JP2002080613A - 増粘剤、シートモールディングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンドおよびその製造方法、並びに樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

増粘剤、シートモールディングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンドおよびその製造方法、並びに樹脂成形品およびその製造方法

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JP2002080613A
JP2002080613A JP2001189295A JP2001189295A JP2002080613A JP 2002080613 A JP2002080613 A JP 2002080613A JP 2001189295 A JP2001189295 A JP 2001189295A JP 2001189295 A JP2001189295 A JP 2001189295A JP 2002080613 A JP2002080613 A JP 2002080613A
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molding compound
inorganic filler
syrup
polymer
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JP2001189295A
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Katsumi Yonekura
克実 米倉
Seiya Koyanagi
精也 小▲柳▼
Yuichiro Kishimoto
祐一郎 岸本
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二価の金属の酸化物または水酸化物等の増粘
剤を用いなくても、取り扱い性の良好なシートモールデ
ィングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパ
ウンド、および耐水性、特に耐熱水性に優れた樹脂成形
品を得る。 【解決手段】 無機充填剤(A)と該無機充填剤(A)
と反応する官能基を有する重合体を含有するシラップ
(B)を含む増粘剤を含むシートモールディングコンパ
ウンドまたはバルクモールディングコンパウンドを硬化
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な増粘剤、高
温成形に適し成形加工性および取り扱い性に優れたシー
トモールディングコンパウンドまたはバルクモールディ
ングコンパウンド、並びにその製造方法、およびそのシ
ートモールディングコンパウンドまたはバルクモールデ
ィングコンパウンドを用いた樹脂成形品の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、人工大理石等の成形品は、ビ
ニル系単量体を含むシラップに水酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム等の無機充填剤を混合してなる混合物を成
形型内に充填し、硬化重合させる注型法で製造されてい
る。しかしながら、上記の製造方法は、成形材料に圧力
を加えずに硬化させるので、成形品に気泡が混入して、
成形外観を低下させることがある。従って、成形品に気
泡が混入しないように脱泡を行う必要があるため、作業
性が悪く、成形時間に長時間を要するため生産性が低
く、また、型内への充填性に問題があるために、成形品
の形状が制限されるという欠点を有する。
【0003】これらの欠点を改良するため、ビニル系単
量体を含むシラップと無機充填剤からなる混合物を増粘
剤で増粘させて得られるシートモールディングコンパウ
ンド(SMC)またはバルクモールディングコンパウン
ド(BMC)を、加熱加圧成形することによって樹脂成
形品を製造する検討が、従来よりなされている。
【0004】例えば、特公昭 64−11652号公報
には、メタクリル酸を共重合させたアクリル系シラップ
と無機充填剤からなる混合物をガラス繊維に含浸させ、
該含浸物を酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等の二
価の金属の酸化物または水酸化物で増粘させたアクリル
系SMCが開示されている。
【0005】しかしながら、特公昭 64−11652
号公報に記載されているアクリル系SMCを成形して得
られる樹脂成形品は、SMCまたはBMCとしての取り
扱い性を向上させるために添加される増粘剤の二価の金
属の酸化物または水酸化物が、微粉末状であるため、凝
集しやすく、得られた成形品表面に二価の金属の酸化物
または水酸化物が析出しやすいという問題があった。ま
た、増粘剤として使用される二価の金属の酸化物または
水酸化物は吸水性が大きい上に微粉末状であるため、水
分の影響を受けやすく、使用環境によっては、十分な増
粘性が得られず、SMCまたはBMCとしての取り扱い
性が不良となる問題点がある。さらに、二価の金属の酸
化物または水酸化物が強アルカリ性で吸水性であるた
め、成形品を耐熱水性試験すると、成形表面に二価の金
属の酸化物または水酸化物が析出し、凸およびフクレと
なって現れ、外観が著しく損なわれる欠点を有してい
る。
【0006】このため、キッチン用途やバス用途、水タ
ンク用途等の耐水性を要求される用途では、改善が求め
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐水
性に優れた樹脂成形品を得ることができる増粘剤、シー
トモールディングコンパウンドまたはバルクモールディ
ングコンパウンド並びにその製造方法に関するものであ
り、特に、耐水性、特に耐熱水性に優れた樹脂成形品の
製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について検討した結果、無機充填剤と反応する官能基を
有する重合体を含有するシラップを用いることにより、
二価の金属の酸化物または水酸化物等の増粘剤を用いな
くても、あるいは二価の金属の酸化物または水酸化物を
用いる場合には極めて少量にすれば、取り扱い性の良好
な状態まで増粘させることができることを見出し、その
結果、耐水性が優れた樹脂成形品を得ることができるこ
とを見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、無機充填剤(A)お
よび該無機充填剤(A)と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップ(B)を含む増粘剤、二価の金属
の酸化物または水酸化物をシラップ(B)全量に対して
0.6質量%以下含有する無機充填剤(A)と、該無機
充填剤(A)と反応する官能基を有する重合体を含有す
るシラップ(B)を含み、所望により繊維強化材(C)
および/または石目模様材(D)を含んでいてもよいシ
ートモールディングコンパウンドまたはバルクモールデ
ィングコンパウンド、無機充填剤(A)、および該無機
充填剤(A)と反応する官能基を有する重合体を含有
し、二価の金属の酸化物または水酸化物の含有量が0.
6質量%以下であるシラップ(B)を攪拌混合した後、
熟成して増粘させてなるシートモールディングコンパウ
ンドまたはバルクモールディングコンパウンドの製造方
法、並びに、それらシートモールディングコンパウンド
またはバルクモールディングコンパウンドを加熱加圧硬
化する樹脂成形品の製造方法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の増粘剤は、無機充填剤
(A)と該無機充填剤(A)と反応する官能基を有する
重合体を含有するシラップ(B)を構成成分とするもの
である。
【0011】本発明に使用する無機充填剤(A)は、得
られる成形品に機械的強度や耐熱性を付与する作用を有
するものであり、また、無機充填剤(A)と反応する官
能基を有する重合体を含有するシラップ(B)を用いる
場合には、増粘剤の1成分としての作用を有するもので
ある。
【0012】本発明において、無機充填剤(A)として
は、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水
酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリ
ウム等の硫酸塩、シリカ、溶融シリカ、酸化チタン、酸
化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等
の酸化物、リン酸カルシウム等のリン酸塩、タルク、マ
イカ、クレー、ガラスパウダー等を使用することがで
き、これらは2種以上を併用することができる。
【0013】特に、本発明のシートモールディングコン
パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドを樹
脂成形品用成形材料として使用する場合には、無機充填
剤として、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カル
シウム等の炭酸塩、シリカ、溶融シリカ、ガラスパウダ
ーを主成分として用いることが好ましく、これらのうち
成形品の加工のしやすさの面から水酸化アルミニウム、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムがより好ましく、後
述するように増粘性のコントロールの面から炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウムが特に好ましく、コストの面か
ら炭酸カルシウムが最も好ましい。
【0014】また、炭酸カルシウムとしては、特に制限
はなく、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムが使
用できる。
【0015】本発明の増粘剤において、無機充填剤
(A)を増粘剤の1成分として使用する場合に、(B)
成分中の官能基との反応性が重要である。
【0016】前記無機充填剤(A)のうち、特に増粘剤
の1成分としての作用を有するものの具体例としては、
例えば、水酸化アルミニウム等の三価の金属の水酸化
物、酸化アルミニウム等の三価の金属の酸化物、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム等のニ価の金属の水酸
化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の二価の金
属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の二
価の金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0017】このうち、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム等の二価の炭酸塩の場合には、増粘性のコントロー
ルが容易であるため、最も好ましい。例えば、炭酸カル
シウムとしては、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシ
ウムが使用できるが、重炭酸カルシウムよりも軽質炭酸
カルシウムの方が増粘活性が高い傾向にある。
【0018】そこで、使用する(B)成分中の官能基の
種類により、どちらか一方の炭酸カルシウムを選択した
り、あるいは両者を併用したりして、適宜選択すること
により、増粘性(増粘速度、最終到達粘度)をコントロ
ールすることが好ましい。また、このうち、水酸化アル
ミニウム等の三価の水酸化物は、吸湿性が高いため、通
常水分を含んだ状態である。一方で、この水分は、増粘
性(増粘速度、最終到達粘度)に影響を及ぼし、増粘性
のコントロールを不良にさせる傾向にある。
【0019】(A)成分の含有量は特に限定されない
が、本発明のシートモールディングコンパウンドまたは
バルクモールディングコンパウンド全量中、10質量%
〜80質量%の範囲が好ましい。
【0020】これは、(A)成分の使用量を10質量%
以上とすることによって、得られる成形品の耐熱性が良
好となるとともに線収縮率が低くなる傾向にあり、ま
た、80質量%より少なくすることによって、成形品に
大理石調の深みのある良好な質感を付与することが可能
となる傾向にあるからである。
【0021】(A)成分の含有量の下限値については、
15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に
好ましい。また、上限値については70質量%以下がよ
り好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
【0022】二価の金属の酸化物または水酸化物の使用
量は特に制限されないが、耐水性が要求される場合に
は、(B)成分全量に対して0.6質量%を超えない範
囲で使用することが好ましい。
【0023】二価の金属の酸化物または水酸化物の含有
量がシラップ(B)全量に対し、0.6質量%を超える
場合には、成形品の耐熱水性試験後の成形品表面に二価
の金属の酸化物または水酸化物の析出が顕著となり、凸
およびフクレとなって現われ、外観が著しく損なわれる
傾向にある。
【0024】二価の金属の酸化物または水酸化物の含有
量は、シラップ(B)全量に対し、0.50質量%以下
が好ましく、0.30質量%以下がより好ましく、0.2
5質量%以下が特に好ましく、未添加であることが最も
好ましい。
【0025】本発明に使用する(B)成分は、無機充填
剤(A)と反応する官能基を有する重合体(B1-1)を含有
するシラップであり、重合体(B1)と単量体(B2)からな
る。
【0026】この重合体(B1)は、無機充填剤(A)と反
応する官能基を有する重合体(B1-1)を含有する。
【0027】本発明では、シラップ(B)中に、無機充
填剤(A)と反応する官能基を有する重合体(B1-1)を含
有させることにより、シラップ(B)自身が無機充填剤
(A)と反応して増粘作用を発現させるものである。
【0028】そこで、従来のように二価の金属の酸化物
または水酸化物を用いなくても、あるいは極めて少量の
二価の金属の酸化物または水酸化物を用いたとしても、
取り扱い性の良好な粘度まで増粘させることが可能とな
ることを、本発明者らは見いだした。
【0029】また、本発明では、シラップ(B)中に無
機充填剤(A)と反応する官能基を有しているため、無
機充填剤(A)との親和性が向上し、無機充填剤(A)
の分散が良好となる。
【0030】さらに、該シートモールディングコンパウ
ンドまたはバルクモールディングコンパウンドを用いて
得られた成形品は、シラップ(B)が無機充填剤(A)
と反応する官能基を有する重合体(B1-1)を含有すること
により、樹脂成分と無機充填剤界面との結合がより強固
となるため、得られる成形品の耐水性、特に耐熱水性が
良好となる。
【0031】シラップ(B)が無機充填剤(A)と反応
する官能基を有する重合体(B1-1)を含有しない場合に
は、増粘しない。
【0032】本発明において、(B)成分中に含有する
無機充填剤(A)と反応する官能基を有する重合体(B1-
1)とは、重合体分子鎖中に無機充填剤(A)と反応する
官能基を1個以上含有する重合体である。
【0033】本発明において、無機充填剤(A)と反応
する官能基とは、共有結合、イオン結合、水素結合等の
化学的な結合により、無機充填剤(A)と相互作用する
官能基である。
【0034】具体的には、例えば、カルボキシル基、リ
ン酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基、グリシジ
ル基、シラノール基等が挙げられる。これらの中では、
無機充填剤(A)との反応性の高いカルボキシル基が好
ましい。
【0035】無機充填剤(A)と反応する官能基を有す
る重合体(B1-1)としては、重合体分子鎖中に上述の官能
基を1個以上含有していれば、特に制限はなく、側鎖に
官能基を有していてもよいし、分子鎖末端に官能基を有
していてもよいし、その両者に官能基を有していてもよ
い。特に、増粘性の面から、側鎖に官能基を有している
ことが好ましい。
【0036】例えば、上述の官能基を有するポリエステ
ル系重合体、上述の官能基を有するビニル系重合体、上
述の官能基を有するビニルエステル系重合体等の重合体
が挙げられる。
【0037】これら無機充填剤(A)と反応する官能基
を有する重合体(B1-1)の製造方法としては、特に制限さ
れず、例えば上述の無機充填剤(A)と反応する官能基
を有する単量体(B2-1)を重合して得る方法が挙げられ
る。
【0038】本発明で用いる無機充填剤(A)と反応す
る官能基を有するビニル系単量体(B2-1)としては、特
に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)
アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル
酸モノアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルエス
テル、イタコン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸
モノアルキルエステル等のカルボキシル基を含むビニル
系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を含むビニ
ル単量体と例えば無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無
水フタル酸、無水ナジック酸等の酸無水物類等との付加
反応によって得られるカルボキシル基を含むビニル系単
量体; モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェート等のリン酸基を含むビニル単
量体;スルホン酸基を含むビニル系単量体;N,N−ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基
を含むビニル単量体;(メタ)アクリル酸アミド等のア
ミド基を含むビニル系単量体;グリシジル(メタ)アク
リレート等のグリシジル基を含むビニル系単量体;γ−
(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン等の
シラノール基となるビニル系単量体等が挙げられる。
【0039】これらは、必要に応じて単独であるいは二
種以上を併用してもよい。
【0040】また、本発明に用いる重合体(B1)は、無
機充填剤(A)と反応する官能基を有する単量体(B2-1)
と、無機充填剤(A)と反応する官能基を有さないビニ
ル系単量体(B2-2)とを共重合させて製造してもよい。
【0041】無機充填剤(A)と反応する官能基を有さ
ないビニル系単量体(B2-2)としては、特に制限されな
いが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、炭素数2
〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ
ート、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基を有する
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等の(メタ)アクリル系単官能性単量
体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系
単官能性単量体、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられ
る。
【0042】本発明に用いる重合体(B1-1)の製造方法
の具体例としては、例えば、下記〜の方法が挙げら
れる。
【0043】無機充填剤(A)と反応する官能基を有
する重合体(B1-1)がポリエステル系重合体の場合は、無
機充填剤(A)と反応する官能基を有する単量体(B2-1)
としてジカルボン酸が使用でき、ジカルボン酸と2価ア
ルコールを縮合重合することによって、末端にカルボキ
シル基を有するポリエステル系重合体を製造する。
【0044】無機充填剤(A)と反応する官能基を有
する重合体(B1-1)がビニル系重合体の場合には、無機充
填剤(A)と反応する官能基を有する単量体(B2-1)とし
て、無機充填剤(A)と反応する官能基を有するビニル
系単量体を使用することができ、この無機充填剤(A)
と反応する官能基を有するビニル系単量体を少なくとも
一部含むビニル系単量体を重合することによって製造す
る。
【0045】本発明に用いる重合体(B1-1)は、ビニル
系重合体が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリ
ル系重合体である。
【0046】そこで、本発明に用いる重合体(B1-1)の
製造に使用する単量体(B2)としては、(B2-1)成分および
/または(B2-2)成分の主成分を(メタ)アクリル系単量
体とすることが好ましく、(B2-1)成分および(B2-2)成分
の主成分を(メタ)アクリル系単量体とすることが特に
好ましい。
【0047】成分(B)中の無機充填剤(A)と反応す
る官能基を有する重合体(B1-1)中の官能基の含有量は、
重合体(B1-1)1000g中0.01モル以上が好まし
い。
【0048】この含有量が0.01モル以上の場合に、
(B1-1)成分と無機充填剤(A)との反応性が向上し、シ
ートモールディングコンパウンドまたはバルクモールデ
ィングコンパウンドを取り扱い性良好な粘度まで増粘さ
せることができる傾向にある。
【0049】また、この含有量の上限値は、特に限定さ
れないが、3モル以下が好ましい。この含有量が3モル
以下の場合に、シラップ(B)の粘度が低下し、繊維補
強材(C)への含浸性が良好となる傾向にある。この含
有量の下限値は、0.03モル以上がより好ましく、0.
1モル以上が特に好ましい。また、上限値は2モル以下
がより好ましく、1.5モル以下が特に好ましい。
【0050】無機充填剤(A)と反応する官能基を有す
る重合体(B1-1)の重量平均分子量としては、特に制限は
ないが、5000〜80万の範囲が好ましい。重量平均
分子量が5000以上の場合に最終到達粘度が向上し、
シートモールディングコンパウンドまたはバルクモール
ディングコンパウンドを取り扱い性が良好な粘度まで増
粘させることができる傾向にあり、80万以下の場合に
シラップ(B)の粘度が低下し、繊維補強材(C)への
含浸性が良好となる傾向にある。
【0051】この重量平均分子量の下限値は1万以上が
より好ましく、2万以上が特に好ましい。また、上限値
は70万以下がより好ましく、60万以下が特に好まし
い。
【0052】シラップ(B)中の無機充填剤(A)と反
応する官能基を有する重合体(B1-1)の含有量は、特に制
限されないが、シラップ(B)全量中、3質量%〜40
質量%が好ましい。3質量%以上の場合に無機充填剤
(A)との反応性が増加し、シートモールディングコン
パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドを取
り扱い性が良好な粘度まで増粘させることができる傾向
にあり、40質量%以下の場合にシラップ(B)の粘度
が低下し、繊維補強材(C)への含浸性が良好となる傾
向にある。この含有量の下限値は4質量%以上がより好
ましく、5質量%以上が特に好ましい。また、上限値は
35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に
好ましい。
【0053】また、シラップ(B)は、無機充填剤
(A)と反応する官能基を有する重合体(B1-1)以外にも
無機充填剤(A)と反応する官能基を有さない重合体
(B1-2)を含有してもよい。
【0054】例えば、無機充填剤(A)と反応する官能
基を有さないポリエステル系重合体、無機充填剤(A)
と反応する官能基を有さないビニル系重合体、無機充填
剤(A)と反応する官能基を有さないビニルエステル系
重合体等の重合体が挙げられる。
【0055】次に本発明のシラップ(B)を構成する単
量体(B2)について説明をする。
【0056】単量体(B2)としては、特に制限はなく、縮
合する単量体、付加重合する単量体、開環重合する単量
体等が挙げられるが、中でも、前述の付加重合するビニ
ル系単量体が好ましい。
【0057】シラップ(B)中の単量体(B2)の含有量と
しては、特に制限されないが、シラップ(B)全量中、
20質量%〜98質量%の範囲が好ましい。20質量%
以上の場合にシラップ(B)の粘度が低下し、繊維補強
材(C)への含浸性が良好となる傾向にあり、また、9
8重量%以下の場合に硬化時の収縮率が低くなる傾向に
ある。この含有量の下限値は25質量%以上がより好ま
しく、30質量%以上が特に好ましい。また、上限値は
95質量%以下がより好ましく、93質量%以下が特に
好ましい。
【0058】本発明においてシラップ(B)の含有量は
特に制限されるものではないが、本発明のシートモール
ディングコンパウンドまたはバルクモールディングコン
パウンドの作業性、および、このシートモールディング
コンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンド
を原料として得た樹脂成形品の機械的強度等の物性を考
慮に入れると、シートモールディングコンパウンドまた
はバルクモールディングコンパウンド全量中、5〜50
質量%の範囲が好ましい。
【0059】これは、(B)成分の含有量を5質量%以
上とすることによって、シートモールディングコンパウ
ンドまたはバルクモールディングコンパウンドが低粘度
となり、その取扱い性が良好となり、また、(B)成分
の含有量を50質量%以下とすることによって、硬化時
の収縮率が低くなる傾向にあるためである。
【0060】(B)成分の含有量の下限値については、
10質量%以上がより好ましく、12質量%以上が特に
好ましい。また、上限値については45質量%以下がよ
り好ましく、40質量%以下が特に好ましい。
【0061】無機充填剤と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップ(B)の製造方法としては、特に
制限されないが、無機充填剤(A)と反応する官能基を
有する単量体(B2-1)を予め部分重合することによって、
単量体(B2-1)中にその重合体(B1-1)を生成させたものを
用いてもよいし、別途塊状重合、溶液重合、乳化重合、
懸濁重合、分散重合等の公知の重合方法により得られた
無機充填剤(A)と反応する官能基を有する重合体(B1-
1)をビニル系単量体に溶解させたものを用いてもよい。
【0062】また、本発明のシートモールディングコン
パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドは、
必要に応じて繊維強化材(C)を含有しても良い。繊維
強化材(C)は、該シートモールディングコンパウンド
またはバルクモールディングコンパウンドを成形して得
られる成形品に、機械的強度を付与する成分である。
【0063】繊維強化材(C)としては、特に制限はな
く、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊
維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、
ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラ
ミド繊維、フェノール繊維等を使用することができ、こ
れらは2種以上を併用することができる。
【0064】また、繊維強化材の長さは、特に制限はな
いが、1〜60mmの範囲であることが好ましい。繊維
強化材の長さの下限値は5mm以上であることがより好
ましく、また、上限値は50mm以下であることがより
好ましい。
【0065】(C)成分の使用量は、特に制限されない
が、本発明のシートモールディングコンパウンドまたは
バルクモールディングコンパウンド全量中、1質量%〜
45質量%の範囲が好ましい。これは、(C)成分の使
用量を1質量%以上とすることによって、得られる成形
品の機械的強度を高める傾向にあるからである。
【0066】また、(C)成分の使用量を45質量%以
下とすることによって、シートモールディングコンパウ
ンドまたはバルクモールディングコンパウンドの成形時
の流動性が良好となる傾向にあるからである。
【0067】(C)成分の使用量の下限値は5質量%以
上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、
15質量%以上が特に好ましい。また、(C)成分の使
用量の上限値は45質量%以下がより好ましく、40質
量%以下が特に好ましい。
【0068】また、本発明におけるシートモールディン
グコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウン
ドに、さらに石目模様材(D)を配合し成形することに
より、石目模様を有する御影石調樹脂成形品を得ること
ができる。
【0069】石目模様材(D)としては、特に制限され
ず、樹脂粒子や無機充填剤含有樹脂粒子等が挙げられ
る。石目模様材(D)を構成する樹脂としては、特に制
限されないが、例えばアクリル樹脂、ビニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、飽和ポリ
エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン
樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げ
られるが、中でもアクリル樹脂が好ましい。
【0070】また、石目模様材(D)が無機充填剤含有
樹脂粒子の場合、この無機充填剤としては、特に制限さ
れないが、例えば水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シ
リカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガ
ラスパウダー等が挙げられ、中でも水酸化アルミニウ
ム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウムおよびガラス
パウダーから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0071】(D)成分の配合量は、特に制限されない
が、シートモールディングコンパウンドまたはバルクモ
ールディングコンパウンド全量中、0.1質量%〜40
質量%の範囲であることが好ましい。これは、(D)成
分の配合量を0.1質量%以上とすることによって、意
匠性の良好な石目模様が得られる傾向にあり、40質量
%以下とすることによって、シートモールディングコン
パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドの成
形時の流動性が良好となる傾向にあるからである。
(D)成分の配合量の下限値は1質量%以上であること
がより好ましく、5質量%以上であることが特に好まし
い。また、(D)成分の配合量の上限値は30質量%以
下であることがより好ましく、20質量%以下であるこ
とが特に好ましい。
【0072】(D)成分は、1種類を使用してもよい
し、色や粒径の異なる2種以上を併用してもよい。
【0073】なお、本発明において(D)成分中には、
必要に応じて顔料を含有させてもよい。
【0074】本発明において、使用可能な石目模様材
(D)の製造方法は特に限定されないが、例えば、樹脂
板や無機充填剤入りの樹脂成形品を粉砕する方法が挙げ
られる。この場合の粉砕する方法としては、特に限定さ
れないが、例えばクラッシャー等による粉砕が挙げられ
る。粉砕した模様材は、適宜篩などで粒径ごとに分級す
ればよい。
【0075】また、本発明の使用するシートモールディ
ングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウ
ンドは、前記の各成分以外にも、必要に応じて、開始
剤、着色剤、低収縮剤、内部離型剤等の各種添加剤を添
加することができる。
【0076】シートモールディングコンパウンドまたは
バルクモールディングコンパウンドを一旦保管する場合
には、それ同士が付着しないよう、離型性フィルムを使
用して梱包することが好ましい。
【0077】この離型性フィルムは、シートモールディ
ングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウ
ンドの使用時には剥離するものであり、容易に剥離可能
なものであれば、特に制限はなく、公知のフィルムを使
用できる。例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリビニールアル
コールフィルム等やこれらを積層したフィルム等が使用
できる。
【0078】次に、本発明のシートモールディングコン
パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドの製
造方法について説明する。
【0079】本発明のシートモールディングコンパウン
ドは、無機充填剤(A)および該無機充填剤(A)と反
応する官能基を有する重合体を含有するシラップ(B)
を含む混合物を、2枚の離型性フィルム上にそれぞれ塗
布した後、塗布面同士を重ねて増粘させることによって
製造することができる。
【0080】繊維補強材(C)を含むシートモールディ
ングコンパウンドを得るには、一方の前記混合物を塗布
した離型性フィルムの混合物塗布面に繊維強化材(C)
を添加し、その面に、もう一方フィルムの混合物が塗布
された面を重ねて、繊維強化材(C)に混合物を含浸さ
せた後、増粘させることによって製造すればよい。
【0081】また、石目模様を有する御影石調のシート
モールディングコンパウンドを得るには、前記製造工程
において、前記混合物として石目模様材(D)を添加し
た混合物を使用し、同様にして製造すればよい。
【0082】本発明のシートモールディングコンパウン
ドを得るために使用する混合物は、無機充填剤(A)
と、該無機充填剤(A)と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップ(B)を一度に混合し、必要に応
じて、この中に、開始剤、着色剤、低収縮剤、内部離型
剤等の各種添加剤を添加することによって製造すること
ができる。
【0083】本発明において、混合物の塗工時の粘度は
特に限定されないが、1〜200Pa・sの範囲である
ことが好ましい。
【0084】これは、粘度が1Pa・s以上であれば、
繊維強化材に混合物を含浸させる工程で、混合物が離型
性フィルムから漏洩しない傾向にあるからである。ま
た、粘度が200Pa・s以下であれば、混合物の繊維
強化材に対する含浸性が向上する傾向にあるからであ
る。
【0085】混合物の塗工時の粘度の下限値は2Pa・
s以上がより好ましく、上限値は100Pa・s以下が
より好ましい。
【0086】この混合物を増粘させるための熟成条件
は、25℃以上であれば、特に制限はないが、25〜6
0℃で1日以上熟成させると、最終的に到達する粘度ま
で増粘が進み、完全に増粘が終了する傾向にあるため、
好ましい。
【0087】この熟成条件は、下限値は40℃以上がよ
り好ましく、また上限値は50℃以下がより好ましい。
【0088】シートモールディングコンパウンドまたは
バルクモールディングコンパウンドの熟成後の粘度は、
特に制限はないが、1×10Pa・s〜300×10
Pa・sの範囲が好ましい。
【0089】これは、粘度が1×10Pa・s以上で
あれば、シートモールディングコンパウンドまたはバル
クモールディングコンパウンドの取り扱い性が良好にな
るからである。また、粘度が300×10Pa・s以
下であれば、成形性が向上する傾向にあるからである。
【0090】熟成後の粘度の下限値は5×10Pa・
s以上がより好ましく、上限値は250×10Pa・
s以下がより好ましい。
【0091】本発明のバルクモールディングコンパウン
ドは、無機充填剤(A)と、該無機充填剤(A)と反応
する官能基を有する重合体を含有するシラップ(B)並
びに所望により繊維強化材(C)および/または石目模
様材(D)を混合することによって製造することができ
る。
【0092】この際の混合方法は、高粘度の物質を効率
よく混合できる方法であれば特に限定されない。具体的
には、例えば、ニーダー、ミキサー、ロール、押出機、
混練押し出し機等を使用することができる。
【0093】また、増粘させるための熟成条件は、25
℃以上であれば、特に制限はないが、25〜60℃で1
日以上熟成させることが好ましい。この条件下で熟成さ
せると増粘が完全に終了し、最終的に到達する粘度まで
増粘が進む傾向にある。熟成温度の下限値は40℃以上
がより好ましく、また上限値は50℃以下がより好まし
い。
【0094】本発明の樹脂成形品は、無機充填剤
(A)、および該無機充填剤(A)と反応する官能基を
有する重合体を含有し、二価の金属の酸化物または水酸
化物の含有量が0.6質量%以下であるシラップ(B)
を含むものである。
【0095】また、所望によりさらに繊維強化材(C)
および/または石目模様材(D)を混合してもよい。
【0096】具体的には、例えば、これらの成分を混合
し、前述した方法でシートモールディングコンパウンド
またはバルクモールディングコンパウンドを得た後、所
望の形状に賦形して樹脂成形品を製造すればよい。
【0097】本発明の樹脂成形品の製造方法は特に限定
されず、加熱硬化法、加熱加圧硬化法等が挙げられる
が、好ましくは加熱加圧硬化法である。
【0098】加熱加圧硬化させる方法は、公知の方法を
使用すればよいが、具体例としては、例えば、圧縮成形
法、トランファー成形法、インジェクション成形法等を
挙げることができる。
【0099】加熱温度としては特に制限はないが、10
0〜150℃の範囲が好ましい。これは、加熱温度を1
00℃以上とすることによって、水蒸気による加熱が可
能となり、加熱コストが安価になるからであり、また、
硬化時間を短縮することができ、生産性が高くなる傾向
にあるからである。また、150℃以下とすることによ
って、得られる成形品の線収縮率が低くなる傾向にあ
り、また、得られる成形品の光沢が良好となるからであ
る。
【0100】加熱温度の下限は105℃以上であること
がより好ましく、また、加熱温度の上限は140℃以下
であることがより好ましい。また、適宜、上金型と下金
型に温度差をつけて加熱してもよい。
【0101】加圧圧力としては、特に限定されないが、
0.5〜25MPa範囲内であることが好ましい。これ
は、加圧圧力を0.5MPa以上とすれば、シートモー
ルディングコンパウンドまたはバルクモールディングコ
ンパウンドの金型内への充填性が良好となる傾向にあ
り、25MPa以下とすれば、良好な成形外観が得られ
る傾向にある。
【0102】加圧圧力の下限は1MPa以上であること
がより好ましく、また、加圧圧力の上限は20MPa以
下であることがより好ましい。
【0103】なお、成形時間は樹脂成形品の厚みによっ
て適宜選択すればよい。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。例中の「部」および「%」は、全て質量基準であ
る。
【0105】・重量平均分子量はGPC法によるポリス
チレン換算値により求めたものであり、重量平均分子量
の範囲によって、以下の条件で測定したものである。
【0106】〈重量平均分子量が10万以下の場合〉 装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−812
0 カラム:東ソー(株)製、TSKgelG2000HX
LとTSKgelG4000HXLとを2本直列に連結 オーブン温度:40℃ 溶離液:テトラヒドロフラン 試料濃度:0.4重量% 流速:1ml/分 注入量:0.1ml 検出器:RI(示差屈折計) 〈重量平均分子量が10万を超えて100万未満の場
合〉 装置:東ソー(株)製、高速GPC装置HLC−802
0 カラム:東ソー(株)製、TSKgelGMHXLを3
本直列に連結 オーブン温度:38℃ 溶離液:テトラヒドロフラン 試料濃度:0.4重量% 流速:1ml/分 注入量:0.1ml 検出器:RI(示差屈折計) 〈混合物の初期粘度〉30℃保った恒温水槽内で、
(株)トキメック製のBH型粘度計を用いて、10rp
mの回転数で測定した。
【0107】〈重合体粉末の物性〉 平均粒子径:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(LA−910、堀場製作所製)を用いて測定した。
【0108】〈成形品の耐熱水性〉成形した板を98℃
の熱水中に120時間浸漬し、浸漬前の板と外観を比較
した。
【0109】(1)重合体粉末(P−1)の製造例 冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置
に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度8
8%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメ
タクリレート291部、メタクリル酸9部、チオグリコ
ール酸オクチル0.39部、アゾビスイソブチロニトリ
ル0.6部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲
気下、350rpmで攪拌しながら1時間で70℃に昇
温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温
し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノマ
ーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終了
した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の
熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmのアクリ
ル系重合体(P−1)を得た。得られた(P−1)の重
量平均分子量は20万であった。
【0110】(2)重合体粉末(P−2)の製造例 冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置
に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度8
8%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメ
タクリレート282部、メタクリル酸18部、チオグリ
コール酸オクチル0.39部、アゾビスイソブチロニト
リル0.6部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰
囲気下、350rpmで攪拌しながら1時間で70℃に
昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇
温し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノ
マーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終
了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃
の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmのアク
リル系重合体(P−2)を得た。得られた(P−2)の
重量平均分子量は20万であった。
【0111】(3)重合体粉末(P−3)の製造例 冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置
に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度8
8%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメ
タクリレート289.5部、メタクリル酸10.5部、チ
オグリコール酸オクチル9部、アゾビスイソブチロニト
リル0.6部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰
囲気下、350rpmで攪拌しながら1時間で70℃に
昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇
温し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノ
マーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終
了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃
の熱風乾燥機で乾燥し、平均粒子径が350μmのアク
リル系重合体(P−3)を得た。得られた(P−3)の
重量平均分子量は3.5万であった。
【0112】(4)重合体粉末(P−4)の製造例 冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置
に、純水435部、ポリビニルアルコール(けん化度8
8%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメ
タクリレート300部、チオグリコール酸オクチル0.
39部、アゾビスイソブチロニトリル0.6部を溶解さ
せた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下、350rpm
で攪拌しながら1時間で70℃に昇温し、そのまま2時
間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱後、さ
らに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に留去し
てスラリーを得て、懸濁重合を終了した。得られたスラ
リーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥
し、平均粒子径が350μmのアクリル系重合体(P−
4)を得た。得られた(P−4)の重量平均分子量は2
0万であった。
【0113】[実施例1]メチルメタクリレート22.
4部およびネオペンチルグリコールジメタクリレート
3.5部、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール0.01部からなるビニル系単量
体混合物に前記製造例(1)で得た重合体粉末(P−
1)5.6部を溶解させて、無機充填剤と反応する官能
基を有する重合体を含有するシラップを作製し、硬化剤
としてt−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ
(株)製、商品名「KD−1」)0.7部、内部離型剤
としてステアリン酸亜鉛0.1部添加した後に、無機充
填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)
製、商品名「NS#200」)38.5部を混合して混
合物を調合した。
【0114】このときの混合物の温度は30℃で、初期
粘度は9.4Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転
数:10rpm)であった。
【0115】2枚のポリプロピレン離型性フィルム上に
混合物70部を厚さ1mmに塗布し、一方のフィルムの
アクリル系プレミックスが塗布された面に、直径13μ
mのガラス繊維ロービング(旭ファイバーグラス(株)
製、商品名「ER4630AF344」)を25.4m
mにカットして、30部添加し、その上にもう一方のフ
ィルムの混合物が塗布された面を重ねて、ガラス繊維に
混合物を含浸させた。
【0116】次いで、この含浸物を40℃で4日間熟成
させ、シートモールディングコンパウンドを得た。この
シートモールディングコンパウンドは、フィルム剥離性
が良好で、フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきが
あるが、実用上問題なく、取り扱い性が良好であった。
また、SMCに含まれるガラス繊維に含浸性不良が認め
られず、ガラス繊維への含浸性は良好であった。
【0117】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0118】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸、フク
レは認められず、色変化も極めて小さく、耐熱水性が極
めて良好であった。
【0119】[実施例2]重合体粉末として、(P−
1)の代わりに、(P−2)を使用したこと以外は、実
施例1と同様の方法でシートモールディングコンパウン
ドを得た。混合物の温度は30℃で、初期粘度は25P
a・s(BH型粘度計、ロータの回転数:10rpm)
であった。得られたシートモールディングコンパウンド
は、フィルム離型性が良好で、フィルムを剥離した後の
表面にはべとつきがなく、取り扱い性が良好であった。
また、SMCに含まれるガラス繊維に僅かに含浸性不良
が認められるが、実用上問題ない程度であり、ガラス繊
維への含浸性は良好であった。
【0120】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0121】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸、フク
レは認められず、色変化も極めて小さく、耐熱水性が極
めて良好であった。
【0122】[実施例3]メチルメタクリレート22.
4部およびネオペンチルグリコールジメタクリレート
3.5部、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール0.01部からなるビニル系単量
体混合物に前記製造例(1)で得た重合体粉末(P−
1)5.6部を溶解させて、無機充填剤と反応する官能
基を有する重合体を含有するシラップを作製し、硬化剤
としてt−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ
(株)製、商品名「KD−1」)0.7部、内部離型剤
としてステアリン酸亜鉛0.1部添加した後に、無機充
填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)
製、商品名「「NS#200」」)35.0部、軽質炭
酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名「白艶華CC
R」)3.5部を混合して混合物を調合した。
【0123】このときの混合物の温度は30℃で、初期
粘度は10.1Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転
数:10rpm)であった。
【0124】2枚のポリプロピレン離型性フィルム上に
混合物70部を厚さ1mmに塗布し、一方のフィルムの
アクリル系プレミックスが塗布された面に、直径13μ
mのガラス繊維ロービング(旭ファイバーグラス(株)
製、商品名「ER4630AF344」)を25.4m
mにカットして、30部添加し、その上にもう一方のフ
ィルムの混合物が塗布された面を重ねて、ガラス繊維に
混合物を含浸させた。
【0125】次いで、この含浸物を40℃で4日間熟成
させ、シートモールディングコンパウンドを得た。この
シートモールディングコンパウンドは、フィルム剥離性
が良好で、フィルムを剥離した後の表面にはべとつきが
なく、取り扱い性が良好であった。また、SMCに含ま
れるガラス繊維に含浸性不良が認められず、ガラス繊維
への含浸性は良好であった。
【0126】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0127】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸、フク
レは認められず、色変化も極めて小さく、耐熱水性が極
めて良好であった。
【0128】[実施例4]メチルメタクリレート16.
2部およびネオペンチルグリコールジメタクリレート
3.5部、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール0.01部からなるビニル系単量
体混合物に前記製造例(4)で得た重合体粉末(P−
4)11.8部を溶解させて、無機充填剤と反応する官
能基を有する重合体を含有するシラップを調合し、硬化
剤としてt−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アク
ゾ(株)製、商品名「KD−1」)0.7部、内部離型
剤としてステアリン酸亜鉛0.1部添加した後に、無機
充填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)
製、商品名「NS#200」)38.5部、酸化マグネ
シウム(協和化学工業(株)製、商品名キョウワマグ2
0)0.08部を混合して混合物を調合した。
【0129】このときの混合物の温度は30℃で、初期
粘度は11.8Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転
数:10rpm)であった。
【0130】2枚のポリプロピレン離型性フィルム上に
混合物を厚さ1mmに塗布し、一方のフィルムのアクリ
ル系プレミックスが塗布された面に、直径13μmのガ
ラス繊維ロービング(旭ファイバーグラス(株)製、商
品名「ER4630AF344」)を25.4mmにカ
ットして、30部添加し、その上にもう一方のフィルム
の混合物が塗布された面を重ねて、ガラス繊維に混合物
を含浸させた。
【0131】次いで、この含浸物を40℃で4日間熟成
させ、シートモールディングコンパウンドを得た。この
シートモールディングコンパウンドは、フィルム剥離性
が良好で、フィルムを剥離した後の表面にはべとつきが
なく、取り扱い性が良好であった。また、SMCに含ま
れるガラス繊維に含浸性不良が認められず、ガラス繊維
への含浸性は良好であった。
【0132】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0133】また、熱水浸漬後の成形品表面に僅かに凸
およびフクレが発生するが、実用上問題とならないレベ
ルであった。
【0134】[実施例5]メチルメタクリレート28部
およびネオペンチルグリコールジメタクリレート5部、
重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール0.01部からなるビニル系単量体混合物に
前記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)12部を
溶解させて、無機充填剤と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップを調合し、硬化剤としてt−アミ
ルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品
名「KD−1」)0.7部、内部離型剤としてステアリ
ン酸亜鉛0.1部、白色無機顔料または黒色無機顔料0.
25部、無機充填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉
化工業(株)製、商品名「NS#200」)55部をバ
ッチ式ニーダー((株)森山製作所、MS式双腕型ニー
ダー、G30−10型)へ投入し、10分間混練して混
合物を得た。
【0135】次いで、この混合物をポリビニールアルコ
ール製フィルムで密封し、40℃で4日間熟成させ、バ
ルクモールディングコンパウンドを得た。このバルクモ
ールディングコンパウンドは、フィルム剥離性が良好
で、フィルムを剥離した表面に僅かにべたつきがある
が、実用上問題なく、取り扱い性が良好であった。
【0136】次に、このフィルムを剥離したバルクモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の白色または黒色樹脂成形品を得た。得られ
た樹脂成形品成形品の表面は、気泡はなく、外観は良好
であった。
【0137】また、熱水浸漬後の成形品表面に変化はな
く、色変化も極めて小さく、耐熱水性が極めて良好であ
った。
【0138】[実施例6]実施例5で得られた白色また
は黒色樹脂成形品をクラッシャーで粉砕し、平均粒子径
が350μmの白色または黒色の石目模様材を得た。
【0139】メチルメタクリレート22.4部およびネ
オペンチルグリコールジメタクリレート3.5部、重合
禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール0.01部からなるビニル系単量体混合物に前記
製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)5.6部を溶
解させて、無機充填剤と反応する官能基を有する重合体
を含有するシラップを調合し、硬化剤としてt−アミル
パーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品名
「KD−1」)0.7部、内部離型剤としてステアリン
酸亜鉛0.1質量部添加した後に、無機充填剤として重
質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)製、商品名「N
S#200」)38.5部と上記で得た石目模様材10
部を混合して混合物を調合した。
【0140】このときの混合物の温度は30℃で、初期
粘度は15Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転数:
10rpm)であった。
【0141】2枚のポリプロピレン離型性フィルム上に
混合物を厚さ1mmに塗布し、一方のフィルムのアクリ
ル系プレミックスが塗布された面に、直径13μmのガ
ラス繊維ロービング(旭ファイバーグラス(株)製、商
品名「ER4630AF344」)を25.4mmにカ
ットして、20部添加し、その上にもう一方のフィルム
の混合物が塗布された面を重ねて、ガラス繊維に混合物
を含浸させた。
【0142】次いで、この含浸物を40℃で4日間熟成
させ、シートモールディングコンパウンドを得た。この
シートモールディングコンパウンドは、フィルムを剥離
した表面に僅かにべたつきがあるが、実用上問題なく、
取り扱い性が良好であった。また、SMCに含まれるガ
ラス繊維に含浸性不良が認められず、ガラス繊維への含
浸性は良好であった。
【0143】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0144】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸、フク
レは認められず、色変化も極めて小さく、耐熱水性が極
めて良好であった。
【0145】[実施例7]メチルメタクリレート20部
およびネオペンチルグリコールジメタクリレート5部、
重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール0.01部からなるビニル系単量体混合物に
前記製造例(3)で得た重合体粉末(P−3)20部を
溶解させて、無機充填剤と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップを調合し、硬化剤としてt−アミ
ルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品
名「KD−1」)0.7部、内部離型剤としてステアリ
ン酸亜鉛0.1部、無機充填剤として重質炭酸カルシウ
ム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)
55部、酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商
品名キョウワマグ20)0.11部をバッチ式ニーダー
((株)森山製作所、MS式双腕型ニーダー、G30−
10型)へ投入し、10分間混練して混合物を得た。
【0146】次いで、この混合物をポリビニールアルコ
ール製フィルムで密封し、40℃で4日間熟成させバル
クモールディングコンパウンドを得た。このバルクモー
ルディングコンパウンドは、フィルム剥離性が良好で、
フィルムを剥離した後の表面にはべとつきがなく、取り
扱い性が良好であった。
【0147】次に、このフィルムを剥離したバルクモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0148】また、熱水浸漬後の成形品表面に僅かに凸
およびフクレが発生するが、実用上問題とならないレベ
ルであった。
【0149】[比較例1]メチルメタクリレート16.
2部およびネオペンチルグリコールジメタクリレート
3.5部、重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール0.01部からなるビニル系単量
体混合物に前記製造例(4)で得た重合体粉末(P−
4)11.8部を溶解させて、無機充填剤と反応する官
能基を有する重合体を含有するシラップを調合し、硬化
剤としてt−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アク
ゾ(株)製、商品名「KD−1」)0.7部、内部離型
剤としてステアリン酸亜鉛0.1部添加した後に、無機
充填剤として重質炭酸カルシウム(日東粉化工業(株)
製、商品名「NS#200」)38.5部、酸化マグネ
シウム(協和化学工業(株)製、商品名キョウワマグ2
0)0.32部を混合して混合物を調合した。
【0150】このときの混合物の温度は30℃で、初期
粘度は12.8Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転
数:10rpm)であった。
【0151】2枚のポリプロピレン離型性フィルム上に
混合物を厚さ1mmに塗布し、一方のフィルムのアクリ
ル系プレミックスが塗布された面に、直径13μmのガ
ラス繊維ロービング(旭ファイバーグラス(株)製、商
品名「ER4630AF344」)を25.4mmにカ
ットして、30部添加し、その上にもう一方のフィルム
の混合物が塗布された面を重ねて、ガラス繊維に混合物
を含浸させた。
【0152】次いで、この含浸物を40℃で4日間熟成
させ、シートモールディングコンパウンドを得た。この
シートモールディングコンパウンドは、フィルム剥離性
が良好で、フィルムを剥離した後の表面にはべとつきが
なく、取り扱い性が良好であった。また、SMCに含ま
れるガラス繊維に含浸性不良が認められず、ガラス繊維
への含浸性は良好であった。
【0153】次に、このフィルムを剥離したシートモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0154】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸および
フクレが発生し、外観が著しく悪く、熱水性が極めて悪
いものであった。
【0155】[比較例2]重合体粉末として、(P−
1)の代わりに、(P−4)を使用したこと以外は、実
施例1と同様の方法でシートモールディングコンパウン
ドを得た。混合物の温度は30℃で、初期粘度は8.9
Pa・s(BH型粘度計、ロータの回転数:10rp
m)であった。得られたシートモールディングコンパウ
ンドは、増粘しておらず、フィルム離型性が悪く、フィ
ルムを剥離した後の表面がべとつき、取り扱い性が悪い
ものであった。
【0156】[比較例3]メチルメタクリレート20部
およびネオペンチルグリコールジメタクリレート5部、
重合禁止剤として2、6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール0.01部からなるビニル系単量体混合物に
前記製造例(3)で得た重合体粉末(P−3)20部を
溶解させて、無機充填剤と反応する官能基を有する重合
体を含有するシラップを調合し、硬化剤としてt−アミ
ルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品
名「KD−1」)0.7部、内部離型剤としてステアリ
ン酸亜鉛0.1部、無機充填剤として重質炭酸カルシウ
ム(日東粉化工業(株)製、商品名「NS#200」)
55部、酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商
品名キョウワマグ20)0.36部をバッチ式ニーダー
((株)森山製作所、MS式双腕型ニーダー、G30−
10型)へ投入し、10分間混練してバルクモールディ
ングコンパウンドを得た。
【0157】次いで、このバルクモールディングコンパ
ウンドをポリビニールアルコール製フィルムで密封し、
40℃で4日間熟成させた。このバルクモールディング
コンパウンドは、フィルム剥離性が良好で、フィルムを
剥離した後の表面にはべとつきがなく、取り扱い性が良
好であった。
【0158】次に、このフィルムを剥離したバルクモー
ルディングコンパウンドを成形用金型に充填し、上金型
温度125℃、下金型温度115℃、圧力10MPaの
条件で4分間加熱加圧硬化させ、厚さ4mm、200m
m角の平板の樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品成
形品の表面は、気泡はなく、外観は良好であった。
【0159】また、熱水浸漬後の成形品表面に凸および
フクレが発生し、外観が著しく悪く、熱水性が極めて悪
いものであった。
【0160】表中、評価は以下の基準に基づいた。
【0161】〈フィルム剥離性〉 ○:良好 ×:不良 〈表面のべたつき〉 ◎:フィルムを剥離した表面がべたつかず、取り扱い性
が良好。
【0162】○:フィルムを剥離した表面に僅かにべた
つきがあるが、実用上問題ない。
【0163】×:フィルムを剥離した表面がべたつき、
取り扱い性が困難。
【0164】〈ガラス繊維含浸性〉 ◎:SMCに含まれるガラス繊維に含浸性不良が認めら
れない。
【0165】○:SMCに含まれるガラス繊維に僅かに
含浸性不良が認められるが、実用上問題ない。
【0166】×:SMCに含まれるガラス繊維に含浸性
不良が認められる。
【0167】〈成形品の外観〉 ○:成形品に気泡が全くない。
【0168】△:実用上問題ない程度の気泡がある。
【0169】×:成形品に気泡が多く、実用上問題とな
る。
【0170】〈成形品の耐熱水性〉 ◎:成形品に凸、フクレは認められず、外観の変化が全
くない。
【0171】○:成形品に僅かに凸、フクレが発生する
が、実用上問題とならない。
【0172】×:成形品に顕著に凸、フクレが発生し、
実用上問題となる。
【0173】
【表1】 なお、表1中の数値単位は質量部であり、略号は以下の
通りである。
【0174】MMA:メチルメタクリレート NPG:ネオペンチルグリコールジメタクリレート NS#200:重質炭酸カルシウム(日東粉化工業
(株)製、商品名「NS#200」) 白艶華CCR:軽質炭酸カルシウム(白石工業(株)
製、商品名「白艶華CCR」)
【表2】
【0175】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明は、無機
充填剤と反応する官能基を有する重合体を含有するシラ
ップを用いることにより、酸化マグネシウムや水酸化カ
ルシウム等の二価の金属の酸化物または水酸化物等の増
粘剤を用いなくても、あるいは二価の金属の酸化物また
は水酸化物を用いる場合には極めて少量で、増粘させる
ことを可能にしたものである。
【0176】その結果、これを用いたシートモールディ
ングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパウ
ンドを加熱加圧硬化すれば、従来にない耐水性が優れた
樹脂成形品を製造することが可能となり、本発明は工業
上非常に有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/00 103 C09K 3/00 103G Fターム(参考) 4F072 AA01 AA06 AA08 AB04 AB05 AB06 AB07 AB09 AB10 AD04 AD05 AD06 AD08 AD09 AE01 AF02 AK14 AL01 4J002 BB003 BB032 BB112 BD033 BE022 BG001 BG041 BG042 BG043 BG051 BG071 BH001 BH021 BQ001 CC002 CC003 CF002 CF003 CG003 CL002 CL062 DA017 DE066 DE076 DE086 DE136 DE146 DE236 DG046 DH046 DJ006 DJ007 DJ016 DJ036 DJ046 FA042 FA047 FD012 FD016 FD017 FD203 GT00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機充填剤(A)と、該無機充填剤(A)
    と反応する官能基を有する重合体(B1-1)を含有するシラ
    ップ(B)を含むことを特徴とする増粘剤。
  2. 【請求項2】無機充填剤(A)中に、二価の金属の酸化
    物または水酸化物をシラップ(B)全量に対して0.6
    質量%以下含有することを特徴とする請求項1記載の増
    粘剤。
  3. 【請求項3】二価の金属の酸化物または水酸化物をシラ
    ップ(B)全量に対して0.6質量%以下含有する無機
    充填剤(A)と、該無機充填剤(A)と反応する官能基
    を有する重合体を含有するシラップ(B)を含むことを
    特徴とするシートモールディングコンパウンドまたはバ
    ルクモールディングコンパウンド。
  4. 【請求項4】繊維強化材(C)および/または石目模様
    材(D)をさらに含有することを特徴とする、請求項3
    記載のシートモールディングコンパウンドまたはバルク
    モールディングコンパウンド。
  5. 【請求項5】シラップ(B)中の重合体の重量平均分子
    量が5000以上であることを特徴とする、請求項3ま
    たは4記載のシートモールディングコンパウンドまたは
    バルクモールディングコンパウンド。
  6. 【請求項6】無機充填剤(A)と反応するシラップ
    (B)中の官能基が、カルボキシル基であることを特徴
    とする、請求項3〜5記載のシートモールディングコン
    パウンドまたはバルクモールディングコンパウンド。
  7. 【請求項7】シラップ(B)が、アクリル系シラップで
    あることを特徴とする、請求項3記載のシートモールデ
    ィングコンパウンドまたはバルクモールディングコンパ
    ウンド。
  8. 【請求項8】無機充填剤(A)、および該無機充填剤
    (A)と反応する官能基を有する重合体を含有し、二価
    の金属の酸化物または水酸化物の含有量が0.6質量%
    以下であるシラップ(B)を攪拌混合した後、熟成して
    増粘させることを特徴とするシートモールディングコン
    パウンドまたはバルクモールディングコンパウンドの製
    造方法。
  9. 【請求項9】無機充填剤(A)、および該無機充填剤
    (A)と反応する官能基を有する重合体を含有し、二価
    の金属の酸化物または水酸化物の含有量が0.6質量%
    以下であるシラップ(B)を硬化させた樹脂成形品。
  10. 【請求項10】請求項3記載のシートモールディングコ
    ンパウンドまたはバルクモールディングコンパウンドを
    加熱加圧硬化することを特徴とする樹脂成形品の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015186597A1 (ja) * 2014-06-05 2015-12-10 Dic株式会社 加熱圧縮成形用成形材料およびその成形品
JP2018178076A (ja) * 2017-04-07 2018-11-15 旭化成株式会社 樹脂組成物、増粘剤

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