JP4450498B2 - 低汚染型クーリング性被膜構造 - Google Patents

低汚染型クーリング性被膜構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクーリング性を必要とする部位、主として土木構造物や建築物の屋根や屋上、外壁の表面に適用することで、太陽光照射時等の表面温度上昇時、特に夏期の日中においてもクーリング効果を発揮することができる被膜構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、都市部において、コンクリート建造物や冷房等から排出される人工放出熱などにより、都市気候が作り出されている。特に夏期において都市部における温度の上昇は著しく、そのため建物内の冷房使用が頻繁になり、消費電力エネルギーが増加してしまう。このような日射による蓄熱、室内温度の上昇を抑制する方法の一つとして、水の蒸発潜熱を利用した方法が考案されている。例えば、日射によって温度の上昇を生じた屋上や屋根に散水したり、さらにこれを持続させるために予めこれらの表面に吸水性物質等の保水体を被覆しておいたりするものである。このような表面の冷却方法では、人工的に保水体へ給水を行うために新たに設備が必要となるため、コストの面で大きな負担となり、また、屋上や屋根の構造も変えるという煩雑性を伴なう問題があった。
また、最近、都心や都市近郊部においては、自動車等からの排出ガスにより、大気中に油性の汚染物質が浮遊している状況であり、それら油性の汚染物質が、建築物等の表面被膜に付着した場合には、著しいすす状あるいはすじ状の汚染を生じ、都市景観の向上のため施した塗装仕上げが、意味をなさない場合があった。また、このような汚染物質は、太陽光中の赤外線の吸収能が非常に高く、結果として汚染物質が蓄熱場として作用するため、基材の著しい温度上昇をまねいていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、特別な設備を必要とせず、人工的な水の供給や散水が不要であり、簡便にクーリング効果が得られ、さらに、そのクーリング性が長期に持続するような被膜を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者らは鋭意、検討を行い、特定の物性を有する吸放湿層を見出した。すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、且つ、表面の水に対する接触角が70°以下である吸放湿層から形成され、
吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体を含有し、(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−2)2〜40重量部、(b)10〜80重量部であることを特徴とする低汚染型クーリング性被膜構造。
2.(a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)および(a−2)と反応可能な官能基を有する(c)架橋剤を含有することを特徴とする1.に記載の低汚染型クーリング性被膜構造
3.(b)が比表面積100m/g以上の多孔質粉体であることを特徴とする1.または2.に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
4.吸放湿層が、(d)アルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする1.から3.の何れかに記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
5.(d)が、(d−1)炭素数1〜3のアルコキシル基と炭素数4〜12のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物であることを特徴とする4.に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
6.(d)が(d−2)繰り返し単位の炭素数が1〜4のポリオキシアルキレン基と炭素数が1〜4のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物であることを特徴とする4.に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明は水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、且つ、表面の水に対する接触角が70°以下である吸放湿層から形成されることを特徴とするクーリング性被膜構造に関するものであり、この被膜は、大気中の水蒸気を自律的に吸湿し、太陽光による熱によってその水分が気化し、太陽光による熱量を水の蒸発潜熱に置換することで冷却効果(以下、「クーリング効果」という。)が発揮され、夏期の冷房使用による消費電力エネルギーの節約を図ることができる。また、被膜形成後に生ずる降雨により、その表面に付着した汚染物質を流れ落とすソイルリリース効果を有し、結果として、太陽光中の赤外線の吸収能が非常に高い汚染物質が蓄熱場を形成しないことにより、被膜自身の温度上昇を防止し、且つ被膜表面の穴が汚染物で塞がれないことで、被膜の吸放湿能を低下させないようにするものである。
【0006】
本発明の吸放湿層は、水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、且つ、表面の水に対する接触角が70°以下であるものであれば特に限定されるものではないが、一例としての好ましい態様は、吸放湿層が、(a)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性高分子バインダー(以下「(a)成分」という。)、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体(以下「(b)成分という。」を含有し、(a)成分の固形分100重量部に対し、(b)成分10〜80重量部である場合である。
また、(a)成分が、(a−1)合成樹脂(以下「(a−1)成分」という。)と、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性高分子(以下「(a−2)成分という。」)を複合させたものでもよい。特に、(a−1)成分が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)成分が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)成分および(a−2)成分と反応可能な官能基を有する(c)架橋剤(以下「(c)成分」という。)を含有する場合には、吸放湿層内に架橋構造を導入することになり、より吸放湿性の向上が得られる。尚、(a−1)成分および(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)成分の固形分を100重量部に対して、(a−2)成分を2〜40重量部、(b)成分を10〜80重量部とすることが好ましい。
【0007】
ここで水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性とは、図1に示すように、相対湿度を横軸に、水蒸気吸脱着量を縦軸に取った場合の吸脱着等温線で、吸着等温線より脱着等温線が上側になることを意味するものである。このようなヒステリシス特性により、大気中の水蒸気を吸着した吸放湿層が、温度の上昇とともに水蒸気を脱着し、その際に蒸発潜熱を奪うため、被膜の温度上昇を押さえることができるというものである。さらに、このヒステリシス特性によって、夜間等の温度の低い状態において、大気中の水蒸気を吸着し、温度が高い昼の間は脱着による温度上昇抑制効果が持続するものである。
【0008】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、吸放湿層の(a)成分としては、特に限定されるものではなく、温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上のものであれば天然、合成を問わず高分子が使用できる。
【0009】
なお、温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率とは、試料を120℃にて1時間乾燥した後、温度20±2℃、相対湿度45±5%の恒温恒湿器にて24時間吸湿させたときの重量変化より求められる値である。
【0010】
一方、(a)成分として、(a−1)成分と(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)成分として、エチレン系、酢酸ビニル系、アルキッド系、塩化ビニル系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等、あるいはこれらの複合系等の水系、溶剤系の何れの樹脂も使用することができる。特に、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系から選ばれる1種または2種以上の樹脂を用いると耐候性を高めることができ好ましい。
【0011】
また、(a−1)成分として、反応性官能基含有合成樹脂エマルションを使用することは、後述する吸放湿性合成樹脂微粒子とともに架橋剤を配合することで、架橋構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上するためより好ましい。反応性官能基としては、後述の架橋剤の官能基と反応可能であるものが使用できる。このような官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等があげられる。
【0012】
本発明では(a−1)成分の反応性官能基として、特に、カルボキシル基が好適に用いられる。カルボキシル基含有合成樹脂エマルションは、カルボキシル基を有する単量体(以下「(i)成分」という)を共重合することにより得られる。(i)成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸等、及びこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩等があげられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、(a−2)成分は、多量な水蒸気吸脱着量と速い水蒸気吸着速度を保持するためのものである。(a−2)成分は温度20±2℃、湿度45±5%における吸湿率10%以上のものであり、本発明組成物に吸放湿性能を付与する成分である。より好ましくは反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、前述の反応性官能基含有合成樹脂エマルションとともに架橋剤を配合することで、架橋構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上する。このような反応性官能基としては、前述の反応性官能基含有合成樹脂エマルションと同様に種々のものが使用可能であるが、本発明では特に、カルボキシル基が好適に用いられる。また、この(a−2)成分の混合量は、(a−1)成分の固形分100重量部に対して2〜40重量部が好ましい。この混合量が2重量部未満では吸放湿率が低下し、また単位時間における吸湿率が低下してしまうため好ましくない。40重量部を超えると被膜にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
【0014】
(a−2)成分にカルボキシル基を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基を有する単量体の単独重合あるいは共重合可能な他の単量体との共重合による方法、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体を共重合した重合体に加水分解処理を施す方法、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルコール、アルデヒド等の酸化による方法、等があげられる。吸放湿性高分子のカルボキシル基含有量は、1m
mol/g以上であることが望ましい。
【0015】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、(b)成分は、より水蒸気吸脱着量を増加させるとともに、ゆっくりとした水蒸気脱着速度を有するため、水の気化潜熱による温度上昇抑制効果を長時間保持するためのものである。このような水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す粉体は、特に限定されるものではないが、その比表面積が100m2/g以上の多孔質粉体が好ましい。具体的には、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、活性炭、アロフェン等の粘土鉱物の多孔質粉体を使用することができる。このうち特に、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アロフェンが好ましく、さらに好ましくはシリカゲルが用いられる。なお、比表面積はBET法により求めた。
【0016】
(b)成分は、特に相対湿度が40〜80%の領域において水蒸気吸着量と水蒸気脱着量の差が大きいものほど好ましい。また、(b)成分の混合量は(a)成分の固形分100重量部に対して、10〜80重量部が好ましい。また、(a−1)成分と、(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)の固形分100重量部に対して、(a−2)を2〜40重量部、(b)を10〜80重量部とすることが好ましい。(b)成分の混合量が10重量部未満では吸放湿量の低下が生じ、ヒステリシス特性が失われることになる。80重量部より多くなると被膜にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
【0017】
本発明の(a−1)成分として反応性官能基含有合成樹脂エマルションを、(a−2)成分として反応性官能基含有合成樹脂微粒子を使用する場合には、(a−1)成分及び(a−2)成分の反応性官能基と反応可能な官能基を有する(c)成分を使用する。本発明組成物においては、(c)成分が含まれることにより、被膜の強度や密着性が向上し、さらには優れた吸放湿性を発揮することができる。(c)成分は、これらの官能基を一分子中に二個以上含むことが望ましい。また、(c)成分の形態としては、エマルションタイプ、水溶性タイプのいずれでもよい。(c)成分の官能基としては、(a−1)成分及び(a−2)成分と反応可能なものである限り限定されないが、本発明では特に、カルボキシル基と反応可能な官能基であるカルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等が好適に用いられる。
【0018】
(c)成分の具体例としては、例えば、カルボジイミド基を含む架橋剤として、特開平10−60272号公報、特開平10−316930号公報、特開平11−60667号公報等に記載のもの等、エポキシ基を含む架橋剤として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等、アジリジン基を含む架橋剤として、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等、オキサゾリン基を含む架橋剤として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の重合性オキサゾリン化合物を該化合物と共重合可能な単量体と共重合した樹脂等、があげられる。
【0019】
本発明の吸放湿層では、表面の水に対する接触角を70°以下とするため、例えば
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の親水性基ないしは親水性セグメントとしてポリアルキレンオキサイド、ポリオキサゾリン、ポリアミド等を有するポリマーを水系、溶剤系の被膜形成バインダーとして使用する。
水系、溶剤系の一般的なバインダーに、被膜形成後に親水性を付与する成分を配合する。
等の方法を用いることができる。
【0020】
本発明の好ましい態様として、親水性付与成分として、アルコキシシラン化合物(以下、(d)成分という。)を用いる方法があげられる。一般的に(d)成分が、被膜を形成するバインダー中に混合されると、被膜形成途上において被膜の表面に局在化し、被膜表面を親水性にすることができる。
本発明では、被膜表面への局在化のしやすさと表面親水化の早期発現の点から、特に、(d)成分として、
(d−1)炭素数が1〜3のアルコキシル基と、炭素数が4〜12のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物(以下、「(d−1)成分」という。)、または、
(d−2)繰り返し単位の炭素数が1〜4のポリオキシアルキレン基と、炭素数が1〜4のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物(以下、「(d−2)成分」という。)、
を使用することが望ましい。
【0021】
(d−1)成分においては、アルコキシル基が、炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在していることにより、(a)成分との相溶性が飛躍的に向上し、表面配向性に優れ、被膜物性の優れた被膜が形成できる。炭素数が1〜3のアルコキシル基のみの場合は、(a)成分との相溶性、表面配向性が不十分となり、炭素数が4〜12のアルコキシル基のみの場合は、耐汚染性が低下する傾向となる。
(d−1)成分は、該低縮合物全体のアルコキシル基のうち、約5〜50当量%が炭素数4〜12のアルコキシル基となるようにしたものが(a)成分との相溶性、被膜の耐汚染性に優れるため好ましい。
【0022】
(d−1)成分の平均縮合度は4〜20であることが望ましい。平均縮合度が20より大きいものは、粘度上昇等により取り扱いが不便となり、平均縮合度が4より小さいのものは、揮発性が高くなりやはり取り扱いが不便となる。
【0023】
このような(d−1)成分は、公知の方法により製造することができるが、例えば、炭素数1〜3のアルコキシル基を有するテトラアルコキシシラン縮合物を、炭素数4〜12のアルコールでエステル交換反応により変性する方法があげられる。
【0024】
(d−2)成分は、特に(a)成分が合成樹脂エマルションである場合に好適に用いることができる。このような(d−2)成分は、合成樹脂エマルションとの相溶性が良好で、耐汚染性に優れた被膜を形成することができる。
(d−2)成分のアルコキシル基の炭素数は1〜4である。炭素数が4を超えると、耐汚染性が低下する傾向となる。
ポリオキシアルキレン基の平均分子量は、150〜2000であることが望ましい。平均分子量が150未満の場合は、(a)成分との相溶性が低下し、2000を超えると被膜の耐水性、強度等が低下する傾向となる。
また、(d−2)の平均縮合度は1〜20であることが望ましい。平均縮合度が20を超えると、取り扱いが不便になる。
【0025】
(d−2)成分は、公知の方法により製造することが可能であるが、例えば、アルコキシシラン縮合物の1種または2種以上の混合物を、ポリオキシアルキレン基含有化合物1種または2種以上でエステル交換反応させる方法、カップリング剤を用いて付加反応させる方法等があげられる。
【0026】
このような(d)成分は、(a)成分の樹脂固形分100重量部に対して、SiO換算で1.0〜50.0重量部、好適には2.0〜30.0重量部配合することが望ましい。1.0重量部未満では被膜の親水性が十分でないため耐汚染性に劣り、50.0重量部を越えると、硬化被膜の外観が悪化したり、クラックが生じるといった問題が発生しやすくなる。
【0027】
ここでSiO換算とは、アルコキシシランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO)となって残る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO)となる。これらの反応は
RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→nSiO+(2n+2)ROH
(Rはアルキル基を示す。nは整数。)
という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0028】
吸放湿層においては、上記成分の他、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、顔料、骨材、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、造膜助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない程度に適宜配合してもよい。また、本発明の吸放湿層は、本発明の効果を損なわなければ、硬質であっても、弾性であっても特に限定はされないが、吸放湿層の伸び率が60〜400%であることが好ましい。これにより、基材の変位に追従することができる。伸び率が60%以下の場合は、クラックが生じやすくなるため、好ましくなく、また、伸び率が400%以上では汚染物質が付着しやすい傾向となり、その結果、遮熱性が低下してしまうため好ましくない。なお、伸び率は、JIS K 5400 8.8 により測定した値である。
【0029】
本発明の吸放湿層は、前述した各構成成分を混合した組成物を、クーリング性を必要とする基材表面に積層塗付しても良いし、予めシート状に成形したものを貼り付けても良い。前述の塗付する場合はハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装により塗付することができる。
【0030】
本発明の吸放湿層は、クーリング効果を必要とする部位である、土木構造物や建築物の屋根、屋上、外壁の表面に適用できる。より具体的には、前記部位に使用されている、金属、コンクリート、スレート板、サイディングボード、押出成形板、等の各種ボード類、磁器タイル、プラスチック等の各種基材に対し、直接適用することもでき、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー等による下地処理等)を施した上に適用することも可能であるが、特に限定されるものではない。この際、適用される吸放湿層及び、透湿層の膜厚は特に限定はされないが、吸放湿層は0.1mm以上が好ましく、さらに好ましくは0.5mm以上である。
【0031】
【実施例】
(配合例1〜3)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合にて吸放湿性塗料を作製した。これらの塗料によって得られる乾燥膜の接触角はそれぞれ35°、48゜、36゜、伸び率は100%、101%、102%であった。
(配合例4)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合にて吸放湿性塗料を作製した。この塗料によって得られる乾燥膜の接触角は34°、伸び率は150%であった。
(配合例5)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合にて塗料を作製した。この塗料によって得られる乾燥膜の接触角は74°、伸び率は132%であった。
【0032】
(実施例1)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に配合例1の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し吸放湿層を形成した。
作製した試験体について、後述の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図2、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示し、4ヶ月暴露後の被膜においても遮熱性を維持することが認められた。
【0033】
(実施例2)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に配合例2の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し吸放湿層を形成した。
作製した試験体について、後述の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図2、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示し、4ヶ月暴露後の被膜においても遮熱性を維持することが認められた。
【0034】
(実施例3)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に配合例3の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し吸放湿層を形成した。
作製した試験体について、後述の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図2、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、および遮熱性を示し、4ヶ月暴露後の被膜においても遮熱性を維持することが認められた。
【0035】
(比較例1)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に配合例4の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し吸放湿層を形成した。
作製した試験体について、下記の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図2、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なように、水蒸気吸脱着性は低く、躯体温度の上昇も抑制することが困難であることが認められた。
【0036】
(比較例2)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に配合例5の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し吸放湿層を形成した。
作製した試験体について、下記の試験方法に従い水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図2、図3、図4に示す結果を得た。結果より明白なように、試験体作製直後における水蒸気吸脱着性は高く、躯体温度の上昇も抑制することが可能であったが、4ヶ月暴露後においては、遮熱性を維持することができなかった。
【0037】
(試験結果)
本発明におけるクーリング性被膜構造の水蒸気吸脱着性および遮熱性は粉体の水蒸気吸脱着性により差が認められ、また吸放湿性高分子に架橋剤を付与することでより水蒸気吸脱着性、および遮熱性の向上が確認された。また、水に対する接触角を70°以下にすることで、4ヶ月暴露後においてもクーリング機能の維持が確認された。
【0038】
【表1】
Figure 0004450498
【0039】
【表2】
Figure 0004450498
【0040】
(接触角試験方法)
接触角試験は各試験体を脱イオン水中に3時間浸漬し、18時間乾燥させた後に、協和界面科学(株)製CA−A型接触角測定装置にて行った。
【0041】
(水蒸気吸脱着性試験方法)
水蒸気の吸脱着性は恒温恒湿器を用いて温度20℃、湿度30%の槽内に各試験体の重量が平衡になるまで放置し、吸着量を測定した。次に温度20℃、湿度40%で同様の操作を行い、順次湿度を10%ずつ上げながら90%までの吸着量を求めた。その後、同温度下で湿度を10%ずつ下げながら脱着量を求めた。
【0042】
(遮熱性試験方法)
遮熱性試験は250Wの赤外線ランプを用いて、赤外線を試験体表面に360分間照射し、その裏面温度を測定した。この時、各試験体は温度20℃、相対湿度90%にて吸湿させ、その吸湿量が平衡に達した試験体を使用した。次にその試験体を大阪府茨木市で南面向き45度傾斜にて屋外暴露を4ヶ月実施し、これら試験体について同様に裏面温度を測定した。
試験体作製直後と暴露後の裏面温度変化について、結果をそれぞれ図3、図4に示した。
【0043】
【発明の効果】
本発明の被膜構造を建築物の屋根や屋上等に適用すると、夏期における太陽光の熱線
による屋根や屋上等の蓄熱を防止し、且つ、太陽近赤外線の蓄熱場として作用する表面層の汚染物質を除去でき、建築物内部の温度上昇を抑制することができる。
従って、本発明被膜構造は夏期の冷房使用頻度を減少させ、電力消費を節約することが可能となる。また、本発明被膜構造は既存の屋根等の表面に適用することができるため屋根構造を大きく変える必要がなく、比較的容易に施工することができ、改修工事を兼ねる事もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性を示すグラフ
【図2】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ
【図3】暴露前の被膜の遮熱性試験結果を示すグラフ
【図4】4ヶ月暴露後の被膜の遮熱性試験結果を示すグラフ

Claims (6)

  1. 水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、且つ、表面の水に対する接触角が70°以下である吸放湿層から形成され、
    吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体を含有し、(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−2)2〜40重量部、(b)10〜80重量部であることを特徴とする低汚染型クーリング性被膜構造。
  2. (a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)および(a−2)と反応可能な官能基を有する(c)架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の低汚染型クーリング性被膜構造
  3. (b)が比表面積100m/g以上の多孔質粉体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
  4. 吸放湿層が、(d)アルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項の何れかに記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
  5. (d)が、(d−1)炭素数1〜3のアルコキシル基と炭素数4〜12のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物であることを特徴とする請求項に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
  6. (d)が(d−2)繰り返し単位の炭素数が1〜4のポリオキシアルキレン基と炭素数が1〜4のアルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物であることを特徴とする請求項に記載の低汚染型クーリング性被膜構造。
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