JP2002081910A - 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ - Google Patents

膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ

Info

Publication number
JP2002081910A
JP2002081910A JP2000273830A JP2000273830A JP2002081910A JP 2002081910 A JP2002081910 A JP 2002081910A JP 2000273830 A JP2000273830 A JP 2000273830A JP 2000273830 A JP2000273830 A JP 2000273830A JP 2002081910 A JP2002081910 A JP 2002081910A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
substrate
measured
light receiving
receiving element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000273830A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3852556B2 (ja
Inventor
Masahiro Kurokawa
雅裕 黒川
Kazumi Tsuchimichi
和美 土道
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp, Omron Tateisi Electronics Co filed Critical Omron Corp
Priority to JP2000273830A priority Critical patent/JP3852556B2/ja
Publication of JP2002081910A publication Critical patent/JP2002081910A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3852556B2 publication Critical patent/JP3852556B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)
  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚を測定するのに最適な受光出力が得られ
るような調整を自動的に行い、高精度の膜厚測定を行
う。 【解決手段】 膜厚の測定処理に先立ち、測定対象の基
板およびその膜についての光学特性に関するデータが入
力されると、制御部22は、この基板に光を照射したと
きに得られる理論上の反射スペクトルとレファレンス基
板により得られる既知の反射スペクトルとの関係を特定
する。ついでレファレンス基板に光が照射されると、制
御部22は、前記特定した関係に基づき、受光部6から
の受光出力の最大値または最小値がA/D変換のダイナ
ミックレンジ内の所定値に合うように受光出力のレベル
調整を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基板上に形成さ
れた薄膜の厚みを光の干渉を利用して測定する方法およ
びその方法を用いた膜厚センサに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜が形成された基板に光を照射する
と、前記薄膜の表面で反射する光と、薄膜と基板との境
界面で反射する光とが干渉する。この干渉光の強度は、
薄膜の厚みによって異なり、また同じ基板であっても、
その基板に照射する光の波長によって干渉光の強度が変
化することが知られている。
【0003】従来の膜厚センサは、上記の原理に基づ
き、所定の波長域に分布する光を発光する光源から基板
に光を照射するとともに、その基板からの反射光を所定
波長単位毎に分光して複数の受光素子により受光した
後、各受光素子からの出力信号をディジタル変換して波
長単位毎の光の強度を示すスペクトルを作成し、このデ
ータをコンピュータに取り込んで処理することにより、
前記基板上の薄膜の厚みを求めるようにしている。また
測定対象の基板によっては、反射光に代えて薄膜および
基板本体を透過した光により膜厚を計測する場合もあ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の膜厚センサが
測定対象とするワークは多岐にわたるが、これらワーク
の基板や薄膜における反射率や透過率は種毎に異なるた
め、前記受光素子の出力信号のレベルやレベル変化の度
合もワーク毎に異なるものとなる。
【0005】たとえば反射率の高いシリコン基板は、膜
が形成されると、光の干渉によって反射率が下がるが、
SiO2膜のように、基板に対し屈折率の差が大きい膜
が形成された場合、波長単位で大きく変動する反射光が
得られる。他方、ガラス基板では、膜の形成されていな
い状態下での反射率はきわめて低く、また基板に対し屈
折率の差が小さい膜が形成されると、波長単位の反射光
強度の変動は緩やかになる。このように同じ条件で光を
照射しても、反射光の強度やスペクトルの分布状態は、
ワークによって大きく異なるものとなる。
【0006】ところで実際の基板について、前記反射光
または透過光のスペクトルを精度良く取り出すには、受
光素子からの出力(以下、「受光出力」という。)のレ
ベルがA/D変換のためのダイナミックレンジに適合す
るように、光源の投光パワーや受光素子の出力感度など
を調整する必要がある。しかしながらこの調整を、前記
シリコン基板のような反射率の大きいワークを基準に行
うと、ガラス基板のような反射率が小さいワークについ
ては、スペクトルを精度良く取り出すのに必要なレベル
の受光出力を得るのが困難となる。他方、反射率の小さ
いワークを基準にして前記投光パワーや受光感度の設定
を行うと、反射率やスペクトルの変動度合が大きいワー
クについての受光出力が飽和してしまい、膜厚の測定が
不可能となる。このため従来では、ワーク毎に、投受光
部の環境を手動設定しているが、この種の設定は、試行
錯誤で行われるため、多大な労力を要する。さらに設定
の都度、その設定値がばらつき、またオペレータによっ
てもばらつきが生じるので、常にワークに合わせた最適
な設定が行われているとは限らず、測定精度が低下する
という問題がある。
【0007】この発明は上記問題点に着目してなされた
もので、測定対象の基板およびその基板上の薄膜の光学
特性に応じて、各受光素子より膜厚を測定するのに最適
な受光出力が得られるような調整を自動的に行うこと、
ならびにその調整によって高精度の膜厚測定を行うこと
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明では、所定の波長域に分布する光を基板に
照射し、その照射光に対する基板からの反射光または透
過光を所定波長単位に分光して複数の受光素子により受
光し、各受光素子からの出力信号の特性に基づき基板の
薄膜の厚みを測定する処理において、各受光素子に既知
の特性をもつ光を受光させるレファレンス基板について
の前記光の既知の特性と、各受光素子が測定対象の基板
より受光する光の理論上の特性との関係を、前記測定対
象の基板およびその膜の光学特性に基づき特定するステ
ップと、前記レファレンス基板に前記波長域の光を照射
しつつ、この照射光に対する各受光素子の出力信号のレ
ベルがレファレンス基板と測定対象の基板との間の前記
光の特性の関係に基づく所定のレベルになるように、照
射光の強度および受光感度の少なくとも一方を調整する
ステップとを実行するようにした。
【0009】ここでいう「レファレンス基板」とは、一
般に、表面に薄膜が形成されていない基板であって、基
板の屈折率,吸収係数などの光学定数が既知であること
により基板への照射光に対する反射光や透過光の特性を
定められる基板をいう。通常、レファレンス基板には、
測定対象の基板と同一材質の基板が設定されるが、測定
対象とは異なる材質の基板や膜の形成された基板であっ
ても、光照射時の反射光や透過光の特性が既知であれ
ば、レファレンス基板として使用することができる。
【0010】「光の特性」とは、光の照射に対し、各受
光素子が受光する基板からの反射光または透過光の特徴
のことであり、具体的には、各波長単位の反射光または
透過光の強度または反射率,透過率の分布状態を示すス
ペクトル(以下、単に「スペクトル」という。)として
示される。
【0011】「レファレンス基板についての光の既知の
特性」とは、レファレンス基板に光を照射したときに受
光素子に与えられる光の持つ既知の特性であり、「各受
光素子が測定対象の基板より受光する光の理論上の特
性」とは、測定対象の基板より受光素子に与えられる光
について基板の材質,薄膜の厚みの想定値などから推測
した特性と言い換えることができる。これらの特性の関
係としては、測定対象の基板のスペクトルがレファレン
ス基板のスペクトルより高い位置に表れる場合、測定対
象の基板のスペクトルがレファレンス基板のスペクトル
より低い位置に表れる場合、および両スペクトルを示す
曲線が交わる場合、の3通りの関係を考えることができ
る。
【0012】上記の方法によれば、前記レファレンス基
板に光を照射したときに得られる受光出力は、レファレ
ンス基板の既知のスペクトルに対応したものとなるはず
である。したがってこの既知のスペクトルと前記測定対
象の基板の理論上のスペクトルとの関係に基づき、受光
出力が所定の電圧レベルになるように照射光の強度およ
び受光感度の少なくとも一方を調整することにより、測
定処理時に、測定対象の基板からの光の特性を精度良く
示した受光出力を得ることが可能となる。なお照射光の
強度の調整とは、光源への駆動信号のレベル調整を意味
するほか、LEDやレーザーダイオードのような光源を
用いる場合の光源への駆動パルス幅の調整を意味する。
また受光感度の調整とは、受光素子における受光時間や
出力ゲインなどの調整を意味する。
【0013】たとえば測定対象の基板のスペクトルがレ
ファレンス基板のスペクトルよりも低い位置に表れると
考えられる場合は、レファレンス基板により得られる受
光出力の電圧レベルを前記したディジタル変換のための
ダイナミックレンジの最大値付近になるように照射光の
強度および受光感度の少なくとも一方を調整すれば、測
定処理時には、基板からの光の特性を示すスペクトルを
飽和させずに取り出すことができる。また測定対象の基
板のスペクトルがレファレンス基板のスペクトルよりも
高い位置に表れると考えられる場合は、レファレンス基
板により得られる受光出力の電圧レベルが前記ダイナミ
ックレンジの最小値付近になるように照射光の強度およ
び受光感度の少なくとも一方を調整することにより、測
定処理時に、基板からの光の特性を示すスペクトルをダ
イナミックレンジ内に確実に入れることができる。
【0014】さらに測定対象の基板のスペクトルとレフ
ァレンス基板のスペクトルとの大小関係が波長によって
変動する場合(すなわち各スペクトルの曲線に交わりが
生じる場合)であれば、たとえば測定対象の基板の理論
上のスペクトルの変動幅をダイナミックレンジの幅に対
応させ、前記各スペクトルが交わる位置に対応するダイ
ナミックレンジ内のレベルを特定し、このレベル付近に
前記レファレンス基板により得られる受光出力の電圧レ
ベルを設定することにより、測定処理時の基板からの光
の特性を示すスペクトルを前記ダイナミックレンジ内に
入れることが可能である。
【0015】なお通常、基板に照射する光の波長分布に
はばらつきがあるから、レファレンス基板により得られ
る受光出力にも、この光源のばらつきが加味される。し
たがって実際の調整処理においては、前記レファレンス
基板と測定対象の基板との間の受光信号の関係に応じ
て、受光出力の最大レベルまたは最小レベルを用いての
調整を行うのが望ましい。
【0016】つぎにこの発明にかかる膜厚センサは、測
定対象の基板に所定の波長域に分布する光を照射するた
めの投光手段と、測定対象の基板からの反射光を分光す
る分光素子、およびこの分光素子により所定波長単位に
分けられた反射光を受光するための複数個の受光素子と
を具備する受光手段と、前記受光素子の出力電圧のレベ
ルを調整する調整手段と、前記調整手段による調整が完
了した後に、前記投光手段からの光を測定対象の基板に
照射した状態下で各受光素子からの出力信号を取り込ん
で、これら出力信号の特性に基づき前記基板の薄膜の厚
みを測定する測定手段とを具備し、さらに前記調整手段
が、前記測定対象の基板およびその膜の光学特性に関す
るデータを入力する手段と、前記入力されたデータに基
づき、各受光素子に既知の特性をもつ光を受光させるレ
ファレンス基板についての前記既知の光の特性と、各受
光素子が前記測定対象の基板から受光する光の理論上の
特性との関係を特定する手段とを具備し、前記レファレ
ンス基板に前記光源からの光を照射した状態下におい
て、前記受光素子の出力信号のレベルが前記レファレン
ス基板と測定対象の基板との間の光の関係に基づく所定
のレベルになるように調整するように構成される。
【0017】上記構成において、「測定対象の基板およ
びその膜の光学特性に関するデータ」とは、基板および
膜の屈折率や吸収係数などの光学定数を示す数値のほ
か、この数値を特定可能なデータ(たとえば基板および
膜の材質、種類など)であってもよい。
【0018】調整手段は、この入力データにより、測定
対象の基板について得られる理論上のスペクトルがレフ
ァレンス基板により得られる既知のスペクトルに対して
どのような関係を持つかを特定した上で、その関係に基
づき、レファレンス基板について得られる受光出力を調
整する。なおこの調整は、投光手段の出力パワーの調
整、受光素子の感度調整(受光素子の駆動タイミングや
受光時間の調整を意味する。)、受光出力のゲインの調
整の少なくともいずれか、またはこれらの調整方法を組
み合わせて実施されるものである。このように複数種の
方法を選択または組み合わせることによって、調整方向
や調整量に応じて細かい調整を行うことが可能となる。
【0019】上記の膜厚センサによれば、光学系の調整
処理において、オペレータが測定対象の基板およびその
膜の光学特性に関するデータを入力した上で、レファレ
ンス基板を測定位置に導入して投光手段より光を照射す
ると、受光素子の出力信号のレベルが前記測定対象の基
板の反射光特性を精度良く抽出できるレベルになるよう
な調整が自動的に行われて、測定処理が可能となる。し
たがって計測対象の基板が代わっても、簡単かつ迅速に
光学系を調整して測定処理に最適な受光出力を得ること
ができ、調整作業にかかる労力を大幅に軽減し、かつ測
定精度を向上することが可能となる。
【0020】さらに好ましい態様によれば、前記測定手
段は、前記受光素子が測定対象の基板から受光した光の
特性と、前記受光素子がレファレンス基板から受光する
光の既知の特性と、前記レファレンス基板を用いて調整
が完了した時点で受光素子がレファレンス基板により受
光した光の特性とを用いて、前記投光手段からの光に対
し受光素子が測定対象の基板から受光した光の比率を波
長毎に算出し、その算出結果を用いて測定対象の基板の
膜厚を特定するように構成される。
【0021】前記したように基板への照射光は、波長に
よってばらつきが生じていると考えられるから、測定に
よって受光素子に受光される光からは、照射光の特性に
よる影響を受けたスペクトルが生成されると考えられ
る。これに対し、受光素子の受光する光についての理論
上のスペクトルは、基板に対し波長単位毎に均一な光が
照射された場合に受光される光の受光比率(照射光に対
する受光素子に入射する光の比率をいう。)を表すもの
となる。上記の測定手段の構成によれば、受光出力の調
整が完了した状態下において受光素子が測定対象の基板
から受光した照射光の特性を含む光と、同様の条件でレ
ファレンス基板から受光した照射光の特性を含む光と、
レファレンス基板より受光する光の理論上の特性とを用
いて、基板に均一な光が照射された場合の受光比率が求
められるので、たとえば、この算出された受光比率を各
種膜厚の基板により得られる受光比率の理論値を示すモ
デルデータと順に比較したり、算出された受光比率によ
るスペクトルから極大値または極小値を抽出してその値
を所定の演算式にあてはめることにより、測定対象の基
板の膜厚を精度良く求めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施例にか
かる膜厚センサの外観を示す。この膜厚センサは、セン
サヘッド1とコントローラ2とを光ファイバケーブル3
により接続して成る。コントローラ1には、後記する投
光部5,受光部6,制御回路7など(いずれも図4に示
す。)が組み込まれている。光ファイバケーブル3は、
投光用の光ファイバと受光用の光ファイバとがそれぞれ
複数本束ねられたもので、所定位置において投光用の光
ファイバを集めたケーブル3aと受光用の光ファイバを
集めたケーブル3bとに分けられて、コントローラ2に
接続される。
【0023】前記センサヘッド1は、円筒状のケース体
内に対物レンズ1a(図4に示す。)などを組み込んで
成るもので、測定対象の基板8に対し所定距離だけ上方
位置において、レンズ面を基板表面に対向させた状態で
設置される。前記投光部5からの光は、光ファイバケー
ブル3aを介してセンサヘッド1より基板表面に照射さ
れ、その照射光に対する基板からの反射光が、センサヘ
ッド1より光ファイバケーブル3bを介して受光部6に
導かれる。さらに受光部6からの出力は制御回路7に取
り込まれ、前記基板上の薄膜の厚みの測定処理に用いら
れる。
【0024】なお、図中の4は、外部機器であるパーソ
ナルコンピュータであって、コントローラ2の制御回路
7にケーブル接続される。このパーソナルコンピュータ
4は、測定対象の基板8に関する設定データを入力した
り、コントローラ2から膜厚の計測結果を受け取って表
示する用途で用いられる。
【0025】図2は、上記膜厚センサの投光部5に使用
される光源10の構成を示す。この光源10には、出力
波長の特性が異なる3個のLED11,12,13と、
透過特性の異なる2個のダイクロイックミラー14,1
5と、集光用のレンズ16とが組み込まれる。各LED
11〜13には、それぞれ赤色光発光用、白色発光用、
青色発光用のLED(以下、「赤色LED11」,「白
色LED12」,「青色LED13」という。)が用い
られる。
【0026】赤色LED11は、レンズ16の面に対し
て所定距離だけ離れた位置に、光軸をレンズ中心に合わ
せた状態で設置される。この赤色LED11とレンズ1
6との間には、前記2つのダイクロイックミラー14,
15が、それぞれ前記赤色LED11の光軸に対し鏡面
を45度傾斜させた状態で所定間隔を隔てて設置され
る。さらに前記白色,青色の各LED12,13は、そ
れぞれダイクロイックミラー14,15の鏡面に対し4
5度の角度を持ち、かつ前記赤色LED11の光軸に直
交するように光軸を合わせた状態で設置される。なお光
源10には、このほか、各LED11〜13の出力パワ
ーを個別に制御するための駆動回路17,18,19が
組み込まれる。
【0027】この実施例の白色LED12には、LED
チップに蛍光塗料を添加した樹脂モールドを施した光源
(例えば日亜化学製のNSPW500)が用いられる。
このLED12は、約420〜700nmの波長域に分布
し、かつ470nm付近に第1のピークが、560nm付近
に第2のピークが出現するような出力波長特性を具備す
る。また青色LED13には、470nm付近に出力パ
ワーのピークが出現するような出力波長特性を有する光
源(例えば日亜化学製のNSPB500)が、赤色LE
D11には、680nm付近に出力パワーのピークが出現
するような出力波長特性を有する光源(例えば松下電器
産業製のLN124W)が、それぞれ用いられる。
【0028】赤色LED11と白色LED12との光軸
が交わる位置に設置される第1のダイクロイックミラー
14には、600nm以前の光に対する透過率が0に近似
し、かつ700nm以降の波長域の光に対する透過率が1
に近似する透過特性を具備するものが用いられる。また
赤色LED11と青色LED13との光軸が交わる位置
に配置される第2のダイクロイックミラー15には、4
70nm以前の光に対する透過率が0に近似し、かつ52
0nm以降の波長域の光に対する透過率が1に近似するよ
うな透過特性を具備するものが用いられる。
【0029】図3は、前記ダイクロイックミラー14,
15の光の透過特性と、これらダイクロイックミラー1
4,15と各LED11,12,13からの出射光とに
よって実現する出力パワーの特性との関係を示す。赤色
LED11から出射した各波長の光のうち600nmより
後の波長域の光は、第1,第2の各ダイクロイックミラ
ー14,15を順に通過してレンズ16に導かれる。白
色LED12から出射した光については、600nmより
前の波長域の光が第1のダイクロイックミラー14で反
射することによってレンズ16の方へと進むが、つぎに
第2のダイクロイックミラー15により前記470nm付
近より前の波長域の光が遮光されるため、前記第1のピ
ークの光が取り除かれ、560nm付近の第2のピークを
含む光がレンズ16に導かれる。
【0030】青色LED13から出射した光について
は、470nmより前の前記ピークを含む光が第2のダイ
クロイックミラー15で反射して、レンズ16へと導か
れる。なお各ダイクロイックミラー14,15を透過ま
たは反射して、レンズ16以外の方向に導かれた光は、
図示しない光吸収体により吸収される。
【0031】よって、赤色LED11からは、680nm
付近をピークとして600〜700nmの波長域付近に分
布する光が、白色LED12からは、560nm付近をピ
ークとして約500〜600nmの波長域付近に分布する
光が、青色LED13からは470nm付近をピークとし
て約420〜500nmの波長域付近に分布する光が、そ
れぞれ取り出されてレンズ16により集光され、測定処
理用の光として出射される。なおこの実施例では、前記
各駆動回路17,18,19により各LED11,1
2,13の出力パワーを個別に調整することにより、図
3に示すように、各LED11,12,13から取り出
された3つのピークを等しいレベルに合わせて、広い波
長域において安定した出力パワーを確保するようにして
いる。
【0032】図4は、前記膜厚センサの具体的な構成で
ある。図中、5は投光部,6は受光部,7は制御回路で
あって、いずれも前記コントローラ2内に組み込まれ
る。投光部5は、前記した構成の光源10により成るも
ので、約420〜700nmの波長域に分布する光を発光
する。この光は光ファイバケーブル3aを介してセンサ
ヘッド1の先端から基板8の表面に照射される。この光
は、基板本体8b上の薄膜8aの表面および薄膜8aと
基板本体8bとの境界面において反射するもので、その
反射光はセンサヘッド1に入射した後に、光ファイバケ
ーブル3bを介して受光部6に導かれる。
【0033】受光部6は、光学多層膜を用いた分光フィ
ルタ20と、ラインCCD21(複数のCCDを一次元
配列したもの)とにより構成される。前記反射光は、分
光フィルタ20により波長単位に分光された後、分光さ
れた各光がラインCCD21の各CCDに取り込まれて
波長単位の反射光の強度が取り出される。
【0034】制御回路7は、マイクロコンピュータを主
体とする制御部22に、A/D変換部23,投光量調整
部24,受光感度調整部25,表示制御部26,入出力
部27などが接続されて成る。A/D変換部23は、ラ
インCCD21の各CCDからの受光出力を抽出してデ
ィジタル変換することにより、前記波長単位毎の反射光
の強度分布(以下、「反射光スペクトル」という。)を
示す受光データを作成する。制御部23はこの受光デー
タを取り込んで、後記する方法による膜厚測定処理を実
行する。
【0035】入出力部27は、前記パーソナルコンピュ
ータ4から、測定対象の基板8の基板本体8bや薄膜8
aについて、材質、光学定数などの設定データを取り込
んだり、膜厚の測定結果を装置外部に出力するためのも
のである。表示制御部26は、前記パーソナルコンピュ
ータ4に対し、前記測定結果などの表示用データを与え
ることにより、ディスプレイ画面上でのデータ表示を行
わせる。
【0036】投光量調整部24は、前記投光部5の各L
ED11,12,13に対する駆動回路17,18,1
9を制御して発光パルス間隔を調整することにより、投
光部5の出力レベルを調整する。受光感度調整部25
は、ラインCCD21のシャッタ時間間隔を制御した
り、ラインCCD21とA/D変換部23との間の増幅
回路28のゲインを調整することにより、受光感度を調
整する。なおこの実施例では、これら調整部24,25
を、制御部22の指令に応じて作動させることにより、
ラインCCD21からの受光出力のレベルを最適なレベ
ルに設定するための調整処理を自動化するようにしてい
る。(詳細は後記する。)
【0037】上記構成の膜厚センサでは、測定対象の基
板8の種類に応じて前記各調整部24,25によりライ
ンCCD21の出力レベルを自動調整した後、膜厚測定
処理を開始する。この測定処理において、制御部22
は、薄膜の厚みが所定値に想定されたときの理論上の反
射スペクトルを示すデータを所定数の膜厚毎に設定した
後、これら理論上の反射スペクトルと前記A/D変換部
23から入力された受光データの示す反射スペクトルと
を順に比較する方法(カーブフィッティング法)によ
り、薄膜の厚みを特定する。
【0038】基板上の薄膜の厚みをd,屈折率をnとす
ると、薄膜に波長λの光が入射したときの入射光に対す
る干渉光の割合(反射率)Rは、つぎの(1)式で示すこ
とができる。前記理論上の反射スペクトルは、膜厚dを
所定単位Δdずつ変化させながら、各膜厚dにつき、そ
れぞれ波長単位毎につぎの(1)式を用いて反射率Rの理
論値を求めることにより得られるものである。 R=1−A/{B+C×cos[(4π/λ)×n×d]} ・・・(1) (A,B,Cは、基板,薄膜の屈折率により求められる
定数である。)
【0039】図5は、前記カーブフィッティング法の原
理を示す。図中、Sは、実測の受光データが示す反射ス
ペクトルである。R1〜R5は膜厚毎に前記(1)式によ
り得られた理論上の反射スペクトル(以下、「理論曲
線」という。)であって、膜厚によって光の干渉の度合
が変化するという現象を反映してそれぞれ異なる分布形
状をとる。カーブフィッティング法では、実測の受光デ
ータについて各理論曲線に対する最小自乗誤差を順に求
めることにより、前記受光データに最も近い形状の理論
曲線を特定し、その理論曲線に対応する膜厚d(図示例
では1000nm)を、測定対象の薄膜の厚みとする。
【0040】つぎに前記した受光出力の調整処理につい
て詳細を説明する。既に述べたように、受光データの示
す反射スペクトルは、基板本体8bや薄膜8aの反射率
や光の吸収率などの光学特性によって変化する。この実
施例では、測定処理に先立ち、これらの光学特性が既知
であるレファレンス基板を用いてラインCCD21の受
光出力を自動調整し、膜厚の測定に最適な環境を設定す
るようにしている。
【0041】いまこのレファレンス基板の実測において
得られた波長λにおける受光データをS(0,λ)とす
ると、このS(0,λ)はつぎの(2)式で表すことがで
きる。 S(0,λ)=P0(λ)×R(0,λ)×F ・・・(2)
【0042】上記(2)式において、R(0,λ)は、前
記レファレンス基板の光学特性に基づく理論上の反射率
(波長λの入射光に対する反射率)であり、P0(λ)
は投光部5における波長λの光の出力パワー、Fは受光
部6の受光感度である。この関係は、測定対象の基板に
ついても同様であり、P0(λ)およびFは、最適な受
光データを得るためのパラメータとなる。上記パラメー
タのうち投光パワーP0(λ)は、投光部5の前記波長
λに対応するLEDの発光量を制御することによって調
整することができる。また受光感度Fは、前記ラインC
CDのシャッタ時間やCCDの受光出力を増幅するため
のゲイン設定によって調整することができる。
【0043】図6は、CCDのシャッタ時間の制御によ
る受光感度の調整により受光出力を調整する方法を示
す。図中の(a),(b),(c)は、前記投光部5の各LE
D11,12,13の発光タイミングであって、それぞ
れ所定のデューティ比の駆動パルスが設定されている。
(d)は初期状態でのCCDの駆動タイミングであって、
各LED11,12,13の発光タイミングに同期する
時間間隔t毎に蓄積電荷を放出するように設定されてい
る。
【0044】図6の(e)は、前記(d)のタイミングでC
CDを駆動したときの受光出力の電圧レベルである。こ
のように受光出力のレベルが目標とする基準のレベル域
に到達していない場合、その下の(f)に示すように、C
CDのシャッタ時間を初期状態の所定倍(図示例では3
倍)に設定して入射光量を増やすことで対応する。図6
のgは、前記fのタイミングによる受光出力であって、
前記基準のレベル域内に到達した受光出力が得られてい
る。
【0045】なお投光部5の出力パワーの調整は、調整
対象のLEDへの駆動パルス幅を変更することによって
行われる。例えば駆動パルス幅を初期状態より長くすれ
ば、波長λにおける出力パワーは増大し、その結果、C
CDに入射する波長λの反射光のパワーが大きくなるの
で、受光出力がおのずと高められる。
【0046】この実施例では、つぎに述べる原理に基づ
き、前記レファレンス基板により得られた受光出力のピ
ーク値または最小値が所定のレベルになるように、前記
ラインCCD21のシャッタ時間やLED11,12,
13の駆動パルス幅、前記増幅回路のゲイン28などを
調整する。なお投光パワー、CCDのシャッタ時間、出
力ゲインのいずれを調整するかは、調整の方向や大きさ
によって種々選択可能であり、複数の方法を組み合わせ
て調整が行われる場合もある。
【0047】ここでこの実施例における調整方法の原理
を説明する。前記レファレンス基板には、通常、測定対
象の基板と同一種類の薄膜が形成されていない基板が用
いられる。このレファレンス基板については、その基板
の光学特性に基づき、あらかじめ各波長単位毎の反射率
を求めることができるので、そのデータによって理論上
の反射スペクトル(理想曲線)を設定することができ
る。またレファレンス基板による実測の受光データの示
す反射スペクトルは、前記(2)式に示すとおり、理想曲
線と同形状になるはずである。
【0048】さらに測定対象の薄膜の形成された基板に
ついても、その膜厚が所定値であると仮定すれば、薄膜
や基板の光学特性を前記(1)式にあてはめることによっ
て理想曲線を設定することができるから、測定対象の基
板の理想曲線が前記レファレンス基板の理想曲線に対
し、どのような関係にあるかを求めることができる。
【0049】図7(1)は、SiO2膜が形成されたシ
リコン基板を測定対象とする場合に、膜のないレファレ
ンス基板の理想曲線R0と、所定の厚みdの膜が形成さ
れた基板の理想曲線Rdとの関係を示す。なおこれら理
想曲線R0,Rdは、波長単位毎の反射率曲線として表さ
れる。シリコン基板は反射率が高いため、膜の形成され
た基板では、膜のない状態下よりも反射率が低下する
が、基板本体と薄膜との屈折率の差が大きいため、光の
干渉の変動の度合が大きくなり、振幅の大きな理論曲線
dが得られる。なお図示例では、理論曲線Rdの一例と
して膜厚が500nmの場合の理想曲線を示しているが、
他の膜厚の基板についても、レファレンス基板の理想曲
線R0に対する位置関係は、図示例と同様である。
【0050】図7(2)は、ITO膜が形成されたガラ
ス基板を測定対象とする場合に、膜のないレファレンス
基板の理論曲線R0と、所定の厚みdの膜が形成された
基板の理論曲線Rdとの関係を示す。なお理想曲線Rd
しては、前記図7(1)のシリコン基板と同様に膜厚が
500nmの場合の曲線を示している。ガラス基板は透過
性が高いため、膜のない状態下での反射率は、前記シリ
コン基板に比べ、はるかに小さくなる。膜が形成された
基板では、レファレンス基板よりも反射率が高くなる
が、基板本体と膜との間の屈折率の差が小さいため、波
長単位毎の反射率の変動は、緩やかになる。なおガラス
基板においても、膜厚が500nm以外の基板の理想曲線
とレファレンス基板の理想曲線R0との関係は、図示例
と同様になる。
【0051】したがってレファレンス基板と測定対象の
基板との各理論曲線R0,Rdが前記図7(1)のような
関係にある場合には、レファレンス基板により得られる
受光出力のレベルをA/D変換のダイナミックレンジの
上限値ADmaxに合わせるようにすれば、測定処理時の
受光レベルを前記上限値ADmaxから飽和しないレベル
に設定することができる。またこの場合、投光パワーや
受光感度を下げる方向への調整が行われることによって
受光出力の変動幅が強調されるのが抑えられ、測定処理
時の受光出力の大きな変動をダイナミックレンジ内に入
れ込むことが可能となる。
【0052】他方、レファレンス基板と測定対象の基板
とが前記図7(2)のような関係にあるときは、レファ
レンス基板により得られる受光出力のレベルをA/D変
換のダイナミックレンジの下限値ADminに合わせるこ
とにより、測定処理時の受光レベルが、前記下限値AD
minより下に落ち込まないようにすることができる。ま
たこの場合、投光パワーや受光感度を上げる方向への調
整を行うことによって受光出力の変動幅が強調されるよ
うになり、測定処理時の受光出力の緩やかな変動をダイ
ナミックレンジ内で強調することができる。
【0053】ところで前記図7(1)(2)に示した各
理論曲線R0,Rdは、いずれも波長単位毎に一定の強度
の光が与えられたことを前提とするものである。しかし
ながらこの実施例の膜厚センサでは、前記した構成の光
源10により、図8に示すような特性を持つ光を基板に
照射しているため、レファレンス基板による受光出力
は、前記理論曲線R0に光源10の発光スペクトルの特
性を加味した曲線に近い反射スペクトルを示すようにな
る。このためこの実施例では、レファレンス基板による
測定処理において得られた受光出力のうち、図8の3つ
のピークP1,P2,P3に対応する最大のレベル、ま
たは受光出力の最小のレベルを用いた調整を行うように
している。
【0054】図9は、前記図7(1)のシリコン基板に
ついて受光出力を調整した例を示す。なお、図中の
(A)は、前記図7(1)と同様の理論曲線R0,Rd
示したグラフであり、(B)は、調整処理後に計測され
る受光出力の概略形状を示したグラフである。
【0055】上記図9(B)において、S0は、レファ
レンス基板についての調整処理後の受光出力であって、
前記図8の投光部5の出力特性を反映した反射スペクト
ルが表れている。またSdは、左側の理想曲線Rdに対応
させて、前記膜厚500nmの基板を測定した場合の受光
出力を示す。
【0056】この例の場合、理論上は、前記理論曲線R
0に対応する波長単位の電圧レベルをそれぞれ前記A/
D変換の上限値ADmaxに合わせることになるが、処理
の上では、レファレンス基板により得られる受光出力の
ピーク値(前記投光部5からの光の3つのピークP1,
P2,P3に対応して出現する。)が理論曲線R0の本
来のレベルを表すものとして、これらピークのレベルを
上限値ADmaxに合わせるように調整する。このような
調整により、測定対象の基板について、図示のように、
A/D変換のダイナミックレンジ内に適切な大きさで現
れる受光出力S dを得ることができる。
【0057】図10は、前記図7(2)のガラス基板に
ついて受光出力を調整した例を示す。この場合、理論上
は、前記理論曲線R0に対応する波長単位の電圧レベル
をそれぞれ前記A/D変換の下限値ADminに合わせる
ことになるが、処理の上では、レファレンス基板により
得られる受光出力の最小レベルが理論曲線R0の本来の
レベルを表すものとして、この最小レベルを下限値AD
minに合わせるような調整が行われる。このような調整
により、測定対象の基板について、図示のように、A/
D変換のダイナミックレンジ内に入り、かつ強度の変動
の幅が強調された受光出力Sdを得ることができる。
【0058】なおレファレンス基板は、測定対象の基板
と同一材質のものに限らず、光学特性が既知の基板であ
り、その基板による理論曲線と測定対象の基板における
理論曲線との関係が特定できるような基板を、レファレ
ンス基板としてもよい。図11は、SiO2膜の形成さ
れたシリコン基板を測定対象とする場合に、クロム基板
をレファレンス基板として受光出力の調整を行った例を
示す。この場合、(A)のグラフに示すように、測定対象
の基板の理論曲線Rdはレファレンス基板の理論曲線R0
に対し、複数位置で交叉するような関係にある。
【0059】このような関係が成立する場合、測定対象
の基板の実測データをA/D変換のダイナミックレンジ
に収めるためには、前記レファレンス基板により得た実
測の受光レベルを前記上限値ADmaxと下限値ADmin
の間の所定位置に設定することになる。
【0060】図示例では、理論上のデータに基づき、測
定対象の基板の理論曲線Rdの変動幅がダイナミックレ
ンジに対応するものと想定し、このダイナミックレンジ
内において、前記理論曲線R0とRdとの交点に対応する
電圧レベルLに、前記レファレンス基板の受光出力のピ
ークを合わせている。このような調整により、測定対象
の基板について、図示のように、前記基準の電圧レベル
Lより高くなることはあっても、A/D変換の上限値A
maxを上回ることがなく、また下限値ADminを下回る
ことのない適正な受光出力Sdを得ることができる。な
お上記方法においては、膜厚dが想定できる最大値をと
る場合の理想曲線R dを用いて基準の電圧レベルLを設
定するのが望ましい。
【0061】図12は、上記膜厚センサによる一連の測
定処理の手順を示す。なお各手順のうち、点線の矩形枠
の手順(ST1,ST3,ST7)には、オペレータの
操作が介在する。まず最初のST1では、レファレンス
基板、測定対象の基板について、屈折率,吸収係数など
の光学定数を入力する。(測定対象の基板については、
基板本体および薄膜の双方について入力する。)
【0062】なお、上記のデータ入力は、オペレータが
前記パーソナルコンピュータ4を用いて行うものであ
り、通常は実際の定数を示す数値が手入力される。ただ
しパーソナルコンピュータ4またはコントローラ2の制
御部22に、基板の種類毎の光学定数を記憶したテーブ
ルを設定しておき、ユーザーが基板の種類を指定するこ
とにより前記テーブルから対応する数値を呼び出して入
力することも可能である。
【0063】つぎのST2では、前記入力データに基づ
き、レファレンス基板の理論曲線R 0,および測定対象
の基板の理論曲線Rdを構成するディジタルデータR
(0,λ),R(d,λ)(各波長λ毎の反射率を示す
データ)を作成する。(以下、理論曲線データR(0,
λ),R(d,λ)という。) なお測定対象の基板の理論曲線データR(d,λ)は、
膜厚毎に作成され、後の膜厚測定のためにテーブル化さ
れてメモリ内に保存される。
【0064】つぎのST3で、オペレータが前記レファ
レンス基板を測定位置に設置し、測定開始操作を行う
と、投光部5より光が照射されて計測処理が開始され
る。受光部6からの受光出力はA/D変換された後に制
御部22に取り込まれる。制御部22は、この計測処理
において、理論曲線データR(0,λ),R(d,λ)
の関係を前記図9〜11に示した原理にあてはめて、受
光データの最大値または最小値が所定のレベルを示すよ
うになるまで、投光量調整部24や受光感度調整部25
による調整処理を行う(ST4)。これによりラインC
CD21の受光出力のレベルが最適なレベルに調整され
ると、ST5が「YES」となり、つぎのST6で、こ
の状態下の受光出力を表す受光データS(0,λ)をメ
モリに記憶し、しかる後に膜厚の測定処理に移行する。
【0065】まずST7では、オペレータの測定開始操
作に応じて測定対象の基板を導入して、投光部5より光
を照射する。受光部6からの受光出力はA/D変換され
た後に制御部22に取り込まれる。なお、ここで得られ
た受光出力は、レファレンス基板における受光出力と同
様に投光部5の出力特性の影響を受けているので、つぎ
のST8で、受光出力より得た測定データS(d,λ)
を理論曲線R(d、λ)との比較が可能なデータS´
(d,λ)に補正する。この補正データS´(d,λ)
は、前記レファレンス基板の理想曲線データR(0,
λ)と受光データS(0,λ)とを用いて、つぎの(3)
式により求められるもので、波長λ毎の計測された反射
率を表すデータである。 S´(d,λ)=R(0,λ)・S(d,λ)/S(0,λ) ・・・(3)
【0066】このようにして実測の反射率S´(d,
λ)が求められると、ST9に進み、このS´(d,
λ)と前記メモリに記憶した各理想曲線データR(d,
λ)との最小自乗誤差を順に求め、その結果に基づき、
測定対象の基板における膜厚を特定する。その特定結果
は、前記入出力部27や表示制御部26を介して外部に
出力される(ST10)。以下ST7〜10の手順を繰
り返すことにより、基板が供給される都度、膜厚の測定
処理を行う。最後の基板の処理が終了すると、ST11
が「YES」となって、一連の手順を終了する。
【0067】上記の手順によれば、オペレータは受光出
力の調整処理時に、ST1でデータ入力を行い、ST3
でレファレンス基板を測定位置に設定して測定開始操作
を行うだけで良くなり、その後は膜厚の測定に最適な受
光レベルへの調整が自動的に行われる。なお続けて別の
種類の基板を測定する場合は、再度ST1の手順から順
に各手順を実行することにより、測定対象の基板に応じ
た受光出力レベルに調整された後に、測定処理が行われ
る。
【0068】最後に、上記実施例においては基板からの
反射光を用いて膜厚を測定するようにしているが、基板
からの透過光を用いて膜厚を測定する場合についても、
同様の方法により膜厚の測定に最適な受光レベルへの調
整を行うことが可能である。
【0069】
【発明の効果】この発明によれば、測定対象の基板およ
びその膜の光学特性に関するデータに基づき、レファレ
ンス基板に光を照射したときに得られる受光素子の出力
電圧レベルが自動的に調整されて、測定対象の基板の膜
厚を測定するのに最適な環境が設定されるので、調整作
業にかかるオペレータの労力を大幅に軽減することがで
き、また膜厚を高精度で測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる膜厚センサの外観
を示す図である。
【図2】図1の膜厚センサの投光部に使用される光源の
構成を示す図である。
【図3】光源の出力特性とダイクロイックミラーの透過
特性との関係を示すグラフである。
【図4】膜厚センサの構成を示す概念図である。
【図5】カーブフィッティング法の原理を説明する図で
ある。
【図6】受光出力の調整方法を説明するためのタイミン
グチャートである。
【図7】レファレンス基板と測定対象の基板との理想曲
線の関係を示すグラフである。
【図8】光源の特性を示す図である。
【図9】理想曲線および受光出力調整後の受光出力の関
係を示す図である。
【図10】理想曲線および受光出力調整後の受光出力の
関係を示す図である。
【図11】理想曲線および受光出力調整後の受光出力の
関係を示す図である。
【図12】受光出力の調整および膜厚測定の手順を示す
フローチャートである。
【符号の説明】 5 投光部 6 受光部 8 基板 8a 薄膜 20 分光フィルタ 21 ラインCCD 22 制御部 23 A/D変換部 24 投光量調整部 25 受光感度調整部
フロントページの続き Fターム(参考) 2F065 AA30 CC31 DD06 FF61 GG06 GG07 GG23 GG24 JJ02 JJ25 LL03 LL04 LL20 LL22 LL30 LL67 NN12 NN13 QQ03 QQ29 SS13 4M106 AA01 BA04 CA48 DH03 DH12 DH31 DH40 DJ18 DJ20 DJ23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に薄膜が形成された基板に所定の波
    長域に分布する光を照射するとともに、前記基板からの
    反射光または透過光を所定波長単位に分光して複数の受
    光素子により受光し、各受光素子からの出力信号の特性
    に基づき前記基板の薄膜の厚みを測定する方法におい
    て、 各受光素子に既知の特性をもつ光を受光させるレファレ
    ンス基板についての前記光の既知の特性と各受光素子が
    測定対象の基板より受光する光の理論上の特性との関係
    を、前記測定対象の基板およびその膜の光学特性に基づ
    き特定するステップと、 前記レファレンス基板に前記波長域の光を照射しつつ、
    この照射光に対する各受光素子の出力信号のレベルがレ
    ファレンス基板と測定対象の基板との間の前記光の特性
    の関係に基づく所定のレベルになるように、前記照射光
    の強度および受光感度の少なくとも一方を調整するステ
    ップとを、前記測定処理に先立ち実行することを特徴と
    する膜厚測定方法。
  2. 【請求項2】 測定対象の基板に所定の波長域に分布す
    る光を照射するための投光手段と、 測定対象の基板からの反射光または透過光を分光する分
    光素子と、この分光素子により所定波長単位に分けられ
    た光を受光するための複数個の受光素子とを具備する受
    光手段と、 前記受光素子の出力信号のレベルを調整する調整手段
    と、 前記調整手段による調整が完了した後に、前記投光手段
    からの光を測定対象の基板に照射した状態下で各受光素
    子の出力信号を取り込んで、これら出力信号の特性に基
    づき前記基板の薄膜の厚みを測定する測定手段とを具備
    する膜厚センサにおいて、 前記調整手段は、 前記測定対象の基板およびその膜の光学特性に関するデ
    ータを入力する手段と、前記入力されたデータに基づ
    き、各受光素子に既知の特性をもつ光を受光させるレフ
    ァレンス基板についての前記光の既知の特性と各受光素
    子が前記測定対象の基板から受光する光の理論上の特性
    との関係を特定する手段とを具備し、前記レファレンス
    基板に前記光源からの光を照射した状態下において、前
    記受光素子の出力信号のレベルが前記レファレンス基板
    と測定対象の基板との間の前記光の特性の関係に基づく
    所定のレベルになるように調整することを特徴とする膜
    厚センサ。
  3. 【請求項3】 前記調整手段は、投光手段の出力パワー
    の調整、受光素子の感度調整、受光出力のゲイン調整の
    うちの少なくともいずれかを用いて前記受光素子の出力
    レベルを調整する請求項2に記載された膜厚センサ。
  4. 【請求項4】 前記調整手段は、前記光の特性の関係と
    して、前記測定対象の基板に対する光の理論上の反射率
    がレファレンス基板に対する光の既知の反射率よりも低
    いという関係を特定したとき、前記レファレンス基板に
    光を照射した状態下での受光素子の出力信号の最大レベ
    ルが測定のためのダイナミックレンジの上限値付近に対
    応するように調整する請求項2に記載された膜厚セン
    サ。
  5. 【請求項5】 前記調整手段は、前記光の特性の関係と
    して、前記測定対象の基板に対する光の理論上の反射率
    がレファレンス基板に対する光の既知の反射率よりも高
    いという関係を特定したとき、前記レファレンス基板に
    光を照射した状態下での受光素子の出力信号の最小レベ
    ルが測定のためのダイナミックレンジの下限値付近に対
    応するように調整する請求項2に記載された膜厚セン
    サ。
  6. 【請求項6】 前記調整手段は、前記光の特性の関係と
    して、前記測定対象の基板に対する光の理論上の反射率
    とレファレンス基板に対する光の既知の反射率との大小
    関係が波長によって変動するという関係を特定したと
    き、前記レファレンス基板に光を照射した状態下での受
    光素子の出力信号の最大レベルが測定のためのダイナミ
    ックレンジ内の所定位置に対応するように調整する請求
    項2に記載された膜厚センサ。
  7. 【請求項7】 前記測定手段は、前記受光素子が測定対
    象の基板から受光した光の特性と、前記受光素子がレフ
    ァレンス基板から受光する光の既知の特性と、前記レフ
    ァレンス基板を用いて調整が完了した時点で受光素子が
    レファレンス基板により受光した光の特性とを用いて、
    前記投光手段からの光に対し受光素子が測定対象の基板
    から受光した光の比率を波長毎に算出し、その算出結果
    を用いて測定対象の基板の膜厚を特定する請求項2に記
    載された膜厚センサ。
JP2000273830A 2000-09-08 2000-09-08 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ Expired - Fee Related JP3852556B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000273830A JP3852556B2 (ja) 2000-09-08 2000-09-08 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000273830A JP3852556B2 (ja) 2000-09-08 2000-09-08 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002081910A true JP2002081910A (ja) 2002-03-22
JP3852556B2 JP3852556B2 (ja) 2006-11-29

Family

ID=18759696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000273830A Expired - Fee Related JP3852556B2 (ja) 2000-09-08 2000-09-08 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3852556B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011045477A1 (en) * 2009-10-15 2011-04-21 Valtion Teknillinen Tutkimuskeskus Method and system for the thickness data determination of ultrathin optical films in-situ
JP5265050B1 (ja) * 2012-02-27 2013-08-14 株式会社シンクロン Led光源装置、膜厚測定装置及び薄膜形成装置
JP2014115242A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Omron Corp 変位計測方法および変位計測装置
WO2019014289A1 (en) * 2017-07-12 2019-01-17 Sensory Analytics, Llc METHODS AND SYSTEMS FOR MEASUREMENT DURING REAL-TIME MANUFACTURING OF COATINGS ON METALLIC SUBSTRATES USING OPTICAL SYSTEMS
JP2019144217A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 国立大学法人千葉大学 膜厚測定装置、これを用いた蒸着装置及び膜特性評価装置

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011045477A1 (en) * 2009-10-15 2011-04-21 Valtion Teknillinen Tutkimuskeskus Method and system for the thickness data determination of ultrathin optical films in-situ
JP2013507635A (ja) * 2009-10-15 2013-03-04 テクノロジアン タトキマスケスクス ヴィーティーティー 原位置における極薄の光学膜の厚さデータ決定のための方法およびシステム
JP5265050B1 (ja) * 2012-02-27 2013-08-14 株式会社シンクロン Led光源装置、膜厚測定装置及び薄膜形成装置
KR20140121338A (ko) 2012-02-27 2014-10-15 신크론 컴퍼니 리미티드 Led 광원장치, 막두께 측정장치 및 박막 형성장치
JP2014115242A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Omron Corp 変位計測方法および変位計測装置
WO2019014289A1 (en) * 2017-07-12 2019-01-17 Sensory Analytics, Llc METHODS AND SYSTEMS FOR MEASUREMENT DURING REAL-TIME MANUFACTURING OF COATINGS ON METALLIC SUBSTRATES USING OPTICAL SYSTEMS
US10928185B2 (en) 2017-07-12 2021-02-23 Sensory Analytics, Llc Methods and systems for real-time, in-process measurement of coatings on metal substrates using optical systems
US11143500B2 (en) 2017-07-12 2021-10-12 Sensory Analytics, Llc Methods and systems for real-time, in-process measurement of automobile paints and transparent coatings
US11143501B2 (en) 2017-07-12 2021-10-12 Sensory Analytics, Llc Methods and systems for real-time, in-process measurement of coatings on metal substrates of appliances
US11226192B2 (en) 2017-07-12 2022-01-18 Sensory Analytics, Llc Methods and systems for real-time, in-process measurement of coatings on substrates of aerospace components
US11680791B2 (en) 2017-07-12 2023-06-20 Sensory Analytics, Llc Methods and systems for real-time, in-process measurement of coatings on substrates of aerospace components
JP2019144217A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 国立大学法人千葉大学 膜厚測定装置、これを用いた蒸着装置及び膜特性評価装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3852556B2 (ja) 2006-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4984894A (en) Method of and apparatus for measuring film thickness
JP3292029B2 (ja) ドライ・エッチング終点監視方法およびそのための装置
TWI480501B (zh) Displacement measurement method and displacement measuring device
EP0451329B1 (en) Controlling method of the thickness of a thin film when forming that film
EP0867697B1 (en) Light source apparatus and measurement method
CN103673887A (zh) 共聚焦计测装置
US20110222060A1 (en) Monochromator comprising variable wavelength selector in combination with tunable interference filter
JP2009544965A (ja) 一体形画像認識・スペクトル検出装置並びに画像認識及び光のスペクトル検出によって光設定値を自動的に制御する装置及び方法
CN107044822A (zh) 光谱共焦传感器和测量方法
JP2002277215A (ja) 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ
JP2001174335A (ja) 特に仕上げ面の品質制御装置及びその方法
JP3852557B2 (ja) 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ
JP4100330B2 (ja) 薄膜測定方法及び薄膜測定装置
JP2002081910A (ja) 膜厚測定方法およびその方法を用いた膜厚センサ
CA2233175A1 (en) Method for wavelength-dependent compensation in a variable optical attenuator
EP1288649A1 (en) Method and device for detecting end point of curing of resin, assembly, apparatus and method for producing assembly
US7791722B2 (en) Spectrophotometer
JPS63278692A (ja) レ−ザ−加工装置に於ける自動焦点機構
JP2003114107A (ja) 膜厚測定装置
US20220266379A1 (en) Laser processing device
CN104040807B (zh) 可横向调节激光束限制器
JP2001154040A (ja) 光導波路型回折格子製造方法および装置
JP2010107355A (ja) 光学フィルタ調整方法およびムラ検査装置
US20060285107A1 (en) Method for sensing and controlling radiation incident on substrate
US7045772B2 (en) Device and method for controlling the optical power in a microscope

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040819

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060412

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees