JP2002107373A - 加速度センサ - Google Patents

加速度センサ

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JP2002107373A JP2000298008A JP2000298008A JP2002107373A JP 2002107373 A JP2002107373 A JP 2002107373A JP 2000298008 A JP2000298008 A JP 2000298008A JP 2000298008 A JP2000298008 A JP 2000298008A JP 2002107373 A JP2002107373 A JP 2002107373A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型で表面実装型に構成でき、DCや低周波の
加速度でも検出可能で、しかも温度変化などの加速度以
外の要因による影響を排除しうる加速度センサを提供す
る。 【解決手段】両主面に電極が形成された圧電体よりなる
第1と第2の共振子3,4を中間層5を介して接合して
バイモルフ型加速度検出素子2を構成し、この加速度検
出素子2を、加速度Gの印加に伴って第1と第2の共振
子3,4が一体的に撓むように、長手方向の一端部また
は両端部を固定支持する。中間層5は、一方の共振子の
曲げ応力が他方の共振子に伝わるだけの硬さを有し、か
つ一方の共振子の振動が他方の共振子に減衰されて伝播
しうるものである。加速度検出素子2の撓みによって生
じる第1と第2の共振子3,4の周波数変化またはイン
ピーダンス変化を差動的に検出することにより、加速度
を検出可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加速度センサに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電セラミックスを利用した加速
度センサとして、例えば特許第2780594号公報に
記載のものが知られている。この加速度センサは、一対
の圧電セラミックスよりなる圧電素子を対面接合して一
体化したバイモルフ型検出素子を備え、この素子をケー
ス内に両持ち梁構造で収納支持してある。この加速度セ
ンサに加速度が加わると、検出素子が撓むことによって
圧電素子に応力が発生し、圧電効果によって発生した電
荷または電圧を検知して、加速度を知ることができる。
この加速度センサの場合には、小型で、表面実装型部品
(チップ部品)に容易に構成できるという利点がある。
【0003】この原理の加速度センサの場合には、回路
を構成する際、回路から流れ込むバイアス電流が圧電体
の容量Cにチャージされ、回路が飽和してしまうので、
バイアス電流をリークさせるための抵抗Rが必要とな
る。ところが、抵抗Rと容量Cとによってハイパスフィ
ルタが構成され、カットオフ以下の周波数であるDCや
低周波の加速度を検出できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、座屈音叉構造の
支持体に2個の振動子を取り付け、加速度が印加される
と、中央にある慣性部(重り)により2つの音叉構造部
分に取り付けられた振動子は引張と圧縮の応力を受け、
2つの振動子に生じる周波数差によって加速度を検出す
る加速度センサも知られている(例えば特開平4−36
1165号公報)。この場合には、DCや低周波の加速
度でも検出可能である。
【0005】しかしながら、この構造の加速度センサで
は、支持体が音叉構造を有するため、構造が複雑で大型
であり、各振動子からの電極の引出も煩雑である。その
ため、回路基板などに直接実装できる小型の表面実装型
部品(チップ部品)に構成することが難しいという問題
があった。また、振動子をねじれ振動モードと屈曲振動
モードとが結合した振動モードで振動する双音叉型振動
子として構成することにより、バイアス周波数の温度依
存性を低減しているが、温度依存性を完全には解消でき
ない。
【0006】そこで、本発明の目的は、小型で表面実装
型に構成でき、しかも温度変化などの加速度以外の要因
による影響を排除しうる、高感度の加速度センサを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1に
記載の発明によって達成される。すなわち、請求項1に
係る発明は、両主面に電極が形成された圧電体よりなる
第1と第2の共振子を中間層を介して接合してバイモル
フ型加速度検出素子を構成し、上記中間層は、一方の共
振子の曲げ応力が他方の共振子に伝わるだけの硬さを有
し、かつ一方の共振子の振動が他方の共振子に減衰され
て伝播しうるものであり、上記加速度検出素子を、加速
度の印加に伴って第1と第2の共振子が同一方向に撓む
ように、長手方向の一端部または両端部を固定支持し、
上記加速度検出素子の撓みによって生じる第1と第2の
共振子の周波数変化またはインピーダンス変化を差動的
に検出することにより、加速度を検出可能としたことを
特徴とする加速度センサを提供する。
【0008】本発明では、加速度検出素子を2枚の共振
子を中間層を介して接合したバイモルフ構造としてあ
る。中間層は、一方の共振子の曲げ応力が他方の共振子
に伝わるだけの硬さを有するので、加速度が加わった際
に生じる加速度検出素子の撓み変形から、一方の共振子
に引張応力が作用すれば、他方の共振子には圧縮応力が
作用することになる。また、中間層は、両方の共振子を
振動的に緩やかに結合する機能を有する。つまり、一方
の共振子の振動が他方の共振子に減衰されて伝播しうる
性質を有するので、各共振子はそれぞれの固有振動数で
振動することができる。そのため、引張側の共振子の周
波数は低くなり、圧縮側の共振子の周波数は高くなる。
そこで、両共振子の周波数変化またはインピーダンス変
化を差動的に取り出せば、加速度を検出することができ
る。特に、2つの共振子の周波数変化またはインピーダ
ンス変化を個別に取り出すのではなく、その周波数差ま
たはインピーダンス差を差動的に検出するので、2つの
共振子に共通に加わる応力(例えば温度変化による応
力)は相殺され、温度変化などの影響を受けない高感度
の加速度センサを得ることができる。
【0009】請求項2のように、中間層を弾性接着剤層
で構成するのがよい。中間層は、曲げ応力を伝達し、共
振子の振動伝播を減衰させる機能を有するが、弾性接着
剤を使用することにより、この機能を簡単に実現でき
る。弾性接着剤層としては、例えばエポキシ系接着剤、
エポキシ−アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤など
を使用できる。エポキシ系接着剤、エポキシ−アクリル
系接着剤の場合には、数μm〜10数μm程度の厚みと
すればよい。また、シリコーン系接着剤の場合には、弾
性係数が小さいので、数μm程度の厚みとするのがよ
い。
【0010】請求項3のように、第1,第2の共振子
を、その長さ方向中央部にエネルギーが閉じ込められる
振動モード素子とし、中間層の長さ方向中央部に、共振
子の閉じ込め振動の範囲より広くかつ加速度によって撓
む範囲より小さい空隙を形成するのがよい。共振子同士
を中間層を介して全面で対面接合してもよいが、この場
合には共振子の振動が中間層によって減衰するので、共
振子としての性能(QおよびK)が低下する。そこで、
中間層の長さ方向中央部に、共振子の閉じ込め振動の範
囲より広くかつ加速度によって撓む範囲より小さい空隙
を形成すれば、中間層として非弾性材料を使用しても、
振動の伝播を抑制することができ、しかも両方の共振子
の曲げ応力を伝わりやすくすることができる。
【0011】請求項4のように、加速度検出素子の長手
方向両端部をスペーサ層を介して対面接合し、第1と第
2のユニモルフ型加速度検出素子の加速度印加方向の外
側面をケース部材によって覆い、第1と第2のユニモル
フ型加速度検出素子とケース部材とで形成される開放面
をカバー部材によって覆い、第1と第2の共振子に形成
された電極を、ケース部材の表面に形成された内部電極
を介してカバー部材の表面に形成された外部電極に接続
するのが望ましい。この場合には、加速度検出素子の周
囲をケース部材およびカバー部材によって完全に包囲で
き、表面実装型部品を容易に構成できる利点がある。
【0012】第1の共振子と第2の共振子とから得られ
る信号を差動的に取り出し、加速度検出素子に作用する
加速度に比例した信号を得る方法としては、請求項5の
ように、第1と第2の共振子をそれぞれの周波数で発振
させ、各発振周波数差を検出し、この周波数差から加速
度に比例した信号を得る方法と、請求項6のように、第
1と第2の共振子を同一周波数で発振させ、各共振子の
電気的インピーダンスの違いから位相差または振幅差を
検知し、これら位相差または振幅差から加速度に比例し
た信号を得る方法とがある。いずれの方法を用いても、
加速度を高精度に検出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図5は本発明にかかる加速
度センサの第1実施例を示す。この加速度センサ1A
は、バイモルフ型加速度検出素子2を絶縁性セラミック
等からなる絶縁ケース6,7内に両持ち梁構造で収納支
持したものである。この実施例の加速度検出素子2は、
短冊形状の圧電セラミック板の表裏両主面に電極3a,
3bおよび4a,4bを形成した共振子3,4を、中間
層5を間にして接合一体化したものである。この実施例
の共振子3,4は、共にエネルギー閉じ込め型厚みすべ
り振動モードの共振子であり、共振子3,4の長さ方向
に分極されている。表裏面の電極3a,3bおよび4
a,4bは、一端部が共振子3,4の中央部で対向し、
他端部が共振子3,4の異なる端部へ引き出されてい
る。
【0014】中間層5は、例えば弾性接着剤層で構成さ
れており、2つの共振子3,4を全面で対面接着してい
る。この中間層5は、一方の共振子の曲げ応力が他方の
共振子に伝わるだけの硬さを有し、かつ一方の共振子の
振動が他方の共振子に減衰されて伝播しうる弾性を有し
ている。この実施例では、共振子3,4は同一形状の圧
電セラミック板よりなるので、加速度検出素子2の加速
度Gの印加に伴う曲げ中性面(図5に破線Nで示す)が
中間層5に位置するように設定されている。
【0015】加速度検出素子2の加速度Gの印加方向の
外側面は、左右一対のケース部材66によって覆われて
いる。ケース部材6はコ字形断面形状に形成されてお
り、その両端突出部6aが加速度検出素子2の両端部外
側面(共振子3,4の外側面)に接着固定されている。
そのため、ケース部材6と加速度検出素子2との間に
は、ケース部材6の凹部6bによって、加速度Gに伴い
加速度検出素子2が撓み得る空間が形成されている。ま
た、加速度検出素子2とケース部材6とで形成される上
下の開放面が上下一対のカバー部材7,7によって覆わ
れている。カバー部材7の内面には、加速度検出素子2
との接触を防止するための空洞形成用凹部7aが形成さ
れ、その外周部が開放面に接着固定されている。そのた
め、加速度検出素子2の加速度Gによる変位部分は、ケ
ース部材6およびカバー部材7によって完全に密閉され
ている。上記ケース部材6およびカバー部材7は共に絶
縁材料で形成されている。具体的には、セラミック板や
樹脂板を用いることができる。
【0016】この実施例では、ケース部材6として断面
コ字形の部材を用いたが、ケース6と加速度検出素子2
との間に設けられる接着剤層の厚みによって撓み空間を
形成すれば、ケース部材6として平板状の部材を用いる
ことも可能である。特に、加速度Gによる検出素子2の
撓み量は微少であるから、接着剤層の厚みでも十分な空
間を形成できる。同様に、カバー部材7の内面に枠形に
設けられる接着剤層の厚みによって空洞を形成できるの
で、カバー部材7の内面の空洞形成用凹部7aも省略可
能である。
【0017】共振子3,4に形成された電極3a,3b
および4a,4bのうち、対向する電極3a,4bは、
加速度検出素子2とケース部材6とで形成される開放面
に設けられた帯状の内部電極61によって互いに導通
し、かつケース部材6の外側面まで引き出されている。
また、電極3bは上側の開放面に形成された内部電極6
2によってケース部材6の外側面まで引き出され、電極
4aは下側の開放面に形成された内部電極63によって
ケース部材6の異なる外側面まで引き出されている。
【0018】ケース部材6およびカバー部材7の外表面
には、図1に示すように、外部電極71,72,73が
形成されており、上記内部電極61,62,63は、そ
れぞれ外部電極71,72,73に接続されている。こ
れによって、表面実装型のチップ型加速度センサを得る
ことができる。
【0019】なお、この実施例では、共振子3の一方の
電極3aと共振子4の一方の電極4bとを内部電極61
によって相互に接続し、共通電極としたが、4個の電極
3a3bおよび4a,4bをそれぞれ独立して外部電極
に引き出してもよい。この場合には、内部電極および外
部電極もそれぞれ4個設けられる。図4はこの加速度セ
ンサ1Aを回路基板PCBの回路パターンPaに実装し
た状態を示す。
【0020】上記構成よりなる加速度センサ1Aの製造
方法を図6に示す。まず、表裏面に電極3a,3bおよ
び4a,4bとなる電極パターンが形成された共振子
3,4用の2枚のセラミック親基板3M,4Mと、内面
側の所定位置ごとに所定幅の凹溝6bが形成されたケー
ス部材6用の一対の親ケース部材6Mとを準備し、上記
親基板3M,4M,6Mを接着剤などを介して一体に接
合する。こうして接合した接合体を上下方向に複数枚積
層してブロックB1(図6の(a)参照)を得る。この
ブロックB1を図6の(a)の切断線Sでカットし、複
数の個別ブロックB2を得る(図6の(b)参照)。
【0021】カットされた個別ブロックB2を横倒しに
し、その上下面に、図6の(c)のように、内面側に多
数の空洞形成用凹部7aを有する親カバー部材7Mを接
合してブロックを得る。なお、親カバー部材7Mの外面
には、予め外部電極となる電極パターンが形成されてい
る。このブロックを縦横にカットしてセンサ素子を構成
し、カットされたセンサ素子に対して、側面および端面
の電極をスパッタなどによって形成することで、図1に
示す加速度センサ1Aを得る。上記のように夫々の部材
を親基板で準備し、親基板の状態で積層接着することが
できるので、量産性が高く、均質で、安価な加速度セン
サ1Aを得ることができる。
【0022】図7は加速度センサの第2実施例を示す。
この加速度センサ1Bは、中間層を2個の部分5a,5
bに分割し、その間に共振子3,4の閉じ込め振動の範
囲より広くかつ加速度Gによって撓む範囲より小さい空
隙5cを形成したものである。
【0023】第1実施例では、共振子3,4を中間層5
を介して全面で対面接着したので、共振子3,4の振動
がダンピングされやすく、共振子としての性能(Q,
K)が低下しやすい。そのため、中間層5として適切な
硬度と適切な弾性とを有する材料を選択する必要があ
り、選択範囲が制限されていた。これに対し、第2実施
例では、振動空間5cが2個の中間層5a,5bの間に
形成されるので、中間層5として接着強度の高い接着剤
(例えばエポキシ系接着剤)を使用しても、共振子3,
4間の振動の伝播を抑制することができる。また、共振
子3,4がエネルギー閉じ込め型の厚みすべり振動を利
用しているので、振動空間5cを狭い範囲に限定するこ
とができ、加速度Gの印加に伴って2枚の共振子3,4
を一体に撓めることができる。つまり、一方の共振子を
引張側、他方の共振子を圧縮側にすることができる。な
お、共振子3,4およびケース部材6の上下の開放面に
は、図2と同様なカバー部材7(図示せず)が接着され
る。
【0024】図8は上記加速度センサ1Aを用いた加速
度検出装置の一例を示す。この検出装置は共振子3,4
の独立発振を利用したものであり、加速度センサ1Aの
外部電極72と71が発振回路8aに接続され、外部電
極73と71が発振回路8bに接続されている。発振回
路8a,8bとしては、例えば公知のコルピッツ型発振
回路などを使用できる。共振子3,4を発振回路8a,
8bによってそれぞれ独自に発振させ、その発振周波数
1 ,f2 が周波数差カウンタ8cに入力され、その周
波数差に比例した信号V0 を出力する。
【0025】加速度センサ1Aに加速度Gが印加されて
いない状態では、2個の共振子3,4は独立した共振子
として一定の周波数で発振している。これら共振子3,
4が全く同一構造であれば、同じ周波数で発振するの
で、周波数差カウンタ8cの出力信号V0 は零である。
一方、加速度センサ1Aに加速度Gが加わると、検出素
子2には加速度の印加方向と逆方向の慣性力が作用し、
検出素子2の中央部分が加速度Gの印加方向と逆方向に
撓む。検出素子2の撓みに伴って発生する応力によっ
て、図5の例では、一方の共振子3には引張応力が作用
し、他方の共振子4には圧縮応力が作用する。厚みすべ
り振動モードを利用した共振子の場合、引張応力の共振
子3の発振周波数は低くなり、圧縮応力の共振子4の発
振周波数は高くなる。その周波数差を電極3a,3bお
よび4a,4bから内部電極61,62,63を介して
外部電極71,72,73へと取り出すことによって、
加速度Gに比例した信号V0 を得ることができる。な
お、信号V0 によって、加速度Gの大きさだけでなく、
加速度Gの方向も検出することができる。
【0026】加速度センサ1Aを温度変化がある環境で
使用すると、共振子3,4、ケース部材6、カバー部材
7が熱膨張を起こす。共振子3,4とケース部材6、カ
バー部材7との熱膨張係数が異なる場合には、温度変化
によって共振子3,4に応力が発生する。その結果、加
速度以外の要因で周波数差に変化が生じることになる。
しかしながら、共振子3,4が互いに同一材料,同一形
状に形成されておれば、温度変化に伴う応力も同一に現
れる。そのため、周波数差カウンタ8cで2個の共振子
3,4の出力を差動的に取り出すことにより、各共振子
3,4が同一に受ける温度変化などによる出力信号の変
化を相殺することができる。したがって、加速度Gに対
してのみ感度を持つ加速度検出装置を得ることができ
る。
【0027】図9は上記加速度センサ1Aを用いた加速
度検出装置の他の例を示す。この検出装置は加速度検出
素子2の単一発振を利用したものである。加速度センサ
1Aの外部電極72と73はインピーダンス差動検出回
路9aに接続され、共通電極である外部電極71は発振
回路9bに接続されている。なお、9c,9dはマッチ
ング用抵抗である。この場合には、両方の共振子3,4
を発振回路9bによって同一の周波数で発振させ、それ
ぞれの共振子3,4の電気的インピーダンスの違いか
ら、位相差または振幅差を検知し、加速度Gに比例した
出力V0 をインピーダンス差動検出回路9aから取り出
すものである。同一周波数で発振させるには、どちらか
一方の共振子の出力、または両方の共振子の合算された
出力をフィードバックして発振回路9bを構成すればよ
い。この場合も、図8の例と同様に、加速度Gに比例し
た信号を取り出すことができるとともに、温度変化等に
よる出力変化を相殺できるので、加速度Gに対してのみ
感度を持つ加速度検出装置を得ることができる。
【0028】図8および図9の加速度検出装置では、加
速度センサとして第1実施例の加速度センサ1Aを用い
たが、図7に示す加速度センサ1Bでも同様に使用でき
る。上記実施例の加速度センサ1A,1Bは、いずれも
検出素子の両端部がケース部材によって固定支持された
両持ち梁構造のものを示したが、一端部のみがケース部
材によって固定支持されたもの、つまり片持ち梁構造と
してもよい。この場合には、加速度の印加に伴う自由端
の変位量が大きいので、大きな周波数変化またはインピ
ーダンス変化を得ることが可能である。また、第1,第
2実施例の加速度センサ1A,1Bでは、共振子3,4
として厚みすべり振動モードの共振子を用いたが、これ
に限るものではなく、他の振動モード(例えば厚み縦振
動モード、長さ振動モード、面積屈曲モードなど)の共
振子でも使用可能である。
【0029】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
に記載の発明によれば、2個の共振子を中間層を間にし
て接合したバイモルフ構造の加速度検出素子を用いたの
で、加速度が加わった際に生じる加速度検出素子の撓み
変形から、一方の共振子に圧縮応力を、他方の共振子に
引張応力を効率的に発生させることができる。したがっ
て、両方の共振子の周波数変化またはインピーダンス変
化を差動的に取り出すことによって、加速度に比例した
信号を得ることができ、検出感度のよい加速度センサを
実現できる。また、周波数変化またはインピーダンス変
化を用いて加速度を検出するので、DCや低周波の加速
度でも検出可能である。さらに、温度変化などによる応
力は両方の共振子に共通に加わるので、両方の共振子の
出力を差動的に取り出すことにより、加速度以外の要因
による応力を相殺でき、加速度にのみ感度を持つ加速度
センサを得ることができる。また、加速度検出素子が簡
単な構造であり、電極の引出も容易であるため、小型に
構成できるとともに、表面実装型部品(チップ部品)に
も容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる加速度センサの第1実施例の全
体斜視図である。
【図2】図1に示した加速度センサの分解斜視図であ
る。
【図3】図1に示した加速度センサのカバー部材を除い
た分解斜視図である。
【図4】図1に示した加速度センサを回路基板に実装し
た状態の側面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図1に示した加速度センサの製造方法の一例の
工程図である。
【図7】本発明にかかる加速度センサの第2実施例のV
−V線断面図である。
【図8】本発明にかかる加速度センサを用いた加速度検
出装置の一例の回路図である。
【図9】本発明にかかる加速度センサを用いた加速度検
出装置の他の例の回路図である。
【符号の説明】
1A,1B 加速度センサ 2 加速度検出素子 3,4 共振子 3a,3b,4a,4b 電極 5 中間層 6 ケース部材 7 カバー部材 61〜63 内部電極 71〜73 外部電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両主面に電極が形成された圧電体よりなる
    第1と第2の共振子を中間層を介して接合してバイモル
    フ型加速度検出素子を構成し、上記中間層は、一方の共
    振子の曲げ応力が他方の共振子に伝わるだけの硬さを有
    し、かつ一方の共振子の振動が他方の共振子に減衰され
    て伝播しうるものであり、上記加速度検出素子を、加速
    度の印加に伴って第1と第2の共振子が同一方向に撓む
    ように、長手方向の一端部または両端部を固定支持し、
    上記加速度検出素子の撓みによって生じる第1と第2の
    共振子の周波数変化またはインピーダンス変化を差動的
    に検出することにより、加速度を検出可能としたことを
    特徴とする加速度センサ。
  2. 【請求項2】上記中間層は、弾性接着剤層で構成されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ。
  3. 【請求項3】上記第1,第2の共振子は、その長さ方向
    中央部にエネルギーが閉じ込められる振動モード素子で
    あり、上記中間層の長さ方向中央部には、共振子の閉じ
    込め振動の範囲より広くかつ加速度によって撓む範囲よ
    り小さい空隙が形成されていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の加速度センサ。
  4. 【請求項4】上記加速度検出素子の加速度印加方向の外
    側面が、ケース部材によって覆われ、かつ上記加速度検
    出素子とケース部材とで形成される開放面がカバー部材
    によって覆われ、第1と第2の共振子に形成された電極
    は、ケース部材の表面に形成された内部電極を介してカ
    バー部材の表面に形成された外部電極に接続されている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    加速度センサ。
  5. 【請求項5】上記第1と第2の共振子をそれぞれの周波
    数で発振させ、各発振周波数差を検出し、この周波数差
    から加速度に比例した信号を得ることを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載の加速度センサ。
  6. 【請求項6】上記第1と第2の共振子を同一周波数で発
    振させ、各共振子の電気的インピーダンスの違いから位
    相差または振幅差を検知し、これら位相差または振幅差
    から加速度に比例した信号を得ることを特徴とする請求
    項1ないし4のいずれかに記載の加速度センサ。
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