JPH06215963A - 静止誘導電器 - Google Patents

静止誘導電器

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JPH06215963A
JPH06215963A JP550893A JP550893A JPH06215963A JP H06215963 A JPH06215963 A JP H06215963A JP 550893 A JP550893 A JP 550893A JP 550893 A JP550893 A JP 550893A JP H06215963 A JPH06215963 A JP H06215963A
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馨 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線のターン間、コイル間の絶縁耐力を向上
させることを可能とする。 【構成】 絶縁電線の絶縁紙2を芳香族ポリアミドパル
プ40〜60重量%と芳香族ポリアミド短繊維60〜4
0重量%を混抄した低密度合成絶縁紙2aと芳香族ポリ
アミドパルプ100重量%の高密度絶縁紙2bとを厚さ
比率2:1で抄き合わせ抄紙した2層構造絶縁紙2cで
形成し、かつ高電界となる巻線部分のコイル間電界比の
0.75〜1.0の範囲を2層構造絶縁紙2cを巻回し
た絶縁電線で形成することを特徴とする。 【効果】 電界の高い部分の巻線に使用される絶縁電線
の誘電率が小さくなり、かつ毛羽の発生が防止されるよ
うになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静止誘導電器に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に油入変圧器あるいは絶縁性液体充
填の変圧器は鉄心脚周囲に低圧巻線、その周囲に主絶縁
距離をとって高圧巻線が同心状に配置される。それぞれ
の巻線が円板コイルで構成される場合にはコイル間スペ
ーサを介在させて絶縁を保持するとともに冷媒液循環用
の巻線水平冷却通路を確保する。また、主絶縁間には絶
縁筒バリヤと直線スペーサが巻線に沿って垂直に配置さ
れ、絶縁保持と巻線冷却のための垂直の冷却通路が構成
される。
【0003】巻線の絶縁強度を向上させる手段として、
特開昭58−108727号公報ではコイル導体の被覆
絶縁材として油含浸性絶縁抄紙と高分子系無孔性フィル
ムとを相互に巻回して絶縁層を構成したものが記載され
ている。
【0004】また、特開昭62−147710号公報で
はコイル間スペーサにフッ素樹脂、ポリメチルペンテ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを、また、導体
の被覆絶縁にプラスチックフィルムとクラフト紙をラミ
ネートした合成紙を使用して低誘電率化を図り、油ギャ
ップに加わる電界を低下させた構成のものが記載されて
いる。
【0005】また、実開平4−18168号公報では電
線被覆の第1の層にフィブリッドのみからなる芳香族ポ
リアミド紙を巻回し、その第1の絶縁層上に第2の絶縁
層としてフィブリッドとファイバーを混抄した芳香族ポ
リアミド合成紙を巻回構成し、変圧器などの絶縁耐力、
耐熱性を向上させた絶縁電線が記載されている。
【0006】また、特開平4−6708号公報ではポリ
アミドパルプ100%の合成紙とポリアミドパルプとポ
リアミド短繊維との混抄合成紙とを抄き合わせ抄紙した
積層構造絶縁紙とし、被覆表面の毛羽の発生を抑止した
電気絶縁紙が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】変圧器巻線の線路端に
雷インパルス電圧が侵入すると巻線内では電位振動が起
こり、巻線のコイル間やターン間には巻回数に比例しな
い過大な電圧が加わる。油入変圧器の場合、コイル間の
絶縁構成は油浸紙、油浸プレスボードなどの固体絶縁物
と液体絶縁物である変圧器油との複合構成となる。一般
に油の比誘電率より固体の絶縁物の比誘電率の方が大き
いため、油の方に電界が集中する。また、破壊電界も油
の方が小さいため破壊は油の電界集中部から起こる。し
たがって、固体絶縁物の比誘電率を小さくすれば油にか
かる電界を小さくすることができ、絶縁耐力を向上させ
ることができる。
【0008】上記のことから、特開昭58−10872
7号公報では電線の被覆絶縁層の絶縁耐力を向上させる
ため高分子系フィルムを用い、そのフィルム層間に油含
浸性のクラフト紙あるいは芳香族ポリアミド紙を介在さ
せている。高分子系フィルム、例えば、特開昭58−1
08727号公報で述べているポリエチレンテレフタレ
ートなどは高温領域で機械的強度が低下したり、油の含
浸が紙の沿層方向からのみ行なわれるため含浸性が悪い
などの欠点がある。
【0009】特開昭62−147710号公報ではコイ
ル間スペーサ材として低誘電率のフッ素樹脂やプラスチ
ック材を、コイル導体の被覆材としてラミネート合成紙
を用い、油ギャップに加わる電界を低下させるようにし
ている。しかしながら、これらのコイル間スペーサ材の
中で注型フッソ樹脂は貫通絶縁破壊に弱く、コイルを支
持するときに滑りやすいなどの欠点がある。また、ポリ
メチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどは
熱変形温度が低いため、100℃以上の温度で使用する
ことができない。また、導体被覆絶縁紙として用いてい
るプラスチックフィルムとクラフト紙とのラミネート合
成紙においても高温領域で機械的強度が低下することや
油含浸性が良くないなどの欠点がある。
【0010】また、実開平4−18168号公報ではフ
ィブリッドのみからなる芳香族ポリアミド紙を導体被覆
の内層に、フィブリッドとファイバーの混抄合成紙をそ
の上に被覆構成しており、絶縁電線の被覆表面は短繊維
が起立し毛羽立ちの状態になる。絶縁媒体を充填した高
電圧機器の巻線ではこの毛羽の部分に電界が集中して絶
縁耐力を低下させることになる。したがって、実開平4
−18168号公報の絶縁電線は高電圧の静止誘導電器
巻線には適していない。
【0011】また、特開平4−6708号公報ではポリ
アミドパルプ100%の合成紙を抄き合わせ抄紙して紙
の少なくとも片側表面の毛羽発生をなくし、平滑な面を
外側にして電線に巻回すことにより巻線構成時の毛羽発
生をなくしている。しかしながら、ポリアミドパルプ1
00%を抄き合わせた2層構造絶縁紙は比誘電率が高く
なるのが欠点である。すなわち、静止誘導電器巻線のタ
ーン間絶縁では電線の被覆絶縁物表面では楔状の液ギャ
ップが形成され、被覆絶縁物の比誘電率が大きいほど楔
状液ギャップに電界が集中し、絶縁破壊電圧を低下させ
ることになる。
【0012】本発明は以上の点に鑑みなされたものであ
り、絶縁被覆された電線間、すなわち、ターン間に形成
される楔状液ギャップの絶縁耐力を向上させるととも
に、コイル間の液ギャップ部分に突出する繊維毛羽をな
くしてコイル間絶縁耐力を向上させ、小形軽量化を可能
とした静止誘導電器を提供することを目的とするもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、絶縁電線の
絶縁紙を芳香族ポリアミドパルプ40〜60重量%と芳
香族ポリアミド短繊維60〜40重量%を混抄した低密
度合成絶縁紙と芳香族ポリアミドパルプ100重量%の
高密度絶縁紙とを厚さ比率2:1で抄き合わせ抄紙した
2層構造絶縁紙で形成し、かつ高電界となる巻線部分の
コイル間電界比の0.75〜1.0の範囲を2層構造絶
縁紙を巻回した絶縁電線で形成することにより、達成さ
れる。
【0014】
【作用】上記手段を設けたので、電界の高い部分の巻線
に使用される絶縁電線の誘電率が小さくなり、かつ毛羽
の発生が防止されるようになる。
【0015】すなわち上記の絶縁紙は耐熱性・液含浸性
に優れた絶縁材であるだけでなく、液体に含浸した状態
での誘電率が小さいという特長を持っている。芳香族ポ
リアミドのポリマー、すなわち、ポリメタフェニレンイ
ソフタルアミド(MPIA)の比誘電率は4.5であ
り、これをパルプ化あるいは繊維化して抄紙することに
より適当な空隙を形成することになり、空気中における
積層紙の比誘電率は1.8〜3.0にすることができ
る。比誘電率は嵩密度によって変化するとともに芳香族
ポリアミドパルプの構成比率によって大きく変化する。
それは芳香族ポリアミドパルプが多くなるとパルプの絡
み合いが良いために空隙の形成割合が小さくなり、ポリ
マー自体の比誘電率に近づくため比誘電率が大きくな
る。芳香族ポリアミド繊維は絡み具合が悪いため大きな
空隙を形成し比誘電率が小さくなるが、繊維が多すぎる
と紙としての平滑さや引張り強度が失われる。したがっ
て、適度に強度を保ちながら比誘電率を最小にするよう
にパルプを混抄することによって電線被覆絶縁紙として
の機能を果たすことになる。
【0016】一方、絶縁紙表面は芳香族ポリアミドパル
プ100%の合成紙を抄き合わせ抄紙することによって
毛羽のない状態を形成することができる。その際、芳香
族ポリアミドパルプ100%合成紙の比誘電率は混抄合
成紙より大きいので、できる限り薄くする必要がある
が、薄くし過ぎると紙としてのパルプむらが生じ、薄い
部分から混抄紙の短繊維が毛羽となって発生しやすくな
り、毛羽なし絶縁紙の効果がなくなる。したがって、芳
香族ポリアミドパルプ100%の合成紙の厚さを繊維突
起がないような厚さとし、混抄合成紙の厚さを大きくす
ることによって低い比誘電率の絶縁紙にすることができ
る。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0018】〔実施例 1〕図1〜図10には本発明の
一実施例が示されている。導体1上に絶縁紙2を巻回し
た絶縁電線3(図2参照)を鉄心脚4に巻回してなるコ
イルより形成される巻線5、6(図1参照)を持った静
止誘導電器において、本実施例では絶縁電線3の絶縁紙
2を芳香族ポリアミドパルプ40〜60重量%と芳香族
ポリアミド短繊維60〜40重量%を混抄した低密度合
成絶縁紙2aと芳香族ポリアミドパルプ100重量%の
高密度絶縁紙2bとを厚さ比率2:1で抄き合わせ抄紙
した2層構造絶縁紙2c(図3参照)で形成し、かつ高
電界となる巻線部分のコイル間電界比の0.75〜1.
0の範囲(図1、図5参照)を2層構造絶縁紙2cを有
する絶縁電線3で形成した。このようにすることにより
電界の高い部分の巻線5a、5b、6aに使用される絶
縁電線3の誘電率が小さくなり、かつ毛羽の発生が防止
されるようになって、電界の高い部分の巻線間の油隙に
かかる電界を小さくできるようになり、絶縁被覆された
電線間、すなわち、ターン間に形成される楔状液ギャッ
プの絶縁耐力を向上させるとともに、コイル間の液ギャ
ップ部分に突出する繊維毛羽をなくしてコイル間絶縁耐
力を向上させ、小形軽量化を可能とした静止誘導電器を
得ることができる。
【0019】図1は静止誘導電器の構成を示すもので、
鉄心脚4に第1の巻線(低圧巻線)6とその外側に第2
の巻線(高圧巻線)5を同心状に巻回し、第1の巻線6
は上下から端子7、8を導出するとともに巻線6の高さ
位置SからRまでを絶縁被覆材の異なる電線で巻回した
第3の巻線6aを配置して構成している。また、第2の
巻線5は上下から中性点側となる端子9、10をそれぞ
れ導出するとともに中央部より線路端子11を導出し、
上下並列巻線を構成する。上部巻線の巻線高さ位置Pか
ら線路端子11までの第4の巻線5aおよび下部巻線の
巻線高さ位置Qから線路端子11までの第5の巻線5b
は絶縁被覆材がこの他の第2の巻線5と異なる電線で巻
回構成している。絶縁被覆材の異なる電線で巻回構成し
た第3の巻線6a、第4の巻線5a、第5の巻線5bの
電線は図2に示すように構成している。電線導体1にテ
ープ状の絶縁紙2を巻回構成し、その絶縁紙2は拡大断
面を図3に示すように芳香族ポリアミドパルプ100%
からなる第1の合成紙(高密度絶縁紙)2bと芳香族ポ
リアミド繊維と芳香族ポリアミドパルプとを混抄した第
2の合成紙(低密度合成紙)2aとを抄き合わせ抄紙し
て構成したものである。さらに抄き合わせ抄紙後の第1
の合成紙2bの紙厚さt1と第2の合成紙2aの紙厚さ
t2との構成比がほぼ1:2になるようにしている。
【0020】図1の第4の巻線5aについてさらに詳細
に説明する。送電線への落雷等によって静止誘導電器巻
線の線路端子11に雷インパルス電圧が印加されると巻
線内で電位振動が起こり、巻線のコイル間やターン間に
は巻数に比例しない過大な電圧が加わる。すなわち、巻
線高さと電位との関係が示されている図4に示すように
周波数の低い交流電圧では巻線高さと電位の関係がB特
性のような直線分布になるが、雷インパルス電圧のよう
な過渡周波数領域では特性Aのような分布になる。A特
性は線路端に近いほどコイル間やターン間に発生する電
圧が大きくなり、コイル間の電界の大きさと巻線高さの
関係は図5のようになる。電界Ecは巻線高さ位置Pの
コイル間の電界であり、この位置より線路端子11まで
が高電界となる巻線部分であり、絶縁強化をしなければ
ならない部分である。なお、巻線高さ位置P点と中性点
端子9までの間は電界が大きくないため第4の巻線5a
ほどの絶縁強化は必要でなく、絶縁被覆材の異なる電線
との接続作業の煩わしさがあっても巻線を部分的に絶縁
強化する方が経済的である。
【0021】図6は第4の巻線の構成を示すものであ
り、絶縁紙2(図2参照)で被覆された絶縁電線3が円
板状に所定のターン数巻回されて一つのコイルを形成す
る。連続して次の段に第2のコイルを形成し、その間に
コイル間スペーサ12を介在させて水平冷却ダクトを構
成する。また、第4の巻線5a(図1参照)の内側とな
る主絶縁側にも第1の絶縁バリヤ13と直線スペーサ1
4を介在させて垂直の冷却ダクトを構成する。このよう
な構成において互いに隣接する電線3間の電界分布は巻
線ターン間の電界マッピング特性が示されている図7の
ようになる。
【0022】平行な導体間の等電位線15はほぼ直線的
になり、コーナ部分で等電位線15は彎曲する。また、
隣接する電線の被覆絶縁紙2A、2Bの表面と交差する
部分で比誘電率の違いから等電位線は屈折する。また、
隣接する被覆絶縁紙2Aと2Bとの間には楔状の液ギャ
ップ16が形成され、この液ギャップ部分が液中で最も
電界が集中し、絶縁破壊の発端になる部分である。電界
集中は液体の比誘電率と被覆絶縁紙2A、2Bの比誘電
率の違いによって生じ、一般に液体より固体(液浸絶縁
紙)の比誘電率の方が大きいために生ずるものであり、
電界集中を小さくするには固体の比誘電率を小さくすれ
ば良い。絶縁紙を低誘電率にする効果はターン間絶縁の
電界緩和による絶縁耐力の向上だけでなく、コイル間絶
縁においても電線被覆とコイル間スペーサとの間に形成
される楔状液ギャップの電界が緩和されるので同様の効
果をもたらす。
【0023】電線の被覆絶縁紙は低誘電率であるととも
に液浸状態での絶縁破壊強度、耐熱性、機械的強度等が
大きいことが要求される。図3に示した第2の合成紙2
aは芳香族ポリアミドパルプの混抄率によって比誘電
率、引張強度、引裂強度が変わり、嵩密度を一定とした
場合の特性はパルプの混抄率による比誘電率、引裂強
度、引張強度の特性変化が示されている図8のようにな
る。パルプの混抄率が小さすぎると比誘電率が小さくな
って電気絶縁的には有利であるが引張強度が低下する。
またパルプの混抄率が大きすぎると引裂強度が低下し比
誘電率も大きくなる。したがつて、電気的、機械的に満
足する領域は40〜60%であり、第2の合成紙2a
(図3参照)の芳香族ポリアミドパルプの混抄率を最適
化したものである。また、嵩密度によっても比誘電率、
液浸状態でのターン間部分放電開始電界、引張強度、圧
縮率等の諸特性が変わり、その代表的特性は嵩密度によ
るターン間部分放電開始電界、比誘電率、引張強度、圧
縮率の関係が示されている図9のようになる。比誘電率
をできるだけ小さくしてターン間部分放電開始電界を高
くし、引張強度をできるだけ大きくし、さらに圧縮率が
できるだけ小さくなるように選定した嵩密度は0.7g
/cm3程度であり、これが機械的強度を満足した最小
の比誘電率を示す嵩密度の最小値であり、空気中積層状
態での比誘電率は2.1である。
【0024】図3の第1の合成紙2bは芳香族ポリアミ
ドパルプ100%からなる合成紙であり、嵩密度は0.
8〜0.9g/cm3が最適値である。すなわち、この
第1の合成紙2bの嵩密度が小さいと機械的な摩擦に弱
く、電線導体への巻回作業、巻線構成作業時に毛羽が発
生する。したがって、毛羽が発生しない最小の比誘電率
となる嵩密度は0.8〜0.9g/cm3の範囲であ
る。また、第1の合成紙2bは薄すぎるとパルプ間の絡
み具合が均一でなくなり、第2の合成紙表面の繊維突起
が第1の合成紙2bの薄い部分から突出し、毛羽が発生
しやすくなる。したがって、毛羽が発生しない最小の厚
さが必要となり、その厚さは20μm以上である。した
がって、比誘電率の大きい第1の合成紙2bの厚さより
比誘電率の小さい第2の合成紙2aの厚さを厚くすれば
絶縁紙2を低誘電率にすることができる。例えば、第1
の合成紙2bの厚さを25μm一定とし、第2の合成紙
2aの厚さを大きくしていくと、第2の合成紙の厚さと
比誘電率との関係が示されている図10のように比誘電
率が低下し、ターン間、コイル間などの微小液ギャップ
の破壊強度が高くなるという効果がある。なお、電線被
覆絶縁紙は巻回作業における作業のし易さ、電線曲げ作
業時の紙の密着性などから極端に厚くすることはできな
い。また、厚紙積層時の破壊電界は薄紙積層時より低く
なるため、本実施例では第1の合成紙2bの厚さを20
〜30μmとし、第2の合成紙2aの厚さを45〜55
μmに構成してその割合を約1:2にし、低誘電率の絶
縁紙2が得られるようにしたものである。
【0025】このように本実施例によれば、芳香族ポリ
アミドの嵩密度を小さくして低誘電率の絶縁紙とし、さ
らに芳香族ポリアミドパルプ合成紙を抄き合わせ抄紙し
て毛羽のない絶縁紙として電線導体に巻回被覆し、この
絶縁電線を静止誘導電器巻線の高電界部分に適用したの
で、巻線のターン間、コイル間の絶縁耐力を向上させる
ことができる。
【0026】〔実施例 2〕図11から図13には本発
明の他の実施例が示されている。電線被覆の構成が示さ
れている図11に示されているように、コイル導体電流
が大きい場合の変圧器巻線は転位電線17が用いられる
ことがある。また、電位分布改善のために転位電線導体
間に遮蔽電線18が構成される。このような巻線におい
てもターン間、コイル間の絶縁耐力を向上させることが
重要であり、電線被覆絶縁紙を低誘電率にする必要があ
る。本実施例は転位電線被覆の構成を図12に示すよう
に嵩密度を0.7g/cm3以下にし、芳香族ポリアミ
ドパルプ40〜60重量%と芳香族ポリアミド繊維60
〜40重量%を混抄した低密度絶縁紙2aを内層絶縁と
して巻回し、芳香族ポリアミド繊維と芳香族ポリアミド
パルプの混抄合成紙に芳香族ポリアミドパルプ100%
の合成紙を約2:1の厚さ比率で抄き合わせ抄紙した2
層構造絶縁紙2cを少なくとも1回以上巻回して構成し
たものである。また、遮蔽電線18についても図13に
その被覆構成を示すように低密度絶縁紙2aを内層絶縁
に、2層構造絶縁紙2cを外層絶縁として巻回構成した
ものである。このように低密度絶縁紙2aと2層構造絶
縁紙2cで構成することにより低誘電率となる絶縁層の
割合をさらに大きくできるので、電線表面に毛羽の突起
が無い低誘電率被覆材の絶縁電線にすることができ、高
絶縁耐力を有する静止誘導電器を作ることができる。な
お図12において1aは転位電線素線導体であり、図1
3において1bは遮蔽電線導体である。
【0027】以上実施例について詳細説明したが、パー
フロロカーボン液等の不燃性液体を絶縁、冷却媒体とし
た静止誘導電器では液体の粘性の関係から電線表面の毛
羽が電界によって起立しやすく、また、液体と固体の誘
電率の比が大きくなることから電界集中も大きくなり、
このような静止誘導電器では本実施例が特に効果的であ
る。
【0028】また、パーフロロカーボン液中でのモデル
実験ではクラフト紙絶縁電線の場合より本実施例の絶縁
電線の場合の方が1.35倍程度雷インパルス破壊電圧
が高くなる結果を得た。これらの実験結果から、静止誘
導電器巻線のターン間、コイル間の局部電界が1.35
倍高くなる部分、すなわち、巻線の対地電位分布におけ
る電界比が0.75〜1.0の巻線範囲を本実施例の電
線で絶縁強化することにより経済的な静止誘導電器を得
ることができる。
【0029】
【発明の効果】上述のように本発明は、絶縁電線の絶縁
紙を芳香族ポリアミドパルプ40〜60重量%と芳香族
ポリアミド短繊維60〜40重量%を混抄した低密度合
成絶縁紙と芳香族ポリアミドパルプ100重量%の高密
度絶縁紙とを厚さ比率2:1で抄き合わせ抄紙した2層
構造絶縁紙で形成し、かつ高電界となる巻線部分のコイ
ル間電界比の0.75〜1.0の範囲が2層構造絶縁紙
を有する絶縁電線で形成したので、電界の高い部分の巻
線に使用される絶縁電線の誘電率が小さくなり、かつ毛
羽の発生が防止されるようになって、電界の高い部分の
巻線間の油隙にかかる電界を小さくできるようになり、
絶縁被覆された電線間、すなわち、ターン間に形成され
る楔状液ギャップの絶縁耐力を向上させるとともに、コ
イル間の液ギャップ部分に突出する繊維毛羽をなくして
コイル間絶縁耐力を向上させ、小形軽量化を可能とした
静止誘導電器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静止誘導電器の一実施例の電器構成を
示す説明図である。
【図2】同じく一実施例の絶縁電線の構成を示す斜視図
である。
【図3】同じく一実施例の絶縁紙の構成を示す斜視図で
ある。
【図4】静止誘導電器巻線高さと電位との関係を示す特
性図である。
【図5】静止誘導電器巻線高さと電界との関係を示す特
性図である。
【図6】本発明の静止誘導電器の一実施例の巻線要部の
斜視図である。
【図7】同じく一実施例の静止誘導電器巻線のターン間
の電界マッピング図である。
【図8】絶縁紙のパルプの混抄率と比誘電率、引裂強
度、引張強度の関係を示す特性図である。
【図9】絶縁紙の嵩密度とターン間部分放電開始電界、
比誘電率、引張強度、圧縮率の関係を示す特性図であ
る。
【図10】低密度絶縁紙の厚さと比誘電率の関係を示す
特性図である。
【図11】本発明の静止誘導電器の他の実施例の巻線要
部の構成を示す斜視図である。
【図12】同じく他の実施例の絶縁電線の構成を示す斜
視図である。
【図13】同じく他の実施例の遮蔽電線の構成をを示す
斜視図である。。
【符号の説明】
1…導体(電線導体)、2…絶縁紙、2a…低密度絶縁
紙、2b…高密度絶縁紙、2c…2層構造絶縁紙、3…
絶縁電線、4…鉄心脚、5a…第4の巻線、5b…第5
の巻線、6a…第3の巻線。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体上に絶縁紙を巻回した絶縁電線を鉄
    心脚に巻回してなるコイルより形成される巻線を持った
    静止誘導電器において、前記絶縁電線の絶縁紙が芳香族
    ポリアミドパルプ40〜60重量%と芳香族ポリアミド
    短繊維60〜40重量%を混抄した低密度合成絶縁紙と
    芳香族ポリアミドパルプ100重量%の高密度絶縁紙と
    を厚さ比率2:1で抄き合わせ抄紙した2層構造絶縁紙
    で形成され、かつ高電界となる巻線部分のコイル間電界
    比の0.75〜1.0の範囲が前記2層構造絶縁紙を巻
    回した絶縁電線で形成されたものであることを特徴とす
    る静止誘導電器。
  2. 【請求項2】 前記2層構造絶縁紙が、その低密度合成
    絶縁紙側が導体側、前記高密度絶縁紙側がコイル表面側
    に位置するように巻回被覆されたものである請求項1記
    載の静止誘導電器。
  3. 【請求項3】 前記2層構造絶縁紙が、その低密度合成
    絶縁紙層の厚さが45〜55μm、高密度絶縁紙層の厚
    さが20〜30μm、紙厚さが75±5μmとされたも
    のである請求項1記載の静止誘導電器。
  4. 【請求項4】 前記絶縁電線が、空気中の積層状態で比
    誘電率が2.1以下の絶縁紙を内層絶縁層とし、その外
    側に前記2層構造絶縁紙が少なくとも1回以上巻回して
    外層絶縁層とされたものである請求項1記載の静止誘導
    電器。
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