JP2002102680A - マイクロカプセル粉状体およびその製造方法 - Google Patents

マイクロカプセル粉状体およびその製造方法

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JP2002102680A
JP2002102680A JP2000298815A JP2000298815A JP2002102680A JP 2002102680 A JP2002102680 A JP 2002102680A JP 2000298815 A JP2000298815 A JP 2000298815A JP 2000298815 A JP2000298815 A JP 2000298815A JP 2002102680 A JP2002102680 A JP 2002102680A
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microcapsule
slurry
powder
microcapsules
water
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Yutaka Igari
裕 猪狩
Tsuneo Okamoto
恒夫 岡本
Yuji Hori
祐司 堀
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Kureha Corp
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性媒体中で形成された疎水性芯物質を熱硬
化性樹脂層で被覆してなるマイクロカプセルがそのスラ
リー状態で持つ、内容物放出速度制御あるいは持続的放
出効果、毒性内容物による薬害防止効果等を有効に維持
しつつ、その不活性成分としての水媒体から分離され、
被覆樹脂層の破壊ならびに凝集することなく乾燥された
マイクロカプセル粒子の集合体からなるマイクロカプセ
ル粉状体を得る。 【解決手段】 マイクロカプセル化工程を経て得られる
疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層で被覆してなるマイクロ
カプセルの水性スラリーを濾過してマイクロカプセル粒
子を回収する濾過工程と、濾過後のマイクロカプセル粒
子を水洗浄してマイクロカプセルスラリーを得る水洗工
程と、マイクロカプセルスラリーを空気とともに二流体
ノズルに供給して乾燥し、乾燥したマイクロカプセル粒
子を回収する乾燥工程と、を有する方法により、マイク
ロカプセル粉状体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温で固体または
液体の疎水性物質を含有するマイクロカプセルの乾燥粒
子集合体(粉状体)ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微粒子化した芯物質ないし内容物を、保
護し、あるいは外部への放出速度を制御する等の目的
で、マイクロカプセル化する方法が広く用いられてい
る。内容物としては、例えば農薬、医薬品、香料等の化
粧品、発色基剤、接着剤等が挙げられる。
【0003】このようなマイクロカプセルの一つの好ま
しい形態として、疎水性芯物質を、熱硬化性樹脂層で被
覆してなるものがある。これは、比較的強靭で芯物質の
放出速度制御性の良好な薄膜を与えるという熱硬化性樹
脂の特質を利用するものである。熱硬化性樹脂として
は、例えばメラミン樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、グ
アナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステ
ル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げ
られる。このような熱硬化性樹脂被覆マイクロカプセル
の多くは、水性媒体中での、物理的、物理化学的あるい
は化学的な膜形成過程を含むマイクロカプセル法によ
り、スラリー状態で得られる。好ましいマイクロカプセ
ルの例としては、上記熱硬化性樹脂として重縮合樹脂を
用いるものであり、疎水性芯物質の周囲に、それぞれ、
水溶性カチオニック変性物質、アニオニック界面活性剤
およびアミノ樹脂プレポリマーの重縮合物からなる被覆
樹脂層を有するマイクロカプセル(a)(例えば特公平
2−29642号公報に記載)、非水溶性モノマーの重
縮合物からなる被覆樹脂層を有するマイクロカプセル
(b)、および水溶性カチオニック変性アミノ樹脂とア
ニオニック界面活性剤とのコアセルベートの固化物質層
およびアミノ樹脂プレポリマーの重縮合物層、の逐次積
層体からなる被覆樹脂層を有するマイクロカプセル
(c)(例えば特願2000−4370号の明細書に記
載のもの)等が挙げられる。また、マイクロカプセル
(b)の例としては、多価アルコールおよび懸濁分散剤
としての水溶性高分子を含む水溶液中に、多価イソシア
ネートと芯物質とを含む疎水性溶液の液滴を分散させ、
通常5〜80℃、好ましくは40〜80℃の温度範囲で
0.5〜48時間、好ましくは12〜48時間かけて膜
形成した界面重合法によるマイクロカプセル等が挙げら
れる。上記のうちマイクロカプセル(a)と(c)は、
イン−サイチュ重合法によるマイクロカプセル化、マイ
クロカプセル(b)は界面重合法によるマイクロカプセ
ル化と分類することができる。
【0004】このような熱硬化性樹脂被覆マイクロカプ
セルは、従来、一般に乾燥したマイクロカプセル粉状体
として単離されることなく、上記のような重合法によっ
て得られたと同様なスラリー状態で製品として流通さ
れ、また使用に供されていた。これは、例えば芯物質が
農薬である場合、有毒物質であるマイクロカプセル化さ
れた農薬の人体に対する悪影響がスラリー状態であれ
ば、より緩和されるという利点もあるが、主たる理由の
一つとして、例えば5μm前後というような小粒径に形
成されたマイクロカプセルを、その被覆樹脂層の破壊を
起すことなく、マイクロカプセルスラリーから、安定的
に乾燥したマイクロカプセル粉状体として回収する技術
が確立されていなかったからである。例えば、マイクロ
カプセルスラリーからマイクロカプセルを回収する方法
として、エネルギー的には最も効率の良いと考えられる
濾過法を適用しても、小粒径マイクロカプセルがフィル
ターの目詰りを起しがちであり、被覆樹脂層の破壊を起
すことなく、乾燥したマイクロカプセル粉状体を回収す
ることは困難である。また、乾燥工程において、マイク
ロカプセル粒子の凝集を防ぐことも困難であり、そのま
ま乾燥すれば2〜10倍の粒径への凝集物が得られるに
過ぎない。このため、例えば感圧複写紙用の、発色基剤
を含むマイクロカプセルの場合にも、そのスラリー状態
から、乾燥粉体状態を経由することなく発色層形成用塗
材組成物中に配合されるのが通常であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マイク
ロカプセルスラリーにおいて、有効成分を含むのは通常
マイクロカプセル自体であり、分散媒としての水は、い
わば重量増を伴う付随物であるので、被覆樹脂層の破壊
や凝集を起すことなく、乾燥したマイクロカプセル粉状
体として回収することができれば、輸送や保管が効率化
されるのは云うまでもない。また仮にマイクロカプセル
スラリーとして使用に供されるとしても、流通過程にお
いては粉状体としてマイクロカプセルを保持し、使用地
において、再度水に分散して、所望の濃度のマイクロカ
プセルスラリーを形成することは好ましいことである。
また安定な状態に保持されたマイクロカプセル粉状体
は、例えば農薬としての散布のためにも、場合にもよる
が好ましい一態様であるといえる。
【0006】従って、本発明の主要な目的は、マイクロ
カプセルスラリーから被覆樹脂層の本質的な破壊を起す
ことなく、乾燥されたマイクロカプセル粉状体を安定的
に製造する技術を確立することにある。
【0007】本発明の他の目的は、上述の製造技術を通
して、凝集が少なく、流動性の良好なマイクロカプセル
粉状体を提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、固結および芯物質の
揮散を起すことなく安定なマイクロカプセル粉状体を提
供することにある。
【0009】本発明の別の目的は、必要に応じて水性媒
体あるいは有機溶媒に容易に分散されて安定な希釈懸濁
液を与えるとともに、光、熱、溶剤などに安定なマイク
ロカプセル粉状体を提供することにある。
【0010】本発明者らの研究によれば、上述の目的の
ために必要な本質的な改善が、被覆樹脂として薄膜でも
強靭な被覆樹脂層を与える熱硬化性樹脂を用い、マイク
ロカプセルスラリーからの回収工程を効果的に設計する
ことにより、得られることが見出された。
【0011】本発明のマイクロカプセル粉状体は、上記
知見を通じて得られたものであり、疎水性芯物質を熱硬
化性樹脂層で被覆してなるマイクロカプセル粒子の集合
物からなり、その集合状態における平均粒径Dvbが、
個々のマイクロカプセル粒子の平均粒径Dvcの1.6
倍以下であることを特徴とするものである。ここでDv
bがDvcの1.6倍以下であるとは、マイクロカプセ
ル粒子の凝集が極めて少ないことを意味する。
【0012】また、本発明のマイクロカプセル粉状体の
製造方法は、上記マイクロカプセル粉状体を与えるため
に開発されたものであり、マイクロカプセル化工程を経
て得られる疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層で被覆してな
るマイクロカプセルの水性スラリーを濾過してマイクロ
カプセル粒子を回収する濾過工程と、濾過後のマイクロ
カプセル粒子を水洗浄してマイクロカプセルスラリーを
得る水洗工程と、マイクロカプセルスラリーを空気とと
もに二流体ノズルに供給して乾燥し、乾燥したマイクロ
カプセル粒子を回収する乾燥工程と、を有することを特
徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のマイクロカプセル粉状体
を構成するマイクロカプセル粒子は、常温で固体または
液体の疎水性芯物質を、熱硬化性樹脂層で被覆してなる
ものである。その好ましい例としては、上記従来技術に
記したマイクロカプセル(a)〜(c)がある。なかで
も、イン−サイチュ重合法で形成されたマイクロカプセ
ル(c)は、強靭で且つ耐熱性に優れた被覆樹脂層を有
し、本発明に特に適したマイクロカプセルである。
【0014】また、常温で固体または液体の疎水性芯物
質の具体例としては、農薬ではクロルピリホス、エトプ
ロホス、NAC(カルバリル)、テルブホス、BPPS
(プロパルギット)、MEP(フェニトロチオン)、ダ
イアジノン、ジクロルボス、クロルベンジレート、プロ
パホス、エチルチオメトン、CVP(クロルフェンビン
ホス)、CVMP(テトラクロルビンホス)、クロルピ
リホスメチル、マラチオン、イミダクロプリド、ホスチ
アゼート等或いは天然ピレトリン、アレスリンその他の
合成ピレスロイド類の殺虫剤、プロベナゾール、イソプ
ロチオラン、IBP(イプロビンホス)、EDDP(エ
デフェンホス)、イミノクタジンアルベシル酸塩、イソ
チアゾロン、モノグリセリド、TPN(クロロタロニ
ル)、BCM(ベンズイミダゾール)、ジクロフルアニ
ド、TBZ(チアベンダゾール)チウラム、トリクロホ
スメチル、イプロジオン、フルトラニル、メプロニル、
ベンシクロン、亜酸化銅、カルプロパミド、アゾキシス
トロビン、プロペナゾール等の殺菌剤、EPTC(エプ
タム)、ブタクロール、オキサジアゾン、ベンタゾン、
DBN(ジクロベニル)、ピリブチカルブ、ACN(キ
ノクラミン)、アトラジン、アメトリン、ダイムロン、
テニルクロール、ナプロアニリド、ビフェノックス、ピ
プロホスブタミホス、ベスロジン、ベンチオカーブ、ト
リフルラリン、メフェナセット、モルネート、グリホサ
ート等の除草剤、8−ドデセン1−オ−ル、1−ドデセ
ン等の昆虫誘引剤がある。更に抗ウイルス剤、糸状菌お
よび線虫を利用した生物農薬及び植物成長調節剤等も用
いられる。農薬以外に、潤滑剤としてはギヤオイル、マ
シン油、シリコーンオイル、ワックス、流動パラフィン
等が、無機質材料としては酸化チタン、チタン酸バリウ
ム、トナー(磁性体粉)、フッ素樹脂(例えばPTFE
(ポリ四フッ化エチレン樹脂))等、発色基材としては
ロイコ染料、染料、顔料、印刷インキ、パラジウム化合
物(水素ガス漏洩検知剤)、ブロム化合物(アンモニア
ガス漏洩検知剤)等;その他触媒として、接着剤に加え
る硬化調整剤としてのPX(エチルフェニルジチオカル
バミン酸亜鉛)、ゴム中に加える耐候劣化防止剤(例え
ば、タイヤ、特に2層構造のタイヤ、及び靴底のゴム中
に加える)としてのDEP(ジエチルフタレート)、B
PO(ベンゾイルペルオキシド)、DBTL(ジブチル
チンジラウレート)、TMTD(チウラム)等;膨張剤
(揮発性有機溶媒)等、香料、医薬品等がある。
【0015】本発明で好適に用いられるマイクロカプセ
ルは、上記したように好ましくはイン−サイチュ重合法
により得られたマイクロカプセルスラリー中において、
平均粒径(Dvc)が1〜50μm、好ましくは2〜1
0μm、被覆樹脂層層が好ましくは0.05〜3μm、
のマイクロカプセルとして得られる。
【0016】本発明のマイクロカプセル粉状体は、上述
したようなマイクロカプセル粒子の集合物からなり、そ
の集合状態における平均粒径Dvbが個々のマイクロカ
プセル粒子の平均粒径Dvcの1.6倍以下であること
を特徴とするものである。Dvb/Dvc比は、好まし
くは1.20以下、更に好ましくは1.10以下であ
る。
【0017】なお、本明細書において、マイクロカプセ
ルの平均粒径Dvとは、以下の方法により求めた測定値
に準拠するものである。
【0018】すなわち、30ml共栓付き三角フラスコ
に0.01重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
(例えば花王社製「ネオペレックスNo.6」)水溶液
20mlを入れ、マイクロカプセルサンプルをマイクロ
カプセル含量が約2重量%となるように添加する。次い
で三角フラスコを常温で超音波洗浄器により1分間の分
散処理をした後、約10mlの分散液状サンプルをレー
ザ解析式粒径分布測定装置(堀場製作所製「LA−50
0型」)の試料パスに入れ、粒径分布(下限0.1μ
m)を測定し、これから体積平均粒径Dvを求める。
【0019】集合状態にあるマイクロカプセル粒子の平
均粒径Dvbは、試料マイクロカプセル粉状体をそのま
ま、上記マイクロカプセルサンプルとして用いて上記測
定を行えばよい。また個々のマイクロカプセル粒子の平
均粒径Dvcは、その対応するマイクロカプセルスラリ
ーを上記マイクロカプセルサンプルとして用いて測定す
ればよい。両者の比から、凝集度=Dvb/Dvc比が
得られる。
【0020】試料マイクロカプセル粉状体のみが得ら
れ、対応マイクロカプセルスラリーが得られない場合
は、マイクロカプセル粉状体の1000倍の走査型電子
顕微鏡写真(図5および6に例示)を1〜数枚用意し、
写真上において概ね推定される平均粒径の1/3以上の
径を有する一次粒子として確認できる任意に選択した約
100個以上の粒子について、個々の粒子径を測定し、
これから計算した個々のマイクロカプセル粒子基準の体
積平均粒径Dvc′を用い、これとレーザー法粒径分布
測定に基づく集合状態での体積平均粒径Dvbとの比D
vb/Dvc′により凝集度を求めればよい。
【0021】この方法により得られたDvb/Dvc′
比と、上記マイクロカプセルスラリーを用いて、Dvb
およびDvcとして、ともにレーザー法粒径分布測定に
より得られた値を用いて計算したDvb/Dvc比は、
概ね良好な一致を示すことが確認されている。
【0022】本発明のマイクロカプセル粉状体は、その
まま製品として、市場に供されるほか、必要に応じて希
釈成分と混合して製品化される。希釈成分は、使用され
るマイクロカプセル芯物質の分類に応じて選択すればよ
い。その例としては、粉状物としての機能性を付与する
ものの、例えば、水中での分散性を与える分散剤(界面
活性剤)、機械との摩擦および疎水性物質を均一散布さ
せるための、例えば鉱物質担体からなる増量剤、必要に
応じて、溶剤その他が挙げられる。より具体的には、以
下のものが挙げられる。
【0023】<分散剤>分散剤は、マイクロカプセル粉
状物と水とのなじみを良くし、水希釈時の分散を容易に
する等の目的のために、必要に応じて、加えられる。ア
ニオン性界面活性剤、例えば、リグニンスルホン酸塩、
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナ
トリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポ
リアクリル酸のナトリウム塩やアンモニウム塩、ポリカ
ルボン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合
物などを挙げることができる。これらの1種または2種
を混合して用いてもよい。
【0024】なかでもリグニンスルホン酸塩が好ましく
使用される。混合後の粉状体の全重量に対して、通常1
〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で用い
られる。
【0025】<増量剤>増量剤は、混合する場合に、マ
イクロカプセルや希釈成分間あるいは機械との摩擦を減
らし、マイクロカプセル膜への損傷を抑制するため、ま
た機械との剥離を良くする等の目的のために必要に応じ
て、加えられる。鉱物質担体、例えば、クレー、珪石、
珪砂、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、軽石、
珪藻土、硫酸カルシウム、バーキュライト、酸性白土、
ステアリン酸カルシウム、ゼオライト等が挙げることが
できる。これらの1種またはそれ以上を混合してもよ
い。
【0026】なかでも、クレーが好ましく使用される。
その使用量は、混合後の粉状体の全重量に対して、通常
10〜99.9重量%、好ましくは40〜95重量%の
範囲で用いられる。
【0027】製品マイクロカプセル粉状体中の芯物質含
量は、通常、粉状体全体の0.1〜90重量%、好まし
くは1〜60重量%である。
【0028】本発明のマイクロカプセル粉状体におい
て、例えば農薬マイクロカプセルの場合における散布回
数の低減、作業の省力化、又、生物活性の補強、つまり
防除効果の相乗的発現等を目的とし、粉状体の適用範囲
を広げるために、更に1種または1種以上の他の疎水性
物質を含有することができる。このような他の疎水性物
質としては、常温で固体または液体を問わず、疎水性の
化合物であればよい。
【0029】本発明のマイクロカプセル粉状体は、上述
したマイクロカプセル粒子の集合物として、Dvb/D
vc比が1.6以下、好ましくは1.2以下で代表され
る極めて凝集の少ない状態で得られる限りにおいて、任
意の製造方法により得られるものであるが、好ましく
は、本発明の製造方法により、以下のようにして製造さ
れる。
【0030】すなわち、上述したようなマイクロカプセ
ル化工程を経て得られる疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層
で被覆してなるマイクロカプセルの水性スラリーを濾過
してマイクロカプセル粒子を回収する濾過工程と、濾過
後のマイクロカプセル粒子を水洗浄してマイクロカプセ
ルスラリーを得る水洗工程と、マイクロカプセルスラリ
ーを空気とともに二流体ノズルに供給して乾燥し、乾燥
したマイクロカプセル粒子を回収する乾燥工程と、を経
て乾燥したマイクロカプセル粒子の集合物を得る方法が
採られる。
【0031】図1は、本発明のマイクロカプセル粉状体
の製造方法の特に好ましい一実施態様に従う製造工程図
を示す、以下、図1の工程図に沿って、本発明のマイク
ロカプセル粒状体の製造方法の特に好ましい一実施態様
を説明する。
【0032】(1)<マイクロカプセルスラリー>上述
したように、本発明で用いる疎水性物質を熱硬化性樹脂
層で被覆してなるマイクロカプセルは、好ましくは水性
媒体中での重縮合による被覆樹脂層形成工程を含むマイ
クロカプセル法により、マイクロカプセル水性スラリー
として得られる。このスラリー中でのマイクロカプセル
濃度(マイクロカプセルの総重量、すなわち被覆樹脂と
疎水性芯物質の合計重量を基準とした濃度)は、通常約
12〜35重量%、芯物質濃度は約10〜30重量%で
ある。マイクロカプセルは粒径(Dvc)が一般に1〜
50μm、好ましくは2〜10μmの範囲にある。
【0033】(2)〜(5)<濾過・水洗工程>本発明
者らの研究によれば、上述したようなマイクロカプセル
スラリーを単純に乾燥したのでは、マイクロカプセル粒
子の著しい凝集(平均粒径の2〜10倍の増大を伴う)
が起る。これは、重合後のマイクロカプセルスラリー中
に、マイクロカプセル被膜形成に寄与しない未反応樹脂
プレポリマー等の粘性物質が存在しており、これがスラ
リーからの乾燥時にマイクロカプセル粒子を凝集させる
性質を有するからである。この不都合を回避するために
は、マイクロカプセルスラリー中のこれら粘性物質を除
くのが効果的であり、このためマイクロカプセルスラリ
ーの水洗を行う。本発明の製法においては、このマイク
ロカプセルスラリーの水洗を特に効果的に行うために、
濾過および水洗を連続して行う。この濾過・水洗工程に
おいては、マイクロカプセル(被覆樹脂層)の破壊が極
力防止される必要があり、このためには各種濾過機中、
真空濾過機を使用することが好ましい。特に、好ましく
は、濾過後に引き続いてある程度の水洗・分散を容易に
実施可能な縦型のフィルターを備えた縦型濾過器中にマ
イクロカプセルスラリーを導入して濾過工程を行うこと
が好ましい。
【0034】(2)(濾過工程)図2は、上述した濾過
工程を行うに適した縦型濾過器の一例(ここでは濾過器
Aと称する)の該略図である。図2を参照して、縦型の
該濾過器Aは、頂板21aと底板21bで区隔された概
ね縦型円筒状の容器本体21の内部空間を、その底部近
傍で上部空間22と下部空間23に分割する仕切板24
を有し、上部空間には、それぞれ透水壁を有する複数の
細円管状フィルター要素25を垂直に配置し、その下部
を仕切板24に固定する形態で配置してある。更に、底
部には、中央において底板21bおよび仕切板24を貫
通して上部空間22へと連通する液体配管26、および
下部空間へと連通する側底部配管27が設けられてい
る。また頂部底板21aを貫通して、上部空間22の下
部へと連通する空気配管28および上部空間22の上方
に連通する側頂部配管29が設けられている。更に、下
部空間23には、上部で仕切板24を貫通してフィルタ
ー要素25の内部へと連通し、下端が底板21bより離
間して下部空間23へと開放されている逆洗ノズル(直
円筒管)30が配置され、また下部側壁には下部空間2
3と連通する下部側壁配管31も設けられている。
【0035】上記した細円管状フィルター要素25の好
ましい具体例としては、東京特殊電線(株)製から「M
Sフィルター」の名のもとに供給されるものがある。こ
の「MSフィルター」は、直円筒(より正確には波打多
角筒)状ステンレス製管の周囲にスリット状の透孔を巻
付け配置した形態を持つものであり、本来は、比較的少
量の固体粒子を含む排水を内部に導入し、固体粒子を除
いた濾液を前記スリット状透孔を通して外側へと排出さ
せ排水の浄化を図るべく開発されたフィルター要素であ
る。しかし、本発明では、このフィルター要素25を、
その外周からマイクロカプセルスラリーを供給し、内部
から濾液を排出させ、外周に付着したマイクロカプセル
を回収する態様で用いる(その詳細は後述する)。本発
明者らの検討によれば、この態様でのフィルター要素2
5の使用のためには、前記スリット状透孔の幅が、供給
するマイクロカプセルスラリー中のマイクロカプセルの
平均粒径Dvcの1.2〜4倍であることが効率的な濾
過工程の実施に極めて好ましいことが見出された。透孔
の幅が小さ過ぎれば、目詰りにより効率的な濾過が実施
できず、大き過ぎれば、無視できない量のマイクロカプ
セルがフィルター要素の内側に洩れ込み、濾液に混入し
て濾過効率を低下させる。また経験的に、フィルター要
素25は、濾過器Aの内側断面積の約5〜30%を占め
るような割合で且つ隣接するフィルター要素、濾過器A
の内壁および分散用空気配管28からの間隔ができるだ
け等間隔となるように配置することが好ましい。
【0036】上記図2の装置を使用して、本発明の製造
方法における濾過工程は、好ましくは以下のようにして
実施される。
【0037】すなわち、底部液体配管26の下端を原料
マイクロカプセルスラリーを収容した撹拌機付きマイク
ロカプセルスラリー槽(水洗浄槽、図示せず)の底部に
接続し、側底部配管29より排気して上部空間22内部
を減圧とし、これにより上部空間22中にマイクロカプ
セルスラリーを吸引導入する。これは、配管26を通し
てポンプによりマイクロカプセルスラリーを圧入するこ
とに伴うマイクロカプセルの破壊を避けるためである。
【0038】上記操作により、マイクロカプセルスラリ
ーが上部空間22に導入され、フィルター要素25の配
置された容積の所定割合を占めたらば、側底部配管27
を真空系へと接続して、マイクロカプセルスラリー中の
水をフィルター要素25、逆洗配管30および配管27
を通して選択的に排出する(濾過)。これによりフィル
ター要素25の外周には、マイクロカプセル粒子が付着
する。
【0039】適度に濾過が終った後、フィルター要素2
5の外周に付着したマイクロカプセル粒子は、今度は側
部配管31から、逆洗ノズル30を通じてフィルター要
素25中に導入された逆洗用水(3)によりフィルター
要素25外周より離脱され仕切板24上に落下する。逆
洗用水の側部配管31よりの導入と同時あるいはその前
後に、必要に応じて、側部配管31より逆洗空気を導入
して、同様に逆洗ノズル30を通ずる該空気の圧力によ
りフィルター要素25外周からのマイクロカプセル粒子
の離脱を促進してもよい。
【0040】上記操作の終了後、仕切板24上に落下し
たマイクロカプセル粒子を含むスラリーは、頂部配管2
8より上部空間22の下部へと導入された分散用空気の
作用によりマイクロカプセル粒子の分散を向上しつつ、
底部配管26より排出され、マイクロカプセル水洗浄液
が得られる。
【0041】(4)(水洗工程)上記説明から明らかな
ように、上記縦型濾過器を使用する濾過工程は、単にマ
イクロカプセル粒子を固形分として単離するものでな
く、それ自体洗浄されたマイクロカプセルスラリーを与
えるものである。しかし、より効率的な水洗浄を行うた
めに、上記濾過工程を経たマイクロカプセルスラリー
を、撹拌機付水洗浄槽に導入して、追加の洗浄水(3)
とともに撹拌して、追加の水洗工程を行うことが好まし
い。
【0042】(2)〜(4)(追加の濾過・水洗工程)
上記操作で所望の洗浄度が得られない場合には、更に上
記(2)〜(4)までの操作を、必要回数だけ繰り返
し、所望の水洗度を得る。
【0043】本発明の意図する効果的な濾過・水洗を実
施するため上記した濾過・水洗工程は1回以上、特に2
〜4回、行うことが好ましい(後記実施例1等に関する
表−2参照)。上記の濾過・水洗工程において、加えら
れる洗浄水(3)の量は、マイクロカプセル100重量
部当り、100〜900重量部、好ましくは200〜5
00重量部程度である。
【0044】(5)乾燥用スラリー調製上記濾過・水洗
工程を通じて、次の乾燥工程に供給するに適した濃度
(一般にマイクロカプセル濃度が約5〜45重量%、好
ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25
重量%程度)の洗浄済マイクロカプセルスラリー(5)
が得られる。
【0045】このような濃度のマイクロカプセルスラリ
ーが得られる限りにおいて、濾過・水洗工程の最終工程
は、濾過工程(2)あるいは水洗工程(4)のいずれで
あってもよいが一般的には水洗工程(4)が最終工程で
あることが好ましい。もっとも最後の水洗工程(4)
は、水洗というよりは次の乾燥工程(6)へ供給される
洗浄済マイクロカプセルスラリー(5)中のマイクロカ
プセル濃度調整がむしろ主たる目的となる。上記濾過・
水洗工程を通じてマイクロカプセルの損傷が殆ど認めら
れないことが確認されている。
【0046】[濾過器再生処理]上記濾過器Aの利点の
一つは、上記濾過・水洗工程を、フィルター要素25の
清掃のために濾過器本体を解体することなく、繰り返し
実施し得ることである。しかし単に上記濾過・水洗工程
を繰り返したのでは、徐々にフィルター要素25の目詰
りによる濾過工程度の低下が避けられない。このため、
濾過効率の低下(例えば1回の濾過操作に要する時間の
増大で判定できる)に応じて、側部配管31および逆洗
ノズル30を通して水および/または空気をフィルター
要素25中に導入し、外部へと流出させて、再生処理を
行う。
【0047】上記した説明から理解できるように、本発
明の濾過・水洗工程で好ましく利用される縦型の濾過器
Aは、本発明の方法で処理するマイクロカプセルスラリ
ーのように、壊れやすい固体粒子を、高濃度で含む
分散液を、固体粒子を損傷することなく、連続的
に、水(分散媒)と固体粒子に分離するために特に好適
に用いられるものであるが、上記〜の要件の全てで
なくとも、いくつかが要求される固−液分離処理には、
有効に利用し得るものである。すなわち水処理一般にお
いて広く効果的に利用される可能性があり、特に回収さ
れる固体粒子の経済価値が高いときの固−液分離には、
特に好ましく用いられる。そのような被処理物質の好ま
しい例としては、本発明のマイクロカプセルスラリー以
外にも、例えば顔料スラリー、無機物(カーボン繊維、
シリカ、アルミナなど)のスラリー等も挙げられよう。
【0048】(6)<乾燥工程>上記濾過・水洗工程を
経て得られた例えば5〜45重量%のマイクロカプセル
濃度を有する洗浄済マイクロカプセルスラリーを乾燥す
ることにより本発明のマイクロカプセル粉状体が得られ
る。
【0049】各種乾燥機が知られているが、乾燥中にお
けるマイクロカプセル被膜の破損ならびに過度の加熱に
よる脆弱化の防止、マイクロカプセルの凝集防止等の目
的のために、瞬間的な加熱乾燥を可能とする噴霧乾燥機
が好ましく、特に本発明の製造方法においては、二流体
ノズルを用いる噴霧乾燥が好ましく用いられる。図3
は、本発明で好ましく用いられるこのような二流体ノズ
ルを用いる噴霧乾燥装置系の説明図である。
【0050】図3を参照して、この乾燥装置は、コーン
状に収束した底部を有し且つ内部空間の上方に多孔板
(熱風分散板)32を備えた縦型円筒状の乾燥塔33の
頂部に二流体噴霧ノズル34を取り付けてなるものであ
り、乾燥筒33の若干小径化した下部空間の側壁には、
側方もしくは下方に開口35aを有する排風管35が設
けられ、ここからの製品マイクロカプセル粉状体を含む
排風はサイクロン36に導入され、製品マイクロカプセ
ル粉状体はサイクロン36の底部から回収されるように
なっている。
【0051】より詳しくは、マイクロカプセル濃度を調
整された洗浄済マイクロカプセルスラリー(5)は、洗
浄済マイクロカプセルスラリー槽中で適宜パドル翼等に
よる撹拌により分散状態に保持されつつ、二流体ノズル
34の液供給管34aに供給され、同時に空気供給管3
4bを通じて供給されたアトマイザー空気とともに二流
体ノズル34を通じて、乾燥筒33の内部空間に下向き
に噴霧される。同時に乾燥塔33の上部側壁からは配管
37を通して熱風が吹き込まれ、多孔板32を通して、
二流体ノズル34を通して分散され噴霧されたマイクロ
カプセルスラリーと混合される。噴霧されたマイクロカ
プセルスラリーは、乾燥筒33中を降下される2〜20
秒間という短時間での熱風との接触時間の間に極めて効
率的に乾燥され、乾燥されたマイクロカプセル粒子を含
む気流は、前記排風管35の中央開口35を通して、乾
燥塔33から排出される。次いでこの気流中のマイクロ
カプセル粒子は、この排風管35から供給されたマイク
ロカプセルの捕集機として機能するサイクロン36によ
り、排風機へと向かう排風と分離されて捕集され、捕集
されたマイクロカプセル粒子は、製品マイクロカプセル
粉状体としてサイクロン底部より回収される。
【0052】上記乾燥工程に供給されるマイクロカプセ
ルスラリー(5)中にもし凝集物がある場合には、それ
に作用する大なる重力により排風管35の中央開口35
aに流入することなく、底部に落下沈積することにな
り、この乾燥工程中に優先的に除去されることになる
(分級効果)。
【0053】上記噴霧乾燥工程中、管34aから供給さ
れるマイクロカプセルスラリー(5)に対し、容量にし
て1000〜7000倍、特に2000〜5000倍の
アトマイザー空気を管34bに供給することが好まし
く、配管37から供給される熱風は、通常100〜30
0℃、好ましくは150〜250℃程度の温度とし、そ
の流量は、排風管35から排出される気流温度が100
〜200℃、好ましくは110〜150℃の範囲となる
ように調節することが好ましい。
【0054】本発明においては二流体ノズル1本から噴
霧されるマイクロカプセルスラリー(5)の流量は、一
般に1〜50リットル/hr、好ましくは1〜10リッ
トル/hr、更に好ましくは2〜6リットル/hr程度
である。必要に応じて乾燥筒33の1筒につき、1本以
上、好ましくは1〜6本、更に好ましくは2〜4本の二
流体ノズル34を取り付けることができる。
【0055】上記のようにしてサイクロン36の底部よ
り回収されたマイクロカプセル粉状体(7)に対し、被
覆熱硬化性樹脂層の硬化の完了ないし硬化度の調整等の
目的で、更に80〜150℃、好ましくは90〜120
℃、程度の温度範囲で2〜4時間程度の付加的熱処理を
行うこともできる。
【0056】<後混合>図1を参照して、上記のように
して得られたマイクロカプセル粉状体(7)は、そのま
ま製品として市場に供し得るほか、前述したように必要
に応じて、増量剤(8)、分散剤(9)等の希釈成分と
混合して、製品マイクロカプセル粉状体混合物(13)
を得てもよい。
【0057】混合に際して、より好ましくは、先に希釈
成分を粉砕・混合機(10)で粉砕・混合し、均一な混
合物(11)を作成する。該混合物を混合機(12)に
入れ、その後マイクロカプセル微粉末を加え混合するこ
とにより、マイクロカプセル粉状体混合物(13)を得
ることができる。
【0058】上記で得られた製品粉状体(混合物)は、
一般には、前記疎水性物質の有効成分を0.1〜90重
量%、好ましくは1〜60重量%含有することができ
る。更に、マイクロカプセル粉状体に含有している有効
成分と相互作用を有する他の疎水性物質を混合物に含ま
せることもできる。
【0059】上述した、本発明の好ましい態様によるマ
イクロカプセル粉状体の製造方法は、図1のフローチャ
ートに要約される。
【0060】上記のようにして得られた本発明のマイク
ロカプセル粉状体あるいはその他成分との粉体混合物
は、そのまま散布、その他の態様での使用に供されるほ
か、再度水性媒体に分散して水性スラリーとして使用す
ることもできる。そのほか、乾燥状態のマイクロカプセ
ル粉状体を今度は有機溶媒中に分散させてスラリー化す
るか、あるいは有機溶媒に加えて他の成分と更に混合し
て有機質混合物として使用に供することも、熱硬化性樹
脂被覆層の優れた耐溶剤性を利用した好ましい態様とい
える。また塗料に混合して塗装して使用(例えば、ガス
漏洩検知剤)に供すること、あるいは、移植前に育苗箱
の苗上から均一に散布し、作業の省力化、周囲環境への
影響等を少なくする箱育苗施用という使用(例えば、苗
箱施工)に供することも、熱硬化性樹脂被覆層の優れた
耐溶剤性、耐候(光)性、徐放性を利用した好ましい態
様といえる。更に、各色発色基剤と膨張剤とを含む各色
マイクロカプセルを混合して基材紙上に塗布することに
より感熱感圧カラー記録紙を形成することも、熱硬化性
樹脂被覆層の優れた耐溶剤性を利用した好ましい態様と
いえる。
【0061】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を更に具
体的に説明する。以下の例中、「%」は、特に異ならな
い限り「重量%」を意味する。
【0062】まず、マイクロカプセル粉状体の製造に先
立つ、マイクロカプセルスラリーの製造例を記載する。
【0063】(製造例1)(マイクロカプセル(c)の
製造例) 実質的に図5に示す装置を用いて、特願2000−43
70号の明細書の実施例1の方法により、以下のように
マイクロカプセルスラリーを形成した。 (1)(第一被覆工程)芯物質(1)としては、45℃
で液状である殺虫剤クロルピリホス(ダウ・ケミカル社
製「レントレク」)を78.0kg/hで、アニオニッ
ク界面活性剤(2)としてドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム(花王社製「ネオペレックス」)の1%水溶
液を9.0kg/hで、それぞれ供給すべく用意した。
【0064】別途、水(4)110.0kg/h、水溶
性カチオニック変性尿素樹脂(3)(三井化学社製「ユ
ーラミンP−1500」)7.9kg/hおよび5%ト
リエタノールアミン水溶液(5)6.5kg/hを乳化
母液混合槽(7)に供給して混合し、更に、酸触媒であ
る5%クエン酸水溶液(6)でpH4.75になるよう
に調整した。このpH調整した50℃の混合液を、前記
芯物質(1)およびアニオニック界面活性剤水溶液
(2)とともに連続的に乳化分散機(8)(特殊機化工
業社製「TKハイラインミルHL−50型」)に供給
し、45℃において、形成される液滴の平均粒径が3〜
5μmとなるように分散条件を設定してコアセルベート
被覆芯物質粒子の分散液を得た。
【0065】(2)アミノ樹脂プレポリマーの生成 30%尿素水溶液(11)15.2kg/hと20%ト
リエタノールアミン水溶液でpH8.0に調整したホル
マリン(12)(37%ホルムアルデヒド水溶液)1
1.1kg/hを樹脂プレポリマー反応槽(13)に供
給し、撹拌操作しながら温度70℃で70分間滞留さ
せ、尿素樹脂プレポリマー(ホルムアルデヒド/尿素モ
ル比=1.8)を連続的に生成した。
【0066】別に、18%メラミン水希釈液(14)3
2.9kg/hと20%トリエタノールアミン水溶液で
pH8.0に調整したホルマリン(12)19.1kg
/hを樹脂プレポリマー反応槽(15)に供給し、撹拌
操作しながら、温度50℃で35分間滞留させ、メラミ
ン樹脂プレポリマー(ホルムアルデヒド/メラミンモル
比=4)を連続的に生成した。
【0067】(3)第二被覆工程(マイクロカプセル
化) (1)で形成された分散液と、(2)で生成された樹脂
プレポリマー生成液(13、15)を撹拌操作しながら
温度50℃で連続的に均一に混合し(9)、次に、混合
液を一段重縮合反応槽(10)に導入し、酸触媒である
10%クエン酸水溶液(16)でpH4.75に調整し
た。更に、約10分間滞留させた後に、50.0kg/
hの温水(4)を連続的に加え、撹拌操作しながら温度
50℃に保持し、30分間滞留させた後、更に二段重縮
合反応(18a)中、50℃で5時間撹拌操作した。次
に、槽(18b)中で酸触媒(17)である30%クエ
ン酸水溶液を供給し、pHを2.8に調整し、温度50
℃で5時間撹拌操作し、更に槽(18c〜18d)でそ
れぞれ温度50℃で5時間撹拌操作し、マイクロカプセ
ル化を完了し、体積平均粒径(Dv)4.5μmのマイ
クロカプセルスラリーを得た。
【0068】(製造例2)製造例1において、第一被覆
工程において温水(4)116.8kg/h、水溶性カ
チオニック変性尿素樹脂(3)(ユーラミンP−150
0)11.5kg/h、アニオニック界面活性剤(2)
(1%ネオペレックス水溶液)17.5kg/h、芯物
質(1)として発色基剤ロイコ染料油(ジイソプロピル
ナフタレン(呉羽化学社製「KMC−113」94重量
部にクリスタルバイオレットラクトン(山田化学社製
「CVL」)5重量部、ベンゾイルロイコメチレンブル
ー(山田化学社製「BLMB」)1重量部を溶解した染
料油)54.1kg/hに変えた以外は全て製造例1と
同様にして第一被覆工程を行った。また、尿素樹脂プレ
ポリマー生成用に30%尿素水溶液(11)32.3k
g/h、およびホルマリン(12)23.6kg/h、
メラミン樹脂プレポリマー生成用に18%メラミン水希
釈液(14)31.2kg/h、ホルマリン(12)2
2.8kg/hに変えた以外は全て製造例1と同様にし
て樹脂プレポリマーを生成した。以後は製造例1と同様
にして、Dv=3.9μmのマイクロカプセルスラリー
を得た。
【0069】(製造例3)製造例1において、第一被覆
工程において温水(4)208.8kg/h、水溶性カ
チオニック変性尿素樹脂(3)(ユーラミンP−150
0)8.6kg/h、アニオニック界面活性剤(2)
(1%ネオペレックス水溶液)10.0kg/h、芯物
質(1)として除草剤ジクロベニル(ユニロイヤル社製
「DBN」)84.0kg/hに変えた以外は全て製造
例1と同様にして第一被覆工程を行った。また、尿素樹
脂プレポリマー生成用に30%尿素水溶液(11)1
9.0kg/h、ホルマリン(12)14.0kg/
h、メラミン樹脂プレポリマー生成用に18%メラミン
水希釈液(14)30.8kg/h、ホルマリン(1
2)14.2kg/hに変えた以外は全て製造例1と同
様にして樹脂プレポリマーを生成した。以後は製造例1
と同様にして、Dv=7.1μmのマイクロカプセルス
ラリーを得た。
【0070】(製造例4)(マイクロカプセル(a)の
製造例) 実質的に特公平2−29642号公報記載の方法によ
り、以下のようにしてマイクロカプセルスラリーを製造
した。
【0071】メラミン樹脂プレポリマー650.0g、
尿素樹脂プレポリマー280.5g、ユーラミンP−1
500 75.5g、水110.0gおよび5%トリエ
タノールアミン63.0gの混合液を10%クエン酸水
溶液でpH4.75に調整した後、1%ネオペレックス
水溶液86.9gを加えた。この液とクロルピリホス7
50.0gを乳化分散機(特殊機化工業社製「TKホモ
ミクサー」)に加え、45℃において形成される液滴の
平均粒径が2〜8μmになるように撹拌操作した。その
後、形成された液滴を重縮合反応槽に移し、ゆっくり撹
拌しながら50℃に保持し、酸触媒である10%クエン
酸水溶液でpH3.8にした。1時間後水1066.5
gを加えた。更に5時間後酸触媒である30%クエン酸
水溶液でpH2.8に調整して18時間撹拌操作し、マ
イクロカプセル化を完了して、Dv=5.2μmのマイ
クロカプセルスラリーを得た。
【0072】なお、上記メラミン樹脂プレポリマーは、
メラミン74.1gと20%トリエタノールアミン水溶
液でpH8.0に調整したホルマリン238.8gおよ
び水338.0gを樹脂プレポリマー反応槽に供給し、
撹拌操作し、温度50℃で30分間反応させて生成した
ものである。また、上記尿素樹脂プレポリマーは、尿素
57.0gと20%トリエタノールアミン水溶液でpH
8.0に調整したホルマリン138.1gおよび水8
5.4gとを樹脂プレポリマー反応槽に供給し、撹拌操
作し、温度70℃で60分間反応させて、生成したもの
である。
【0073】(製造例5)(マイクロカプセル(C)の
製造例) 製造例1の第一被覆工程において、供給原料を、温水
(4)119.2kg/h、水溶性カチオニック変性尿
素樹脂(3)(ユーラミンP−1500)11.5kg
/h、アニオニック界面活性剤(2)(1%ネオペレッ
クス水溶液)17.5kg/h、芯物質として水素検知
剤(アクトリサーチ社製「HIT−46」;Pb担持酸
化チタンであり水素と反応して黒く発色する性質を有す
る)36.4kg/h、と変えた以外は全て製造例1と
同様にして第一被覆工程を行った。また、尿素樹脂プレ
ポリマー生成用原料を、30%尿素水溶液(11)2
2.8kg/h、ホルマリン(12)16.8kg/
h、メラミン樹脂プレポリマー生成用に18%メラミン
水希釈液(14)45.5kg/h、ホルマリン36.
1kg/hに変えた以外は全て製造例1と同様にして樹
脂プレポリマーを生成した。以後は製造例1と同様にし
てDv=3.8μmのマイクロカプセルスラリーを得
た。
【0074】[実施例1]実質的に図1に示す工程によ
り、以下のようにしてマイクロカプセル微粉体あるいは
粉体混合物を製造した。
【0075】すなわち製造例1により製造したクロルピ
リホスマイクロカプセル(Dvc=4.5μm)を20
重量%の割合で含むスラリー(1)をパドル翼の付いた
水洗浄槽に100重量部仕込み、50rpmの撹拌操作
をしながら30%水酸化ナトリウム水溶液を添加してp
H6に調整した(マイクロカプセル濃度=約18.6重
量%)。該スラリーを、実質的に前述した図2に示す構
造の真空濾過器A(2)に供給して、濾過操作を行い、
得られた仕切板24上のマイクロカプセル(含水率約5
0重量%のケーク状のもの)に、配管31から水20重
量部と空気を供給し、マイクロカプセルを分散させ、底
部配管26から水洗浄槽へと抜き出してマイクロカプセ
ル水分散液を得た。
【0076】次に、パドル翼の付いた水洗浄槽で50r
pmの撹拌操作をしながら上記で得たマイクロカプセル
水分散液に水40重量部を加え、更に30℃で1時間撹
拌操作し、マイクロカプセル水洗浄液を得た。再び、こ
のマイクロカプセル水洗浄液を同様な濾過器(2)によ
り濾過操作を行った。上記の水洗浄(4)および濾過操
作(2)を更に1回行い、濾過後のマイクロカプセル水
分散液(マイクロカプセル濃度約33重量%)を洗浄済
マイクロカプセルスラリー槽に抜き出し、更に水(3)
を加えて、クロルピリホスマイクロカプセル20重量%
を含む洗浄済マイクロカプセルスラリー(5)を得た。
【0077】次いで上記で得られた洗浄済マイクロカプ
セルスラリー槽中のマイクロカプセル濃度20重量%の
洗浄済マイクロカプセルスラリー(5)を図3に示す乾
燥装置系に供給して、乾燥処理を行った。乾燥機は、内
径1500mm、高さ6700mmの乾燥筒33の頂部
に、二流体ノズル34(スプレーイングシステムジャパ
ン社製「円型サイホンスプレーノズル」(液体用「10
0150」および気体用「180」の組合せ)4本
(組)を取り付けたものであり、マイクロカプセルスラ
リー(5)を、ノズル34に、20kg/hで連続的に
供給し、アトマイザー空気/マイクロカプセルスラリー
容量比が4000となるように配管34bから供給され
たアトマイザー空気とともにノズル34から下向きに噴
霧させ、更に乾燥器出口排風管35での温度が110〜
120℃になるように調整した熱風(約220℃、50
0Nm3/h)を配管37から供給して、マイクロカプ
セルスラリーの乾燥を行った。乾燥マイクロカプセル粒
子を含む気流は、排風出口35から補集機としてのサイ
クロン36に導入され、その底部には、本発明のクロル
ピリホスマイクロカプセル粉状体(7)が回収された。
他方、乾燥筒34の底部には、体積平均粒径が約30μ
mのマイクロカプセル粉状物の凝集物の混じったものが
およそ3重量%の割合で回収された。サイクロン底部で
回収されたマイクロカプセル粉状体の平均粒径Dvbは
4.6μmであり、Dvb/Dvc=4.6/4.5=
1.02と極めて凝集度の低い粉状体であることが確認
された。
【0078】[実施例2]製造例2により製造したロイ
コ染料油マイクロカプセル(Dvc=3.9μm)を1
4重量%の割合で含むスラリー100重量部を実施例1
と同様にpH6に調整した後、実施例1と同様にして水
洗浄・濾過操作を行い、ロイコ染料油マイクロカプセル
を20重量%含有する洗浄済マイクロカプセルスラリー
(5)を作成し、以後実施例1と同様にして乾燥を行
い、ロイコ染料油マイクロカプセル粉状体(Dvb=
4.1μm、Dvb/Dvc=1.05)を得た。
【0079】[実施例3]製造例3により製造したジク
ロベニルマイクロカプセル(Dvc=7.1μm)を2
0重量%の割合で含むスラリー100重量部を実施例1
と同様にpH6に調整した後、実施例1と同様にして水
洗浄・濾過操作を行い、ジクロベニルマイクロカプセル
を20重量%含有するマイクロカプセル供給液を作成
し、以後実施例1と同様にして乾燥を行い、ジクロベニ
ルマイクロカプセル粉状体(Dvb=7.3μm、Dv
b/Dvc=1.03)を得た。
【0080】[実施例4]製造例4により製造したクロ
ルピリホスマイクロカプセル(Dvc=5.2μm)を
25重量%の割合で含むスラリー100重量部を実施例
1と同様にpH6に調整した後、実施例1と同様にして
水洗浄・濾過操作を行い、クロルピリホスマイクロカプ
セルを20重量%含有するマイクロカプセル供給液を作
成し、以後実施例と同様にして乾燥を行い、クロルピリ
ホスマイクロカプセル粉状体(Dvb=5.3μm、D
vb/Dvc=1.02)を得た。
【0081】[実施例5]実施例1で得られたクロルピ
リホスマイクロカプセル粉状体(7)10重量部を、別
途、増量剤(8)としてクレー(フバサミクレー社製
「フバサミクレーA−300」)165重量部、分散剤
(9)としてリグニンスルホン酸ソーダ(竹本油脂社製
「ニューカルゲンWG4」)25重量部と共に粉砕・混
合機(10)(不二パウダル社製「アトマイザー」)に
供給し、12000rpmで10分間粉砕・混合し、
0.1mmφスクリーンで篩分して、均一な粉体混合物
(11)190重量部を得た。
【0082】次に、混合物(11)を混合機(12)
(不二パウダル社製「Vミキサー」)に供給し、これに
マイクロカプセル粉状体(7)を加えて均一混合し、本
発明のクロルピリホスマイクロカプセル粉状体混合物
(13)(Dv=8.8μm、マイクロカプセル含量=
約5重量%、芯物質含量=約4重量%)を得た。
【0083】[実施例6]実施例3で得られたジクロベ
ニルマイクロカプセル微粉末10重量部を、別途、増量
剤としてクレー135重量部、分散剤としてリグニンス
ルホン酸ソーダ10重量部、アルクルベンゼンスルホン
酸ソーダ(花王社製「ネオペレックスNo.6F」)5
重量部に変えた以外は、全て実施例5と同様にして、ジ
クロベニルマイクロカプセル粉状体混合物(Dv=9.
6μm、マイクロカプセル含量=約6.3重量%、芯物
質含量=約5重量%)を得た。
【0084】[実施例7]製造例5により製造された
「HIT−46」マイクロカプセル(Dvc=3.8μ
m)を10重量%の割合で含むスラリー100重量部を
実施例1と同様にpH6に調整した後、実施例1と同様
にして水洗浄・濾過操作を行い、「HIT−46」マイ
クロカプセルを20重量%含有するマイクロカプセル供
給液を作成し、以後実施例1と同様にして乾燥を行い、
HIT−46マイクロカプセル微粉末(Dv=3.7μ
m)を得た。
【0085】[比較例1]クロルピリホス10重量部、
増量剤としてクレー165重量部、分散剤としてリグニ
ンスルホン酸ソーダ25重量部と共に粉砕・混合機に供
給し、12000rpmで10分間粉砕・混合し、0.
1mmφスクリーンで篩分して、クロルピリホス粉状体
混合物(Dv=9.1μm、クロルピリホス含量=約5
重量%)を得た。
【0086】[比較例2]ジクロベニル10重量部、増
量剤としてクレー135重量部、分散剤としてリグニン
スルホン酸ソーダ10重量部、アルキルベンゼンスルホ
ン酸ソーダ(花王社製「ネオペレックスNo.6F」)
5重量部に変えた以外は、全て比較例1と同様にして、
ジクロベニル粉状物(Dv=10.2μm、ジクロベニ
ル含量=約6.2重量%)を得た。
【0087】[比較例3](乾燥工程が不適当な例) 製造例1で製造したクロルピリホスマイクロカプセル
(Dvc=4.5μm)を20重量%の割合で含むスラ
リー100重量部を実施例1と同様にpH6に調整した
後、実施例1と同様に水洗浄・濾過操作を行い、洗浄済
マイクロカプセルスラリー(5)(マイクロカプセル濃
度20重量%)を作成した。
【0088】次に、該マイクロカプセルスラリーをメン
ブレンフィルター(ミリポア製「ミリポア・メンブレン
フィルター」;目開き0.45μm)を通し真空濾過を
行い、マイクロカプセル(含水率約45重量%のケーク
状)を分離後、35℃熱風棚段乾燥器中で24時間で乾
燥処理を行った。得られた乾燥マイクロカプセル粉状体
はDvb=9.2μm(Dvb/Dvc=2.04)で
あり、著しい凝集を示していた。
【0089】すなわち、本発明法に従い、注意深く、濾
過・水洗工程を実施したとしても、乾燥工程が不適当で
あれば、凝集のないマイクロカプセル粉状体は得られな
い。
【0090】[比較例4](濾過水洗工程が不適当な
例) 製造例1で製造したクロルピリホスマイクロカプセル
(Dvc=4.5μm)を20重量%の割合で含むスラ
リー100重量部を実施例1と同様にpH6に調整した
後、真空濾過・洗浄装置(月島機械社製「パネビス水平
真空ベルトフィルター(250mm幅×3200mm長
さ)」)に該スラリー100リットル/hで供給し0.
5m/分で進行する水平ベルトフィルターを通して真空
濾過し、途中長手方向の3カ所において洗浄水を計30
リットル/hの割合でフィルター上のカプセルに散布
し、濾過・水洗洗浄操作を行った。洗浄後のマイクロカ
プセル粒子に水を追加して濃度調整しマイクロカプセル
を20重量%含む洗浄済マイクロカプセルスラリー
(5)を作成した。
【0091】以後、この洗浄済マイクロカプセルスラリ
ー(5)について、実施例1と同様にして乾燥処理を行
った。得られた乾燥マイクロカプセル粉状体は、Dvb
=8.6μm(Dvb/Dvc=1.91)であり、著
しい凝集状態にあった。
【0092】すなわち、本発明法に従い、乾燥工程が二
流体ノズルを用いて注意深く行われても、それに先立つ
濾過・水洗工程が不適当であれば、やはり凝集のないマ
イクロカプセル粉状体は得られない。
【0093】参考までに、上記実施例1および比較例3
で得られた乾燥クロルピリホスマイクロカプセル粉状体
の走査型電子顕微鏡写真(各1000倍)を、それぞれ
図6および図7として示す。
【0094】上記、マイクロカプセル化を経て得られた
実施例1〜4および7ならびに比較例3〜4の乾燥マイ
クロカプセル粉状体についての平均粒径(Dvb、Dv
c)および凝集度(Dvb/Dvc比)の測定結果をま
とめて、下表−1に示す。
【0095】表−1によれば本発明のマイクロカプセル
粉状体においては、マイクロカプセル粒子の凝集が比較
例のそれに比べて著しく少ないことが明らかに示されて
いる。
【0096】また、上記実施例1〜4および比較例3に
おいては、図1に示すように本質的に濾過、水洗の工程
を2回繰り返す(その後マイクロカプセル濃度調整のた
めの濾過および水添加工程が入る)方法で、濾過・水洗
処理を行っているが、上記各例において、水洗回数を変
化させた(比較例4については0回と1回のみ)後、各
例において記載したと同様な乾燥処理を行った後に得ら
れたマイクロカプセル粉状体の平均粒径Dvbならびに
凝集度(Dvb/Dvc比)を、測定した結果をまとめ
て、後記表−2に示す。表2の結果を見ると、水洗1回
でかなり良好な結果が得られるが、水洗を2回行うこと
により、ほぼ完全に乾燥工程におけるマイクロカプセル
粒子の凝集防止が可能なことがわかる。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】[比較評価試験]上記実施例1〜6で得ら
れたマイクロカプセル粉状体あるいはその混合物および
比較例1〜2で得られた粉体混合物について、比較のた
め、以下の特性を試験した。またいくつかの項目につい
ては、比較例3および4のマイクロカプセル粉状体およ
び製造例により得られた乾燥前のスラリー中のマイクロ
カプセルについても測定を行った。
【0100】(1)水中溶出性(製剤中の有効成分の水
中溶出性試験) 粉状体の徐放性(有効成分放出性)を評価するため、粉
状体試料を水中に分散し、経時的に有効成分の水中への
溶出性を、以下のようにして測定した。
【0101】すなわち、有効成分(芯物質)50mg相
当量を含む(マイクロカプセル)粉状体試料を、200
mlの共栓付き三角フラスコに採り、これに純水100
mlを加え密栓し、インキュベーター振盪器で30℃温
浴中で120往復/分で2分間振盪後、更に、30℃恒
温槽に静置し、一定時間毎に水相のみ一部を取り出し、
アセトニトリルを加え十分混合した。この混合液を、高
速液体クロマトグラフィーに注入し、水中に溶出された
有効成分の溶出量を測定した。同様の測定は、製造例
1、3および4の製造直後のスラリーについても、濃度
調整(有効成分50mg/100ml)した後、行っ
た。下式による計算結果を表−3に示した: 有効成分溶出率= 水中に溶出された有効成分量/三角フラスコに入れた粉
状体中の有効成分量×100(%) 結果:表−3の結果から明らかなように、本発明の実施
例1〜6のマイクロカプセル粉状体あるいはその混合物
は、それぞれの有効成分の水中溶出率の経過から徐放性
を有することが示される。これに対して、比較例1〜2
で得た粉状体は100%の水中溶出率に達するのに24
時間を要するのみであった。また実施例1、3および4
のマイクロカプセル粉状体が、乾燥前の対応する製造例
1、3および4のスラリー中のマイクロカプセルと同等
の徐放性を示すことから、本発明の製造方法における濾
過・水洗工程ならびに乾燥工程を通じて、マイクロカプ
セル被覆層の損傷が殆どないことがわかる。それに対し
て、製造例1のスラリーから出発しながら、乾燥工程が
不適当な比較例3および濾過・水洗工程が不適当な比較
例4のマイクロカプセル粉状体は、実施例1のそれに比
べて、有効成分放出速度が増大しており、カプセル被覆
層が損傷していることがわかる。
【0102】(2)安全性(毒性) 粉状体の人畜及び魚介類に対する安全性を、以下のよう
にして測定した。
【0103】その試験法は、人畜に対する毒性試験は急
性経口毒性試験には供試動物としてICR系雄マウス
(6週令)を用い、その5匹からなる各群について、農
林水産省の農薬の毒性指針(59農蚕第4200号)に
準じて試験を行ってLD50(半数到死量)を求めた。
【0104】又、魚介類の毒性試験は急性魚毒性試験に
は供試魚としてコイを用い1区10匹からなる各群につ
いて農林水産省農政局長通達40農政B第2735号に
準じて試験を行いTLm(median tolera
nce limit)を求めた。結果を表−4に示し
た。 結果:表−4に示す毒性試験の結果から明らかなよう
に、本発明のマイクロカプセル粉状体によれば、大幅に
有効成分の毒性が軽減されることが示される。つまり安
全性の高い粉状体であることを意味する。
【0105】(3)貯蔵安定性 粉状体を長期間貯蔵保存した場合の安定性を評価するた
めに、高温での苛酷試験に付し、以下のようにして測定
した。
【0106】試験方法は、アルミ箔袋に微粉末および粉
状物100gを入れ、40℃で放置し、一定時間毎にア
ルミ箔袋中から微粉末および粉状物を採取し、微粉末お
よび粉状物の外観状態を観察し、また有効成分の含量を
下記の方法により測定し、有効成分の分解度を測定し
た、結果を表5に示した。
【0107】(微粉末および粉状物)有効成分の分解
度測定 アルミ箔袋内から粉状体試料の有効成分0.2g相当量
を採取し、共栓付100ml三角フラスコに入れ、水5
ml、塩酸0.1mlとアセトン20mlを加え、冷却
管を取付50℃の湯浴上で60分間還流する。その還流
液を冷却後、内部標準溶液(フタル酸ジノルマルプロピ
ルアセトン溶液)を加え十分混合し、ガスクロマトグラ
フィーに注入し、採取した試料中の有効成分量を測定し
て、苛酷試験前の有効成分に対する割合を分解度として
表し、次式によって求めた: 分解度(%)= (苛酷試験前の有効成分量−アルミ箔袋から採取した有
効成分量)/苛酷試験前の有効成分量×100(%) 結果:表−5の結果から明らかなように、本発明のマイ
クロカプセル粉状体は、その有効成分の分解率の経過か
ら、多少の分解は認められたもののかなりの分解が抑制
され長期貯蔵保存しても安定であることが示される。
【0108】外観状態 まず、粉状体試料に安定性を観るため、アルミ箔袋中で
の粉の状態(形状)および粉からの有効成分の析出状態
を目視で観察した。また、臭気についても臭覚で観察し
た。 結果:表−5の結果から明らかなように、本発明のマイ
クロカプセル粉状体は粉の表面に有効成分の析出も認め
られなく、有効成分の揮散が大幅に抑制され分解は少な
く安定であることが示される。しかし、比較例で得られ
た粉状物は、アルミ箔袋内に有効成分の結晶が析出し、
粉同士の固結が見られ、作業性に悪影響を及ぼし、ま
た、薬害を引き起こす原因となる。
【0109】臭気については、本発明のマイクロカプセ
ル粉状体は多少の臭いが認められたもののかなりの軽減
がされている。一方、比較例で得られた粉状体は物質原
体と同様な強いメルカプタン臭および芳香臭があった。
【0110】(4)効力試験 粒状体の薬効、薬害を評価するため、以下のようにして
測定した。 白蟻に対する殺蟻効果を、以下のようにして試験し
た:その試験法は、ペトリ皿に有効成分換算30g/m
2の粉状体を散布し、60匹のイエシロアリ職蟻を30
分間接触させた後、湿潤ろ紙(純水2ml滴下)上に移
し、24時間及び48時間後の致死率を測定した。下式
による計算結果を表6−1に示した: 死亡率= 死亡したイエシロアリ数/ペトリ皿に放したイエシロア
リ数×100(%) 結果:表6−1から明かのように、本発明のマイクロカ
プセル粒状体は、マイクロカプセルしない比較例で得ら
れた粉状体と同等の致死率(24時間後100%)を示
した。つまり、徐放性カプセルでありながら短時間効果
も優れることを意味している。
【0111】スギナに対する除草効果及び残効性を評
価するため、以下のようにして試験した:すなわち、春
期スギナ優先圃場において、粉状体試料を水で10倍に
希釈し、その所定量(有効成分600g/10a、40
0g/10a、200g/10a)均一に散布処理し、
スギナの生育期(効力)及び後発生(残効性)を達観調
査した。下記算定基準に準じて処理後の茎葉処理効果を
発生被度で判断した。結果を表6−3に示した。 処理時期 :スギナ生育期 草丈30〜40cm 評価基準 100%:無処理前のスギナ被度 90 :19%以下の抑制 80 :20〜29%抑制 : : 10 :90〜99%抑制 0 :完全枯死(発生無し) 結果:表6−2の結果から明らかなように、本発明のマ
イクロカプセル粉状体は、生育期のスギナの除草効果
(枯死効果)及びその後の残効性が優れており、除草効
果及び残効性の高いことを意味する。又、薬量も比較例
で得た粉状体(水和剤)の約1/5程度に減少させるこ
とは可能であると見られる。従って、揮散性が抑制さ
れ、また徐放性があり、有効成分の投下量も大幅に減少
可能であり、環境への影響も少ない。
【0112】(5)耐熱性試験 粉状体の熱に対する安定性を評価するため、高温での耐
熱試験に付した。
【0113】その試験方法は、有効成分100mg相当
量を含む粉状体試料を、7cmφのステンレスシャーレ
に均一に散粉し、100℃、120℃、150℃、20
0℃の温度で3時間保持し、シャーレ上の有効成分の残
存量を測定した。また、外観については目視で観察し
た。分析は(3)貯蔵安定性試験に準じて行った。下式
による計算結果を表−7に示した: 試験後の有効成分量/仕込有効成分量×100(%) 結果:表−7の結果から明らかなように、本発明のマイ
クロカプセル微粉末および粉状物は、それの有効成分の
残存率の経過から、多少の分解は認められたもののかな
りの分解が抑制され、高温において安定であることを示
しており、耐熱性の高いことを意味している。
【0114】外観については、実施例1、4、および5
の芯物質がクロルピリホスについては200℃において
多少の着色が認められた。
【0115】(6)耐溶剤性試験 粉状体の溶剤に対する安定性を評価するため、有機溶媒
での耐溶剤性試験に付した。
【0116】その試験方法は、粉状体試料2gを、10
0mlの共栓付三角フラスコに採り、これに溶剤(アセ
トン、エチルアルコール)20mlを加え密栓し、イン
キュベーター振盪器で20℃温浴中で120往復/分で
2分間振盪後、更に20℃恒温槽に24時間静置した
後、溶剤をクロマトグラフィーに注入し、溶剤中に溶出
された芯物質の溶出量を測定した。下式により計算結果
を表−8に示した: (仕込有効成分量−溶剤中の有効成分溶出量)/仕込有
効成分量×100(%) 結果:表−8の結果から明らかなように、本発明のマイ
クロカプセル粉状体あるいはその混合物は、それぞれの
有効成分の溶剤への溶出率から、溶剤に対して安定であ
り、耐溶剤性の高いことを意味している。これに対し
て、実質的に実施例1と同様な構成でありながら、乾燥
工程が不適当な比較例3および濾過・水洗工程が不適当
な比較例4を経て得られたマイクロカプセル粉状体は、
有効成分保持率が低下しており、カプセル被覆層が損傷
していることがわかる。
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】
【表7】
【0122】
【表8】
【0123】(7)耐候性試験 実施例7で製造した水素検知剤「HIT−46」マイク
ロカプセル微粉末の光(太陽)に対する安定を評価する
ため、屋外での耐候性試験に付した。その試験法は、1
00mlビーカーに10重量%ポリビニルアルコール
(信越化学社製「ポバールMA−05」)水溶液24m
l入れ、マイクロカプセル微粉末サンプルをマイクロカ
プセル含量が約20重量%になるように添加した。ビー
カーにパドル翼を取付け、常温で15分間撹拌操作し、
マイクロカプセル塗布液を作成した。
【0124】次に、ガラス板の上に21mm×300m
mのコピー用紙を置き、マイクロカプセル塗布液を約3
mlをバーコーターを用いて塗布し、塗布紙を35℃の
熱風乾燥器中で約1時間乾燥し、マイクロカプセル塗布
紙を作成した。
【0125】対照として同様にマイクロカプセル微粉末
に変えてマイクロカプセル化しないHIT−46粉末を
用いて塗布紙を作成した。
【0126】それぞれの塗布紙を30mm×50mmの
大きさに切取り、屋外に放置し、経時的に塗布紙の変色
度合いを反射濃度計(マクベス社製「マクベス反射濃度
計RD−514型」)で白色:0.05、黒色:1.8
5を基準値として測定した。結果を下表−9に示す。 結果:表−9の結果から明らかなように、本発明のマイ
クロカプセル微粉末は、それの反射濃度から、耐候性に
優れていることがわかる。すなわち、屋外長時間保持後
においても、水素ガスとの反応による発色が容易に判別
でき、水素(ガス漏洩)検知剤としての機能を維持する
ことがわかる。
【0127】
【表9】
【0128】
【発明の効果】上記の通り、本発明によれば、水性媒体
中での重縮合によるマイクロカプセル化工程を経て形成
された疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層で被覆してなるマ
イクロカプセルのスラリーから、安定的に、乾燥状態で
凝集がなく且つマイクロカプセル被覆層の破壊のないマ
イクロカプセル粒子の集合物としてのマイクロカプセル
粉状体が得られる。得られたマイクロカプセル粉状体
は、固結あるいは芯物質の揮散を起すことなく、必要に
応じて水性媒体へ分散することにより、容易に安定な希
釈懸濁液が得られ、マイクロカプセル化後のスラリー中
で示す芯物質の良好な徐放性を維持することができる。
【0129】なお、上記において、本発明のマイクロカ
プセル粉状体およびその製造方法を、疎水性芯物質が農
薬である場合を主として説明したが、本発明は、これに
限らず、上記実施例2で用いた感圧発色紙を構成するロ
イコ染料、実施例7で用いた水素検知剤をはじめ、疎水
性芯物質の徐放性(あるいは放出制御性)を維持しつ
つ、これを安定的に熱硬化性樹脂層で被覆保持したマイ
クロカプセル粉状体が望まれる多様な用途に適用可能な
ことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロカプセル粉状体の製造方法の
一態様の工程図。
【図2】本発明の製造方法の濾過工程で好ましく用いら
れる縦型真空濾過器Aの縦断面図。
【図3】本発明の製造方法の乾燥工程で好ましく用いら
れる乾燥装置系の説明図。
【図4】マイクロカプセルスラリーの製造装置の一例の
フローチャート。
【図5】実施例1で得られたマイクロカプセル粉状体の
走査型電子顕微鏡写真(1000倍)。
【図6】比較例3で得られたマイクロカプセル粉状体の
走査型電子顕微鏡写真(1000倍)。
【符号の説明】
1:芯物質 2:アニオニック界面活性剤水溶液 3:水溶性カチオニック変性アミノ樹脂水溶液 6、16、17:酸触媒水溶液 7:乳化母液混合槽 8:乳化分散機 9:乳化液・アミノ樹脂プレポリマー混合槽 10:一段重縮合反応槽 11:尿素水溶液 12:ホルマリン 13:尿素樹脂プレポリマー反応槽 14:メラミン水希釈液 15:メラミン樹脂プレポリマー反応槽 18a〜18b:二段重縮合反応槽 21:濾過器本体(21a:頂板、21b:底板) 22:濾過器上部空間 23:濾過器下部空間 24:仕切板 25:フィルター要素 26:底部配管 27:側底部配管 28、29:気体系配管 30:逆洗ノズル 31:空気および水供給配管 32:多孔板(熱風分散板) 33:乾燥筒(乾燥機本体) 34:二流体ノズル(34a:液配管、34b:空気配
管) 35:乾燥機排風管 36:サイクロン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 29/50 C10M 171/06 29/66 B01J 13/02 K 29/90 B01D 29/10 501Z 29/94 510C B01J 2/04 520B C09B 67/08 530Z // C10M 171/06 29/24 F 29/38 510C 530A 29/42 501C 520 Fターム(参考) 4G004 EA02 EA06 EA08 4G005 AA01 AB14 AB15 BA03 BB02 BB06 BB12 BB15 BB24 DA04X DA16X DB01X DB02X DB03X DB22X DB27X DC13Y DC48Y DC50Y DC52W DD03Z DD34Z DD35Z DE02X EA02 EA03 EA05 EA06 EA10 4H011 AA01 AC01 BA01 BB06 BB17 BC04 BC05 BC06 BC07 BC18 BC19 DA06 DH05 DH10 4H104 EA08A QA27

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層で被覆し
    てなるマイクロカプセル粒子の集合物からなり、その集
    合状態における平均粒径Dvbが、個々のマイクロカプ
    セル粒子の平均粒径Dvcの1.6倍以下であるマイク
    ロカプセル粉状体。
  2. 【請求項2】 Dvb/Dvcの比が1.20以下であ
    る請求項1のマイクロカプセル粉状体。
  3. 【請求項3】 Dvb/Dvcの比が1.10以下であ
    る請求項1のマイクロカプセル粉状体。
  4. 【請求項4】 更に増量剤および分散剤と混合されてい
    る請求項1〜3のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  5. 【請求項5】 疎水性芯物質が農薬である請求項1〜4
    のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  6. 【請求項6】 疎水性芯物質が潤滑油である請求項1〜
    4のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  7. 【請求項7】 疎水性芯物質が無機質材料である請求項
    1〜4のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  8. 【請求項8】 疎水性芯物質が発色基剤である請求項1
    〜4のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  9. 【請求項9】 疎水性芯物質が触媒である請求項1〜4
    のいずれかのマイクロカプセル粉状体。
  10. 【請求項10】 マイクロカプセル化工程を経て得られ
    る疎水性芯物質を熱硬化性樹脂層で被覆してなるマイク
    ロカプセルの水性スラリーを濾過してマイクロカプセル
    粒子を回収する濾過工程と、濾過後のマイクロカプセル
    粒子を水洗浄してマイクロカプセルスラリーを得る水洗
    工程と、マイクロカプセルスラリーを空気とともに二流
    体ノズルに供給して乾燥し、乾燥したマイクロカプセル
    粒子を回収する乾燥工程と、を有するマイクロカプセル
    粉状体の製造方法。
  11. 【請求項11】 水洗工程と乾燥工程との間に、水洗工
    程からのマイクロカプセルスラリー濾過してマイクロカ
    プセル粒子を回収する第二濾過工程と、該マイクロカプ
    セル粒子を水洗浄してマイクロカプセルスラリーを得る
    第二水洗工程とを、更に有する請求項10の製造方法。
  12. 【請求項12】 乾燥工程に供給されるマイクロカプセ
    ルスラリー中のマイクロカプセル濃度が5〜45重量%
    である請求項10または11の製造方法。
  13. 【請求項13】 乾燥工程において、二流体ノズルにマ
    イクロカプセルスラリーの1000〜7000倍の容量
    の空気を供給する請求項10〜12のいずれかの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 乾燥工程において、二流体ノズルから
    の混合流が、縦型の空筒に排出され、該空筒の側壁から
    マイクロカプセルを含む気流を抜き出し、該気流から乾
    燥マイクロカプセルを回収する請求項10〜13のいず
    れかの製造方法。
  15. 【請求項15】 濾過工程において、概ね垂直に配置さ
    れたフィルターを内在させた縦型濾過器にマイクロカプ
    セルスラリーを導入して濾過を行う請求項10〜14の
    いずれかの製造方法。
  16. 【請求項16】 濾過工程において、縦型濾過器の底部
    よりマイクロカプセルスラリーを導入して濾過を行う請
    求項10〜15のいずれかの製造方法。
  17. 【請求項17】 濾過工程において、縦型濾過器の一端
    より空気を吸引して濾過器中にマイクロカプセルスラリ
    ーを導入する請求項10〜16のいずれかの製造方法。
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