JP2002105279A

JP2002105279A - ポリアセタール樹脂組成物

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Publication number: JP2002105279A
Application number: JP2000297886A
Authority: JP
Inventors: Atsushi Saito; 篤斎藤
Original assignee: Nihon University
Current assignee: Nihon University
Priority date: 2000-09-29
Filing date: 2000-09-29
Publication date: 2002-04-10

Abstract

(57)【要約】【課題】満足できる程度に低摩擦で摩耗の少ないポリ
アセタール樹脂組成物を得ること。【解決手段】高密度ポリエチレン樹脂２０〜４５重量
％とポリアセタール樹脂５５〜８０重量％とを含有する
低摩擦で摩耗の少ないポリアセタール樹脂組成物及びさ
らに青銅粉を含有する低摩擦で摩耗の少ないポリアセタ
ール樹脂組成物。【効果】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、低摩
擦で摩耗が少なく、つまりトライポロジー特性が良く
て、摺動部材用に適している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＯＡ機器やＡＶ機
器の摺動部材である軸受や歯車に使用される、ポリエチ
レン樹脂とポリアセタール樹脂とを含有する低摩擦で摩
耗の少ない樹脂組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＯＡ機器やＡＶ機器の摺動部材である軸
受や歯車としては、自己潤滑性があり低摩擦で摩耗の少
ない、いいかえるとトライポロジー特性の良い樹脂組成
物の使用が提案されている。例えば特開平７−３１１８
号公報には、密度が０．９３ｇ／ｃｍ³以下のポリオレ
フィン樹脂を１５重量％以下含有するポリアセタール樹
脂組成物が摩擦摩耗特性に優れた摺動部品として記載さ
れている。そして、ポリオレフィン樹脂は０．５〜１０
重量％が好ましく、１５重量％以上用いるとポリアセタ
ール樹脂の本来の優れた物理的特性が低下し、かつ加工
性も悪くなると記載されている。しかし本発明者の検討
によると、密度が０．９３ｇ／ｃｍ³以下のポリオレフ
ィン樹脂を１５重量％以下含有するポリアセタール樹脂
組成物の摩擦摩耗特性は摺動部品として決して満足なも
のとはいえない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、満足でき
る程度に低摩擦で摩耗の少ないポリアセタール樹脂組成
物を得るべく、高密度ポリエチレン樹脂をポリアセター
ル樹脂に配合して樹脂種や配合割合による特性の違いを
調べた。つまり本発明の課題は、満足できる程度に低摩
擦で摩耗の少ないポリアセタール樹脂組成物を得ること
である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者の研究の結果、
高密度ポリエチレン樹脂をポリアセタール樹脂に特定の
割合で配合すると、満足できる程度に低摩擦で摩耗の少
ないポリアセタール樹脂組成物が得られることがわかっ
た。ポリアセタール樹脂と高密度ポリエチレン樹脂とは
非相溶性であって、ポリアセタール樹脂に高密度ポリエ
チレン樹脂を配合すると、ポリアセタール樹脂が連続相
で高密度ポリエチレン樹脂が分散相に相当する海島構造
を示す。そして、この高密度ポリエチレン樹脂の分散粒
子が摩擦面で主に荷重を支持して、トライポロジー特性
の向上に大きく寄与している。

【０００５】高密度ポリエチレン樹脂とポリアセタール
樹脂との配合割合は、高密度ポリエチレン樹脂２０〜４
５重量％に対してポリアセタール樹脂５５〜８０重量％
であるが、好ましくは、高密度ポリエチレン樹脂２５〜
４０重量％に対してポリアセタール樹脂６０〜７５重量
％である。よって本発明においては、高密度ポリエチレ
ン樹脂２０〜４５重量％とポリアセタール樹脂５５〜８
０重量％とを配合することにより課題が解決される。

【０００６】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、安
定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、潤滑剤等の各種添
加剤や、繊維状や粒状の充填材や補強材等を含有してい
てもよい。特に、充填材として青銅粉を配合したもの
は、優れた効果を奏することがわかった。そして青銅粉
は、アミノシランカップリング剤で表面処理を施したも
のが特に好ましい。つまり青銅粉を含有する、高密度ポ
リエチレン樹脂２０〜４５重量％とポリアセタール樹脂
５５〜８０重量％とを含有する低摩擦で摩耗の少ないポ
リアセタール樹脂組成物、さらに好ましくは高密度ポリ
エチレン樹脂２５〜４０重量％とポリアセタール樹脂６
０〜７５重量％とを含有する低摩擦で摩耗の少ないポリ
アセタール樹脂組成物が好適である。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を示すが、使用した樹脂は下記
のとおりである。ポリアセタール樹脂：ポリプラスチ
ックス社製ＤｕｒａｃｏｎＭ９０高密度ポリエチレ
ン樹脂：日本ポリオレフィン社製Ｊ−Ｒｅｘ−Ｈ
Ｄ，ＳＳ５００３Ｂ

【０００８】実施例１ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）、高密度ポリエチレン樹
脂（ＨＤＰＥ）及び高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰ
Ｅ）３１．３重量％とポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）６
８．７重量％とを含有する樹脂組成物の試料をそれぞ
れ、押出成形機（ユニオンプラスチックス社製、ＵＳＶ
２５−２０）で円筒状に成形した後、旋盤で外径２５ｍ
ｍ、内径１９ｍｍ、高さ３０ｍｍの形状に機械加工し
た。試料の摩擦面は、実験直前にスライダに取りつけた
１２００番のエメリーペーパで最終仕上げをした。摩擦
摩耗実験は、円筒試料の端面をスライダ（相手材）で摩
擦する装置を用いた。試料はテーブル上のスラストとト
ルクを検出する動力計に固定し、スライダは回転する主
軸に取り付ける。スライダの材質は、機械構造用炭素鋼
（Ｓ４５Ｃ）で、直径４０ｍｍ、高さ１４ｍｍの円板状
に機械加工した。また、スライダの摩擦面は、１２００
番のエメリーペーパーで最終的に仕上げた後、エチルア
ルコールで清浄にした。実験条件は、すべり距離
（Ｌ）：０．１〜４ｘ１０³ｍ、接触圧力（ｐ）：０．
１ＭＰａ、すべり速度（ｖ）：０．２４〜２．４５ｍ／
ｓの範囲とした。実験はすべて、温度２３＝±１℃、湿
度５０±２％の条件の下に無潤滑状態で行った。結果を
図１に示す。図１からわかるように、ポリアセタール樹
脂（ＰＯＭ）の摩耗率（Ｗｅａｒｒａｔｅｏｆｓｐ
ｅｃｉｍｅｎ）はすべり速度（Ｓｌｉｄｉｎｇｖｅｌ
ｏｃｉｔｙ）の増加とともに増え、すべり速度が０．６
ｍ／ｓ付近で急増し、高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰ
Ｅ）の摩耗率は、すべり速度が０．６ｍ／ｓ付近で極大
となりすべり速度が１．０ｍ／ｓ付近で極小となりすべ
り速度が１．５ｍ／ｓ付近から急増するが、高密度ポリ
エチレン樹脂（ＨＤＰＥ）３１．３重量％とポリアセタ
ール樹脂（ＰＯＭ）６８．７重量％とを含有する樹脂組
成物の摩耗率は、すべり速度０．２４〜２．４５ｍ／ｓ
の範囲では微増に留まり低い値を維持する。なお摩擦係
数については、ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）の摩擦係
数は約０．３で、高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）
の摩擦係数は約０．２６のところ、ポリアセタール樹脂
（ＰＯＭ）６８．７重量％に高密度ポリエチレン樹脂
（ＨＤＰＥ）３１．３重量％を配合すると摩擦係数は約
０．２５で、いずれよりも小さくなる。

【０００９】実施例２高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）２５．０重量％、
ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）５５．０重量％及び青銅
粉（未処理のもの及びアミノシランカップリング剤で表
面処理を施したもの）２０．０重量％を含有する樹脂組
成物の試料について、実施例１と同様に行った。結果を
図２に示す。図２からわかるように、ポリアセタール樹
脂（ＰＯＭ）の摩耗率（Ｗｅａｒｒａｔｅｏｆｓｐ
ｅｃｉｍｅｎ）はすべり速度（Ｓｌｉｄｉｎｇｖｅｌ
ｏｃｉｔｙ）の増加とともに増え、すべり速度が０．６
ｍ／ｓ付近で急増し、高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰ
Ｅ）３１．３重量％とポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）６
８．７重量％とを含有する樹脂組成物の摩耗率は、すべ
り速度０．２４〜２．４５ｍ／ｓの範囲では微増に留ま
る程度であるが、高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）
２５．０重量％とポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）５５．
０重量％と青銅粉（未処理のもの及びアミノシランカッ
プリング剤で表面処理を施したもの）２０．０重量％と
を含有する樹脂組成物の摩耗率は前記のものに比べて著
しく低い値を示す。なお摩擦係数については、ポリアセ
タール樹脂（ＰＯＭ）の摩擦係数や高密度ポリエチレン
樹脂（ＨＤＰＥ）の摩擦係数のいずれよりも小さくな
る。実施例１及び実施例２において、高密度ポリエチレ
ン（ＨＤＰＥ）や青銅粉の配合により摩擦係数が低くな
るのは、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）や青銅粉が荷
重を支え、摩擦面での真実接触面積が減少し、高密度ポ
リエチレン（ＨＤＰＥ）や青銅粉にかかる荷重が大きく
なって、摩擦面の温度が上昇し、その面での樹脂膜の粘
度が減少した結果であるとみられる。

【００１０】比較例１高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）６．３重量％とポ
リアセタール樹脂（ＰＯＭ）９３．７重量％とを含有す
る樹脂組成物の試料について、実施例１と同様に行っ
た。その結果、高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）
６．３重量％とポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）９３．７
重量％とを含有する樹脂組成物の摩耗率は、その程度の
高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰＥ）の配合によって
は、十分な効果が奏されないことがわかった。

【００１１】

【発明の効果】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、
低摩擦で摩耗が小さく、つまりトライポロジー特性が良
くて、摺動部材用に適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）、高密度ポリエ
チレン樹脂（ＨＤＰＥ）及びポリアセタール樹脂（ＰＯ
Ｍ）６８．７重量％と高密度ポリエチレン樹脂（ＨＤＰ
Ｅ）３１．３重量％とを含有する樹脂組成物のすべり速
度（Ｓｌｉｄｉｎｇｖｅｌｏｃｉｔｙ）と摩耗率（Ｗ
ｅａｒｒａｔｅｏｆｓｐｅｃｉｍｅｎ）との関係
図である。

【図２】ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）、ポリアセター
ル樹脂（ＰＯＭ）６８．７重量％と高密度ポリエチレン
樹脂（ＨＤＰＥ）３１．３重量％とを含有する樹脂組成
物及び高密度ポリエチレン樹脂２５．０重量％とポリア
セタール樹脂５５．０重量％と青銅粉（未処理のもの及
びアミノシランカップリング剤で表面処理を施したも
の）２０．０重量％とを含有する樹脂組成物のすべり速
度（Ｓｌｉｄｉｎｇｖｅｌｏｃｉｔｙ）と摩耗率（Ｗｅ
ａｒｒａｔｅｏｆｓｐｅｃｉｍｅｎ）との関係図
である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考） //(Ｃ０８Ｌ 59/00 (Ｃ０８Ｌ 59/00 23:06） 23:06）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】高密度ポリエチレン樹脂２０〜４５重量
％とポリアセタール樹脂５５〜８０重量％とを含有する
低摩擦で摩耗の少ないポリアセタール樹脂組成物。
【請求項２】高密度ポリエチレン樹脂２５〜４０重量
％とポリアセタール樹脂６０〜７５重量％とを含有する
請求項１に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項３】さらに青銅粉を含有する、請求項１又は
２に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項４】青銅粉がアミノシランカップリング剤で
表面処理を施したものである、請求項３に記載のポリア
セタール樹脂組成物。
【請求項５】摺動部材用である請求項１〜４のいずれ
か１項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
【請求項６】摺動部材が軸受又は歯車である請求項５
に記載のポリアセタール樹脂組成物。