JP2006522425A - 熱クロミックまたはフォトクロミック材料を有する光情報担体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、光学ビームを用いて情報を記録する光情報担体に関し、当該光情報担体は、基板層(S)と、温度に依存する光学特性を有する熱クロミック材料、または光に依存する特性を有するフォトクロミック材料を有する記録層(P)であって、記録および/または再生時に、感度が選択的に改善される記録層と、被覆層(C)と、を有する。それぞれ高温または高光強度で、記録層(P)の反射率の高めるため、およびそれぞれ周囲温度または低光強度で、透過率を高めて反射率を下げるため、それぞれ高温または高光強度で、0よりも大きな複素屈折率
【数1】
の虚部kを有する熱クロミックまたはフォトクロミック材料が使用される。本発明はさらに、そのような光情報担体の記録層の厚さを定める方法と、そのような光情報担体からデータを読み取る再生装置に関する。
【数1】
の虚部kを有する熱クロミックまたはフォトクロミック材料が使用される。本発明はさらに、そのような光情報担体の記録層の厚さを定める方法と、そのような光情報担体からデータを読み取る再生装置に関する。
Description
本発明は、光学ビームを用いて情報を記録する光情報担体に関し、当該光情報担体は、基板層と、温度に依存する光学特性を有する熱クロミック材料、または光に依存する光学特性を有するフォトクロミック材料を有する記録層であって、記録および/または再生時に、感度が選択的に改善される記録層と、被覆層と、を有する。
さらに本発明は、そのような光情報担体の記録層(P)の厚さを求める方法、およびそのような光情報担体からデータを読み出す再生装置に関する。
マルチスタック化光情報担体の読み出し性および記録性を高める熱クロミック効果の利用法は、欧州特許出願第02078676.0(PHNL020794EPP)号に示されている。データの記録/再生時に、非アドレス指定記録層との間で相互作用をあまり生じさせずに、多くの記録層のうちの一つを効果的にアドレス指定するため、記録層は、温度依存する光学特性を有する熱クロミック材料を有し、記録および/または再生時に、アドレス指定された記録層の感度が選択的に向上する。またこの文献には、反射型ROMおよびWORM多層化システムに熱クロミック効果を適用することにより、3.6%の実効反射率が得られることが記載されている。
他の多くの可逆有機および非有機熱クロミック材料も利用できる。さらに前述の欧州特許出願02078676.0(PHNL020794EPP)号には、多くの別の材料が示されており、例えばπ共役オリゴマーまたは高分子マトリクス中の高分子π共役材料、pH感度色素分子、着色剤、極性ホスト材料、スピロピラン、スピロバイクロメンまたはスピロオキサジンで構成される高分子材料、熱クロミック色素、特にシアニンまたはフタロシアニン色素で構成される高分子材料、および色素分子が凝集した色素材料であって、特にJ型凝集体またはH型凝集体を構成する、色素材料で構成される。熱クロミック材料はさらに、米国特許第5,817,389号にも示されており、例えばポリアセン、フタロシアニン類、スピロピラン色素、ラクトン色素およびフルオラン色素がある。
熱クロミック効果の目的は、周辺温度では、非焦点化層での光の吸収量をできる限り少なくし、焦点化層では、高温で熱クロミック効果を生じさせ、できる限り多くの光を反射させることである。しかしながら熱クロミック材料の数は限られており、単一または多層化光情報担体に対するこれらの要求を満たす、最も好適な候補を選択する必要がある。
米国特許第5,817,389号では、多数のフォトクロミック材料が示されており、例えば、キサンチン色素、アゾ色素、シアニン色素および他の色素がある。フォトクロミック(PC)効果の目的は、熱クロミック(TC)材料と同様の方法で、光強度を向上させ、また温度を上昇させずに、光学定数(nおよびk)を変化させることである。従って、PCおよびTC材料の両方で、nおよびkには、異なる原理に基づく同等のスペクトルシフトが生じる。フォトクロミック材料の使用により、材料の非線形光学特性を利用することが可能となり、これは入射光の強度によって、光学定数(nおよびk)が変化し、これらの材料が光依存型光学特性を示すことを意味する。フォトクロミック材料は、状態に依存して、可逆性または不可逆性を示すことが知られている。通常、有機材料の温度安定性は、通常の使用範囲内では、大きな問題とはならない。フォトクロミック材料の速度および安定性に関する初期の研究では、これらの材料の固有の速度および応答時間は、速く(nsまたはそれ以上)、実質的に熱クロミック材料よりも速いことが示されている。しかし、入手可能なフォトクロミック材料の中から、単一または多層化光情報担体に対する所望の要求を満たす最適な候補材を選択する必要がある。
熱クロミックまたはフォトクロミック材料を有する従来の記録層の反射率は、約3%程度と低く、二層スタックBDディスクの実効反射率よりも低い。そのような低反射率では、駆動上問題が生じる。この場合、例えば得られる集束およびトラッキング信号、またはHF信号が、低光強度となるからである。最終的には、光子が少量しかないため、得られるデータ速度(光子ショットノイズ対検出器バンド幅)が制限される。
米国特許第5,817,389号明細書
従って本発明の課題は、1または2以上の記録層を有する光情報担体を提供することであり、この光情報担体は、焦点化状態では記録層の反射率が高いが、非焦点化状態では、透過率が高く、反射率は無視できる程小さい。本発明の別の課題は、光情報担体の記録層の厚さを定める方法を提供することであり、書き込み後の記録マークに屈折率のミスマッチが生じた場合に、所与の初期吸収に対して、最大コントラスト(〜100%)となる最適な厚さおよび最大透過率を見出すことができる。本発明のさらに別の課題は、そのような光情報担体からデータを読み出す再生装置を提供することであり、再生温度は、記録温度の閾値未満に維持され、再生時に記録されることを避けることができる。
上記の課題は、本発明の請求1に記載の光情報担体によって解決され、この光情報担体は、熱クロミックまたはフォトクロミック材料が、それぞれ高温または高光強度で、0よりも大きな複素屈折率
熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、それぞれ周辺温度で、あるいは低い光強度で、基板材料の屈折率に近く適合する屈折率を有する。従って、基板−記録層界面では、反射は全くあるいはほとんど生じない。材料は、周辺温度あるいは低光強度では、ある制限された吸収しか示さないが、焦点では自己増幅熱クロミックまたはフォトクロミック効果が十分に生じる。TC効果は自己増幅的であるが、PC効果は、原則として自己増幅的ではない。PC効果の場合、照射されたPCモジュールは、状態Aから状態Bに変化し中間の段階は経由しない。しかしながら、非線形PC効果では、PC材料の屈折率の温度依存性を利用すること、あるいは光学的なPC効果とともに、状態Aから状態Bへの変化速度の温度依存性を利用することが可能である。また、焦点では、自己増幅効果によって、吸収プロファイルk(複素屈折率
現在検討されている一般的な青色波長記録用の色素は、屈折率が1から3の間にあり、k値は0から1.5の間にある(選定材料および使用レーザー波長に依存する)。しかしながら、nおよびk値が1≦n≦4、0<k≦3の範囲の有機材料、さらには0<n≦4、0<k≦5の無機材料を用いることも可能である。これらの色素の熱クロミックまたはフォトクロミック効果については未だ研究されていないが、有機TC材料のnとkの範囲は、同様であると思われる。屈折率nFPCが1.6の標準的なポリカーボネート基板材料を用いた場合、色素とポリカーボネートの間のピーク界面反射率は、近似的に、
これらの認識に基づいて、本発明では、熱クロミックまたはフォトクロミック記録層内に構成した界面を使用し、実効反射率を十分に増大させる。実効反射率は、焦点化層の場合、好ましくは≫5%であって、特に少なくとも2層の記録層を有する多層化システムでは、非焦点化層は、ほぼ100%の透過率と、無視できるほど小さな反射率を有する。このように本発明は、屈折率
また、虚部kが解像度に及ぼす影響を考慮することにより、および本発明の提案のようにkを選定することにより、追加の熱、またはフォトクロミック解像度増大効果が得られる。
さらに、熱またはフォトクロミック材料の非線形効果を利用することによって、吸収または反射の光学記憶装置システムの収差が得られる。青色レーザーダイオードを用いるDVDの場合、非線形効果を用いることで、傾斜マージンを増大させることができる。多層化記憶装置の場合、傾斜マージンを用いて、深さ範囲を増大させることができる。全ての単一または多層化層において、非線形効果を用いて、収差を許容範囲に維持したまま、対物レンズの開口数を増大させることができる。
従来の反射式光記憶システム、例えばCD、DVDおよびBDは、位相格子に基づいており、ピット/グルーブには正確な深さが要求される。最適深さからのわずかのずれは、信号コントラスト、さらには信号対ノイズ比(SNR)の減少につながる。本発明の提案では、熱またはフォトクロミック材料の屈折率の実部nおよび虚部kを最適化させることにより、反射式記憶システムの反射率およびコントラストが、ピット/グルーブ深さに依存しないようにすることができる。
高温または高光強度とは、それぞれ、温度/光強度が、周辺温度/光強度閾値よりも十分に高いことを意味する。高温/高光強度は、記録の際に、記録用レーザービームを記録層、あるいはいくつかの記録層がある場合には特定の記録層、に焦点化させることによって、すなわち焦点化記録層の温度/光強度が、非焦点化記録層よりも十分に高くなることによって生じる。高温とは、通常100-800℃の範囲を言う(温度は、少なくともドライブの作動温度、例えば車の場合、60-80℃より高くする必要がある)。高光強度とは、通常0.5乃至300MW/cm2の範囲を言い、例えば日亜社によって製作された青色レーザーダイオードの電流強度と、NAが0.85の対物レンズとを組み合わせた場合は、0乃至8MW/cm2であり、ピコクァント(Picoquant)社によって製作されたピコ秒パルスレーザーでは、150MW/cm2までの範囲にある。
高光強度は、別の小型パルスレーザーシステムをBDレンズ(405nmおよび0.85NA)と組み合わせることで得ることができる:〜35pJのパルスエネルギーと〜10nsのパルス期間の日亜製青色レーザーの場合、1.8MW/cm2;〜10pJのパルスエネルギーと〜70psのパルス期間のピコクァント製レーザーの場合、2.300MW/cm2が得られる。
本発明の好適実施例は、従属項に記載されている。
好適実施例では、熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、閾値を超えた場合、0.5よりも大きな虚部kを有するが、これは1よりも大きいことが好ましい。この範囲では、大きな反射率の増大が得られるが、閾値を越える場合、同時に虚部nが減少することが好ましい。
周辺温度での層同士の界面での反射を避けるため、周辺温度での熱クロミックまたはフォトクロミック材料の屈折率は、基板の屈折率nに適合することが必要であり、空間層によって分離された2以上の記録層を有する多層化ディスクの場合、空間層の屈折率nに対しても適合することが好ましい。
また、ある実施例では、熱クロミック材料の屈折率nは、高温での基板および存在する場合、空間層の屈折率nと適合し、別の実施例では、熱クロミックまたはフォトクロミック材料の屈折率nは、高温での基板および存在する場合、空間層の屈折率nよりも大きい。後者の実施例では、熱クロミックまたはフォトクロミック材料のk値は、0.5あるいはこれより大きく選定されることが好ましい。一方第1の実施例では、ゼロよりも大きなk値では、反射率の増大につながる。
本発明の別の実施例では、熱クロミックまたはフォトクロミック材料の屈折率nは、高温では、増大せず減少する。屈折率nの低下によって、屈折率nが増大した場合に比べて、より大きな反射率の増大が得られるからである。特に高温では、屈折率nが1.0乃至1.6の範囲にある場合、有意である。例えば屈折率nが1.0でk値が約1.5の場合、反射率は、30%まで上昇し得る。
さらに、記録層の厚さは、高温での反射率に影響を及ぼすことがわかっている。好適な厚さ範囲は、10乃至200nmの範囲であり、特に20乃至80nmの範囲であることが好ましい。記録層の最適厚さは、記録層の屈折率の実部nと、隣接する基板層または隣接する空間層の屈折率の実部nとの差に依存する。また再生または記録に用いられる波長は、記録層の最適厚さに影響を及ぼす。
また反射率は、記録層の周囲に誘電層を用いるという媒体の複雑性の増大と引き換えに、向上させることができる。好適実施例では、記録層の各側に、少なくとも一層の誘電層が設置される。5層構造では記録層の各側に、2層の誘電層が設置されるが、この場合、反射率を55%まで上昇させることができる点で有意である。誘電層の屈折率nの適切な選択および誘電体として用いられる好適材料については、請求項8乃至10に記載されている。
本発明では、熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、同時に記録材料とすることもでき、また追加記録材料を記録層内に設置することもできる。本発明は、1または2以上の記録層を有するCD-ROM、CD-R、DVD-ROMまたはBD(ブルーディスク)のようなROMまたはWORM(1回記録多数再生式)光ディスクに提供することが好ましい。
また本発明は、本発明による光情報担体の記録層(P)の厚さを定める方法であって、第1の波長で、低い初期k値を有し、前記第1の波長よりも短いまたは長い第2の波長で、高いk値を有し、基板層および/または前記被覆層の屈折率に適合する複素屈折率
試験データを記録するステップと、
前記試験データの記録後に、実質的に前記第1の波長での、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料と、前記基板層および/または前記被覆層との間の屈折率ミスマッチΔnを定めるステップと、
記録および未記録マーク間での信号コントラストを定めることにより、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料の最小最適層厚さを定めるステップと、
記録前の前記最適層厚さにおける、実質的に前記第1の波長での最大初期k値を定めるステップと、
を有する。
この方法により、記録後の書き込みマークに屈折率のミスマッチΔnが生じる場合の、多層化記録担体の焦点化層の信号コントラストおよび非焦点化層の透過率が最適化される。各屈折率ミスマッチΔnに対して、信号強度を犠牲にせずに、所与の初期吸収に対する最大コントラスト(〜100%)および最大透過率となる最適な層の厚さが得られる。この方法の好適実施例は、従属項に記載されている。
さらに本発明は、請求項16に記載の光情報担体からデータを読み取る再生装置に関し、当該再生装置は、
読み取り用光ビームを放射する光源と、
前記読み取り用光ビームからずらされた、少なくとも2つの光ビームを発生させるマルチスポット回折格子と、
前記ずらされた光ビームを、前記情報担体の異なる位置に集束させ、反射光ビームを検出器の異なる位置に集束させる手段と、
前記反射光ビームを受光する検出器と、
を有する。
読み取り用光ビームを放射する光源と、
前記読み取り用光ビームからずらされた、少なくとも2つの光ビームを発生させるマルチスポット回折格子と、
前記ずらされた光ビームを、前記情報担体の異なる位置に集束させ、反射光ビームを検出器の異なる位置に集束させる手段と、
前記反射光ビームを受光する検出器と、
を有する。
2−スポット、4−スポット、8−スポット、10−スポットの回折格子が用いられることが好ましく、これにより、2、4、8または10ビットが同時に読み出される。
本発明により提案された記録担体を使用すると、大きなk値での高吸収によって、再生時にディスク温度が、記録の閾値温度を越えて上昇する可能性がある。この場合、再生中に、記録の影響が生じる。本発明の提案のマルチスポット格子の使用により、ディスク面での再生レーザー出力を抑制して、再生温度を記録閾値未満の低い温度に維持することができる。マルチトラック法の追加の利点は、スポット当たりの再生出力が低い場合でも、従来の単層DVD+RW相変化方式に比べて、全体のデータ速度が増大できることである。
図面を参照して、以下に本発明の詳細を説明する。
図1aには、本発明による単層光情報担体の実施例を示す。担体1の上部には、保護用の被覆層Cが設置され、被覆層の上には、レーザービームまたはLEDによって発生した光のような光学ビームLが入射される。次に単一記録層Pが設置される。記録層Pに下には、例えばポリカーボネート製の基板Sが設置される。
図1bには、本発明による多層スタック光情報担体1の実施例を示す。単一記録層Pの代わりに、多数の記録スタックが設置され、各スタックは、一つの記録層P1乃至P7を有する。記録スタック、すなわち記録層P1乃至P7は、空間層Rによって分離され、隣接する記録層と光学的および熱的に分離される。
従って図1bの実施例による情報担体は、不活性パッシブ空間層Rと活性記録層P1乃至P7の交互の積層によって構成される。空間層Rは、光学的に不活性で透明であり、厚さは1から100μmの間にあることが好ましく、特に5から30μmの間にあることが好ましい。記録層P1乃至P7は、厚さが0.05から5μmの間にあることが好ましい。
情報の記録および担持機能に加えて、記録層Pには、熱クロミック(またはその代わりにフォトクロミック)機能が提供され、入射光とアドレス指定記録層の間の相互作用の増大という一時的な可逆効果が提供される。実施例に応じて、屈折率の虚部および/または実部の変化は、その後の再生時の吸収、反射および透過特性に変化を及ぼす。これらの機能は、一つの材料に組み込むことが好ましいが、異なる材料で分担させても良い。
全てのアドレス指定された記録層において、光強度は低下するため、熱プロファイルは、閾値未満の温度に維持され、吸収プロファイルには全く変化は生じない。ここで変化とは、スペクトルシフトまたは形態変化を意味する。あるいは同理由により、閾値温度を越えたスペクトルの高吸収率部分を除いては、所望の波長で、吸収率の増大が生じ得る程の変化は生じない。例えば、温度と比例関係にある、レーザー波長に対するプロファイルのスペクトルシフトは生じない。従って、アドレス指定された記録層においてのみ、十分な温度上昇が生じ、局部的に(すなわち焦点化位置で)所望の波長での吸収率が増大する。PC材料の場合、強度閾値が利用される。PC材料の場合、アドレス指定された層の反射率および/吸収率には、焦点化位置での高光強度により、相当の局部的な増大が生じる。他の層では、低光強度のため、反射率および/または吸収率の実質的な増大は生じない。
記録層および空間層の屈折率は、非焦点化層の温度において、界面での反射が最小となるように、適合させる必要がある。
図2には本発明の効果が示されている。周囲温度の場合、レーザー波長では、相対吸収率は低い。従って全ての非焦点化記録層は、入射光に対してほぼ透明である。アドレス指定された記録層においてのみ、レーザー強度が材料を十分に加熱し得る程高くなり、光学特性が十分に変化し、それによりさらに温度が上昇し、局部加熱が生じる。
熱クロミック記録層の反射率は、低く(約3%)、ジュアル層BDディスクの実効反射率よりも低い。そのような低反射率では、例えば焦点およびトラッキング信号、またはHF信号からの光強度が低くなるという、駆動上の問題が生じる。最終的には、光子の数が少ないため、得られるデータ速度(検出器バンド幅に対する光子ショットノイズ)が制限される。
熱クロミック材料は、周囲温度で、基板材料の屈折率と近接するように適合された屈折率を有する。従って、基板−記録層界面では反射は全く生じない。本材料は、周囲温度ではある程度吸収が制限されるが、焦点位置で自己増幅熱クロミック/フォトクロミック効果を発生させることは十分に可能である。焦点位置では、自己増幅効果によって、図2に示すような吸収プロファイル(屈折率
青色波長での記録に使用される通常の色素では、屈折率nは1乃至3の範囲にあり、kは0乃至1.5の範囲にある(選定材料および使用レーザー波長に依存する)、これは、図3および4に示されている。図には波長の関数として、得られた有機色素の屈折率の実部(n)と虚部(k)が示されている。これらの色素は、熱クロミック効果については、いまだ十分に研究されていないが、グラフにおける実際のnとkの値から、「青色」色素が得られることがわかる。図3から、屈折率は1.7から2.4まで上昇する。虚部kも、0.5まで上昇する。k値が約1.0のときは、屈折率が1.9から3.0まで上昇することもわかる(図4参照)。同図から屈折率が2.5の場合、k値は約1.5であることがわかる。屈折率が1.6の標準的なポリカーボネート基板材料を使用した場合、色素とポリカーボネート間のピーク界面反射率は、
本発明の考えは、熱クロミック記録層内の界面の構成に利用でき、多層化担体(≧2層)の場合、焦点化層には十分に大きな実効反射率(≫5%)が得られ、図1aの実施例のような単一記録層の場合、非焦点化層では、ほぼ100%の透過率および無視できる程小さな反射率が得られる。ジュアル層RW BDディスクの場合、単位層あたり4スタックの構造最適化によって、〜20%の反射率が得られる。しかしながら、第1の層の透過率は、入射および反射光の両方で〜50%であるため、第2層の実効反射率は〜5%である。熱クロミック/フォトクロミック効果による、屈折率の虚部のみの増大の影響、またはこれと実部の変化との組み合わせによる影響は、知られていない(図3および4参照)。熱クロミック/フォトクロミック効果の目的は、非焦点化層では、周囲温度での光吸収をできる限り小さくする一方(k≒0.002)、焦点化層では熱クロミック効果を生じさせ、高温でできるだけ多くの光を反射させる(k≧0.5)ことである。
レーザー波長を405nmと仮定し、以下のようにnの試算を行った。別のレーザー波長λで同様の特性を得るため、提案されたスタック構造での分離層の厚さは、λ/405(λの単位はnm)で表現した。
熱クロミック/フォトクロミック効果による大きな屈折率差と、大きなk値(k≧0.5)とを組み合わせると、低いk値(k≒0.1)の場合に比べて著しい反射率の増大が得られることがわかった。図5には、k値(0、0.1、0.5、1.0および1.5)の関数としての熱クロミック層の計算反射率を示す。nの変化が異なる場合も示されている:1.6から1.0(図5a)、1.6から1.6(図5b)、1.6から2.2(図5c)である。
ポリカーボネート(PC)ディスクの屈折率nは1.6であり、熱クロミック材料の値は周囲温度/低光強度では1.6であり、高温/高光強度では2.2である。低いk値(k≒0.1)では、反射率は層の厚さに大きく依存する。層の厚さの関数としての変動に注目する必要がある。層の厚さが45nmの場合、最大反射率は8.6%となり、層の厚さが90nmの場合、反射率は最小の0.2%となる。同じ屈折率の変化で、k値が大きい場合(k≧0.5)、反射率はさらに増大することがわかる。層の厚さが〜40nmで、kがそれぞれ0.5、1.0および1.5の場合、最大反射率として9.2%、13.9%、20.1%が得られている。高いk値(k≧0.5)の場合、反射率は、層の厚さには依存しなくなる。層の厚さが100nmより厚く、kがそれぞれ0.5、1.0および1.5の場合、4.2%、8.8%および15.6%の一定の反射率が得られる。反射多層化システム(≧2層)において、k=1.5で、熱クロミック記録層の厚さが最適化されている場合、実効反射率として20%が得られる。
図5a乃至5cから、最大反射率は、層の厚さがそれぞれ約70nm、50nmおよび40nmであって、k≧0.5、n=1.0、1.6および2.2で、高温/高強度の場合に得られる。おおよそ、層の厚さが≧100nmでk≧0.5の場合、反射率は一定となり、層の厚さには依存しなくなり、最大値に比較してわずかに小さくなる。k≧1、n<1.6またはn>1.6では、深さに依存しない反射率は、従来技術の場合(k≒0)に比べて同等またはより大きくなる。k>0.5でn=1.6の場合、反射率は、常に従来技術の反射率、すなわちk≒0でn=1.6の場合に比べて大きくなることに留意する必要がある。
吸収が生じるには、熱クロミックまたはフォトクロミック効果が生じる必要がある。しかしながら、初期最大吸収は、多層化システムの層の数、および使用される層の充填率に制約される。反射率および信号コントラストに及ぼす初期吸収の影響は、厚さが≧100nmの層、例えば厚さが200nmであって、k=0.013、n=1.6の層の場合、〜8%であると試算される。非焦点化層の反射率は〜0.006%であり、焦点化層の反射率は、n=1.0、1.6および2.2で、高温/高強度の場合、それぞれ29%、18%および16%である。
閾値温度より高い温度に材料を加熱して記録する際には、材料の熱クロミック特性が消失して、材料は、周囲の基板/空間層材料の値に適合するnと、できる限り小さなkを有する、非反射状態に恒久的に戻る。熱クロミック材料の劣化により、上記の閾値を越える遷移が生じた場合、材料は、生じた小片の平均屈折率が、周囲のマトリクスの屈折率と近接するように選定する必要があることに注意する必要がある。記録後の最大許容k値は、多層化システムの層の数、および使用される層の充填率に制約を受ける。層の厚さが200nmで、kmax=0.013、n=1.6の場合、記録後の吸収率は〜8%である。k=0の場合、反射率は0%であり、0<k≦kmaxにおいても、反射率は極めて小さい。記録マークの反射率は、k=kmax=0.013、n=1.6で、〜0.006%である。記録マーク(反射率≒0.006%)および未記録マーク(高温/高強度で、n=1.0、1.6および2.2において、それぞれ反射率≒29%、18%および16%)間の変調は、初期吸収は〜8%であっても、>99%であり、層の厚さには依存しない。
さらに熱クロミック記録層の反射率は、いくつかの追加誘電層を用いることにより、焦点化吸収率および非焦点化透過率に影響を及ぼさずに、増大させることができる。図6には、一例として一つの記録層からなるスタックが示されている。スタックは、焦点化状態の熱クロミック材料の値よりも低い屈折率を有する(n’=1.5)2つの誘電層12、13に挟まれた熱クロミック材料の記録層Pを有し、この記録層は、さらに熱クロミック材料と隣接する誘電層12、13よりも大きな屈折率(n''=2.3)を有する2つの誘電層11、14に挟まれている。スタックは、ポリカーボネート基板S上に設置され、保護層Cで被覆される(多層化層の被覆または空間層)。熱クロミック材料を使用する代わりに、記録層Pにフォトクロミック材料を使用しても良い。
図7には、そのようなスタックの、熱クロミック記録層の厚さの関数としての光学特性を示す。プロットでは、外界-被覆層界面で消失する光の透過率が補正されている。図7からわかるように、そのようなスタックでは、約40%の焦点化反射、および99%以上の非焦点化透過が得られている。非焦点化透過率が、熱クロミック材料の周囲温度でのk値に依存することは明らかである。kが大きい場合、図8に示すように透過率は直線的に低下する。厚さが28nmで均一な熱クロミック記録層の吸収率が〜2%の場合、非焦点化層の透過率は>96%である。
高温での熱クロミック材料が、3種類の異なる屈折率(1.8、2.0および2.2)を有する場合の最適化スタックの反射率の計算結果は、kの関数として図9に示されている。周囲温度での熱クロミック材料の屈折率は、1.6である。屈折率が1.8乃至2.2で、k値が1.5のときの非焦点化層の透過率は、>99%であり、反射率は35乃至38%である。屈折率が2.2の場合、反射率はk値によらず、>20%である。屈折率が1.8よりも大きく、k値が0.5から1.5の間にある場合、反射率は>12%である。
従って、熱クロミック材料を備える最適化スタックを用いて、4層システムおよび20層システムの実効反射率を、2層BD RWシステムの実効反射率に比べて、それぞれ2.5乃至7倍、および2乃至5倍、向上させることができる。
ROMシステムの実施例では、熱クロミック記録層は、(湿式エンボス処理、射出成形法、(光)写真パターン転写技術、マイクロコンタクトプリント法、気体成膜法のような、従来の確立された技術を用いて)ピット形状および深さを有するようにパターン化され、このピット形状および深さは、標準的なROM方式において、反射時に最適再生およびトラッキング信号が得られるように最適化される。反射率が小さいこと以外には、熱クロミック効果が生じることについて、ドライブにいかなるフィードバックを提供する必要もなく、従って、焦点化深さの変化によって生じる収差を補正するだけで、標準的な市販のドライブとの互換性が得られる。
以下の実施例では、現在のディスクシステムのようなトラックが示されていることに留意する必要がある。しかしながら、これは他の実施例を排除することを意味するものではない。例えば、ブロードなビームを照射し、CCDセンサで検出する非走査カードのような、非走査データアクセスおよび/または2D情報コードを有するカードシステムを用いることも可能である。さらに、図面のスケールは正確ではないことに留意する必要がある。
図10a、bには、振幅と位相の回折格子を組み合わせた熱クロミックROM反射システム(図10a)、および位相回折格子のみを用いた熱クロミックROM反射システム(図10b)の実施例の側面図を示す。担体は、基板被覆層Sと,エンボス化ROM構造の熱クロミック層10と、空間層Rとを有する(必要であれば密着層を有しても良い)。層S、10、Rの屈折率は、周囲温度では等しい。斜線部20は、光ビーム形状を示しており、すなわちこの領域は、周囲よりも十分に高温である。温度の顕著な上昇は、ビームウエストの周辺においてのみ生じる。
反射ROMシステムの別の実施例を選択することも可能である。特に、図10の実施例とは異なり、均一な厚さを有する単一の熱クロミック層を用いることが可能である。図10cには、位相回折格子のみを用いる第2の実施例を示す。この場合、図10bの場合とは異なり、ランド部およびピット部での層の厚さは、等しい。熱クロミック材料を有する均一なスタックを用いた図10cの実際の実施例は、図11に示されている。この均一スタックは、従来の方法(スパッタリングまたは蒸着)を用いて、比較的簡単で安価に形成することができる。プッシュプル/3−スポット/DTDトラッキングは、図10bおよび10cに示す実施例の標準的なROMシステムで得ることができる。図10aに示す実施例の場合、プッシュプルトラッキングが不可能であるため、3−スポット/DTDトラッキングが用いられる。
光学特性に基づいて、波長405nm、NAが0.6の場合のピット幅として約265nmが使用される(12cmディスクの12.5GBユーザー密度)。しかしながら、熱クロミック超解像効果を利用することにより、12cmディスクにおいて25GBユーザー密度が得られ、結果的に20層、500GB、12cmディスクのDVD光学素子が得られる。
層の厚さ≧100nm、すなわちピット深さd≧100nmの振幅回折格子を用いたROMの実施例では、ピット内での初期吸収は、〜8%であり、ピット充填率は、25%である。非焦点化層の平均反射率、透過率および吸収率は、それぞれ、<0.0025%、〜98%、〜2%である。1≦n≦2.2、k≒1.5で、閾値を超える場合、焦点化層のピット反射率は、15乃至30%である。n=1、k=1.5の場合、最適反射率は、〜30%である(図5参照)。焦点化層のランドの反射率は、0%であるため、信号コントラストは〜100%となる。このコントラストは、ピット深さには依存せず、焦点化層および非焦点化層の反射率および透過率は、d≧100nmの場合、ピットの深さには依存しないことに留意する必要がある。
このROMディスクは、予め形成されたエンボス化ピットを、スピンコート法で充填して形成することはできない。スピンコート材料のないランドが残留せず、反射ディスクが低コントラストになってしまうからである。高コントラストの多層化ディスクを得るには、代わりに湿式エンボス化による方法を用いることが好ましい。
位相回折格子と提案された振幅回折格子ディスクの両方における、信号コントラストとピット深さの関係は、図12に示されている。CAは中央開口データ信号を表し、DPDは、トラッキングのタイプ1の微分位相検出信号を表す。純粋な位相回折格子ディスクの場合、信号コントラストは、ピット深さが最適値からずれると減衰するのに対して、純粋な振幅回折格子の場合、信号コントラストは常に、ほぼ100%となる。純粋な振幅回折格子の場合、ラジアルプッシュプル信号は、原則として消滅することに留意する必要がある。
DTD2(微分時間検出タイプ2)トラッキング方法には、純粋な振幅回折格子と同様の利点がある。DTD2信号の微分の際には、2組の対角線象限区間(すなわち、例えばAは左上の四分区間、Bは、右上の四分区間、Dは左下の四分区間、Cは右下の四分区間としたとき、A+CおよびB+D、)が、まず得られ、次にその位相差が比較される。これらの2信号は、最大変調され、より精度の高い位相比較が可能となり、良好なトラッキングエラー信号が得られる。先と同様の、信号A+CおよびB+Dの変調と、ピット深さの関係を図13に示す。全ての計算において、充填率は25%とした。
WORMシステムによる反射の実施例について説明する。原則として、材料を閾値温度以上に加熱するだけで、高記録から低記録への遷移効果が得られ、材料は、熱クロミック特性を喪失し、周囲の基板/空間層材料の屈折率に適合する屈折率nを有する非反射状態に恒久的に戻る。熱クロミック材料の劣化によって、前述の閾値を超える遷移が生じた場合、生じた小片の平均屈折率が周辺のマトリクスの屈折率と近接するように、材料を選択する必要がある。
この記録概念の極めて好適な特徴は、第1の実施例に示すように、高い変調が得られることである(原則として、100%)。これは、高密度システムの高データ速度を得るには重要である。高密度システムでの最大のデータ空間周波数は、変調伝達関数カットオフに近接しており、光学システムによって著しく減衰される。従って高変調は、高データ速度の実現に直接結びつく。
第1のWORMの実施例では、単一の熱クロミック材料が用いられ、これはトラック内に設置される。熱クロミック材料は、主マトリクス中に溶解、分散、バインダへの吸着、錯体化などによって取り込まれる。層の厚さは、適当な情報およびトラッキング信号を得ることができるように選定される。この概念を図14、15に示す。図では、トラックが直線で示されていることに留意する必要がある。例えば標準的な記録方法を用いて、情報をトラックウォブルに記録することも、もちろん可能である。
図14a、bには、未記録トラックを有する第1の実施例の側面図(図14a)および上面図(図14b)を示す。図15a、bには、記録トラックを有する第1の実施例の側面図(図15a)および上面図(図15b)を示す。熱クロミック材料50は、トラック内に設置され、60で示される位置で局部的に劣化している。空間層Rは、屈折率が適合されており、不活性である。記録後に、トラックの非劣化部分のみが熱クロミック効果を示し、反射光の変調が生じる。
図14に示すような、層の厚さが≧100nmの純粋な振幅回折格子を用いるWORMの実施例では、グルーブでの初期吸収は〜8%であり、グルーブの深さはd≧100nmで、グルーブの充填率は50%、記録および未記録マークを有する非焦点化層の平均反射率、透過率、吸収率は、それぞれ<0.005%、〜96%および4%である。1≦n≦2.2、k≒1.5で、閾値以上では、焦点化層の記録マークの反射率は、<0.01%で、未記録マークでは、15乃至30%である。n=1、k=1.5の場合、最適反射率は、〜30%である(図5と比較のこと)。記録および未記録マークから得られる信号コントラストは、d≧100nmの場合、〜100%である。この変調は、ピット深さには依存せず、焦点化および非焦点化層の反射率と透過率は、d≧100nmでは、ピット深さには依存しないことに留意する必要がある。
純粋な位相回折格子ディスク、および提案された振幅回折格子ディスクの両方における、信号コントラストとピット深さの関係は、図12および13に示されているものとほぼ等しい。未記録領域では、トラッキングは、例えばツインスポット法で行われる。ツインスポット法は、ラジアル走査中に検出される、中央開口信号の変化に基づく方法である。純粋な振幅回折格子を用いた信号の変調は、半径方向で最大となるため、本発明の利点が生かされる。
第2のWORM実施例は、図16および17に示されている。熱クロミック効果を示し、劣化温度の異なる2材料を用いるという別の考えが適用されている。図16a、bには、未記録トラックを有する第1の実施例の側面図(図16a)および上面図(図16b)が示されている。図17a、bには、記録トラックを有する第1の実施例の側面図(図17a)および上面図(図17b)が示されている。
トラックは、大部分が、記録処理中の通常の処理温度とほぼ同程度の劣化温度を有する熱クロミック材料70で構成される。トラック−グルーブは、熱クロミック特性を示す材料80に取り囲まれるが、材料80の劣化温度は、記録処理中に達する温度よりも十分に高い。プリグルーブトラックの端部(すなわち低温部)での、この高い劣化温度、およびレーザースポットの中心での強度よりも低い光強度により、記録時には、図17に90で示す材料70のみが劣化する。
熱クロミック材料は、溶解、分散、バインダへの吸着、錯体化などにより、主マトリクスに取り込むことができる。トラック−グルーブは、例えばエンボス化処理やマイクロコンタクトプリント法のような従来技術を用いて、加工製作することができる。
本実施例の利点は、未記録状態および記録状態の両状態で、連続サーボ信号が生じることである。本実施例において得られるコントラストは、記録スタックの細部構造および材料特性に依存する。「ランド」層は、材料80で構成され、最大厚さは、d1+d2であり、厚さd1のストレージ層の下部に追加伸張部を有する。図16および17には、一つの実施例が示されているが、別の変形も可能であり、例えばd1=0、d2=0の均一な厚さの層を用いても良い。
別の概念では、予めエンボス化処理されたトラックを有する、図6に示す最適化スタックが用いられる(図18、19)。強レーザーパルスが局部的に用いられ、熱クロミック材料50の劣化によって、透明マークが書き込まれる。劣化マーク60では、光は全く反射されない。再生およびトラッキング(プッシュプル/3スポット)信号は、dをトラック深さとしたとき、0<d<λ/2nかつd≠λ/2の場合に得られる。DTDは、ピット(ROM)のみに用いられ、グルーブ(WORM)には用いられない。トラック深さがλ/2nのとき、トラックの残留活性部分50からは、3スポットトラッキングを有する最大再生信号(プッシュプルはゼロ)と、最大コントラストを有する最大再生信号(原則として100%)が得られる。
別の調査を実施して、屈折率変化Δnが無視できる場合、あるいは屈折率nが増加ではなく減少する場合の挙動を把握した。k=0、0.1、0.5、および1.5のときの、屈折率が1.0乃至2.2の範囲での、(図1aのような)単一の熱クロミックまたはフォトクロミック層を備える記録担体において算出された反射率を図20に示す。
基板の初期屈折率は、例えば標準的なポリカーボネート系基板の屈折率の1.6とした。同マークの2つの曲線は、特定のk値での最小および最大反射率を示す。特定のk値でのこの反射率の範囲は、図5に示す層の厚さから定めた。kが小さい場合(k≦0.1)、反射率は、層の厚さに強く依存する。k≒0の場合、層の厚さの関数としての反射率は、ほぼ不減衰振動関数に近い。従って、層の厚さが異なっても、反射率はほぼ等しく、図20では、k≒0の場合の反射率の値のみが用いられている。k>0のとき、厚さが〜75nm、〜50nmおよび〜40nmとなり、nが初期の値1.6から1に変化すると、最大反射率の値は、それぞれ、1、1.6および2.2となる。k>0のとき、厚さが>50nm、>30nm、>25nmとなり、nが初期の値1.6から1に変化すると、本実施例での一定および最小反射率は、それぞれ、1、1.6および2.2となる。
従って、k≒0のとき、n値が2.2および1.0では、反射率は、ほぼゼロからそれぞれ、10%、20%に増大する。0<k<0.5のとき、n≒1およびn≒2.2では、k≒0のときに比べて、反射率は減少する。1.2<n<2.2では、反射率は数%増大する。また0.5<k<1.5では、n≒2.2およびn≒1.0の場合、反射率は、それぞれ10%および20%から、20%および30%に増大する。n≒1.6では、意外なことに反射率は、ほぼゼロから22%に増大する。nとkを最適化することにより、反射率の増大とともに、解像度が高まる。
nが1.6から2.2に変化し、同時にkが0から1.5に変化したときの反射率を、図21の破線に示す。未照射の場合、nは1.6であり、反射率0%で青色のグラフが始まっている。照射が強くなると、nとkが増加する。k=0.1、0.5、1.0、1.5の場合、それぞれn=1.9、2.05、2.15および2.2のとき、破線は別の線と交差する。グラフの交点では、k値が等しいことに留意する必要がある。図22aにおいて、この場合(破線の曲線)と従来の状況とを比較すると、nを増加させるだけで、kを最適化しなくても反射率が最適化される。両ケースにおいて、nが1.6から1.9に変化した場合の反射率は、ほぼ等しい。しかしながら、nの値が大きくなると同時にkが増大する場合(図22aの破線)は、kが変化しない場合に比べて、反射率はより急激に増加する。
回折制限スポットの強度プロファイルは、sinc関数によって表されるが、これはガウス関数で近似できる。従来技術の熱クロミック効果によって増大した解像度は、スポットの中心方向に向かっての反射率の非線形的な増加によって表される。スポット位置の関数としての対応する反射率は、概略的に図22bに実線で示されている。nとkの増大による、スポット中心方向に向かっての熱クロミック反射率の急激な増大は、解像度のさらなる向上につながる(図22bの破線)。位置の関数としての反射率は、図22bに近似的にガウスプロファイルで示されており、約1.3倍の解像度の向上が得られる(図22b)。2D解像度の向上は、〜1.7である。
図20から、単層構造を基本とする(図1bに示すような)多層化記録担体の場合、k≒1.5でn≒1.6のときの反射率は、予想されるようなゼロではなく、22%まで増大し、この変化は、k≒1.5、1.6<n≦2.2の場合に比べて、より大きい。反射率の増大は、nが減少する場合の方が、nが増加する場合あるいはnが変化しないときよりも顕著である。k≒0、n≒1.0では、反射率は20%まで上昇し、k≒1.5、n≒1.0では、反射率は30%まで上昇する。また提案の方法では、〜1.7倍の追加の解像度の向上(2D)が得られ、これは、空間解像度を増加せずに、システムマージンを増大させることに利用できる。nが1.6から2.2に変化し、kが0から1.5まで変化する場合を例に、解像度を向上させる方法について説明したが、本方法は、nを1.6から1.0に変化させ、kを0から1.5に変化させる場合にも適用できる。
図6乃至8の説明に示したように、記録層の反射率は、さらに、追加の誘電層を用いることにより、焦点化吸収率および非焦点化透過率を犠牲にせず、増大させることができる。図6と同一のスタック構造を用いて、n=1.6でk=0から始めて(図23参照)、1≦n≦2.2でk=1.5のときのスタックの反射率を計算した。初期のk値がk≦0.02の場合、非焦点化層の透過率は>96%であった。
k=1.5でn≒2.2の場合、反射率は〜45%となり、nが1.0まで減少すると、徐々に増加して55%に至る。これは、最適熱クロミックスタックの反射率の増大は、nが減少する場合のほうが、nが増加する場合あるいはnが変化しない場合に比べて、大きいことを示す。さらに、k≒1.5でn≒1.0では、反射率は55%になり、k≒1.5でn≒1.6では、反射率は46%になる。
材料の光学定数であるnとkの値は、波長に依存する。閾値温度あるいは閾値強度を超える場合、吸収バンドは、別の波長にシフトする。従って、nとkのスペクトル依存性は、別の波長にシフトする。k値は、最大吸収波長で最大となり、スペクトルシフト後に、この最大のk値は変化しない。しかしながら、別の材料が別の最大k値を有するようにすることができる。従って、特定波長でのk値は、閾値温度(TC)または閾値強度(PC)を超えると、スペクトルシフトによって変化する。初期吸収は、TC/PC効果を生じさせるために必要である。この初期吸収は、層数および使用する充填率(ROMでは〜25%、WORMでは〜50%)に制約される。吸収率Aとkの関係は、A=1−exp(−4πdk/λ)で表される。ここでdは層の厚さ、λは使用レーザーの波長である。特定波長での特定の吸収では、dk=一定であることに留意する必要がある。例えば、層の厚さが200nmで、k=0.013、n=1.6
λ=405nmの場合、初期吸収として〜8%が得られる。層の厚さがd≧30nmでは、1≦n≦1.6で、k≧1.0で閾値以上の場合、反射率は常に≧9%となる。従って、初期k≦0.085、d≧30nmの材料を用いた場合、初期吸収率として〜8%が得られる。
λ=405nmの場合、初期吸収として〜8%が得られる。層の厚さがd≧30nmでは、1≦n≦1.6で、k≧1.0で閾値以上の場合、反射率は常に≧9%となる。従って、初期k≦0.085、d≧30nmの材料を用いた場合、初期吸収率として〜8%が得られる。
特定材料の選定手順は以下の通りである:
対象レーザー波長(200乃至800nm)において、低初期k値、例えばk≦0.085を有するTC/PC材料を選定することにより、405nmでの初期吸収率として〜8%が得られ、非焦点化層において高透過率が得られる。
対象レーザー波長(200乃至800nm)において、低初期k値、例えばk≦0.085を有するTC/PC材料を選定することにより、405nmでの初期吸収率として〜8%が得られ、非焦点化層において高透過率が得られる。
選定材料の最大k値を≧1とする。
材料のk値は、閾値温度/強度を超えるところで、0.5よりも大きくし、好ましくは1よりも大きくすることで、従来の材料に比べて、焦点化層の反射率の増大が得られる。
閾値温度/強度での屈折率の範囲は、1<n<4とし、好ましくは1<n<1.6とする(周囲の層の屈折率はn=1.6であり、1.4<n<1.7の間で変化する)。1<n<1.6の範囲が好ましいのは、kの増大およびnの減少によって、反射率の更なる増大が得られるからである。
青色および赤色の両シフトが利用できるが、青色のシフトが好ましい。nの減少は、青色シフト(1<n<1.6)の適用によって得られ、nの増大は、赤色のシフト(1.6<n<4)の適用によって得られる。
k値が大きい場合に反射率が高くなるという予測を、実験的に確認した。約440nmのガラス基板(n≒1.52)上の厚さ≧30nmの色素S5013層(図4参照)の空気側入射反射率は、計算では、30乃至33%である。空気側入射反射率の最適値は、厚さが〜50nmの場合、計算上33%となる。多層化ディスクのような基板側入射の反射率は、〜23%であることに留意する必要がある。実験によって得られたnとkの測定値は、図に示されており、320nmおよび440nmのそれぞれにおいて、n≒1.2、k≒0.1およびn≒1.5、k≒1.5である。測定反射率は、図24に示されており、厚さ80+/-25nm(図24)のとき、約320nmおよび440nmのそれぞれにおいて、空気側入射反射率は、〜3%および〜36%である。440nmでの測定反射率は、予想値よりも高く、これは、1.5よりもわずかに高いk値1.6のときに生じる。基板側入射の場合、この色素層の反射率は、約320nmおよび440nmのそれぞれにおいて、〜0%および〜25%である。吸収および反射スペクトルはいずれも、440nmで最大となり、透過スペクトルは、この波長で最小になることに留意する必要がある。
PC材料は双安定性であるが、TC材料はそうではない。TC材料の場合、温度が低下して閾値温度を下回った場合、nとkは初期値に戻る。光照射の下では、PC材料の構造は、変化して、nとkが変化する。初期の光学定数に戻すには、別の照射波長が必要となる。これは、より複雑な光学システムを必要とし、あるレーザースポットを用いてPC材料を再生することと、別の波長の別のレーザースポットを用いてPC材料を再生することを切り替える必要がある。これは、図25に示すPC材料を用いた実施例により可能となる。この図は、PC材料を用いた実施例を示す。吸収バンド範囲内の波長を有する一つのレーザービームL1は、PC材料の光学定数(n、k)を変化するために使用される。同時に、データが再生される。第2のレーザービームL2は、シフトした吸収バンドの範囲内の別の波長を持ち、PC材料の光学定数(n、k)を初期の値に戻すために使用される。S1は、スイッチがオンにされ、スポットが再生されることを表し、S2は、スポットがオフにされること表す。矢印は、ディスクの回転方向を示す。
記録装置の集束レンズの中央の開口を遮断することにより、あるいはレンズにドーナツ状のビームを照射することにより、光学的な均質化を用いて、高物理密度を得ることができる。しかしながら、この効果は、通常の記録担体には適用することができない。隣接ビットからの符号間干渉(ISI)が同時に増大して、ジッターがあまりに大きくなるからである。
レンズの中央の開口を遮断することにより、あるいはドーナツ状のビームを照射し、本発明による提案の非線形材料とを組み合わせることにより、光学的な均質化を用いて、物理密度を高めることができる。非線形効果は、物理密度を高める際に、ジッターを許容できるレベルに維持するために用いられる。前述のように、熱またはフォトクロミック材料を用いることで、非線形効果が得られる。
中央ピークが小さくなると、エネルギーが、パターンのサイドローブ側に移動し、サイズが大きくなる(図26)。スポットサイズの減少は、1.9分の1まで可能である。スポットサイズの低下は、低周波数の変調移動関数(MTF)を減少させる代わりに、高周波数の変調移動関数(MTF)を増加させる。この光学的な均質化を用いて、ジッターを許容範囲のレベルに維持させたまま、高い物理密度を得ることができる。通常、この効果は、物理密度を高める方法に有効に用いることはできない。サイドローブが隣接ビットからの符号間干渉(ISI)と判断され、開口が閉じられる傾向にあるからである。非線形吸収または反射の場合、検出信号は、これらのサイドローブをより狭める(図27および28参照)。図22に示すような非線形効果は、サイドローブの低下を可視化するために用いられる。図27aには、最適な場合(破線のグラフ)、および従来の場合(実線のグラフ)の、nの関数としての反射率を示す。図27bには、従来の場合(実線のグラフ)および最適な場合(破線のグラフ)の、環状レンズのスポットに沿った、対応する反射率プロファイルを示す。スポットのサイドローブの反射率は、変化しないが、非線形効果によって、中央ピークの反射率は大きくなる。両反射率プロファイル(図28)を規格化すると、サイドローブの反射率は、中央ピークの反射率に比べて1/2倍に減少している。示されているサイドローブの反射率の低下には、熱クロミックまたはフォトクロミック効果によって生じる減少分が追加されている。全減少分は、より大きくなり得る。
本方法は、異なる手法で実行することができる。本方法を用いて十分なゲインを得るため、レンズ開口の中央部のほとんどは、例えば、図29に示すように、レンズの前にライトブロッカーを設置して遮蔽され、通常のオーバーフィルレンズに対して十分な出力損失が得られる:約80%の出力損失が得られ、スポット面積の減少は、〜1/1.9倍になる。
別の方法は、ドーナツ状のビームを用いることである。エネルギー損失を許容範囲に維持するには、ビーム整形素子を用いて、r=0ではなく、rpeak=(Rblock+Rlens)/2となる半径方向の強度プロファイル、すなわち図30に示すような、いわゆるドーナツビームを形成する。
物理密度は、蛍光記憶装置および多層化記憶装置に利用できることに留意する必要がある。蛍光記憶装置とは、特殊なタイプの吸収記憶装置である。
しかしながら、データ密度の更なる向上は、しばしば光学記憶システムの収差の増大の原因となる。青色DVDシステムおよび多層化システムを例に説明する。図31には、基板厚さ0.6mm(図31a、b)または0.65mm(図31c)のディスクでの、DVD+RWレンズのスポット強度を示す。情報層の深さが0.6mmに維持されたまま、DVDシステムの波長が赤(660nm;図31a)から青(405nm;図31b)に変わると、傾斜のマージンが減少する。集束スポットの中央ピークのエネルギーは、ディスクが傾くとサイドローブに移動する。これらのサイドローブの増大は、隣接ビットからの符号間干渉(ISI)を増大させ、ジッターを増大させる。傾斜によるサイドローブの増加量は、光の波長に対して逆比例する。
多層化ディスクでは、使用NAを制限する要因として収差があり、これはNAとともに著しく増大する。単一またはジュアル層システムの場合、これは許容できる。対物レンズが、媒体中のあるいは2層間の既知の焦点位置を補正するからである。多層化システムの場合、収差はアドレス指定された層の深さの関数であり、適応素子によって補正しなければならない。しかしながら、補正の範囲は限定される:ジュアル層BDの球面収差を補正するように設計された液晶(LC)補正器では、球面収差(SA)ピーク間エラーを〜1λ程度補正できる。従って、LC補正器を用いた場合、DVD(NA=0.60)およびBD(NA=0.85)系の多層化システムでは、〜300μmおよび〜400μmの深さ範囲が得られる。SAの場合、集束スポットの中央ピークのエネルギーは、レンズがディスクに異なる深さで別の層に集束された場合、サイドローブに移動する(図31c)。
吸収または反射式光記憶システムの収差は、前述の熱またはフォトクロミック材料の非線形効果を利用して、抑制することができる。青色DVDの場合、非線形効果を利用して、傾斜マージンを増大させることができる。多層化記憶装置の場合は、これにより、深さ範囲を増加できる。
赤色DVDレンズの集束スポットの、中央ピークからサイドローブへのエネルギーの移動は、傾斜およびSAについて、それぞれ図31bおよび31cに示されている。非線形吸収または反射の場合、検出信号の示すこれらのサイドローブは、図26乃至30に示した場合より、十分に小さくなる。物理密度増大は、前述の環状レンズを用いることで得ることができる。しかしながら、中央ピークの幅の減少が、サイドローブの強度の増大と同時に生じ、ジッターが増大する。これらの検出されるサイドローブは、本発明の非線形効果を用いることにより、抑制することができ、これは図28に示されている。同じ非線形方法を用いて、傾斜(図31b)またはSA(図31c)によって検出されるサイドローブを抑制することができる。
吸収または反射青色DVDシステムの小さな傾斜マージンは、本発明の非線形効果を用いて改善することができる。また、吸収または反射多層化記憶装置の深さ範囲は、本発明の非線形効果を用いて増大することができる。従って、LC補正器を用いて、深さ範囲が、>30μmおよび>40μmのDVD(NA=0.60)およびBD(NA=0.85)系多層化システムを得ることができる。別のSA補正素子によって、深さ範囲を小さくまたは大きくすることができる。
また吸収または反射多層化記憶システムのNAは、本発明の非線形効果を利用して、収差(例えば傾斜、SA、コマおよび非点収差)を許容範囲内に維持したまま、増大させることができる。コマ収差を有するスポットにおいて検出されるサイドローブの強度は、検出中央ピークの強度の低下により、増大する。さらに非点収差による反射強度プロファイルのブロード化は、非線形反射表面では、線形反射表面ほど顕著ではない。従って、コマおよび非点収差は、熱またはフォトクロミック材料の非線形効果を用いることで、抑制される。
収差の低下は、非線形応答を適用することにより、線形応答に基づく蛍光記憶装置や光記憶システムにも利用できることに留意する必要がある。
熱クロミック材料をベースとするWORMの概念について、前述の図14乃至19を参照して説明した。原則として、材料を閾値温度を超える温度に加熱するだけで、高記録から低記録への遷移効果を得ることができる。この加熱により、材料は熱クロミック特性を喪失し、周囲の基板/空間層材料の屈折率、例えばポリカーボネート(PC)の場合1.6、に適合する屈折率nを有する非反射状態に恒久的に戻る。フォトクロミック材料の場合は、閾値強度が用いられる。熱クロミック/フォトクロミック材料の劣化により、上記閾値を超える遷移が生じた場合、発生した小片の平均屈折率が、周囲マトリクスの屈折率と近接するように、材料を選択する必要がある。屈折率のミスマッチは、信号コントラストおよび非焦点化層の透過率の減少につながる。
従って、記録後に記録マークに屈折率のミスマッチが生じた場合、焦点化層の信号コントラストおよび非焦点下層の透過率を最適化する方法が提案される。各屈折率のミスマッチにおいて、信号強度(しばしば信号変調とも呼ぶ)を犠牲にせずに、最大コントラスト(〜100%)および所与の初期吸収に対する最適透過率を得るための、熱クロミック/フォトクロミック材料の最適な層の厚さが見出される。
記録前(未記録マーク)と後(記録マーク)における焦点化層と非焦点化層の、単層熱/フォトクロミック(TC/PC)記録スタックの反射率(R)、透過率(T)、吸収率(A)および信号コントラスト(C)は、図32に示されている。それぞれ記録後における、グルーブ深さが200nmのポリカーボネート(PC)の屈折率(nPC)に適合する記録TC/PCマークの屈折率(n=1.6)の場合(図32a)、最適深さ156nmでの屈折率ミスマッチがΔn=0.3(nw=1.3)の場合(図32b)、最適深さ202nmでの屈折率ミスマッチがΔn=0.6(nw =1.0)の場合(図32c)、最適深さ184nmでの屈折率ミスマッチがΔn=0.6(nw =2.2)の場合(図32d)、最適深さ92nmでの屈折率ミスマッチがΔn=0.6(nw =2.2)の場合である(図32e)。図32にはグルーブ深さの関数として、以下のグラフが示されている:k=1.5で閾値を超える場合の、n=1.0(Rwnw1.0)および1.6(Rwnw1.6)での焦点化未記録マークの反射率、n=1.0および1.6(Rw)の両場合の記録後の8%の吸収率を有する焦点化記録マークの反射率、k=1.5で閾値を越える場合の、n=1.0(C1.0)および1.6(C1.6)での焦点化の記録および未記録マーク間の信号コントラスト、グルーブ/ランド比50%で所与の(最適)グルーブ深さでの記録後の、非焦点化層の平均透過率(Toof)である。
記録前後の焦点化層と非焦点化層の単層TC/PC記録スタックの反射率、透過率、吸収率および信号コントラストは、以下の表に示されている。この表および図32に使用されている用語の意味は、以下の通りである:
a)nwは、記録マーク(w)の複素屈折率の実部(n)である。nw=1.6に対してΔnw=±0.6の記録後の屈折率ミスマッチの影響が検討されている(nw =1.0、nw =2.2)。
b)nunwは、閾値を超える未記録マーク(unw)の複素屈折率の実部(n)である。未記録マークのnは、閾値以下では1.6である。
c)doptは、TC/PC層の最適厚さである。
d)Toofは、非焦点化(oof)層の平均透過率(T)である。プリグルーブ化WORM媒体の比率は50%である。
e)Aoofは、非焦点化(oof)層の平均吸収率(A)である。プリグルーブ化WORM媒体の比率は50%である。
f)kは、焦点化および非焦点化記録マーク、ならびに非焦点化未記録マークの複素屈折率の虚部である。
g)Cは、焦点化記録および未記録マークの信号コントラストである。
h)Rは、焦点化と非焦点化の記録および未記録マークの反射率である。
a)nwは、記録マーク(w)の複素屈折率の実部(n)である。nw=1.6に対してΔnw=±0.6の記録後の屈折率ミスマッチの影響が検討されている(nw =1.0、nw =2.2)。
b)nunwは、閾値を超える未記録マーク(unw)の複素屈折率の実部(n)である。未記録マークのnは、閾値以下では1.6である。
c)doptは、TC/PC層の最適厚さである。
d)Toofは、非焦点化(oof)層の平均透過率(T)である。プリグルーブ化WORM媒体の比率は50%である。
e)Aoofは、非焦点化(oof)層の平均吸収率(A)である。プリグルーブ化WORM媒体の比率は50%である。
f)kは、焦点化および非焦点化記録マーク、ならびに非焦点化未記録マークの複素屈折率の虚部である。
g)Cは、焦点化記録および未記録マークの信号コントラストである。
h)Rは、焦点化と非焦点化の記録および未記録マークの反射率である。
記録後のnが1.6ではなく、例えば劣化によりn=1.3の記録マークの屈折率ミスマッチでは、コントラストおよび非焦点化透過率は低下する(図32bおよび表の第2行)。コントラストは、記録マークの反射率の増大により75%低下するが、未記録マークの反射率は、変化しない。しかしながら、層の厚さが〜156nmの場合、最大コントラストは、〜100%となり、平均初期吸収が4%(k=0.017)の場合、非焦点化層の平均透過率は〜96%となる(図32)。
記録マークの屈折率ミスマッチのコントラストは、nが1.6ではなく、n=1.0とn=2.2の場合、それぞれ、0%および50%まで低下する(それぞれ、図32cと表の第3行目、および図32a乃至eと表の4行目)。最適層厚さが202nmのとき、nが1.6ではなく、n=1.0の記録マークの屈折率ミスマッチのコントラストは、≧99.8%となる(図32c)。最適層厚さが184nmおよび92nmのとき、nが1.6ではなく、n=2.2の記録マークの屈折率ミスマッチのコントラストは、≧99.9%となる(それぞれ、図32dおよび32e)。最適グルーブ深さを有する非焦点化層の吸収率、透過率および反射率の平均値は、全てのケースにおいて、それぞれ4%、〜96%および≦0.02%である(図32b乃至e)。最適深さを有する記録マークの屈折率ミスマッチの焦点化反射率は、全てのケースにおいて、≦0.04%である(図32b乃至e)。
上記の測定結果に基づいて、屈折率のミスマッチΔnが記録後の記録マークに生じる場合に、焦点化層の信号コントラストおよび非焦点化層の透過率を最適化する方法が提供される。各屈折率のミスマッチΔnに対して、信号強度を犠牲にせずに、最大コントラスト(〜100%)となる最適層厚さdoptが得られ、所与の初期吸収に対する最大透過率が得られる。
提案の方法のステップは以下の通りである:
第1の波長(例えば405nm)近傍では初期k値が低く(例えばkinitial<0.5の)、記録前の短いまたは長い第2の波長では、k値が大きな(例えばkmax≧0.5)TC/PC材料の選定。第1の波長(405nm)での再生中は、kは初期値よりも高くなり(kmax≧0.5)、再生後には初期値にまで低下する(kinitial<0.5)。
第1の波長(例えば405nm)近傍では初期k値が低く(例えばkinitial<0.5の)、記録前の短いまたは長い第2の波長では、k値が大きな(例えばkmax≧0.5)TC/PC材料の選定。第1の波長(405nm)での再生中は、kは初期値よりも高くなり(kmax≧0.5)、再生後には初期値にまで低下する(kinitial<0.5)。
記録前に、TC/PC材料の屈折率が、周囲の基板/空間層材料の値、例えばポリカーボネート(PC)の場合405nm近傍では〜1.6、に適合する。
記録後に、第1の波長(405nm)での屈折率のミスマッチΔnを測定する。
TC/PC材料の最小最適層厚さdoptを算出する(図32および表1には、Δn=−0.3およびΔn≠0.6の場合の例が示されている)。
非焦点化層の最小透過率を得るため、記録前の最適層厚さdoptにおける、第1の波長(405nm)での最大初期k値(kinitial-max)を算出する。非焦点化透過率は、厚さ、グルーブ/ランド比およびkに依存し、例えば、プリグルーブ化WORM層の厚さが200nmで、初期吸収率が8%(kinitial-max =0.013)、グルーブ/ランド比が50%の場合、非焦点化透過率は、〜96%となる。記録前にkinitial>kinitial-maxで、記録後にkafter writing>kinitial-maxとなる材料は、有益ではないことに留意する必要がある。記録後の記録マークにおける屈折率ミスマッチがΔnの場合の、信号コントラスト(〜100%)および非焦点化層の透過率(〜96%)は、第1の波長(405nm)で最適化される。
複合のビームの平行界面での干渉を表すマトリクス特性論を用いて、図33に示すように、アドレス指定または非アドレス指定層の反射率、透過率および透過率が算定される。これはM. V. Klein、T. E. Furtak、光学素子、第2版、John Wiley & Sons、(1986年)にも示されている。
垂直光入射時の2種類の異なる媒体間の界面での反射係数および透過係数ρij、τijは、それぞれ以下の式で表される。
図34に示すスタックを用いて、アドレス指定されたあるいはアドレス指定されない層の両方において、TC/PC層の全透過率、反射率および吸収率が計算される。空気−ポリカーボネート界面での反射は、考慮されていない。未記録マークの場合、kinitial≦kinitial-maxにより、周囲温度ではnTC-unwritten=1.6−(kinitial)iで、高温ではnTC-unwritten=1.6−(1.5)iである。記録マークの場合、kafter writing≦kinitial-maxで、nTC-written= nafter writing−(kafter writingl)i 、nPC=1.6であり、周囲温度でのnTC-unwrittenに適合する。Δ=nafter writing −nbefore writing≠0の場合、屈折率のミスマッチのため、アドレス指定層の記録および未記録マークの間のコントラストは減少する。しかしながら、厚さを調節して記録マークの反射率を最小化することにより、このコントラストを高めることができる。記録マークのこの最適化層厚さdoptは、TC層の厚さの関数として、コントラストを算出することにより、前述のマトリクス方式論で計算することができる(図32および表1の例では、屈折率ミスマッチをΔ=−0.3およびΔ=±0.6としている)。d>30nmの場合、コントラストの最大値は、doptの値を定める。未記録マークの反射率は、厚さに依存せず、従って記録マークの最適厚さと同じ厚さが用いられていることに、留意する必要がある。
非アドレス指定層での最小許容透過率は、kinitial-max値を定める。非アドレス指定層での全吸収率Aは、透過率Tとほぼ無視できる反射率Rを用いて、以下の式で表される。
A=1−T−R≒1−T
吸収率と屈折率の虚部kとの間には、以下の関係がある。
A=1−T−R≒1−T
吸収率と屈折率の虚部kとの間には、以下の関係がある。
前述のように、層の厚さを100nmより大きくし、純粋な振幅回折格子を用いたWORM実施例では、グルーブ深さの調整により、最適信号コントラストおよび非焦点化透過率が得られる。さらにこの考えは、CD、DVDおよびBDのような、多層化層や単層の反射光ディスクシステムにも利用できる。
TC/PC有機色素の熱安定性が悪いことが、再生時の大きな問題である。TC再生では、光学定数(nおよびk)の加熱冷却時の可逆変化が利用される。PC再生では、波長の異なる2レーザービームでの照射時の光学定数(nおよびk)の可逆変化が利用される。分解/劣化温度を超える有機材料の加熱は、記録動作に利用することができる。
しかしながら、記録動作は、再生時の温度が分解温度を超えた場合に生じる。提案のTC/PCの場合、多層化記録媒体には、TC/PC材料および熱伝導率の低い材料(ポリカーボネート、SiO2、Si3N4)を用いることが好ましい。従って、高いk値(0.5<k<1.5)を用いた高吸収のため、再生時の温度は分解温度を超えて上昇する。再生中の温度は、<70℃であることが好ましい。有機色素の分解温度は、>70℃であるからである。k=1.5で、TC/PC層の厚さを50nmとしたときの熱計算から、21.12m/s(4xBD/6xDVD)の速度で、0.3mWの再生出力が用いられる場合、温度は約130℃となる。ディスク速度が増大し、再生出力が低下すると温度は低下する。しかしながらレーザー出力を下げることは、現実的な選定ではない。ビット検出のSNR要求を満足させるため、データ速度は、レーザー、特に電子ノイズにより、大きな制約を受けるからである。
相変化材料をベースとした従来のDVD+RW単層システムと、TC/PC材料をベースにしたDVD-WORM多層化媒体での、チャンネルビットレート(CBR)の計算値比較を、以下の表に示す。反射率(R)が14%、ディスクおよびPDIC検出器でのレーザー出力(Plaser)が0.7mWの場合、従来のDVDシステムのCBRは、146Mbpsである。ディスク上での出力が10分の1の、0.07mWの出力を用いた場合、TC多層化システム(再生温度<130℃)では、レーザーノイズの増大(RIN;−125dBから−115dB)により、CBRに大きな減少が認められ、CBRは16Mbpsとなる。
レーザー出力を低く抑えたまま、CBRを許容可能な値まで上昇させる方法は、以下の表に示されている。例えばグレーフィルタ(5列目の「フィルタ」に示されている)はレーザーノイズを抑制し、アバランシェ光ダイオード(APD)は、電子ノイズを抑制し、マルチトラック再生は、光出力を損失せずにCBRを高める。3.5mWのレーザー出力パワーを使用し(従来のDVD+RWシステムの2倍以上)、グレーフィルタを用いてレーザー出力を1/20に低下させることで、ディスク上でのレーザー出力を0.07mWにできる。グレーフィルタの使用は、レーザーノイズを20dB減少させ、電子ノイズに制約されるCBRを6倍(16から93Mbpsに)増大することが可能となる。APDを用いることにより、さらに2倍(93から204Mbpsに)CBRを増大させることができる。グレーフィルタの使用による問題は、光出力の90乃至95%の損失である。
この光出力損失の問題は、本発明のマルチスポット回折格子を用いることにより解消される。例えば、減衰定数が10のグレーフィルタの代わりに、10スポット回折格子が使用される。従来の再生レーザー出力の1.75mWを用い、10スポット回折格子および従来のPDIC検出器を使用した場合、CBRは〜700Mbpsとなる。従来の再生レーザー出力の1.75mWを用い、10スポット回折格子およびPINベースAPD検出器を使用した場合、CBRは〜1.2Gbpsとなる。分解温度が>200℃のTC有機色素の一例は、野村らの、「金属ナノ粒子または微小開口を用いた超解像ROMディスク」日本、応用物理、41巻、3B、1876(2002年)に示されていることに留意する必要がある。
レーザーノイズ、電子ノイズ、検出ノイズを考慮した、20dBの信号対ノイズ比(SNR)でのチャンネルビットレートの計算値は、以下の表に示されている。AD変換器の量子化ノイズ、および媒体ノイズを考慮した場合、SNRは、同じチャンネルビットレートで、10乃至15dB(9乃至16%ジッター)となる。
PDIC:0.5pA/Hz1/2、8.8nV/Hz1/2、0.7pF、650nmで0.5AW、
APD(PIN):0.5pA/Hz1/2、2.2nV/Hz1/2、9pF、650nmで0.5AW、M=10、Fexc=2.5。
アバランシェPIN(APD(PIN))は、乗算M=10を用いた場合、過剰ノイズ因子Fexc=2.5である。
ROM/WORMシステムには別の実施例がある。第1の実施例では、グレーフィルタとAPD検出器を用いたDVD-ROM/WORM多層化システムにおいて、許容可能なCBRが得られ、ディスクの再生温度は、許容範囲に維持される。第2の実施例では、マルチトラックアプローチ法(一次元(従来のマルチトラック)またはマルチスポット回折格子を用いる二次元光記憶装置の両方)を用いた、DVD-ROM/WORM多層化システムにおいて、従来のDVD+RW単層システムに対して約5倍に高められたCBRが得られ、ディスクの再生温度は、許容範囲に維持される。第3の実施例では、従来のPDIC検出器の代わりにPIN系APDを用いることにより、さらにCBRが約1.5倍程度向上する。
10以下または以上のスポット、例えば2スポットまたは4スポット回折格子を用いることもできる。同じレーザー出力と組み合わせて、より少ない使用スポットを用いると、再生時の温度は上昇する。しかしながら、再生時の温度が、記録閾値を下回る限り、10未満のスポットを使用することができる。同じレーザー出力との組み合わせで、スポット数が極端に多くなると、チャンネルビットレートは、急下に低下する。これは、信号が電子ノイズまたはレーザーノイズに対して小さくなった場合に生じる。しかしながら、チャンネルビットレートが前述の許容範囲にある限り、多くのスポットを用いることができる。
2スポット回折格子を有する本発明の再生装置の実施例は、図35に示されている。この実施例では、再生装置は、再生用レーザービームL0を放射するレーザーダイオード100と、前記再生レーザービームL0からわずかにずれた2つのレーザービームL1、L2を発する2スポット回折格子101と、ビームスプリッタ102と、レーザービームL1、L2を記録担体104の別の位置に集束させる対物レンズ103と、反射レーザービームL1’、L2’を検出器106の異なる位置に集束させるサーボレンズ105と、を有する。2つのレーザービームスポットを用いることにより、ディスク104から2つのビットが同時に読み取られる。
マルチスポット回折格子の応用分野は、特に、CD、DVDおよびBDのような、多層化および単層反射光ディスクシステムである。
収差の抑制および解像度の向上は、単層情報担体にのみ利用できることに留意する必要がある。N層(多層化層)光情報担体は、Nの異なる単一TC層(P1乃至PN)を有し、これらの層は、空間層またはNの異なる単一スタック(P1乃至PN)によって分離され、単一スタックは、各単一スタック毎に記録層(P)と、4層の誘電層(I1乃至I4)とを有し、図6に示すように、空間層で分離される。
要約すると、単層構造および最適化スタック構造(図6)の両方において、高反射率(10%以上)および高解像度が得られる。k≒1.5、n≒1.0の場合、nを増加させたときの最大反射率は、〜20%であるのに対して、熱およびフォトクロミック材料を用いることで、単層および最適化スタック構造それぞれにおいて、反射率は30%および55%まで上昇する。単層および最適化スタック構造のそれぞれにおける最適化のための要求は、難しいものではない。熱またはフォトクロミック材料を用いることにより、nの制約を受けずに、k(k≒1.5)の最適化のみによって、単層および最適化スタック構造のそれぞれにおいて、約20%または45%の反射率を得ることができる。
Claims (17)
- 前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、それぞれ周囲温度または低光強度では、前記基板の屈折率nに適合する屈折率nを有し、それぞれ高温または高光強度では、前記基板の屈折率nよりも大きな屈折率nを有し、該屈折率nは、特に1.6よりも大きく、特に1.6から4の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の光情報担体。
- 前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、それぞれ周囲温度および高温、または低光強度および高光強度では、前記基板の屈折率nに適合する屈折率nを有することを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料は、それぞれ周囲温度または低光強度では、前記基板の屈折率nに適合する屈折率nを有し、それぞれ、高温または高光強度での屈折率nは、前記基板の屈折率nよりも小さく、特に1.6よりも小さく、特に1.0から1.6の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 前記記録層の厚さは、10から200nmの範囲にあり、特に20から80nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 前記記録層の各側に、さらに少なくとも一つの誘電層を有することを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 前記記録層の各側に2つの誘電層を有し、前記記録層に隣接する誘電層の屈折率nは、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料の、それぞれ高温または高強度での前記屈折率nよりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の光情報担体。
- 前記記録層に隣接しない誘電層の屈折率nは、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料の、それぞれ高温または高強度での前記屈折率nよりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の光情報担体。
- 前記記録層に隣接する前記誘電層は、実質的にSiO2を有し、前記記録層に隣接しない前記誘電層は、実質的にSi3N4を有することを特徴とする請求項8に記載の光情報担体。
- 空間層によって分離された、2または3以上の記録層を有することを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 前記記録層は、さらに記録材料として、相変化材料または1回記録式記録材料を有することを特徴とする請求項1に記載の光情報担体。
- 請求項1に記載の光情報担体の記録層の厚さを定める方法であって、
第1の波長(λ1)で、低い初期k値(kinitial)を有し、前記第1の波長(λ1)よりも短いまたは長い第2の波長(λ2)で、高いk値(kmax)を有し、基板層および/または前記被覆層の屈折率に適合する複素屈折率
試験データを記録するステップと、
前記試験データの記録後に、実質的に前記第1の波長(λ1)での、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料と、前記基板層および/または前記被覆層との間の屈折率ミスマッチΔnを定めるステップと、
記録および未記録マーク間での信号コントラストを定めることにより、前記熱クロミックまたはフォトクロミック材料の最小最適層厚さ(dopt)を定めるステップと、
記録前の前記最適層厚さ(dopt)における、実質的に前記第1の波長(λ1)での最大初期k値(kinitial-max)を定めるステップと、
を有する方法。 - 前記第1の波長(λ1)は、実質的に405nmであり、前記低い初期k値(kinitial)は、0.5未満であり、前記高いk値(kmax)は、0.5より大きいことを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 請求項1に記載の光情報担体からデータを読み出す再生装置であって、
読み取り用光ビームを放射する光源と、
前記読み取り用光ビームからずらされた、少なくとも2つの光ビームを発生させるマルチスポット回折格子と、
前記ずらされた光ビームを、前記情報担体の異なる位置に集束させ、反射光ビームを検出器の異なる位置に集束させる手段と、
前記反射光ビームを受光する検出器と、
を有する再生装置。 - 前記マルチスポット回折格子は、2スポット、4スポット、8スポットまたは10スポット回折格子であり、2、4、8または10のずらされた光ビームを発生することを特徴とする請求項16に記載の再生装置。
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