JP2002087138A - 自動車用嵩上げ材 - Google Patents
自動車用嵩上げ材Info
- Publication number
- JP2002087138A JP2002087138A JP2000281624A JP2000281624A JP2002087138A JP 2002087138 A JP2002087138 A JP 2002087138A JP 2000281624 A JP2000281624 A JP 2000281624A JP 2000281624 A JP2000281624 A JP 2000281624A JP 2002087138 A JP2002087138 A JP 2002087138A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- melting
- fiber
- low
- fiber material
- raising
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Passenger Equipment (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 車室内へ侵入する騒音を低減することが可能
な自動車用嵩上げ材を提供すること。 【解決手段】 嵩上げ材7によれば、嵩上げ材7の下面
側に配置されるクッション層9は、繊維間の隙間、即
ち、疎密な空間によって騒音を吸音できるので、シャー
シ3側から車室内へ侵入する騒音を低減することができ
る。一方、嵩上げ材7の上面側に配置される硬質層8
は、繊維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層を
有する繊維集積体により形成されている。よって、クッ
ション層9を透過した騒音を、緻密層によって反射する
ことができる。よって、シャーシ3側から車室内へ侵入
する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与える
ことを防止することができるのである。
な自動車用嵩上げ材を提供すること。 【解決手段】 嵩上げ材7によれば、嵩上げ材7の下面
側に配置されるクッション層9は、繊維間の隙間、即
ち、疎密な空間によって騒音を吸音できるので、シャー
シ3側から車室内へ侵入する騒音を低減することができ
る。一方、嵩上げ材7の上面側に配置される硬質層8
は、繊維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層を
有する繊維集積体により形成されている。よって、クッ
ション層9を透過した騒音を、緻密層によって反射する
ことができる。よって、シャーシ3側から車室内へ侵入
する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与える
ことを防止することができるのである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車用嵩上げ
材に関し、特に、車室内に侵入する騒音を低減すること
が可能な自動車用嵩上げ材に関するものである。
材に関し、特に、車室内に侵入する騒音を低減すること
が可能な自動車用嵩上げ材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 近年、自動車のボディーはその要求デ
ザインや要求性能から様々な形状のものが車種毎に設計
されているが、開発期間の短縮や開発費用の低減を目的
として、ボディー形状が異なる車種のプラットフォーム
(シャーシ)を共通化することが行われている。その
為、座席からフロア面までのフロアレベルは、ボディー
のデザイン等によって生じる座席位置の違いにより、車
種毎に差異が生じてしまう。フロアレベルが適切でない
と、乗員は座席に着座した際に快適な着座姿勢が得られ
ず、適切でないフロアレベルは長時間運転等の際の疲労
度に影響する。その為、フロアレベルを車種毎に調整す
ることが必要となる。かかる場合には、プラットフォー
ムと装飾用のカーペットとの間に嵩上げ材を敷設するこ
とによってフロア面を嵩上げし、フロアレベルの調整を
行っている。
ザインや要求性能から様々な形状のものが車種毎に設計
されているが、開発期間の短縮や開発費用の低減を目的
として、ボディー形状が異なる車種のプラットフォーム
(シャーシ)を共通化することが行われている。その
為、座席からフロア面までのフロアレベルは、ボディー
のデザイン等によって生じる座席位置の違いにより、車
種毎に差異が生じてしまう。フロアレベルが適切でない
と、乗員は座席に着座した際に快適な着座姿勢が得られ
ず、適切でないフロアレベルは長時間運転等の際の疲労
度に影響する。その為、フロアレベルを車種毎に調整す
ることが必要となる。かかる場合には、プラットフォー
ムと装飾用のカーペットとの間に嵩上げ材を敷設するこ
とによってフロア面を嵩上げし、フロアレベルの調整を
行っている。
【0003】ところで、従来の嵩上げ材は、ポリプロピ
レンによって発泡成形され、プラットフォーム側に設け
られるポリプロピレンビーズ(PPビーズ)と、天然、
化学、鉱物等の繊維成分を解繊し、フェノール樹脂等で
加熱圧縮成型するとともに、PPビーズのカーペット側
面に積層されるレジンフェルトとによって構成されてい
る。
レンによって発泡成形され、プラットフォーム側に設け
られるポリプロピレンビーズ(PPビーズ)と、天然、
化学、鉱物等の繊維成分を解繊し、フェノール樹脂等で
加熱圧縮成型するとともに、PPビーズのカーペット側
面に積層されるレジンフェルトとによって構成されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記
の嵩上げ材では、自動車の運転時におけるロードノイ
ズ、或いは、足回りから伝わる振動やエンジン振動等な
どに起因して発生する騒音がシャーシ側から車室内に侵
入することを低減することができず、乗員に不快感を与
えてしまうという問題点があった。
の嵩上げ材では、自動車の運転時におけるロードノイ
ズ、或いは、足回りから伝わる振動やエンジン振動等な
どに起因して発生する騒音がシャーシ側から車室内に侵
入することを低減することができず、乗員に不快感を与
えてしまうという問題点があった。
【0005】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、シャーシ側から車室内に騒音が
侵入することによって、乗員に不快感を与えることを防
止することができる自動車用嵩上げ材を提供することを
目的としている。
になされたものであり、シャーシ側から車室内に騒音が
侵入することによって、乗員に不快感を与えることを防
止することができる自動車用嵩上げ材を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するた
めに、請求項1記載の自動車用嵩上げ材は、自動車の車
体とフロアカーペット等の内装材との間に敷設され、そ
の内装材を嵩上げするために使用されるものであり、高
融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融
点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体を、前
記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することによ
り成形されるクッション層と、前記低融点繊維材料の前
記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に
比べて大きな第2綿状体、又は、前記低融点繊維を、前
記第1綿状体に積層して、その第1綿状体とともに前記
低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより
成形される硬質層とを備え、前記クッション層を前記車
体のシャーシ側に、前記硬質層を前記フロアカーペット
側にして配設される。
めに、請求項1記載の自動車用嵩上げ材は、自動車の車
体とフロアカーペット等の内装材との間に敷設され、そ
の内装材を嵩上げするために使用されるものであり、高
融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低融
点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体を、前
記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することによ
り成形されるクッション層と、前記低融点繊維材料の前
記高融点繊維材料に対する混合割合が前記第1綿状体に
比べて大きな第2綿状体、又は、前記低融点繊維を、前
記第1綿状体に積層して、その第1綿状体とともに前記
低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することにより
成形される硬質層とを備え、前記クッション層を前記車
体のシャーシ側に、前記硬質層を前記フロアカーペット
側にして配設される。
【0007】この請求項1記載の自動車用嵩上げ材によ
れば、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合
で混合された第1綿状体は、低融点繊維材料の融点以上
の温度で加熱されるので、低溶融点繊維材料の溶融によ
り、繊維材料が部分的に融着した繊維集積体となる。よ
って、繊維集積体は繊維材料が変形するための隙間を繊
維材料間に有し、この繊維集積体によってクッション層
が形成される。また、第1綿状体に比べ低融点繊維材料
の混合割合が大きい第2綿状体、又は、低融点繊維材料
は、低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱され、低融
点繊維材料の溶融により、繊維材料が部分的に融着した
繊維集積体となるが、その繊維集積体はクッション層に
比べ繊維材料間に形成される繊維材料が変形するための
隙間が少ない(即ち、繊維材料同士の融着部分が多
い)。よって、この繊維集積体によって、クッション層
よりも剛性が大きい硬質層が形成される。
れば、高融点繊維材料と低融点繊維材料とが所定の割合
で混合された第1綿状体は、低融点繊維材料の融点以上
の温度で加熱されるので、低溶融点繊維材料の溶融によ
り、繊維材料が部分的に融着した繊維集積体となる。よ
って、繊維集積体は繊維材料が変形するための隙間を繊
維材料間に有し、この繊維集積体によってクッション層
が形成される。また、第1綿状体に比べ低融点繊維材料
の混合割合が大きい第2綿状体、又は、低融点繊維材料
は、低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱され、低融
点繊維材料の溶融により、繊維材料が部分的に融着した
繊維集積体となるが、その繊維集積体はクッション層に
比べ繊維材料間に形成される繊維材料が変形するための
隙間が少ない(即ち、繊維材料同士の融着部分が多
い)。よって、この繊維集積体によって、クッション層
よりも剛性が大きい硬質層が形成される。
【0008】請求項2記載の自動車用嵩上げ材は、請求
項1記載の自動車用嵩上げ材において、前記第1綿状体
における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第1綿
状体の全重量に対する略20重量%以上略40重量%以
下であり、前記第2綿状体における前記低融点繊維材料
の混合割合は、その第2綿状体の全重量に対する略60
重量%以上略100%未満である。
項1記載の自動車用嵩上げ材において、前記第1綿状体
における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第1綿
状体の全重量に対する略20重量%以上略40重量%以
下であり、前記第2綿状体における前記低融点繊維材料
の混合割合は、その第2綿状体の全重量に対する略60
重量%以上略100%未満である。
【0009】請求項3記載の自動車用嵩上げ材は、請求
項1または2に記載の自動車用嵩上げ材において、前記
低融点繊維材料は、前記高融点繊維材料より融点が低い
熱可塑性重合体を少なくとも外表面に有するものであ
る。
項1または2に記載の自動車用嵩上げ材において、前記
低融点繊維材料は、前記高融点繊維材料より融点が低い
熱可塑性重合体を少なくとも外表面に有するものであ
る。
【0010】請求項3記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項1または2に記載の自動車用嵩上げ材と同様
に作用する上、加熱によって、低融点繊維材料の有する
熱可塑性重合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着
される。
ば、請求項1または2に記載の自動車用嵩上げ材と同様
に作用する上、加熱によって、低融点繊維材料の有する
熱可塑性重合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着
される。
【0011】請求項4記載の自動車用嵩上げ材は、請求
項3に記載の自動車用嵩上げ材において、前記低融点繊
維材料は、その断面中央に設けられる芯部と、その芯部
の外表面に周着される鞘部とを備え、その鞘部は前記芯
部に比べて融点または軟化点が低い熱可塑性重合体で形
成されている。
項3に記載の自動車用嵩上げ材において、前記低融点繊
維材料は、その断面中央に設けられる芯部と、その芯部
の外表面に周着される鞘部とを備え、その鞘部は前記芯
部に比べて融点または軟化点が低い熱可塑性重合体で形
成されている。
【0012】請求項4記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項3記載の自動車用嵩上げ材と同様に作用する
上、加熱によって、低融点繊維材料の有する熱可塑性重
合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着される。
ば、請求項3記載の自動車用嵩上げ材と同様に作用する
上、加熱によって、低融点繊維材料の有する熱可塑性重
合体が溶融し、繊維同士がその接触点で融着される。
【0013】請求項5記載の自動車用嵩上げ材は、請求
項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ材におい
て、前前記クッション層と前記シャーシとの間には、防
水性を有する防水フィルムが敷設されている。
項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ材におい
て、前前記クッション層と前記シャーシとの間には、防
水性を有する防水フィルムが敷設されている。
【0014】請求項5記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ
材と同様に作用する上、シャーシ表面に水等が結露した
場合には、防水フィルムによって、シャーシからクッシ
ョン層へ侵入する水等が遮断される。
ば、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ
材と同様に作用する上、シャーシ表面に水等が結露した
場合には、防水フィルムによって、シャーシからクッシ
ョン層へ侵入する水等が遮断される。
【0015】請求項6記載の自動車用嵩上げ材は、請求
項5記載の自動車用嵩上げ材において、前記防水フィル
ムは、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と、直鎖
低密度ポリエチレンで形成された第2層と、その第2層
と第1層との間に設けられその第1及び第2層を接着す
るエチレン系樹脂で形成された接着層とを備えている。
項5記載の自動車用嵩上げ材において、前記防水フィル
ムは、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と、直鎖
低密度ポリエチレンで形成された第2層と、その第2層
と第1層との間に設けられその第1及び第2層を接着す
るエチレン系樹脂で形成された接着層とを備えている。
【0016】請求項6記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項5記載の自動車用嵩上げ材と同様に作用する
上、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と直鎖低密
度ポリエチレンで形成された第2層とは、エチレン系樹
脂によって接着される。かかる接着により、防水シート
が形成される。
ば、請求項5記載の自動車用嵩上げ材と同様に作用する
上、ポリエステル系樹脂で形成された第1層と直鎖低密
度ポリエチレンで形成された第2層とは、エチレン系樹
脂によって接着される。かかる接着により、防水シート
が形成される。
【0017】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例
について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発
明の一実施例における嵩上げ材7を敷設した自動車1の
部分断面側面図である。図1に示すように、自動車は、
外観を形成するボディー2と、そのボディー2を支保す
るとともに自動車の骨格をなすシャーシ3とを備えてお
り、これらボディー2とシャーシ3とによって、乗員の
居住空間となる車室4が外部と区画されて形成されてい
る。
について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発
明の一実施例における嵩上げ材7を敷設した自動車1の
部分断面側面図である。図1に示すように、自動車は、
外観を形成するボディー2と、そのボディー2を支保す
るとともに自動車の骨格をなすシャーシ3とを備えてお
り、これらボディー2とシャーシ3とによって、乗員の
居住空間となる車室4が外部と区画されて形成されてい
る。
【0018】車室4内には乗員が着座するための座席5
が取着され、その座席5の下方であってシャーシ3と装
飾用のフロアーカーペット6との間には、嵩上げ材7が
敷設されている。この嵩上げ材7は、乗員が車室4内へ
乗車する際に、乗員の足下を支持するとともに、座席5
からフロア面までのフロアレベルを調節し、乗員が快適
な着座姿勢を得られるようにするためのものである。
が取着され、その座席5の下方であってシャーシ3と装
飾用のフロアーカーペット6との間には、嵩上げ材7が
敷設されている。この嵩上げ材7は、乗員が車室4内へ
乗車する際に、乗員の足下を支持するとともに、座席5
からフロア面までのフロアレベルを調節し、乗員が快適
な着座姿勢を得られるようにするためのものである。
【0019】嵩上げ材7の底面側(シャーシ3側)は、
自動車のシャーシ3の凹凸形状に沿った形状(図2参
照)に形成され、一方、嵩上げ材7の上面側(車室4
側)は、フラットな平面に形成されている。よって、嵩
上げ材7の上面側に装飾用のフロアカーペット6を敷設
することができるのである。
自動車のシャーシ3の凹凸形状に沿った形状(図2参
照)に形成され、一方、嵩上げ材7の上面側(車室4
側)は、フラットな平面に形成されている。よって、嵩
上げ材7の上面側に装飾用のフロアカーペット6を敷設
することができるのである。
【0020】図2は、図1のII−II線における部分
断面図である。図2に示すように、嵩上げ材7は、後述
する繊維集積体によって構成される硬質層8とクッショ
ン層9、および、防水性を有する防水フィルム10とか
ら層状に形成されている。嵩上げ材7の上面側(フロア
カーペット6側)には、所定厚の硬質層8が配置され、
その硬質層8の下方(シャーシ3側)には、シャーシ3
の凹凸形状に沿った形状に形成されるクッション層9が
積層されている。更に、嵩上げ材7の下面側(シャーシ
3側)には、防水フィルム10がクッション層9に積層
されている。
断面図である。図2に示すように、嵩上げ材7は、後述
する繊維集積体によって構成される硬質層8とクッショ
ン層9、および、防水性を有する防水フィルム10とか
ら層状に形成されている。嵩上げ材7の上面側(フロア
カーペット6側)には、所定厚の硬質層8が配置され、
その硬質層8の下方(シャーシ3側)には、シャーシ3
の凹凸形状に沿った形状に形成されるクッション層9が
積層されている。更に、嵩上げ材7の下面側(シャーシ
3側)には、防水フィルム10がクッション層9に積層
されている。
【0021】硬質層8およびクッション層9の原料とし
ては、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリアミ
ド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニールアル
コール等の合成繊維綿が使用される。本実施例の嵩上げ
材7では、耐熱性が高く、品質が安定しており、しかも
入手が容易なポリエステル繊維を原料としている。しか
し、ポリエステル繊維に代えて、他の合成繊維綿を嵩上
げ材7の原料として使用しても良い。また、2種以上の
合成繊維綿を混合して、嵩上げ材7の原料としても良
い。
ては、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、ポリアミ
ド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニールアル
コール等の合成繊維綿が使用される。本実施例の嵩上げ
材7では、耐熱性が高く、品質が安定しており、しかも
入手が容易なポリエステル繊維を原料としている。しか
し、ポリエステル繊維に代えて、他の合成繊維綿を嵩上
げ材7の原料として使用しても良い。また、2種以上の
合成繊維綿を混合して、嵩上げ材7の原料としても良
い。
【0022】硬質層8とクッション層9とを構成する繊
維集積体は、高融点のポリエステル繊維(以下「高融点
繊維」と称す)と低融点のポリエステル繊維(以下「低
融点繊維」と称す)とを所定割合で混合し加熱すること
により形成される。ここで、高融点、低融点とは、融点
が一般的なポリエステル材料よりも絶対的に高い、ある
いは、低いことをいうのではなく、高融点繊維と低融点
繊維との相対的な融点の差をいう。低融点繊維の融点
は、高融点繊維の融点よりも少なくとも20°C以上低
いことが好ましく、30°C以上低いことがより好まし
い。この融点の温度差が小さくなると、後述する熱処理
により繊維集積体を形成するに際して、繊維集積体全体
が軟化し繊維集積体としての形状を維持することができ
ない危険が増大するからである。
維集積体は、高融点のポリエステル繊維(以下「高融点
繊維」と称す)と低融点のポリエステル繊維(以下「低
融点繊維」と称す)とを所定割合で混合し加熱すること
により形成される。ここで、高融点、低融点とは、融点
が一般的なポリエステル材料よりも絶対的に高い、ある
いは、低いことをいうのではなく、高融点繊維と低融点
繊維との相対的な融点の差をいう。低融点繊維の融点
は、高融点繊維の融点よりも少なくとも20°C以上低
いことが好ましく、30°C以上低いことがより好まし
い。この融点の温度差が小さくなると、後述する熱処理
により繊維集積体を形成するに際して、繊維集積体全体
が軟化し繊維集積体としての形状を維持することができ
ない危険が増大するからである。
【0023】詳細には、高融点繊維はトウ(藤)状のポ
リエステル繊維(繊維太さ0.75〜65デニール、繊
維長35〜80mm)であり、低融点繊維は芯鞘型でト
ウ状のポリエステル複合繊維(繊維太さ1.5〜6デニ
ール、繊維長10〜55mm)である。芯鞘型構造繊維
は、一般的に用いられており、流通性、コストパフォー
マンスの面において優れるている。なお、ポリエステル
複合繊維(低融点繊維材料)の鞘は、重縮合時にイソフ
タール酸を混合してパイプインパイプ等で製造した低融
点共重合ポリエステルである。よって、110〜220
°Cで熱処理することにより、かかる鞘部分が溶融し
て、各繊維をその接触点で融着(接着)するのである。
このため、ポリエステル複合繊維の混合の割合を多くす
ることにより、融着の度合いを高めることができ、剛性
の高い繊維集積体を得ることができるのである。物によ
っては、ポリエステル複合繊維の混合割合を100重量
%として、ポリエステル複合繊維のみで繊維集積体を形
成することもできる。一方、ポリエステル複合繊維の混
合の割合を少なくすることにより、融着の度合いを減少
させることができ、クッション性の高い繊維集積体を得
ることができる。このように、ポリエステル複合繊維を
使用することにより、その混合割合を調整して、繊維集
積体の剛性とクッション性とを調整することができるの
である。
リエステル繊維(繊維太さ0.75〜65デニール、繊
維長35〜80mm)であり、低融点繊維は芯鞘型でト
ウ状のポリエステル複合繊維(繊維太さ1.5〜6デニ
ール、繊維長10〜55mm)である。芯鞘型構造繊維
は、一般的に用いられており、流通性、コストパフォー
マンスの面において優れるている。なお、ポリエステル
複合繊維(低融点繊維材料)の鞘は、重縮合時にイソフ
タール酸を混合してパイプインパイプ等で製造した低融
点共重合ポリエステルである。よって、110〜220
°Cで熱処理することにより、かかる鞘部分が溶融し
て、各繊維をその接触点で融着(接着)するのである。
このため、ポリエステル複合繊維の混合の割合を多くす
ることにより、融着の度合いを高めることができ、剛性
の高い繊維集積体を得ることができるのである。物によ
っては、ポリエステル複合繊維の混合割合を100重量
%として、ポリエステル複合繊維のみで繊維集積体を形
成することもできる。一方、ポリエステル複合繊維の混
合の割合を少なくすることにより、融着の度合いを減少
させることができ、クッション性の高い繊維集積体を得
ることができる。このように、ポリエステル複合繊維を
使用することにより、その混合割合を調整して、繊維集
積体の剛性とクッション性とを調整することができるの
である。
【0024】硬質層8は、嵩上げ材7の上面側(フロア
カーペット6側)に配置され、嵩上げ材7の剛性を発揮
するためのものである。硬質層8は、高融点繊維に低融
点繊維を全重量の60〜100重量%の割合で混合し加
熱することにより形成される繊維集積体からなる。この
繊維集積体は、低融点繊維が全重量の60重量%以上含
有されているので、繊維同士の融着の度合いが十分確保
されている。そのため、この繊維集積体は、外力を受け
た際に繊維集積体の繊維を変形させるための繊維間の隙
間が少ないので十分な剛性が得られ、硬質層8に、嵩上
げ材としての機械的強度が付与されるのである。なお、
硬質層8に配合される高融点繊維と低融点繊維とには、
ともに極力細い繊維を用いることが好ましい。細い繊維
を用いることにより、繊維集積体中の繊維本数が増加す
るとともに融着部分(接合点)が増加することにより、
繊維集積体は緻密層となり、繊維集積体の剛性を向上さ
せることができるからである。
カーペット6側)に配置され、嵩上げ材7の剛性を発揮
するためのものである。硬質層8は、高融点繊維に低融
点繊維を全重量の60〜100重量%の割合で混合し加
熱することにより形成される繊維集積体からなる。この
繊維集積体は、低融点繊維が全重量の60重量%以上含
有されているので、繊維同士の融着の度合いが十分確保
されている。そのため、この繊維集積体は、外力を受け
た際に繊維集積体の繊維を変形させるための繊維間の隙
間が少ないので十分な剛性が得られ、硬質層8に、嵩上
げ材としての機械的強度が付与されるのである。なお、
硬質層8に配合される高融点繊維と低融点繊維とには、
ともに極力細い繊維を用いることが好ましい。細い繊維
を用いることにより、繊維集積体中の繊維本数が増加す
るとともに融着部分(接合点)が増加することにより、
繊維集積体は緻密層となり、繊維集積体の剛性を向上さ
せることができるからである。
【0025】また、このような高い剛性を有する硬質層
8を嵩上げ材7の上面側(フロアカーペット6側)に配
置することにより、乗員が車室4内へ乗車する際に、乗
員が足下に感じるシャーシ3の凹凸間を除去することが
できると共に、嵩上げ材7の沈み込みによる乗車の際の
踏み心地の悪化を防止することができるのである。
8を嵩上げ材7の上面側(フロアカーペット6側)に配
置することにより、乗員が車室4内へ乗車する際に、乗
員が足下に感じるシャーシ3の凹凸間を除去することが
できると共に、嵩上げ材7の沈み込みによる乗車の際の
踏み心地の悪化を防止することができるのである。
【0026】更に、硬質層8は、上述したように、繊維
同士の融着の度合いが十分確保された緻密層を有する繊
維集積体により形成されている。よって、騒音が後述す
るクッション層に十分吸音されず透過した場合にも、こ
の緻密層によって騒音を反射することができるので、シ
ャーシ3側から車室4内へ侵入する騒音を低減すること
ができ、乗員に不快感を与えることを防止することがで
きるのである。
同士の融着の度合いが十分確保された緻密層を有する繊
維集積体により形成されている。よって、騒音が後述す
るクッション層に十分吸音されず透過した場合にも、こ
の緻密層によって騒音を反射することができるので、シ
ャーシ3側から車室4内へ侵入する騒音を低減すること
ができ、乗員に不快感を与えることを防止することがで
きるのである。
【0027】クッション層9は、シャーシ3の凹凸形状
に沿った形状に形成されて嵩上げ材7の下面側(シャー
シ3側)に配置されており、外力を吸収するクッション
性を有している。クッション層9は、高融点繊維に低融
点繊維を全重量の20〜40重量%の割合で混合し加熱
することにより形成される繊維集積体からなる。繊維集
積体中において低融点繊維は、繊維集積体を構成する繊
維を結合させるバインダーとして働く。この低融点繊維
の含有量が全重量の20%未満の場合にはバインダーと
しての効果が弱くなってしまうが、本実施例におけるク
ッション層9には、低融点繊維が全重量の20重量%以
上含有されているのでバインダーとしての効果が十分発
揮され、良好な繊維集積体の保形成を得ることができる
のである。
に沿った形状に形成されて嵩上げ材7の下面側(シャー
シ3側)に配置されており、外力を吸収するクッション
性を有している。クッション層9は、高融点繊維に低融
点繊維を全重量の20〜40重量%の割合で混合し加熱
することにより形成される繊維集積体からなる。繊維集
積体中において低融点繊維は、繊維集積体を構成する繊
維を結合させるバインダーとして働く。この低融点繊維
の含有量が全重量の20%未満の場合にはバインダーと
しての効果が弱くなってしまうが、本実施例におけるク
ッション層9には、低融点繊維が全重量の20重量%以
上含有されているのでバインダーとしての効果が十分発
揮され、良好な繊維集積体の保形成を得ることができる
のである。
【0028】更に、この繊維集積体は、低融点繊維の含
有割合が全重量の40重量%未満であるので、繊維同士
の融着部分が過多となることがない。よって、繊維材料
間に適切な隙間を確保できるので、クッション層9は、
十分なクッション性を得ることができるのである。
有割合が全重量の40重量%未満であるので、繊維同士
の融着部分が過多となることがない。よって、繊維材料
間に適切な隙間を確保できるので、クッション層9は、
十分なクッション性を得ることができるのである。
【0029】また、このようなクッション性を有するク
ッション層9を嵩上げ材7の下面側(シャーシ3側)に
配置することによって、運転時やアイドリング時のエン
ジン振動等によって発生するシャーシ3の振動を、嵩上
げ材7のクッション層9により吸収することができるの
で、乗員が足下に不快な振動を感じることを防止するこ
とができる。さらに、クッション層9は、クッション層
9に形成された繊維間の隙間、即ち、疎密な空間によっ
て騒音を吸音できるので、シャーシ3側から車室4内へ
侵入する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与
えることを防止することができるのである。
ッション層9を嵩上げ材7の下面側(シャーシ3側)に
配置することによって、運転時やアイドリング時のエン
ジン振動等によって発生するシャーシ3の振動を、嵩上
げ材7のクッション層9により吸収することができるの
で、乗員が足下に不快な振動を感じることを防止するこ
とができる。さらに、クッション層9は、クッション層
9に形成された繊維間の隙間、即ち、疎密な空間によっ
て騒音を吸音できるので、シャーシ3側から車室4内へ
侵入する騒音を低減することができ、乗員に不快感を与
えることを防止することができるのである。
【0030】防水フィルム10は、車室4内へ侵入する
水等を遮断するためのものである。この防水フィルム1
0は、ポリエステル系樹脂で形成されクッション層9側
に積層されるフィルム層と、直鎖低密度ポリエチレンで
形成されシャーシ3側に積層されるフィルム層と、これ
らフィルム層の間に挟着されこれらフィルム層を接着す
るエチレン系樹脂とから構成されている。なお、防水フ
ィルム10におけるクッション層9側にポリエステル系
樹脂で形成されるフィルム層を積層するのは、後述する
ように、嵩上げ材7を製造する際にクッション層9に含
有される低融点繊維の鞘を加熱溶融させて、防水フィル
ム10とクッション層9とを互いに接着(融着)するた
めである。
水等を遮断するためのものである。この防水フィルム1
0は、ポリエステル系樹脂で形成されクッション層9側
に積層されるフィルム層と、直鎖低密度ポリエチレンで
形成されシャーシ3側に積層されるフィルム層と、これ
らフィルム層の間に挟着されこれらフィルム層を接着す
るエチレン系樹脂とから構成されている。なお、防水フ
ィルム10におけるクッション層9側にポリエステル系
樹脂で形成されるフィルム層を積層するのは、後述する
ように、嵩上げ材7を製造する際にクッション層9に含
有される低融点繊維の鞘を加熱溶融させて、防水フィル
ム10とクッション層9とを互いに接着(融着)するた
めである。
【0031】防水フィルム10におけるシャーシ3側に
積層される直鎖低密度ポリエチレンは、対油性、耐熱・
耐寒性に優れる。よって、潤滑油や駆動グリス等が多く
使用され、さらに真夏の渋滞時から真冬の降雪時まで広
い温度範囲が想定される環境下にある自動車において
も、常に安定した物性を維持することができるのであ
る。
積層される直鎖低密度ポリエチレンは、対油性、耐熱・
耐寒性に優れる。よって、潤滑油や駆動グリス等が多く
使用され、さらに真夏の渋滞時から真冬の降雪時まで広
い温度範囲が想定される環境下にある自動車において
も、常に安定した物性を維持することができるのであ
る。
【0032】また、このように構成された防水フィルム
10を、嵩上げ材7のクッション層9とシャーシ3との
間に配置することにより、シャーシ3側から車室4内へ
侵入する水等を遮断することができる。冬場など寒い季
節に車室4内が暖房装置等で暖められた場合、車室4を
外部と区画するシャーシ3の車室4側(図2の上側)表
面には、車室4内中の水蒸気が凝結して水滴となり付着
される。シャーシ3表面に水滴が付着すると、その水滴
は嵩上げ材7を構成する繊維集積体の繊維間に吸引され
残留してしまい、車室4内が不衛生となる。よって、防
水フィルム10によって水等の侵入を遮断することによ
り車室4内を清潔に保つことができるのである。
10を、嵩上げ材7のクッション層9とシャーシ3との
間に配置することにより、シャーシ3側から車室4内へ
侵入する水等を遮断することができる。冬場など寒い季
節に車室4内が暖房装置等で暖められた場合、車室4を
外部と区画するシャーシ3の車室4側(図2の上側)表
面には、車室4内中の水蒸気が凝結して水滴となり付着
される。シャーシ3表面に水滴が付着すると、その水滴
は嵩上げ材7を構成する繊維集積体の繊維間に吸引され
残留してしまい、車室4内が不衛生となる。よって、防
水フィルム10によって水等の侵入を遮断することによ
り車室4内を清潔に保つことができるのである。
【0033】次に、上述のように構成される嵩上げ材7
の製造方法について説明する。高融点繊維と低融点繊維
とを上述した割合にて混合し、これら混合した繊維を押
圧することにより所定厚さを有するシート形状のクッシ
ョン層用ウェブ(第1綿状体)および硬質層用ウェブ
(第2綿状体)がそれぞれ形成される。防水フィルム1
0が予め予備加熱された成形型内へセットされ、更に、
クッション層用ウェブおよび硬質層用ウェブが成形型内
へ順に積層される。
の製造方法について説明する。高融点繊維と低融点繊維
とを上述した割合にて混合し、これら混合した繊維を押
圧することにより所定厚さを有するシート形状のクッシ
ョン層用ウェブ(第1綿状体)および硬質層用ウェブ
(第2綿状体)がそれぞれ形成される。防水フィルム1
0が予め予備加熱された成形型内へセットされ、更に、
クッション層用ウェブおよび硬質層用ウェブが成形型内
へ順に積層される。
【0034】これら各材料がセットされた成形型は、熱
処理工程に送られ、その成形型内へ熱風又はスチームを
送り込むことにより110〜220°Cの雰囲気温度で
2〜3分程度加熱される。この熱処理により、クッショ
ン層用ウェブおよび硬質層用ウェブに含まれる低融点繊
維の鞘が溶融し、繊維同士が互いに融着される。この融
着により、硬質層8およびクッション層9が形成される
とともに、硬質層8とクッション層9とが、更に、クッ
ション層9と防水フィルム10とが互いに融着される。
処理工程に送られ、その成形型内へ熱風又はスチームを
送り込むことにより110〜220°Cの雰囲気温度で
2〜3分程度加熱される。この熱処理により、クッショ
ン層用ウェブおよび硬質層用ウェブに含まれる低融点繊
維の鞘が溶融し、繊維同士が互いに融着される。この融
着により、硬質層8およびクッション層9が形成される
とともに、硬質層8とクッション層9とが、更に、クッ
ション層9と防水フィルム10とが互いに融着される。
【0035】成形型は、その後、冷却処理工程に送られ
る。冷却処理工程では、成形型内に冷却用エアが送り込
まれ、冷却される。この冷却により溶融した繊維は固め
られ、嵩上げ材7が製造されるのである。
る。冷却処理工程では、成形型内に冷却用エアが送り込
まれ、冷却される。この冷却により溶融した繊維は固め
られ、嵩上げ材7が製造されるのである。
【0036】上記のように製造された嵩上げ材7は、繊
維同士がその接触点で互いに融着した繊維集積体によ
り、所定の機械的強度(剛性)およびクッション性を備
えるのである。また、使用後の嵩上げ材7は、解繊する
ことにより、再度、繊維集積体を形成する繊維材料とし
て再使用することができるのである。
維同士がその接触点で互いに融着した繊維集積体によ
り、所定の機械的強度(剛性)およびクッション性を備
えるのである。また、使用後の嵩上げ材7は、解繊する
ことにより、再度、繊維集積体を形成する繊維材料とし
て再使用することができるのである。
【0037】以上、実施例に基づき本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形
が可能であることは容易に推察できるものである。
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形
が可能であることは容易に推察できるものである。
【0038】例えば、本実施例の嵩上げ材7は、シャー
シ3側面に防水フィルム10が積層される構成とした
が、防水フィルム10による積層を省略した構成として
も良い。これにより嵩上げ材7の製造コストを防水フィ
ルム1枚分、低減することができる。また、低融点繊維
は、その鞘部分が低融点共重合ポリエステルである芯鞘
構造繊維として説明したが、低融点共重合ポリエステル
が高融点繊維の少なくとも外表面に配置されたものであ
れば、海島型、菊花型、接合型などの複合繊維とするこ
とは、当然に可能である。
シ3側面に防水フィルム10が積層される構成とした
が、防水フィルム10による積層を省略した構成として
も良い。これにより嵩上げ材7の製造コストを防水フィ
ルム1枚分、低減することができる。また、低融点繊維
は、その鞘部分が低融点共重合ポリエステルである芯鞘
構造繊維として説明したが、低融点共重合ポリエステル
が高融点繊維の少なくとも外表面に配置されたものであ
れば、海島型、菊花型、接合型などの複合繊維とするこ
とは、当然に可能である。
【0039】
【発明の効果】 請求項1記載の自動車用嵩上げ材によ
れば、車体のシャーシ側に配設されるクッション層は、
繊維材料が部分的に融着された繊維集積体によって形成
されている。この繊維集積体には、繊維材料間に十分な
隙間が形成されている。即ち、クッション層に形成され
た疎密な空間によって、クッション層は騒音を吸音する
ことができる。よって、シャーシ側から車室内へ侵入す
る騒音を低減することができるという効果がある。
れば、車体のシャーシ側に配設されるクッション層は、
繊維材料が部分的に融着された繊維集積体によって形成
されている。この繊維集積体には、繊維材料間に十分な
隙間が形成されている。即ち、クッション層に形成され
た疎密な空間によって、クッション層は騒音を吸音する
ことができる。よって、シャーシ側から車室内へ侵入す
る騒音を低減することができるという効果がある。
【0040】また、フロアカーペット側に積層される硬
質層は、繊維材料間の隙間が少なく(繊維材料同士の融
着部分が多く)形成されているので、高い剛性を有して
いる。よって、乗車の際に乗員が感じるシャーシの凹凸
感を除去することができ、さらに、嵩上げ材の沈み込み
による乗車の際の踏み心地の悪化を防止することができ
るという効果がある。
質層は、繊維材料間の隙間が少なく(繊維材料同士の融
着部分が多く)形成されているので、高い剛性を有して
いる。よって、乗車の際に乗員が感じるシャーシの凹凸
感を除去することができ、さらに、嵩上げ材の沈み込み
による乗車の際の踏み心地の悪化を防止することができ
るという効果がある。
【0041】更に、硬質層を形成する繊維集積体は、繊
維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層により形
成されている。即ち、硬質層に形成された緻密層によっ
て、硬質層は騒音を反射することができる。よって、シ
ャーシ側から車室内へ侵入する騒音を低減することがで
きるという効果がある。
維同士の融着の度合いが十分確保された緻密層により形
成されている。即ち、硬質層に形成された緻密層によっ
て、硬質層は騒音を反射することができる。よって、シ
ャーシ側から車室内へ侵入する騒音を低減することがで
きるという効果がある。
【0042】請求項2記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項1記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、第1綿状体には、低融点繊維材料が略20重量%以
上含有されているので、繊維集積体を構成する繊維材料
を結合するためのバインダーとしての効果が向上し、良
好な繊維集積体の保形性を得ることができるという効果
がある。更に、低融点繊維材料の含有量が略40重量%
未満であるので、繊維材料同士の融着部分が過多となる
ことなく、繊維材料間に適切な隙間を確保できるので、
十分なクッション性を得ることができるという効果があ
る。
ば、請求項1記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、第1綿状体には、低融点繊維材料が略20重量%以
上含有されているので、繊維集積体を構成する繊維材料
を結合するためのバインダーとしての効果が向上し、良
好な繊維集積体の保形性を得ることができるという効果
がある。更に、低融点繊維材料の含有量が略40重量%
未満であるので、繊維材料同士の融着部分が過多となる
ことなく、繊維材料間に適切な隙間を確保できるので、
十分なクッション性を得ることができるという効果があ
る。
【0043】一方、第2綿状体には、低融点繊維材料が
略60重量%以上含有されているので、繊維材料同士の
融着部分が多くなることにより、繊維材料間の隙間が減
少するので、十分な剛性を得ることができる。よって、
嵩上げ材としての機械的強度を付与することができると
いう効果がある。
略60重量%以上含有されているので、繊維材料同士の
融着部分が多くなることにより、繊維材料間の隙間が減
少するので、十分な剛性を得ることができる。よって、
嵩上げ材としての機械的強度を付与することができると
いう効果がある。
【0044】請求項3記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項1または2に記載の自動車用嵩上げ材の奏す
る効果に加え、低融点繊維材料だけが溶融する温度に加
熱することによって、高融点繊維材料と低融点繊維材料
とをその接触点で融着することができる。よって、高融
点繊維材料と低融点繊維材料との混合割合を調整するこ
とにより、繊維集積体のクッション性と剛性とを調整す
ることができるという効果がある。
ば、請求項1または2に記載の自動車用嵩上げ材の奏す
る効果に加え、低融点繊維材料だけが溶融する温度に加
熱することによって、高融点繊維材料と低融点繊維材料
とをその接触点で融着することができる。よって、高融
点繊維材料と低融点繊維材料との混合割合を調整するこ
とにより、繊維集積体のクッション性と剛性とを調整す
ることができるという効果がある。
【0045】請求項4記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項3記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、一般的に使用されている芯鞘構造繊維を使用するこ
とができる。よって、嵩上げ材を製造するにおいて、流
通性、コストパフォーマンスに優れるという効果があ
る。
ば、請求項3記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、一般的に使用されている芯鞘構造繊維を使用するこ
とができる。よって、嵩上げ材を製造するにおいて、流
通性、コストパフォーマンスに優れるという効果があ
る。
【0046】請求項5記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ
材の奏する効果に加え、クッション層とシャーシとの間
に敷設される防水性を有する防水フィルムによって、シ
ャーシ表面に結露した水等がクッション層に吸引される
ことを防止できる。よって、車室内を清潔に保つことが
できるという効果がある。
ば、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用嵩上げ
材の奏する効果に加え、クッション層とシャーシとの間
に敷設される防水性を有する防水フィルムによって、シ
ャーシ表面に結露した水等がクッション層に吸引される
ことを防止できる。よって、車室内を清潔に保つことが
できるという効果がある。
【0047】請求項6記載の自動車用嵩上げ材によれ
ば、請求項5記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、防水フィルムの第2層を形成する直鎖低密度ポリエ
チレンは、対油性、耐熱・耐寒性に優れる。よって、潤
滑油や駆動グリス等が多く使用され、さらに真夏の渋滞
時から真冬の降雪時まで広い温度範囲が想定される環境
下にある自動車においても、常に安定した防水性を維持
でき、車室内を清潔に保つことができるという効果があ
る。
ば、請求項5記載の自動車用嵩上げ材の奏する効果に加
え、防水フィルムの第2層を形成する直鎖低密度ポリエ
チレンは、対油性、耐熱・耐寒性に優れる。よって、潤
滑油や駆動グリス等が多く使用され、さらに真夏の渋滞
時から真冬の降雪時まで広い温度範囲が想定される環境
下にある自動車においても、常に安定した防水性を維持
でき、車室内を清潔に保つことができるという効果があ
る。
【図1】 本発明の一実施例における嵩上げ材を敷設し
た自動車の部分断面側面図である。
た自動車の部分断面側面図である。
【図2】 図1のII−II線における部分断面図であ
る。
る。
1 自動車 3 シャーシ 6 フロアカーペット(内装材) 7 嵩上げ材 8 硬質層 9 クッション層 10 防水フィルム
フロントページの続き (72)発明者 畑野 隆司 豊橋市大脇町字大脇ノ谷74−325 立岩化 成有限会社内 Fターム(参考) 3B088 FB03 FB04 FB05
Claims (6)
- 【請求項1】 自動車の車体とフロアカーペット等の内
装材との間に敷設され、その内装材を嵩上げするために
使用される自動車用嵩上げ材において、 高融点繊維材料とその高融点繊維材料より融点が低い低
融点繊維材料とを所定の割合で混合した第1綿状体を、
前記低融点繊維材料の融点以上の温度で加熱することに
より成形されるクッション層と、 前記低融点繊維材料の前記高融点繊維材料に対する混合
割合が前記第1綿状体に比べて大きな第2綿状体、又
は、前記低融点繊維を、前記第1綿状体に積層して、そ
の第1綿状体とともに前記低融点繊維材料の融点以上の
温度で加熱することにより成形される硬質層とを備えて
おり、 前記クッション層を前記車体のシャーシ側に、前記硬質
層を前記フロアカーペット側にして配設されることを特
徴とする自動車用嵩上げ材。 - 【請求項2】 前記第1綿状体における前記低融点繊維
材料の混合割合は、その第1綿状体の全重量に対する略
20重量%以上略40重量%以下であり、前記第2綿状
体における前記低融点繊維材料の混合割合は、その第2
綿状体の全重量に対する略60重量%以上略100%未
満であることを特徴とする請求項1記載の自動車用嵩上
げ材。 - 【請求項3】 前記低融点繊維材料は、前記高融点繊維
材料より融点が低い熱可塑性重合体を少なくとも外表面
に有するものであることを特徴とする請求項1または2
に記載の自動車用嵩上げ材。 - 【請求項4】 前記低融点繊維材料は、その断面中央に
設けられる芯部と、その芯部の外表面に周着される鞘部
とを備え、その鞘部は前記芯部に比べて融点または軟化
点が低い熱可塑性重合体で形成されていることを特徴と
する請求項3に記載の自動車用嵩上げ材。 - 【請求項5】 前記クッション層と前記シャーシとの間
には、防水性を有する防水フィルムが敷設されているこ
とを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動
車用嵩上げ材。 - 【請求項6】 前記防水フィルムは、ポリエステル系樹
脂で形成された第1層と、直鎖低密度ポリエチレンで形
成された第2層と、その第2層と第1層との間に設けら
れその第1及び第2層を接着するエチレン系樹脂で形成
された接着層とを備えていることを特徴とする請求項5
載の自動車用嵩上げ材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000281624A JP2002087138A (ja) | 2000-09-18 | 2000-09-18 | 自動車用嵩上げ材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000281624A JP2002087138A (ja) | 2000-09-18 | 2000-09-18 | 自動車用嵩上げ材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002087138A true JP2002087138A (ja) | 2002-03-26 |
Family
ID=18766247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000281624A Pending JP2002087138A (ja) | 2000-09-18 | 2000-09-18 | 自動車用嵩上げ材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002087138A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10157506A (ja) * | 1996-11-29 | 1998-06-16 | Sugihara Hosei Kogyo Kk | 内装材及びその製造方法 |
JPH10166489A (ja) * | 1996-12-16 | 1998-06-23 | Nitto Denko Corp | 透湿防水シート |
JPH10203268A (ja) * | 1997-01-27 | 1998-08-04 | Nissan Motor Co Ltd | 遮音構造体 |
JPH10236204A (ja) * | 1997-03-03 | 1998-09-08 | Nissan Motor Co Ltd | 自動車用フロアインシュレータおよびその製造方法 |
JPH11206546A (ja) * | 1998-01-26 | 1999-08-03 | Kanebo Synthetic Fibers Ltd | カーペット基材 |
JP2000202933A (ja) * | 1999-01-18 | 2000-07-25 | Nissan Motor Co Ltd | 遮音材 |
-
2000
- 2000-09-18 JP JP2000281624A patent/JP2002087138A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10157506A (ja) * | 1996-11-29 | 1998-06-16 | Sugihara Hosei Kogyo Kk | 内装材及びその製造方法 |
JPH10166489A (ja) * | 1996-12-16 | 1998-06-23 | Nitto Denko Corp | 透湿防水シート |
JPH10203268A (ja) * | 1997-01-27 | 1998-08-04 | Nissan Motor Co Ltd | 遮音構造体 |
JPH10236204A (ja) * | 1997-03-03 | 1998-09-08 | Nissan Motor Co Ltd | 自動車用フロアインシュレータおよびその製造方法 |
JPH11206546A (ja) * | 1998-01-26 | 1999-08-03 | Kanebo Synthetic Fibers Ltd | カーペット基材 |
JP2000202933A (ja) * | 1999-01-18 | 2000-07-25 | Nissan Motor Co Ltd | 遮音材 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6426707B2 (ja) | 自動車用サイレンサー | |
JP7175690B2 (ja) | 車両用アンダーカバー | |
US20030124940A1 (en) | Tunable or adjustable liner for selectively absorbing sound energy and related methods | |
US10040489B2 (en) | Alternative exterior trim part | |
KR20160149215A (ko) | 외부 트림부 | |
EP1473706B1 (en) | Floor laying material, piece mat, and arranging structure thereof | |
JP6859069B2 (ja) | 車両用アンダーカバーの製造方法 | |
KR20210025379A (ko) | 자동차 펜더라이너용 복합소재 및 이를 이용한 펜더라이너의 제조방법 | |
JP4813667B2 (ja) | 内装カーペット及び内装カーペットの製造方法 | |
JP2002087138A (ja) | 自動車用嵩上げ材 | |
JP4623541B2 (ja) | 車両用吸音材 | |
JP4167505B2 (ja) | 多密度構成のフェルト吸音材 | |
JP2007038854A (ja) | 自動車用内装材およびその製造方法 | |
JP2974920B2 (ja) | 自動車フロア用サイレンサーパッド | |
KR100361262B1 (ko) | 자동차 엔진후드용 패드 | |
JP3188598B2 (ja) | 遮音構造体及びその製造方法 | |
JP7135201B2 (ja) | 自動車用サイレンサー | |
JPH07303769A (ja) | 自動車用クッション体 | |
JPH1191019A (ja) | 繊維成形体 | |
JP4963169B2 (ja) | ホットメルト接着シート、車両用内装品及び車両用内装品の製造方法 | |
KR101968652B1 (ko) | 흡음성능 개선을 위한 니들 펀칭 결속 차량용 언더커버와 그 제조방법 | |
JP4180979B2 (ja) | 自動車用内装材の製造方法 | |
JP2023096471A (ja) | 車両用アンダーカバー、及び、その製造方法 | |
TWI331101B (ja) | ||
JP2005145356A (ja) | 自動車用フロア敷設体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070426 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090827 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100629 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20101207 |