JP2002097585A - バフ研磨性の優れた冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

バフ研磨性の優れた冷延鋼板の製造方法

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JP2002097585A
JP2002097585A JP2000289231A JP2000289231A JP2002097585A JP 2002097585 A JP2002097585 A JP 2002097585A JP 2000289231 A JP2000289231 A JP 2000289231A JP 2000289231 A JP2000289231 A JP 2000289231A JP 2002097585 A JP2002097585 A JP 2002097585A
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steel sheet
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rolled steel
pickling
acid
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JP2000289231A
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Yusuke Morita
有亮 森田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス熱延鋼板を母材として研磨性のよ
い冷延鋼板を製造する際に、所望の表面性状に母材を酸
洗する際の溶解Fe分を含めた酸濃度の管理方法を提供す
る。 【解決手段】 オーステナイトステンレス系ステンレス
熱延鋼板を、焼鈍・予備脱スケール処理後、硝酸20〜10
0g/l、弗酸:50〜200g/lの混合水溶液で酸洗する際、溶
解Fe濃度に対し浸漬時間 (秒) をFe 濃度が0〜10g/l
までは 浸漬時間=初期浸漬時間 Fe 濃度が10g/l 超では 浸漬時間=初期浸漬時間×{1+(Fe濃度−10) ×0.1 } で計算された時間以上で酸洗する。初期浸漬時間とは新
規に建浴した酸すなわちFe分0の状態での浸漬時間を表
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バフ研磨性の優れ
た冷延鋼板の製造方法、特にオーステナイト系ステンレ
ス鋼の冷延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼の冷延鋼
板は、熱延鋼板の焼鈍・予備脱スケールなどの前処理を
経てから、この熱延鋼板に酸洗を行った後、冷間圧延に
供して製造される。
【0003】このときの熱延鋼板の酸洗に際し、一般の
酸洗では硝酸5〜20%、弗酸1〜5%の混酸が用いられ
る。この濃度の酸洗の目的は、スケール直下のCr欠乏層
を活性溶解により除去することにある。この酸洗液は弗
酸の溶解力に頼っている。
【0004】一方、特公平3−60920 号公報では、弗酸
濃度75〜400g/lと高めることによりスケール直下のCr欠
乏層に加え、地金を全面溶解して、表面が平滑な熱間圧
延鋼板を得、これを冷間圧延することで表面光沢が良好
なBA材を得られることを開示している。
【0005】特開平11−131271号公報では、硝酸20〜10
0g/l、弗酸100 〜300g/lの酸洗液により地金部分まで溶
解することを開示しているが、これは熱延鋼板の光沢ム
ラを解消する方法である。大径ロールによって冷間圧延
を行うことで、冷間圧延後光沢ムラのない鋼板を得ると
の示唆も見られるが、本質的にこの方法は熱延鋼板の光
沢ムラの解消方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オー
ステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼板を母材として研磨
性のよい冷延鋼板を製造する方法を提供することであ
る。
【0007】より具体的には、本発明の目的は、所望の
表面性状に母材を酸洗してから冷間圧延を行うことで、
バフ研磨性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の冷
延鋼板の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明者らは、
上述の目的を達成すべく、種々検討を重ね、次のような
知見を得た。
【0009】本発明者は、特願平11−218105号におい
て、バフ研磨性の良好なオーステナイト系ステンレス鋼
板を製造するためには、熱延鋼板を 800〜1050℃で焼鈍
後、硝酸20〜100g/l、弗酸50〜200g/lの酸洗液で酸洗す
ることによりバフ研磨性が良好な冷間圧延用の母材を得
られることを提案している。
【0010】これは、研磨性が良好な冷延鋼板を得るに
は熱延板酸洗後の表面組織において、粒界溝形状を広く
溶解することにより、冷間圧延時に粒界に圧延油が封印
されることによる、孔状の欠陥を防止することにある。
酸洗時間を長くとると、溶解が進み平滑な表面になり、
冷延後もより良好な板が得られる。
【0011】しかし、そのあとの研究の結果、バフ研磨
性のみを求めるには、ここまでの溶解は必要とせず、一
定の量の表面溶解量で十分であって、それを超えた鋼板
表面の溶解はムダであることが判明した。
【0012】バフ研磨性は、冷間圧延時に粒界溝に圧延
油が封印されることによる孔状の欠陥が残留することに
より左右される。つまり、このような欠陥が多い鋼板は
バフ研磨後に梨の実の肌のような孔が見られ、これを除
去するため、深く研磨する必要があり、研磨性が悪い鋼
板と評価される。
【0013】従って、バフ研磨性が良好な鋼板とはバフ
研磨後に梨の実の肌のような孔が見られない鋼板のこと
をいう。本発明者はバフ研磨性が良好でかつ、経済的に
有利な酸洗方法を鋭意検討の結果、見出した。
【0014】すなわち、弗酸100g/l一定とし、各硝酸濃
度においてFe分だけを増加させた60℃の混酸500ml に2
mm×50mm×30mmの表面を研磨したSUS304鋼板を60秒浸漬
し、その重量変化から溶解速度を調べた。
【0015】この結果を図1に示す。Fe分が10g/l まで
は初期と差がないが、10g/l 以上になると急激に溶解力
が衰え、初期と同等の溶解量を得るまでの浸漬時間が長
くなる。その結果、Fe分が20g/l 溶解した時点では初期
の溶解量の1/2 まで低下した。
【0016】図2は、バフ研磨性が良好な冷延鋼板を製
造するためのオーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼板
に要求される断面形状を示す。図中の凹部は粒界溝であ
り、ここに冷間圧延時に圧延油が封入されることを避け
ればよい。従って、表面光沢を追求するDのような過剰
な酸洗は必要ない。Cのような断面形状をねらうことに
より、過剰溶解による素材歩留低下による生産性低下や
酸洗による産業廃棄物増加による環境問題等も回避でき
る。
【0017】かかる知見をまとめると次の通りである。 (1) 従来にあっても、熱延鋼板に酸洗を行ってから冷間
圧延を行ってきた。しかしながら、酸洗を重ね、液中に
溶解するFe分が増加すると弗化鉄が生成し、液の酸洗力
が衰える。このため、製造ラインでは液中のFe分が35〜
40g/l 程度増加すると新しい酸に更新して操業してい
た。
【0018】(2) 酸洗に続いて冷間圧延を行う場合に
は、熱延鋼板の酸洗液による溶解量が冷間圧延後の冷延
鋼板のバフ研磨性に大きく影響を与えることが判明し、
溶解量の正確な制御が重要であることを知った。
【0019】(3) 酸洗液による鋼板表面の溶解量は、酸
洗液に溶解しているFe量によって大きく影響を受け、酸
洗液のFe溶解量に応じた酸洗処理の制御が必要である。
図1は、酸洗液中のFe濃度とこれに一定時間 (60秒) 浸
漬したときの熱延鋼板の表面の溶解量 (μm/min)を示す
が、Fe濃度が増大するにつれ、ほぼ直線的に鋼板表面の
溶解量は低減している。
【0020】(4) 図2は、熱延板の酸洗により鋼板表面
がどのように変化して行くかを模式的に示す説明図であ
り、図中、熱間圧延ままでは、鋼板表面にスケールが発
生しており、その直下にCr欠乏層が存在している。脱ス
ケールを行うと、粒界に沿ってクラックが発生し、これ
を酸洗すると、脱スケール後の鋭いクラックが丸みを帯
びてくる。このCの状態で冷間圧延を行うと、研磨性の
良好な冷延材が得られる。
【0021】一方、熱延材の段階で表面光沢ムラを消失
させるには、図中、Dで示すように、さらに鋼板表面の
溶解を行って、可及的平坦な鋼板表面とするのである。
もちろん、このような状態にすることで、冷間圧延を行
っても研磨性に優れた冷延鋼板が得られる。
【0022】(5) 前述の先願に開示された方法では、こ
のような高い弗酸濃度の酸洗液での溶解しているFe分の
影響については何らの認識も開示もない。ここに、本発
明は、上述のような知見に基づいて完成されたものであ
って、オーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼板を、例
えば焼鈍・予備脱スケール処理等の適宜前処理を行った
後、硝酸20〜100g/l、弗酸:50〜200g/lの混合水溶液か
ら成る酸洗液でで酸洗する際、酸洗液への溶解Fe濃度に
対し熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間をFe 濃度が0〜10g
/l までは 浸漬時間=初期浸漬時間 Fe 濃度が10g/l 超では 浸漬時間=初期浸漬時間×{1+(Fe濃度−10) ×0.1 } で計算された時間 (秒) 以上で酸洗し、次いで冷間圧延
を行うことを特徴とする、バフ研磨性の優れたオーステ
ナイト系ステンレス鋼の冷延鋼板の製造方法である。
【0023】本発明において、冷間圧延の条件は特に制
限されないが、好ましくは、圧下率50%以上の条件で行
う。ここに、バフ研磨性とは、冷間圧延もしくは調質圧
延後の表面を例えばCr系の磨き粉を付与した布を回転さ
せて磨く研磨機において、市場流通レベルまでの光沢が
出る研磨度の大小であり、一定量磨いた場合の光沢レベ
ルで評価される。
【0024】
【発明の実施の形態】このように、本発明は、オーステ
ナイトステンレス系ステンレス熱延鋼板を、焼鈍・予備
脱スケール処理後、所定濃度の酸洗液に浸漬すること
で、表面を一部溶解して所定平滑さとしてから、冷間圧
延を行うのであるが、その際に酸洗液での鋼板表面溶解
量を正確に規定することで、最終的に得られる冷延鋼板
の優れた研磨性をもっとも経済的な手段で実現するので
ある。
【0025】また、ステンレス鋼の溶解形態には、粒界
のみが溶解する粒界型と全体に溶解する全面型が知られ
ているが、酸・Fe濃度による明確な差異は知られていな
い。そこで、発明者は溶解量変化とともに、表面の断面
形状・ならびに冷間圧延・焼鈍酸洗後調質圧延後の研磨
性評価までを行った。
【0026】このことから、溶解力を維持するために
は、Fe分が増加した時点で、浸漬時間を調整することに
より初期と同様の溶解ができ、バフ研磨性の優れた冷延
板用ステンレス熱延鋼板が製造できるという結論に達し
た。
【0027】すなわち、酸濃度を調節しながら、Fe 濃
度が0〜10g/l までは 浸漬時間=初期浸漬時間 Fe 濃度が10g/l 超では 浸漬時間=初期浸漬時間×{1+(Fe濃度−10) ×0.1 } の浸漬時間 (秒) をとることで、酸洗液に熱延鋼板を浸
漬して酸洗を行い、次いで冷間圧延を行い、さらに必要
により酸洗および調質圧延を行うことで、バフ研磨性が
良好なオーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼板の酸洗
ができる。
【0028】浸漬時間は長く取る程有効ではあるが、経
済性、生産性の面から研磨グレード3.5 以上が確保でき
れば目的は達せられるため初期浸漬時間×{1+(Fe濃度
−10) ×0.1 }+60 (秒) を上限とするのが好ましい。
【0029】
【実施例】本例ではオーステナイト系ステンレス鋼の熱
延鋼板を用意し、これを、硝酸50g/l 、弗酸140g/l、60
℃の酸洗液で酸洗処理を行った。その際に酸洗液の鉄分
濃度と浸漬時間を変化させた。得られた酸洗済み熱延鋼
板に圧下率55%の冷間圧延を行ってから、焼鈍そして再
び酸洗を行い、調質圧延を行った。
【0030】図3は、調質圧延後の2B 材の研磨性の評
価結果を示す。研磨グレードとは、供試材をCr酸化物系
の磨き粉を付与した布を800rpm程度で回転させたものを
1パス磨き、表面肌の光沢を (光沢低) 1〜5 (光沢高
−鏡面レベル) にグレード分けした標準板との比較によ
り、評価した。
【0031】この評価で市場流通下限レベルはグレード
3と評価され、これ以上を合格範囲とした。Fe濃度が10
g/l までは初期の条件で、研磨性が良好な製品が得られ
たが、Fe分が10g/l 以上では、浸漬時間を 浸漬時間=初期浸漬時間×{1+(Fe濃度−10) ×0.1 }
(秒) と延長しないとバフ研磨性は満足した結果は得られなか
った。
【0032】
【発明の効果】本発明により、長時間酸洗を続け、Feが
増加した場合でも、浸漬時間を増加することにより、バ
フ研磨性を確保できるため、有効に酸を使用でき、製造
コストを抑えることで安価な製品を供給することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸洗液における溶解Fe分と溶解速度の関係を示
すグラフである。
【図2】熱延鋼板の表面形態および酸洗後の同じく表面
形態を示す模式的説明図である。
【図3】実施例の結果を示す、酸洗液のFe濃度と浸漬時
間による冷間圧延・焼鈍酸洗後の冷延鋼板の研磨性評価
のグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼の熱延鋼
    板を、硝酸20〜100g/l、弗酸:50〜200g/lの混合水溶液
    から成る酸洗液で酸洗する際、該酸洗液での溶解Fe濃度
    に対し上記熱延鋼板の酸洗液への浸漬時間をFe 濃度が
    0〜10g/l までは 浸漬時間=初期浸漬時間 (秒) Fe 濃度が10g/l 超では 浸漬時間=初期浸漬時間×{1+(Fe濃度−10) ×0.1 }
    (秒) で計算された時間 (秒) 以上で酸洗してから冷間圧延を
    行うことを特徴とする、バフ研磨性に優れたオーステナ
    イト系ステンレス鋼の冷延鋼板の製造方法。ただし、初
    期浸漬時間とは新規に建浴した酸洗液、すなわちFe分0
    の状態での酸洗液への浸漬時間 (秒) を表す。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7126104B1 (ja) * 2021-03-26 2022-08-26 Jfeスチール株式会社 焼鈍酸洗鋼板の製造方法
WO2022201686A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 Jfeスチール株式会社 焼鈍酸洗鋼板の製造方法

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JP7126104B1 (ja) * 2021-03-26 2022-08-26 Jfeスチール株式会社 焼鈍酸洗鋼板の製造方法
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