JP2002105349A - シアン色素混合物、水性シアンインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

シアン色素混合物、水性シアンインク組成物及びインクジェット記録方法

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JP2002105349A JP2001218709A JP2001218709A JP2002105349A JP 2002105349 A JP2002105349 A JP 2002105349A JP 2001218709 A JP2001218709 A JP 2001218709A JP 2001218709 A JP2001218709 A JP 2001218709A JP 2002105349 A JP2002105349 A JP 2002105349A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シアン色のインク組成物において、その印刷物
を、風通しの良好な日陰放置及びオゾンガス下放置した
場合でも印刷物の変退色が少ないインクを開発するこ
と。 【解決手段】銅フタロシアニンをクロロスルホン化した
後アミド化する際に、アミノ化剤を、原料銅フタロシア
ニン1モルに対して2.5モル以上の割合で反応させて
得られる化合物であり、且つ該化合物が下記式(1) 【化1】 (式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ
土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはア
ンモニウムイオンを示す。mは1から4の整数であり、
nは0から3の整数であり、かつm+nは1から4の整
数である。)で表される化合物の混合物であることを特
徴とするシアン色素混合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアン色素混合
物、水性シアンインク組成物及びインクジェット記録方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタによる記録方法
としてインクの各種吐出方式が開発されているが、いず
れもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料
(紙、フィルム、布帛等)に付着又は染着させ記録を行
うものである。インクジェットプリンタによる記録方法
は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発
生がなく静かであり、凹凸面、柔軟物質、壊れやすい製
品等、場所を選ばず印字ができるという特長がある。ま
たプリンタの小型化、高速化、カラー化が容易という特
長の為、近年急速に普及し、今後も大きな伸長が期待さ
れている。コンピュータのカラーディスプレイ上の画像
又は文字情報をインクジェットプリンタにより、カラ−
で記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ
(M)、シアン(C)の三原色にブラック(K)を加え
た4色のインクによる減法混色で表現される。CRTデ
ィスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー
(B)による加法混色画像をできるだけ忠実に再現する
には、使用する色素、中でもYMCのインクに使用され
る色素にはできるだけYMCそれぞれの標準に近い色相
を有し、且つ鮮明であることが望まれる。又、インク組
成物は長期の保存に対し安定であり、又プリントした画
像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性等の堅牢度に優
れている事が求められる。今後、使用分野を拡大すべ
く、広告等の展示物に活用した場合、光(電灯、蛍光
灯、日光等)に暴露される場合が多くなり、特に耐光性
の優れたインク組成物が求められる。その中でシアンイ
ンクの多くはC.I.Direct Blue 86又
はC.I.Direct Blue 199のようなフ
タロシアニン色素が使われており、マゼンタやイエロー
と比べ耐光性は優れている。しかしながら、一般的に使
用されているC.I.Direct Blue 86又
はC.I.DirectBlue 199のようなフタ
ロシアニン色素は一般的に光沢紙と呼ばれる加工紙に印
刷をして長時間風通しのよい日陰に放置する(以下、自
然暴露下と言う)とすぐに変色及び退色が生じる。これ
らの原因としては空気中のオゾンガスと加工紙に塗工さ
れている無機物及び/又はポリマーとの相互作用により
色素の変退色を起こすと考えられるが現在のところ、明
確にはわかっていない。そしてその退色度合いはシアン
が最も劣るレベルである。以上のことから水性シアンイ
ンクはまだ市場の要求を充分に満足する製品を提供する
には至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットプリン
タの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリン
タまで拡大されており、印刷物を外気にさらす機会が増
えていることから耐水性及び耐光性等の堅牢性がこれま
で以上に求められている。耐水性についてはシリカ、カ
チオン系ポリマー、アルミナ又はセラミックスなどイン
ク中の色素を吸着し得る無機微粒子をPVA樹脂などと
ともに紙の表面にコーティングすることにより大幅に改
良される。また、耐光性についてはシアンに用いられて
いるフタロシアニン色素は他のマゼンタやイエローと比
べ優れており耐光性を向上させる研究はマゼンタやイエ
ローほどなされていない。しかしながら現在用いられて
いるシアンは光沢紙と呼ばれる加工紙に印刷をして自然
暴露下及びオゾンガス下に放置すると変色及び退色が生
じる。これらを改良すべく現在は印刷後に印刷物をラミ
ネート加工を施し、変退色を押さえるという方法がとら
れている。しかしこのような方法では時間、簡便さ及び
価格的に見ても、大きな難点となる。そこで根本的な改
良として自然暴露下及びオゾンガス下での変退色の少な
いシアン染料を開発することが重要な課題となってい
る。
【0004】インクジェット記録用水性インクに用いら
れるシアンの色素の骨格としてはトリフェニルメタン系
やフタロシアニン系が代表的である。しかしトリフェニ
ルメタン系色素については色相は良好であるが、耐光
性、耐水性は非常に劣る。 また光沢紙に印刷後、自然
暴露下及びオゾンガス下で生じる変退色も問題である。
現在用いられているフタロシアニン系色素については色
相、耐水性そして耐光性は優れているが、光沢紙に印刷
後の自然暴露下及びオゾンガス下によって生じる変退色
が問題である。本発明は、インクジェット記録に適する
色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光、耐水性堅牢度
が強く、光沢紙に印刷後の自然暴露下及びオゾンガス下
の放置で変退色が少ないシアンインク組成物を提供する
事を目的とする。種々の条件で合成されたC.I. D
irect Blue 199を試験することにより、
光沢紙に印刷後の自然暴露下及びオゾンガス下の放置で
変退色が少ないシアン色素混合物及びシアンインク組成
物を得るに至り、本発明を完成させた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記したよ
うな課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に
至ったものである。即ち本発明は、(1)銅フタロシア
ニンをクロロスルホン化した後、アミド化する際に、ア
ミノ化剤を、原料銅フタロシアニン1モルに対して2.
5モル以上の割合で反応させて得られる化合物であり、
且つ該化合物が下記式(1)
【0006】
【化5】
【0007】(式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、有機アミンのオニウムイ
オンまたはアンモニウムイオンを示す。mは1から4の
整数であり、nは0から3の整数であり、かつm+nは
1から4の整数である。)で表される化合物の混合物で
あることを特徴とするシアン色素混合物、(2)式
(2)
【0008】
【化6】
【0009】(式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、有機アミンのオニウムイ
オンまたはアンモニウムイオンを示す。sは2から4の
整数である。)で表される化合物に塩素化剤を反応さ
せ、スルホン酸基をクロロスルホン化し、次いで、式
(2)の化合物1モルに対して2.5モル以上の割合の
アミノ化剤を反応させて得られることを特徴とする式
(1)で表されるシアン色素混合物、(3)下記式
(1)
【0010】
【化7】
【0011】(式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、有機アミンのオニウムイ
オンまたはアンモニウムイオンを示す。mは1から4の
整数であり、nは0から3の整数であり、かつm+nは
1から4の整数である。)で表される化合物であり、且
つ水中で濃度を0.01g/lに調整したときの分光光
度計の吸収カーブにおいて590nmから630nmの
間にλmaxがあり、640nmから670nmの間に
はピークを持たないシアン色素混合物、(4)N,N−
ジメチルホルムアミド中で、吸光度を1から2Absに
調整したときの分光光度計の吸収カーブにおいて615
nmから640nmの範囲と655nmから680nm
の範囲に吸収ピークを有する化合物を含有することを特
徴とする(1)又は(2)記載のシアン色素混合物、
(5)N,N−ジメチルホルムアミド中で、且つ吸光度
を1から2Absに調整したときの分光光度計の吸収カ
ーブにおいて615nmから640nmの吸収ピークの
波長をCとし、655nmから680nmの吸収ピーク
の波長をDとしたときD−Cの値が48nm以下の化合
物を含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の
シアン色素混合物、(6)フォトダイオードアレイ検出
器を有する高速液体クロマトグラフィー(展開溶媒:ア
セトニトリル/燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測
定において640nmから670nmにλmaxを有す
る成分の面積百分率の総計が検出波長254nmで全体
の50%以下である(1)又は(2)記載のシアン色素
混合物、
【0012】(7)フォトダイオードアレイ検出器を有
する高速液体クロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニ
トリル/燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測定にお
いて590nmから630nmの吸収ピークの吸光度を
Aとし、640nmから670nmの吸収ピークの吸光
度をBとしたとき、検出されたすべての成分の吸光度の
和をそれぞれΣA、ΣBで表したとき、ΣB/ΣAの値
が1以下である(1)又は(2)記載のシアン色素混合
物、(8)フォトダイオードアレイ検出器を有する高速
液体クロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/
燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測定において59
0nmから630nmの間にある吸収ピークの吸光度を
Aとし、640nmから670nmの間にある吸収ピー
クの吸光度をBとしたとき、B/Aの値が1以下のみの
成分をもつ化合物で構成された(1)又は(2)記載の
シアン色素混合物、
【0013】(9)(1)乃至(8)のいずれか一項に
記載のシアン色素混合物を含有することを特徴とする水
性シアンインク組成物、(10)(1)又は(2)に記
載のシアン色素混合物を含む溶液をpH7から11の範
囲で塩析を行うことにより、分光光度計で640nmか
ら670nmの間の吸光度を低下させる(1)又は
(2)に記載のシアン色素混合物の精製方法、(11)
(1)又は(2)に記載のシアン色素混合物を、水を含
有するメタノール、エタノール又は2−プロパノール中
に撹拌懸濁させ、次いで濾別することを特徴とする分光
光度計で640nmから670nmの間の吸光度を低下
させる(1)又は(2)に記載のシアン色素混合物の精
製方法、(12)(10)乃至(11)に記載の方法で
精製された(1)又は(2)に記載のシアン色素混合物
を含有することを特徴とする水性シアンインク組成物、
(13)インクジェット記録用である(9)又は(1
2)記載の水性シアンインク組成物、
【0014】(14)(9)、(12)又は(13)に
記載の水性シアンインク組成物を用いて二種類の濃度で
インクを調製し、高濃度のインクは2.5から7重量%
で濃度を調整し、低濃度のインクは0.5から2.5重
量%で濃度が調整されてなる水性シアンインク組成物セ
ット、(15)インク滴を記録信号に応じて吐出させて
被記録材に記録を行うインクジェット記録方法におい
て、インクとして(9)、(12)又は(13)のいず
れか一項に記載の水性シアンインク組成物を使用するこ
とを特徴とするインクジェット記録方法、(16)被記
録材が情報伝達用シートである(15)に記載のインク
ジェット記録方法、(17)被記録材が無機物及び/又
はポリマーで表面処理された情報伝達用シートである
(15)に記載のインクジェット記録方法、(18)被
記録材が無機物としてシリカ及び/又はアルミナ及び/
又はセラミックスで表面処理された情報伝達用シートで
ある(15)に記載のインクジェット記録方法、(1
9)被記録材がポリマーとして親水性ポリマー及び/又
はアクリル系ポリマー及び/又はポリウレタン系ポリマ
ーで表面処理された情報伝達用シートである(15)に
記載のインクジェット記録方法、(20)被記録材が親
水性ポリマーとしてポリビニルアルコール及び/又はポ
リビニルピロリドンで表面処理された情報伝達用シート
である(15)に記載のインクジェット記録方法、(2
1)(9)、(12)又は(13)のいずれか一項に記
載の水性シアンインク組成物を含有する容器、(22)
(21)に記載の容器を有するインクジェットプリン
タ、(23)下記式(1)
【0015】
【化8】
【0016】(式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオ
ン、アルカリ土類金属イオン、有機アミンのオニウムイ
オンまたはアンモニウムイオンを示す。mは1から4の
整数であり、nは0から3の整数であり、かつm+nは
1から4の整数である。)で表される化合物の混合物で
あり、且つN,N−ジメチルホルムアミド中で、吸光度
を1から2Absに調整したときの分光光度計の吸収カ
ーブにおいて615nmから640nmの範囲と655
nmから680nmの範囲に吸収ピークを有し、更に、
615nmから640nmの吸収ピークの波長をCと
し、655nmから680nmの吸収ピークの波長をD
としたときD−Cの値が48nm以下の化合物を含有す
ることを特徴とするシアン色素混合物、に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明を詳細に説明する。本発明
のシアン色素混合物は、銅フタロシアニンのクロロスル
ホン化物をスルホンアミド体にする際に、原料銅フタロ
シアニン又は原料銅フタロシアニンスルホン化合物1モ
ルに対して、アミノ化剤を2.5モル以上の割合で反応
させて得られる前記式(1)で表される化合物又はその
塩の混合物を含むことを特徴とする。公知のシアン化合
物(C.I.Direct Blue 86、C.I.
Direct Blue 87、C.I.Acid B
lue 9等)との混合物としても使用されうるが好ま
しくは本発明のシアン色素混合物を単一で用いた方が、
自然暴露下及びオゾンガス下に放置しても変退色の少な
いシアンインク組成物を提供する事ができる。
【0018】本発明の前記式(1)で表される化合物又
は塩の混合物を含有するシアン色素混合物は、水溶性で
シアン色の色素成分として主にインクジェット用インク
組成物に使用される。
【0019】本発明の、シアン色素混合物は、例えば銅
フタロシアニン(顔料)又は銅フタロシアニンスルホン
化合物をクロロスルホン酸等でクロロスルホン化し、次
いで原料銅フタロシアニン(顔料)又は銅フタロシアニ
ンスルホン化合物1モルに対して2.5モル以上の割合
のアミノ化剤と反応させることにより得られる。銅フタ
ロシアニン(顔料)を原料とする場合、銅フタロシアニ
ン(顔料)をスルホン化し、これをクロロスルホン体に
変え、さらに所定量のアミノ化剤と反応させることによ
っても得られる。以下、これらの方法について詳細に述
べる。
【0020】例えば銅フタロシアニン(顔料)をクロロ
スルホン酸中でクロロスルホン化する際、クロロスルホ
ン酸の使用量は銅フタロシアニン(顔料)に対し重量比
で3〜15倍量が好ましく、より好ましくは5〜10倍
量である。また、15倍量以上使用してもクロロスルホ
ン化には特に問題とはならないが工業的に不利であり、
3倍量以下では銅フタロシアニンが溶解不良となり撹拌
不良または異常反応が発生するおそれがある。反応温度
は通常80〜140℃好ましくは120〜140℃であ
る。また反応時間は反応温度により変わるが通常30分
〜10時間、好ましくは1〜6時間である。反応終了
後、反応液を氷水中にあけ、濾過することにより銅フタ
ロシアニンのクロロスルホン化物のウェットケーキが得
られる。このようにして得られた銅フタロシアニンクロ
ロスルホン化物のクロロスルホン基の置換数は1〜4個
であり、また置換位置も複数考えられることからクロロ
スルホン化されて得られる化合物は多種の化合物の混合
物として存在する。
【0021】また、式(2)で示される銅フタロシアニ
ンスルホン化合物をクロロスルホン酸等でクロロスルホ
ン化する場合には、例えば一般的に銅フタロシアニンス
ルホン酸化合物として知られているC.I.Direc
t Blue 86又はC.I.Direct Blu
e 87を重量比で3〜15倍量のクロロスルホン酸
中、より好ましくは5〜10倍量のクロロスルホン酸中
で、反応温度は通常30〜140℃好ましくは50〜1
20℃で反応させ、クロロスルホン化物を得ることが出
来る。反応時間は反応温度により変わるが通常30分〜
10時間、好ましくは1〜6時間である。
【0022】次いでこうして得られた銅フタロシアニン
クロロスルホン化物にアミノ化剤を用いて反応させ、前
記式(1)で表される化合物を得る。反応させるアミノ
化剤の量は原料化合物とのモル比で2.5モル以上であ
る。反応に用いるアミノ化剤としては例えば、塩化アン
モニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、好ま
しくは無機酸のアンモニウム塩、尿素、アンモニア水、
アンモニアガス等が挙げられるが、これらに限定される
ものではない。
【0023】またこうして得られた化合物は酸析又は塩
析後、ろ過等により分離することが出来る。塩析は例え
ば中性〜アルカリ性、好ましくはpH7〜11程度の範
囲で塩析を行うことにより、変退色を促進する副生成物
を除去することができる。塩析の際の温度は特に限定は
されないが、通常40〜80℃、好ましくは50〜70
℃に加熱後、食塩等を加えて塩析するのが好ましい。ま
た、分離した化合物は必要に応じて、脱塩等の方法によ
り、精製して無機塩含有量を減らすことが出来る。脱塩
を炭素数1〜4の低級アルコール好ましくは炭素数1〜
3のアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノー
ル又は2−プロパノールを用いて行う場合、脱塩と共に
変退色を促進する副生成物も除去されることからより好
ましいシアン色素混合物を得ることが出来る。アルコー
ルでの脱塩の際は、使用するアルコールの沸点近くまで
加熱後、冷却して脱塩するのが好ましい。
【0024】上記の方法で合成される化合物は、通常S
3Mを有しない化合物(式(1)におけるn=0の化
合物)として、又はSO3Mを有する化合物と有しない
化合物の混合物として得られる。SO3Mを有する化合
物の場合、遊離酸の形あるいはその塩の形で得られる。
遊離酸とするには、例えば酸析すればよい。また、塩に
するには、塩析するか、塩析によって所望の塩が得られ
ないときには、例えば遊離酸にしたものに所望の有機又
は無機の塩基を添加する通常の塩交換法を利用すればよ
い。
【0025】前記式(1)の化合物において、Mはプロ
トン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、
有機アミンのオニウムイオンまたはアンモニウムイオン
を示す。mは1から4の整数であり、m+nは1から4
の整数であり、nは0から3の整数であり、nは0でな
い方が好ましい。Mのアルカリ金属イオンにおけるアル
カリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチ
ウム等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンにおける
アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム
等が挙げられる。有機アミンとして、アルキルアミンと
しては、例えばメチルアミン、エチルアミン等の炭素数
1〜4の低級アルキルアミンが挙げられる。アルカノー
ルアミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロ
パノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソ
プロパノールアミン等のモノ、ジ又はトリ(炭素数1〜
4の低級アルカノール)アミンが挙げられる。好ましい
Mとしては、例えばプロトン、アンモニウムイオンやナ
トリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等の
アルカリ金属イオン、モノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミン好ましくはモノ、
ジ又はトリ(炭素数1〜4の低級アルカノール)アミン
のオニウムイオン等が挙げられる。しかしイオンの形は
上記に述べたものに限定されるものではない。
【0026】尚、銅フタロシアニンクロロスルホン化物
を得るに当たり、まず、銅フタロシアニンを発煙硫酸中
で加熱しながら反応させスルホン酸基を導入し、式
(2)で表される銅フタロシアニンスルホン酸化合物と
し、次いでスルホン酸基に塩素化剤、例えば塩化チオニ
ル、オキシ塩化リン、五塩化リン、クロロスルホン酸等
を反応させ、クロロスルホン基に置換させる方法も採用
しうる。
【0027】本発明の水性インク組成物は本発明のシア
ン色素混合物(色素成分)を用い、水を媒体として調製
されるが、この水性インク組成物をインクジェット記録
用プリンタで使用する場合、色素成分に含まれる金属陽
イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量は少ないも
のを用いるのが好ましく、その含有量の目安は、シアン
色素混合物中で塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含
量として5重量%以下、好ましくは3重量%以下、更に
好ましくは1重量%以下であり、インク組成物中に1重
量%以下である。無機物の少ない本発明の色素成分を製
造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発
明の色素成分の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノ
ール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の
方法で脱塩処理すればよい。
【0028】無機物の除去は逆浸透膜による方法より、
色素成分の乾燥品あるいはウェットケーキをアルコール
を用いた脱塩、具体的には水と混和性のある炭素数1〜
4の低級アルコール、好ましくは炭素数1〜3のアルコ
ール、具体的には例えばメタノール、エタノール又は2
−プロパノール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾
燥する等の方法のほうが有利である。その理由として変
色及び退色に悪影響を及ぼす分光光度計の吸収カーブに
おいて640nmから670nmに吸収ピークをもつ化
合物がアルコール及び水の混合溶媒中にとけ込み、濾過
によって640nmから670nmに吸収ピークを有す
る副生成物を取り除くことができるという精製効果もあ
るためである。
【0029】上記のようにして得られた本発明のシアン
色素混合物は、水中で濃度を0.01g/lに調整した
ときの分光光度計の吸収カーブにおいて590nmから
630nmの間にλmaxがあり、640nmから67
0nmの間にはピークを実質的に持たない色素混合物で
あることを特徴とする。
【0030】また、本発明のシアン色素混合物は、N,
N−ジメチルホルムアミド中で、吸光度を1から2Ab
sに調整したときの分光光度計の吸収カーブにおいて6
15nmから640nmの範囲と655nmから680
nmの範囲に吸収ピークを有する化合物を含有する。更
に615nmから640nmの吸収ピークの波長をCと
し、655nmから680nmの吸収ピークの波長をD
としたときD−C(以後Δλと表記)の値が50nm以
下、好ましくは48nm以下になるシアン化合物を含有
する。
【0031】更に、本発明のシアン色素混合物は、フォ
トダイオードアレイ検出器を有する高速液体クロマトグ
ラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/燐酸二水素アン
モニウム水溶液)で測定した場合、640nmから67
0nmにλmaxを有する成分の面積百分率の総計が検
出波長254nmで全体の50%以下、好ましくは20
%以下である色素混合物であって、590nmから63
0nmの吸収ピークの吸光度をAとし、640nmから
670nmの吸収ピークの吸光度をBとしたとき、検出
されたすべての成分の吸光度の和をそれぞれΣA、ΣB
で表したとき、ΣB/ΣAの値が1以下である。好まし
くはB/Aの値が1以下のみの成分をもつシアン化合物
でシアン色素混合物が構成されている。
【0032】本発明の水性インク組成物は水を媒体とし
て調製される。本発明のインク組成物中に前記式(1)
の化合物の混合物は、好ましくは0.1〜20重量%、
より好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは
0.5〜7重量%含有される。本発明の水性インク組成
物にはさらに水溶性有機溶剤やインク調製剤を含有して
いても良い。水溶性有機溶剤の含有量は0〜30重量%
好ましくは10〜30重量%用い、インク調製剤は0〜
5重量%好ましくは0〜2重量%用いるのが良い。
【0033】また近年印刷物の解像度をあげる目的のた
めインクジェットプリンタでは、シアンインクは高濃度
のインクと低濃度のインクの2種類が設定されている。
本発明のインク組成物中に前記式(1)の化合物の混
合物は、高濃度のインクでは好ましくは2.5〜7重量
%より好ましくは2.5〜5重量%含有される。また低
濃度のインクでは好ましくは0.5〜2.5重量%より
好ましくは0.5〜1.5重量%含有される。
【0034】本発明のインク組成物は、蒸留水及びイオ
ン交換水等の不純物を除去した水に、式(1)の化合物
の混合物及び必要により下記水溶性(又は溶解性を示
す)有機溶剤、インク調製剤等を添加混合することによ
り調製される。また、水と下記水溶性有機溶剤、インク
調製剤等との混合物に式(1)の化合物の混合物を添
加、溶解してもよい。また必要ならインク組成物を得た
後で濾過を行い、夾雑物を除去してもよい。
【0035】使用し得る水溶性有機溶剤としては、例え
ばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパ
ノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノー
ル、第三ブタノール等のC1 〜C4 アルカノール、N,
N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセト
アミド等のカルボン酸アミド、好ましくは、N,N−ジ
(C1−C4)アルキル(C1−C3)脂肪族カルボン
酸アミド、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジン
−2−オン等のラクタム類、尿素、1,3−ジメチルイ
ミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒ
ドロピリミド−2−オン等の環式尿素、アセトン、メチ
ルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン
−4−オン等のケトン又はケトアルコール、好ましくは
ヒドロキシ基で置換されていてもよい(C1−C4)ア
ルキル(C1−C4)アルキルケトン、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン等の5〜6員環の環状エーテル、エチ
レングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリ
コール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、
1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール等のC2 〜C6 アルキレン単位を
有するモノー、オリゴー又はポリアルキレングリコール
又はチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,
6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレ
ングリコールモノメチルーエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコ
ールのモノC1 〜C4 アルキルエーテル、γーブチロラ
クトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。これ
らの水溶性有機溶剤は2種以上併用しても良い。
【0036】有利な水溶性有機溶剤としては、N−メチ
ルピロリジン−2−オン、尿素、グリセリン、C2 〜C
6 アルキレン単位を有するモノ、ジ又はトリアルキレン
グリコール、好ましくはモノ、ジ又はトリエチレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ジメチルスルホキシ
ド等が挙げられ、特に、N−メチルピロリジン−2−オ
ン、尿素、グリセリン、ジエチレングリコール、ジメチ
ルスルホキシドの使用が好ましい。
【0037】インク調製剤としては、例えば防腐防黴
剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線
吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤
などがあげられる。
【0038】防腐防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸
ソーダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1
−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタ
クロロフェノールナトリウム等があげられる。
【0039】本発明のインク組成物のpHは6〜11程
度が好ましい。pH調整剤としては、調合されるインク
に悪影響を及ぼさずに、インクのpHを6〜11の範囲
に制御できるものであれば任意の物質を使用することが
できる。使用しうるpH調整剤の例としては、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノール
アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アン
モニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられ
る。
【0040】キレート試薬としては、例えばエチレンジ
アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、
ヒドロキシチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジ
エチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸
ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例え
ば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコー
ル酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライ
ト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルア
ンモニウムニトライトなどがあげられる。水溶性高分子
化合物としては、例えばポリビニルアルコール、セルロ
ース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベ
ンゾフェノン、スルホン化したベンゾトリアゾール等が
あげられる。染料溶解剤としては、例えばεーカプロラ
クタム、エチレンカーボネート、尿素等があげられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、
ノニオン系等の公知の界面活性剤があげられる。
【0041】本発明のインクジェット記録方法における
被記録材としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用
シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シー
トについては、表面処理されたもの、具体的にはこれら
の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク
受容層は、シリカ、アルミナやセラミックス等のインク
中の色素を吸着し得る無機微粒子をポリビニルアルコー
ルやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上
記基材表面に塗工することにより設けられる。このよう
なインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用
紙(フィルム)や光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えば
ピクトリコ(旭硝子社製)、カラーBJペーパー、カラ
ーBJフォトフィルムシート、プロフェッショナルフォ
トペーパー、フォト光沢フィルム(いずれもキャノン社
製)、カラーイメージジェット用紙(シャープ社製)、
スーパーファイン専用光沢フィルム、PM写真用紙(い
ずれもセイコーエプソン社製)、ピクタファイン(日立
マクセル社製)等の商品名で市販されている。
【0042】本発明の水性インク組成物は水への溶解性
が高く貯蔵中沈殿が生じない。また本発明の水性インク
組成物をインクジェットプリンタにおいて使用する場
合、噴射ノズルの目詰まりを生ずることがなく、比較的
長い時間(一定の再循環下における使用または断続的に
中間的遮断下での使用)においても本発明の水性インク
組成物は物理的性質の変化を生じない。
【0043】本発明の容器は上記の水性シアンインク組
成物を含有する。また、本発明のインクジェットプリン
タは、この水性シアンインク組成物を含有する本発明の
容器がインクタンク部分にセットされたものである。
【0044】本発明の水性インク組成物は、鮮明で、J
NC(社団法人 日本印刷産業機械工業)の標準シアン
色に近似した理想に近いシアン色であり、他のマゼン
タ、イエローのインクと共に用いる事で、広い可視領域
の色調を色出しする事ができる。また、光沢紙に印刷後
の自然暴露下及びオゾンガス下の放置で変退色の少ない
シアンインク組成物を得ることができる。
【0045】
【実施例】以下に本発明を更に実施例により具体的に説
明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別
の記載のない限り重量基準である。
【0046】実施例1 (1)クロロスルホン酸46.0部中に撹拌しながら7
0℃以下で銅フタロシアニン(顔料)5.76部を徐々
に仕込み、140℃にて4時間反応を行った。反応後、
冷却し得られた反応液を氷水200部中に注加し残存す
るクロロスルホン酸を分解させた。析出している結晶を
濾過し、氷水67部で洗浄し、ウェットケーキ44.7
部を得た。
【0047】(2)氷水130部中に、(1)で得られ
たウェットケーキ44,7部(0.01mol分)を添
加し、5〜10℃で30分撹拌した。5〜10℃を保持
したままで、塩化アンモニウム1.47部(銅フタロシ
アニン(顔料)0.01molに対して0.0275m
ol分)を添加し、10%苛性ソーダ溶液でpH10〜
10.5に調整した。3時間このままの条件で反応し、
さらにpH10〜10.5を保持しながら、25℃で1
時間、60℃で1時間反応を行った。反応液を濾過し、
水不溶性の不純物等を濾別し、ろ液(反応液)360部
を得た。このろ液(反応液)を60℃、10%塩酸でp
H7.0に調整し食塩72部を徐々に加えた。30分撹
拌した後、析出した結晶を濾別し、ウェットケーキ4
4.1部を得た。
【0048】(3)メタノール200部中に撹拌しなが
ら、(2)のウェットケーキ44.1部を添加し60〜
65℃にて、1時間撹拌した。冷却後、結晶を濾別しメ
タノール50部で洗浄し、ウェットケーキ29.4部を
得た。再度ウェットケーキをメタノール150部に添加
し、得られたウェットケーキ(20.5部)を乾燥し、
本発明のシアン色素混合物7.3部(NaCl=2.6
%、Na2SO4=0.1%)を得た。
【0049】実施例2 実施例1と同様にして140℃でクロロスルホン化を行
い、ウェットケーキ43.7部を得た。これと塩化アン
モニウム1.77部(銅フタロシアニン(顔料)0.0
1molに対して0.033mol分)を実施例1と同
様に反応し、同じく同様な精製を行い、本発明のシアン
色素混合物7.1部(NaCl=2.0%、Na2SO4
=0.1%)を得た。
【0050】実施例3 実施例1と同様にして130℃でクロロスルホン化を行
い、ウェットケーキ45.0部を得た。これと塩化アン
モニウム1.47部(銅フタロシアニン(顔料)0.0
1molに対して0.0275mol分)を実施例1と
同様に反応し、同じく同様な精製を行い。本発明のシア
ン色素混合物7.0部(NaCl=1.3%、Na2
4=0.1%)を得た。
【0051】実施例4 (1)クロロスルホン酸68.8部中に攪拌しながら7
0℃以下で銅フタロシアニン(顔料)8.6部を徐々に
仕込み、140℃にて4時間反応を行った。反応後、冷
却し、得られた反応液を氷水300部中に注加しクロロ
スルホン酸を分解させた。析出している結晶を濾過し、
氷水100部で洗浄し、ウェットケーキ62.9部を得
た。 (2)氷水100部中に、(1)で得られたウェットケ
ーキ31.5部(0.0075mol分)を添加し、5
〜10℃で30分攪拌した。5〜10℃を保持したまま
で、28%アンモニア水44.9部(銅フタロシアニン
(顔料)0.01molに対して0.986mol分)
を徐々に添加し、pHを10.0〜10.5に保ち、3
時間反応を行った。次いで、pH10〜10.5を保持
したままで、25℃で1時間、60℃で1時間反応を行
った。反応液を濾過し、水不溶性の不純物等を濾別し、
ろ液(反応液)270部を得た。このろ液(反応液)を
60℃、10%塩酸でpH7.0に調整し、食塩54部
を徐々に加えた。30分撹拌した後、析出した結晶を濾
別し、ウェットケーキ36.8部を得た。再度、ウェッ
トケーキ36.8部を水に溶解させ、全量を200ml
に調整し、塩析を行った。60℃に加熱し、食塩40部
を徐々に添加し、析出した結晶を濾別し、ウェットケー
キ39.1部を得た。 (3)メタノール156部中に攪拌しながら、(2)の
ウェットケーキ39.1部を添加し、60〜65℃に
て、1時間攪拌した。冷却後、結晶を濾別し、メタノー
ル50部で洗浄し、ウェットケーキ22.4部を得た。
再度、ウェットケーキをメタノール110部に添加し、
60〜65℃にて1時間撹拌した。冷却後、結晶を濾過
し、メタノール50部で洗浄し、得られたウェットケー
キ(14.8部)を乾燥し、本発明のシアン色素混合物
5.5部(NaCl=0.8%、Na2SO4=0.1
%)を得た。
【0052】実施例5 (1)クロロスルホン酸68.8部中に攪拌しながら7
0℃以下で銅フタロシアニン(顔料)8.6部を徐々に
仕込み、140℃にて4時間反応を行った。反応後、冷
却し、得られた反応液を氷水300部中に注加しクロロ
スルホン酸を分解させた。析出している結晶を濾過し、
漏斗にウェットケーキを入れたままの状態で25℃、5
時間放置した。ウェットケーキ63.7部を得た。 (2)氷水75部中に、(1)で得られたウェットケー
キ31.8部(0.0075mol分)を添加し、5〜
10℃で30分攪拌した。5〜10℃を保持したまま
で、28%アンモニア水50.1部(銅フタロシアニン
(顔料)0.01molに対して1.100mol分)
を徐々に添加し、pHを10.0〜10.5に保ち、3
時間反応を行った。次いで、pH10〜10.5を保持
したままで、25℃で1時間、60℃で1時間反応を行
った。反応液を濾過し、水不溶性の不純物等を濾別し、
ろ液(反応液)250部を得た。このろ液(反応液)を
60℃、10%塩酸でpH7.0に調整し、食塩50部
を徐々に加えた。30分撹拌した後、析出した結晶を濾
別し、ウェットケーキを得た。再度、得られたウェット
ケーキを水に溶解させ、全量を200mlに調整し、6
0℃に加熱し、食塩40部を徐々に添加し、塩析を行っ
た。析出した結晶を濾別し、ウェットケーキ26.8部
を得た。 (3)メタノール134部中に攪拌しながら、(2)の
ウェットケーキ26.8部を添加し、60〜65℃に
て、1時間攪拌した。冷却後、結晶を濾別し、メタノー
ル50部で洗浄し、ウェットケーキ18.7部を得た。
再度、ウェットケーキをメタノール67部に添加し、6
0〜65℃にて1時間撹拌した。冷却後、結晶を濾過
し、メタノール50部で洗浄し、得られたウェットケー
キ(6.9部)を乾燥し、本発明のシアン色素混合物
5.4部(NaCl=0.2%、Na2SO4=0.1
%)を得た。
【0053】実施例6 (1)氷水75部中に、実施例5−(1)で得られたウ
ェットケーキ31.8部(0.0075mol分)を添
加し、5〜10℃で30分攪拌した。これに塩化アンモ
ニウム4.0部(銅フタロシアニン(顔料)0.01m
olに対して0.100mol分)加え、5〜10℃を
保持したままで、10%苛性ソーダ水溶液を添加し、p
Hを10.0〜10.5に保ち、3時間反応を行った。
次いで、pH10〜10.5を保持したままで、25℃
で1時間、60℃で1時間反応を行った。反応液を濾過
し、水不溶性の不純物等を濾別し、ろ液(反応液)25
0部を得た。このろ液(反応液)を60℃、10%塩酸
でpH7.0に調整し、食塩50部を徐々に加えた。3
0分撹拌した後、析出した結晶を濾別し、ウェットケー
キを得た。得られたウェットケーキを再度、水に溶解さ
せた。この時液量を250mlに調整した。60℃に加
熱し、食塩50部を徐々に添加した。30分撹拌した
後、析出した結晶を濾別し、ウェットケーキ27.3部
を得た。 (2)メタノール137部中に攪拌しながら、(1)の
ウェットケーキ27.3部を添加し、60〜65℃に
て、1時間攪拌した。冷却後、結晶をろ別し、メタノー
ル50部で洗浄し、ウェットケーキ15.7部を得た。
再度、ウェットケーキをメタノール65部に添加し、6
0〜65℃にて1時間撹拌した。冷却後、結晶を濾過
し、メタノール50部で洗浄し、得られたウェットケー
キ(8.3部)を乾燥し、本発明のシアン色素混合物
5.2部(NaCl=0.1%、Na2SO4=0.1
%)を得た。
【0054】実施例7 (1)クロロスルホン酸207.4部中に攪拌しながら
70℃以下で銅フタロシアニン(顔料)25.9部を徐
々に仕込み、140℃にて4時間反応を行った。反応
後、冷却し得られた反応液を氷水500部中に注加しク
ロロスルホン酸を分解させた。析出している結晶を濾過
し、漏斗にウェットケーキを入れたままの状態で25
℃、5時間放置した。ウェットケーキ198.4部を得
た。 (2)氷水300部中に、(1)で得られたウェットケ
ーキ198.4部(0.045mol分)を添加し、5
〜10℃で30分攪拌した。これに塩化アンモニウム2
4.1部(銅フタロシアニン(顔料)0.01molに
対して0.100mol分)加え、5〜10℃を保持し
たままで、10%苛性ソーダ水溶液を添加し、pHを1
0.0〜10.5に保ち、3時間反応を行った。次い
で、pH10〜10.5を保持したままで、25℃で1
時間、60℃で1時間反応を行った。反応液を濾過し、
水不溶性の不純物等を濾別し、ろ液(反応液)1058
部を得た。 (3)このろ液(反応液)176部を60℃、pH1
0.0に調整し、食塩36部を徐々に加えた。30分撹
拌した後、析出した結晶を濾過し、20%食塩水50部
で洗浄し、ウェットケーキ25.5部を得た。得られた
ウェットケーキを再度、水に溶解させた。この時液量を
180ml、pHを10.0に調整した。60℃に加熱
し、食塩36部を徐々に添加した。30分撹拌した後、
析出した結晶を濾過し、20%食塩水で洗浄し、ウェッ
トケーキ20.0部を得た。 (4)イオン交換水100部に得られたウェットケーキ
20.0部を溶解させ、pHを7.0に調整した。RO
膜処理装置(ミリポア社製)で脱塩を行ない、4.4%
水溶液103.8部を得た。この水溶液103.8部を
60℃のオーブンで乾燥させることにより、本発明のシ
アン色素混合物4.6部(NaCl=1.6%、Na2
SO4=0.1%)を得た。
【0055】実施例8 (1)実施例7−(2)の反応混合物176部を60
℃、10%塩酸でpH7.0に調整し、食塩36部を徐
々に加えた。30分撹拌した後、析出した結晶を濾過
し、20%食塩水50部で洗浄し、ウェットケーキ2
8.9部を得た。得られたウェットケーキを再度、水に
溶解させた。この時液量を180ml、pHを7.0に
調整した。60℃に加熱し、食塩36部を徐々に添加し
た。30分撹拌した後、析出した結晶を濾過し、20%
食塩水で洗浄し、ウェットケーキ25.3部を得た。 (2)イオン交換水100部に得られたウェットケーキ
25.3部を溶解させ、pHを7.0に調整した。RO
膜処理装置(ミリポア社製)で脱塩を行ない、4.3%
水溶液116.0部を得た。この水溶液116.0部を
60℃のオーブンで乾燥させることにより、本発明のシ
アン色素混合物5.0部(NaCl=1.2%、Na2
SO4=0.1%)を得た。
【0056】実施例9 (1)実施例7−(2)のろ液(反応液)352部を6
0℃、10%塩酸でpH2.0に調整し、食塩72部を
徐々に加えた。30分撹拌した後、析出した結晶を濾過
し、20%食塩水100部で洗浄し、ウェットケーキ1
06.0部を得た。得られたウェットケーキを再度、水
に溶解させた。この時液量を360ml、pHを2.0
に調整した。60℃に加熱し、食塩72部を徐々に添加
した。30分撹拌した後、析出した結晶を濾過し、20
%食塩水で洗浄し、ウェットケーキ89.0部を得た。 (2)イオン交換水100部に得られたウェットケーキ
44.5部を溶解させ、pHを7.0に調整した。RO
膜処理装置(ミリポア社製)で脱塩を行ない、4.4%
水溶液111.3部を得た。この水溶液111.3部を
60℃のオーブンで乾燥させることにより、本発明のシ
アン色素混合物4.9部(NaCl=0.6%、Na2
SO4=0.1%)を得た。
【0057】実施例10 (1)実施例9−(1)のウェットケーキ44.5部を
メタノール180部に添加し、60〜65℃にて、1時
間攪拌した。冷却後、結晶を濾別し、メタノール50部
で洗浄し、ウェットケーキ30.0部を得た。再度、得
られたウェットケーキをメタノール150部に添加し、
60〜65℃にて1時間撹拌した。冷却後、結晶を濾過
し、メタノール50部で洗浄し、得られたウェットケー
キ(19.8部)を乾燥し、本発明のシアン色素混合物
6.1部(NaCl=0.5%、Na2SO4=0.1
%)を得た。
【0058】実施例11 (1)クロロスルホン酸500部中に攪拌しながら70
℃以下で銅フタロシアニン(顔料)62.5部を徐々に
仕込み、140℃にて4時間反応を行った。反応後、冷
却し得られた反応液を氷水2500部中に注加しクロロ
スルホン酸を分解させた。析出している結晶を濾過し、
ウェットケーキ617.3部を得た。 (2)氷水700部中に、(1)で得られたウェットケ
ーキ617.3部(0.11mol分)を添加し、5〜
10℃で30分攪拌した。5〜10℃を保持したまま
で、28%アンモニア水54.8部(銅フタロシアニン
(顔料)0.01molに対して0.821mol分)
を徐々に添加し、pHを10.0〜10.5に保ち、3
時間反応を行った。次いで、pH10〜10.5を保持
したままで、25℃で1時間、60℃で1時間反応を行
った。反応液を濾過し、水不溶性の不純物等を濾別し、
ろ液(反応液)1800部を得た。このろ液(反応液)
を60℃に加熱し、48%苛性ソーダでpH10.0に
調整し、食塩400部を徐々に加えた。30分撹拌した
後、析出した結晶を濾別し、ウェットケーキ421.4
部を得た。 (3)イオン交換水1600部に得られたウェットケー
キ421.4部を溶解させ、RO膜処理装置(帝人社
製)で脱塩を行ない、10%水溶液736.4部を得
た。この水溶液736.4部を60℃のオーブンで乾燥
させることにより、本発明のシアン色素混合物73.6
部(NaCl=0.5%、Na2SO4=0.1%)を得
た。
【0059】比較例3 実施例1と同様にして140℃でクロロスルホン化を行
い、ウェットケーキ42.8部を得た。これと塩化アン
モニウム1.18部(銅フタロシアニン(顔料)0.0
1molに対して0.022mol分)を実施例1と同
様に反応し、同じく同様な精製を行い、比較用のシアン
色素混合物7.1部(NaCl=2.0%、Na2SO4
=0.1%)を得た。
【0060】比較例4 実施例1と同様にして130℃でクロロスルホン化を行
い、ウェットケーキ46.0部を得た。これと塩化アン
モニウム1.18部(銅フタロシアニン(顔料)0.0
1molに対して0.022mol分)を実施例1と同
様に反応し、同じく同様な精製を行い。比較用のシアン
色素混合物7.2部(NaCl=2.0%、Na2SO4
=0.1%)を得た。
【0061】比較例5 実施例1と同様にして120℃でクロロスルホン化を行
い、ウェットケーキ44.0部を得た。これと塩化アン
モニウム0.88部(銅フタロシアニン(顔料)0.0
1molに対して0.0165mol分)を実施例1と
同様に反応し、同じく同様な精製を行い。比較用のシア
ン色素混合物7.2部(NaCl=2.5%、Na2
4=0.1%)を得た。
【0062】実施例7から10は化合物の精製方法をい
ろいろ変えて合成したものである。これらの精製法で得
られたろ液、即ちpH2、7及び10で塩析し、本発明
のシアン色素混合物をろ過分離後のろ液及びメタノール
を用いて脱塩し、本発明のシアン色素混合物の結晶をろ
過分離した後のろ液の分光光度計の吸収カーブ(水中)
を図1(実施例7のpH10の塩析ろ液)、図2(実施
例8のpH7の塩析ろ液)、図3(実施例9のpH2の
塩析ろ液),図4(実施例10のメタノールろ液)に示
す。このろ液の分光光度計の吸収カーブ(水中)には、
変退色に悪影響を与えると考えられる副生成物の640
nmから670nmの吸収ピークが存在する。(図1;
実施例7のpH10の塩析ろ液、図2;実施例8のpH
7の塩析ろ液、図4;実施例10のメタノールろ液)。
このことから、中性〜アルカリ性の水溶液(好ましくは
pH7〜11、例えば上記pH7又はpH10)での塩
析又はメタノールを用いた脱塩により、変退色に悪影響
を及ぼすと考えられる640nmから670nmに吸収
ピークを有する副生成物を除去することができることが
わかる。
【0063】実施例4で得られた本発明のシアン色素混
合物及びProjet Cyan1(比較例1)をそれ
ぞれ水中濃度0.01g/lに調整したときの分光光度
計の吸収カーブを図5に示す。
【0064】図5から明らかなように、実施例4で得ら
れたものは590nmから630nmの間にλmaxがあ
り、640nmから670nmの間にはピークを持たな
い。一方、Projet Cyan 1(比較例1)は
640nmから670nmの間にピークを有している。
即ち、本発明のシアン色素混合物は水中での分光光度計
の吸収カーブで590nmから630nmの間にλmax
があり、640nmから670nmの間にはピークを持
たない色素混合物であることを特徴とする。
【0065】次に、実施例1、4、11で得られた本発
明のシアン色素混合物のN,N−ジメチルホルムアミド
中の分光光度計の吸収カーブ(N,N−ジメチルホルム
アミド中で、吸光度を1から2Absに調整したときの
もの)を図6に示す。一方比較例1としてProjet
Cyan 1(比較例1)の同条件での分光光度計の
吸収カーブを図7に示す。
【0066】図6及び図7を比較すると、実施例1、
4、11の化合物は615nm〜640nmと655n
m〜680nmにふたつの吸収ピークが確認されるが、
比較例1のProjet Cyan 1(比較例1)は
615nm〜640nmの吸収は非常に小さく、655
nm〜680nmに大きな吸収を示している。
【0067】更に、実施例1、4、7で得られた本発明
のシアン色素混合物及びProjet Cyan 1
(比較例1)の高速液体クロマトグラフィーの測定デー
タを図8(実施例1)、図9(実施例4)、図10(実
施例7)、図11(Projet Cyan 1(比較
例1))に示す。
【0068】上記高速液体クロマトグラフィーでの測定
はフォトダイオードアレイ検出器を有するヒューレット
パッカード社製1100シリーズを使用し、溶媒にアセ
トニトリル/燐酸二水素アンモニウム水溶液を用い、グ
ラジェント条件で検出波長200〜900nmにて測定
した。
【0069】実施例1、4、7で得られたものは640
nmから670nmにλmaxを有する成分の面積百分
率の総計が検出波長254nmで全体の20%以下であ
って、590nmから630nmの吸収ピークの吸光度
をAとし、640nmから670nmの吸収ピークの吸
光度をBとしたとき、検出されたすべての成分の吸光度
の和をそれぞれΣA、ΣBで表したとき、ΣB/ΣAの
値が1以下であり、更に実施例1、4はB/Aの値が1
以下のみの成分で構成されている。一方Projet
Cyan 1(比較例1)は640nmから670nm
にλmaxを有する成分の面積百分率の総計が50%以
上であり、ΣB/ΣAの値も1以上である。
【0070】(A)インクの調製 下記表1に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmの
メンブランフィルター(アドバンテック社製)でろ過す
ることによりインクジェット用水性インク組成物を得
た。尚、水はイオン交換水を使用した。又、インク組成
物のpHがpH=7〜10、総量が100部になるよう
に水、水酸化アンモニウムを加えた。
【0071】表1 上記各実施例で得られた色素混合物 0.5−7.0部 (脱塩処理した物を使用) 水+水酸化アンモニウム 74.0−80.5部 グリセリン 5.0部 尿素 5.0部 N−メチル−2−ピロリドン 4.0部 IPA 3.0部 ブチルカルビトール 2.0部 計 100.0部
【0072】比較例のシアンインクは各実施例で得られ
たシアン色素混合物を含有するシアンインク組成物と光
学濃度が合うように調整した。比較例としては、Pro
jet Cyan 1(比較例1、アビシア社製)と
C.I.Direct Blue 86(比較例2、日
本化薬社製)を用いた。またカラー印刷時のイエローイ
ンク、マゼンタインク、ブラックインクはキャノンイン
クジェットプリンターBJ F850用の純正インクを
用いた。
【0073】(B)インクジェットプリント インクジェットプリンタ(商品名 NEC社PICTY
80L)又はインクジェットプリンタ(商品名 キャノ
ン社製BJ F850)を用いて、無機物及び/又はポ
リマーで表面処理された市販の各2種の光沢紙、光沢紙
A(PM写真用紙 KA420PSK(セイコーエプソ
ン社製))光沢紙B(プロフェッショナルフォトペーパ
ー PR−101(キャノン社製))、同じく2種の光
沢フィルム、光沢フィルムA(フォト光沢フィルム H
G−201(キャノン社製))、光沢フィルムB(専用
光沢フィルム MJA4SP6(セイコーエプソン社
製))の計4種の被記録材料にインクジェット記録を行
った。本発明の水性シアンインク組成物及び比較例のシ
アンインク組成物による記録画像は色相、鮮明性、自然
暴露下放置後の色相変化(ΔE)、オゾンガス下放置後
の色相変化(ΔE)について評価を行った。
【0074】(C)記録画像の評価 色相評価 記録画像の色相、鮮明性:記録紙をGRETAG SP
M50(商品名:GRETAG社製)を用いて測色し、
L*、a*、b*値を算出した。色相はJNC(社団法人
日本印刷産業機械工業)のJAPAN Colorの
標準シアンのカラーサンプルと比較した。鮮明性はC*
=((a* )2+(b* )21/2で計算されるC*値で評
価した。 自然暴露下放置後の色相変化(ΔE) 直射日光があたらない風通しの良好な日陰下に4〜9月
の時期に7日間又は10日間印刷サンプルを放置した。
試験終了後上記の測色システムを用いて試験前後の色差
を測定した。またカラー印刷物については目視によって
○(色相の変化が小さい)、△(色相の変化が大きい)
×(色差の変化が非常に大きい)で評価を行った。 オゾンガス下放置後の色相変化(ΔE) オゾンウェザーメーターを用いてオゾン濃度4ppm、
温度40℃で印刷サンプルを5時間放置した。試験終了
後上記の測色システムを用いて試験前後の色差を測定し
た。またカラー印刷物については目視によって○(色相
の変化が小さい)、△(色相の変化が大きい)×(色差
の変化が非常に大きい)で評価を行った。
【0075】まず、実施例1から3で合成されたシアン
色素混合物及び比較例3、4、5で合成された比較用シ
アン色素を前記表1に示されるような組成で、それぞれ
染料濃度3%のインクに調製し、PICTY80Lで印
刷を行ったときの自然暴露下放置試験の試験結果を表
2、3に示す。
【0076】 表2 自然暴露下放置7日間の試験結果(ΔE)(光沢フィルムA) NH4Clの量 クロロスルホン化反応温度 140℃ 130℃ 120℃ 1.65当量 11.00(比較例5) 2.2当量 9.90(比較例3) 9.89(比較例4) 2.75当量 9.04(実施例1) 8.62(実施例3) 3.3当量 8.80(実施例2)
【0077】 表3 自然暴露下放置7日間の試験結果(ΔE)(光沢フィルムB) NH4Clの量 クロロスルホン化反応温度 140℃ 130℃ 120℃ 1.65当量 12.97(比較例5) 2.2当量 10.03(比較例3) 10.31(比較例4) 2.75当量 9.63(実施例1) 9.13(実施例3) 3.3当量 7.47(実施例2)
【0078】表2、3の結果から明らかにアミノ化剤で
ある塩化アンモニウムの量を原料銅フタロシアニン(顔
料)1モルに対して2.5モル以上の割合で反応させ、
スルホンアミド化率を高めた本願発明の色素混合物を使
用した場合、色相の変退色は2種類の被記録材料でΔE
が10以下と少なく、良好な結果が得られる。
【0079】次に実施例1、4〜11で得られた本発明
のシアン色素混合物を用いた本発明のシアンインク組成
物及び比較用インク組成物(比較例)での記録画像につ
いて、前記、、の方法に準じて、色相及び鮮明性
の評価(色相評価)、自然暴露下放置後の色相変化(Δ
E)、オゾンガス下放置後の色相変化(ΔE)を評価又
は測定した結果を表4に示す。尚、インク中の染料濃度
は0.8%で調整し、PICTY80Lで印刷を行っ
た。また、比較例のインク組成物はProjet Cy
an 1(比較例1)を用いて、本発明のインク組成物
と同様に調製して使用した。た。
【0080】 表4 色相 鮮明性 自然暴露 オゾンガス 下放置 下放置 L* a* b* (C*) 判定値(ΔE) 判定値(ΔE) 実施例1 光沢紙A 67.3 -42.8 -41.8 59.8 10.4 8.0 光沢フィルムB 67.3 -41.9 -45.7 62.0 14.5 9.8 実施例4 光沢紙A 66.4 -39.7 -45.7 60.5 6.7 4.9 光沢フィルムB 66.9 -39.6 -47.1 61.5 9.5 7.7 実施例5 光沢紙A 67.7 -39.3 -44.2 59.1 8.6 7.1 光沢フィルムB 68.4 -39.2 -45.2 59.8 10.4 7.4 実施例6 光沢紙A 68.5 -39.9 -41.4 57.5 8.6 7.5 光沢フィルムB 68.7 -39.5 -44.7 59.7 13.2 8.3 実施例7 光沢紙A 68.0 -39.5 -42.1 57.7 8.6 7.1 光沢フィルムB 68.1 -39.7 -45.0 60.0 12.5 8.0 実施例8 光沢紙A 69.3 -39.4 -40.9 56.8 9.1 7.5 光沢フィルムB 68.9 -39.6 -44.3 59.4 14.8 8.8 実施例9 光沢紙A 68.6 -40.4 -41.1 60.4 9.3 8.0 光沢フィルムB 68.2 -40.3 -44.9 60.3 15.4 9.1 実施例10 光沢紙A 69.3 -39.8 -40.7 56.9 8.6 7.0 光沢フィルムB 69.2 -39.8 -44.0 59.3 13.6 8.0 実施例11 光沢紙A 68.0 -39.3 -44.2 59.1 − 3.1 光沢フィルムB 67.5 -39.1 -45.6 60.1 − 5.7 比較例1 光沢紙A 68.4 -44.3 -37.6 58.1 16.8 15.3 光沢フィルムB 68.5 -42.0 -44.1 60.9 22.5 20.0
【0081】表4の結果から本願発明の各実施例の化合
物を用いた場合に、自然暴露下に放置後の変退色性(Δ
E)及びオゾンガス下に放置後の変退色性(ΔE)が少
なく、良好な結果であることがわかる。これは一般的に
インクジェット用シアンインクに用いられているPro
jet Cyan 1(比較例1)と比べてかなり向上
している。また実施例7のものを用いた場合が実施例9
のものを用いた場合と比較して変退色が少なく、良好な
結果であることから中性〜アルカリ性、好ましくはpH
7から11の塩析によって変退色に悪影響を及ぼす化合
物が取り除かれていることがわかる。同様に実施例10
のものを用いた場合と実施例9のものを用いた場合を比
較したとき、メタノールを用いて脱塩を行ったほうが変
退色が小さく、良好な結果である。このことからメタノ
ールのようなアルコール、好ましくは低級アルコール、
例えば炭素数1乃至3のアルコールによっても退色に悪
影響を及ぼす化合物が取り除かれていると考えられる。
それを裏付ける為、実施例7の塩析濾液を、pH2で酸
析し、塩析ろ液中残存していたシアン色素混合物を取り
出し、得られたシアン色素混合物につき、上記オゾンガ
ス下放置試験を行ったところ、光沢紙AでΔEは11.7、
光沢フィルムBでΔEは13.5と実施例7のものに比べて
かなり悪い結果であった。また実施例10の濾液のメタ
ノール水溶液を、pH2で酸析を行シアン色素混合物を
取り出したものは上記オゾンガス下放置試験で光沢紙A
でΔEは14.6、光沢フィルムBでΔEは14.4と実施例1
0のものに比べてかなり悪い結果であった。これらのデ
ータからもpH7から11の塩析及びメタノールを用い
た脱塩によって自然暴露下放置後の変退色性及びオゾン
ガス下に放置後の変退色性を増強する不純物を除去する
ことができることがわかる。
【0082】次に実施例1及び実施例4から実施例11
で得られたシアン色素混合物のN,N−ジメチルホルム
アミド中の分光光度計の吸収カーブ(吸光度を1から2
Absに調整)を測定し、615nmから640nmの
吸収ピークの波長をCとし、655nmから680nm
の吸収ピークの波長をDとしたときD−C(Δλ)を測
定した。表5に示す。
【0083】 表5 D−C(Δλ)値 実施例1 46.5 実施例4 44.4 実施例5 43.8 実施例6 44.9 実施例7 44.2 実施例8 45.2 実施例9 45.1 実施例10 44.9 実施例11 42.2
【0084】表5で得られたΔλとオゾンガス下に放置
後の変退色性(ΔE)の相関性をみるため、該Δλと光
沢フィルムBを用いたときの外変退色性(ΔE)データ
の相関性を図12に示す。
【0085】ΔλとΔEをそれぞれ横軸、縦軸にしたと
ころ、実施例1及び実施例4から実施例11で得られた
シアン色素混合物の化合物はΔλとΔEで比例関係にあ
り、Δλの値が小さなものほどオゾンガス下に放置後の
変退色性が小さいことがわかる。よってオゾンガス下に
放置後の変退色性を小さく、良好なものにするためには
Δλの値が小さいものを使用すればよい。塩化アンモニ
ウム2.75モル当量使用したときのΔλが46.5で
あることから、48以下が目安になる。
【0086】次に実施例1及び4で得られたシアン色素
混合物を用いて、インク中の染料濃度を高濃度シアンイ
ンクは4.0%で調整し、低濃度シアンインクは0.8
%に調整し、得られたインクをインクジェットプリンタ
BJ F850を用いてカラー印刷を行った。このとき
用いたイエローインク、マゼンタインク、ブラックイン
クはBJ F850用の純正品を用いた。こうして得ら
れた印刷物を10日間自然暴露下及びオゾンガス下放置
の試験を行った。自然暴露下の試験結果を表6にオゾン
ガス下の試験結果を表7に示す。本試験では比較例とし
てProjetCyan 1(比較例1)とC.I.D
irect Blue 86(比較例2)を用いた。
【0087】 表6 試験インク 10日間自然暴露下放置の変退色試験 試験後のΔE カラー印刷物 試験後のΔE カラー印刷物 光沢紙A 光沢紙A 光沢紙B 光沢紙B 実施例4 9.9 △〜○ 9.1 △〜○ 実施例1 13.7 △ 16.2 △ 比較例1 22.2 × 28.4 × 比較例2 28.1 × 36.8 ×
【0088】 表7 試験インク オゾンガス下放置の変退色試験 試験後のΔE カラー印刷物 試験後のΔE カラー印刷物 光沢紙A 光沢紙A 光沢紙B 光沢紙B 実施例4 8.1 △〜○ 7.2 △〜○ 実施例1 11.5 △ 10.8 △ 比較例1 17.6 × 16.3 × 比較例2 19.5 × 18.4 ×
【0089】表6及び表7より、本発明のシアンインク
を用いてカラー印刷されたものは現在一般的に使用され
ているシアンインクを用いてカラー印刷されたものと比
較して自然暴露下放置及びオゾンガス下放置の変退色が
非常に少なく、インクジェットプリンタ用に最適なイン
クである。
【0090】以上、自然暴露下放置及びオゾンガス下放
置の何れにおいても、本発明のシアンインクでの印刷物
の変退色が非常に少ないことから、本発明のシアンイン
クは現在使用されているシアンインクと比較して、光沢
紙及び光沢フィルムの印刷により適したシアンインクで
あることがわかる。
【0091】
【発明の効果】本発明のシアンインク組成物に用いたシ
アン化合物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変
化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のイ
ンク組成物をインクジェット記録用のシアンインクとし
て使用した場合、特に光沢紙と呼ばれる無機物及び/又
はポリマーで表面処理された情報伝達シートでの印刷に
おいて、自然暴露下放置及びオゾンガス下放置した場合
でも変退色が少ない優れた結果を示している。そして印
刷面は鮮明で理想に近いシアン色であることから、他の
マゼンタ、イエローのインクと共に用いる事で、広い可
視領域の色調を色出しする事ができる。従って、本発明
のインク組成物はインクジェット記録用のシアンインク
として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例7のpH10の塩析ろ液の吸収カーブで
ある。
【図2】実施例8のpH7の塩析ろ液の吸収カーブであ
る。
【図3】実施例9のpH2の塩析ろ液の吸収カーブであ
る。
【図4】実施例10のメタノールろ液の吸収カーブであ
る。
【図5】実施例4(実線)及びProjet Cyan
1(比較例1、点線)の水中で濃度を0.01g/l
に調整したときの分光光度計の吸収カーブを図5に示
す。
【図6】実施例1,4,11で得られた色素混合物の
N,N−ジメチルホルムアミド中での吸収カーブであ
る。
【図7】比較例1のN,N−ジメチルホルムアミド中で
の吸収カーブである。
【図8】実施例1の色素混合物の高速液体クロマトグラ
フィーの測定データを示す。
【図9】実施例4の色素混合物の高速液体クロマトグラ
フィーの測定データを示す。
【図10】実施例7の色素混合物の高速液体クロマトグ
ラフィーの測定データを示す。
【図11】Projet Cyan 1(比較例1、ア
ビシア社)の色素の高速液体クロマトグラフィーの測定
データを示す。
【図12】Δλとオゾンガス下に放置後の変退色性(Δ
E)のグラフを図12に示す。
【符号の説明】
図1乃至図7において横軸は波長(ナノメータ)を、縦
軸は吸光度をそれぞれ示す。又図8乃至図11において
x軸は波長(ナノメータ)を、y軸はmAU(吸光度/
1000)を、z軸は時間(分)をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 11/00 B41J 3/04 101Y (72)発明者 白崎 康夫 埼玉県さいたま市南中野61−7 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 FC06 2H086 BA15 BA33 BA34 BA35 BA55 BA62 4J039 BA29 BA30 BC06 BC07 BC08 BC33 BC54 BC61 BE12 CA03 CA06 EA16 EA35 EA38 FA02 FA07 GA24

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅フタロシアニンをクロロスルホン化した
    後、アミド化する際に、アミノ化剤を原料銅フタロシア
    ニン1モルに対して2.5モル以上の割合で反応させて
    得られる化合物であり、且つ該化合物が下記式(1) 【化1】 (式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ
    土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはア
    ンモニウムイオンを示す。mは1から4の整数であり、
    nは0から3の整数であり、かつm+nは1から4の整
    数である。)で表される化合物の混合物であることを特
    徴とするシアン色素混合物。
  2. 【請求項2】式(2) 【化2】 (式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ
    土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはア
    ンモニウムイオンを示す。sは2から4の整数であ
    る。)で表される化合物に塩素化剤を反応させ、スルホ
    ン酸基をクロロスルホン化し、次いで、式(2)の化合
    物1モルに対して2.5モル以上の割合のアミノ化剤を
    反応させて得られることを特徴とする式(1)で表され
    るシアン色素混合物。
  3. 【請求項3】下記式(1) 【化3】 (式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ
    土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはア
    ンモニウムイオンを示す。mは1から4の整数であり、
    nは0から3の整数であり、かつm+nは1から4の整
    数である。)で表される化合物であり、且つ水中で濃度
    を0.01g/lに調整したときの分光光度計の吸収カ
    ーブにおいて590nmから630nmの間にλmax
    があり、640nmから670nmの間にはピークを持
    たないシアン色素混合物。
  4. 【請求項4】N,N−ジメチルホルムアミド中で、吸光
    度を1から2Absに調整したときの分光光度計の吸収
    カーブにおいて615nmから640nmの範囲と65
    5nmから680nmの範囲に吸収ピークを有する化合
    物を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載のシアン色素混合物。
  5. 【請求項5】N,N−ジメチルホルムアミド中で、且つ
    吸光度を1から2Absに調整したときの分光光度計の
    吸収カーブにおいて615nmから640nmの吸収ピ
    ークの波長をCとし、655nmから680nmの吸収
    ピークの波長をDとしたときD−Cの値が48nm以下
    の化合物を含有することを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載のシアン色素混合物。
  6. 【請求項6】フォトダイオードアレイ検出器を有する高
    速液体クロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル
    /燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測定において6
    40nmから670nmにλmaxを有する成分の面積
    百分率の総計が検出波長254nmで全体の50%以下
    である請求項1又は請求項2記載のシアン色素混合物。
  7. 【請求項7】フォトダイオードアレイ検出器を有する高
    速液体クロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル
    /燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測定において5
    90nmから630nmの吸収ピークの吸光度をAと
    し、640nmから670nmの吸収ピークの吸光度を
    Bとしたとき、検出されたすべての成分の吸光度の和を
    それぞれΣA、ΣBで表したとき、ΣB/ΣAの値が1
    以下である請求項1又は請求項2記載のシアン色素混合
    物。
  8. 【請求項8】フォトダイオードアレイ検出器を有する高
    速液体クロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル
    /燐酸二水素アンモニウム水溶液)での測定において5
    90nmから630nmの間にある吸収ピークの吸光度
    をAとし、640nmから670nmの間にある吸収ピ
    ークの吸光度をBとしたとき、B/Aの値が1以下のみ
    の成分をもつ化合物で構成された請求項1又は請求項2
    記載のシアン色素混合物。
  9. 【請求項9】請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記
    載のシアン色素混合物を含有することを特徴とする水性
    シアンインク組成物。
  10. 【請求項10】請求項1又は請求項2に記載のシアン色
    素混合物を含む溶液をpH7から11の範囲で塩析を行
    うことにより、分光光度計で640nmから670nm
    の間の吸光度を低下させる請求項1又は請求項2に記載
    のシアン色素混合物の精製方法。
  11. 【請求項11】請求項1又は請求項2に記載のシアン色
    素混合物を、水を含有するメタノール、エタノール又は
    2−プロパノール中に撹拌懸濁させ、次いで濾別するこ
    とを特徴とする分光光度計で640nmから670nm
    の間の吸光度を低下させる請求項1又は請求項2に記載
    のシアン色素混合物の精製方法。
  12. 【請求項12】請求項10乃至請求項11に記載の方法
    で精製された請求項1又は請求項2に記載のシアン色素
    混合物を含有することを特徴とする水性シアンインク組
    成物。
  13. 【請求項13】インクジェット記録用である請求項9又
    は請求項12記載の水性シアンインク組成物。
  14. 【請求項14】請求項9、請求項12又は請求項13に
    記載の水性シアンインク組成物を用いて二種類の濃度で
    インクを調製し、高濃度のインクは2.5から7重量%
    で濃度を調整し、低濃度のインクは0.5から2.5重
    量%で濃度が調整されてなる水性シアンインク組成物セ
    ット。
  15. 【請求項15】インク滴を記録信号に応じて吐出させて
    被記録材に記録を行うインクジェット記録方法におい
    て、インクとして請求項9、請求項12又は請求項13
    のいずれか一項に記載の水性シアンインク組成物を使用
    することを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 【請求項16】被記録材が情報伝達用シートである請求
    項15に記載のインクジェット記録方法。
  17. 【請求項17】被記録材が無機物及び/又はポリマーで
    表面処理された情報伝達用シートである請求項15に記
    載のインクジェット記録方法。
  18. 【請求項18】被記録材が無機物としてシリカ及び/又
    はアルミナ及び/又はセラミックスで表面処理された情
    報伝達用シートである請求項15に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
  19. 【請求項19】被記録材がポリマーとして親水性ポリマ
    ー及び/又はアクリル系ポリマー及び/又はポリウレタ
    ン系ポリマーで表面処理された情報伝達用シートである
    請求項15に記載のインクジェット記録方法。
  20. 【請求項20】被記録材が親水性ポリマーとしてポリビ
    ニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンで表面
    処理された情報伝達用シートである請求項15に記載の
    インクジェット記録方法。
  21. 【請求項21】請求項9、請求項12又は請求項13の
    いずれか一項に記載の水性シアンインク組成物を含有す
    る容器。
  22. 【請求項22】請求項21に記載の容器を有するインク
    ジェットプリンタ。
  23. 【請求項23】下記式(1) 【化4】 (式中、Mはプロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ
    土類金属イオン、有機アミンのオニウムイオンまたはア
    ンモニウムイオンを示す。mは1から4の整数であり、
    nは0から3の整数であり、かつm+nは1から4の整
    数である。)で表される化合物の混合物であり、且つ
    N,N−ジメチルホルムアミド中で、吸光度を1から2
    Absに調整したときの分光光度計の吸収カーブにおい
    て615nmから640nmの範囲と655nmから6
    80nmの範囲に吸収ピークを有し、更に、615nm
    から640nmの吸収ピークの波長をCとし、655n
    mから680nmの吸収ピークの波長をDとしたときD
    −Cの値が48nm以下の化合物を含有することを特徴
    とするシアン色素混合物。
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