JP2002107342A - 一酸化炭素の定量方法 - Google Patents

一酸化炭素の定量方法

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JP2002107342A
JP2002107342A JP2000299458A JP2000299458A JP2002107342A JP 2002107342 A JP2002107342 A JP 2002107342A JP 2000299458 A JP2000299458 A JP 2000299458A JP 2000299458 A JP2000299458 A JP 2000299458A JP 2002107342 A JP2002107342 A JP 2002107342A
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carbon
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Makoto Tanaka
田中  誠
Akira Nishina
明 西名
Tetsuya Kimijima
哲也 君島
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒素と共存している一酸化炭素の濃度を、他
の炭素化合物の影響を受けることなく、正確に定量する
ことができる一酸化炭素の定量方法を提供する。 【解決手段】 ドリフト電圧を制御して炭素化合物から
イオンを解離させ、Cイオンのイオン強度から全
炭素化合物の濃度(Cac)を求めるとともに、広範囲質
量数領域のスキャニングで得たマススペクトルから窒
素、酸素、水に由来する質量数のイオン強度を差し引い
た残りのイオン強度の合計から一酸化炭素以外の炭素化
合物の濃度(Cc)を求め、該濃度(Cc)を前記全炭素
化合物濃度(Cac)から差し引くことによって一酸化炭
素の濃度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一酸化炭素の定量
方法に関し、詳しくは、窒素と共存する一酸化炭素の定
量分析、特に高純度窒素中にppb〜サブppbレベル
で存在する一酸化炭素を大気圧イオン化質量分析法によ
って定量する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいては、大量の
高純度窒素ガスが、主に各種プロセスのパージのために
用いられている。これらの高純度窒素の不純物は、その
用途にもよるが、ppbレベルの監視を行うところもあ
り、一般に、酸素、水、一酸化炭素、二酸化炭素(炭酸
ガス)、メタンを監視対象不純物とする場合が多い。
【0003】高純度窒素ガス中の極微量不純物の分析方
法として、近年は大気圧イオン化質量分析法(APIM
S)が最も高感度な方法として多用されるようになって
きている。この方法は、イオン源に導入された試料ガス
を、大気圧下のコロナ放電によるイオン分子反応でイオ
ン化した後、各イオンを選別して定量する方法である。
一般には、差動排気部経由で真空状態にある四重極型質
量分析部にイオンを導入し、質量選別して電子増倍管で
サブppbレベルの不純物を高感度に検出する。
【0004】しかし、この大気圧イオン化質量分析法で
は、質量数が同じもの、例えば、質量数が共に28の窒
素と一酸化炭素とを区別することができないため、高純
度窒素中の微量一酸化炭素を定量することはできなかっ
た。
【0005】このため、特開平7−85835号公報に
記載された分析方法では、ドリフト電圧を制御して一酸
化炭素を質量数12のCイオンに解離させ、このC
イオンのイオン強度によって一酸化炭素濃度を定量する
方法を提案しており、実用化も行われている。
【0006】一方、J. Electrochem.Soc.,141,2478-248
2(1994)には、ドリフト電圧を通常より高電圧に設定し
て有機化合物分子を解離させ、全ての有機化合物をC
イオンで定量する分析法が開示されている。この方法で
は、各種有機化合物だけでなく、一酸化炭素や二酸化炭
素までもCイオンに解離する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、質量数1
2のイオン強度は、全炭素化合物に由来するものとなる
ため、前記公報記載の方法では、高純度窒素中に一酸化
炭素以外の炭素化合物、例えば二酸化炭素や、メタン等
の有機化合物が存在していた場合は、これらから発生す
るCイオンの影響により、一酸化炭素の濃度を正確に
測定することができなかった。
【0008】一般的に、高純度窒素中には、一酸化炭素
以外の炭素化合物がほとんど存在しないため、高純度窒
素中の一酸化炭素を定量する際には問題になることはほ
とんどないといえるが、他の炭素化合物が混入する可能
性が全くないとは言い切れない。すなわち、高純度窒素
中の一酸化炭素の定量を大気圧イオン化質量分析法で行
う場合の信頼性は、他の物質に比べて低いと言わざるを
得ない。
【0009】そこで本発明は、窒素と共存している一酸
化炭素の濃度を、他の炭素化合物の影響を受けることな
く、正確に定量することができる一酸化炭素の定量方法
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の一酸化炭素の定量方法は、窒素と共存する
一酸化炭素の定量分析を大気圧イオン化質量分析法によ
り行うにあたり、差動排気部の両端の電極に印加される
ドリフト電圧を制御して炭素化合物から原子レベルの炭
素原子イオン(Cイオン)を解離させ、該炭素原子イ
オンのイオン強度(Iac)から全炭素化合物の濃度(C
ac)を求めるとともに、広範囲質量数領域のスキャニン
グにより得たマススペクトルから窒素に由来する質量数
のイオン強度及び酸素や水のような炭素化合物以外の物
質に由来する質量数のイオン強度を差し引いた残りのイ
オン強度の合計(Ic)から、一酸化炭素以外の炭素化
合物の濃度(Cc)を求め、該一酸化炭素以外の炭素化
合物の濃度(Cc)を前記全炭素化合物濃度(Cac)か
ら差し引くことによって一酸化炭素の濃度を算出するこ
とを特徴としている。
【0011】さらに、本発明では、前記炭素原子イオン
による定量の校正には窒素ベースの一酸化炭素標準ガス
を用い、前記広範囲質量数領域のスキャニングによる定
量の校正には、窒素又はヘリウム若しくはこれらの混合
ガスをベースガスとした二酸化炭素標準ガスを用いるこ
とを特徴としている。
【0012】そして、窒素を主成分とするガス中の一酸
化炭素を定量する場合は、前記マススペクトルから差し
引くイオン強度の対象物質が窒素、酸素及び水であり、
かつ、窒素に由来する質量数が、m/z=14、m/z
=28、m/z=29、m/z=42、m/z=43、
m/z=56、m/z=57、m/z=70であり、酸
素に由来する質量数がm/z=32であり、水に由来す
る質量数がm/z=17、m/z=18、m/z=1
9、m/z=20、m/z=46、m/z=60である
ことを特徴としている。
【0013】また、ヘリウムを主成分とするガス中の一
酸化炭素を定量する場合は、前記マススペクトルから差
し引くイオン強度の対象物質がヘリウム、水素、窒素、
酸素、水及びアルゴンであり、かつ、ヘリウムに由来す
る質量数がm/z=4、m/z=8であり、水素に由来
する質量数がm/z=5、m/z=9であり、窒素に由
来する質量数がm/z=14、m/z=28、m/z=
29、m/z=42、m/z=43であり、酸素に由来
する質量数がm/z=32であり、水に由来する質量数
がm/z=17、m/z=18、m/z=19、m/z
=20であり、アルゴンに由来する質量数がm/z=4
0であることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、大気圧イオン化質量分析
法を実施する大気圧イオン化質量分析装置の一例を示す
概略図である。この大気圧イオン化質量分析装置は、イ
オン源10、差動排気部20及び検出部30を有するも
のであって、イオン源10に試料ガスを導入して各種物
質をイオン化し、生成したイオンを差動排気部20を介
して検出部30に導入し、各質量数のイオン強度を測定
することにより、各種物質の濃度を定量するように形成
されている。
【0015】イオン源10には、針電極11と、この針
電極11の周囲に試料ガスを流すための試料ガス導入管
12及び試料ガス導出管13と、針電極11との間でコ
ロナ放電を行う第1スリット14とを備えており、前記
コロナ放電及びこれに引き続いて起きるイオン分子反応
によって試料ガス中の各種物質(成分)のイオン化が大
気圧下で行われる。
【0016】差動排気部20には、イオン源10で生成
したイオンを収束させるためのイオンレンズ21と、真
空ポンプに接続される排気管22とを備えており、この
差動排気部20は、真空ポンプによって10Pa程度の
真空度に排気されている。また、差動排気部20の両端
の第1スリット14と第2スリット23との間には、電
圧調整器で電圧値を調整することができるドリフト電圧
が印加されている。
【0017】検出部30には、イオンレンズ31と、四
重極型質量分析部32と、四重極型質量分析部32によ
って質量選別されたイオンを検出する電子増倍管33
と、真空ポンプに接続される排気管34とを備えてお
り、この検出部30は、真空ポンプによって10−4
a程度の真空度に排気されている。
【0018】電子増倍管33には、増幅器41及び計算
機42が接続されており、計算機42は、電子増倍管3
3から増幅器41を介して入力された測定データに対し
て所定の演算処理を行い、所定の形式で出力する。
【0019】このような構成の大気圧イオン化質量分析
装置を用いて、窒素ガス中に不純物として存在する微量
の一酸化炭素を定量する方法を説明する。まず、試料ガ
スにおける窒素ガス分子及び不純物分子は、試料ガス導
入管12からイオン源10内に導入されて試料ガス導出
管13から導出される間に、針電極11の周囲でコロナ
放電によってイオン化される。このイオン化によって生
成した窒素イオンと、窒素ガス中に存在する不純物分子
とのイオン分子反応によって更に不純物分子がイオン化
される。
【0020】イオン化された試料ガスの一部は、第1ス
リット14を通り抜けて差動排気部20に流入する。こ
の差動排気部20において、ドリフト電圧を適当に設定
することにより、炭素化合物のイオンを加速させて中性
分子と多重回衝突させ、炭素化合物イオンの解離を促進
して炭素化合物イオンを炭素原子イオン(以下、C
オンという)まで解離させることができる。この状態で
質量数12のイオン強度(Iac)を測定することによ
り、有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素のような炭素
化合物の総量(全炭素量)を定量することができる。こ
の質量数12のイオン強度(Iac)を、代表成分の濃度
に換算して全炭素化合物濃度(Cac)を求める。最適な
ドリフト電圧は、適当な有機化合物を含む試料ガスを使
用し、Cイオンのイオン強度をモニターしながらドリ
フト電圧を変化させ、Cイオンのイオン強度が最大又
は飽和する電圧値とすればよい。
【0021】一方、窒素ガスをイオン源10に導入し、
該窒素ガスの分子イオン(m/z=28)とクラスター
イオン(m/z=56)との検出レベルが同等になる程
度にドリフト電圧を設定した状態で、該分析装置におけ
る最も広範囲の質量数領域(一般には質量数3〜40
0)をスキャニングしてマススペクトルを測定する。こ
のとき、得られたマススペクトルの各質量数のイオン強
度のうち、最小のイオン強度をノイズレベルとして捉
え、オフセットとして各質量数のイオン強度から差し引
いておくことが好ましい。
【0022】そして、得られたマススペクトルから、窒
素に由来する質量数のイオン強度と、窒素ガス中に不純
物として含まれていることが多い物質で炭素化合物以外
のもの、例えば前記監視対象不純物の中の酸素と水とに
由来する質量数のイオン強度とを差し引く。すなわち、
窒素に由来するm/z=14、m/z=28、m/z=
29、m/z=42、m/z=43、m/z=56、m
/z=57、m/z=70、酸素に由来するm/z=3
2、水に由来するm/z=17、m/z=18、m/z
=19、m/z=20、m/z=46、m/z=60の
各質量数のイオン強度を前記マススペクトルから差し引
いて残りのイオン強度の合計(Ic)を算出する。この
とき、一酸化炭素に由来する質量数であるm/z=28
が窒素に由来するm/z=28と同一質量数のため、一
酸化炭素に由来する質量数のイオン強度は、これらと一
緒に前記マススペクトルから差し引かれることになる。
【0023】したがって、残りのイオン強度の合計(I
c)は、一酸化炭素を除いた他の炭素化合物に由来する
質量数のイオン強度の合計ということになり、前記監視
対象不純物の中の二酸化炭素及びメタンや、他の有機化
合物に由来するイオン強度の合計となる。得られたイオ
ン強度(Ic)を、代表成分の濃度に換算することによ
り、一酸化炭素以外の炭素化合物の濃度(Cc)を求め
ることができる。
【0024】このように、炭素化合物をCイオンまで
解離させて測定した質量数12のイオン強度(Iac)か
ら全炭素化合物濃度(Cac)を求めるとともに、広範囲
質量数領域のスキャニングにより得たマススペクトルか
ら窒素や酸素等の前記各質量数のイオン強度を差し引い
た残りのイオン強度の合計(Ic)から一酸化炭素以外
の炭素化合物の濃度(Cc)を求めた後、全炭素化合物
濃度(Cac)から一酸化炭素以外の炭素化合物の濃度
(Cc)を差し引くことにより、一酸化炭素の濃度を算
出することができる。
【0025】イオン強度(Iac)、(Ic)から濃度
(Cac)、(Cc)をそれぞれ求めるための検量線は、
炭素化合物を代表させる任意の1成分を含む標準ガスを
用いて作成すればよいが、2成分以上の混合物を用いて
作成することも可能である。炭素化合物を代表させる成
分として常温常圧で液体の高沸点有機化合物を使用し、
パーミエイションチューブや拡散管を用いて標準ガスを
発生させ、これを検量線作成に使用することもできる
が、一般に高沸点のものほど配管や分析装置内部に吸着
しやすく、検量線作成や校正作業の終了後、ブランクが
下がりにくいなどの支障をきたすことが多い。したがっ
て、常温常圧で気体の炭素化合物を代表成分として使用
することが好ましく、中でも、一酸化炭素や二酸化炭素
が取扱い面を含めて最適である。
【0026】また、標準ガスのベースガスは、試料ガス
の主成分ガスと同じガスあるいは主成分ガスのイオン化
ポテンシャルより高いイオン化ポテンシャルを有するガ
スの中から選択することが可能であり、例えば試料ガス
が窒素ガスである場合は、ヘリウムやアルゴンを選択す
ることができるが、配管や分析装置内部への吸着、分析
開始時のパージ等を考慮すると、窒素ガスであることが
望ましい。
【0027】さらに、Cイオンのイオン強度(Iac)
からは、有機化合物、一酸化炭素、二酸化炭素からなる
全炭素化合物を定量するが、最終的な定量の対象となる
成分が一酸化炭素であるから、イオン強度(Iac)を全
炭素化合物濃度(Cac)に換算する成分は、一酸化炭素
が特に望ましい。
【0028】一方、マススペクトルからの残りのイオン
強度の合計(Ic)からは、一酸化炭素以外の炭素化合
物、すなわち、全有機化合物及び二酸化炭素の濃度を算
出するが、一般に窒素ガス中には、有機化合物よりも二
酸化炭素の方が高濃度に含まれており、また、上述のよ
うに、二酸化炭素は常温常圧で気体であり、扱いやすい
ことから、イオン強度(Ic)を濃度(Cc)に換算する
成分は、二酸化炭素が特に好ましい。
【0029】加えて、窒素ベースの一酸化炭素や、窒素
ベースの二酸化炭素は、国家基準とのトレーサビリティ
が完備していることでもあり、入手しやすく取り扱いも
楽であり、標準ガスとして最適である。ppbレベル等
の低濃度域で校正乃至検量線作成を行うためには、これ
らの標準ガスをベースガスの窒素ガスで希釈して使用す
ればよい。例えば、標準ガスと高純度窒素ガスとをマス
フローコントローラ等にて精密に所望の比率で混合した
ガスを試料ガス導入管に流して検量線を作成すればよ
い。また、Cイオンから全炭素化合物を定量する検量
線を作成する際には、選定した代表成分を含むガスを用
いて得られた最適なドリフト電圧に設定して行えばよ
い。
【0030】なお、上記説明では、高純度窒素中の微量
一酸化炭素を定量する方法について述べたが、窒素を含
む各種混合ガスにおいても、該混合ガス中の各成分のイ
オン化ポテンシャルを考慮することにより、上記同様の
操作で一酸化炭素の定量を行うことができる。例えばヘ
リウムと窒素との混合ガス等に含まれる一酸化炭素の定
量は、窒素量が数%以上の場合は上記同様の操作で行う
ことができる。但し、ヘリウムを主成分とし、その中に
ppmレベル以下の微量の窒素が含まれているガス中の
一酸化炭素を定量する場合は、ヘリウムイオンがメイン
ピークのスペクトルとなるため、このスペクトルから差
し引くイオン強度の対象物質として、ヘリウム、水素、
アルゴンを加える。
【0031】すなわち、微量の窒素を含むヘリウム中の
一酸化炭素を定量する場合は、試料ガスの広範囲質量数
領域のスキャニングにより得たマススペクトルから、ヘ
リウムに由来する質量数であるm/z=4、m/z=
8、水素に由来する質量数であるm/z=5、m/z=
9、窒素に由来する質量数であるm/z=14、m/z
=28、m/z=29、m/z=42、m/z=43、
酸素に由来する質量数であるm/z=32、水に由来す
る質量数であるm/z=17、m/z=18、m/z=
19、m/z=20、及び、アルゴンに由来する質量数
であるm/z=40をそれぞれ差し引くようにすればよ
い。
【0032】
【実施例】図1に示す構成の大気圧イオン化質量分析装
置を用い、一酸化炭素を含む窒素ガスを標準ガスとして
ドリフト電圧の最適化と検量線の作成とを行った。ま
ず、既知濃度の一酸化炭素を含む窒素ガスと高純度窒素
ガスとをそれぞれマスフローコントローラを使用して所
定割合で混合し、一酸化炭素濃度が5ppbの窒素ガス
を発生させ、この窒素ガスを試料ガス導入管から毎分
1.0リットルで導入した。
【0033】そして、ドリフト電圧を40Vから140
Vの範囲で20V毎に設定し、各ドリフト電圧における
イオンのイオン強度を測定した。その結果得られた
ドリフト電圧[V]とCイオンのイオン強度[A(対
数目盛)]との関係を図2に示す。図2から、ドリフト
電圧が40Vから増大するのに伴ってCイオンのイオ
ン強度が増大し、100Vで最大となることが分かっ
た。
【0034】この結果から、ドリフト電圧をイオン強度
が最大となる100Vに設定し、窒素ガス中の一酸化炭
素濃度をマスフローコントローラを調節することにより
0.6〜5.0ppbに変化させて検量線を作成した。
得られた検量線を図3に示す。このように、Cイオン
のイオン強度と一酸化炭素濃度との関係については、良
好な直線性を有する検量線が得られた。
【0035】次に、一酸化炭素、二酸化炭素及び未知の
有機化合物を含む窒素ガスを試料ガスとし、該ガス中の
一酸化炭素を測定した。まず、ドリフト電圧を100V
に設定した状態で試料ガスを毎分1.0リットルで導入
し、Cイオンのイオン強度を測定して図3の検量線に
より定量したところ、算出された全炭素化合物濃度は、
2.5ppb(一酸化炭素換算濃度)となった。
【0036】続いて、ドリフト電圧を、炭素化合物がC
イオンに解離しない電圧である30Vに設定し、試料
ガスを毎分1.0リットルで導入しながら、質量数3〜
400の領域でマススペクトルを測定した。得られたマ
ススペクトルの各質量数のイオン強度のうち、最小のイ
オン強度をノイズレベルとして捉え、オフセットとして
各質量数のイオン強度から差し引き、さらに、窒素(m
/z=14、m/z=28、m/z=29、m/z=4
2、m/z=43、m/=z56、m/z=57、m/
z=70)、酸素(m/z=32)、水(m/z=1
7、m/z=18、m/z=19、m/z=20、m/
z=46、m/z=60)に由来する質量数のイオン強
度をそれぞれ差し引き、残った質量数のイオン強度の合
計を算出した。このとき、一酸化炭素に由来する質量数
(m/z=28)のイオン強度は、窒素に由来する質量
数(m/z=28)のイオン強度の中に含まれており、
マススペクトルから差し引かれる。別途作成した二酸化
炭素の検量線を用いて、このイオン強度から一酸化炭素
以外の炭素化合物の合計濃度は、0.7ppb(二酸化
炭素換算濃度)であるとの結果が得られた。
【0037】このようにして得た全炭素化合物濃度2.
5ppbから、全有機化合物及び二酸化炭素の合計濃度
0.7ppbを差し引くことにより、試料ガス中の一酸
化炭素濃度は、1.8ppbであると算出した。
【0038】上記大気圧イオン化質量分析装置による一
酸化炭素の定量とは別に、試料ガス前処理部として液体
窒素温度で試料ガスを濃縮するトラップ管を備えたGC
/FIDを用いて、同じ試料ガス中の一酸化炭素を定量
したところ、2.1ppbであり、略一致した分析結果
が得られた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一酸化炭
素の定量方法によれば、窒素を含むガス中に不純物とし
て微量に存在する一酸化炭素を、二酸化炭素や有機化合
物の共存影響を受けることなく定量することが可能とな
り、信頼性を向上させることができる。また、大気圧イ
オン化質量分析装置の大幅な改良が不要であり、装置コ
ストの増大や大型化、複雑化を招くことがなく、分析コ
ストの増加も防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 大気圧イオン化質量分析装置の一例を示す概
略図である。
【図2】 実施例におけるドリフト電圧とCイオンの
イオン強度との関係を示す図である。
【図3】 実施例におけるCイオンのイオン強度と一
酸化炭素濃度との関係(検量線)を示す図である。
【符号の説明】 10…イオン源、11…針電極、12…試料ガス導入
管、13…試料ガス導出管、14…第1スリット、20
…差動排気部、21…イオンレンズ、22…排気管、2
3…第2スリット、30…検出部、31…イオンレン
ズ、32…四重極型質量分析部、33…電子増倍管、3
4…排気管、41…増幅器、42…計算機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 君島 哲也 東京都港区西新橋1−16−7 日本酸素株 式会社内 Fターム(参考) 5C038 GG08 GH15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素と共存する一酸化炭素の定量分析を
    大気圧イオン化質量分析法により行うにあたり、差動排
    気部の両端の電極に印加されるドリフト電圧を制御して
    炭素化合物から原子レベルの炭素原子イオン(Cイオ
    ン)を解離させ、該炭素原子イオンのイオン強度(Ia
    c)から全炭素化合物の濃度(Cac)を求めるととも
    に、広範囲質量数領域のスキャニングにより得たマスス
    ペクトルから窒素に由来する質量数のイオン強度及び酸
    素や水のような炭素化合物以外の物質に由来する質量数
    のイオン強度を差し引いた残りのイオン強度の合計(I
    c)から、一酸化炭素以外の炭素化合物の濃度(Cc)を
    求め、該一酸化炭素以外の炭素化合物の濃度(Cc)を
    前記全炭素化合物濃度(Cac)から差し引くことによっ
    て一酸化炭素の濃度を算出することを特徴とする一酸化
    炭素の定量方法。
  2. 【請求項2】 前記炭素原子イオンによる定量の校正に
    は窒素ベースの一酸化炭素標準ガスを用い、前記広範囲
    質量数領域のスキャニングによる定量の校正には、窒素
    又はヘリウム若しくはこれらの混合ガスをベースガスと
    した二酸化炭素標準ガスを用いることを特徴とする請求
    項1記載の一酸化炭素の定量方法。
  3. 【請求項3】 窒素を主成分とするガス中の一酸化炭素
    を定量する場合は、前記マススペクトルから差し引くイ
    オン強度の対象物質が窒素、酸素及び水であり、かつ、
    窒素に由来する質量数がm/z=14、m/z=28、
    m/z=29、m/z=42、m/z=43、m/z=
    56、m/z=57、m/z=70であり、酸素に由来
    する質量数がm/z=32であり、水に由来する質量数
    がm/z=17、m/z=18、m/z=19、m/z
    =20、m/z=46、m/z=60であることを特徴
    とする請求項1記載の一酸化炭素の定量方法。
  4. 【請求項4】 ヘリウムを主成分とするガス中の一酸化
    炭素を定量する場合は、前記マススペクトルから差し引
    くイオン強度の対象物質がヘリウム、水素、窒素、酸
    素、水及びアルゴンであり、かつ、ヘリウムに由来する
    質量数がm/z=4、m/z=8であり、水素に由来す
    る質量数がm/z=5、m/z=9であり、窒素に由来
    する質量数がm/z=14、m/z=28、m/z=2
    9、m/z=42、m/z=43であり、酸素に由来す
    る質量数がm/z=32であり、水に由来する質量数が
    m/z=17、m/z=18、m/z=19、m/z=
    20であり、アルゴンに由来する質量数がm/z=40
    であることを特徴とする請求項1記載の一酸化炭素の定
    量方法。
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