JP2002089615A - 能動型流体封入式防振装置 - Google Patents

能動型流体封入式防振装置

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JP2002089615A
JP2002089615A JP2000280910A JP2000280910A JP2002089615A JP 2002089615 A JP2002089615 A JP 2002089615A JP 2000280910 A JP2000280910 A JP 2000280910A JP 2000280910 A JP2000280910 A JP 2000280910A JP 2002089615 A JP2002089615 A JP 2002089615A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防振すべき振動を、その高調波成分を含め
て、能動的に防振せし得める新規な構造の流体封入式能
動型防振装置を提供すること。 【解決手段】 防振すべき主たる振動に対応した空気圧
変動を基本空気圧生成手段78,82,94によって生
成する一方、防振すべき主たる振動の高調波成分に対応
した空気圧変動を高調波空気圧生成手段80,82,9
4によって生成し、それら両空気圧変動を互いに重ね合
わされるようにして、空気圧伝達手段76を介して能動
型防振装置16の作用空気室44に及ぼした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、非圧縮性流体が封入された主液
室の圧力を制御することにより、振動を相殺的乃至は積
極的に低減せしめ得る能動型の流体封入式防振装置に係
り、特に、自動車用の能動型マウントや能動型制振器
(加振器)などとして好適に用いられる能動型流体封入
式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車のボデーや各種部材等のように振動
(振動に起因する騒音等を含む)が問題とされる防振対
象部材においては、その振動を低減するために、従来か
ら、振動部材と防振部材の間に介装されて振動部材から
防振部材への振動を低減するエンジンマウント等の防振
連結体や、防振部材に直接取り付けられて防振部材自体
の振動を低減せしめる制振器などといった防振装置が、
用いられている。
【0003】そして、このような防振装置の一種とし
て、実開昭61−191543号公報や特開平9−49
541号公報等に記載されているように、振動が入力さ
れる本体ゴム弾性体と変位可能な加振部材によって壁部
の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室
と、主液室に対して加振部材を挟んで反対側に形成され
た作用空気室を備えており、本体ゴム弾性体の弾性変形
に伴って主液室に圧力変動が生ぜしめられると共に、作
用空気室に外部から空気圧変化を及ぼすことにより加振
部材を介して主液室の圧力変動が能動的に制御されるよ
うにした流体封入式の能動型防振装置が、提案されてい
る。かかる能動型防振装置では、防振すべき振動に対応
した空気圧変化を作用空気室に及ぼして、主液室の圧力
変動を制御することにより、装着される防振部材に対し
て相殺的乃至は積極的な防振効果を得ることが出来るの
である。
【0004】また、このような能動型防振装置におい
て、有効な防振効果を得るためには、防振すべき振動に
対応した周波数や位相で主液室を圧力制御することが重
要であり、そのために、作用空気室に対して、防振すべ
き振動の周波数や位相に対応した空気圧変化を及ぼすこ
とが重要となる。
【0005】ところで、本発明者等が検討したところ、
防振すべき振動は、防振すべき主たる周波数の振動の他
に、それより高い周波数域の振動である高調波成分を含
むことが多い。例えば自動車のアイドリング振動におい
ては、エンジン形式等によっても異なるが、内燃機関の
爆発のタイミングに対応したアイドリング一次振動が防
振すべき主たる振動となるが、その他に、1.5次や2
次、3次等の高調波振動も防振上で問題となり易い。
【0006】しかしながら、上述の如き従来構造の能動
型防振装置においては、このような高調波振動の防振に
対して、何等、考慮されておらず、作用空気室の空気圧
変化を、防振すべき主たる振動周波数とその高調波振動
の周波数といった複数の周波数域で制御することが難し
かったのであり、そのために、未だ、振動に対して十分
な能動的防振効果を得ることが難しかったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、防振すべき振動を、その高調波成分を含め
て、能動的に防振せしめ得る、新規な構造の流体封入式
能動型防振装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0009】本発明の第一の態様は、振動が入力される
本体ゴム弾性体と変位可能な加振部材によって壁部の一
部が構成されて非圧縮性流体が封入された主液室と、該
主液室に対して該加振部材を挟んで反対側に形成された
作用空気室を備えており、該本体ゴム弾性体の弾性変形
に伴って該主液室に圧力変動が生ぜしめられると共に、
該作用空気室に外部から空気圧変化を及ぼすことにより
該加振部材を介して該主液室の圧力変動が能動的に制御
されるようにした流体封入式の能動型防振装置におい
て、(a)防振すべき振動に対応した基準信号に基づい
て、防振すべき主たる振動に対応した空気圧変動を生成
する基本空気圧生成手段と、(b)前記基準信号に基づ
いて、前記防振すべき主たる振動の高調波成分に対応し
た空気圧変動を生成する高調波空気圧生成手段と、
(c)それら基本空気圧変動生成手段と高調波空気圧生
成手段によって生ぜしめられた空気圧変動を、前記作用
空気室に及ぼす空気圧伝達手段とを、設けた能動型流体
封入式防振装置を、特徴とする。
【0010】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、基本空気圧生成手段
によって生成された、防振すべき主たる振動に対応した
空気圧変動が、空気圧伝達手段を介して作用空気室に及
ぼされると同時に、高調波空気圧生成手段によって生成
された、防振すべき主たる振動の高調波成分に対応した
空気圧変動が、空気圧伝達手段を介して作用空気室に及
ぼされることとなる。これにより、作用空気室には、防
振すべき主たる振動とその高調波成分に対応した空気圧
変動が重ね合わせられるようにして及ぼされることとな
り、その結果、主液室に対して、防振すべき主たる振動
とその高調波成分に対応した圧力変化が生ぜしめられる
のである。
【0011】従って、本発明に従う構造とされた能動型
流体封入式防振装置においては、防振すべき主たる振動
だけでなく、その高調波成分に対しても、同時に、能動
的な防振効果が発揮されるのであり、防振すべき特定の
主たる振動に対する全体としての防振性能が大幅に向上
され得るのである。
【0012】なお、本態様において、加振部材として
は、両側に形成された主液室と作用空気室の相対的な圧
力変化に基づいて主液室側と作用空気室側への変位が生
ぜしめられるものであれば良く、好適には、ゴム弾性体
や金属ばねなどの弾性体を利用することにより、両側面
に及ぼされる圧力差が解除された際に弾性的に初期位置
に復帰させられるようにしたものが採用される。また、
加振部材の具体的構造も、何等、限定されるものでな
く、例えば、加振部材の全体をゴム弾性体からなる板材
で形成する他、金属板や合成樹脂板の周囲をゴム弾性体
によって弾性変位可能に支持せしめること等によって形
成することが可能である。更にまた、高調波空気圧生成
手段は、一つ或いは複数設けることが出来、高調波空気
圧生成手段を複数設けて、互いに異なる複数の高調波成
分に対応した空気圧変動を作用空気室に及ぼすようにし
ても良い。また、基本空気圧生成手段や高調波空気圧生
成手段において生成された複数の空気圧変動は、それら
を単一の作用空気室に対して同時に及ぼすようにしても
良く、或いは、作用空気室を複数設けて、基本空気圧生
成手段や高調波空気圧生成手段において生成された複数
の空気圧変動を、異なる作用空気室に対して同時に及ぼ
すようにしても良い。
【0013】また、本態様において、基準信号として
は、例えば防振すべき振動に関する周波数や位相の情報
を与える電気信号が好適に採用されるが、かかる基準信
号は単一である必要はなく、例えば防振すべき振動に関
する周波数の情報と位相の情報を各別に与える複数の信
号を基準信号として採用しても良い。更に、本態様にお
いて、防振すべき振動の高調波成分としては、一般に、
防振すべき振動の周波数をf0 として、下記(式1)お
よび(式2)に表される周波数:fa ,fb をいう。
【0014】 fa = f0 ×(n+1) ・・・(式1) fb = f0 ×(n+0.5) ・・・(式2) (但し、(式1)および(式2)中、nは自然数)
【0015】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置にお
いて、前記作用空気室を前記基本空気圧生成手段および
前記高調波空気圧生成手段に連通せしめる空気圧管路に
よって、前記空気圧伝達手段を構成する一方、前記基本
空気圧生成手段および高調波空気圧生成手段を、何れ
も、互いに異なる空気圧を提供する第一空気圧源と第二
空気圧源を該空気圧管路に対して交互に接続する切換弁
機構と、該切換弁機構を前記防振すべき主たる振動また
はその高調波成分に対応したタイミングで切換作動せし
める制御装置とを、含んで構成したことを、特徴とす
る。
【0016】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、作用空気室における
空気圧変動が、切換弁機構の切換えに対応した周波数と
位相で生ぜしめられるのであり、それ故、制御装置にお
いて、切換弁機構を、防振すべき振動の周波数と位相に
対応した作動制御信号によって切換作動せしめることに
より、目的とする周波数と位相の空気圧変動を作用空気
室に及ぼすことが出来る。また、本態様においては、第
一の空気圧源と第二の空気圧源の何れか一方に大気圧を
採用することが可能であり、それによって、更なる構造
の簡略化が図られ得る。また、特に自動車等の内燃機関
を備えた装置では、内燃機関のインテーク側に発生する
負圧を利用して、第二の空気圧源を構成しても良い。
【0017】また、本発明の第三の態様は、前記第一又
は第二の態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振
装置において、前記主液室を、前記本体ゴム弾性体によ
って壁部の一部が構成された受圧室と、前記加振部材に
よって壁部の一部が構成された加振室を含んで構成する
と共に、それら受圧室と加振室を相互に連通するオリフ
ィス通路を設けたことを、特徴とする。
【0018】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、加振部材に加振力が
及ぼされることによって加振室に生ぜしめられた圧力変
動が、オリフィス通路を通じて受圧室に及ぼされること
となる。そして、その際、オリフィス通路を流動せしめ
られる流体の共振作用等に基づいて、加振部材の加振力
が受圧室に対して効率的に伝達されることから、作用空
気室に及ぼされる空気圧変動の大きさに対して大きな圧
力変動を受圧室に効率的に生ぜしめることが可能となっ
て、より有効な能動的防振効果を得ることが出来るので
ある。
【0019】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体封
入式防振装置において、前記加振部材を、互いに独立し
て複数設けて、それら各加振部材を挟んで前記主液室と
反対側に位置するように、前記作用空気室を互いに独立
して複数設けると共に、前記基本空気圧生成手段および
前記高調波空気圧生成手段による空気圧変動を、前記空
気圧伝達手段によって、それぞれ、互いに異なる作用空
気室に及ぼすようにしたことを、特徴とする。
【0020】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、基本空気圧生成手段
や高調波空気圧生成手段によってそれぞれ生成された空
気圧変動が、互いに独立的に、各別の作用空気室に及ぼ
されることから、各空気圧生成手段によって生成され
た、防振すべき振動やその高調波成分に対応した圧力変
動が作用空気室、延いては主液室に対して、高精度に伝
達されるのであり、その結果、防振すべき振動やその高
調波成分に対して、目的とする能動的防振効果を一層安
定して得ることが可能となる。
【0021】また、本発明の第五の態様は、かかる第四
の態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置に
おいて、前記主液室を、前記本体ゴム弾性体によって壁
部の一部が構成された受圧室と、前記複数の加振部材の
何れかによってそれぞれの壁部の一部が構成された複数
の加振室を含んで構成すると共に、それぞれの加振室を
該受圧室に対して連通せしめるように複数のオリフィス
通路を設けて、それら複数のオリフィス通路を互いに異
なる周波数域にチューニングしたことを、特徴とする。
【0022】すなわち、前記第四の態様に係る能動型流
体封入式防振装置においては、オリフィス通路等によっ
て連通された分割構造の室でなく、実質的に単一構造の
主液室や加振室の壁部に対して、複数の加振部材を配設
することも可能であるが、本態様に従う構造とされた能
動型流体封入式防振装置においては、各オリフィス通路
に対して、それが接続された各加振室に及ぼされる圧力
変動の周波数に対応した周波数チューニングを施すこと
により、それら各オリフィス通路を流動せしめられる流
体の共振作用等を利用して、各加振室に及ぼされる互い
に異なる周波数域の圧力変動を、それぞれ、効率的に受
圧室に及ぼすことが出来るのであり、それ故、防振すべ
き主たる振動とその高調波成分に対して、何れも、能動
的防振効果をより有効に発揮せしめることが可能となる
のである。
【0023】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体封
入式防振装置において、前記基本空気圧生成手段及び/
又は前記高調波空気圧生成手段の複数を、前記空気圧伝
達手段により、前記作用空気室の一つに対して直列的に
接続せしめて、異なる周波数の空気圧変動を該作用空気
室に対して同時に及ぼすようにしたことを、特徴とす
る。
【0024】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、基本空気圧生成手段
や高調波空気圧生成手段の複数で、空気圧伝達手段の一
部を共用することが出来るのであり、それによって、構
造の簡略化や配設スペースの縮小化が図られ得る。
【0025】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体封
入式防振装置において、前記基本空気圧生成手段及び/
又は前記高調波空気圧生成手段の複数を、前記空気圧伝
達手段により、前記作用空気室の一つに対して並列的に
接続せしめて、異なる周波数の空気圧変動を該作用空気
室に対して同時に及ぼすようにしたことを、特徴とす
る。
【0026】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においても、前記第六の態様に係
る能動型流体封入式防振装置と同様に、基本空気圧生成
手段や高調波空気圧生成手段の複数で、空気圧伝達手段
の一部を共用することが出来るのであり、それによっ
て、構造の簡略化や配設スペースの縮小化が図られ得
る。
【0027】なお、かかる第七の態様において、一つの
作用空気室に対して空気圧変動を及ぼす基本空気圧生成
手段と高調波空気圧生成手段が三つ以上ある場合には、
前記第六の態様を組み合わせて採用し、それら基本空気
圧生成手段と高調波空気圧生成手段を、一つの作用空気
室に対して、並列的な接続構造と直列的な接続構造を併
用して、接続することも可能である。また、基本空気圧
生成手段と高調波空気圧生成手段の複数による空気圧変
動が及ぼされる作用空気室が二つ以上ある場合にも、基
本空気圧生成手段と高調波空気圧生成手段の接続構造と
して、並列的な接続構造と直列的な接続構造を、各作用
空気室毎で任意に採用することも下記鵜である。
【0028】また、本発明の第八の態様は、前記第一乃
至第七の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体封
入式防振装置において、壁部の一部が変形容易な可撓性
膜で構成されて、非圧縮性流体が封入された容積可変の
副液室を、前記主液室から独立して形成すると共に、該
副液室を該主液室に対して連通する流体流路を設けたこ
とを、特徴とする。
【0029】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、振動入力に伴う本体
ゴム弾性体の弾性変形によって主液室に圧力変動が生ぜ
しめられることにより、主液室と副液室の間で流体流路
を通しての流体流動が惹起されることから、かかる流体
の共振作用を利用して、流体流路がチューニングされた
周波数域の振動に対して、受動的な防振効果を得ること
が出来るのである。なお、上述の如き加振部材の空気圧
加振に基づく能動的な防振効果を有効に得るためには、
流体流路を流動せしめられる流体の共振周波数、換言す
れば流体流路を流動せしめられる流体の共振作用に基づ
く受動的な防振効果によって防振しようとする振動周波
数を、能動的な防振効果によって防振すべき主たる振動
の周波数よりも低周波数域に設定することが望ましい。
【0030】また、本発明の第九の態様は、前記第一乃
至第八の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体封
入式防振装置において、前記基準信号として、エンジン
点火パルス信号等のエンジン回転数に対応した電気信号
を採用して自動車用の防振装置を構成したことを、特徴
とする。
【0031】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、特に内燃機関におい
て問題となり易いエンジン回転数に対応して生ぜしめら
れる振動、具体的には、例えば自動車において大きな問
題となり易いアイドリング振動に対して、その高調波成
分を含んで、有効な防振効果を得ることが出来るのであ
る。
【0032】さらに、本発明の第十の態様は、前記第一
乃至第九の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体
封入式防振装置において、前記本体ゴム弾性体によっ
て、第一の取付部材と第二の取付部材を相互に弾性的に
連結せしめて、該第一の取付部材を振動部材に取り付け
ると共に、該第二の取付部材を防振部材に取り付けるこ
とにより、それら振動部材と防振部材の間に介装され
て、該防振部材を該振動部材に対して防振連結せしめる
ようにしたことを、特徴とする。
【0033】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、例えば、自動車にお
いて振動部材となるパワーユニット等と防振部材となる
ボデー等の間に介装せしめることにより、自動車用エン
ジンマウントやデフマウント、ボデーマウント、サスペ
ンションマウント、ブッシュ等が有利に実現可能とな
る。そして、かかる能動型流体封入式防振装置において
は、防振部材において防振すべき主たる振動とその高調
波成分に対して、何れも有効な加振力等が生ぜしめられ
ることから、全体として優れた能動的防振効果が発揮さ
れ得るのである。
【0034】また、本発明の第十一の態様は、前記第一
乃至第九の何れかの態様に従う構造とされた能動型流体
封入式防振装置において、前記本体ゴム弾性体によっ
て、支持部材とマス部材を相互に弾性的に連結せしめ
て、該支持部材を防振部材に取り付けて、該マス部材を
該本体ゴム弾性体を介して該振動部材に弾性支持せしめ
るようにしたことを、特徴とする。
【0035】このような本態様に従う構造とされた能動
型流体封入式防振装置においては、本体ゴム弾性体をバ
ネとし、マス部材をマスとして、一つの振動系が構成さ
れることとなり、作用空気室に圧力変動を及ぼすことに
よって、この振動系が加振されることから、かかる振動
系の共振作用等を巧く利用して、支持部材が取り付けら
れる防振部材に対して、防振すべき振動に対応した周波
数と位相を有する加振力を及ぼすことにより、能動的な
防振効果を得ることが出来るのである。そして、このよ
うな相殺的乃至は積極的な制振効果を発揮し得る制振器
においても、防振部材において防振すべき主たる振動と
その高調波成分に対して、何れも有効な加振力等を及ぼ
すことが出来ることから、全体として優れた能動的防振
効果が発揮され得るのである。
【0036】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態を、図面を参照しつ
つ、詳細に説明する。
【0037】先ず、図1には、自動車用パワーユニット
の支持機構を構成するエンジンマウントに対して本発明
を適用したものの一実施形態が概略的に示されている。
これらの図中、10はパワーユニットであり、内燃機関
からなるエンジンや変速機等を含んで構成されている。
そして、このパワーユニット10が、複数箇所におい
て、それぞれエンジンマウントを介して、ボデー12に
防振支持されている。要するに、振動伝達系を構成する
ボデー12とパワーユニット10の間に介装されて、パ
ワーユニット10をボデー12に対して防振支持せしめ
る複数個のエンジンマウントの少なくとも一つとして、
本発明に従う構造とされたエンジンマウント14が採用
されているのである。なお、以下の説明中、上下方向と
は、原則として図中の上下方向を言うものとする。
【0038】より詳細には、かかるエンジンマウント1
4のマウント本体16が、図2に示されている。このマ
ウント本体16は、第一の取付部材としての第一の取付
金具18と、第二の取付部材としての第二の取付金具2
0が、それらの間に介装された本体ゴム弾性体22によ
って弾性的に連結された構造とされている。第一の取付
金具18は、円形の中実ロッド形状を有しており、中心
軸上には、上方に向かって開口する取付用ボルト穴24
が設けられていると共に、軸方向中間部分には、径方向
外方に広がる円環板形状のストッパ板部26が一体形成
されている。そして、この第一の取付金具18は、取付
用ボルト穴24に螺着される図示しないボルトにより、
パワーユニット10に固定的に取り付けられるようにな
っている(図1参照)。
【0039】また、第二の取付金具20は、全体として
大径の厚肉円板形状を有しており、中央部分には、軸方
向上方に向かって開口する大径の上側円形凹所28と、
軸方向下方に向かって開口する大径の下側円形凹所30
が設けられている。なお、上側円形凹所28は、下側円
形凹所30よりも小径で、且つ深くされている。また、
上側円形凹所28の深さ方向中間部分には、周方向に連
続して延びる環状の段差部29が形成されていると共
に、上側円形凹所28の底面の外周縁部には、周方向に
連続して延びる環状の凹溝31が形成されている。
【0040】そして、第二の取付金具20は、その軸方
向上側において、本体ゴム弾性体22を介して、第一の
取付金具18に弾性的に連結されている。かかる本体ゴ
ム弾性体22は、全体として大径の略円錐台形状を有し
ており、その小径側端部に対して、第一の取付金具18
が加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体22の大
径側端部の外周面には、大径円筒形状の連結筒金具32
が外挿状態で加硫接着されている。そして、この連結筒
金具32が、第二の取付金具20における外周縁部の上
端面に重ね合わせられて、複数本のボルト34で固定さ
れることによって、本体ゴム弾性体22の大径側端部
が、第二の取付金具20に対して固着されており、以
て、第一の取付金具18と第二の取付金具20が、同一
中心軸上(マウント本体16の略弾性主軸となるマウン
ト中心軸上)で離隔して対向位置せしめられて、本体ゴ
ム弾性体22によって弾性的に連結されている。
【0041】なお、本体ゴム弾性体22には、大径側端
面に開口する大径の逆すり鉢状の肉抜凹所36が形成さ
れており、パワーユニット10の支持荷重や振動荷重が
入力された際に本体ゴム弾性体22に生ぜしめられる引
張応力が軽減乃至は回避されるようになっている。
【0042】また、第一の取付金具18のストッパ板部
26には、軸方向上方に向かって突出する緩衝ゴム38
が、本体ゴム弾性体22と一体形成されて加硫接着され
ており、図示はされていないが、ストッパ板部26が緩
衝ゴム38を介してボデー12側に固設された当接部材
に当接されることにより、マウント主軸方向に過大な荷
重が入力された際の本体ゴム弾性体22の引張弾性変形
量が制限されるようになっている。
【0043】さらに、本体ゴム弾性体22の大径側端面
は、第二の取付金具20の軸方向上端面の外周縁部に対
して流体密に当接されている。これにより、第二の取付
金具20に形成された上側円形凹所28と、本体ゴム弾
性体22の肉抜凹所36が、それぞれの開口部において
互いに流体密に重ね合わせられている。
【0044】また、第二の取付金具20の上側円形凹所
28には、加振部材としての加振ゴム板40が収容配置
されている。この加振ゴム板40は、盆を伏せたように
僅かに軸方向上方に向かって凸となる所定厚さの略円板
形状を有している。また、加振ゴム板40の外周面に
は、嵌着リング42が加硫接着されており、この嵌着リ
ング42が上側円形凹所28に圧入されて、上側円形凹
所28の底部内周面に対して流体密に固定されることに
より、加振ゴム板40が、上側円形凹所28内で軸直角
方向に広がって配設されている。なお、嵌着リング42
の下端部は、凹溝31に嵌め込まれており、嵌着リング
42によって、加振ゴム板40の外周縁部に一体形成さ
れた環状のシールリップが凹溝31内面に対して流体密
に圧接されている。
【0045】これにより、上側円形凹所28内が、加振
ゴム板40を挟んで底部側と開口部側に流体密に二分さ
れており、以て、加振ゴム板40の軸方向下側には、密
閉状の作用空気室44が形成されている一方、加振ゴム
板40の軸方向上側には、本体ゴム弾性体22との対向
面間において、非圧縮性流体が封入された主液室46が
形成されている。また、第二の取付金具20には、外周
面に開口形成されたポート部48から径方向に内方に延
びて、上側円形凹所28の凹溝31に開口せしめられる
ことにより、作用空気室44に連通せしめられた空気通
路50が設けられており、この空気通路50を通じて作
用空気室44に空気圧変動を及ぼすことによって、加振
ゴム板40を加振駆動せしめ得るようになっている。
【0046】また一方、第二の取付金具20における上
側円形凹所28には、薄肉円板形状の蓋金具52が嵌め
込まれており、その外周縁部が段差部29に対して流体
密に重ね合わせられてボルト固定されることにより、か
かる蓋金具52が、上側円形凹所28内で軸直角方向に
広がって配設されている。これにより、主液室46が蓋
金具52によって流体密に二分されており、以て、蓋金
具52の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体22で
構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体22の弾性変
形に基づいて圧力変化が生ぜしめられる受圧室54が形
成されている一方、蓋金具52の下側には、壁部の一部
が加振ゴム板40で構成されて、作用空気室44の空気
圧変動に基づいて加振ゴム板40が加振変位されること
により圧力変化が生ぜしめられる加振室56が形成され
ている。
【0047】さらに、蓋金具52の下面には、オリフィ
ス金具58が重ね合わせられてボルト固定されている。
このオリフィス金具58には、軸方向上方に開口して外
周部分を周方向に所定長さで延びる周溝60が形成され
ており、第二の取付金具20における上側円形凹所28
の開口部分に嵌入された状態で組み付けられている。そ
して、オリフィス金具58の周溝60が蓋金具52で覆
蓋されることによって、それらオリフィス金具58と蓋
金具52の重ね合わせ面間を周方向に延びて、一方の周
方向端部が受圧室54に接続されると共に、他方の周方
向端部が加振室56に接続されたオリフィス通路62が
形成されている。要するに、受圧室54と加振室56
は、このオリフィス通路62によって相互に連通されて
おり、それら両室54,56間の相対的な圧力変動に基
づいて、オリフィス通路62を通じての流体流動が生ぜ
しめられるようになっているのである。
【0048】特に、本実施形態では、かかるオリフィス
通路62を通じて流動せしめられる流体の共振作用が、
防振支持機構に対して防振が要求される中周波振動とし
てのアイドリング振動に対応した周波数域で生ぜしめら
れるようにチューニングされている。なお、オリフィス
通路62のチューニングは、例えば、封入流体の密度や
受圧室54および加振室56の壁ばね剛性などを考慮し
た上で、オリフィス通路62の通路長さと通路断面積の
比の値を調節することによって行うことが出来る。
【0049】なお、上述の説明から明らかなように、本
実施形態では、本体ゴム弾性体22の弾性変形に際して
直接に圧力変動が生ぜしめられる受圧室54と、本体ゴ
ム弾性体22の弾性変形に際してオリフィス通路62を
通じて圧力変動が間接的に生ぜしめられる加振室56と
によって、本体ゴム弾性体22と加振ゴム板40で壁部
の一部が形成された主液室46が構成されているのであ
る。
【0050】一方、第二の取付金具20の軸方向下側に
は、可撓性膜としてダイヤフラム64が組み付けられて
いる。このダイヤフラム64は、弾性変形容易な薄肉の
ゴム膜によって形成されており、容易に変形が許容され
るように弛みをもった袋状を有していると共に、その開
口周縁部には、L字断面形状で周方向に延びる環状の取
付金具66が加硫接着されている。そして、かかる環状
の取付金具66が、第二の取付金具20における下端面
の外周縁部に重ね合わせられて、複数本のボルト68で
固定されており、それによって、第二の取付金具20に
おける下側円形凹所30がダイヤフラム64によって流
体密に覆蓋されて、第二の取付金具20とダイヤフラム
64の間には、非圧縮性流体が封入された平衡室70が
形成されている。即ち、この平衡室70は、壁部の一部
を構成するダイヤフラム64の変形に基づいて容積変化
が容易に許容されて、圧力変動が可及的に回避されるよ
うになっているのである。
【0051】また、第二の取付金具20には、上側円形
凹所28の径方向外方に位置して、軸方向に貫通して延
びる通孔72が形成されており、この通孔72の両端開
口部が受圧室54と平衡室70に接続されていることに
よって、それら受圧室54と平衡室70を相互に連通し
て、それら両室54,70間での圧力差に基づく流体流
動を許容する流体流路74が形成されている。特に、本
実施形態では、かかる流体流路74を通じて流動せしめ
られる流体の共振作用が、防振支持機構に対して防振が
要求される低周波振動としてのシェイク振動に対応した
周波数域で生ぜしめられるようにチューニングされてい
る。なお、流体流路74のチューニングは、前述の如き
オリフィス通路62のチューニングと同様にして行うこ
とが出来る。
【0052】さらに、上述の如き受圧室54や加振室5
6,平衡室70への非圧縮性流体の封入は、例えば、第
二の取付金具20に対する本体ゴム弾性体22やダイヤ
フラム64の組付けを非圧縮性流体中で行うこと等によ
って有利に為され得る。また、採用される非圧縮性流体
としては、例えば、水やアルキレングリコール,ポリア
ルキレングリコール,シリコーン油等が、何れも採用可
能であり、特に、オリフィス通路62及び流体流路74
を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振
効果を有効に得るためには、粘度が0.1Pa・s以下
の低粘性流体を採用することが望ましい。
【0053】そして、上述の如き構造とされたマウント
本体16は、図1に示されているように、第一の取付金
具18がパワーユニット10にボルト固定される一方、
第二の取付金具20がボデ−12に対してブラケット等
でボルト固定されることにより、それらパワーユニット
10とボデー12の間に介装される。また、かかる装着
状態下では、マウント本体16のポート部48に外部の
空気圧管路76が接続される。この空気圧管路76は、
硬質の樹脂材や金属材によって形成された中空管体によ
って構成されており、ポート部48を通じて、作用空気
室44を、第一の空気圧源としての大気圧中に接続する
ように延びている。
【0054】また、かかる空気圧管路76上には、それ
ぞれ切換弁機構を構成する第一の切換弁78と第二の切
換弁80が、直列的に組み付けられている。これら第一
及び第二の切換弁78,80は、何れも、電気信号によ
る作動制御が可能な電磁式等の三方切換弁であって、制
御装置82から給電される駆動信号に応じて、第一の接
続ポート:α−1が、第二の接続ポート:β−1と第三
の接続ポート:γ−1に対して、択一的に切換接続され
るようになっている。
【0055】そして、第一の切換弁78の第二の接続ポ
ート:β−1と第二の切換弁80の第一の接続ポート:
α−2が、空気圧管路76によって相互に接続されてい
る一方、第一の切換弁78の第一の接続ポート:α−1
が空気圧管路76によってマウント本体16のポート部
48に接続されていると共に、第二の切換弁80の第二
の接続ポート:β−2が空気圧管路76によって大気圧
中に連通されている。更に、第一及び第二の切換弁7
8,80における各第三の接続ポート:γ−1,γ−2
には、それぞれ、分岐管路84が接続されており、かか
る分岐管路84を通じて、負圧タンク86に接続されて
いる。なお、負圧タンク86は、例えば、パワーユニッ
ト10を構成するエンジン(内燃機関)のエアインテー
ク側に生ぜしめられる負圧を利用した蓄圧器などによっ
て有利に構成される。また、負圧タンク86に接続され
た分岐管路は、二つに分岐して第一の切換弁78の第三
の接続ポート:γ−1と第二の切換弁80の第三の接続
ポート:γ−2に対して並列的に接続されている。
【0056】これにより、第一の切換弁78と第二の切
換弁80の切換作動に応じて、マウント本体16におけ
る作用空気室44が、大気圧中と負圧タンク86とに択
一的に交互に接続されるようになっており、以て、各切
換弁78,80の切換周期に対応した周波数の空気圧変
動が、互いに略重ね合わせられた状態で、マウント本体
16の作用空気室44に及ぼされるようになっている。
【0057】ここにおいて、これら第一の切換弁78と
第二の切換弁80は、防振すべき振動に応じて、制御装
置82によって作動制御されるようになっている。かか
る制御装置82は、中央演算処理装置(CPU)88と
第一及び第二の給電装置90,92を含んで構成されて
いる。中央演算処理装置88は、基本処理装置や主記憶
装置を含んで構成されており、かかる中央演算処理装置
88に対して、防振すべき振動に対応した周波数と位相
を有する基準信号:Rと、防振すべき振動の情報を与え
る参照信号:Sが入力されるようになっている。そし
て、中央演算処理装置88は、それら基準信号:Rをベ
ースとして、予め記憶されたプログラムやデータに従
い、参照信号:Sに応じて、予め外部記憶装置94に記
憶されて提供されたマップデータから適当なデータを選
択して演算処理することによって、防振すべき主たる振
動に対応した周波数と位相を備えた第一の制御信号:Q
と、その高調波成分に対応した周波数と位相を備えた第
二の制御信号:Pを出力するようになっている。
【0058】具体的には、例えば、アイドリング一次振
動を防振すべき主たる振動とする場合には、パワーユニ
ット10のエンジンの点火パルス信号等を基準信号:R
とすると共に、参照信号:Sとして振動状態に影響を及
ぼすエンジン回転数信号やアクセル開度信号,温度信
号,車両速度信号などを採用する一方、採用する基準信
号:Rおよび参照信号:Sと防振すべきアイドリング振
動の関係を実測やシミュレーションで予め求めたデータ
をマップデータとして外部記憶装置94に記憶させる。
そして、入力される参照信号:Sに基づいて、対応する
データをマップデータから選択し、かかる選択値によっ
て、入力された基準信号:Rを演算等で処理することに
よって、即ち、基準信号:Rの位相調節や倍周/分周に
よる周波数調節を行うこと等によって、上述の如き、第
一の制御信号:Q及び第二の制御信号:Pを出力せしめ
るようにする。
【0059】そして、第一の給電装置90により、第一
の制御信号:Qが増幅せしめられて、得られた駆動用電
流:Q′が第一の切換弁78に給電されることにより、
第一の切換弁78が切換作動せしめられるようになって
いると共に、第二の給電装置92により、第二の制御信
号:Pが増幅せしめられて、得られた駆動用電流:P′
が第二の切換弁80に給電されることにより、第二の切
換弁80が切換作動せしめられるようになっている。
【0060】すなわち、このように第一及び第二の切換
弁78,80が作動制御されることにより、例えば、図
3に示されているように、基準信号:Rとして入力され
たエンジン点火パルス等の電気信号に基づいて、防振す
べき主たる振動に対応した周波数と位相を有する第一の
制御信号:Qと、その高調波成分に対応した周波数と位
相を有する第二の制御信号:Pが生成されることとな
り、更に、これら第一の制御信号:Q及び第二の制御信
号:Pに基づいて第一及び第二の切換弁78,80が作
動制御されることにより、各切換弁78,80が単独で
切換作動せしめられることによって生ぜしめられる第一
の発生力:X及び第二の発生力:Yを略重ね合わせたよ
うな波形の圧力変動を有する空気圧出力:Zが生成され
て、空気圧伝達手段を構成する空気圧管路76を通じ
て、マウント本体16の作用空気室44に及ぼされるこ
ととなる。なお、本実施形態においては、上述の説明か
らも明らかなように、防振すべき主たる振動に対応した
周波数や位相で、主液室46に空気圧変動を及ぼす基本
空気圧生成手段が、制御装置82,外部記憶装置94及
び第一の切換弁78によって構成されている一方、防振
すべき主たる振動の高調波成分に対応した周波数や位相
で、主液室46に空気圧変動を及ぼす高調波空気圧生成
手段が、制御装置82,外部記憶装置94及び第二の切
換弁80によって構成されている。
【0061】従って、このように防振すべき主たる振動
に対応した空気圧変動と、その高調波成分に対応した空
気圧変動が、同時に生成されて互いに略重ね合わされた
状態で、マウント本体16の作用空気室44に及ぼされ
ることにより、かかる空気圧変動に対応した加振力(空
気圧出力:Z)が加振ゴム板40に及ぼされて、加振室
56、延いては受圧室54の圧力が制御されることとな
る。
【0062】それ故、マウント本体16に対して、防振
すべき振動とその高調波成分が入力された場合でも、そ
れぞれの振動に対応した周波数と位相で受圧室54の圧
力を制御することが出来るのであり、それによって、そ
れら何れの振動に対しても、能動的な防振効果が有効に
発揮され得るのである。
【0063】次に、図4には、本発明の第二の実施形態
としてのエンジンマウント96が示されている。なお、
本実施形態におけるマウント本体としては、前記第一の
実施形態におけるマウント本体16と同様な構造とされ
たものが採用されていることから、その詳細な説明は省
略する。また、図4は、前記第一の実施形態における図
1に対応した図であって、図中、第一の実施形態と同様
な構造とされた部材および部位については、それぞれ第
一の実施形態と同様な符号を付することにより、それら
の詳細な説明を省略する。
【0064】すなわち、本実施形態においては、空気圧
管路76が、マウント本体16の作用空気室44と負圧
タンク86を接続するようにして配設されており、この
空気圧管路76上に第一の切換弁98と第二の切換弁1
00が直列的に配設されている。これにより第一の切換
弁98の第二の接続ポート:β−1と、第二の切換弁1
00の第一の接続ポート:α−2が空気圧管路76によ
って相互に接続されている。また、第一の切換弁98の
第一の接続ポート:α−1が、空気圧管路76によって
マウント本体16の作用空気室44(ポート部48)に
接続されている一方、第二の切換弁100の第二の接続
ポート:β−2が、空気圧管路76によって負圧タンク
86に接続されているのである。また一方、第一の切換
弁98の第三の接続ポート:γ−1および第二の切換弁
100の第三の接続ポート:γ−2は、空気圧管路76
によってそれぞれ大気圧中に直接的に開口せしめられて
いる。即ち、このような構造とされた本実施形態におい
ても、第一及び第二の切換弁98,100を、防振すべ
き振動周波数およびその高調波成分に対応した周波数と
位相で、前記第一の実施形態と同様に制御装置82によ
って、切換作動せしめられるようになっている。
【0065】従って、このような構造とされた本実施形
態のエンジンマウント96においても、前記第一の実施
形態と同様に、第一の切換弁98の切換作動によって生
ぜしめられる防振すべき主たる振動に対応した空気圧変
動と、第二の切換弁100の切換作動によって生ぜしめ
られる防振すべき主たる振動の高調波成分に対応した空
気圧変動が、略重ね合わせられた形態をもってマウント
本体16の主液室46(加振室56、延いては受圧室5
4)に及ぼされることとなる。それ故、前記第一の実施
形態と同様に、防振すべき振動とその高調波成分の何れ
に対しても、能動的な防振効果が有効に発揮され得る。
【0066】次に、図5には、本発明の第三の実施形態
としてのエンジンマウント102が示されている。な
お、本実施形態におけるマウント本体としては、前記第
一の実施形態におけるマウント本体16と同様な構造と
されたものが採用されていることから、その詳細な説明
は省略する。また、図5は、前記第一の実施形態におけ
る図1に対応した図であって、図中、第一の実施形態と
同様な構造とされた部材および部位については、それぞ
れ第一の実施形態と同様な符号を付することにより、そ
れらの詳細な説明を省略する。
【0067】すなわち、本実施形態においては、空気圧
管路76がマウント本体16の作用空気室44と負圧タ
ンク86の間に接続されている。また、空気圧管路76
はその中間部分において分流されており、相互に並列的
な第一及び第二の分流路104,106が形成されてい
る。そして、第一の分流路104上に第一の切換弁10
8が配設されている一方、第二の分流路106上に第二
の切換弁110が配設されている。そして、各切換弁1
08,110の第一の接続ポート:α−1,α−2が、
マウント本体16の作用空気室44(ポート部48)に
接続されている一方、各切換弁108,110の第二の
接続ポート:β−1,β−2が負圧タンク86に接続さ
れており、更に、各切換弁108,110の第三の接続
ポート:γ−1,γ−2が、それぞれ直接大気圧中に開
口せしめられている。即ち、このような構造とされた本
実施形態においても、第一及び第二の切換弁108,1
10を防振すべき振動周波数およびその高調波成分に対
応した周波数と位相で、前記第一の実施形態と同様に制
御装置82によって、切換作動せしめられるようになっ
ている。
【0068】従って、このような構造とされた本実施形
態のエンジンマウント102においても、前記第一の実
施形態と同様に、第一の切換弁108の切換作動によっ
て生ぜしめられる防振すべき主たる振動に対応した空気
圧変動と、第二の切換バルブ110の切換作動によって
生ぜしめられる防振すべき主たる振動の高調波成分に対
応した空気圧変動が、略重ね合わせられた形態をもって
マウント本体16の主液室46(加振室56、延いては
受圧室54)に及ぼされることとなる。それ故、前記第
一の実施形態と同様に、防振すべき振動とその高調波成
分の何れに対しても、能動的な防振効果が有効に発揮さ
れ得る。
【0069】さらに、図6には、本発明の第四の実施形
態としてのエンジンマウント112が示されている。な
お、本実施形態においては、前記第一の実施形態におけ
るエンジンマウント14と同様な構造とされた部材およ
び部位については、図中に前記第一の実施形態と同様な
符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略す
る。
【0070】すなわち、本実施形態においては、前記第
一の実施形態における第二の取付金具20よりも軸方向
長さの大きい第二の取付金具116が、マウント本体1
14に対して取り付けられている。そして、第二の取付
金具116に対して軸方向下方に向かって開口する下側
凹所118が、前記第一の実施形態の上側円形凹所28
よりも深底且つその底面がすり鉢形状とされた上側凹所
120と略同一形状で形成されている。そして、その下
側凹所118内部には、上側凹所120における加振ゴ
ム板40と略同一の構造とされた第二の加振ゴム板12
3が、その上下面を加振ゴム板40とは逆向きにして組
み付けられていると共に、その開口部に下側蓋体122
が重ね合わせられて、第二の取付金具116にボルト固
定されることにより流体密に覆蓋されている。これによ
って下側凹所118には、第二の加振ゴム板123を挟
んだ下側に第二の加振室124が形成されていると共
に、第二の加振ゴム板123を挟んで第二の加振室12
4と反対側には、下側作用空気室126が形成されてい
る。一方、上側凹所120には、加振ゴム板40を挟ん
だ上側にオリフィス金具58,蓋金具52を重ね合わせ
ることにより、加振室56およびオリフィス通路62が
形成されていると共に、加振ゴム板40を挟んで加振室
56と反対側には、上側作用空気室127が形成されて
いる。即ち、図面上からも明らかなように、第二の加振
室124および下側作用空気室126は、軸方向上側に
形成された加振室56および上側作用空気室127から
独立して形成されている。
【0071】また、第二の取付金具116の外周部分に
は、軸方向に延びて受圧室125と第二の加振室124
を相互に連通して、それら受圧室125と第二の加振室
124間での圧力差に基づく流体流動を許容する第二の
オリフィス通路128が形成されている。
【0072】なお、本実施形態においては、第二のオリ
フィス通路128がオリフィス通路62とは異なる周波
数域にチューニングされており、特に本実施形態では、
オリフィス通路62と第二のオリフィス通路128の何
れか一方が、防振すべき主たる振動に対応した周波数域
にチューニングされていると共に、他方が、その高調波
成分にチューニングされている。
【0073】また、本実施形態では、受圧室125と平
衡室70を相互に接続する流体流路129が、受圧室1
25側の開口端部がオリフィス通路62内に開口せしめ
られており、オリフィス通路62を通じて受圧室125
に接続せしめられている。
【0074】因みに、上述の説明から明らかなように、
本実施形態では、本体ゴム弾性体22の弾性変形に際し
て直接に圧力変動が生ぜしめられる受圧室125と、本
体ゴム弾性体22の弾性変形に際してオリフィス通路6
2および第二のオリフィス通路128を通じて圧力変動
が間接的に生ぜしめられる加振室56および第二の加振
室124とによって、本体ゴム弾性体22や加振ゴム板
40,第二の加振ゴム板123で壁部の一部が形成され
た主液室121が構成されているのである。
【0075】また、マウント本体114における上側作
用空気室127に接続された第一のポート部130と下
側作用空気室126に接続された第二のポート部132
に対して、それぞれ第一及び第二の空気圧管路134,
136が接続されており、それら空気圧管路134,1
36が、各々、負圧タンク86に対して接続されてい
る。
【0076】さらに、第一の空気圧管路134上には、
第一の切換弁138が配設されていると共に、第二の空
気圧管路136上には、第二の切換弁140が配設され
ている。そして、これら第一及び第二の切換弁138,
140は、それぞれ第一の接続ポート:α−1,α−2
が上側作用空気室127(第一のポート部130)およ
び下側作用空気室126(第二のポート部132)に接
続されていると共に、第二の接続ポート:β−1,β−
2が共に負圧タンク86に接続されている。更に、各切
換弁138,140の第三の接続ポート;γ−1,γ−
2は大気圧中に直接に開口せしめられている。
【0077】このような本実施形態において、前記第一
の実施形態と同様な構造とされた制御装置82により、
第一及び第二の切換弁138,140を作動制御せしめ
られるようになっている。それ故、上側作用空気室12
7には、防振すべき主たる振動に対応した空気圧変動が
及ぼされて、上側凹所120内部の加振ゴム板40が加
振されることにより、受圧室125に防振すべき主たる
振動に対応した圧力変動が及ぼされることとなる。ま
た、それと同時に下側作用空気室126には、防振すべ
き振動の高調波成分に対応した周波数と位相の空気圧変
動が及ぼされる。そして、下側凹所118内部の第二の
加振ゴム板123が加振されることによって第二の加振
室124には、その高調波成分に対応した空気圧変動が
生ぜしめられるようになっている。そして、加振室56
に生ぜしめられた圧力変動が、オリフィス通路62を通
じて受圧室125に伝達されるようになっていると共
に、第二の加振室124に生ぜしめられた圧力変動が、
第二のオリフィス通路128を通じて受圧室125に及
ぼされるようになっている。
【0078】従って、本発明に従う構造とされたエンジ
ンマウント112においては、加振室56と第二の加振
室124に生ぜしめられる圧力変動が、受圧室125に
重ね合わされるようにして及ぼされるのであり、以て、
マウント本体114の主液室121には、防振すべき振
動に対応した圧力変動とその高調波成分に対応した圧力
変動が、それぞれ有効に生ぜしめられて、それら何れの
振動に対しても能動的な防振効果が、何れも有効に発揮
され得るのである。
【0079】また、特に本実施形態では、オリフィス通
路62および第二のオリフィス通路を通じて流動せしめ
られる流体の共振作用等を利用することによって、加振
室56から受圧室125、或いは第二の加振室124か
ら受圧室125への圧力伝達が有利に確保され得るので
あり、それによって、能動的な防振効果の更なる向上が
達成され得る。
【0080】また、振動入力時に本体ゴム弾性体22の
弾性変形に基づいて、受圧室125に圧力変動が生ぜし
められると、受圧室125と平衡室70の圧力差や流体
流動を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づい
て、前記第一の実施形態と同様、低周波数域の振動に対
しても受動的な防振効果が有効に発揮され得るのであ
る。
【0081】さらに、図7には、本発明の第五の実施形
態としてのエンジンマウント142が示されている。な
お、本実施形態においては、前記第一乃至第四の実施形
態におけるエンジンマウントと同様な構造とされた部材
および部位については、図中に前記第一乃至第四の実施
形態と同様な符号を付することにより、それらの詳細な
説明を省略する。
【0082】すなわち、本実施形態のマウント本体14
4においては、前記第一の実施形態のマウント本体16
に比して、第二の取付金具146における上側凹所14
8が深底且つすり鉢形状とされており、上側凹所148
の深さ方向中間部分において薄肉円板形状の仕切板15
0が嵌め込まれて、仕切板150によって上側凹所14
8内が深さ方向底部側と開口部側に流体密に仕切られて
いる。また、上側凹所148の開口部には、蓋体152
が重ね合わされてボルト固定されることにより、上側凹
所148の開口部が流体密に覆蓋されている。
【0083】また、仕切板150の上下両側には、上側
閉塞領域154および下側閉塞領域156が各別に形成
されている。そして、上側閉塞領域154には、上側加
振ゴム板158が、下側閉塞領域156には、下側加振
ゴム板160がそれぞれ収容配置されている。これによ
り、上側閉塞領域154は、上側加振ゴム板158によ
って流体密に仕切られており、以て、上側加振ゴム板1
58と仕切板150の間には、非圧縮性流体が封入され
た上側加振室162が形成されていると共に、上側加振
ゴム板158を挟んで該上側加振室162と反対側に
は、上側作用空気室164が形成されている。一方、下
側閉塞領域156は、下側加振ゴム板160によって流
体密に仕切られており、以て、下側加振ゴム板160と
仕切板150の間には非圧縮性流体が封入された下側加
振室166が形成されていると共に、下側加振ゴム板1
60を挟んで該下側加振室166と反対側には下側作用
空気室168が形成されている。
【0084】更にまた、仕切板150の上下両面には、
それぞれ環状の上側および下側オリフィス部材170,
172が重ね合わせられており、それら上側および下側
オリフィス部材170,172と仕切板150の間にお
いて、それぞれ周方向に延びる上側および下側オリフィ
ス通路174,176が形成されている。そして、これ
ら上側および下側オリフィス通路174,176の一方
の端部が、第二の取付金具146の外周部分に形成され
た接続通路180を通じて受圧室178に連通されてい
る。一方、上側オリフィス通路174の他方の開口部が
上側加振室162に接続されていると共に、下側オリフ
ィス通路176の他方の開口部が下側加振室166に接
続されている。要するに、本実施形態では、上側加振室
162は上側オリフィス通路174を通じて受圧室17
8に接続されていると共に、下側加振室166は下側オ
リフィス通路176を通じて受圧室178に接続されて
いるのである。
【0085】なお、上述の説明から明らかなように、本
実施形態では、本体ゴム弾性体22の弾性変形に際して
直接に圧力変動が生ぜしめられる受圧室178と、本体
ゴム弾性体22の弾性変形に際して、上側および下側オ
リフィス通路174,176を通じて圧力変動が間接的
に生ぜしめられる上側加振室162および下側加振室1
66とによって、本体ゴム弾性体22や上側加振ゴム板
158,下側加振ゴム板160で壁部の一部が形成され
た主液室182が構成されているのである。
【0086】また、マウント本体144における上側作
用空気室164に接続された第一のポート部130と下
側作用空気室126に接続された第二のポート部132
に対して、前記第四の実施形態と同様に、それぞれ第一
及び第二の空気圧管路134,136が接続されてお
り、それら空気圧管路134,136が各別に負圧タン
ク86に対して接続されている。更に、このような第一
及び第二の空気圧管路134,136上には、前記第四
の実施形態と同様な構造とされた第一及び第二の切換弁
138,140が、それぞれ配設されている。
【0087】このような構造とされたエンジンマウント
142においては、前記第一乃至第四の実施形態と同様
な構造とされた制御装置82により、第一及び第二の切
換弁138,140を作動制御せしめられるようになっ
ている。それ故、上側作用空気室164には、防振すべ
き主たる振動に対応した空気圧変動が及ぼされて上側加
振ゴム板158が加振されることにより、受圧室178
に防振すべき主たる振動に対応した圧力変動が及ぼされ
ることとなる。また、それと同時に下側作用空気室16
8には、防振すべき振動の高調波成分に対応した周波数
と位相の空気圧変動が及ぼされる。そして、下側加振ゴ
ム板160が加振されることによって下側加振室166
には、高調波成分に対応した空気圧変動が生ぜしめられ
るようになっている。そして、上側加振室162に生ぜ
しめられた圧力変動が、上側オリフィス通路174を通
じて受圧室178に伝達されるようになっていると共
に、下側加振室166に生ぜしめられた圧力変動が、下
側オリフィス通路176を通じて受圧室178に及ぼさ
れるようになっている。
【0088】要するに、本実施形態のエンジンマウント
142においては、上側および下側加振室162,16
6に生ぜしめられる圧力変動が受圧室178に重ね合わ
されるようにして及ぼされるのであり、かかる主液室1
82には、防振すべき振動に対応した圧力変動と高調波
成分に対応した圧力変動が、それぞれ有効に生ぜしめら
れて、それら何れの振動に対しても能動的な防振効果
が、何れも有効に発揮され得るのである。
【0089】また、特に本実施形態では、上側および下
側オリフィス通路174,176を通じて流動せしめら
れる流体の共振作用等を利用することによって、上側お
よび下側加振室162,166から受圧室178、即
ち、マウント本体144の主液室182への圧力伝達が
有利に確保され得るのであり、それによって、能動的な
防振効果の更なる向上が達成され得る。
【0090】更にまた、振動入力時に本体ゴム弾性体2
2の弾性変形に基づいて、受圧室178に圧力変動が生
ぜしめられると、受圧室178と平衡室70の圧力差や
流体流動を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基
づいて、前記第一乃至第四の実施形態と同様、低周波数
域の振動に対しても受動的な防振効果が有効に発揮され
得るのである。
【0091】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、
これらの実施形態における具体的な記載によって、何
等、限定的に解釈されるものではない。
【0092】例えば、前記第一及び第二の実施形態に示
される如く第一の切換弁と第二の切換弁を、マウント本
体16の作用空気室44と負圧タンク86の間に直列的
に配設する場合においては、防振すべき主たる振動周波
数で作動制御される第一の切換弁と、その高調波成分で
作動制御される第二の切換弁の配設位置関係は限定され
るものでなく、何れの切換弁が負圧源(負圧タンク8
6)側、或いは大気圧側にあっても良い。
【0093】また、防振すべき主たる振動に対する高調
波成分の指数は、特に限定されるものでなく、その防振
部材における問題となっている振動を考慮して、適宜に
決定されるものである。
【0094】また、問題となる高調波成分が複数の周波
数域にある場合には、各高調波成分に応じて切換弁を3
つ以上設けることも可能である。
【0095】また、前記実施形態においては、自動車用
のエンジンマウントに適用した場合についての具体例を
示したが、本発明は自動車用のボデーマウントやデフマ
ウント、或いは自動車以外の各種装置等における防振装
置に対して何れも有効に適用可能である。
【0096】また、前記実施形態では、マウント本体に
対して本発明を適用したものの具体例を示したが、本発
明は制振器に対しても適用可能である。
【0097】具体的には、例えば、前記第一の実施形態
に示されているが如きマウント本体16において、第一
の取付金具18を支持せしめて、第二の取付金具20を
フリーにした状態下で作用空気室44に空気圧変動を及
ぼすと、加振室56から受圧室54に及ぼされる圧力変
動に基づいて本体ゴム弾性体22をバネとし、第二の取
付金具20を含む部分がマスとなって一つの振動系が構
成される。
【0098】したがって、第一の取付金具18を支持せ
しめた状態下で作用空気室44に空気圧変動を及ぼす
と、加振室56から受圧室54に圧力変動が伝達される
ことにより、圧力変動に対応した周波数と位相でかかる
振動系に対して加振力が及ぼされて、第二の取付金具2
0が第一の取付金具18に対して相対的に加振変位せし
められることとなる。これにより、第二の取付金具20
の変位に伴なう加振力が、第一の取付金具18に及ぼさ
れることとなる。従って、第一の取付金具18を防振部
材に固定することにより、第二の取付金具20の加振変
位力を加振力として、防振部材に及ぼすことが出来るの
であり、以て、防振部材における振動を相殺的乃至は積
極的に抑制して防振せしめることが出来るのである。
【0099】そして、このような制振器に本発明を適用
した場合においても、上述の説明から明らかなように、
防振部材において問題となっている防振すべき主たる振
動とその高調波成分のそれぞれに対応した加振力が生ぜ
しめられて、防振部材に及ぼされることから、防振部材
に対して能動的な防振効果が有効に発揮されるのであ
る。
【0100】また、前記実施形態では、何れも加振室が
オリフィス通路を通じて受圧室に接続されていたが、そ
のようなオリフィス通路を設けることなく、受圧室と加
振室とを単一な主液室として構成することも可能であ
る。
【0101】さらに、前記実施形態では、基準信号:R
や参照信号:Sに応じて、予め記憶せしめられたマップ
データ(外部記憶装置94)から必要なデータを選択的
に読み出して制御信号を生成するマップ制御による制御
装置82が採用されていたが、制御装置による制御方法
としては、従来から公知の各種の手法が適宜に採用可能
であり、例えば、加速度センサ等を用いて振動部材の振
動を検出し、その検出信号をエラー信号として、振動部
材の振動が最小となるようなフィードバック制御を行っ
たり、或いは制御用の関数(状態方程式)を用いた演算
によって適応制御を行うことも可能である。
【0102】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【0103】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置において
は、作用空気室に対して、基本空気圧生成手段によって
生成された防振すべき主たる振動に対応した空気圧変動
と、高調波空気圧生成手段によって生成された防振すべ
き主たる振動の高調波成分に対応した空気圧変動を、同
時に、空気圧伝達手段を介して及ぼされることにより、
防振すべき主たる振動とその高調波成分に対応した圧力
変化が、作用空気室から主液室に対して能動的に生ぜし
められることとなり、以て、防振すべき主たる振動だけ
でなく、その高調波成分に対しても、同時に、能動的な
防振効果が発揮されるのであり、防振すべき特定の主た
る振動に対する全体としての防振性能が大幅に向上され
得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す概略図である。
【図2】図1に示されたマウント本体の縦断面説明図で
ある。
【図3】図1に示されたエンジンマウントにおける空気
圧作動制御のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す概略図である。
【図5】本発明の第三の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す概略図である。
【図6】本発明の第四の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【図7】本発明の第五の実施形態としてのエンジンマウ
ントを示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
14,96,102,112,142 エンジンマウン
ト 16,114,144 マウント本体 22 本体ゴム弾性体 40 加振ゴム板 44 作用空気室 46,121,182 主液室 54,125,178 受圧室 56 加振室 76 空気圧管路 78,98,108,138 第一の切換弁 80,100,110,140 第二の切換弁 82 制御装置 94 外部記憶装置 104 第一の分流路 106 第二の分流路 123 第二の加振ゴム板 124 第二の加振室 126,168 下側作用空気室 127,164 上側作用空気室 134 第一の空気圧管路 136 第二の空気圧管路 158 上側加振ゴム板 160 下側加振ゴム板 162 上側加振室 166 下側加振室

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動が入力される本体ゴム弾性体と変位
    可能な加振部材によって壁部の一部が構成されて非圧縮
    性流体が封入された主液室と、該主液室に対して該加振
    部材を挟んで反対側に形成された作用空気室を備えてお
    り、該本体ゴム弾性体の弾性変形に伴って該主液室に圧
    力変動が生ぜしめられると共に、該作用空気室に外部か
    ら空気圧変化を及ぼすことにより該加振部材を介して該
    主液室の圧力変動が能動的に制御されるようにした流体
    封入式の能動型防振装置において、 防振すべき振動に対応した基準信号に基づいて、防振す
    べき主たる振動に対応した空気圧変動を生成する基本空
    気圧生成手段と、 前記基準信号に基づいて、前記防振すべき主たる振動の
    高調波成分に対応した空気圧変動を生成する高調波空気
    圧生成手段と、 それら基本空気圧変動生成手段と高調波空気圧生成手段
    によって生ぜしめられた空気圧変動を、前記作用空気室
    に及ぼす空気圧伝達手段とを、設けたことを特徴とする
    能動型流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記作用空気室を前記基本空気圧生成手
    段および前記高調波空気圧生成手段に連通せしめる空気
    圧管路によって、前記空気圧伝達手段を構成する一方、
    前記基本空気圧生成手段および高調波空気圧生成手段
    を、何れも、互いに異なる空気圧を提供する第一空気圧
    源と第二空気圧源を該空気圧管路に対して交互に接続す
    る切換弁機構と、該切換弁機構を前記防振すべき主たる
    振動またはその高調波成分に対応したタイミングで切換
    作動せしめる制御装置とを、含んで構成した請求項1に
    記載の能動型流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記主液室を、前記本体ゴム弾性体によ
    って壁部の一部が構成された受圧室と、前記加振部材に
    よって壁部の一部が構成された加振室を含んで構成する
    と共に、それら受圧室と加振室を相互に連通するオリフ
    ィス通路を設けた請求項1又は2に記載の能動型流体封
    入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記加振部材を、互いに独立して複数設
    けて、それら各加振部材を挟んで前記主液室と反対側に
    位置するように、前記作用空気室を互いに独立して複数
    設けると共に、前記基本空気圧生成手段および前記高調
    波空気圧生成手段による空気圧変動を、前記空気圧伝達
    手段によって、それぞれ、互いに異なる作用空気室に及
    ぼすようにした請求項1乃至3の何れかに記載の能動型
    流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記主液室を、前記本体ゴム弾性体によ
    って壁部の一部が構成された受圧室と、前記複数の加振
    部材の何れかによってそれぞれの壁部の一部が構成され
    た複数の加振室を含んで構成すると共に、それぞれの加
    振室を該受圧室に対して連通せしめるように複数のオリ
    フィス通路を設けて、それら複数のオリフィス通路を互
    いに異なる周波数域にチューニングした請求項4に記載
    の能動型流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記基本空気圧生成手段及び/又は前記
    高調波空気圧生成手段の複数を、前記空気圧伝達手段に
    より、前記作用空気室の一つに対して直列的に接続せし
    めて、異なる周波数の空気圧変動を該作用空気室に対し
    て同時に及ぼすようにした請求項1乃至5の何れかに記
    載の能動型流体封入式防振装置。
  7. 【請求項7】 前記基本空気圧生成手段及び/又は前記
    高調波空気圧生成手段の複数を、前記空気圧伝達手段に
    より、前記作用空気室の一つに対して並列的に接続せし
    めて、異なる周波数の空気圧変動を該作用空気室に対し
    て同時に及ぼすようにした請求項1乃至5の何れかに記
    載の能動型流体封入式防振装置。
  8. 【請求項8】 壁部の一部が変形容易な可撓性膜で構成
    されて、非圧縮性流体が封入された容積可変の副液室
    を、前記主液室から独立して形成すると共に、該副液室
    を該主液室に対して連通する流体流路を設けた請求項1
    乃至7の何れかに記載の能動型流体封入式防振装置。
  9. 【請求項9】 前記基準信号として、エンジン点火パル
    ス信号等のエンジン回転数に対応した電気信号を採用し
    て自動車用の防振装置を構成した請求項1乃至8の何れ
    かに記載の能動型流体封入式防振装置。
  10. 【請求項10】 前記本体ゴム弾性体によって、第一の
    取付部材と第二の取付部材を相互に弾性的に連結せしめ
    て、該第一の取付部材を振動部材に取り付けると共に、
    該第二の取付部材を防振部材に取り付けることにより、
    それら振動部材と防振部材の間に介装されて、該防振部
    材を該振動部材に対して防振連結せしめるようにした請
    求項1乃至9の何れかに記載の能動型流体封入式防振装
    置。
  11. 【請求項11】 前記本体ゴム弾性体によって、支持部
    材とマス部材を相互に弾性的に連結せしめて、該支持部
    材を防振部材に取り付けて、該マス部材を該本体ゴム弾
    性体を介して該振動部材に弾性支持せしめるようにした
    請求項1乃至9の何れかに記載の能動型流体封入式防振
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004085874A1 (ja) * 2003-03-27 2004-10-07 Bridgestone Corporation 防振装置
JP2005299745A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Nissan Motor Co Ltd 防振支持装置
WO2006108836A1 (de) * 2005-04-11 2006-10-19 Trelleborg Automotive Technical Centre Gmbh Hydraulisch dämpfendes motorlager

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