さによっては光の波長との関係で光の干渉が起こり得る。固体イマージョンレンズのようなNAの大きな光学素子を備えた光ヘッドを用いる場合には、この光ヘッドは光記録媒体の回転駆動時に媒体上を浮上する浮上型ヘッドとして構成することが検討されており、浮上型ヘッドの浮上量は、光記録媒体の表面の凹凸等により変動することがある。このように、浮上型ヘッドの浮上量が変動すると、その浮上量に応じて空気層を介した光記録媒体表面とヘッドに装着された光学素子の光射出面との間での光の多重干渉により反射光の強度が変化することになる。そしてこの反射光の強度変化は、光記録媒体の再生信号出力を変動させ、ひいては再生エラーを生じかねない。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、光記録媒体に再生光を基板を透過させずに入射する場合に、光記録媒体と光ヘッドとの間の光透過性媒質内での光の干渉の影響による再生信号強度の変動を抑制することができる光記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、光記録媒体の再生光入射側に、少なくとも、第1層、第2層、記録層及び基板をこの順に含む光記録媒体であって、
上記再生光を射出する光ヘッドと光記録媒体との間であって且つ上記光ヘッドの光学系の焦点深度内に光透過性媒質が存在し、
上記光記録媒体を浮上型ヘッドを用いて再生した場合に、再生信号強度の変動が30%以内に抑制されるように、上記第1層と第2層の厚さ及び屈折率がそれぞれ調整されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0007】
本発明の光記録媒体は、基板上に、少なくとも記録層、第2層及び第1層をこの順に備え、再生光を第1層側から入射するタイプの光記録媒体である。本明細書において、「第1層」とは、再生光を光記録媒体の基板と反対側から入射する場合に、光入射側の最も外側に形成された層を示し、通常、保護層が該当するが特に保護層のみに限定されるものではない。但し、浮上型ヘッドとの潤滑を目的として塗布される5nm以下の潤滑層のような層は、膜厚が極めて薄いことから光の干渉効果に影響しないために第1層として含めない。また、「第2層」とは、上記のように定義される第1層のさらに光磁気記録媒体の内側に存在する層を意味し、誘電体層等が該当するが特にこれに限定されるものではない。
【0008】
光記録媒体の再生時に光ヘッドの光学系から射出された再生光は記録層に集光されるが、光学系、例えば、固体イマージョンレンズ等の対物レンズの焦点深度内に光ヘッドと光記録媒体の表面との間に空気等の光透過性媒質が存在することになる。このため、光透過性媒質の厚さが再生光の可干渉距離以内であると、光透過性媒質の厚さと再生光の波長との関係で光透過性媒質層の両側の界面で光の干渉が起こる場合がある。透明基板側から再生光を入射する従来型の光記録媒体では、光ヘッドの光学系の焦点深度内には光ヘッドと基板との間隙の光透過性媒質が存在し得なかったために、光透過性媒質層の界面での光の干渉の問題は生じなかった。第1層側から再生光を入射するタイプの上記光記録媒体を浮上型光ヘッドを用いて再生すると、浮上量の変動に伴って、光透過性媒質が介在する光ヘッドの光学素子と光記録媒体の表面との間(光透過性媒質の両界面)で再生光の干渉効果が顕在化し、再生信号強度が変動してしまう。本発明の光記録媒体では、第1層及び第2層の光学特性、すなわち、厚さ及び屈折率が、再生信号強度の変動が30%以内に抑制されるように調整されている。従って、浮上型光ヘッドを用いて再生する場合であっても、安定した再生信号を検出することができる。本発明者の研究によれば、光記録媒体が光磁気記録媒体の場合に、再生信号強度の変動を30%以内に抑制するには次のような条件を満足させればよいことがわかった。
【0009】
ずなわち、上記光記録媒体が光磁気記録媒体であり、上記第1層の厚さ及び屈折率をそれぞれt1 及びn1 、上記第2層の厚さ及び屈折率をそれぞれt2 及びn2 、上記再生光の波長をλとしたときに、下記(1) 及び(2) 式:
0.01×λ≦t1 ×n1 ≦0.07×λ・・・・(1)
0.27×λ≦t2 ×n2 ≦0.40×λ・・・・(2)
を満足することが好ましい。上記式(1) 及び(2) の条件は、種々の第1層及び第2層の厚さt1 及びt2 並びに屈折率n1 及びn2 において、浮上型光磁気ヘッドの浮上量を連続的に変動することによって光磁気記録媒体と光磁気ヘッド間の空気層の厚みを変動させながら、再生信号出力(性能指数)の変化を観測した結果から導かれた。式(1) 及び(2) の条件において、光透過性媒質における光の多重干渉(多重反射)効果は、第1層及び第2層においてそれぞれ生じる光の多重干渉効果と相殺されることによって抑制されるものと考えられる。この際、光透過性媒質が空気層であり、浮上型光ヘッドの浮上量の範囲、すなわち、光透過性媒質の厚みの変動幅は、実際の使用条件を考慮して、0.11λ×0.18λの範囲であることを前提としている。t1 ×n1 またはt2 ×n2 が上記(1) または(2) 式を満足しない場合には、光磁気記録媒体と光磁気ヘッド間での光の多重干渉による影響が顕著となるため、光磁気ヘッドの浮上量の変動に伴う再生信号出力の変動が30%を超えるため望ましくない。
【0010】
第1層のn1 はスパッタ法による作製が容易であるという理由から1.5≦n1 ≦1.8であり、第2層の屈折率n2 についてもスパッタ法による作製が容易であるという理由から1.9≦n2 ≦2.2であることが好ましい。
【0011】
本発明の光記録媒体は、相変化型光記録媒体であってもよく、この場合、相変化型光記録媒体を浮上型光ヘッドを用いて再生した場合に、反射率の変動を30%以内に抑えることが可能である。
【0012】
本発明の光記録媒体において、第1層は、カーボン、二硫化モリブデン、酸化鉛、酸化カドニウム、酸化ボロン等の無機物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ナイロン等の高分子化合物等を用いることができる。これらの材料のうち材料自体が単独で潤滑性を有するものが好ましい。カーボンとして、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンを用いることもできる。カーボンを保護層の材料として用いる場合には、カーボンに水素、窒素、フッ素等を含有させることによって膜質の硬度及び光学特性を調節してもよい。第2層は窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化シリコン、酸化アルミニウム、硫化亜鉛と酸化シリコンの混合物等の誘電体層にすることができる。
【0013】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様に従う光記録媒体を用い、
再生光を上記光記録媒体に照射する浮上型光ヘッドを備え、
該浮上型光ヘッドと該光記録媒体との間であって且つ該浮上型光ヘッドの光学系の焦点深度内に光透過性媒質が存在し且つ光透過性媒質の厚さが再生光の可干渉距離以下の厚さになるように該光記録媒体が該浮上型光ヘッドに対して配置されており、該浮上型光ヘッドの浮上量が基準浮上量に対して±25%変動したときに再生信号の大きさが±30%以内になることを特徴とする光再生システムが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光記録媒体の実施形態及び実施例を図面を用いて具体的に説明する。
【0015】
〔光磁気記録媒体の製造〕
実施例1
図1に示した本発明に従う光磁気記録媒体10の製造方法を以下に説明する。クロックピット、アドレスピット及びトラッキング溝等のプリフォーマットパターンが形成されたポリカーボネート基板を射出成形により製造した。このポリカーボネート基板1は、外径130mm及び内径15mm、厚さ1.2mmである。次いで、このポリカーボネート基板1上に、連続スパッタ装置を用いて、AlTi合金からなる反射層2、窒化珪素からなる第2誘電体層3、TbFeCoからなる光磁気記録層4、窒化珪素からなる第1誘電体層5及びカーボン保護層6をスパッタリングにより順次成膜した。各層の厚みは次の通りである。反射層2:50nm、第2誘電体層3:20nm、光磁気記録層4:25nm、第1誘電体層5:100nm、カーボン保護層6:10nm。
【0016】
記録層4を構成するTbFeCoのキュリー温度は230℃であった。カーボン保護層6の屈折率は、1.6であり、第1誘電体層5及び第2誘電体層3の屈折率はともに2.05であった。
【0017】
スパッタリングにより得られた積層体の最上層であるカーボン保護層6上にスピンコーティングによりシリコン系からなる潤滑剤層を2nm以下の厚さで塗布した。こうして、図1に示した積層構造の光磁気記録媒体10が得られた。
【0018】
比較例1
第1誘電体層5の厚みを80nmに調整した以外は、実施例1と同様にして光磁気記録媒体を製造した(filmB)。
【0019】
比較例2
第1誘電体層5の厚みを60nmに調整した以外は、実施例1と同様にして光磁気記録媒体を製造した(filmC)。
【0020】
〔光磁気記録媒体の記録再生装置〕
図1に示した光磁気記録媒体10を記録及び再生するのに好適な光磁気記録再生装置の概略構成を図2に示す。光磁気記録再生装置100は、主に、浮上型光磁気ヘッド11、集光レンズ(リレーレンズ)12、第1の偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)13、レ−ザ発生器14、位相板15、λ/2板16、第2のPBS17、光検出器18,19、MO信号検出部20、ヘッド位置制御部21、外部磁界印加制御部22により主に構成される。浮上型光磁気ヘッド11には固体イマージョンレンズ30が装着されている。
【0021】
ここで、浮上型光磁気ヘッド11の構造を図3を参照して説明する。浮上型光磁気ヘッド11は、スライダ32上に、固体イマ−ジョンレンズ10と外部磁界印加用の磁気コイル34とを備える。スライダ32には、固体イマージョンレンズ30の外周とほぼ同径の貫通穴32aが形成されており、貫通穴32aに固体イマージョンレンズ30が図3に示すように嵌合されている。固体イマージョンレンズ30の光出射面30aはスライダ底面と同一の高さに位置する。従って、ヘッド11の浮上量は、固体イマージョンレンズ30の光出射面30aと光磁気記録媒体10との間隔、すなわち、それらの間に存在する空気層(光透過性媒質)の厚みと一致する。磁気コイル34は固体イマージョンレンズ30の外周30bを包囲するようにスライダ32の貫通穴32aの上方に埋設されている。
【0022】
スライダ32は図示しない板バネ支持機構を介して光磁気記録再生装置本体のアクチュエータ(図示しない)に接続されている。かかる板バネ支持機構によりスライダ32の浮上時に固体イマージョンレンズ30の出射面30aが光磁気記録媒体30と平行になり且つ光磁気記録媒体10とエバネッセント光の減衰距離以内に近接して浮上配置される。かかる構造において固体イマージョンレンズ30の上方から照射された記録用レーザ光は固体イマージョンレンズ30を透過して光磁気記録媒体10上に集光され、空気中の理論的な最小スポット径よりも小さなスポットを光磁気記録媒体10上に形成する。この小さなスポットは液浸レンズと同じ原理により固体イマ−ジョンレンズ30に空気の屈折率より大きな屈折率nの部材を用い、且つ固体イマ−ジョンレンズ30の中で集光するとき形成される。この固体イマージョンレンズ30を使用することによりNA>1が達成される。
【0023】
この実施例では、固体イマ−ジョンレンズ30として、屈折率n=1.9の高屈折率フリントガラスから構成された直径0.3mmの半球型のレンズを使用した。この半球型の固体イマ−ジョンレンズ30の焦点深度は、±260nmであった。固体イマ−ジョンレンズ30の材料は、上記高屈折率フリントガラスに限定されず、例えば、C、SiC、Si34 、ZrO2 、Ta2 5 、ZnS、TiO2 のような屈折率の大きな材料を使用することができる。固体イマージョンレンズの形状は半球型に限定されず、超半球型を使用してもよい。
【0024】
図3に示した浮上型光磁気ヘッド11と光磁気記録媒体10との関係において、光磁気記録媒体10は、そのカーボン保護層6及び潤滑層7の側が固体イマージョンレンズ30に近くなるように(図中、上方に)配置される。すなわち、本発明の光磁気記録媒体10は、その基板が下側に位置するように配置されるので、記録光または再生光が光磁気記録媒体の基板を透過せずに記録層に到達することになる。
【0025】
次に、光磁気記録再生装置100を用いて、情報を光磁気記録媒体10に記録する方法を、図2及び3を参照しながら説明する。図示しないターンテーブル上に載置されている光磁気記録媒体10を回転させ、ヘッド位置制御部21により浮上型光磁気ヘッド11と集光レンズ12を光磁気記録媒体10の所望のデータ記録領域に移動させる。次いで、図示しないレーザ駆動部からの駆動信号に応じてレ−ザ発生器14からパルス状のレーザ光を光磁気記録媒体10に出射させる。出射されたレ−ザ光は、第1のPBS13、集光レンズ12を経て、前述した浮上型光磁気ヘッド11の固体イマージョンレンズ30を透過して光磁気記録媒体10のデータ記録領域に照射される。ここで、NA>1の固体イマージョンレンズ30を用いているので、光磁気記録媒体10上のスポット径は、空気中で得られる最小スポットより小さくできる。このレーザ光の照射により光磁気記録媒体10のデータ記録領域の記録層が外部磁界で磁化反転できるキュリー温度まで加熱される。レーザ光の照射タイミングに合わせて、外部磁界印加制御部22により浮上型光磁気ヘッド11の磁気コイル34から外部磁界が光磁気記録媒体10に印加される。
【0026】
光磁気記録再生装置100は、照射されたレーザ光を光磁気記録媒体10上で反射させて集光レンズ12を介して第1のPBS13に戻している。第1のPBS13で戻り光は位相板15の方向に向けられる。戻り光は、位相板15、λ/2板16を透過した後、第2のPBS17で光検出器18,19の方向に分割される。光検出器18,19は分割された光の光量を電気信号に変換する。検出器18,19からの検出信号はヘッド位置制御部21に供給される。ヘッド位置制御部21は、浮上型光磁気ヘッド11の位置の制御信号をアクチュエータ(図示しない)に供給している。アクチュエータは制御信号に応じて浮上型光磁気ヘッド11を所望の位置に微動調整しながら移動させている。
【0027】
情報再生時には、光磁気記録媒体10を回転させながら、集光レンズ12を所望のアドレスの対応する位置近傍に粗動させる。この後レ−ザ発生器14は記録時に照射されるレーザ光強度よりも弱いレ−ザ光を光磁気記録媒体10に出射する。レーザ発生器14から光磁気記録媒体10に照射したレーザ光が上述した小さなスポットを光磁気記録媒体10上に形成し光磁気記録媒体10からの反射光が記録時と同様に第2のPBS17に供給される。第2のPBS17は、記録された磁界の向きに応じて反射光を2分割する。これらの反射光はそれぞれ光検出器18,19で光電変換を行って反射光量が検出される。光検出器18,19からの検出信号がMO信号検出部20及びヘッド位置制御部21に供給される。ヘッド位置制御部21では、記録時と同様に浮上型光磁気ヘッド11の位置制御信号をアクチュエータに出力する。また、MO信号検出部20は光検出器18,19での検出信号に基づいて演算を行って得られたMO再生信号を出力する。
【0028】
〔光磁気記録媒体に記録されたデータの再生〕
図2に示した装置100を用いて、実施例1、比較例1及び比較例2に示した光磁気記録媒体10にテスト信号を記録した。次いで、光磁気記録媒体10上での固体イマージョンレンズの浮上量に対する再生信号強度の変化を測定するために、図2に示した記録再生装置を次のように改造した。光磁気ヘッド11のスライダ32を板バネ支持機構から取り外し、圧電素子により光磁気記録媒体10表面に対する高さ調整が可能なアクチュータ(図示しない)に装着する。アクチュータは、外部から操作信号を入力することにより、光磁気ヘッド11の固体イマージョンレンズ30の光射出面30aと光磁気記録媒体10の表面との間隔(空気層の厚さ)を自在に調節できるように構成した。そして、記録信号である所定の磁化方向の磁区が記録された光磁気記録媒体の記録領域上に光磁気ヘッド11を配置して、固体イマージョンレンズ30の光射出面30aと光磁気記録媒体10の表面の間隔を0〜200nmの種々の間隔に調節しながら、再生光を照射して再生信号強度をそれぞれの間隔で測定した。なお、この際、光磁気記録媒体10は回転させておらず、再生光に対するトラック方向及び半径方向の相対的な位置は固定させ、固体イマージョンレンズ30との間隔のみを圧電素子により調整した。再生光の波長λはλ=680nmであった。
【0029】
測定結果を図4のグラフに示す。グラフ中のfilmA、filmB及びfilmCはそれぞれ、実施例1、比較例1及び比較例2で製造した光磁気記録媒体の結果をそれぞれ示す。図4の横軸は、固体イマージョンレンズの光射出面と光磁気記録媒体の表面の間隔を示し、これは浮上型光磁気ヘッドの浮上量に対応するために、浮上量として表してある。図4の結果より、実施例1の光磁気記録媒体(filmA)では、浮上型光磁気ヘッドの浮上量が変動しても再生信号強度は殆ど変化しないのに対して比較例1(filmB)及び比較例2(filmC)の光磁気記録媒体では固体イマージョンレンズの光射出面と光磁気記録媒体の表面との間隔の変化により再生信号強度が大きく変動することがわかった。これは、固体イマージョンレンズの光射出面と光磁気記録媒体の表面との間の空気層の両界面での再生光の多重干渉効果が影響しているためであり、実施例1の光磁気記録媒体では20nm付近で、比較例1の光磁気記録媒体では60〜65nm付近で、比較例2の光磁気記録媒体では120nm付近で、それぞれ、再生光が互いに弱め合うような多重干渉が起こっており、実施例1の光磁気記録媒体では再生光の干渉による再生信号強度の変動は極めて小さい。
【0030】
実際に、図2に示した装置において浮上型光磁気ヘッドを用いて記録及び再生する場合に、浮上型光磁気ヘッドの浮上量は、基準浮上量に対して概ね±25%程度の範囲で変動することが分かっているので、浮上型光磁気ヘッドの基準浮上量が100nmであるとすると、75〜125nmの範囲で浮上型光磁気ヘッドの浮上量が変動することになる(図4中の矢印の範囲)。これは、再生光の波長λで表すと、0.11λ〜0.18λに相当する。浮上量がこの範囲で変動すると、実施例1、比較例1及び比較例2の光磁気記録媒体では再生信号強度はそれぞれ3%、34%及び73%変動することがわかる。従って、本発明に従う光磁気記録媒体(filmA)を用いることにより、かかる浮上量の範囲において再生信号強度の変動幅は30%以内に抑えることができる。ここで、再生信号強度の変動幅とは、再生信号強度の平均値に対する再生信号強度の変動率を示すものとする。
【0031】
実施例1の光磁気記録媒体は、第1層であるカーボン保護層6の厚さt1 =10nm及び屈折率n1 =1.6並びに、第2層である第1誘電体層5の厚さt2 =100nm及び屈折率n2 =2.05は、再生光の波長をλ=680nmに対して下記(1) 及び(2) 式:
0.01×λ≦t1 ×n1 ≦0.07×λ・・・・(1)
0.27×λ≦t2 ×n2 ≦0.40×λ・・・・(2)
を満足しているが、比較例1及び比較例2の光磁気記録媒体は式(1) 及び(2) を満足しない。
【0032】
図4の縦軸は再生信号強度として表したが、光磁気記録媒体の場合、再生信号強度は媒体からの反射率R、カー回転角θ、カー楕円率βを用いてR・sinθ・cos2βで表される性能指数に比例する。従って、本発明の光磁気記録媒体は、浮上型光磁気ヘッドを用いて再生した場合に、性能指数の変動を30%以内に抑制することができる。
【0033】
また、実施例1の光磁気記録媒体は、その再生信号強度が、上記浮上量の変動範囲において、比較例の光磁気記録媒体の再生信号強度よりも大きいため、比較例の光磁気記録媒体よりも優れている。さらに、図4の測定結果より、実施例1の光磁気記録媒体は再生信号強度が上記浮上量の範囲で極大値を示すように調整されていることがわかる。
【0034】
以上、本発明を実施例を用いて説明してきたが、本発明は上述した例に限定されない。実施例1の光磁気記録媒体では第2層である第1誘電体層の下層として光磁気記録層が存在したが、第1誘電体層と記録層との間の他の磁性層等の層が介在してもよい。また、基板と記録層間においても他の層が存在し得る。
【0035】
上記実施例では、固体イマージョンレンズからのエバネッセント光を用いて記録再生を行ったが、これに限らず、固体イマージョンレンズから射出される通常の光を再生光として用いることができる。また、光ヘッドの光学系に用いられる光学素子は固体イマージョンレンズに限定されず、種々の光学素子を用いることができる。
【0036】
上記実施例では、本発明に従う光磁気記録媒体の第1層及び第2層としてカーボンからなる保護層及び窒化珪素からなる第1誘電体層を用いたが、これに限らず種々の材料から構成された第1層及び第2層を用いることもできる。また、上記実施例では、光ヘッドと光記録媒体の表面との間の光透過性媒質は空気であったが、これに限らず、窒素等の他の気体、真空、及び水等の流体でも構わない。
【0037】
また、上記実施例では、光磁気記録媒体を用いて本発明に従う光記録媒体を説明したが、本発明はMOやMD等の光磁気記録媒体に限らず、書換え可能な相変化型の光記録媒体や、CD、CD−ROM、DVD−ROM等の再生専用の光ディスク、CD−R等の追記型の光記録媒体にも適用可能である。すなわち、反射光の強度変化を測定することにより記録情報を再生するタイプの光記録媒体であれば、任意の光記録媒体に適用可能である。なお、これらの光記録媒体において、基板に情報がピット等の形態で記録されている場合には、本発明でいうところの記録層は基板に含まれるものとする。
【0038】
【発明の効果】
本発明の光記録媒体は、光入射側に積層される第1層及び第2層の厚み及び屈折率が所定の範囲に調節されているために、浮上型光ヘッドで光磁気記録媒体を再生した場合であっても、光の多重干渉効果として現れる光ヘッド浮上量の変動による再生信号強度の変動が著しく抑制されている。このため、本発明の光記録媒体は、高密度記録及びその再生のためにNAが大きな光学素子を装着した浮上型光ヘッドを用いた場合でも高密度記録情報の良好な再生が確保される。よって、本発明の光記録媒体は、固体イマージョンレンズを備えた光ヘッドと組み合わせて用いることにより超高密度記録媒体となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で製造した光磁気記録媒体の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の光磁気記録媒体を記録及び再生するのに有効な光磁気記録再生装置の概略構成を示す図である。
【図3】浮上型光磁気ヘッドをスライダの長手方向に切断した場合の浮上型光磁気ヘッドの断面図である。
【図4】実施例1、比較例1及び比較例2で製造した各光磁気記録媒体の表面と固体イマージョンレンズの光射出面との間隔(光磁気ヘッドの浮上量に相当)に対する再生信号強度の変化を表すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
10 光磁気記録媒体
11 浮上型光磁気ヘッド
12 集光レンズ
13,17 PBS
14 レーザ発生器
15 位相板
16 λ/2板
18,19 光検出器
20 光磁気信号検出器
30 固体イマージョンレンズ
100 光磁気記録再生装置

Claims (8)

  1. 基板上に、少なくとも、記録層、第2層及び第1層をこの順で備え、再生光を第1層側から入射する光記録媒体であって、
    上記再生光を射出する光ヘッドと光記録媒体との間であって且つ上記光ヘッドの光学系の焦点深度内に光透過性媒質が存在し、該光透過性媒質が空気である場合に、上記第1層の厚さ及び屈折率をそれぞれt 及びn 、上記第2層の厚さ及び屈折率をそれぞれt 及びn 、上記再生光の波長をλとしたときに、下記(1)及び(2)式:
    0.01×λ≦t ×n ≦0.07×λ・・・・(1)
    0.27×λ≦t ×n ≦0.40×λ・・・・(2)
    を満足することを特徴とする光記録媒体。
  2. 上記光透過性媒質の厚さが、上記再生光の可干渉距離以下の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 第1層のnが1.5≦n≦1.8であり、第2層の屈折率nが1.9≦n≦2.2であることを特徴とする請求項に記載の光記録媒体。
  4. 上記光磁気記録媒体を浮上型光ヘッドを用いて再生した場合に、性能指数の変動が±30%以内であることを特徴とする請求項またはに記載の光記録媒体。
  5. 上記第1層が保護層であり、第2層が誘電体層であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光記録媒体。
  6. 上記光学系が、固体イマージョンレンズであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光記録媒体。
  7. 上記光透過性媒質の厚さが、上記再生光の可干渉距離以下の厚さであり、上記光記録媒体を浮上型ヘッドを用いて再生した際に、浮上型ヘッドの浮上量が基準浮上量に対して±25%変動した場合、再生信号強度の変動が±30%以内に抑制されるように、上記第1層と第2層の厚さ及び屈折率がそれぞれ調整されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光記録媒体。
  8. 請求項1に記載の光記録媒体を用い、
    再生光を上記光記録媒体に照射する浮上型光ヘッドを備え、
    該浮上型光ヘッドと該光記録媒体との間であって且つ該浮上型光ヘッドの光学系の焦点深度内に光透過性媒質が存在し且つ光透過性媒質の厚さが再生光の可干渉距離以下の厚さになるように該光記録媒体が該浮上型光ヘッドに対して配置されており、該浮上型光ヘッドの浮上量が基準浮上量に対して±25%変動したときに再生信号の大きさが±30%以内になることを特徴とする光再生システム。
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