JP2002086201A

JP2002086201A - フライングプレス及びそのプレスによる材料の曲がり防止方法

Info

Publication number: JP2002086201A
Application number: JP2000278603A
Authority: JP
Inventors: Kuniaki Watanabe; 邦明渡辺
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 2000-09-13
Filing date: 2000-09-13
Publication date: 2002-03-26

Abstract

(57)【要約】【課題】フライングプレスにおける幅圧下において、
材料曲がりを防止すること。【解決手段】材料１の幅方向両側に配置された金型２
を、前記幅方向に往復移動させる圧下装置３と、材料搬
送方向に往復移動させる揺動装置４とにより合成運動さ
せるフライングプレスにおいて、前記材料１の幅圧下を
行うに際しプレス後の材料１の曲がりを防止するため
に、前記両側の金型２の揺動運動に位相差をもたせる制
御装置５が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧延設備におけ
る、フライングプレス及びそのプレスによる材料の曲が
り防止方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】圧延ラインのスラブ幅圧下装置として、
フライングプレス（走間プレス）が知られている。この
フライングプレスとして、例えば、実公平３−１８０２
８号公報、特開平５−２１２５９９号公報、特開平１１
−１８４７２号公報、特開平１１−１６９９０１号公報
等に記載の各種のものがある。この従来のフライングプ
レスは、スラブ（材料）の幅方向両側に配置された金型
を、前記幅方向に往復移動させる圧下装置と、スラブ搬
送方向に往復移動させる揺動装置とにより合成運動させ
るものであった。

【０００３】そして、この種のプレスに求められる性能
は、両側の金型を如何に同期運動させるかであった。即
ち、同期ずれを防止することが重要とされていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のフライング
プレスは、両側の金型が正確に同期駆動されて、正確に
材料の幅方向両側を圧下するのであるが、材料自身の元
々の曲がりや、温度差、センタリングずれ等によって、
両側の伸びが違うことにより、プレス後の材料に大曲
（キャンバ）が発生するという問題があった。これは、
特に、幅の狭い材料において発生しやすかった。そし
て、前記大曲が発生すると、後工程の圧延に支障を来す
ことになる。

【０００５】そこで、本発明は、フライングプレスにお
ける幅圧下において、材料曲がりを防止することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、次の手段を講じた。即ち、フライングプ
レスによる材料の曲がり防止方法の特徴とするところ
は、材料の幅方向両側に配置された金型が、前記幅方向
に往復移動するプレス運動と、材料搬送方向に往復移動
する揺動運動とによる合成運動をするようにしたフライ
ングプレスにより、前記材料の幅圧下を行うに際し、プ
レス後の材料の曲がりを防止するために、プレス前の材
料情報に基づき、前記両側の金型の揺動運動に位相差を
もたせる点にある。

【０００７】前記材料情報とは、材料の変形量、温度分
布、センタリングのずれ、材料組成の変化、そして、左
右の金型と材料接触面との摩擦係数の差の内の、少なく
とも何れか一つである。前記材料情報に基づき、プレス
後の曲がり方と位相差との相関を、予め求めておき、実
操業において前記相関関係より、適切な位相差を求める
のが好ましい。前記両側の金型を、異なる形状のものと
することができる。本発明のフライングプレスの特徴と
するところは、材料の幅方向両側に配置された金型を、
前記幅方向に往復移動させる圧下装置と、材料搬送方向
に往復移動させる揺動装置とにより合成運動させるフラ
イングプレスにおいて、前記材料の幅圧下を行うに際し
プレス後の材料の曲がりを防止するために、前記両側の
金型の揺動運動に位相差をもたせる制御装置が設けられ
ている点にある。

【０００８】前記フライングプレスの上流側に竪型圧延
機が配置されているのが好ましい。このように竪型圧延
機との併用により、曲がり防止が効果的に行われる。ま
た、前記フライングプレスの下流側に粗圧延装置及び仕
上圧延装置が配置され、該粗圧延装置の最終工程付近の
圧延機に、曲がり矯正用のサイドガイド装置が設けられ
ているのが好ましい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。図１において、本発明のフライング
プレスは、材料１の幅方向（以下、この方向を「左右」
方向という）両側に配置された左右一対の金型２を、左
右方向に往復移動させる圧下装置３と、材料搬送方向
（以下、この方向を「前後」方向という）に往復移動さ
せる揺動装置４とを有し、前記両装置３，４により金型
２が合成運動して、搬送中の材料１の幅圧下を行う。

【００１０】そして、前記材料１の幅圧下を行うに際
し、プレス後の材料１の曲がりを防止するために、前記
左右一対の金型の揺動運動に位相差をもたせる制御装置
５が設けられている。前記材料１は、加熱されたスラブ
（鋼片）であり、搬送装置６によってその長手方向（前
後方向）に所定速度で連続的に搬送されている。前記圧
下装置３は、左右一対のスライド７を有し、該スライド
７に前記金型２が、ダイギャップ調整装置８を介して取
り付けられている。このスライド７は、左右方向移動自
在に設けられ、各スライド７は、夫々コンロッド９を介
してメインクランク軸１０のピン部に連結され、このク
ランク軸１０は、左右一対のメインドライブ装置１１に
よって夫々回転駆動される。各メインドライブ装置１１
は、連動軸１２により連結され、前記左右のクランク軸
１０を同期駆動する。そして、一方のメインドライブ装
置１１には、メインモータ１３からの動力が入力される
よう構成されている。

【００１１】而して、メインモータ１３からの動力によ
り、各メインドライブ装置１１を介してメインクランク
軸１０が回転し、コンロッド９を介してスライド７が往
復移動し、前記左右の金型２，２が、材料１に対して互
いに接近し離反する動作を同期して行う。前記ダイギャ
ップ調整装置８は、前記金型２に結合されたネジ軸１４
と、該ネジ軸１４に螺合して前記スライド７に回転自在
に且つ左右方向移動不能に設けられたウオームホイール
１５と、該ウオームホイール１５に噛み合うウオーム軸
１６と、該ウオーム軸１６を回動させる駆動装置１７と
を有する。この左右一対の駆動装置１７には、それぞ
れ、ダイギャップアジャストモータ１８を有する。前記
左右一対の駆動装置１７は連動軸１９で連結され、前記
左右一対のウオーム軸１６を同期駆動するよう構成され
ている。

【００１２】而して、ダイギャップアジャストモータ１
８からの動力により、ウオーム軸１６を介してウオーム
ホイール１５が回動され、ネジ軸１４が左右方向に移動
して、前記金型２のスライド７に対する左右方向の位置
が調整される。即ち、左右金型２，２間の距離が調整さ
れる。前記揺動装置４は、左右一対のブロック２０を有
し、該ブロック２０に前記スライド７が左右方向移動自
在に設けられている。このブロック２０は前後方向移動
自在になるよう、プレス本体２１に設けられている。

【００１３】前記ブロック２０には、第一クランク軸２
２が回動自在に設けられ、該第一クランク軸２２にコン
ロッド２３の一端部が連結され、該コンロッド２３の他
端部に第二クランク軸２４が連結されている。この第二
クランク軸２４はプレス本体２１に回動自在に設けられ
ている。前記第一及び第二クランク軸２２，２４は、第
一及び第二出力軸２５，２６を介して揺動駆動装置２７
に連動連結されている。この駆動装置２７において第二
クランク軸２６の回転数は、第一クランク軸２５の回転
数の整数倍とされている。前記駆動装置２７は左右一対
設けられ、夫々独立したモータ２８により、独立駆動さ
れている。

【００１４】しかして、モータ２８の駆動により、第二
クランク軸２６が回転し、コンロッド２３を介してブロ
ック２０が前後方向に移動する。このとき、第一クラン
ク軸２５も回転しているので、ブロック２０は、第一ク
ランク軸２５と第二クランク軸２６の合成運動として、
近似等速往復運動を行う。なお、近似等速運動について
は、前記実公平３−１８０２８号公報の記載を援用する
ので、その詳細は省略する。前記左右一対の揺動駆動装
置２７は独立して駆動されるので、左右のブロック２
０、２０の前後方向移動に位相差をもたせることができ
る。

【００１５】前記制御装置５は、前記位相差を制御する
ものであり、前記メインモータ１３の回転を検出するメ
インドライブ回転検出手段２９と、前記揺動装置４のモ
ータ２８の回転を検出する揺動回転検出手段３０と、プ
レス前の材料１の情報を入力する入力手段３１と、各種
情報を記憶している記憶手段３２と、各種の情報を処理
して前記揺動駆動装置２７のモータ２８の回転速度を制
御する処理手段３３とを有する。前記入力手段３１によ
り入力される材料情報とは、材料の変形量、温度分布、
センタリングのずれ、材料組成の変化、そして、左右の
金型と材料接触面との摩擦係数の差の内の、少なくとも
何れか一つである。

【００１６】材料の変形量は、目視やテレビカメラまた
は、前プロセスでの情報をもとにその性状が把握され、
入力される。温度分布（材料を加熱する炉内での幅方向
温度差）に関しては、焼き上げ・抽出データ及びシミュ
レーションによって予め曲がりを想定し、それに準じた
位相差の設定が行われる。前記記憶手段３２に記憶され
ているものは、前記材料情報に基づき、プレス後の材料
１の曲がり方と、左右の揺動装置４の位相差との相関を
予め求めておいた情報である。

【００１７】上記フライングプレスを用いて、材料１の
幅圧下を行う際、プレス後の材料１の曲がりを防止する
方法につき、以下、説明する。まず、プレス後の曲がり
方と、左右の揺動装置の位相ずれとの相関を、材料１
（スラブ）の仕様、材質、温度などにより、多くのデー
タを採取し、これらを材料情報として、記憶手段３２に
記憶させておく。次に実操業において、幅圧下すべきス
ラブ１の材料情報を、入力手段３１に入力すると、前記
記憶手段３２のデータと照合され、曲がりを発生させな
い位相差が選ばれる。そして、各モータ１３，２８の回
転検出手段２９，３０からの検出信号に基づき、前記位
相差を維持するように各モータ１３，２８に速度指令
が、処理手段３３より出される。

【００１８】図２に示すものは、ワークサイド（ＷＳ）
における金型２の軌跡を示し、メインクランク軸１０に
対する第二クランク軸２６の位相のズレが６度の場合
（白印）と、位相のズレがない場合（黒塗り印）を重ね
て表示している。同図において、正方向プレスは、通常
方向に材料１を流しながら行う幅圧下方法であり、図１
の矢印方向に各部材が移動する場合であり、リバースプ
レスとは、その逆の動きをする場合である。図２の場
合、ドライブサイド（ＤＳ）の金型２が先に材料１と接
触し、少し遅れてＷＳの金型２が接触することになる。

【００１９】図３は、同じく位相のズレが１５度のとき
の金型２の軌跡を示している。上記の方法によれば、材
料１の大曲が防止される。図４に示すものは、上記方法
に加えて、金型２の形状を、左右異なるものとしたもの
である。このように左右が相違する形状を採用すること
により、材料１の圧下伸びを調整することができ、曲が
りが防止される。図４においては、ＤＳの金型２は直線
形状とされ、ＷＳの金型２は、金型長さをＬとしたとき
に、半径ＲがＬ〜２Ｌとなる円弧面に形成されている。

【００２０】なお、ＤＳ、ＷＳの圧下伸びを調整する方
法として、金型に線材圧延のロールのような凹型のカリ
バーをつけるのも効果的である。また、ＤＳ、ＷＳの金
型表面の摩擦係数に差異を持たせるように、例えば、金
型表面に肉たたきのような模様を刻印したりして、片側
の圧下による伸びを抑制することも効果的である。図５
に示すものは、前記フライングプレスを配置した圧延設
備の全体構成である。この圧延設備では、材料１（スラ
ブ）を加熱するための加熱炉Ａを有し、該加熱炉Ａの出
側に竪型圧延機Ｂが配置されている。この竪型圧延機Ｂ
は、竪型ロールを有した圧延機であり、ＶＳＢと略称さ
れているものである。この竪型圧延機Ｂの下流側に前記
フライングプレスＣが配置され、更にフライングプレス
Ｃの下流側に粗圧延装置Ｄと仕上圧延装置Ｅ、更に冷却
装置Ｆ、及び巻取装置Ｇが配置されている。

【００２１】前記竪型圧延機Ｂは、フライングプレスＣ
で曲がりを矯正する前に、軽圧下を行い、フライングプ
レスＣにおける曲がり防止を効果的に行わせるものであ
る。即ち、竪型圧延機Ｂで軽圧下を行うことで、材料１
のワークサイド（ＷＳ）及びドライブサイド（ＤＳ）の
復熱および温度差低減効果と、もともとあるスラブ自体
の曲がりを矯正する効果で、曲がりが大きく低減でき
る。ここで、前記「軽圧下」とは、１〜１５％程度の軽
い幅圧下をいう。１〜５％の軽圧下で、キャンバー１０
０ｍｍ程度の曲がり防止効果があり、６〜１０％の軽圧
下でキャンバー２００ｍｍ程度の曲がり防止効果があ
り、１１〜１５％で、キャンバー３００ｍｍ程度の曲が
り防止効果がある。

【００２２】前記粗圧延装置Ｄの最終工程の圧延機にサ
イドガイド装置（図示省略）や、粗圧延装置Ｄと仕上圧
延装置Ｅとの間に、竪型圧延機・水平竪型組み合わせの
ユニバーサル圧延機など（図示省略）を設置して矯正す
るのが効果的である。前記サイドガイド装置は、電動又
は油圧で駆動され、フライングプレスＣ後の粗圧延装置
Ｄにて、曲がりの発生した材料を矯正するものである。
この場合に一旦設定されたサイドガイドを、再度材料１
に接触するほど近づける機構（これを「ショートストロ
ーク機構」という）には、油圧を使用するのが望まし
い。

【００２３】即ち、フライングプレスＣでの厚いスラブ
１の状態での曲がり矯正ではなく、粗圧延などの厚みが
７０ｍｍ〜５０ｍｍ程度になったときに、サイドガイド
装置で矯正をかけて、キャンバーを修正することが効果
的である。尚、本発明は、前記実施の形態に示したもの
に限定されるものではなく、各種の型式のフライングプ
レスに適用可能である。さらに、材料は、鋼材に限らず
アルミや銅合金等の金属であっても良い。更に、

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、フライングプレスによ
る材料の大曲が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の実施の形態を示し、フライン
グプレスの平面的構成図である。

【図２】図２は、位相差６°のときの金型の軌跡を示す
グラフである。

【図３】図３は、位相差１５°のときの金型の軌跡を示
すグラフである。

【図４】図４は、左右の金型の形状を異なるものとした
実施の形態を示す平面図である。

【図５】図５は、フライングプレスを有する圧延設備の
全体構成図である。

【符号の説明】

１材料２金型３圧下装置４揺動装置５制御装置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】材料の幅方向両側に配置された金型が、
前記幅方向に往復移動するプレス運動と、材料搬送方向
に往復移動する揺動運動とによる合成運動をするように
したフライングプレスにより、前記材料の幅圧下を行う
に際し、プレス後の材料の曲がりを防止するために、プ
レス前の材料情報に基づき、前記両側の金型の揺動運動
に位相差をもたせることを特徴とする材料の曲がり防止
方法。
【請求項２】前記材料情報とは、材料の変形量、温度
分布、センタリングのずれ、材料組成の変化、そして、
左右の金型と材料接触面との摩擦係数の差の内の、少な
くとも何れか一つであることを特徴とする請求項１記載
の材料の曲がり防止方法。
【請求項３】前記材料情報に基づき、プレス後の曲が
り方と位相差との相関を、予め求めておき、実操業にお
いて前記相関関係より、適切な位相差を求めることを特
徴とする請求項１又は２記載の材料の曲がり防止方法。
【請求項４】前記両側の金型を、異なる形状のものと
することを特徴とする請求項１〜３の何れか一つに記載
の材料の曲がり防止方法。
【請求項５】材料の幅方向両側に配置された金型を、
前記幅方向に往復移動させる圧下装置と、材料搬送方向
に往復移動させる揺動装置とにより合成運動させるフラ
イングプレスにおいて、前記材料の幅圧下を行うに際しプレス後の材料の曲がり
を防止するために、前記両側の金型の揺動運動に位相差
をもたせる制御装置が設けられていることを特徴とする
フライングプレス。
【請求項６】請求項５記載のフライングプレスの上流
側に竪型圧延機が配置されていることを特徴とする圧延
設備。
【請求項７】前記フライングプレスの下流側に粗圧延
装置及び仕上圧延装置が配置され、該粗圧延装置の最終
工程付近の圧延機に、曲がり矯正用のサイドガイド装置
が設けられていることを特徴とする請求項６記載の圧延
設備。