JP4180979B2 - 自動車用内装材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機繊維を用いた不織布、該不織布が内装材本体に重ねられた内装材(例えば、車両用又は建築用)及びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車等の車両用の内装材で特に天井材は、断熱性、制振性、防音性、成形性、軽量性等が重要視され、成形された天井材においては、従来、レジンフェルトやダンボールにフェノール樹脂を含浸させたものが用いられていたが、これらは、剛性はあるものの、目付量が大きいという欠点があった。
そこで現在では、ポリウレタンフォームの表面に、補強材としてガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維よりなる不織布を貼り付け一体化させた内装材が知られている。しかし、ガラス繊維やカーボン繊維等の無機繊維は高価であるため、その混率量が直接コストに反映されコスト高になるという問題があった。
【0003】
他には、無機繊維と、ポリオレフィン系のポリプロピレン又はポリエチレン樹脂等よりなる繊維とを混繊したマットの表面に、樹脂シート又は無機繊維と熱可塑性有機繊維とからなる不織布を熱をかけて融着して一体化させたりした内装材が知られている。特許文献としては、例えば、主として無機繊維のマットに熱可塑性有機樹脂フィルムを積層し融着した内装材(特許文献1参照)、無機繊維と熱可塑性樹脂繊維とからなるマットの表面に無機繊維と熱可塑性樹脂とからなる層を融着した内装材(特許文献2参照)、無機繊維のような強化繊維と熱可塑性有機繊維の混合繊維マットを加熱加圧し熱可塑性有機繊維を溶融した繊維強化熱可塑性のシート(特許文献3参照)を用いた内装材、無機繊維と熱可塑性有機繊維との混合比が異なるマット状物を重ねて熱可塑性有機繊維の溶融点以上に加圧加熱することで一体化させた積層体(特許文献4参照)が知られている。
これらの混合繊維マットは、マット製造の際の加熱圧着時に熱可塑性有機繊維を溶融させて無機繊維同士を融着しているため、例えば、目付量が約150g/m未満の軽くて薄いマットを製造する場合、加熱圧着時に型付きが発生した際、搬送方向へ引張抜いたりすると、破れやすく強度が弱くなる。そのため、連続した成形体を得ることが困難であったので、途中で継いだ状態の不均質の成形体となる。そこで、引張抜きに対しても強度が十分備わり、連続した成形体として均質な不織布を製造するには、目付量が150g/m以上になるような厚さが必要であったが、そのように目付量の高いマットは、高価な無機繊維を多量に必要とするためコスト高になってしまうという問題があった。
【0004】
内装材に限らず広く不織布の製造方法を見ると、加熱により繊維同士を接着しない方法として、湿式抄紙法が知られている。しかし、この湿式抄紙法は、繊維長が25mm以下の短繊維を用いた方が好ましく、短繊維で製造された不織布は、繊維同士の接触交点が少なく、靭性に欠け低強度になりやすい。逆に、繊維長が25mm以上の繊維を用いて湿式抄紙法を試みると、繊維同士が絡まって二次凝集が発生し、分散性が悪くなり、均質な不織布を安定的に製造することが困難となる。さらに、熱可塑性有機繊維として比重が1以下のもの、例えば比重0.91のポリプロピレン繊維は水に浮くため湿式抄紙法の工程である攪拌分散ができず、不織布の軽量化の障壁となっている。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決し、基材繊維等を水溶性有機繊維を利用して接着することにより、製造時の熱による脆弱化がないので、引張りに対しても破れにくく、目付量が低い不織布であっても強度を保つことができ、湿式抄紙法のように、繊維の長さが制限されず、低価格な不織布を提供することである。また、強度を保った不織布を内装材本体に重ねて一体成形した内装材とすることで、不織布が内装材の補強材としての役割を果たすことになるので、高弾性で高強度な内装材を提供することである。
【0006】
なお、内装材以外の分野では、不織布の製造に水溶性有機繊維を使用している例があり、衣料用(例えば、特許文献5参照)、クッション材(例えば、特許文献6参照)、プリント配線用(例えば、特許文献7参照)、人口皮革(例えば、特許文献8参照)等が知られている。この場合、水溶性有機繊維は、製品の風合いを高めたり嵩高くしたりするために用いられており、それらの製造方法は、主として加熱により他の繊維同士を融着させた後、水洗により水溶性有機繊維を溶出除去させたり、水流交絡処理を行うことで短繊維同士を交絡させると同時に水溶性有機繊維を溶出除去させたりしており、製品自体にはほとんど含まれないので、本発明の水溶性有機繊維を利用して繊維同士を接着するという契機付けにはならない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−77664号公報
【特許文献2】
特開平02−80652号公報
【特許文献3】
特開昭61−130345号公報
【特許文献4】
特開平09−123327号公報
【特許文献5】
特開平07−316962号公報
【特許文献6】
特開2000−192358公報
【特許文献7】
特開2001−192955公報
【特許文献8】
特開平05−33256号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、次の手段(1−1)(1−2)(2−1)(2−2)(3)(4)を採った。
(1−1)無機繊維、耐熱性有機繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも1種を含む基材繊維と水溶性有機繊維とが混繊されてなる繊維集合体がニードルパンチ加工により布状に賦形された後、水溶性有機繊維が加水により軟化又は融化して乾燥固化したことにより繊維集合体の繊維同士の接触点が接着されてなる不織布。
【0009】
(1−2)無機繊維、耐熱性有機繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも1種を含む基材繊維と、水溶性有機繊維と非水溶性熱可塑性有機繊維とが混繊されてなる繊維集合体がニードルパンチ加工により布状に賦形された後、水溶性有機繊維が加水により溶出減量を伴って軟化又は融化して乾燥固化したことにより繊維集合体の繊維同士の接触点が接着されてなる不織布。
【0010】
手段(1−1)(1−2)の不織布の目付量は、特に限定されないが、15g/m以上150g/m未満であることが好ましい。
【0011】
(2−1)無機繊維、耐熱性有機繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも1種を含む基材繊維と水溶性有機繊維とを混繊して繊維集合体とし、繊維集合体をニードルパンチ加工により布状に賦形してから、水溶性有機繊維を加水により軟化又は融化させて乾燥固化させることにより繊維集合体の繊維同士の接触点を接着して製造する不織布の製造方法。
【0012】
(2−2)無機繊維、耐熱性有機繊維及び天然繊維から選ばれる少なくとも1種を含む基材繊維と、水溶性有機繊維と非水溶性熱可塑性有機繊維とを混繊して繊維集合体とし、繊維集合体をニードルパンチ加工により布状に賦形してから、水溶性有機繊維を加水により溶出減量を伴って軟化又は融化させて乾燥固化させることにより繊維集合体の繊維同士の接触点を接着して製造する不織布の製造方法。
乾燥固化させるための加熱の温度は、特に限定されないが、加圧時に非水溶性熱可塑性繊維の溶融点未満で加熱して乾燥処理することにより、水溶性有機繊維を乾燥固化させることが好ましい。
【0013】
手段(2−1)(2−2)の製造方法において、特に限定されないが、水溶性有機繊維の軟化又は融化後であって固化前に、繊維集合体を加圧して脱水処理及び圧着処理することが好ましい。
【0014】
(3)上記手段(1−1)又は(1−2)の不織布が内装材本体に重ねられて一体化している内装材。
【0015】
内装材が一体化している態様としては、以下の▲1▼▲2▼▲3▼を例示できる。
▲1▼ 不織布と内装材本体との間に挟んだ融着フィルムを加熱により溶融し、不織布と内装材本体とを一体化している態様。
▲2▼ 重ね合わせる不織布の表面と内装材本体の表面の少なくとも一方に、接着剤のスプレーを吹き付けて、不織布と内装材本体とを貼り合わせる態様。
▲3▼ 特に手段(1−2)の場合には、それよりなる不織布が内装材本体に重ねられ、非水溶性熱可塑性有機繊維と内装材本体との融着により不織布と内装材本体とが一体化している態様。
【0016】
(4)上記手段(2−1)又は(2−2)の製造方法により製造した不織布を内装材本体に重ねて一体化する内装材の製造方法。
【0017】
内装材を一体化する方法としては、以下の▲1▼▲2▼▲3▼を例示できる。
▲1▼ 不織布と内装材本体との間に挟んだ融着フィルムを加熱により溶融し、不織布と内装材本体と一体化する方法。
▲2▼ 重ね合わせる不織布の表面と内装材本体の表面の少なくとも一方に、接着剤のスプレーを吹き付けて、不織布と内装材本体とを貼り合わせる方法。
▲3▼ 特に(2−2)の場合には、それを用いる製造方法により製造した不織布を内装材本体に重ねて、非水溶性熱可塑性有機繊維の溶融点以上に加熱してから冷却して非水溶性熱可塑性有機繊維と内装材本体とを融着することにより不織布と内装材本体とを一体化する方法。
【0018】
上記(1−1)(1−2)(2−1)(2−2)(3)及び(4)における構成要素の態様を、以下に例示する。
「基材繊維」は、無機繊維として、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、カーボン繊維、バサルト繊維を含む鉱物繊維等を例示でき、耐熱性有機繊維として、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン繊維等に液晶ポリマーを添加した繊維を例示でき、天然繊維として、麻、綿、椰子、竹、ケナフ、羊毛、絹等を例示でき、これらから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組み合わせを例示できる。この中でも、特に限定されないが、カーボン繊維が高弾性率、高強度、軽量、焼却処理可能という利点から好ましい。この基材繊維の平均繊維長は、特に限定されないが、25〜200mmであることが、不織布の靭性や強度を高く保つための繊維同士の接触交点を十分に持てるので好ましい。また、繊維集合体を100重量%として、基材繊維の割合は、特に限定されないが、30〜50重量%であることが好ましい。
【0019】
「非水溶性熱可塑性有機繊維」としては、オレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレン、低融点ポリエステル等からなる繊維を例示でき、これらから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを例示できる。この中でも、特に限定されないが、低比重のポリプロピレン繊維が好ましい。また、繊維集合体を100重量%として、非水溶性熱可塑性有機繊維の割合は、特に限定されないが、30〜50重量%であることが好ましい。
【0020】
「水溶性有機繊維」としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール(水溶性ビニロン)からなる繊維を例示できる。繊維集合体を100重量%として、加水処理前の繊維集合体における水溶性有機繊維の割合は、特に限定されないが、10〜40重量%であることが好ましい。この水溶性有機繊維を繊維集合体に多めに混繊することによって、基材繊維として用いられるカーボン繊維のように繊維表面が滑りやすく折れやすい繊維を絡め易くする効果が得られ、ニードルパンチ加工の際のニードルのバーブ深さが0.11mm〜0.18mmでキックアップがないものを使用しなくても、良好なニードルマットが得られる。
また、水溶性有機繊維が乾燥固化した不織布を100重量%として、加水処理後の乾燥固化した不織布の水溶性有機繊維の割合は、特に限定されないが、5〜35重量%となることが好ましい。乾燥固化した水溶性有機繊維は、接着層化することにより繊維集合体の繊維同士の接触点を接着層で接着する働きが考えられるので、水溶性繊維が5%未満のように、溶出減量されすぎると繊維同士を接着する働きが弱すぎて繊維同士の接触点が離れやすくなり、水溶性繊維が35%以上となると、高湿度下での強度低下が著しく生じるためである。
加水処理前の繊維集合体と加水処理後の乾燥固化した不織布とで水溶性有機繊維の含有される割合は、変化する場合も変化しない場合もある。変化する場合は、主として加水により水溶性有機繊維が溶出減量を伴って、水溶性有機繊維の含有される割合が減少することを例示できる。
【0021】
「加水」とは、繊維に水分を加えることを指し、特にその方法に限定されない。例えば、液体の水を加える方法や、加湿による方法が挙げられる。
【0022】
「内装材本体」の素材は、特に限定されないが、無機繊維、天然繊維等が含まれる強化樹脂材料、発泡ポリウレタン、液晶ポリマーとの複合樹脂材等を例示でき、内装材本体の構造は、天然繊維強化複合材料や発泡ポリウレタンを用いた場合の発泡体、ハニカム構造体等を例示できる。具体的には、ポリウレタンフォーム、ガラス繊維と樹脂繊維とからなる繊維状マットを例示でき、繊維状マットに用いられる樹脂繊維は、ポリオレフィン系のポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン共重合体樹脂から選ばれる樹脂を用いた繊維の少なくとも1つ以上の繊維を例示できる。
「内装材」の適応される分野は、特に限定されず、どのような種類の内装材にも適応されるが、特に適している分野は、車両用、建築用を例示でき、車両用としては、自動車用天井材を例示できる。
【0023】
上記手段(3)(4)において、不織布を内装材本体に重ねる態様は、特に限定されないが、不織布を内装材本体を挟むように両表面に重ねる態様、不織布を内装材本体の一方の表面にのみ重ねる態様、不織布を内装材本体の内部に積層する態様を例示できる。また、重ねられた不織布の表面や不織布が重ねられていない内装材本体の表面に、本発明ではない不織布又は樹脂シートを重ねて一体化させてもよい。
融着フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン樹脂等を例示でき、接着剤としては、ポリイソシアナートを例示できる。
そして、本発明は、上記手段のうちから次の手段(5)を採用したものである。
(5)基材繊維としての平均繊維長25〜200mmのカーボン繊維を含む無機繊維と、水溶性ビニロン繊維と、非水溶性熱可塑性有機繊維とを混繊して繊維集合体とするステップと、
前記繊維集合体をニードルパンチ加工により布状に賦形してマットを作成するステップと、
前記マットの前記水溶性ビニロン繊維を加水により溶出減量を伴って軟化又は融化させるステップと、
前記マットを前記非水溶性熱可塑性繊維の溶融点未満で加熱するとともに加圧することにより、前記水溶性ビニロン繊維を乾燥固化させて接着層化させ、該接着層で前記カーボン繊維を含む無機繊維及び前記非水溶性熱可塑性有機繊維の繊維同士の接触点を接着して不織布を製造するステップと、
前記不織布を内装材本体に重ねたものを、前記非水溶性熱可塑性有機繊維の溶融点以上に加熱してから冷却することにより、前記非水溶性熱可塑性有機繊維の溶融後固化物で前記不織布と前記内装材本体とを一体化するステップとを含む自動車用内装材の製造方法。
この手段(5)で規定している事項以外の事項については、上記各手段で例示した態様及び好ましい態様を同じく採用できる。例えば、不織布の目付量が、15g/m 以上150g/m 未満であることが好ましい。非水溶性熱可塑性有機繊維が、ポリオレフィン系繊維であることが好ましい。内装材本体が、ガラス繊維とポリオレフィン系繊維との複合繊維状マット材であることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2に示すように、本発明を不織布1a、内装材2及びそれらの製造方法を具体化した実施形態について説明する。なお、実施形態で記す材料、構成、数値等は例示であって、適宜変更できる。
【0025】
この不織布1aは、無機繊維5として平均繊維長55mmのカーボン繊維の基材繊維と、水溶性有機繊維7として株式会社クラレ製の水溶性ビニロン繊維(商標名:クラロンK−II)と、非水溶性熱可塑性有機繊維6としてポリプロピレン繊維とが混繊されてなる繊維集合体がニードルパンチ加工により布状に賦形された後、水溶性有機繊維7が加水により溶出減量を伴って軟化又は融化して乾燥固化したことにより繊維集合体の繊維同士の接触点が接着されてなる。不織布1aは、不織布1aの全量を100重量%とすると水溶性ビニロン繊維が5重量%で、目付量約125g/m、厚み約0.2mmの平板形状である。
【0026】
内装材2は、不織布1aが空隙を有する内装材本体3aとしてのガラス繊維とポリプロピレン繊維が各50重量%である目付量700g/mの複合マット材の片面に重ねられ、不織布1aを構成している非水溶性熱可塑性有機繊維6としてポリプロピレン繊維と、内装材本体3aを構成しているポリプロピレン繊維とが溶融し、不織布1aが不織布1bの状態となり、内装材本体3aが内装材本体3bの状態になり、それぞれの融着により不織布1bと内装材本体3bとが一体化している。
【0027】
この不織布1a、内装材2は次の方法により製造したものである。
繊維集合体は、それぞれの繊維の割合を繊維集合体を100重量%として、無機繊維5としてのカーボン繊維が40重量%、非水溶性熱可塑性有機繊維6としてのポリプロピレン繊維が40重量%、水溶性有機繊維7としての水溶性ビニロン繊維が20重量%で混繊したものである。
この繊維集合体をニードルパンチ加工により布状に賦形して、図1(a)に示すような目付量150g/mのマット10を作成する。次に、このマット10を温水中で全含浸して、水溶性ビニロン繊維を加水により溶出減量を伴って軟化又は融化させ、ローラー絞りにて脱水して、含水量を300g/mにする。次に、加熱温度120℃にて2分間、上下の間隔を0.15mmにゲージにて合わせた熱プレス機にて加圧し脱水排出と圧着を同時に行い、水溶性ビニロン繊維を乾燥固化させ、図1(b)に示すように、接着層化させ不織布1aとした。この乾燥固化した水溶性ビニロン繊維の接着層化によりカーボン繊維及びポリプロピレン繊維の繊維同士の接触点を接着層で接着している。
この加水・脱水続く乾燥固化工程で、布状の繊維集合体内の一部の不要な水溶性ビニロン繊維を外部に溶出し、布状の繊維集合体の軽量化をはかると共に、最終的な不織布としての目付量を調整することが可能であり、ニードル加工では製造が困難である目付量15g/m以上150g/m未満にできる。乾燥固化の際の加熱温度、時間及び圧力は、使用材料と所望硬さにより設定され、ポリプロピレン繊維の溶融温度以上とすると、より硬い繊維質シートが得られる。さらに、この加熱温度を高くする(例えば160℃にする)ことによって、軟化又は融化した水溶性ビニロン繊維が乾燥固化する際の結晶化を高め、耐吸湿性・耐吸水性に改質することができる。
【0028】
この不織布1aを、空隙を有する内装材本体3aとしてのガラス繊維とポリプロピレン繊維が各50重量%である目付量700g/mの複合マット材の片面に重ね、非水溶性熱可塑性有機繊維6であるポリプロピレン繊維の溶融点(164〜170℃)以上である約190℃に不織布1a内及び複合マット材と不織布1aとの重ねた部分の温度がなるように、190℃の加熱板の間で7分加熱する。その後、重ねたマットを対向する両側から冷間プレスで圧締し、不織布1aを構成するポリプロピレン繊維と内装材本体3aを構成するポリプロピレン繊維とが溶融し、繊維間を相互に融着することにより不織布1bと内装材本体3bとを一体成形して平板形状の車両用の内装材2とする。
内装材本体3bと一体化した後の不織布1b内の状態を図1(c)に示す。この車両用の内装材2は、図2に示すように、自動車の天井材4として、自動車の外装材15との間に空間を介して、内装材2を内装材本体3b、不織布1b、そして車内側となるの表材17の順になるように利用される。
【0029】
本実施形態の不織布1b、内装材2及びそれらの製造方法によれば、以下の▲1▼〜▲5▼の作用効果が得られる。
▲1▼ 溶出減量した残りの水溶性有機繊維7を乾燥固化して接着層化したことにより、繊維同士の接触点を接着することができるので、使用する繊維のながさを制限せず、長い繊維を使用しても製造できる製造方法であり、製造時に熱による脆弱化がないので、所定の異形形状に加熱圧着したり、型付きが発生した際搬送方向へ引張抜いたりしても、破れにくく、弱くならないので連続的に一体成形することできる。
▲2▼ 目付量が低い不織布であっても、強度を保ち、均質な不織布が容易に得られる製造方法であるので、含有する無機繊維5の割合が少なくなり、低価格とすることができる。
▲3▼ 非水溶性熱可塑性有機繊維6を含んだ不織布1bとすることで、弾力性が強くクリンプを有しやすいので、内装材2として、吸音性能が高まる効果がある。
▲4▼ また、非水溶性熱可塑性有機繊維6を含んだ不織布1bとすることで、不織布1aと内装材本体3とを熱圧着にてドット方式で一体化する接着効果を与えるとともに、内装材2として、耐吸湿性と高湿度下での強度、寸法安定性や形状維持を確保できるようになる。特に車両用の内装材2は、基材繊維と熱可塑性繊維との混合マットを圧着成形するので、重ねるとともに一体成形が可能となる。この一体化は、不織布1aと内装材本体3aとの双方に含有されるポリプロピレン繊維の溶融によってなされるので、溶剤や有機樹脂の高温時の揮発性ガスによる臭気を低減できるので、製造時の作業環境及び製品を使用する空間を快適に保てる。
▲5▼ 本発明の不織布1aを、内装材本体3aに重ね、融着により一体成形された内装材2とすることで、不織布1bが補強材の役割を果たし、高弾性で高強度な内装材2とすることができる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図3(a)に示すように、不織布1aと内装材本体3aとの間に、融着フィルム11を挟み、加熱により溶融し、不織布1bと内装材本体3と一体化すること。
(2)図3(b)に示すように、不織布1aの表面に、接着剤12のスプレーを吹き付けて、不織布1aと内装材本体3aとを貼り合わせること。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、不織布の製造時の熱による脆弱化がないので、引張りに対しても破れにくく、目付量が低い不織布であっても強度を保つことができ、湿式抄紙法のように、繊維の長さが制限されず、低価格な不織布を提供することができ、また、不要な水溶性ビニロン繊維を外部に溶出し、軽量化をはかると共に、最終的な不織布としての目付量を調整することが可能となるとともに、強度を保った不織布を内装材本体に重ねて一体成形した内装材とすることで、不織布が内装材の補強材としての役割を果たすことになるので、高弾性で高強度な自動車用内装材を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示し、(a)マットの断面図及び繊維の拡大図、(b)不織布の断面図及び繊維の拡大図、(c)内装材の断面図及び一体化された不織布の拡大図である。
【図2】同実施形態の自動車用の天井材の部分断面図である。
【図3】本発明の変更例を示し、(a)融着フイルムを用いて一体化させた内装材の断面図、(b)接着剤を用いて一体化させた内装材の断面図である。
【符号の説明】
1a、1b 不織布
2 内装材
3a、3b 内装材本体
5 無機繊維
6 非水溶性熱可塑性有機繊維
7 水溶性有機繊維
10 マット

Claims (4)

  1. 基材繊維としての平均繊維長25〜200mmのカーボン繊維を含む無機繊維と、水溶性ビニロン繊維と、非水溶性熱可塑性有機繊維とを混繊して繊維集合体とするステップと、
    前記繊維集合体をニードルパンチ加工により布状に賦形してマットを作成するステップと、
    前記マットの前記水溶性ビニロン繊維を加水により溶出減量を伴って軟化又は融化させるステップと、
    前記マットを前記非水溶性熱可塑性繊維の溶融点未満で加熱するとともに加圧することにより、前記水溶性ビニロン繊維を乾燥固化させて接着層化させ、該接着層で前記カーボン繊維を含む無機繊維及び前記非水溶性熱可塑性有機繊維の繊維同士の接触点を接着して不織布を製造するステップと、
    前記不織布を内装材本体に重ねたものを、前記非水溶性熱可塑性有機繊維の溶融点以上に加熱してから冷却することにより、前記非水溶性熱可塑性有機繊維の溶融後固化物で前記不織布と前記内装材本体とを一体化するステップとを含む自動車用内装材の製造方法。
  2. 前記不織布の目付量が、15g/m 以上150g/m 未満である請求項1記載の自動車用内装材の製造方法。
  3. 前記非水溶性熱可塑性有機繊維が、ポリオレフィン系繊維である請求項1又は2記載の自動車用内装材の製造方法。
  4. 前記内装材本体が、ガラス繊維とポリオレフィン系繊維との複合繊維状マット材である請求項3記載の自動車用内装材の製造方法。
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