JP2008261210A - 建築物外壁の改装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性壁の屋外側表面に形成された有機系塗料の旧塗膜に適した改装方法を提供する。
【解決手段】建築物外壁の屋外側に形成された旧塗膜面に対し、少なくとも1種の着色塗料を塗付する。本発明における外壁は、熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁である。旧塗膜面は、有機質樹脂を結合剤とする塗料によって形成された塗膜を有するものである。着色塗料としては、結合剤としてガラス転移温度−20〜80℃の合成樹脂エマルションを含み、赤外線反射率が20%以上、水蒸気透過度が40g/m・24h以上の塗膜を形成するものを使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物外壁の改装方法に関するものである。
近年、ビル、集合住宅、戸建住宅等の建築物においては、高断熱化・高気密化によって、冷暖房費の節約を図り、省エネルギーを実現しようとする動きが盛んである。一般に、断熱設計を施していない建築物では、冬期の暖房時には屋根、床、窓、壁等の部位から室内の熱が逃げ、夏期の冷房時にはこれら部位から屋外の熱が侵入してしまうが、このような熱損失の約3分の1は壁面に起因すると言われている。このため、建築物の省エネルギー化を実現するには、室内と屋外を隔てる外壁の高断熱化が不可欠であり、壁面を構成する基材に断熱材を複合化して断熱性を高める手法が多く提案されている。
一方、ビル、集合住宅、戸建住宅等の建築物外壁においては、その美観性向上等を目的として、様々な塗料が塗付形成されている。このうち、有機質樹脂を結合剤とする有機系塗料は、配合設計の自由度が高く様々な色相・意匠性が付与でき、またその塗膜が適度な可とう性を有し、さらにはコスト面においても有利であることから汎用的に使用されている。上述のような断熱性を高めた外壁においても有機系塗料が賞用されている。但し、一般的な有機系塗料の塗膜は、屋外において長期にわたり曝露されると、太陽光、降雨、粉塵等の影響により劣化や汚染が進行してしまうため、概ね10年程度で塗り替えの必要が生じてくる。
ところが、断熱性壁の外面に形成された有機系塗料の塗膜を塗り替える際には、いくつかの問題点がある。
第一には、塗膜に対する熱負荷の問題である。上述のように建築物外壁の断熱性を高めれば、その屋外側表面では太陽光直射による熱の逃げ場がなくなる。このため、外壁の屋外側表面に形成された塗膜は、その影響を直接的に受け、温度が非常に上昇しやすい状態となる。このような温度上昇は、塗膜膨れや剥れ等の異常を誘発する場合がある。
第二には、水分の問題である。通常、有機系塗料ではその塗膜表面が外気に直接曝されていると、劣化の進行とともに降雨等による水分が塗膜表面から吸収されやすくなり、その水分が塗膜内ないし基材内に滞留しやすくなる。基材の裏面等から水分が取り込まれる場合もある。このような状態の塗膜面に対し、通常の塗料で改装を行うと、塗膜の内側に水分が閉じ込められてしまい、その水分の蒸発に伴って、高い確率で塗膜膨れ等の異常が発生する。外壁が断熱性を有する場合は、特に、塗膜の温度上昇が大きくなるため、水分の蒸発による膨れ等が発生しやすくなる。
以上のように、断熱性壁上に形成された有機系塗料の旧塗膜を改装しようとすると、施工後、経時的に膨れ、剥れ等が発生するおそれがある。このため、通常は、塗膜を物理的にケレンしたり、塗膜剥離剤を使用したりする方法等によって旧塗膜を除去した後に、改装用塗料を塗付する手法が採用されている。しかし、旧塗膜の除去作業は、多大な労力と時間を必要とするものであり、工事のコストの点においても不利である。また、完全に旧塗膜を除去することが困難な場合には、下地調整処理を入念に行う必要があり、塗装工程が煩雑となってしまうという問題も生じる。
特許文献1には、旧塗膜の改装方法として、シーラーを塗装した後に、水性弾性塗料を塗装する方法が記載されている。しかし、断熱性壁の屋外側表面に形成された有機系塗料の旧塗膜に対してこの方法を適用しても、経時的な膨れ発生や、剥れ発生等を防ぐことは困難である。
特開平6−306305号公報
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、断熱性壁の屋外側表面に形成された有機系塗料の旧塗膜に適した改装方法を提供することを目的とするものである。
このような課題を解決するため本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の赤外線反射性能と水蒸気透過性能を併有する塗料を使用して、塗膜の温度上昇を抑制するとともに、塗膜内ないし基材内の水分を塗膜外に放散させることによって、塗膜の膨れ、剥れ等が十分に防止できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.建築物外壁の屋外側に形成された旧塗膜面に対し、少なくとも1種の着色塗料を塗付する建築物外壁の改装方法であって、
(1)外壁が、熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁であり、
(2)旧塗膜面が、有機質樹脂として熱可塑性樹脂を結合剤とする塗料(以下、「有機系塗料」という)によって形成された1mm以上の厚みを有する塗膜を有するものであり、
(3)着色塗料が、結合剤としてガラス転移温度−20〜80℃の合成樹脂エマルション、及び顔料を含み、顔料容積濃度が2〜60%であり、赤外線反射率が20%以上、水蒸気透過度が40g/m・24h以上500g/m・24h以下の塗膜を形成するものである
ことを特徴とする建築物外壁の改装方法。
2.熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁が、基材と断熱材との複合体によって構成されることを特徴とする1.記載の建築物外壁の改装方法。
3.断熱性壁には、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の部材が少なくとも1種含まれることを特徴とする1.〜2.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
4.旧塗膜面は、有機系塗料の塗膜が旧塗膜の屋外側最表面に存在するものであることを特徴とする1.〜3.のいずれか記載の建築物外壁の改装方法。
5.該有機系塗料における有機質樹脂の含有量は、該有機系塗料の固形分中に5重量%以上であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
6.着色塗料における合成樹脂エマルションの樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
7.着色塗料における合成樹脂エマルションが、アルコキシシリル基含有アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
8.着色塗料における顔料として、赤外線反射性を有する顔料を含むことを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
9.着色塗料における顔料として、赤外線反射性を有する顔料及び赤外線透過性を有する顔料を含むことを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
本発明は、断熱性壁の屋外側表面に形成された有機系塗料の旧塗膜に適したものであり、改装後の塗膜における塗膜の膨れ発生や剥れ発生等を長期にわたり十分に抑制することができる。
本発明は、建築物外壁の屋外側に形成された旧塗膜面にする改装方法に関するものである。
まず、本発明の対象となる外壁は、熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁である。このような断熱性壁は、建築物の高断熱化・高気密化には欠くことができないものであるが、太陽光が直射する部位においては、その屋外側表面に形成された塗膜に大きな熱負荷を与えてしまうものである。特に、本発明は、高い断熱性能を有する外壁、すなわち熱貫流率が1.0W/(m・K)以下、さらには0.50W/(m・K)以下である断熱性壁に適用した場合において顕著な効果を発揮することができる。
このような断熱性壁は、1種または2種以上の部材からなるものである。断熱性壁を構成する部材としては、基材のみの場合と、基材と断熱材を組合せた場合があり、例えば、軽量モルタル、軽量コンクリート、けい酸カルシウム板、ALC板、サイディングボード、石膏ボード、スレート板、コンクリート、モルタル等の基材;グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー等の繊維系断熱材や、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材等に例示される断熱材等が挙げられる。このうち、本発明における断熱性壁には、通常、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の部材が少なくとも1種含まれる。
本発明は、断熱性壁が熱貫流率の低い基材の場合や、少なくとも上述のような基材と断熱材との複合体によって構成される場合において特に効果的である。
なお、本発明における熱貫流率は、住宅金融公庫監修「木造住宅工事共通仕様書(解説付)」の付録4「熱貫流率の計算方法」に基づく計算値であり、以下の手順によって求められる値である。
(1)式1により、外壁を構成する各部材の熱伝導率と厚さから熱抵抗を算出する。
熱抵抗=厚さ/熱伝導率・・・(式1)
(2)式2により、各部材の熱抵抗と空気の熱抵抗(熱伝達抵抗)から熱貫流抵抗を算出する。
熱貫流抵抗=屋内側空気の熱抵抗+各部材の熱抵抗の合計+屋外側空気の熱抵抗・・・(式2)
(但し、屋内側空気の熱抵抗は0.11m・K/W、屋外側空気の熱抵抗は0.04m・K/Wとする)
(3)式3により、熱貫流抵抗から熱貫流率を算出する。
熱貫流率=1/熱貫流抵抗・・・(式3)
本発明における旧塗膜面は、有機質樹脂を結合剤とする塗料(以下、「有機系塗料」ともいう)によって形成された塗膜を有するものである。
有機系塗料としては、有機質樹脂を含む各種の塗料が挙げられる。具体的には、例えば、JIS K5654「アクリル樹脂エナメル」、JASS18 M−207「非水分散形アクリル樹脂エナメル」、JIS K5656「建築用ポリウレタン樹脂塗料」、JASS18 M−404「アクリルシリコン樹脂塗料」、JIS K5658「建築用ふっ素樹脂塗料」、JIS K5660「つや有合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5663「合成樹脂エマルションペイント」、JIS K5667「多彩模様塗料」、JIS K5668「合成樹脂エマルション模様塗料」、JIS A6909「建築用仕上塗材」の外装薄塗材E、可とう形外装薄塗材E、防水形外装薄塗材E、外装厚塗材E、複層塗材E、防水形複層塗材E、複層塗材RE、防水形複層塗材RE、複層塗材RS、防水形複層塗材RE等が挙げられる。
有機系塗料における有機質樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、ふっ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。本発明は、特に有機質樹脂が熱可塑性樹脂である場合において有利な効果を奏することができる。
有機系塗料における有機質樹脂の含有量は特に限定されないが、有機系塗料の固形分中に通常5重量%以上、好ましくは20重量%以上である。
有機系塗料によって形成される塗膜の厚みは、塗料の形態にもよるが、通常0.02〜10mm程度である。本発明では、特に塗膜が1mm以上の厚みを有する場合においても、改装後の塗膜膨れや剥れを防止することができる。このような厚膜の塗膜を形成する塗料としては、例えばJIS A6909「建築用仕上塗材」の外装厚塗材E等が挙げられる。
本発明における旧塗膜面は、このような有機系塗料の塗膜を有するものであれば単層塗膜であっても複層塗膜であってもよいが、本発明では、特に有機系塗料の塗膜が旧塗膜の屋外側最表面に存在する場合に、大きな効果を得ることができる。
本発明では、上述の旧塗膜面に対して着色塗料を塗付する。この着色塗料は、結合剤としてガラス転移温度(以下「Tg」ともいう)−20〜80℃の合成樹脂エマルションを含み、赤外線反射率が20%以上、水蒸気透過度が40g/m・24h以上の塗膜を形成するものである。このような赤外線反射性能と水蒸気透過性能を併有する着色塗料は、塗膜の温度上昇を抑制するとともに、塗膜内ないし基材内の水分を塗膜外に放散させることにより、塗膜の膨れ発生や剥れ発生等を長期にわたり十分に抑制する機能を発揮することができる。
着色塗料における合成樹脂エマルションとしては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
合成樹脂エマルションのTgは、−20〜80℃、好ましくは−5〜50℃である。合成樹脂エマルションのTgが−20℃より低い場合は、塗膜の膨れが発生しやすくなる傾向となる。また、耐汚染性が不十分となるおそれもある。Tgが80℃より高い場合は、旧塗膜の変位に追従できず、塗膜に割れが発生するおそれがある。なお、本発明におけるTgは、合成樹脂エマルションを構成するモノマーの種類とその構成比率から、Foxの計算式によって求められる値である。
本発明では、合成樹脂エマルションにおける樹脂として熱硬化性樹脂を使用することにより、膨れ防止性、剥れ防止性をいっそう高めることができ、さらに耐候性、耐水性等の塗膜物性を高めることもできる。熱硬化性樹脂としては、合成樹脂エマルション自体で架橋反応を生じるもの、あるいは別途混合する架橋剤によって架橋反応を生じるもののいずれであってもよい。熱硬化性樹脂における架橋反応性は、例えば、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルコキシシリル基どうし等の反応性官能基を組み合わせることによって付与することができる。
着色塗料による形成塗膜の赤外線反射率は20%以上(好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上)である。赤外線反射率が20%より低い場合は、改装後に膨れや剥れが発生しやすくなる。なお、本発明における赤外線反射率は、波長800〜2100nmの光に対する分光反射率を測定し、その平均値を算出することにより得られる値である。
着色塗料による形成塗膜の水蒸気透過度は40g/m・24h以上、好ましくは50g/m・24h以上である。着色塗料の形成塗膜がこのような水蒸気透過性能を有することより、塗膜内ないし基材内の水分が塗膜外に放散され、塗膜膨れ等の原因となる局所的な圧力上昇が抑制される。水蒸気透過度が40g/m・24h未満である場合は、改装後の塗膜に膨れや剥れが発生しやすくなる。
水蒸気透過度の上限は特に制限されないが、水蒸気透過度が大きすぎる場合は、遮水性が不十分となりやすく、旧塗膜に水が浸入するおそれがある。水蒸気透過度の上限は通常500g/m・24h以下、好ましくは200g/m・24h以下である。
なお、本発明における水蒸気透過度は、JIS K5400−1990「塗料一般試験方法」8.17「水蒸気透過度」の方法によって測定される値である。
本発明における着色塗料においては、上述のような赤外線反射性能と水蒸気透過性能を併有する限り、通常塗料に使用可能な成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、顔料、染料、骨材、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
本発明における着色塗料では、上述の合成樹脂エマルションに加え、赤外線反射性を有する顔料を含有することが望ましい。このような顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、シリカ、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。この中でも、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、及びアルミナから選ばれる1種以上が好適である。
この他、赤外線透過性を有する顔料を併用することもできる。このような顔料を併用することにより、塗膜の赤外線反射性能を阻害せずに様々な色彩を表出することが可能となる。赤外線透過性を有する顔料としては、ペリレン顔料、アゾ顔料、黄鉛、弁柄、朱、チタニウムレッド、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、コバルトブルー、インダスレンブルー、群青、及び紺青から選ばれる1種以上が好適である。
本発明では、上述のような顔料を適宜選択することにより、白色以外の色相においても顕著な効果を発揮することができる。
着色塗料の顔料容積濃度は2〜60%であることが望ましい。このような顔料容積濃度であれば、膨れ防止性や剥れ防止性等が高まるとともに、旧塗膜の変位に対する追従性を発揮することもできる。
着色塗料の塗装においては、スプレーガン、ローラー、刷毛等の塗装器具を使用することができる。
着色塗料の塗膜厚みについては、赤外線反射性能及び水蒸気透過性能が本発明の範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜200μmである。このような塗膜厚みであれば、旧塗膜の表面形状を十分に生かすことができる。
本発明では、上述のような着色塗料を塗り重ねることもできる。
また、着色塗料を塗装する前に、必要に応じ下塗塗料、下地調整塗材等を塗付しておいてもよい。ただし、この場合は本発明の効果を損なわないように、水蒸気透過性能を有する材料を使用する必要がある。
着色塗料を塗装した後には、透明塗料や半透明塗料等を塗付することも可能である。さらには、別の着色塗料を塗付することも可能である。このような場合においては、本発明の効果を損なわないように、赤外線透過性能及び水蒸気透過性能を併有する材料を使用する必要がある。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(実施例1)
スレート板(厚さ6mm)の片面に、アクリル系熱可塑性樹脂(Tg−40℃)、酸化チタン、炭酸カルシウム、寒水石、及びゴム粉を主成分とする外装厚塗材E(樹脂含有量22重量%)を玉状に吹付けた後、ミネラルスピリットを付けたプラスチックローラーで玉の凸部を押え、断面が台形状の凹凸を有する4〜8mmの塗膜を形成させ、これを促進耐候性試験機「アイスーパーUVテスター」(岩崎電気株式会社製)にて400時間曝露させたものを旧塗膜とした。
次いで、この旧塗膜に対し、塗料Aを乾燥膜厚が60μmとなるようにスプレー塗装した後、スレート板の裏面(塗装面と反対側の面)に住宅用グラスウール(厚さ100mm)及びスレート板(厚さ6mm)を順に積層することにより、試験体Aを作製した。なお、スレート板(厚さ6mm)・住宅用グラスウール(厚さ100mm)・スレート板(厚さ6mm)からなる積層体は断熱性壁に相当するものであり、その熱貫流率は0.39W/(m・K)である。
得られた試験体Aについて、塗膜面から40cmの距離から赤外線ランプ(出力250W)を8時間照射した後、その外観変化を目視にて観察した。その結果、試験体Aについて特に異常は認められなかった。
なお、実施例1における塗料Aは、樹脂A(アルコキシシリル基含有アクリル樹脂エマルション、Tg30℃)の固形分100容量部に対し、酸化チタンを3.5容量部、黄色酸化鉄を0.3容量部、弁柄を0.5容量部、フタロシアニンブルーを0.3容量部含有する、顔料容積濃度4%のグレー色の塗料である。
この塗料Aの赤外線反射率を分光光度計(島津製作所製「UV−3100」)にて測定したところ66%であった。赤外線反射率測定に供した試験板は、アルミ板に黒色塗料(アクリル樹脂の固形分100容量部にカーボンブラックを6容量部含むもの)を乾燥膜厚が60μmとなるように塗付した後、塗料Aを乾燥膜厚が60μmとなるように塗付することによって作製したものである。
一方、塗料Aの水蒸気透過度をJIS K5400−1990「塗料一般試験方法」8.17「水蒸気透過度」の方法によって測定したところ、その値は74g/m・24hであった。
(比較例1)
実施例1において塗料Aに代えて塗料Bを使用して試験体Bを作製した。
なお、塗料Bは、樹脂B(アクリル樹脂エマルション、Tg30℃)の固形分100容量部に対し、酸化チタンを3.8容量部、黄色酸化鉄を0.2容量部、弁柄を0.1容量部、カーボンブラックを0.4容量部含有する、顔料容積濃度4%のグレー色の塗料である。塗料Bの赤外線反射率は7%、水蒸気透過度は58g/m・24hであった。
得られた試験体Bに対し、実施例1と同様に試験を行ったところ、試験体Bでは塗膜に膨れが発生してしまった。
(比較例2)
実施例1において塗料Aに代えて塗料Cを使用して試験体Cを作製した。
なお、塗料Cは、樹脂C(溶剤可溶形アクリル樹脂、Tg30℃)の固形分100容量部に対し、酸化チタンを3.5容量部、黄色酸化鉄を0.3容量部、弁柄を0.5容量部、フタロシアニンブルーを0.3容量部含有する、顔料容積濃度4%のグレー色の塗料である。塗料Cの形成塗膜の赤外線反射率は66%、水蒸気透過度は26g/m・24hであった。
得られた試験体Cに対し、実施例1と同様に試験を行ったところ、試験体Cでは塗膜に膨れが発生してしまった。

Claims (9)

  1. 建築物外壁の屋外側に形成された旧塗膜面に対し、少なくとも1種の着色塗料を塗付する建築物外壁の改装方法であって、
    (1)外壁が、熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁であり、
    (2)旧塗膜面が、有機質樹脂として熱可塑性樹脂を結合剤とする塗料(以下、「有機系塗料」という)によって形成された1mm以上の厚みを有する塗膜を有するものであり、
    (3)着色塗料が、結合剤としてガラス転移温度−20〜80℃の合成樹脂エマルション、及び顔料を含み、顔料容積濃度が2〜60%であり、赤外線反射率が20%以上、水蒸気透過度が40g/m・24h以上500g/m・24h以下の塗膜を形成するものである
    ことを特徴とする建築物外壁の改装方法。
  2. 熱貫流率5.0W/(m・K)以下の断熱性壁が、基材と断熱材との複合体によって構成されることを特徴とする請求項1記載の建築物外壁の改装方法。
  3. 断熱性壁には、熱伝導率が0.5W/(m・K)以下の部材が少なくとも1種含まれることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  4. 旧塗膜面は、有機系塗料の塗膜が旧塗膜の屋外側最表面に存在するものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  5. 該有機系塗料における有機質樹脂の含有量は、該有機系塗料の固形分中に5重量%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  6. 着色塗料における合成樹脂エマルションの樹脂が、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  7. 着色塗料における合成樹脂エマルションが、アルコキシシリル基含有アクリル樹脂エマルションであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  8. 着色塗料における顔料として、赤外線反射性を有する顔料を含むことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
  9. 着色塗料における顔料として、赤外線反射性を有する顔料及び赤外線透過性を有する顔料を含むことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の建築物外壁の改装方法。
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