JP2002103505A - クーリング性被膜積層構造 - Google Patents

クーリング性被膜積層構造

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JP2002103505A JP2000293585A JP2000293585A JP2002103505A JP 2002103505 A JP2002103505 A JP 2002103505A JP 2000293585 A JP2000293585 A JP 2000293585A JP 2000293585 A JP2000293585 A JP 2000293585A JP 2002103505 A JP2002103505 A JP 2002103505A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特別な設備を必要とせず、人工的な水の供給や
散水が不要で、簡便にクーリング効果が得られる被膜を
提供する。 【解決手段】水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有す
る吸放湿層の上に、赤外線反射率が20%以上であり、
水蒸気透過性を有する透湿層を積層する。吸放湿層とし
ては、(a)温度20±2℃、相対湿度45±5%にお
ける吸湿率10%以上である吸放湿性高分子バインダ
ー、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多
孔質粉体を含有することが望ましい。透湿層としては、
赤外線反射率が20%以上で、JIS Z 0208 による透湿
度で40g/m ・24H以上の被膜であることが望
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクーリング性を必要
とする部位、主として土木構造物や建築物の屋根や屋
上、外壁の表面に適用することで、太陽光照射時等の表
面温度上昇時、特に夏期の日中においてもクーリング効
果を発揮することができる被膜積層構造に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】近年、都市部において、コンクリート建造
物や冷房等から排出される人工放出熱などにより、都市
気候が作り出されている。特に夏期において都市部にお
ける温度の上昇は著しく、そのため建物内の冷房使用が
頻繁になり、消費電力エネルギーが増加してしまう。こ
のような日射による蓄熱、室内温度の上昇を抑制する方
法の一つとして、水の蒸発潜熱を利用した方法が考案さ
れている。例えば、日射によって温度の上昇を生じた屋
上や屋根に散水したり、さらにこれを持続させるために
予めこれらの表面に吸水性物質等の保水体を被覆してお
いたりするものである。このような表面の冷却方法で
は、人工的に保水体へ給水を行うために新たに設備が必
要となるため、コストの面で大きな負担となり、また、
屋上や屋根の構造も変えるという煩雑性を伴なう問題が
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
点に鑑みなされたもので、特別な設備を必要とせず、人
工的な水の供給や散水が不要であり、簡便にクーリング
効果が得られ、さらに、そのクーリング性が長期に持続
するような積層被膜を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ため、本発明者らは鋭意、検討を行ない、特定の吸放湿
層の上に、特定の透湿層を積層することを見出した。す
なわち、本発明は以下の特徴を有するものである。 1.水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有する吸放湿
層の上に、赤外線反射率が20%以上であり、水蒸気透
過性を有する透湿層を積層することを特徴とするクーリ
ング性被膜積層構造。 2.吸放湿層が、(a)温度20±2℃、相対湿度45
±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性高分子
バインダー、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性
を示す多孔質粉体を含有し、(a)の固形分100重量
部に対し、(b)10〜80重量部であり、透湿層の赤
外線反射率が20%以上で、JISZ 0208 による透湿度で
40g/m ・24H以上の被膜であることを特徴と
する1.に記載のクーリング性被膜積層構造。 3.吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−2)温度
20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%
以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水蒸気吸脱
着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体を含有し、
(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−2)2
〜40重量部、(b)10〜80重量部であり、透湿層
の赤外線反射率が20%以上で、JISZ 0208 による透湿
度で40g/m ・24H以上の被膜であることを特
徴とする1.に記載のクーリング性被膜積層構造。 4.(a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エマルショ
ン、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であ
り、さらに(a−1)および(a−2)と反応可能な官
能基を有する(c)架橋剤を含有することを特徴とする
3.に記載のクーリング性被膜積層構造。 5.(b)が比表面積100m2/g以上の多孔質粉体
であることを特徴とする2.から4.の何れかに記載の
クーリング性被膜積層構造。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに詳細に説明する。本発明は、水蒸気吸脱着性がヒ
ステリシス特性を有する吸放湿層の上に、赤外線反射率
が20%以上であり、水蒸気透過性を有する透湿層を積
層することを特徴とするクーリング性被膜積層構造に関
するものであり、大気中の水蒸気を自律的に吸湿し、太
陽光による熱によってその水分が気化し、太陽光による
熱量を水の蒸発潜熱に置換することで冷却効果(以下、
「クーリング効果」という。)が発揮され、さらに、そ
の表層部に赤外線反射性を有する被膜を積層させること
で、下層部を保護し、また、熱線による蓄熱も防止し、
夏期の冷房使用による消費電力エネルギーの節約を図る
ことができる。
【0006】[吸放湿層]本発明の吸放湿層は、水蒸気
吸脱着性がヒステリシス特性を有するものであれば特に
限定されるものではないが、一例としての好ましい態様
は、吸放湿層が、(a)温度20±2℃、相対湿度45
±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性高分子
バインダー(以下「(a)成分」という。)、(b)水
蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体(以
下「(b)成分という。」を含有し、(a)成分の固形
分100重量部に対し、(b)成分10〜80重量部の
場合である。また、(a)成分が、(a−1)合成樹脂
(以下「(a−1)成分」という。)と、(a−2)温
度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10
%以上である吸放湿性高分子(以下「(a−2)成分と
いう。」)を複合させたものでもよい。特に、(a−
1)成分が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、
(a−2)成分が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であ
り、さらに(a−1)成分および(a−2)成分と反応
可能な官能基を有する(c)架橋剤(以下「(c)成
分」という。)を含有する場合には、吸放湿層内に架橋
構造を導入することになり、より吸放湿性の向上が得ら
れる。尚、(a−1)成分および(a−2)成分を複合
させる場合には、(a−1)成分の固形分を100重量
部に対して、(a−2)成分を2〜40重量部、(b)
成分を10〜80重量部とすることが好ましい。
【0007】ここで水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性
とは、図1に示すように、相対湿度を横軸に、水蒸気吸
脱着量を縦軸に取った場合の吸脱着等温線で、吸着等温
線より脱着等温線が上側になることを意味するものであ
る。このようなヒステリシス特性により、大気中の水蒸
気を吸着した吸放湿層が、温度の上昇とともに水蒸気を
脱着し、その際に蒸発潜熱を奪うため、被膜の温度上昇
を押さえることができるというものである。さらに、こ
のヒステリシス特性によって、夜間等の温度の低い状態
において、大気中の水蒸気を吸着し、温度が高い昼の間
は脱着による温度上昇抑制効果が持続するものである。
【0008】次に、本発明の好ましい態様の一例におい
て、吸放湿層の(a)成分としては、特に限定されるも
のではなく、温度20±2℃、相対湿度45±5%にお
ける吸湿率10%以上のものであれば天然、合成を問わ
ず高分子が使用できる。
【0009】なお、温度20±2℃、相対湿度45±5
%における吸湿率とは、試料を120℃にて1時間乾燥
した後、温度20±2℃、相対湿度45±5%の恒温恒
湿器にて24時間吸湿させたときの重量変化より求めら
れる値である。
【0010】一方、(a)成分として、(a−1)成分
と(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)成
分として、エチレン系、酢酸ビニル系、アルキッド系、
塩化ビニル系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、
フッ素系等、あるいはこれらの複合系等の水系、溶剤系
の何れの樹脂も使用することができる。特に、アクリル
系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系から選ばれる1
種または2種以上の樹脂を用いると耐候性を高めること
ができ好ましい。
【0011】また、(a−1)成分として、反応性官能
基含有合成樹脂エマルションを使用するときは、後述す
る吸放湿性高分子とともに架橋剤を配合することで、架
橋構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上する
ためより好ましい。反応性官能基としては、後述の架橋
剤の官能基と反応可能であるものが使用できる。このよ
うな官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ
ル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド
基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とア
ジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基
とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エ
ポキシ基とアミノ基、等があげられる。
【0012】本発明では(a−1)成分の反応性官能基
として、特に、カルボキシル基が好適に用いられる。カ
ルボキシル基含有合成樹脂エマルションは、カルボキシ
ル基を有する単量体(以下「(i)成分」という)を共
重合することにより得られる。(i)成分としては、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、イタコン酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カ
ルボン酸等、及びこれらのアンモニウム塩、有機アミン
塩、アルカリ金属塩等があげられる。これらは単独で、
または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】次に、本発明の好ましい態様の一例におい
て、(a−2)成分は、多量な水蒸気吸脱着量と速い水
蒸気吸着速度を保持するためのものである。(a−2)
成分は温度20±2℃、湿度45±5%における吸湿率
10%以上のものであり、本発明組成物に吸放湿性能を
付与する成分である。より好ましくは反応性官能基含有
合成樹脂微粒子であり、前述の反応性官能基含有合成樹
脂エマルションとともに架橋剤を配合することで、架橋
構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上する。
このような反応性官能基としては、前述の反応性官能基
含有合成樹脂エマルションと同様に種々のものが使用可
能であるが、本発明では特に、カルボキシル基が好適に
用いられる。また、この(a−2)成分の混合量は、
(a−1)成分の固形分100重量部に対して2〜40
重量部が好ましい。この混合量が2重量部未満では吸放
湿率が低下し、また単位時間における吸湿率が低下して
しまうため好ましくない。40重量部を越えると塗膜に
クラックが生じやすくなるため好ましくない。
【0014】(a−2)成分にカルボキシル基を導入す
る方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボ
キシル基を有する単量体の単独重合あるいは共重合可能
な他の単量体との共重合による方法、(メタ)アクリロ
ニトリル等のシアノ基含有単量体を共重合した重合体に
加水分解処理を施す方法、アルケン、ハロゲン化アルキ
ル、アルコール、アルデヒド等の酸化による方法、等が
あげられる。吸放湿性合成樹脂微粒子のカルボキシル基
含有量は、1mmol/g以上であることが望ましい
【0015】次に、本発明の好ましい態様の一例におい
て、(b)成分は、より水蒸気吸脱着量を増加させると
ともに、ゆっくりとした水蒸気脱着速度を有するため、
水の蒸発潜熱による温度上昇抑制効果を長時間保持する
ためのものである。このような水蒸気吸脱着性がヒステ
リシス特性を示す粉体は、特に限定されるものではない
が、その比表面積が100m2/g以上の多孔質粉体が
好ましい。具体的には、シリカゲル、ゼオライト、硫酸
ナトリウム、アルミナ、活性炭、アロフェン等の粘土鉱
物の多孔質粉体を使用することができる。このうち特
に、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アロフェンが好
ましく、さらに好ましくはシリカゲルが用いられる。な
お、比表面積は、BET法により求めた。
【0016】(b)成分は、特に相対湿度が40〜80
%の領域において水蒸気吸着量と水蒸気脱着量の差が大
きいものほど好ましい。また、(b)成分の混合量は
(a)成分の固形分100重量部に対して、10〜80
重量部が好ましい。また、(a−1)成分と、(a−
2)成分を複合させる場合には、(a−1)の固形分を
100重量部に対して、(a−2)を2〜40重量部、
(b)を10〜80重量部とすることが好ましい。
(b)成分の混合量が10重量部未満では吸放湿量の低
下が生じ、ヒステリシス特性が失われることになる。8
0重量部を越えると塗膜にクラックが生じやすくなるた
め好ましくない。
【0017】本発明の(a−1)成分として反応性官能
基含有合成樹脂エマルションを、(a−2)成分として
反応性官能基含有合成樹脂微粒子を使用する場合には、
(a−1)成分及び(a−2)成分の反応性官能基と反
応可能な官能基を有する(c)成分を使用する。本発明
組成物においては、(c)成分が含まれることにより、
塗膜の強度や密着性が向上し、さらには優れた吸放湿性
を発揮することができる。(c)成分は、これらの官能
基を一分子中に二個以上含むことが望ましい。また、
(c)成分の形態としては、エマルションタイプ、水溶
性タイプのいずれでもよい。(c)成分の官能基として
は、(a−1)成分及び(a−2)成分と反応可能なも
のである限り限定されないが、本発明では特に、カルボ
キシル基と反応可能な官能基であるカルボジイミド基、
エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等が好適に
用いられる。
【0018】(c)成分の具体例としては、例えば、カ
ルボジイミド基を含む架橋剤として、特開平10−60
272号公報、特開平10−316930号公報、特開
平11−60667号公報等に記載のもの等、エポキシ
基を含む架橋剤として、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジ
ルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、
ソルビトールポリグリシジルエーテル等、アジリジン基
を含む架橋剤として、2,2−ビスヒドロキシメチルブ
タノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオ
ネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、
ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチ
レンウレア等、オキサゾリン基を含む架橋剤として、2
−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル
−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オ
キサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等
の重合性オキサゾリン化合物を該化合物と共重合可能な
単量体と共重合した樹脂等、があげられる。吸放湿層に
おいては、上記成分の他、通常塗料に配合する各種の添
加剤、例えば、顔料、骨材、増粘剤、可塑剤、防腐剤、
防黴剤、防藻剤、造膜助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、
分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を本発明の効果を
損なわない程度に適宜配合してもよい。また、本発明の
吸放湿層は、本発明の効果を損なわなければ、硬質であ
っても、弾性であっても特に限定はされない。
【0019】[透湿層]本発明の透湿層は透湿性を示す
ものである。透湿性については、JISZ 0208 による透湿
度で40g/m ・24H以上の被膜を形成すること
が望ましい。このような透湿層は各種の合成樹脂、顔
料、充填材、添加剤を等の種類や量を適宜調整してえる
ことができる。このような透湿層を形成することによ
り、吸放湿層が外気や太陽光線に直接触れることがなく
なる結果、吸放湿層の被膜劣化を抑制し、吸放湿効果が
長期にわたって持続可能となる。(p)合成樹脂として
はエチレン系、酢酸ビニル系、アルキッド系、塩化ビニ
ル系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系
等、あるいはこれらの複合系等の水系、溶剤系の何れの
樹脂も使用することができる。特に、アクリル系、ウレ
タン系、シリコン系、フッ素系から選ばれる1種または
2種以上の樹脂を用いると特に耐候性を高めることがで
き好ましい。ここで透湿度が40g/m・24H未満
の場合には、吸放湿層の自律的な吸放湿作用が阻害され
る結果、クーリング効果の作用は発揮されるが、夏期の
日照時においてその効果を長時間保持できない場合があ
る。
【0020】他方、本発明の透湿層では赤外線反射率が
20%以上、さらに好ましくは50%以上である。この
ような反射性を有することにより、太陽光による蓄熱を
十分に抑制することができ、クーリング機能を長時間維
持することができる。なお、本発明における赤外線反射
率は波長1μmの光に対する分光反射率を測定すること
により得られる値である。
【0021】このような作用を発揮させる方法として、
赤外線反射性の粉粒体を混入する方法があり、このよう
な赤外線反射性粉粒体としては、アルミニウムフレー
ク、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、酸化亜
鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、無機系中空ビーズ、
有機系中空ビーズ等があげられる。このような粉粒体
は、通常、(p)成分の樹脂固形分100重量部に対
し、10〜300重量部配合される。赤外線反射性粉粒
体が10重量部より少ない場合は、太陽光に対し十分な
赤外線反射性が得られず、温度上昇をまねいてしまう。
300重量部より多い場合は、透湿層にクラックが生じ
やすくなり、赤外線反射性低下のおそれがある。
【0022】透湿層を形成する組成物には、上記成分の
他、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、顔料、
骨材、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、造膜
助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない程度に適
宜配合してもよい。また、本発明の透湿層は、本発明の
効果を損なわなければ、硬質であっても、弾性であって
も特に限定はされない。
【0023】[積層方法]本発明の吸放湿層及び透湿層
は、前述した各構成成分を混合した組成物を、クーリン
グ性を必要とする基材表面に積層塗付しても良いし、予
めシート状に成形したものを貼り付けても良い。前述の
塗付する場合はハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装
により塗付することができる。本発明の吸放湿層及び透
湿層はは、クーリング効果を必要とする部位である、土
木構造物や建築物の屋根、屋上、外壁の表面に適用でき
る。より具体的には、前記部位に使用されている、金
属、コンクリート、スレート板、サイディングボード、
押出成形板、等の各種ボード類、磁器タイル、プラスチ
ック等の各種基材に対し、直接適用することもでき、何
らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー
等による下地処理等)を施した上に適用することも可能
であるが、特に限定されるものではない。この際、適用
される吸放湿層及び、透湿層の膜厚は特に限定はされな
いが、吸放湿層は0.1mm以上が好ましく、さらに好
ましくは0.5mm以上であり、透湿層は0.1mm以
下が好ましく、さらに好ましくは0.05mm以下であ
る。
【0024】
【実施例】(配合例1〜4)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にて吸放湿性塗料を作製した。作
製した塗料を厚さ0.8mmのアルミニウム板上に各塗
料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被
膜を形成した。後述の方法により、水蒸気吸脱着性を測
定し、その結果を図2に示す。これより、配合例1〜3
はヒステリシス特性を有し、高い水蒸気吸脱着性を示す
ことが明らかである。 (配合例5)表1に示した原料を使用して、表2に示し
た配合にて塗料を作製した。この塗料によって得られる
乾燥膜(膜厚30μm)の透湿度は78g/m2・24
H、赤外線反射率は90%であった。 (配合例6)表1に示した原料を使用して、表2に示し
た配合にて塗料を作製した。この塗料によって得られる
乾燥膜(膜厚30μm)の透湿度は84g/m2・24
H、赤外線反射率は5%であった。
【0025】(実施例1)厚さ0.8mmのアルミニウ
ム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例1の吸放湿
性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥
し被膜を形成した。さらにその表面に赤外反射率が90
%である配合例5の塗料を乾燥膜厚30μmになるよう
に積層した。作製した試験体について、下記の試験方法
に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったとこ
ろ、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なよう
に、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示すことが
認められた。
【0026】(実施例2)厚さ0.8mmのアルミニウ
ム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例2の吸放湿
性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥
し被膜を形成した。さらにその表面に赤外線反射率が9
0%である配合例5の塗料を乾燥膜厚30μmになるよ
うに積層した。作製した試験体について、下記の試験方
法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったと
ころ、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なよ
うに、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示すこと
が認められた。
【0027】(実施例3)厚さ0.8mmのアルミニウ
ム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例3の吸放湿
性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥
し塗膜を形成した。さらにその表面に赤外線反射率が9
0%である配合例5の塗料を乾燥膜厚30μmになるよ
うに積層した。作製した試験体について、下記の試験方
法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったと
ころ、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なよ
うに、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示すこと
が認められた。
【0028】(比較例1)厚さ0.8mmのアルミニウ
ム板上に水蒸気吸脱着性においてヒステリシス特性を示
さない配合例4の吸放湿性塗料を乾燥膜厚が500μm
となるように塗付、乾燥し塗膜を形成した。さらにその
表面に赤外線反射率が90%である配合例5の塗料を乾
燥膜厚30μmになるように積層した。作製した試験体
について、下記の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、およ
び遮熱性試験を行ったところ、図3、図4に示す結果を
得た。結果より明白なように、水蒸気吸脱着性は低く、
試験体の裏面温度の上昇も抑制することが困難であるこ
とが認められた。
【0029】(比較例2)厚さ0.8mmのアルミニウ
ム板上に水蒸気吸脱着性において高い水蒸気吸放湿性を
有する配合例1の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるよ
うに塗付、乾燥し塗膜を形成した。さらにその表面に赤
外線反射率が5%である配合例6の塗料を乾燥膜厚30
μmになるように積層した。作製した試験体について、
下記の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試
験を行ったところ、図2、図3に示す結果を得た。結果
より明白なように、水蒸気吸脱着性は高いが、試験体の
裏面温度の上昇を抑制することが困難であることが認め
られた。
【0030】(試験結果)本発明におけるクーリング性
被膜積層構造の水蒸気吸脱着性および遮熱性は粉体の水
蒸気吸脱着性により差が認められ、また、透湿層の赤外
線反射率が20%以上の被膜を積層させることで、遮熱
性の向上も確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】(水蒸気吸脱着性試験方法)水蒸気の吸脱
着性は恒温恒湿器を用いて温度20℃、湿度30%の槽
内に各試験体の重量が平衡になるまで放置し、吸着量を
測定した。次に温度20℃、湿度40%で同様の操作を
行い、順次湿度を10%ずつ上げながら90%までの吸
着量を求めた。その後、同温度下で湿度を10%ずつ下
げながら脱着量を求めた。
【0034】(遮熱性試験方法)遮熱性試験は250W
の赤外線ランプを用いて、赤外線を試験体表面に360
分間照射し、その裏面温度を測定した。この時、各試験
体は温度20℃、相対湿度90%にて吸湿させ、その吸
湿量が平衡に達した試験体を使用した。
【0035】
【発明の効果】本発明の積層構造を建築物の屋根や屋上
等に適用すると、夏期における太陽光の熱線による屋根
や屋上等の蓄熱を防止し、建築物内部の温度上昇を抑制
することができる。従って、本発明積層構造は夏期の冷
房使用頻度を減少させ、電力消費を節約することが可能
となる。また、本発明積層構造は既存の屋根等の表面に
適用するため屋根構造を大きく変える必要がなく、比較
的容易に施工することができ、改修工事を兼ねる事もで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性を示すグラ
【図2】吸放湿層の水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラ
【図3】積層被膜の水蒸気吸脱着試験結果を示すグラフ
【図4】積層被膜の遮熱性試験結果を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/74 E04B 1/74 T Fターム(参考) 2E001 DB03 DB04 DD01 DD04 FA04 FA16 FA18 GA06 GA12 GA42 HA02 HA04 HA14 HB01 HB04 HD11 HF04 HF05 JD02 MA01 4D075 CA42 DC01 DC05 4F100 AA20 AA20H AB10 AK01A AK12 AK12J AK25 AK25J AK27 AK27J AK51 AK53H AL01 AR00A AR00B BA02 CA02A CC00 DE01A DJ00A GB07 JD04B JD15A JL00A JM01A JM02A JM02B JN30B

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有す
    る吸放湿層の上に、赤外線反射率が20%以上であり、
    水蒸気透過性を有する透湿層を積層することを特徴とす
    るクーリング性被膜積層構造。
  2. 【請求項2】吸放湿層が、(a)温度20±2℃、相対
    湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿
    性高分子バインダー、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリ
    シス特性を示す多孔質粉体を含有し、(a)の固形分1
    00重量部に対し、(b)10〜80重量部であり、透
    湿層が、赤外線反射率が20%以上で、JISZ 0208 によ
    る透湿度で40g/m ・24H以上の被膜であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のクーリング性被膜積層
    構造。
  3. 【請求項3】吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−
    2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿
    率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水
    蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体を含
    有し、(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−
    2)2〜40重量部、(b)10〜80重量部であり、
    透湿層が赤外線反射率が20%以上で、JISZ 0208 によ
    る透湿度で40g/m ・24H以上の被膜であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のクーリング性被膜積層
    構造。
  4. 【請求項4】(a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エ
    マルション、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微
    粒子であり、さらに(a−1)および(a−2)と反応
    可能な官能基を有する(c)架橋剤を含有することを特
    徴とする請求項3に記載のクーリング性被膜積層構造。
  5. 【請求項5】(b)が比表面積100m2/g以上の多
    孔質粉体であることを特徴とする請求項2から請求項4
    の何れかに記載のクーリング性被膜積層構造。
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