JP2002110434A - 転位導体および誘導電器巻線 - Google Patents

転位導体および誘導電器巻線

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JP2002110434A JP2000302152A JP2000302152A JP2002110434A JP 2002110434 A JP2002110434 A JP 2002110434A JP 2000302152 A JP2000302152 A JP 2000302152A JP 2000302152 A JP2000302152 A JP 2000302152A JP 2002110434 A JP2002110434 A JP 2002110434A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】巻線の製作工数が少なくて済むとともに冷却効
率も低下しない転位導体および誘導電器巻線を提供す
る。 【解決手段】絶縁板9の端部に切り欠き部9Aが櫛型に
形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱融着性の絶縁
皮膜で覆われた複数の素線導体のそれぞれの積層位置が
長さ方向に行くに従って順次変わるように転位し、絶縁
紐からなる拘束部材でもってターン間の隙間をあけられ
てなる転位導体およびこのような転位導体を用いた誘導
電器巻線に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の転位導体の構成を示す断
面斜視図ある。転位導体6が、絶縁樹脂層2でもって覆
われた複数の素線導体1からなり、その素線導体1が積
層されるとともにその積層位置が長さ方向に行くに従っ
て転位部3で順次変わるようになっている。また、素線
導体1は、絶縁紐からなる拘束部材4でもってターン間
の隙間をあけるようにして一括して巻回されている。転
位導体6の上面には、絶縁スペーサ5が配されている。
絶縁樹脂層2は素線導体1に塗布されたエナメル層とそ
のエナメル層の外側に形成され熱融着性の樹脂層とから
なる。転位導体6は、誘導電器巻線として巻回された後
に加熱処理され、絶縁樹脂層2でもって素線導体1同士
が互いに融着する。それによって、転位導体6の曲げ強
度が強くなり、誘導電器巻線の短絡時に発生する電磁機
械力に充分耐えるようになる。拘束部材4としては、例
えば、ポリエステルの糸が使用される。
【0003】図7は、図6の転位導体6が誘導電器巻線
として巻回された状態を示す要部断面斜視図である。転
位導体6が円筒状に巻回され、上端部の巻き終わり部分
が示されている。転位導体6の奥行き側に縦ダクト8が
配され、端部スペーサ7を保持している。前述の絶縁ス
ペーサ5が、転位導体6間に介装され絶縁部材と冷媒を
介在させる冷媒路を形成する部材とを兼ねている。
【0004】図6に戻り、転位導体6は、素線導体1が
薄い絶縁樹脂層2だけで覆われるとともに拘束部材4の
ターン間に隙間が明いているので、裸同然であり冷却効
率が非常によい。そのために、周囲の冷媒に対する素線
導体1の温度上昇が小さくなる。この転位導体6を誘導
電器巻線に採用することにより、紙巻きの転位導体の場
合より冷却器を縮小することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の転位導体は、巻線の製作工数が多くなる
という問題があった。すなわち、絶縁スペーサ5を数多
く介装しておかないと転位導体6同士を一定の間隔に保
つことができなくなる。そのために、巻線の製作工数が
多くなり、コスト高になっていた。絶縁スペーサ5の代
わりに、リング状の絶縁板を介装する方法も考えられる
が、リング状のスペーサを巻線の直径にいちいち合わせ
る必要があるので製作に手間がかかる上に、転位導体6
間に冷媒が介在しなくなるので冷却効率が低下する。
【0006】この発明の目的は、冷却効率が良いことに
加えて巻線の製作工数が少なくて済むようにした転位導
体およびこのような転位導体を用いた誘導電器巻線を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、熱融着性の絶縁皮膜で覆われた
複数の素線導体のそれぞれの積層位置が長さ方向に行く
に従って順次変わるように転位し、前記素線導体の積層
方向に平行な側面に絶縁板が沿わされ、絶縁紐からなる
拘束部材でもってターン間の隙間をあけるようにして前
記素線導体と前記絶縁板が一括して巻回されるととも
に、前記絶縁板の前記素線導体積層方向の端部に切り欠
き部が櫛状に形成されてなるようにするとよい。それに
よって、このような転位導体を誘導電器巻線に用いてそ
の素線導体積層方向が巻線軸方向に直交するように巻回
すると、前記絶縁板が巻線軸方向における転位導体間の
スペーサ機能,すなわち,隣接する転位導体間の巻線軸
方向の間隙を一定に保つ機能を果たすので、巻線巻回時
において隣接する転位導体間間にスペーサを介装する作
業が不要となり,誘導電器巻線の巻線作業工数を低減す
ることができる。また、絶縁板に多少の柔軟性があれ
ば、直線帯状の絶縁板を湾曲させた場合に切り欠き部の
隙間が拡がるか、あるいは狭まるようになるので、転位
導体を巻回する際にこの転位導体の素線導体積層方向に
平行な側面に設けられた絶縁板を容易にリング状に形成
することができるため、絶縁板を予め巻線の直径に合わ
せてリング状に形成しておく必要がなくなり、巻線の製
作工数が少なくて済むようになる。さらに、絶縁板の切
り欠き部に冷媒が介在するようになるので、従来のよう
な複数の絶縁スペーサが周上に間隙をおいて配設される
構成と比べても、絶縁板が周上に連続して介在すること
による冷却効率の低下の程度はそれほど大きくない。従
って、転位導体の拘束部材のターン間の隙間が冷媒と素
線導体とが直接触れる部分になることにより転位導体自
体の冷却特性が大幅に向上していることから、誘導電器
巻線全体としては良好な冷却効率を実現することができ
る。
【0008】また、かかる構成において、前記絶縁板の
前記素線導体積層方向の両端部に切り欠き部が櫛状に形
成されてなるようにしてもよい。それによって、このよ
うな転位導体を誘導電器巻線に用いた場合、転位導体間
に介在する切り欠き部の面積が増加するので、転位導体
における冷媒に接する部分の面積が増加し冷却効率がよ
り向上する。
【0009】また、かかる構成において、前記素線導体
でもって積層された二つの積層導体群が冷却路を介して
隣り合わせに並べられてなるようにしてもよい。それに
よって、転位導体の素線導体間に冷媒路が形成され、転
位導体の冷却特性がより向上するので、このような転位
導体を誘導電器巻線に用いた場合、その冷却効率はさら
に向上する。
【0010】また、熱融着性の絶縁皮膜で覆われた複数
の素線導体のそれぞれの積層位置が長さ方向に行くに従
って順次変わるように転位し、前記素線導体の積層方向
に平行な側面に絶縁板が沿わされ、絶縁紐からなる拘束
部材でもってターン間の隙間をあけるようにして前記素
線導体と前記絶縁板が一括して巻回されるとともに、前
記絶縁板の前記素線導体積層方向の端部に切り欠き部が
櫛状に形成されてなる転位導体が、前記素線導体積層方
向が巻線軸方向に直交するように円筒状に巻回されてな
るようにしてもよい。それによって、前記絶縁板が巻線
軸方向における転位導体間のスペーサ機能,すなわち,
隣接する転位導体間の巻線軸方向の間隙を一定に保つ機
能を果たすことにより巻線巻回時において隣接する転位
導体間のスペーサを介装する作業が不要となり,誘導電
器巻線の巻線作業工数を低減することができる。また、
絶縁板に多少の柔軟性があれば、直線帯状の絶縁板を湾
曲させた場合に切り欠き部の隙間が拡がるか、あるいは
狭まるようになるので、転位導体間の巻回する際にこの
転位導体の素線導体積層方向に平行な側面に設けられた
絶縁板を容易にリング状に形成することができるため、
絶縁板を予め巻線の直径に合わせてリング状に形成して
おく必要がなくなり、巻線の製作工数が少なくて済むよ
うになる。さらに、絶縁板の切り欠き部に冷媒が介在す
るようになるので、従来のような複数の絶縁スペーサが
周上に間隙をおいて配設される構成と比べても、絶縁板
が周上に連続して介在することによる冷却効率の低下の
程度はそれほど大きくない。従って、転位導体の拘束部
材のターン間の隙間が冷媒と素線導体とが直接触れる部
分になることにより転位導体自体の冷却特性が大幅に向
上していることから、誘導電器巻線全体としては良好な
冷却効率を実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明を実施例に基づい
て説明する。図1は、この発明の実施例にかかる転位導
体の構成を示す断面斜視図である。転位導体10の上面
に設けられた絶縁板9の端部にV字状の切り欠き部9A
が櫛型に多数形成され、拘束部材4でもって素線導体1
と絶縁板9とが一括して固定されている。図1のその他
は、図6の従来の構成と同じであり、従来と同じ部分は
同一参照符号を付けることによって詳細な説明は省略す
る。転位導体10を誘導電器巻線として巻回する場合、
絶縁板9が直線の帯状であっても多少の柔軟性があれ
ば、絶縁板9を湾曲させた場合に、絶縁板9の切り欠き
部9Aのある側を外周側とするか,あるいは内周側とす
るかによって、切り欠き部9Aの隙間が拡がるか、ある
いは狭まるので容易に絶縁板9をリング状に形成するこ
とができる。絶縁板9を絶縁紙などで形成しておけば、
絶縁板9に多少の柔軟性を持たすことができる。したが
って、絶縁板9を予め巻線の直径に合わせてリング状に
形成しておく必要がなくなり、また、切り欠き部9Aに
冷媒が介在するようになるので、冷却効率が低下するこ
ともない。
【0012】図2は、この発明の異なる実施例にかかる
転位導体の構成を示す断面斜視図である。転位導体11
の上面に設けられた絶縁板19の両端部にV字状の切り
欠き部9A,9Bが櫛型に多数形成されている。図2の
その他は、図1の構成と同じである。図3は、図2の転
位導体11が誘導電器巻線として巻回された状態を示す
要部断面斜視図である。図3の構成は、転位導体11
が,その素線導体積層方向が巻線軸方向に直交するよう
にして円筒状に巻回されたものであり、絶縁スペーサ5
の代わりに切り欠き部9A,9Bが形成された絶縁板1
9が設けられた点以外は図6と同じである。絶縁板19
は、図6の構成における絶縁スペーサ5と同様に、隣接
する転位導体11間の巻線軸方向の間隙を一定に保つ機
能を果しており、これにより、巻線巻回時に隣接する転
位導体11間に絶縁スペーサ5を介装する作業は不要と
なる。また、転位導体11間に介在する切り欠き部9
A,9Bの面積が図1の転位導体10を用いた場合より
増加するので転位導体11における冷媒に接する部分の
面積が増加し、冷却効率がより向上する。
【0013】図4は、この発明のさらに異なる実施例に
かかる転位導体の構成を示す断面斜視図である。転位導
体13において、素線導体1が積層されてなる下側の積
層導体群1Aと上側の積層導体群1Bとの間に冷却路1
2が形成されている。冷却路12内には転位導体の長さ
方向に所定間隔毎に図示されない絶縁性のスペーサが介
装され、冷却路12の下側の積層導体群1Aと上側の積
層導体群1Bとの間の隙間が確保されている。図4のそ
の他は、図2の構成と同じである。
【0014】図5は、図4の転位導体13が誘導電器巻
線として巻回された状態を示す要部断面斜視図である。
図5の構成は、転位導体13が,その素線導体積層方向
が巻線軸方向に直交するようにして円筒状に巻回された
ものであり、転位導体11の代わりに転位導体13が巻
回されている点以外は図3と同じである。転位導体13
の素線導体1間に冷却路12が形成されているので、転
位導体13の冷却効率がより向上し、誘導電器巻線とし
ての冷却効率もより向上するようになる。
【0015】なお、この発明にかかる構成は、図1ない
し図5の構成に限定されるものではなく、絶縁板の切り
欠き部の形状がU字状、あるいはコの字状であってもよ
い。また、絶縁板の切り欠き部が波形に形成されたもの
であってもよい。また、上述の図3あるいは図5で示し
た誘導電器巻線の構成は、図2あるいは図4の転位導体
を用いて円筒状に巻回した構成としたが、この発明は上
記のような構成に限定されるものではなく、例えば、図
1,2,4のような転位導体を用いて円板巻線を構成す
ることもできる。ただし、円板巻線の場合は、巻線軸方
向における各層が複数ターンからなるため、層間におけ
るスペーサを転位導体10,11,13の絶縁板9,1
9で置き換えることにより巻線作業時に層間にスペーサ
を介装する作業は不要となるが、各層内の半径方向に隣
接するターンの転位導体間のスペーサは巻線作業時に介
装することが必要となるので、誘導電器巻線全体として
は巻線作業工数の低減効果はそれほど大きくならない。
これに対して、図1,2,4のような転位導体を用いて
円筒状に巻回する構成の場合には、巻線軸方向における
転位導体間のスペーサを転位導体10,11,13の絶
縁板9,19で置き換えることにより巻線作業時に転位
導体間にスペーサを介装する作業が全く不要となるの
で、誘導電器巻線全体として見た場合の巻線作業工数の
低減効果は非常に大きいものとなる。
【0016】なお、図1,2,4の転位導体10,1
1,13における絶縁板9,19は、切り欠き部が櫛状
に形成されてはいるものの転位導体10,11,13の
長手方向に連続した構造物であるので、このような絶縁
板9,19を複数の素線導体1と一括して転位導体1
0,11,13として構成する場合の作業は、転位導体
の側面に多数の絶縁スペーサを転位導体の長手方向に沿
って間隔を空けて配設する場合の作業に比べて容易なも
のとなる。
【0017】
【発明の効果】この発明は前述のように、熱融着性の絶
縁皮膜で覆われた複数の素線導体のそれぞれの積層位置
が長さ方向に行くに従って順次変わるように転位し、前
記素線導体の積層方向に平行な側面に絶縁板が沿わさ
れ、絶縁紐からなる拘束部材でもってターン間の隙間を
あけるようにして前記素線導体と前記絶縁板が一括して
巻回されるとともに、前記絶縁板の前記素線導体積層方
向の端部に切り欠き部が櫛状に形成されてなるようにす
ることによって、このような転位導体を誘導電器巻線に
用いた場合、冷却効率が良いことに加えて、巻線の製作
工数が少なくて済むようになり、コストが低減される。
【0018】また、かかる構成において、前記絶縁板の
前記素線導体積層方向の両端部に切り欠き部が櫛状に形
成されてなるようにすることによって、このような転位
導体を誘導電器巻線に用いた場合、冷却効率がさらに向
上するようになる。また、かかる構成において、前記素
線導体でもって積層された二つの積層導体群が冷却路を
介して隣り合わせに並べられてなるようにすることによ
って、このような転位導体を誘導電器巻線に用いた場
合、冷却効率がさらに向上するようになる。
【0019】また、熱融着性の絶縁皮膜で覆われた複数
の素線導体のそれぞれの積層位置が長さ方向に行くに従
って順次変わるように転位し、前記素線導体の積層方向
に平行な側面に絶縁板が沿わされ、絶縁紐からなる拘束
部材でもってターン間の隙間をあけるようにして前記素
線導体と前記絶縁板が一括して巻回されるとともに、前
記絶縁板の前記素線導体積層方向の端部に切り欠き部が
櫛状に形成されてなる転位導体が、前記素線導体積層方
向が巻線軸方向に直交するように円筒状に巻回されてな
るようにすることによって、このような転位導体を誘導
電器巻線に用いた場合、冷却効率が良いことに加えて、
巻線の製作工数が少なくて済むようになり、コストが低
減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる転位導体の構成を示
す断面斜視図
【図2】この発明の異なる実施例にかかる転位導体の構
成を示す断面斜視図
【図3】図2の転位導体が誘導電器巻線として巻回され
た状態を示す要部断面斜視図
【図4】この発明のさらに異なる実施例にかかる転位導
体の構成を示す断面斜視図
【図5】図4の転位導体が誘導電器巻線として巻回され
た状態を示す要部断面斜視図
【図6】従来の転位導体の構成を示す断面斜視図
【図7】図6の転位導体が誘導電器巻線として巻回され
た状態を示す要部断面斜視図
【符号の説明】
1:素線導体、4:拘束部材、9,19:絶縁板、9
A,9B:切り欠き部、10,11,13:転位導体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱融着性の絶縁皮膜で覆われた複数の素線
    導体のそれぞれの積層位置が長さ方向に行くに従って順
    次変わるように転位し、前記素線導体の積層方向に平行
    な側面に絶縁板が沿わされ、絶縁紐からなる拘束部材で
    もってターン間の隙間をあけるようにして前記素線導体
    と前記絶縁板が一括して巻回されるとともに、前記絶縁
    板の前記素線導体積層方向の端部に切り欠き部が櫛状に
    形成されてなることを特徴とする転位導体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の転位導体において、前記
    絶縁板の前記素線導体積層方向の両端部に切り欠き部が
    櫛状に形成されてなることを特徴とする転位導体。
  3. 【請求項3】請求項1あるいは2に記載の転位導体にお
    いて、前記素線導体でもって積層された二つの積層導体
    群が冷却路を介して隣り合わせに並べられてなることを
    特徴とする転位導体。
  4. 【請求項4】熱融着性の絶縁皮膜で覆われた複数の素線
    導体のそれぞれの積層位置が長さ方向に行くに従って順
    次変わるように転位し、前記素線導体の積層方向に平行
    な側面に絶縁板が沿わされ、絶縁紐からなる拘束部材で
    もってターン間の隙間をあけるようにして前記素線導体
    と前記絶縁板が一括して巻回されるとともに、前記絶縁
    板の前記素線導体積層方向の端部に切り欠き部が櫛状に
    形成されてなる転位導体が、前記素線導体積層方向が巻
    線軸方向に直交するように円筒状に巻回されてなること
    を特徴とする誘導電器巻線。
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