JP2002092954A - 光学記録媒体 - Google Patents

光学記録媒体

Info

Publication number
JP2002092954A
JP2002092954A JP2000274718A JP2000274718A JP2002092954A JP 2002092954 A JP2002092954 A JP 2002092954A JP 2000274718 A JP2000274718 A JP 2000274718A JP 2000274718 A JP2000274718 A JP 2000274718A JP 2002092954 A JP2002092954 A JP 2002092954A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
optical recording
refractive index
recording medium
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000274718A
Other languages
English (en)
Inventor
Sakuya Tamada
作哉 玉田
Yuuichi Satobi
裕一 佐飛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000274718A priority Critical patent/JP2002092954A/ja
Publication of JP2002092954A publication Critical patent/JP2002092954A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的小さな屈折率を有する有機色素材料を用
いて、再生信号を増大する膜構成を選定し、安価で高密
度記録可能な光学記録媒体を提供する。 【解決手段】基板11と、基板11に形成され、基板1
1の屈折率よりも高屈折率の第1膜14Hと、第1膜1
4H上に形成され、第1膜14Hの屈折率よりも低屈折
率の第2膜14Lと、第2膜14L上に形成され、レー
ザ光を吸収して物理的変化あるいは化学反応することに
よって、屈折率の変化する有機物質よりなる光学記録膜
12と、光学記録膜12上に形成された保護膜13とを
有し、保護膜側13から光学記録膜12に記録または再
生用のレーザ光Lが照射されて用いられる構成とする。
さらに光学記録膜12と保護膜13の間に光学記録膜1
2の屈折率よりも低屈折率の第3膜15Lと、第3膜1
5L上に形成され、第3膜15Lの屈折率よりも高屈折
率の第4膜15Hとを有する構成としてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報を光学的に記
録する光学記録膜を有する光学記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光学情報記録方式は、再生専用型や追記
型、書き換え可能型のそれぞれのメモリ形態に対応で
き、非接触で記録再生が行えること、光記録媒体が記録
再生装置から容易に取り外し持ち運び可能(リムーバ
ル)であること、ランダムアクセスが可能で高記録記録
再生が達成できることなど数々の利点を有し、安価な大
容量ファイルを実現し得るものとして、産業用から民生
用まで幅広い用途がある。
【0003】さらに、VTRのデジタル化やハイビジョ
ンTV(HDTV)等に対応できる容量を確保すべく、
記録密度の更なる向上が求められるようになっている。
一方、操作上の都合から、光メモリのサイズの小型化も
求められており、このような要求からも記録密度のさら
なる向上が望まれている。
【0004】ここで、光学記録媒体(以下、光ディスク
ともいう)の記録密度を向上させる手段としては、記録
パターンの微細化、例えばピットの周期を短くすること
がまず考えられる。しかし、再生光学系にはスポット径
をそれ以上に小さくできない回折限界λ/2NA(λ:
再生光波長、NA:光学系の対物レンズ開口数)がある
ことから、ピットの周期があまり短くなると、再生スポ
ット内に複数のピットが重複して存在するといった状況
が起き、情報信号が再生できないという不都合が生じ
る。すなわち、再生装置には再生光学系で決まる分解能
の指標となるMTF(Modulation Tran
sfer Function)のカットオフ空間周波数
がある。
【0005】このため、再生光を短波長することによっ
て再生光の回折限界を向上させる試みがなされている。
従来の、波長780nm、あるいは波長630nmの赤
色半導体レーザを用いる代りに、非線型光学材料の導波
路を用いた半導体レーザの直接2倍高調波(波長425
nm)、窒化物半導体InGaNを用いた波長約400
nmの青紫色半導体レーザを用いた光ディスクシステム
の研究開発が行われている。
【0006】さらには、ピット周期の短い記録パターン
に対応できるように、光学系の対物レンズの開口数NA
を大きくする、より具体的には0.78以上にすること
がなされている。
【0007】従来の記録可能な光学記録媒体の一種であ
る、たとえば、追記型光ディスクについて説明する。図
17の断面図に示すように、例えば厚さ1.2mmの透
明な基板11の片面に、案内溝を刻んで信号記録部が形
成され、この信号記録部の外側に光学記録膜12が形成
されており、さらに光学記録膜12を被覆して保護膜1
3が形成されて、光ディスクDが構成されている。光学
ピックアップ用の対物レンズOLで集光されたレーザ光
Lは、基板11を通して、上記情報ピットまたは案内溝
に照射される。
【0008】この場合、基板11の厚みは、応力や熱、
湿度によって生じる変形、特にスキューと呼ばれる傾き
と、情報ピット上に集光されるレーザビームの性質、特
にコマ収差との関係に敏感である。また、ディスクのス
キューが一定であるとした場合、厚みの薄い光透過膜の
方が収差の少ないスボットになる。上記傾向、すなわち
一定のディスクスキューに対するスポットの収差量およ
びこれによって生ずる再生信号の劣化の度合いが顕著に
表れ、現状の1.2mmの基板11は、ガラス基板等の
非常に平らで変形しない物質を用いる以外に解決策がな
くなる。
【0009】この間題を解決するために、また高密度記
録を目指して波長400nm付近の短波長レーザ光源に
対応するために、図18の断面図に示すような相変化型
書き換え可能な光学記録媒体(光ディスク)の開発が行
なわれている。例えば厚さ1.2mmの基板11の片面
に、案内溝を刻んで信号記録部が形成され、この信号記
録部の外側に光学記録膜12が形成されており、光学記
録膜12を被覆して、光透過性の保護膜13が形成され
て、光ディスクDが構成されている。光学ピックアップ
用の対物レンズOLで集光されたレーザ光Lは、保護膜
13を通して、上記情報ピットまたは案内溝に照射され
る。
【0010】レンズOLの開口数NAが0.78以上と
し、光を透過させる保護膜13の厚さを薄く、好ましく
は10〜177μmとした媒体が提案されている(K.
0sato et al.,Digest of 0p
tical Data Storage(Aspen.
Colorado,1998)p.131)。この場
合、この光を透過させる保護膜13は紫外線硬化樹脂に
より形成されるか、あるいは、ポリカーボネートやガラ
ス板などの透明な平板を透明接着層を介して光学記録膜
12上に設けて形成される。
【0011】また、Ge2 Sb2 Te5 やAgInSb
Teなどの相変化記録材料を用いた書き換え可能な光デ
ィスクの反射率は15%〜20%程度である。上記のよ
うな無機材料である相変化記録材料における記録膜の吸
収係数が大きいため、原理的に反射率を高く設定するこ
とができない。
【0012】このようなことから、記録可能な次世代高
密度光ディスクの規格は低反射率を基本的な規格として
盛り込む必要性があると考えられる。さらに近年、CD
−ROMの急速な普及に伴い、シアニン系色素を用いた
追記型でより安価なCD−Rの需要も潜大している。現
在、赤色の半導体レーザを光源とするDVD(Digi
tal Versatile Disc)用の有機光デ
ィスクの開発が行なわれており、青色光源用の有機色素
材料の研究開発もすでに進められている。
【0013】従来CD−Rは、CDおよびCD−ROM
との互換性を得るために、反射率は70%以上になるよ
う設定されている。同様にDVDにおいても反射率は6
5%以上になるよう規格化されている。従って上に述べ
たように、書き換え可能型とROMの間には完全互換性
がない。
【0014】また、従来のCD−Rの記録エリアはグル
ーブ上のみであった。この場合、そのグルーブ幅は、ラ
ンド部より狭く設定されるものであり、このグルーブに
対するレーザ光照射はランド部にも跨って照射される。
このCD−Rにおいては、上述したように、その反射率
が高く設定されていて記録の有無にかかわらず、その反
射率は60%以上となされ、ランドとグルーブの双方か
らの反射を同時に検出して、それぞれからの反射光の位
相のずれから生じる干渉効果を利用して実効的な反射率
の変化、すなわち位相変調方式によって記録情報の読み
出しを行う。従って、このCD−Rでは、ランドとグル
ーブの双方に独立に記録を行う、いわゆるランド・グル
ーブ記録形態をとることはできないものである。
【0015】また、一方、高密度化は情報保持層の多層
化によっても実現される(Kurokawa et a
l.,Digest of Internationa
lSymposium on 0ptical Mem
ory/0pticalData Storage(K
oloa,Hawaii,1999)p.197)。こ
れを実現するためには、各層の反射率を低く抑え、同時
に透過率を高くする必要がある。しかし、一般に無機材
料による書き換え可能型光ディスクの光学記録膜は、吸
収係数が高く透過率が低いことから、3層以上の多層化
を実現することは困難であった。
【0016】上記の光ディスクについて、ディスクの製
造コストを削減する観点からは、光ディスクに採用する
光学記録膜は有機色素光学記録膜単層であることが最も
望ましい。しかしながら、ディスクの反射率の調整や耐
久性を向上するために、金属反射膜や誘電体の透明保護
膜が設けられることが多い。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光ディスク
の光学記録膜として有機色素光学記録膜を採用する場
合、ディスクの記録前の反射率15〜20%を得ようと
すると、例えば、有機色素の屈折率を2.3以上にする
(出願2000−086687号参照)など、有機色素
の屈折率はかなり高いものが必要になってしまう一方
で、高屈折率の有機色素材料は、光学記録膜に必要とさ
れる性能、例えば、青色領域など、使用するレーザ光源
の波長に適合する分光吸収スペクトルを有すること、記
録媒体ノイズを抑制するように非晶質であるという結晶
性、耐熱性、耐候性などを満足するものは得られていな
いという問題がある。一般に有機材料の屈折率nは1.
4<n<2.0の範囲にあるものが多く、材料選択の自
由度を増すためには、有機色素膜の屈折率はあまり大き
くないほうが好ましい。
【0018】また、光ディスクの光学記録膜として有機
色素光学記録膜を採用する場合、一般的には、MgF2
やSiO2 などの低屈折率の誘電体膜を介して、金や銀
を真空蒸着法でコーティングして反射膜が形成されるこ
とが多いが、この金属反射膜は水分、光学記録膜をスピ
ンコートした際あるいは紫外線硬化樹脂塗布時の有機溶
剤、などに酸化あるいは腐食によって劣化する場合があ
り、耐候性をあげるために、また、初期反射率と記録後
の反射率の差(変調度)を大きくして再生信号を大きく
するために光の多重干渉効果を調整するために、さらに
誘電体保護膜を、紫外線硬化樹脂の保護膜との間に形成
することが必要となることもある。また、Al、Auや
Agなどの金属反射膜を用いた構成では、反射率を低く
抑えることが困難で、記録膜における光エネルギーの吸
収が光の多重干渉効果により極端に上昇するという問題
点も有する。この場合、有機色素材料の熱伝導率が低い
ことから、熱の拡散が不充分で、不要な記録膜の温度上
昇を招くことになる。これを回避するために、反射膜を
用いない媒体構成の提案もなされている(特開平6−7
6359号公報)。また、金属反射膜の膜厚を充分薄く
する提案もなされている(出願2000−086687
号)。ところがいずれの場含においても、先に述べたよ
うに屈折率の高い有機色素光学記録膜が要求される。
【0019】本発明は上記の状況に鑑みてなされたもの
であり、従って本発明の目的は、比較的小さな屈折率を
有する有機色素材料を用いた光学記録媒体において、再
生信号を増大する膜構成を選定し、安価で高密度記録可
能な光学記録媒体を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の光学記録媒体は、基板と、上記基板に形成
され、基板の屈折率よりも高屈折率の第1膜と、上記第
1膜上に形成され、第1膜の屈折率よりも低屈折率の第
2膜と、上記第2膜上に形成され、レーザ光を吸収して
物理的変化あるいは化学反応することによって、屈折率
の変化する有機物質よりなる光学記録膜と、上記光学記
録膜上に形成された保護膜とを有し、上記保護膜側から
上記光学記録膜に記録または再生用のレーザ光が照射さ
れて用いられる。
【0021】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記光学記録膜の上層に形成され、光学記録膜の屈
折率よりも低屈折率の第3膜と、上記第3膜上に形成さ
れ、第3膜の屈折率よりも高屈折率の第4膜と、をさら
に有し、上記第4膜の上層に上記保護膜が形成されてい
る。
【0022】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記光源の波長が380nm〜450nmの範囲で
あり、光源の波長における光学記録媒体としての記録前
の反射率が15%〜25%であり、かつ、記録後の反射
率が0%〜10%である。
【0023】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記第1膜の屈折率nh および膜厚dh 、上記第2
膜の屈折率nl および膜厚dl 、および、上記光源の波
長をλに対して、λ/8nh <dh <λ/3nh 、λ/
8nl <dl <λ/3nl である。また、好適には、上
記第3膜の屈折率Nl および膜厚Dl 、上記第4膜の屈
折率Nh および膜厚Dh 、および、上記光源の波長をλ
に対して、λ/8Nl <D l <λ/3Nl 、λ/8Nh
<Dh <λ/3Nh である。
【0024】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記光学記録膜の記録前の複素屈折率の実部(屈折
率nd )が、読み出し光源の波長において、1.6<n
d <2.3である。
【0025】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記光学記録膜の膜厚dが、20nm<d<80n
mである。
【0026】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、光源の波長λに対して、上記第1膜と上記第2膜の
合計の膜厚がλ/6以下である。
【0027】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記光学記録膜の上層に形成された膜の合計の膜厚
が10〜177μmの範囲である。
【0028】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記基板に案内溝が形成されている。さらに好適に
は、上記光源の波長が380nm〜450nmの範囲で
あり、上記案内溝のランド部分とグルーブ部分のそれぞ
れ部分において、共に、上記光学記録媒体の記録前の反
射率が15%〜25%であり、かつ、記録後の反射率が
0%〜10%である。
【0029】上記の本発明の光学記録媒体は、好適に
は、上記第1膜が窒化シリコンからなり、上記第2膜が
酸化シリコンからなる、あるいは、上記第1膜がシリコ
ンからなり、上記第2膜が窒化シリコンからなる。ま
た、好適には、上記第3膜が酸化シリコンからなり、上
記第4膜が窒化シリコンからなる、あるいは、上記第3
膜が窒化シリコンからなり、上記第4膜がシリコンから
なる。
【0030】上記の本発明の光学記録媒体は、基板上に
高屈折率の第1膜と低屈折率の第2膜が積層され、その
上層に有機色素材料からなる光学記録膜が形成されてお
り、金属反射膜を採用せずに、屈折率の低い有機色素光
学記録膜の反射率を15〜25%とし、記録前後の反射
率変化を増大して再生信号を増大することができる膜構
成となっており、選択範囲の広い比較的小さな屈折率を
有する有機色素材料を用いることが可能で、高密度記録
を安価に達成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光学記録媒体
の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0032】第1実施形態 図1は、本実施形態に係る光学記録媒体(以下光ディス
クともいう)の模式断面図である。例えばポリカーボネ
ートなどからなり、膜厚が0.3mm以上、例えば1.
2mm程度の基板11に案内溝が刻まれており、その上
層に例えば膜厚60nmの窒化シリコンなどからなる高
屈折率(nh )の第1膜14Hと、例えば膜厚45nm
の酸化シリコンなどからなる低屈折率(nl )の第2膜
14Lが積層されている。その上層に、例えばシアニン
系色素など、レーザ光を吸収して物理的変化あるいは化
学反応することによって屈折率の変化する有機色素材料
からなる光学記録膜12が膜厚50nmで形成されてお
り、その上層に紫外線硬化樹脂などからなる保護膜13
が膜厚100μmで形成されており、以上のように本実
施形態の光ディスクDが構成されている。光学ピックア
ップ用の対物レンズOLで集光されたレーザ光Lは、保
護膜13を通して、上記案内溝の光学記録膜12に照射
される。本実施形態の光ディスクはいわゆる表面読みタ
イプの光ディスクであり、表面読みタイプとすることで
高開口率化を達成することができる。
【0033】上記の光ディスクにおいて、屈折率(n
h )の第1膜14Hは、基板11の屈折率よりも高く、
さらに第2膜14Lの屈折率(nl )よりも高い材料か
ら選択されている。例えば、高屈折率である第1膜14
Hの材料としては、Si34 (n=2.0)の他、Y
23 (n=1.97)、Al23 (n=1.7
9)、In2 3 (n=2.0)、ZrO2 (n=2.
1)、TiO2 (n=2.6)、ZnO(n=2.0)
等の酸化物、AlN(n=2.3)、GaN(n=2.
3)の等の窒化物等を用いることができる。また、例え
ば低屈折率である第2膜14Lの材料としては、SiO
2 (n=1.47)の他、MgF2 (n=1.38)、
SiOxy (n=1.5〜2.0)なる窒酸化物、C
aF2 (n=1.42)、Na3 AlF6 (n=1.
4)、LiF(n=1.31)等のフッ化物、またポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)(n=1.4
2)、サイトップ(旭光学社商品名)(n=1.32)
などのフッ素系樹脂や、ポリメチルメタクリレート(P
MMA)(n=1.46)樹脂を用いることができる。
また、高屈折率材料としてシリコン(n=4.0)を用
いることも可能であり、その場合には低屈折率材料とし
て窒化シリコン(n=2.0)を用いることが可能とな
る。また、高屈折率材料として硫化亜鉛(n=2.5
6)を用いることも可能であり、その場合には低屈折率
材料として窒化シリコン(n=2.0)を用いることが
可能となる。
【0034】第1膜14Hおよび第2膜14Lの膜厚
は、上述したものに限らず、以下に説明するように第1
膜14Hおよび第2膜14Lの組み合わせにより得られ
る反射率などから選択できる。また、光学記録膜12を
構成する有機色素材料の屈折率や膜厚なども、以下に説
明するように、得られる反射率などから選択できる。
【0035】本実施形態の光ディスクは、位相変調方式
によらず、記録膜の反射率変化を再生信号として検出す
る方式であり、ランドとグルーブの双方に記録可能な高
密度光学記録媒体を実現するものである。また、本実施
形態の光ディスクは、相変化型光ディスクと完全互換性
を実現することのできるものである。本実施形態に係る
光ディスクは、前述のように情報の記録および再生にお
ける熱特性を考慮し、信頼性向上を目指して金属反射膜
の使用を避け、屈折率の異なる第1膜および第2膜を積
層して、多重干渉が起きることを積極的に利用し、検出
信号が最大になるように膜厚を設定する。
【0036】ここで、この光の多重干渉効果について、
特に反射率の計算方法である有効フレネル(Fresn
el)係数法について図2を参照して述べる。r1 、r
2 を図2の媒質n0 と媒質n1 、媒質n1 と媒質n2
おけるフレネル係数とする時、単層膜の振幅反射率はレ
ーザビームの入射角をθとすると、
【0037】
【数1】
【0038】で与えられる。ここで、
【0039】
【数2】
【0040】で、隣り合う反射波、透過波の位相差は2
δ1 である。ストークスの定理によれば、光の進行方向
が順方向のフレネル係数および逆方向のフレネル係数
(ダッシュを付けて表す)から
【0041】
【数3】
【0042】の関係が成立する。従って、
【0043】
【数4】
【0044】と表される。多層膜の反射率を求めるに
は、最終層Lの前後2つの境界におけるフレネル係数を
用いて、上述のように多重干渉の計算を行ない、仮想的
な一つの境界とみなし、その時の有効フレネル係数とし
て、
【0045】
【数5】
【0046】とおいて、逐次計算を上層に向けて行い、
最終層における複素反射率は、最終層を単層膜とした上
記の計算方法により、
【0047】
【数6】
【0048】となる。以下同様で、j層について、
【0049】
【数7】
【0050】と表せるので、最終層から第1層まで順次
計算することで、多層膜における反射率を計算できる。
【0051】有機色素膜の記録前の屈折率および吸収係
数は分光偏光解析法(分光エリプソメトリー)などを用
いることで求めることができ、本実施形態で用いること
ができる有機色素光学記録膜の記録前の屈折率と吸収係
数は、ほぼn=1.8〜1.9、k=0.1〜0.2で
ある。
【0052】しかしながら、記録後のレーザビームの照
射を受けた領域の屈折率と吸収係数は、一般に測定され
た例がないが、例えば、図3に示す対物レンズを用いた
集光光学系の反射率測定器によって反射率をガラス基板
上に成膜した数種類の膜厚の有機色素膜サンプルを用い
て測定し、数値計算と比較することによって、記録後の
屈折率と吸収係数を推定することができる。
【0053】図3に示す反射率測定器は基本的には本実
施形態の光ディスクの記録・再生装置の基本構成と同様
である。即ち、レーザ光源1からのレーザ光Lが、音響
光学変調器3を通して偏光ビームースプリッタ5に入射
され、1/4波長板6および対物レンズ7を通して、サ
ンプル保持用3軸ステージ9に保持されたサンプル8の
光学記録膜に入射する。ここで、サンプル8は、光学記
録膜として有機色素光学記録膜が形成されたガラス基板
である。レーザ光軸上には、必要箇所にレンズ(2a,
2b,2c)およびミラー(4a,4b)が配置され
る。上記サンプル8の光学記録膜からの反射光が入射し
た経路を戻り、対物レンズ7および1/4波長板6を通
して、偏光ビームースプリッタ5の反射面で反射し、光
検出器10に入射する。
【0054】但し、ここでは、レーザ光源1には波長4
07nmのKrレーザ光を用い、対物レンズ7の開口数
NAは0.5として、上記サンプル8にレーザビームを
静止した状態で、音響光学素子を用いてレーザパワーを
1mW〜3mWとして、50〜200ns間照射する。
また、反射率測定にはレーザパワーを0.3mWとし
て、デューティ20%の矩形連続パルスを読み出し光と
して記録された領域からの反射光が検出されるように、
サンプルステージに装備されている3軸のマイクロメー
タを調整する。矩形連続パルスを用いるのは測定時の記
録膜の温度上昇をできるだけ回避するためである。
【0055】上記の反射率測定器を用いて得られた記録
後の有機色素の屈折率と吸収係数はn=1.5〜1.
6、k=0.1〜0.2であり、本実施形態の光ディス
クの有機色素膜の記録前後では屈折率変化はΔn=0.
3〜0.5であり、吸収係数の変化はΔk〜0とみなせ
ることがわかった。また、サンプルは回転モーターステ
ージに取り付けられ、同一円周上を回転する系でも同様
な測定が可能である。
【0056】上述したように、本発明の目的は、比較的
小さな屈折率を有する有機色素材料を用いた光学記録媒
体において、再生信号を増大する膜構成を選定すること
にあり、多層膜の多重干渉効果を積極的に利用する。金
属反射膜を採用せずに、屈折率の低い有機色素光学記録
膜の反射率を15〜25%とし、記録前後の反射率変化
を増大するためには、誘電体膜などを有機色素光学記録
膜の下層に1層、あるいは上下層に1層ずつ設けるだけ
では不充分である。
【0057】そこで、本実施形態においては、有機色素
からなる光学記録膜の下層に、基板の屈折率より高い高
屈折率(nh )の第1膜、および、第1膜より屈折率の
低い低屈折率(nl )の第2膜を積層させる。さらに、
第1膜および第2膜の膜厚(dh およびdl )が、それ
ぞれ、上記光源の波長をλとするとき、λ/8nh <d
h <λ/3nh 、λ/8nl <dl <λ/3nl である
ことが好ましい。より具体的には、光学的膜厚が1/4
波長の、低屈折率透明膜/高屈折率透明膜の積層膜にす
ることが好ましい。例えば、屈折率nh =2.0のSi
34 高屈折率透明膜と屈折率nh =1.47のSiO
2 低屈折率透明膜を用いた構成で、光源の波長をλ=4
05nmとしたとき、dh =50nm、dl =70nm
の膜厚が選ばれる。低屈折率透明膜/高屈折率透明膜の
多層積層膜は、多層誘電体反射膜として用いられ、ダイ
クロイックミラーや偏光ビームスプリッタなどの光学薄
膜の基本構成としてよく用いられている。
【0058】上記のように第1膜と第2膜を積層させ、
さらにその膜厚を上記のように選択することで、金属反
射膜を採用せずに、屈折率の低い有機色素光学記録膜の
反射率を15〜25%とし、記録前後の反射率変化を増
大して再生信号を増大することができる膜構成となって
おり、選択範囲の広い比較的小さな屈折率を有する有機
色素材料を用いることが可能で、高密度記録を安価に達
成することができる。
【0059】第2実施形態 図4は、本実施形態に光ディスクの模式断面図である。
例えばポリカーボネートなどからなり、膜厚が0.3m
m以上、例えば1.2mm程度の基板11に案内溝が刻
まれており、その上層に例えば膜厚60nmの窒化シリ
コンなどからなる高屈折率(nh )の第1膜14Hと、
例えば膜厚45nmの酸化シリコンなどからなる低屈折
率(nl )の第2膜14Lが積層されている。その上層
に、例えばシアニン系色素など、レーザ光を吸収して物
理的変化あるいは化学反応することによって屈折率の変
化する有機色素材料からなる光学記録膜12が膜厚50
nmで形成されている。その上層に例えば膜厚45nm
の酸化シリコンなどからなる低屈折率(Nl )の第3膜
15Lと、例えば膜厚60nmの窒化シリコンなどから
なる高屈折率(Nh )の第4膜15Hが積層されてい
る。その上層に紫外線硬化樹脂などからなる保護膜13
が膜厚100μmで形成されており、以上のように本実
施形態の光ディスクDが構成されている。光学ピックア
ップ用の対物レンズOLで集光されたレーザ光Lは、保
護膜13および第3膜15Lと第4膜15Hを通して、
上記案内溝の光学記録膜12に照射される。本実施形態
の光ディスクはいわゆる表面読みタイプの光ディスクで
あり、表面読みタイプとすることで高開口率化を達成す
ることができる。
【0060】上記の光ディスクにおいて、屈折率(n
h )の第1膜14Hは、基板11の屈折率よりも高く、
さらに第2膜14Lの屈折率(nl )よりも高い材料か
ら選択されている。さらに、屈折率(Nl )の第3膜1
5Lは、光学記録膜12の屈折率よりも低く、さらに第
4膜15Hの屈折率(Nh )よりも低い材料から選択さ
れている。高屈折率である第1膜14Hおよび第4膜1
5Hの材料や、低屈折率である第2膜14Lおよび第3
膜15Lの材料は、第1実施形態に記載の材料を用いる
ことができる。
【0061】また、第1膜14Hおよび第2膜14Lの
膜厚、および、第3膜15Lおよび第4膜15Hの膜
厚、さらに光学記録膜12を構成する有機色素材料の屈
折率や膜厚なども、以下に説明するように、得られる反
射率などから選択できる。
【0062】本実施形態においては、有機色素からなる
光学記録膜の下層に、基板の屈折率より高い高屈折率
(nh )の第1膜、および、第1膜より屈折率の低い低
屈折率(nl )の第2膜を積層させ、さらに、光学記録
膜の上層に、光学記録膜の屈折率より低い低屈折率(N
l )の第3膜、および、第3膜より屈折率の高い高屈折
率(Nh )の第4膜を積層させる。さらに、第1膜およ
び第2膜の膜厚(dh およびdl )が、それぞれ、上記
光源の波長をλとするとき、λ/8nh <dh <λ/3
h 、λ/8nl <dl <λ/3nl であることが好ま
しく、さらに好ましくは、第3膜および第4膜の膜厚
(Dl およびDh )が、それぞれ、上記光源の波長をλ
とするとき、λ/8N l <Dl <λ/3Nl 、λ/8N
h <Dh <λ/3Nh である。より具体的には、それぞ
れ、光学的膜厚が1/4波長の、低屈折率透明膜/高屈
折率透明膜の積層膜にすることが好ましい。
【0063】上記のように、光学記録膜の下層に第1膜
と第2膜を積層させ、光学記録膜の上層に第3膜と第4
膜を積層させ、さらに各膜厚を上記のように選択するこ
とで、金属反射膜を採用せずに、屈折率の低い有機色素
光学記録膜の反射率を15〜25%とし、記録前後の反
射率変化を増大して再生信号を増大することができる膜
構成となっており、選択範囲の広い比較的小さな屈折率
を有する有機色素材料を用いることが可能で、高密度記
録を安価に達成することができる。
【0064】実施例 以下、図1あるいは図4などに示す構成の光ディスクに
おける記録前および記録後の反射率の第1膜(窒化シリ
コン膜)膜厚および第2膜(酸化シリコン膜)膜厚依存
性や、光学記録膜厚依存性などをシミュレーションした
結果を示す。上記の図1に示す構成の光ディスクのシミ
ュレーションにおいては、本発明において最もシンプル
な構成でありながら、「保護膜/有機色素光学記録膜」
の界面、「有機色素光学記録膜/第2膜(酸化シリコン
膜)」の界面、「第2膜(酸化シリコン膜)/第1膜
(窒化シリコン膜)」の界面、「第1膜(窒化シリコン
膜)/基板」の界面、それぞれにおける反射光の干渉を
上述した有効フレネル(Fresnel)係数法を用い
て、反射率を計算しなげればならない。
【0065】(実施例1)図5は、図1に示す構成の光
ディスクにおける記録前の反射率の第1膜(窒化シリコ
ン膜)膜厚および第2膜(酸化シリコン膜)膜厚依存性
を示している。有機色素光学記録膜の膜厚は60nm、
複素屈折率は(実部(屈折率)n=2.0、虚部(吸収
係数)k=0.1)とした。第1膜(窒化シリコン膜)
の膜厚が50nm、第2膜(酸化シリコン膜)の膜厚が
70nm近辺で反射率は22%程度となった。
【0066】(実施例2)図6は、図1に示す構成の光
ディスクにおける記録後の反射率の第1膜(窒化シリコ
ン膜)膜厚および第2膜(酸化シリコン膜)膜厚依存性
を示している。有機色素光学記録膜の膜厚は60nm、
複素屈折率は(実部(屈折率)n=1.5、虚部(吸収
係数)k=0.1)とした。上記の膜厚(第1膜(窒化
シリコン膜)の膜厚が50nm、第2膜(酸化シリコン
膜)の膜厚が70nm近辺)にて、反射率は5%となっ
た。
【0067】(実施例3)図1に示す構成の光ディスク
において、第1膜(窒化シリコン膜)の膜厚を50n
m、第2膜(酸化シリコン膜)の膜厚を70nmに固定
した時の、光ディスクの反射率の有機色素膜(光学記録
膜)の膜厚依存性を計算した。結果を図7に示す。有機
色素膜の膜厚を55nmに設定した時、反射率変化が最
も大きくなることがわかった。
【0068】図5および図6に示す実施例1および2か
らわかるように、必ずしも第1膜(窒化シリコン膜)と
第2膜(酸化シリコン膜)の光学的膜厚は、正確にλ/
4でなければならないのではなく、λ/8nh <dh
λ/3nh 、λ/8nl <d l <λ/3nl の範囲にあ
ればよいことが確認された。
【0069】(実施例4)図1に示す構成の光ディスク
において、第1膜(窒化シリコン膜)の膜厚を30n
m、第2膜(酸化シリコン膜)の膜厚を60nmに固定
した時の、光ディスクの反射率の有機色素膜(光学記録
膜)の膜厚依存性を計算した。結果を図8に示す。第1
膜(窒化シリコン膜)の膜厚が30nm、第2膜(酸化
シリコン膜)の膜厚が60nmでも、要求される記録前
の反射率とその変化が満たされることがわかった(有機
色素記録膜膜厚60nmにて、記録前16%、記録後3
%であった)。
【0070】(実施例5)図1に示す構成の光ディスク
において、第1膜(窒化シリコン膜)の膜厚を60n
m、第2膜(酸化シリコン膜)の膜厚を35nmに固定
した時の、光ディスクの反射率の有機色素膜(光学記録
膜)の膜厚依存性を計算した。結果を図9に示す。第1
膜(窒化シリコン膜)の膜厚が60nm、第2膜(酸化
シリコン膜)の膜厚が35nmでも、要求される記録前
の反射率とその変化が満たされることがわかった。
【0071】ランド・グルーブ記録を行う場合、基板の
グルーブ形状やピット形状が保存されなげればならな
い。ランド・グルーブ記録を行う場合、グルーブの光学
的深さは一般に、1/6(405nm/6/1.59=
42nm)になるように選ばれる。しかしながら、一般
にスパッタリング法などの成膜では、成膜後の表面形状
は膜厚が厚くなるにつれてくずれてしまう。そこでスパ
ッタリング膜全体の膜厚はできる限り薄く、望ましくは
グルーブの深さと同程度である。上記の例(実施例4お
よび5)では、合計で90nm(または95nm)の膜
厚に薄膜化でき、成膜状態が改善される。本発明の誘電
体反射膜の構造を2層構造に限定した理由はここにあ
る。(勿論これ以外にも構造の簡略化があげられる)。
従って、本発明の光ディスクによれば、いわゆる誘電体
多層反射膜の基本設計に従うのではなく、2層、いわゆ
る高低(HL)1ペア構成でかつλ/4以下の光学的膜
厚でも充分な再生信号と、初期反射率が得られる。
【0072】(実施例6)図1に示す構成の光ディスク
において、第1膜材料を硫化亜鉛(ZnS、n=2.5
6)とし、その膜厚を40nmとし、さらに第2膜材料
を窒化シリコン(膜厚50nm)とした時の、光ディス
クの反射率の有機色素膜(光学記録膜)の膜厚依存性を
計算した。結果を図10に示す。図10に示す例では、
合計膜厚が90nmと、上記実施例4および5と同程度
であるが、ZnSの屈折率はn=2.56であり、窒化
シリコンの屈折率との差はδn=0.55と、上記実施
例4および5と同程度であり、上記実施例4および5に
比べて高屈折率材料系となっている。図10から、記録
前の反射率とその記録前後の変化は上記実施例4および
5よりも改善されている(有機色素記録膜膜厚45nm
にて、記録前18%、記録後4%)。
【0073】上記のように、多重干渉膜をより高屈折率
な材料系で形成したほうが、さらに薄膜化が可能なる。
一方、高屈折率の第1膜と低屈折率の第2膜の屈折率差
δn=nh −nl が大きい方が、有機色素光学記録膜の
屈折率が小さい場合でも、記録前後の反射率の変化も大
きくなり再生信号が増大する傾向にある。本発明におい
ては、第1膜と第2膜の膜厚、屈折率差、得られる記録
前後での反射率差を全て考慮して、上記実施形態中に記
載した材料から選択することが可能である。
【0074】(実施例7)図11は、図1に示す構成の
光ディスクにおいて、第1膜材料をプラチナ(膜厚10
nm)とし、さらに第2膜材料を酸化シリコン(膜厚4
0nm)とした時の、記録前の光ディスクの反射率
(R)、透過率(T)および吸収率(A)の有機色素膜
(光学記録膜)の膜厚依存性を計算した結果である。光
ディスクにおける光記録に関して、熱特性の最適設計も
重要な課題である。光学記録媒体の熱応答を考察する場
合重要なポイントは、レーザ光からのエネルギー吸収と
記録媒体における熱拡散(熱伝導)の2点である。エネ
ルギー吸収については、光吸収膜が1層の場合、上述の
反射率の計算と同時に、透過率、吸収率の計算を行うこ
とで求めることができる。光吸収膜が2層以上の場合、
各層におけるポインティングベクトルを計算する必要が
ある。本実施例のように、プラチナの金属反射膜を用い
た光学記録媒体においては、記録膜におけるエネルギー
吸収が過剰となる。従って、反射率を下げるために、金
属反射膜の膜厚を薄く正確に調整することが必要とな
り、膜厚の厳しい精度が要求される。例えば、Pt金属
反射膜の膜厚は10nmと薄くする必要がある。しかし
ながら、全属反射膜はヒートシンクの役割も果たす層で
あるにもかかわらず、熱伝導が悪くなるので、記録感度
が高くなり過ぎる傾向がある。再生時のレーザパワーに
おける温度上昇によって有機色素光学記録膜が劣化しな
いように注意する必要がある。記録パワーマージンが狭
くなるという問題点もある。
【0075】(実施例8)図12は、実施例7の光ディ
スクの記録後の光ディスクの反射率(R)、透過率
(T)および吸収率(A)の有機色素膜(光学記録膜)
の膜厚依存性を計算した結果である。金属反射膜付きの
構造では、記録後、エネルギー吸収率が増加するのがわ
かる。このため、金属反射膜付きの構造では、情報の記
録過程において、記録ピットの形成が不安定で、レーザ
照射に対して負のフィードバックがかからず、再生信号
のジッターを増加させる傾向にあることと、再生レーザ
パワーをあまり大きくできないことを意昧する。
【0076】(実施例9)図13は、図1に示す構成の
光ディスクにおいて、第1膜材料を窒化シリコン(膜厚
60nm)とし、さらに第2膜材料を酸化シリコン(膜
厚50nm)とした時の、記録前の光ディスクの反射率
(R)、透過率(T)および吸収率(A)の有機色素膜
(光学記録膜)の膜厚依存性を計算した結果である。本
実施例の膜構造は金属反射膜を用いていないので、有機
色素光学記録膜以外での光エネルギーの吸収は全くな
い。また、窒化シリコンや酸化シリコンなどの誘電体膜
は一般に熱伝導率が小さく断熱的となり、記録感度が高
い。有機色素光学記録膜における光吸収は図13に示す
ように、膜厚55nmのときに約15%となる。この
時、反射率は20%、残り65%は透過する。上記の問
題を回避しているのみでなく、多層ディスクに適用する
場合にも有利である。
【0077】(実施例10)図14は、実施例9の光デ
ィスクの記録後の光ディスクの反射率(R)、透過率
(T)および吸収率(A)の有機色素膜(光学記録膜)
の膜厚依存性を計算した結果である。本実施例の構造で
は、記録後もエネルギー吸収率はさほど変わらない。従
って本発明の構造は記録ピットが安定に形成されやすい
ものとなっている。
【0078】有機色素光学記録膜の膜厚は、図13から
もわかるように、80nm以上あると、エネルギーの過
剰吸収となり、透過率も低下する。もちろん薄過ぎると
図5、図6からわかるように、記録前後での反射率変化
が小さくなる。即ち、本発明の光学記録媒体において、
有機色素光学記録膜の膜厚dは、20nm<d<80n
mであることが好ましい。
【0079】(実施例11)図4に示す構成の光ディス
クにおいて、第1膜(窒化シリコン膜)の膜厚を60n
m、第2膜(酸化シリコン膜)の膜厚を35nm、第3
膜(酸化シリコン膜)の膜厚を35nm、第4膜(窒化
シリコン膜)の膜厚を60nmに固定した時の、光ディ
スクの反射率の有機色素膜(光学記録膜)の膜厚依存性
を計算した。結果を図15に示す。本実施例の光ディス
クは、有機色素光学記録膜以外すべて誘電体薄膜からな
るいわゆるファブリーペロー共振器構造を形成したもの
である。この構造においても、記録前後における反射率
変化を大きくとることが可能となる。しかしながら、共
振器構造の特徴として、有機色素光学記録膜を含む共振
器内部のスペーサ層の膜厚精度の要求が高くなる。
【0080】(実施例12)図4に示す構成の光ディス
クにおいて、第1膜をプラチナ(膜厚10nm)、第2
膜を酸化シリコン(膜厚を40nm)、第3膜を酸化シ
リコン(膜厚20nm)、第4膜をプラチナ(膜厚10
nm)とした時の、光ディスクの反射率の有機色素膜
(光学記録膜)の膜厚依存性を計算した。結果を図16
に示す。この構造においても、記録前後における反射率
変化を大きくとることが可能となる。しかしながら、こ
の構成は、先にも述べたように、金属反射膜の膜厚精度
が厳しいこと、酸化や腐食等の信頼性の点で、本発明に
比べ不利である。図15に示す実施例11の計算結果
は、図16に示す金属反射膜を用いた本実施例の共振器
構造と比べ、反射率およびその記録前後における変化量
は遜色ない。
【0081】(実施例13)図1に示す構造の光ディス
クを以下の方法で作製した。まず、ポリカーボネートを
材料とする射出成形法により、案内溝が転写された基板
を1.2mmの厚みで形成した。次に、基板の上にAr
+N2 混合ガスを用いた反応性スパッタリング法により
膜厚60nmのSi34 (第1膜)を形成した。次
に、Ar+O2 混合ガスを用いた反応性スバッタリング
法により膜厚45nmのSiO2 (第2膜)を形成し
た。次に、感光性有機色素をテトラフルオロプロパノー
ルに溶解してスピンコート法により塗布し、膜厚約50
nmの有機色素光学記録膜を形成した。最後に紫外線硬
化樹脂をスピンコート法により塗布し、60℃の恒温槽
にて1時間乾燥させて約100μmの保護層を形成し
た。
【0082】上記で作成した光ディスクの有機色素光学
記録膜の屈折率nおよび吸収係数kは分光偏光解析法に
よって求めたところ、波長405nmにおいて、n=
1.9、k=0.5であった。また、同波長において、
ポリカーボネート基板の屈折率はn=1.59、Si 3
4 膜の屈折率はn=2.0、SiO2 膜の屈折率はn
=1.46、紫外線硬化樹脂の屈折率はn=1.5であ
った。
【0083】(実施例14)図4に示す構造の光ディス
クを以下の方法で作製した。まず、ポリカーボネートを
材料とする射出成形法により、案内溝が転写された基板
を1.2mmの厚みで形成した。次に、基板の上にAr
+N2 混合ガスを用いた反応性スパッタリング法により
膜厚60nmのSi34 (第1膜)を形成した。次
に、Ar+O2 混合ガスを用いた反応性スバッタリング
法により膜厚45nmのSiO2 (第2膜)を形成し
た。次に、感光性有機色素をテトラフルオロプロパノー
ルに溶解してスピンコート法により塗布し、膜厚約50
nmの有機色素光学記録膜を形成した。次に、Ar+O
2 混合ガスを用いた反応性スバッタリング法により膜厚
45nmのSiO2 (第3膜)を形成した。次に、基板
の上にAr+N2 混合ガスを用いた反応性スパッタリン
グ法により膜厚60nmのSi34 (第4膜)を形成
した。最後に紫外線硬化樹脂をスピンコート法により塗
布し、60℃の恒温槽にて1時間乾燥させて約100μ
mの保護層を形成した。
【0084】本発明は、上記の実施の形態に限定されな
い。例えば、第1膜や第2膜などの多重干渉膜の材料
は、屈折率と吸収係数などを満足する材料であれば、誘
電体だけでなく、シリコンなどの非誘電体材料を用いる
ことができる。ただし、シリコンの場合R=2.2と吸
収係数も大きくなることに注意する必要があるが、一般
に膜厚を薄くすることができるメリットがある。また、
光学記録媒体を構成する基板や膜厚、保護層の材料や膜
厚などは、上記の実施形態で説明したものに限定され
ず、適宜選択することが可能である。また、光学記録膜
を透明層を介して複数層積層させた多層光学記録媒体に
適用することも可能である。その他、本発明の要旨を変
更しない範囲で種々の変更をすることができる。
【0085】
【発明の効果】上述したように、本発明の光学記録媒体
によれば、有機色素光学記録膜の屈折率が小さな材料を
用いた場合においても、再生信号変調度を充分大きくす
ることができるので、高い信号/雑音比を得ることが可
能となり、かつ構成材料の選定の自由度が大となり、信
頼性の高く、安価な光学記録媒体を提供することができ
る。
【0086】また、本発明の媒体を用いれば、上記レー
ザ光を透過させる光透過層の厚みが10〜177μmで
あり、かつ情報記録膜として有機系材料用いた光学記録
媒体が実現可能となり、ピックアップ用対物レンズの開
口数が大きくとることができ、高密度記録再生を可能と
する。さらに極薄金属反射膜を用いた従来構造よりも、
製造における各層の膜厚制御が容易で、製造しやすい。
また、反射膜が誘電体膜で構成されるため有機記録膜の
耐候性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る光学記録媒
体の模式断面図である。
【図2】図2は本発明による光学記録媒体の多重干渉の
説明図である。
【図3】図3は反射率測定器の構成図である。
【図4】図4は本発明の第2実施形態に係る光学記録媒
体の模式断面図である。
【図5】図5は実施例1におけるシミュレーション結果
を示すグラフである。
【図6】図6は実施例2におけるシミュレーション結果
を示すグラフである。
【図7】図7は実施例3におけるシミュレーション結果
を示すグラフである。
【図8】図8は実施例4におけるシミュレーション結果
を示すグラフである。
【図9】図9は実施例5におけるシミュレーション結果
を示すグラフである。
【図10】図10は実施例6におけるシミュレーション
結果を示すグラフである。
【図11】図11は実施例7におけるシミュレーション
結果を示すグラフである。
【図12】図12は実施例8におけるシミュレーション
結果を示すグラフである。
【図13】図13は実施例9におけるシミュレーション
結果を示すグラフである。
【図14】図14は実施例10におけるシミュレーショ
ン結果を示すグラフである。
【図15】図15は実施例11におけるシミュレーショ
ン結果を示すグラフである。
【図16】図16は実施例12におけるシミュレーショ
ン結果を示すグラフである。
【図17】図17は第1従来例に係る光学記録媒体の模
式断面図である。
【図18】図18は第2従来例に係る光学記録媒体の模
式断面図である。
【符号の説明】
1…レーザ光源、2a,2b,2c…レンズ、3…音響
光学変調器、4a,4b…ミラー、5…偏光ビームスプ
リッタ、6…1/4波長板、7…対物レンズ、8…サン
プル、9…サンプル保持用3軸ステージ、10…光検出
器、11…基板、12…光学記録膜、13…保護膜、1
4H…第1膜、14L…第2膜、15L…第3膜、15
H…第4膜、D…光ディスク、L…レーザ光、OL…対
物レンズ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 534 G11B 7/24 534K 534M

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、 上記基板に形成され、基板の屈折率よりも高屈折率の第
    1膜と、 上記第1膜上に形成され、第1膜の屈折率よりも低屈折
    率の第2膜と、 上記第2膜上に形成され、レーザ光を吸収して物理的変
    化あるいは化学反応することによって、屈折率の変化す
    る有機物質よりなる光学記録膜と、 上記光学記録膜上に形成された保護膜とを有し、 上記保護膜側から上記光学記録膜に記録または再生用の
    レーザ光が照射されて用いられる光学記録媒体。
  2. 【請求項2】上記光学記録膜の上層に形成され、光学記
    録膜の屈折率よりも低屈折率の第3膜と、 上記第3膜上に形成され、第3膜の屈折率よりも高屈折
    率の第4膜と、 をさらに有し、 上記第4膜の上層に上記保護膜が形成されている請求項
    1に記載の光学記録媒体。
  3. 【請求項3】上記光源の波長が380nm〜450nm
    の範囲であり、 光源の波長における光学記録媒体としての記録前の反射
    率が15%〜25%であり、かつ、記録後の反射率が0
    %〜10%である請求項1に記載の光学記録媒体。
  4. 【請求項4】上記第1膜の屈折率nh および膜厚dh
    上記第2膜の屈折率nl および膜厚dl 、および、上記
    光源の波長をλに対して、λ/8nh <dh <λ/3n
    h 、λ/8nl <dl <λ/3nl である請求項1に記
    載の光学記録媒体。
  5. 【請求項5】上記第3膜の屈折率Nl および膜厚Dl
    上記第4膜の屈折率Nh および膜厚Dh 、および、上記
    光源の波長をλに対して、λ/8Nl <Dl <λ/3N
    l 、λ/8Nh <Dh <λ/3Nh である請求項2に記
    載の光学記録媒体。
  6. 【請求項6】上記光学記録膜の記録前の複素屈折率の実
    部(屈折率nd )が、読み出し光源の波長において、
    1.6<nd <2.3である請求項1に記載の光学記録
    媒体。
  7. 【請求項7】上記光学記録膜の膜厚dが、20nm<d
    <80nmである請求項1に記載の光学記録媒体。
  8. 【請求項8】光源の波長λに対して、上記第1膜と上記
    第2膜の合計の膜厚がλ/6以下である請求項1に記載
    の光学記録媒体。
  9. 【請求項9】上記光学記録膜の上層に形成された膜の合
    計の膜厚が10〜177μmの範囲である請求項1に記
    載の光学記録媒体。
  10. 【請求項10】上記基板に案内溝が形成されている請求
    項1に記載の光学記録媒体。
  11. 【請求項11】上記光源の波長が380nm〜450n
    mの範囲であり、 上記案内溝のランド部分とグルーブ部分のそれぞれ部分
    において、共に、上記光学記録媒体の記録前の反射率が
    15%〜25%であり、かつ、記録後の反射率が0%〜
    10%である請求項10に記載の光学記録媒体。
  12. 【請求項12】上記第1膜が窒化シリコンからなり、 上記第2膜が酸化シリコンからなる請求項1に記載の光
    学記録媒体。
  13. 【請求項13】上記第1膜がシリコンからなり、 上記第2膜が窒化シリコンからなる請求項1に記載の光
    学記録媒体。
  14. 【請求項14】上記第3膜が酸化シリコンからなり、 上記第4膜が窒化シリコンからなる請求項2に記載の光
    学記録媒体。
  15. 【請求項15】上記第3膜が窒化シリコンからなり、 上記第4膜がシリコンからなる請求項2に記載の光学記
    録媒体。
JP2000274718A 2000-09-11 2000-09-11 光学記録媒体 Pending JP2002092954A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000274718A JP2002092954A (ja) 2000-09-11 2000-09-11 光学記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000274718A JP2002092954A (ja) 2000-09-11 2000-09-11 光学記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002092954A true JP2002092954A (ja) 2002-03-29

Family

ID=18760439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000274718A Pending JP2002092954A (ja) 2000-09-11 2000-09-11 光学記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002092954A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5627817A (en) Optical disk data storage system with multiple write-once dye-based data layers
US5410534A (en) Optical information recording medium
JP2004158145A (ja) 光記録媒体
JP2005018964A (ja) 光情報記録媒体、及びそれを用いた再生方法、光情報処理装置
JP2006522425A (ja) 熱クロミックまたはフォトクロミック材料を有する光情報担体
JP2003051137A (ja) 情報記録媒体
TWI336074B (en) Dual-stack optical data storage medium and use of such medium
JP4008334B2 (ja) 光情報記録装置および光情報記録媒体
JP4199731B2 (ja) 光記録媒体、光情報処理装置および光記録再生方法
Nakai et al. Dual-layer rewritable phase-change recording media for HD DVD system
KR20030094051A (ko) 광기록재생방법과 광기록매체
JP2002092954A (ja) 光学記録媒体
JP4252482B2 (ja) 読み出し専用型多層型光情報記録媒体及びその製造方法
JP2004171631A (ja) 光記録媒体
JP2006528818A (ja) ハイブリッド追記型光学式記録担体
JPH11283278A (ja) 光記録媒体
JP3156418B2 (ja) 光学情報記録媒体及び光学情報記録再生方法
JPH05120727A (ja) 光記録媒体及び該媒体に情報を記録または再生する方法
KR100651862B1 (ko) 초해상 광기록매체
JP3980544B2 (ja) 光情報記録媒体
JP2000113505A (ja) 相変化光ディスク
Takazawa et al. HD DVD-R Disc with Organic Dye having Low to High Polarity Recording
JP4229055B2 (ja) 光記録媒体
US20070082167A1 (en) Optical media
EP1515391A1 (en) Antenna device

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081125