JP4465096B2 - クーリング性被膜構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクーリング性を必要とする部位、主として土木構造物や建築物の屋根や屋上、外壁の表面に適用することで、太陽光照射時等の表面温度上昇時、特に夏期の日中においてもクーリング効果を発揮することができる被膜構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、都市部において、コンクリート建造物や冷房等から排出される人工放出熱などにより、都市気候が作り出されている。特に夏期において都市部における温度の上昇は著しく、そのため建物内の冷房使用が頻繁になり、消費電力エネルギーが増加してしまう。このような日射による蓄熱、室内温度の上昇を抑制する方法の一つとして、水の蒸発潜熱を利用した方法が考案されている。例えば、日射によって温度の上昇を生じた屋上や屋根に散水したり、さらにこれを持続させるために予めこれらの表面に吸水性物質等の保水体を被覆しておいたりするものである。このような表面の冷却方法では、人工的に保水体へ給水を行うために新たに設備が必要となるため、コストの面で大きな負担となり、また、屋上や屋根の構造も変えるという煩雑性を伴なう問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、特別な設備を必要とせず、人工的な水の供給や散水が不要であり、簡便にクーリング効果が得られ、さらに、そのクーリング性が長期に持続するような被膜を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため、本発明者らは鋭意、検討を行ない、特定の吸放湿層の上に、特定の透湿層を積層することを見出した。すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、赤外線反射率が20%以上である吸放湿層から形成され、
吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体、(C)赤外線反射性粉粒体を含有し、(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−2)2〜40重量部、(b)10〜80重量部、(C)10〜300重量部であることを特徴とするクーリング性被膜構造。
2.(a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)および(a−2)と反応可能な官能基を有する(d)架橋剤を含有することを特徴とする1.に記載のクーリング性被膜構造。
3.(b)が比表面積100m2/g以上の多孔質粉体であることを特徴とする1.または2.に記載のクーリング性被膜構造。
4.前記吸放湿層上に、赤外線透過率が50%以上であり、水蒸気透過性を有する透湿層を積層することを特徴とする1.から3.の何れかに記載のクーリング性被膜構造。
5.透湿層が、赤外線透過率が50%以上で、JIS Z 0208による透湿度で40g/m2・24H以上の被膜であることを特徴とする4.に記載のクーリング性被膜構造。
6.透湿層が、赤外線透過性粉粒体を含有することを特徴とする4.または5.に記載のクーリング性被膜構造。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明は、水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、赤外線反射率が20%以上である吸放湿層から形成されるクーリング性被膜構造に関するものであり、大気中の水蒸気を自律的に吸湿し、太陽光による熱によってその水分が気化し、太陽光による熱量を水の蒸発潜熱に置換することで冷却効果(以下、「クーリング効果」という。)が発揮され、さらに、太陽光を吸放湿層で反射することで、熱線による蓄熱も防止し、夏期の冷房使用による消費電力エネルギーの節約を図ることができる。
【0006】
[吸放湿層]
本発明の吸放湿層は、水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、赤外線反射率が20%以上であれば特に限定されるものではないが、一例としての好ましい態様は、吸放湿層が、(a)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性高分子バインダー(以下「(a)成分」という。)、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体(以下「(b)成分」という。)を含有し、(a)成分の固形分100重量部に対し、(b)成分10〜80重量部の場合である。
また、(a)成分が、(a−1)合成樹脂(以下「(a−1)成分」という。)と、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子(以下「(a−2)成分」という。)を複合させたものでもよい。特に、(a−1)成分が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)成分が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)成分および(a−2)成分と反応可能な官能基を有する(d)架橋剤(以下「(d)成分」という。)を含有する場合には、吸放湿層内に架橋構造を導入することになり、より吸放湿性の向上が得られる。尚、(a−1)成分および(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)成分の固形分を100重量部に対して、(a−2)成分を2〜40重量部、(b)成分を10〜80重量部とすることが好ましい。
【0007】
ここで水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性とは、図1に示すように、相対湿度を横軸に、水蒸気吸脱着量を縦軸に取った場合の吸脱着等温線で、吸着等温線より脱着等温線が上側になることを意味するものである。このようなヒステリシス特性により、大気中の水蒸気を吸着した吸放湿層が、温度の上昇とともに水蒸気を脱着し、その際に蒸発潜熱を奪うため、被膜の温度上昇を押さえることができるというものである。さらに、このヒステリシス特性によって、夜間等の温度の低い状態において、大気中の水蒸気を吸着し、温度が高い昼の間は脱着による温度上昇抑制効果が持続するものである。
【0008】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、吸放湿層の(a)成分としては、特に限定されるものではなく、温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上のものであれば天然、合成を問わず高分子が使用できる。
【0009】
なお、温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率とは、試料を120℃にて1時間乾燥した後、温度20±2℃、相対湿度45±5%の恒温恒湿器にて24時間吸湿させたときの重量変化より求められる値である。
【0010】
一方、(a)成分として、(a−1)成分と(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)成分として、エチレン系、酢酸ビニル系、アルキッド系、塩化ビニル系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等、あるいはこれらの複合系等の水系、溶剤系の何れの樹脂も使用することができる。特に、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系から選ばれる1種または2種以上の樹脂を用いると耐候性を高めることができ好ましい。
【0011】
また、(a−1)成分として、反応性官能基含有合成樹脂エマルションを使用するときは、後述する吸放湿性高分子とともに架橋剤を配合することで、架橋構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上するためより好ましい。反応性官能基としては、後述の架橋剤の官能基と反応可能であるものが使用できる。このような官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等があげられる。
【0012】
本発明では(a−1)成分の反応性官能基として、特に、カルボキシル基が好適に用いられる。カルボキシル基含有合成樹脂エマルションは、カルボキシル基を有する単量体(以下「(i)成分」という)を共重合することにより得られる。(i)成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸等、及びこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩等があげられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、(a−2)成分は、多量な水蒸気吸脱着量と速い水蒸気吸着速度を保持するためのものである。(a−2)成分は温度20±2℃、湿度45±5%における吸湿率10%以上のものであり、本発明組成物に吸放湿性能を付与する成分である。より好ましくは反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、前述の反応性官能基含有合成樹脂エマルションとともに架橋剤を配合することで、架橋構造が吸放湿層に導入され、より吸放湿性が向上する。このような反応性官能基としては、前述の反応性官能基含有合成樹脂エマルションと同様に種々のものが使用可能であるが、本発明では特に、カルボキシル基が好適に用いられる。また、この(a−2)成分の混合量は、(a−1)成分の固形分100重量部に対して2〜40重量部が好ましい。この混合量が2重量部未満では吸放湿率が低下し、また単位時間における吸湿率が低下してしまうため好ましくない。40重量部を越えると被膜にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
【0014】
(a−2)成分にカルボキシル基を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基を有する単量体の単独重合あるいは共重合可能な他の単量体との共重合による方法、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体を共重合した重合体に加水分解処理を施す方法、アルケン、ハロゲン化アルキル、アルコール、アルデヒド等の酸化による方法、等があげられる。吸放湿性合成樹脂微粒子のカルボキシル基含有量は、1mmol/g以上であることが望ましい
【0015】
次に、本発明の好ましい態様の一例において、(b)成分は、より水蒸気吸脱着量を増加させるとともに、ゆっくりとした水蒸気脱着速度を有するため、水の蒸発潜熱による温度上昇抑制効果を長時間保持するためのものである。このような水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す粉体は、特に限定されるものではないが、その比表面積が100m2/g以上の多孔質粉体が好ましい。具体的には、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリウム、アルミナ、活性炭、アロフェン等の粘土鉱物の多孔質粉体を使用することができる。このうち特に、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、アロフェンが好ましく、さらに好ましくはシリカゲルが用いられる。なお、比表面積は、BET法により求めた。
【0016】
(b)成分は、特に相対湿度が40〜80%の領域において水蒸気吸着量と水蒸気脱着量の差が大きいものほど好ましい。また、(b)成分の混合量は(a)成分の固形分100重量部に対して、10〜80重量部が好ましい。また、(a−1)成分と、(a−2)成分を複合させる場合には、(a−1)の固形分100重量部に対して、(a−2)を2〜40重量部、(b)を10〜80重量部とすることが好ましい。(b)成分の混合量が10重量部未満では吸放湿量の低下が生じ、ヒステリシス特性が失われることになる。80重量部を越えると被膜にクラックが生じやすくなるため好ましくない。
【0017】
本発明の(a−1)成分として反応性官能基含有合成樹脂エマルションを、(a−2)成分として反応性官能基含有合成樹脂微粒子を使用する場合には、(a−1)成分及び(a−2)成分の反応性官能基と反応可能な官能基を有する(d)成分を使用する。本発明組成物においては、(d)成分が含まれることにより、被膜の強度や密着性が向上し、さらには優れた吸放湿性を発揮することができる。(d)成分は、これらの官能基を一分子中に二個以上含むことが望ましい。また、(d)成分の形態としては、エマルションタイプ、水溶性タイプのいずれでもよい。(d)成分の官能基としては、(a−1)成分及び(a−2)成分と反応可能なものである限り限定されないが、本発明では特に、カルボキシル基と反応可能な官能基であるカルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基等が好適に用いられる。
【0018】
(d)成分の具体例としては、例えば、カルボジイミド基を含む架橋剤として、特開平10−60272号公報、特開平10−316930号公報、特開平11−60667号公報等に記載のもの等、エポキシ基を含む架橋剤として、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等、アジリジン基を含む架橋剤として、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等、オキサゾリン基を含む架橋剤として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の重合性オキサゾリン化合物を該化合物と共重合可能な単量体と共重合した樹脂等、があげられる。
【0019】
他方、本発明の吸放湿層では赤外線反射率が20%以上、さらに好ましくは50%以上である。このような反射性を有することにより、太陽光による蓄熱を十分に抑制することができ、クーリング機能を長時間維持することができる。なお、本発明における赤外線反射率は波長1μmの光に対する分光反射率を測定することにより得られる値である。
【0020】
(c)赤外線反射性粉粒体の具体例としては、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、無機系中空ビーズ、有機系中空ビーズ等があげられる。このような粉粒体は、通常、(a)成分の樹脂固形分100重量部に対し、10〜300重量部配合される。赤外線反射性粉粒体が10重量部より少ない場合は、太陽光に対し十分な赤外線反射性が得られず、温度上昇をまねいてしまう。300重量部より多い場合は、吸放湿層にクラックが生じやすくなり、赤外線反射性低下のおそれがある。
【0021】
吸放湿層においては、上記成分の他、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、顔料、骨材、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、造膜助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない程度に適宜配合してもよい。また、本発明の吸放湿層は、本発明の効果を損なわなければ、硬質であっても、弾性であっても特に限定はされない。
【0022】
[透湿層]
本発明では、吸放湿層上にさらに赤外線透過率が50%以上であり、水蒸気透過性を有する透湿層を積層することができる。このような透湿層を形成することにより、吸放湿層が外気や太陽光線に直接触れることがなくなる結果、吸放湿層の被膜劣化を抑制し、吸放湿効果が長期にわたって持続可能となる。さらに、太陽光による透湿層の蓄熱を十分に抑制することができる。透湿層は(p)合成樹脂(以下、「p成分」という。)を主成分とするもので、(p)成分としては、特に限定されず、エチレン系、酢酸ビニル系、アルキッド系、塩化ビニル系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等、あるいはこれらの複合系等の水系、溶剤系の何れの樹脂も使用することができる。特に、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系から選ばれる1種または2種以上の樹脂を用いると特に耐候性を高めることができ好ましい。透湿性については、JISZ 0208 による透湿度で40g/m2 ・24H以上の被膜を形成することが望ましい。
ここで透湿度が40g/m2・24H未満の場合には、吸放湿層の自律的な吸放湿作用が阻害される結果、クーリング効果の作用は発揮されるが、夏期の日照時においてその効果を長時間保持できない場合がある。
【0023】
他方、本発明の透湿層では赤外線透過率が50%以上、さらに好ましくは70%以上であることが必要である。なお、本発明における赤外線透過率は波長1μmの光に対する分光透過率を測定することにより得られる値である。
【0024】
透湿層を着色する場合には赤外線透過性粉体を用いることが望ましい。赤外線透過性粉体としては、ペリレン顔料、アゾ顔料、黄鉛、弁柄、朱、チタニウムレッド、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、群青、紺青、等があげられる。このような着色剤の含有量は、通常、バインダー成分の樹脂固形分100重量部に対し、40重量部以下であることが望ましい。40重量部より多い場合は、赤外線透過性低下のおそれがある。
【0025】
透湿層を形成する組成物には、上記成分の他、通常塗料に配合する各種の添加剤、例えば、顔料、骨材、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、造膜助剤、凍結防止剤、乾燥調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない程度に適宜配合してもよい。また、本発明の透湿層は、本発明の効果を損なわなければ、硬質であっても、弾性であっても特に限定はされない。
【0026】
[積層方法]
本発明の吸放湿層及び透湿層は、前述した各構成成分を混合した組成物を、クーリング性を必要とする基材表面に塗付することで形成しても良いし、予めシート状に成形したものを貼り付けても良い。前述の塗付する場合はハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装により塗付することができる。
本発明の吸放湿層は、クーリング効果を必要とする部位である、土木構造物や建築物の屋根、屋上、外壁の表面に適用できる。より具体的には、前記部位に使用されている、金属、コンクリート、スレート板、サイディングボード、押出成形板、等の各種ボード類、磁器タイル、プラスチック等の各種基材に対し、直接適用することもでき、何らかの表面処理(シーラー、サーフェーサー、フィラー等による下地処理等)を施した上に適用することも可能であるが、特に限定されるものではない。この際、適用される吸放湿層及び、透湿層の膜厚は特に限定はされないが、吸放湿層は0.1mm以上が好ましく、さらに好ましくは0.5mm以上であり、透湿層は0.1mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05mm以下である。
【0027】
【実施例】
(実施例1)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合例1に従い塗料を作製した。
作製した塗料を厚さ0.8mmのアルミニウム板上に各塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。後述の方法により、水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験を行い、その結果を図2、図5に示す。これより、配合例1の被膜は、ヒステリシス特性を有する高い水蒸気吸脱着性を示し、さらに優れた遮熱性を示すことが明らかである。
【0028】
(実施例2)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合例2に従い塗料を作製した。
作製した塗料を厚さ0.8mmのアルミニウム板上に各塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験結果を図2、図5に示す。これより、配合例2の被膜は、ヒステリシス特性を有する高い水蒸気吸脱着性を示し、さらに優れた遮熱性を示すことが明らかである。
【0029】
(実施例3)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合例3に従い塗料を作製した。
作製した塗料を厚さ0.8mmのアルミニウム板上に各塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験結果を図2、図5に示す。これより、配合例3の被膜は、ヒステリシス特性を有する高い水蒸気吸脱着性を示し、さらに優れた遮熱性を示すことが明らかである。
【0030】
(実施例4)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例1の吸放湿性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し塗膜を形成した。さらにその表面に赤外透過率が82%、透湿度78g/m2・24Hである配合例Aの塗料を乾燥膜厚30μmになるように積層した。
作製した試験体について、水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験を行ったところ、図3、図6に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、遮熱性を示すことが認められた。
【0031】
(実施例5)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例2の吸放湿性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し塗膜を形成した。さらにその表面に赤外線透過率が82%、透湿度78g/m2・24Hである配合例Aの塗料を乾燥膜厚30μmになるように積層した。
作製した試験体について、水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験を行ったところ、図3、図6に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、遮熱性を示すことが認められた。
【0032】
(実施例6)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に高い水蒸気吸脱着性を有する配合例3の吸放湿性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し塗膜を形成した。さらにその表面に赤外線透過率が82%、透湿度78g/m2・24Hである配合例Aの塗料を乾燥膜厚30μmになるように積層した。
作製した試験体について、水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験を行ったところ、図3、図6に示す結果を得た。結果より明白なように、優れた水蒸気吸脱着性、遮熱性を示すことが認められた。
【0033】
(比較例1)
表1に示した原料を使用して、表2に示した配合例4に従い塗料を作製した。
作製した塗料を厚さ0.8mmのアルミニウム板上に各塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。水蒸気吸脱着性試験と遮熱性試験の結果を図4、図7に示す。これより、配合例4の被膜は、水蒸気吸脱着性は低く、躯体温度の上昇も抑制することが困難であることが認められた。
【0034】
(比較例2)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に水蒸気吸脱着性においてヒステリシス特性を示さない配合例4の吸放湿性塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。さらにその表面に赤外線透過率が82%、透湿度78g/m2・24Hである配合例Aの塗料を乾燥膜厚30μmになるように積層した。
作製した試験体について、水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図4、図7に示す結果を得た。結果より明白なように、水蒸気吸脱着性は低く、躯体温度の上昇も抑制することが困難であることが認められた。
【0035】
(比較例3)
厚さ0.8mmのアルミニウム板上に水蒸気吸脱着性において高い水蒸気吸放湿性を有する配合例1の塗料を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付、乾燥し被膜を形成した。さらにその表面に赤外線透過率が15%、透湿度84g/m2・24Hである配合例Bの塗料を乾燥膜厚30μmになるように積層した。
作製した試験体について、水蒸気吸脱着性、および遮熱性試験を行ったところ、図4、図7に示す結果を得た。結果より明白なように、水蒸気吸脱着性は高いが、躯体温度の上昇を抑制することが困難であることが認められた。
【0036】
(試験結果)
本発明におけるクーリング性被膜構造の水蒸気吸脱着性および遮熱性は粉体の水蒸気吸脱着性により差が認められ、また、透湿層の赤外線透過率が50%以上の被膜を積層させた場合においても、遮熱性は維持された。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
(水蒸気吸脱着性試験方法)
水蒸気の吸脱着性は恒温恒湿器を用いて温度20℃、湿度30%の槽内に各試験体の重量が平衡になるまで放置し、吸着量を測定した。次に温度20℃、湿度40%で同様の操作を行い、順次湿度を10%ずつ上げながら90%までの吸着量を求めた。その後、同温度下で湿度を10%ずつ下げながら脱着量を求めた。
【0040】
(遮熱性試験方法)
遮熱性試験は250Wの赤外線ランプを用いて、赤外線を試験体表面に360分間照射し、その裏面温度を測定した。この時、各試験体は温度20℃、相対湿度90%にて吸湿させ、その吸湿量が平衡に達した試験体を使用した。
【0041】
【発明の効果】
本発明の被膜構造を建築物の屋根や屋上等に適用すると、夏期における太陽光の熱線による屋根や屋上等の蓄熱を防止し、建築物内部の温度上昇を抑制することができる。
従って、本発明被膜構造は夏期の冷房使用頻度を減少させ、電力消費を節約することが可能となる。また、本発明被膜構造は既存の屋根等の表面に適用するため屋根構造を大きく変える必要がなく、比較的容易に施工することができ、改修工事を兼ねる事もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性を示すグラフ
【図2】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ
【図3】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ
【図4】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ
【図5】遮熱性試験結果を示すグラフ
【図6】遮熱性試験結果を示すグラフ
【図7】遮熱性試験結果を示すグラフ
Claims (6)
- 水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有し、赤外線反射率が20%以上である吸放湿層から形成され、
吸放湿層が、(a−1)合成樹脂、(a−2)温度20±2℃、相対湿度45±5%における吸湿率10%以上である吸放湿性合成樹脂微粒子、(b)水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を示す多孔質粉体、(C)赤外線反射性粉粒体を含有し、(a−1)の固形分100重量部に対し、(a−2)2〜40重量部、(b)10〜80重量部、(C)10〜300重量部であることを特徴とするクーリング性被膜構造。 - (a−1)が反応性官能基含有合成樹脂エマルション、(a−2)が反応性官能基含有合成樹脂微粒子であり、さらに(a−1)および(a−2)と反応可能な官能基を有する(d)架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のクーリング性被膜構造。
- (b)が比表面積100m2/g以上の多孔質粉体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクーリング性被膜構造。
- 前記吸放湿層上に、赤外線透過率が50%以上であり、水蒸気透過性を有する透湿層を積層することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のクーリング性被膜構造。
- 透湿層が、赤外線透過率が50%以上で、JIS Z 0208による透湿度で40g/m2・24H以上の被膜であることを特徴とする請求項4に記載のクーリング性被膜構造。
- 透湿層が、赤外線透過性粉粒体を含有することを特徴とする請求項4または5に記載のクーリング性被膜構造。
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