JP2002092842A - 情報記録媒体及びそれを用いた情報記録装置 - Google Patents

情報記録媒体及びそれを用いた情報記録装置

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JP2002092842A
JP2002092842A JP2000283436A JP2000283436A JP2002092842A JP 2002092842 A JP2002092842 A JP 2002092842A JP 2000283436 A JP2000283436 A JP 2000283436A JP 2000283436 A JP2000283436 A JP 2000283436A JP 2002092842 A JP2002092842 A JP 2002092842A
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magnetic film
film
recording medium
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JP2000283436A
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English (en)
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Hiroyuki Awano
博之 粟野
Norio Ota
憲雄 太田
Satoru Matsunuma
悟 松沼
Tetsunori Kanda
哲典 神田
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱揺らぎ及び熱減磁に強く、長期保存後であ
っても良好な再生特性が得られる情報記録媒体及びそれ
を備える情報記録装置を提供する。 【解決手段】 情報記録媒体は、基板上に第1磁性膜、
非磁性膜及び第2磁性膜をこの順で備える。第2磁性膜
の磁区からの漏洩磁界により第1磁性膜の磁化が反転
し、第1磁性膜と第2磁性膜の間に閉磁界ループが形成
される。これにより、第2磁性膜の磁区は、長期にわた
って常に安定に保持される。本発明の情報記録媒体は、
情報記録後、長期間経過しても、高密度記録された情報
を十分な信号強度で確実に再生できるので、情報の保存
寿命が長く、高い信頼性を有する。50Gbits/i
nch(約7.75Gbits/cm)以上の超高
密度に記録された情報も確実に再生できるので、大容量
情報記録媒体及び情報記録装置を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録用の情
報記録媒体及びそれを備える情報記録装置に関し、特
に、時間経過に伴う熱揺らぎの発生が低減され、高信頼
性と高保存寿命とを有する情報記録媒体及びそれを備え
る情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を取り扱うことができ
るマルチメディアが急速に普及してきている。マルチメ
ディアの一つとしてコンピュータ等に装着される磁気記
録装置が知られている。現在、磁気記録装置は、記録密
度を向上させつつ小型化する方向に開発が進められてい
る。
【0003】磁気記録装置の高密度記録化を実現するた
めに、(1)磁気ディスクと磁気ヘッドとの距離を狭め
ること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させるこ
と、(3)信号処理方法を高速化すること、(4)熱揺
らぎの小さい媒体を開発すること等が要望されている。
【0004】ところで、磁気記録媒体は、基板上に磁性
粒子が集合してなる磁性層を有しており、高密度記録を
実現するには磁性層の保磁力の増大に加え、この磁性層
中で一度に同方向に磁化され得る最小単位、即ち磁化反
転単位(磁気クラスター)を小さくする必要がある。磁
化反転単位面積を小さくするには、個々の磁性粒子を微
細化するか、あるいは磁化反転単位を構成する磁性粒子
数を減らすことが必要である。
【0005】磁性粒子の微細化においては粒子径のばら
つきを低減することも、熱揺らぎの低減の観点から重要
である。すなわち、微小な結晶粒子は熱揺らぎが生じや
すいので、結晶粒子径を一定の大きさ以上に制御しなけ
ればならない。しかし、結晶粒子径を必要以上に大きく
し、結晶粒子が粗大化してしまうと、高密度記録を行な
った情報を再生したときにノイズが増大することがあっ
た。それゆえ、磁性層を構成する結晶粒子の粒子サイズ
及びその分布を極めて厳密に制御する必要があった。こ
れを実現する試みとして、例えば、米国特許第4、65
2、499号に開示されているように、基板と磁性層と
の間にシード膜を設けることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
基板上にシード膜を介して磁性層を設ける方法では、磁
性層における磁性粒子径及びその分布を制御するには限
界があった。例えば、50Gbits/inchを越
える記録密度で情報を記録しても、媒体から発生するノ
イズや熱揺らぎを十分に抑制することは困難であった。
【0007】また、粒子径10nm前後の磁性層の磁性
粒子を得るために、シード膜材料、成膜条件、シード膜
の構造等を調整しても、得られた磁性粒子の粒子径分布
は裾野の広いガウス分布であり、10nmの2倍程度に
粗大化した粒子や、逆に、10nmの半分程度に微細化
した粒子がかなり混在していた。磁性粒子中、平均より
大きな粒子径の磁性粒子は、記録/再生の際にノイズの
増大を引き起こし、平均より小さな粒子径の磁性粒子
は、記録/再生の際に熱揺らぎを増大させることにな
る。特に、磁性粒子の熱揺らぎが、磁気記録媒体を長期
間保存している間に発生してしまうと、記録した情報を
再生したときに再生信号が著しく低下したり、記録した
情報を再生できなくなる恐れがある。それゆえ、長期保
存中においても磁性層に記録した微小磁区が安定して存
在できるようにすることが要望されていた。
【0008】本発明は、かかる要望に応えるためになさ
れたものであり、本発明の第1の目的は、情報記録用の
磁性層に形成される磁区を長期にわたって安定に存在さ
せることが可能な長期保存性に優れる情報記録媒体及び
それを備える情報記録装置を提供することにある。
【0009】また、本発明の第2の目的は、情報記録用
の磁性層に微小な磁区を容易に且つ確実に形成でき、形
成された磁区を安定に存在させることができる超高密度
記録用の情報記録媒体及びそれを備える情報記録装置を
提供することにある。
【0010】本発明の第3の目的は、記録密度が50G
bits/inchを超える超高密度用の情報記録媒
体及びそれを備える情報記録装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、情報記録媒体において、基板と、フェリ磁性材料
から構成され、基板面に平行な方向に磁化容易軸を有す
る第1磁性膜と、硬質磁性材料から構成され、基板面に
平行な方向に磁化容易軸を有する第2磁性膜と、第1磁
性膜及び第2磁性膜との間に位置する非磁性層とを備え
ることを特徴とする情報記録媒体が提供される。
【0012】本発明の情報記録媒体は、基板面に垂直な
方向に磁化容易軸を有する第1及び第2磁性膜と非磁性
膜を備える。第1磁性膜は、フェリ磁性材料を用いて構
成され、基板に近い側に形成される。第2磁性膜は硬質
磁性材料を用いて構成され、磁気ヘッドに近い側に形成
される。第2磁性膜は情報が記録される膜となり得る。
第1磁性膜と第2磁性膜との間に形成されている非磁性
層により第1磁性膜と第2磁性膜は互いに静磁的に結合
している。
【0013】かかる構造を有する情報記録媒体に、磁気
ヘッドから記録情報に応じた極性の磁界を印加して情報
を記録すると、図2に示すように、第2磁性膜に、記録
情報に応じた磁化方向を有する磁区が形成される。そし
て、第2磁性膜に形成された磁区から発生する漏洩磁界
により、当該磁区の直下に存在する第1磁性膜部分は第
2磁性膜と反対方向に磁化されたほうが安定化するた
め、第1磁性膜には直上の第2磁性膜に形成された磁区
の磁化方向と反対方向の磁化を有する磁区が形成され
る。これにより、第1磁性層と第2磁性層との間には、
図2に示すような環状の磁路である閉磁界ループが形成
される。この結果、第2磁性層は、第1磁性層が存在し
ていない場合に比べて安定になり熱揺らぎが発生しにく
くなる。それゆえ、第2磁性膜に極めて微小な磁区を形
成してもそれを長期間安定して保持することができ、保
存寿命を従来よりも延ばすことができる。
【0014】ここで、第2磁性膜の漏洩磁界により、第
1磁性膜の磁化を確実に反転させるためには、第1磁性
膜の保磁力は、第2磁性膜の保磁力よりも小さいこと望
ましく、第2磁性膜の保磁力の30%以下であることが
特に好ましい。一方、第2磁性膜に形成された磁区を安
定して保持させるためには、第1磁性膜の保磁力は少な
くとも500Oe〜1000Oe(約39.79kA/
m〜約79.58kA/m)程度必要であり、好適には
1kOe〜2kOe(約79.58kA/m〜約15
9.16kA/m)程度である。第1磁性膜の保磁力は
第2磁性膜の保磁力の値に応じて好適に選択され得る。
【0015】また、第1磁性膜と第2磁性膜の磁化の大
きさが等しいと、情報記録媒体から磁気フラックス(磁
束)が漏洩しないので、再生用の磁気ヘッドを用いて漏
洩磁束の変化や強さを検出することができない。それゆ
え、第1磁性膜の飽和磁化Ms1と第2磁性膜の飽和磁
化Ms2は互いに異なることが好ましい。しかし、磁気
ヘッドに近い側に位置する第2磁性膜の飽和磁化Ms2
よりも、第1磁性膜の飽和磁化Ms1が大きいと、磁気
ヘッドに漏洩磁気フラックスが殆ど到達しないので、再
生用磁気ヘッドを用いて情報を再生することは困難であ
る。したがって、磁気ヘッドに近い側に位置する第2磁
性膜の飽和磁化Ms2が、第1磁性膜の飽和磁化Ms1
よりも大きいことが好ましく、第1磁性膜の飽和磁化M
s1が、第2磁性膜の飽和磁化Ms2の40%以上70
%以下になるように、第1及び第2磁性膜のそれぞれの
飽和磁化を選択することが好ましい。第1磁性膜の飽和
磁化Ms1が、第2磁性膜の飽和磁化Ms2の40%未
満であると、第2磁性膜に形成される磁区を長期にわた
って安定に存在させることが困難となる。また、第1磁
性膜の飽和磁化Ms1が、第2磁性膜の飽和磁化Ms2
の70%を超えると、情報記録媒体から十分な磁気フラ
ックスが漏洩せず、情報を安定して再生することが困難
となる。
【0016】本発明において、第1磁性膜は、希土類元
素と鉄族元素から構成されるフェリ磁性体の非晶質合金
を用いて構成することが好ましい。かかる材料は、希土
類元素と鉄族元素の組成比を調整することにより、磁化
の大きさや保磁力の大きさを所望の値に容易に調整でき
る。希土類元素には、Er、Tm、Nd、Pr、Tb、
Dy、Ho、Gd及びSmの中から選ばれる少なくとも
1種類の元素が好適であり、鉄族元素には、Fe、Co
及びNiの中から選ばれる少なくとも1種類の元素が好
適である。
【0017】本発明において、第2磁性膜には、従来の
磁気記録媒体で用いられている既知の硬質磁性材料、例
えばCo−Ni系やCo−Cr−Ta系、Co−Cr−
Pt系、或いはこれらの材料系にBやNbを添加してC
o結晶粒界のCrの偏析を促進させた材料系を用いるこ
とができ、磁性結晶粒子間の磁気的相互作用を低減する
という理由からCo−Cr−Pt−Ta−B系の材料が
好適である。また、これら材料の中でも、結晶粒子サイ
ズが10nm以下であるような磁性材料が特に好適であ
る。
【0018】本発明において、非磁性層の膜厚は1nm
〜5nmであることが好ましい。非磁性層の膜厚が1n
mよりも薄くなると、非磁性材料がアイランド状に形成
され、第1磁性膜と第2磁性膜が部分的に交換結合して
しまい、第1磁性膜と第2磁性膜との磁化の向きが独立
に決まらず、第1及び第2磁性膜ともに同一方向に磁化
されてしまうので第1磁性膜と第2磁性膜との間で閉磁
界ループが形成されなくなる。また、非磁性層の膜厚が
5nmよりも厚くなると、第1磁性膜と第2磁性膜との
間で磁気的相互作用が働かなくなる恐れがあり、第1磁
性膜からの漏洩磁界で第1磁性膜の磁化を確実に反転さ
せることが困難となる恐れがある。
【0019】本発明の第2の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従う情報記録媒体と、情報を記録または再生
するための磁気ヘッドと、上記磁気ヘッドを上記情報記
録媒体に対して駆動するための駆動装置とを有する情報
記録装置が提供される。
【0020】本発明の情報記録装置は、本発明の第1の
態様に従う情報記録媒体を装着しているので、情報記録
媒体に高密度に記録された情報を長期にわたって保持す
ることができ、長期保存後の記録情報であっても信号強
度を殆ど低下させることなく再生することができる。そ
れゆえ信頼性の高い情報記録装置を提供することができ
る。
【0021】本発明の情報記録装置の磁気ヘッドは、情
報記録媒体に記録された情報を再生するための再生素子
として、MR素子(Magneto Resistive素子;磁気抵抗
効果素子)やGMR素子(Giant Magneto Resistive素
子;巨大磁気抵抗効果素子)、TMR素子(Tunneling
Magneto Resistive素子;磁気トンネル型磁気抵抗効果
素子)を搭載することができる。これらの再生素子を用
いることにより情報記録媒体に記録された情報を高いS
/Nで再生することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う情報記録媒体
及び情報記録装置について実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】本実施例では、本発明に従う情報記録媒体と
して、図1に示すような積層構造を有する磁気記録媒体
を作製した。磁気記録媒体10は、ディスク基板1上
に、フェリ磁性膜(第1磁性膜)2、非磁性中間膜3、
情報記録膜(第2磁性膜)4及び保護膜5を順次備え
る。フェリ磁性膜2にはEr−Fe−Co膜を用い、情
報記録膜には硬質磁性材料のCo−Cr−Pt−Ta膜
を用いた。第1磁性膜と第2磁性膜との間に形成される
非磁性中間膜3にはMgO膜を用い、かかるMgO膜
は、第1磁性膜と第2磁性膜との間で働く磁気的相互作
用を制御することができる。かかる積層構造を有する磁
気記録媒体の製造方法を以下に説明する。
【0024】〔第1磁性膜の成膜〕まず、剛性を有する
ディスク基板1として、2.5インチ(約6.35c
m)のガラス基板を用意し、基板1上に、フェリ磁性膜
2として、Er−Fe−Co膜をRFマグネトロンスパ
ッタ法により形成した。フェリ磁性膜を形成する前に、
フェリ磁性膜の保護及び基板との接着力の向上を目的と
して下地膜を設けても良い。スパッタターゲットにはE
22Fe68Co10焼結体を、放電ガスにArをそ
れぞれ使用した。放電時のガス圧は3mTorr(約3
99mPa)、投入RFパワーは1kW/150mmφ
である。フェリ磁性膜2の膜厚は15nmとした。
【0025】かかるスパッタリングにより得られたフェ
リ磁性膜2の磁気特性を調べたところ、保磁力が0.7
kOe(約55.706kA/m)であり、飽和磁化が
180emu/mlであった。保磁力及び飽和磁化の値
は、フェリ磁性膜2を構成する希土類元素と鉄族元素の
組成比を調整することにより所望の値が得られる。
【0026】〔非磁性中間膜の成膜〕次いで、フェリ磁
性膜2上に非磁性中間膜3としてのMgO膜を、マイク
ロ波による共鳴吸収を利用した電子サイクロトロン共鳴
(ECR)スパッタ法により形成した。非磁性中間膜3
は、フェリ磁性膜と情報記録膜の磁気的な結合力を制御
するだけでなく、非磁性中間膜上に形成される情報記録
膜3の結晶配向性と結晶粒子径を制御することができ
る。スパッタターゲットにはMgOを、放電ガスには高
純度Arガスをそれぞれ用いた。スパッタ時の圧力は
0.3mTorr(約39.9mPa)、投入マイクロ
波電力は0.7kWである。また、マイクロ波により励
起されたプラズマを引き込むために500WのRFバイ
アスを印加した。スパッタ中は、基板を加熱せずに、室
温にて成膜を行なった。
【0027】〔情報記録膜の成膜〕つぎに、非磁性中間
膜3の上に、情報記録膜4として、Co69Cr18
10Ta膜を膜厚10nmにてDCスパッタ法によ
り形成した。情報記録膜の成膜中、基板を150℃に加
熱した。スパッタターゲットにはCo−Cr−Pt−T
a合金を、放電ガスには純Arをそれぞれ使用した。ス
パッタ時の圧力は3mTorr、投入DC電力は1kW
/150mmφとした。
【0028】情報記録膜の成膜にDCマグネトロンスパ
ッタ法を用いたが、マイクロ波による共鳴吸収を利用し
たECRスパッタ法を用いてもよい。ECRスパッタ法
を用いて情報記録膜を成膜すると、得られる膜の保磁力
は、DCマグネトロンスパッタ法で成膜して得られる膜
も保磁力よりも0.5kOe(約39.79kA/m)
程度増大し、また、10nm以下の膜厚でも保磁力の劣
化は見られない。また、磁気異方性エネルギーも3倍以
上に大きく増大する。
【0029】つぎに、情報記録膜の磁気特性を単膜状態
にて調べた。得られた磁気特性は、保磁力が3.5kO
e(約278.53kA/m)、Isvが2.5×10
−1 emuであった。M−Hループにおけるヒステリ
シスの角型性の指標であるSが0.86、Sが0.9
1であり、良好な磁気特性を有していた。このように、
角型性を示す指標が大きい(角型に近い)のは、情報記
録膜を構成する磁性材料の磁性結晶粒子間の相互作用が
低減されたためである。また、情報記録膜の飽和磁化の
値は280emu/mlであり、フェリ磁性膜2の約
1.56倍であった。
【0030】〔保護膜の成膜〕最後に、保護膜5として
C(カーボン)膜を5nmの膜厚で形成した。保護層の
成膜には、マイクロ波による共鳴吸収を利用したECR
スパッタ法を用いた。スパッタ時の圧力は0.3mTo
rr、投入マイクロ波電力は0.7kWである。また、
マイクロ波により励起されたプラズマを引き込むために
500VのDCバイアス電圧を印加した。
【0031】ここでは、スパッタガスにArを使用した
が、窒素を含むガスを用いて成膜してもよい。窒素を含
むガスを用いると、粒子が微細化するために、得られる
C膜が緻密化し、保護性能をさらに向上させることがで
きる。カーボン膜の膜質は、スパッタの条件に大きく依
存しているので、この条件は絶対的なものではなく、必
要に応じて適宜調整することが望ましい。
【0032】保護膜の成膜に、ECRスパッタ法を用い
たのは、膜厚が2〜3nmと極めて薄くても、得られる
膜が緻密で且つピンホールフリーであり、しかも、被覆
性が良いからである。これは、RFスパッタ法やDCス
パッタ法と比べると顕著な違いである。これに加えて、
成膜時の磁性膜への損傷も抑制することができる。特
に、50Gbits/inch(約7.75Gbit
s/cm)を越える高密度記録を行なう場合、磁性膜
厚は10nm以下になることが考えられるので、成膜時
に磁性膜が受ける損傷の影響はますます顕著になる。そ
のような場合に、ECRスパッタ法は極めて有効な成膜
方法であり、超高密度磁気記録用の磁気記録媒体の製造
に好適である。
【0033】〔磁気記録装置〕こうして図1に示す積層
構造を有する磁気記録媒体を作製した。次いで、得られ
た磁気記録媒体の表面上に潤滑剤を塗布することによっ
て磁気ディスクを完成させた。そして同様のプロセスに
より複数の磁気ディスクを作製し、磁気記録装置に同軸
上に組み込んだ。磁気記録装置の概略構成を図3及び図
4に示す。
【0034】図3は磁気記録装置100の上面の図であ
り、図4は、磁気記録装置100の図3における破線A
−A’方向の断面図である。記録用磁気ヘッドとして、
2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた薄
膜磁気ヘッドを用いた。磁気ヘッドのギャップ長は0.
12μmであった。また、記録した情報を再生するため
の再生用磁気ヘッドとして、巨大磁気抵抗効果を有する
デュアルスピンバルブ型GMR磁気ヘッドを用いた。記
録用磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドは一体化されてお
り、図3及び図4では磁気ヘッド53として示した。こ
の一体型磁気ヘッドは磁気ヘッド用駆動系54により制
御される。
【0035】複数の磁気ディスク51はスピンドル52
により同軸回転される。ここで、磁気ヘッド面と磁性膜
との距離は12nmに保った。この磁気ディスク51に
50Gbits/inch(約7.75Gbits/
cm)に相当する信号(800kFCI)を記録して
磁気ディスクのS/Nを評価したところ、34dBの再
生出力が得られた。
【0036】つぎに、磁気ディスクの熱安定性を調べる
ために環境試験を行なった。環境試験では、信号を記録
した磁気ディスクを70℃以上の環境中に1000時間
以上放置した後、記録した信号を再生した。その結果、
環境試験前の再生信号出力に対して出力の低下は3%以
下であった。比較のために、従来の磁気ディスクとして
基板/Ni−Al/Cr−Ti/Co−Cr−Pt−T
a/Cの磁気ディスクに、同様の環境試験を行なったと
ころ、環境試験前の再生信号出力に対して30%の出力
の低下が観測された。このように、本発明の磁気ディス
クは、従来の磁気ディスクよりも、熱安定性を大きく向
上させることができた。また、このディスクの欠陥レー
トを測定したところ、信号処理を行なわない場合の値
で、1×10−5以下であった。
【0037】以上、本発明の磁気記録媒体及び磁気記録
装置について実施例により説明したが、本発明はこれに
限定されるものではなく、種々の変形例及び改良例を含
み得る。
【0038】例えば、上記実施例では、情報記録用の磁
性膜にCo−Cr−Pt−Ta系の硬質磁性材料を用い
たが、Ptの代りにPd、Tb、Gd、Sm、Nd、D
y、Ho、Euを用いても、また、Taの代りにNb、
Si、B、Vなどの元素を用いても良く、これらの元素
を複数組み合わせて用いてもよい。
【0039】また、非磁性中間層としてMgOを用いた
が、非磁性を示す材料であれば任意の材料を用いること
ができ、無機化合物でも金属でもよい。しかし、第2磁
性膜に結晶質系の材料を用いて高密度記録を行なう場合
には、第2磁性膜の配向性を制御することが必要であ
る。上記実施例で用いた第2磁性膜は、例えば、Coの
(112 ̄0)(ここで、2 ̄は、アッパーバー付きの
2を意味する)に配向していることが望ましく、MgO
膜はこのような配向性の制御に極めて有効である。Mg
Oの他に、粒子径サイズが10nm程度のCoOやCo
、NiOなどの結晶粒子の周囲(粒界)に、Si
やTiO、Ta、ZnOなどの非晶質物質
を形成した構造の下地膜を用いても良い。また、Ni−
AlやNi−Al−Ru、Co−Cr−Ru、Cr−T
iなどのB2構造やhcp構造、bcc構造のナノメー
ターオーダー金属薄膜を用いてもよい。
【0040】また、第1磁性膜にはEr−Fe−Coの
希土類−鉄族系のフェリ磁性体を用いたが、これに限定
されることはなく、フェリ磁性を示す磁性体であれば任
意の材料を用いて構成することができる。例えば、希土
類−鉄族系のフェリ磁性体の場合は、希土類元素として
Er、Tm、Nd、Pr、Tb、Dy、Ho、Gd及び
Smの中から選ばれる少なくとも1種類の元素が好適で
あり、鉄族元素としてFe、Co及びNiの中から選ば
れる少なくとも1種類の元素が好適である。
【0041】
【発明の効果】本発明の情報記録媒体は、フェリ磁性体
からなる第1磁性膜を、情報が記録される第2磁性膜と
基板との間に非磁性層を介して備えているので、第1磁
性膜と第2磁性膜との間に環状の磁路(還流磁化ルー
プ)が形成され、かかる環状の磁路により、第2磁性膜
の記録磁区は長時間経過しても熱揺らぎや熱減磁が発生
することはなく、その磁化状態は常に安定に保たれる。
それゆえ、長期間の保存後であっても、情報記録媒体に
記録した情報を、再生信号強度を殆ど低下させることな
く確実に再生することができる。
【0042】本発明の情報記録装置は、本発明の情報記
録媒体を備えるので、50Gbits/inch(約
7.75Gbits/cm)の高密度磁気記録により
形成される0.1μm程度の微小磁区を長期間安定に保
持することができる。それゆえ、本発明によれば、情報
の保存寿命及び信頼性の極めて高い大容量情報記録装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の断面構造を模式的
に示す図である。
【図2】第1磁性膜と第2磁性膜に形成される磁区の磁
化の向きを示す図である。
【図3】本発明に従う磁気記録装置の概略構成図であ
る。
【図4】図3の磁気記録装置のA−A’方向における概
略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1磁性膜 3 非磁性中間層 4 第2磁性膜 5 保護膜 10 磁気記録媒体 51 磁気ディスク 52 スピンドル 53 磁気ヘッド 54 磁気ヘッド駆動系 100 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粟野 博之 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 太田 憲雄 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 松沼 悟 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 神田 哲典 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB07 BB08 CA05 FA09 5E049 AA04 AC01 AC05 BA12 DB14 DB18

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録媒体において、 基板と、 フェリ磁性材料から構成され、基板面に平行な方向に磁
    化容易軸を有する第1磁性膜と、 硬質磁性材料から構成され、基板面に平行な方向に磁化
    容易軸を有する第2磁性膜と、 第1磁性膜及び第2磁性膜との間に位置する非磁性層と
    を備えることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1磁性膜の飽和磁化が第2磁性膜の飽
    和磁化よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の
    情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 第1磁性膜の飽和磁化は、第2磁性膜の
    飽和磁化の40%以上70%以下であることを特徴とす
    る請求項2に記載の情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 第1磁性膜の保磁力が第2磁性膜の保磁
    力よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 第1磁性膜の保磁力は、第2磁性膜の保
    磁力の30%以下であることを特徴とする請求項4に記
    載の情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 第2磁性膜に記録情報に応じた磁区が形
    成され、第2磁性膜に形成された磁区の磁化方向と逆向
    きの磁化を有する磁区が第1磁性膜に形成されることを
    特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報記
    録媒体。
  7. 【請求項7】 第1磁性膜と第2磁性膜とが静磁気的に
    結合していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    一項に記載の情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記非磁性層の膜厚が、1nm以上5n
    m以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    一項に記載の情報記録媒体。
  9. 【請求項9】上記フェリ磁性材料は、希土類元素及び鉄
    族元素を用いて構成される非晶質合金であることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の情報記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 上記希土類元素は、Er、Tm、N
    d、Pr、Tb、Dy、Ho、Gd及びSmからなる群
    から選ばれた少なくとも一種類の元素であり、上記鉄族
    元素は、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれた少
    なくとも一種類の元素であることを特徴とする請求項9
    に記載の情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記硬質磁性材料は、Co−Cr−P
    t、Co−Cr−Pt−Ta、Co−Cr−Pt−N
    b、Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Pt−Ta−
    Nb及びCo−Cr−Pt−Ta−Nb−Bからなる群
    から選ばれた磁性材料を用いて構成されていることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の情報記
    録媒体。
  12. 【請求項12】 第1磁性膜と第2磁性膜との間で閉磁
    界ループが形成されることを特徴とする請求項1〜11
    のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
  13. 【請求項13】 第1磁性膜の飽和磁化の大きさと第2
    磁性膜の飽和磁化の大きさとの差に基づく磁気フラック
    スが検出されて情報が再生されることを特徴とする請求
    項1〜12に記載の情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか一項に記載
    の情報記録媒体と、 情報を記録または再生するための磁気ヘッドと、 上記磁気ヘッドを上記情報記録媒体に対して駆動するた
    めの駆動装置とを有する情報記録装置。
JP2000283436A 2000-09-19 2000-09-19 情報記録媒体及びそれを用いた情報記録装置 Withdrawn JP2002092842A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100887643B1 (ko) 2007-05-17 2009-03-11 인하대학교 산학협력단 인위적 반강자성 또는 인위적 준반강자성을 갖는 자벽이동메모리 장치 및 그 형성 방법

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