JP2002080274A - 電子回路デバイス及びその製造方法 - Google Patents

電子回路デバイス及びその製造方法

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JP2002080274A
JP2002080274A JP2000273603A JP2000273603A JP2002080274A JP 2002080274 A JP2002080274 A JP 2002080274A JP 2000273603 A JP2000273603 A JP 2000273603A JP 2000273603 A JP2000273603 A JP 2000273603A JP 2002080274 A JP2002080274 A JP 2002080274A
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Chowa Kan
朝和 簡
Kazui Cho
家瑞 張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い信号伝送率及び高い信頼性を有する低温
焼結誘電体基板やエレメントなどでなる電子回路デバイ
ス及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、銀を含有する導電ペーストが
塗布された誘電体基板を、酸素濃度がコントロールされ
た雰囲気中で、好ましくは、窒素あるいは窒素と水素の
混合気体中で800〜950℃、好ましくは850〜900℃で焼成
処理する電子回路デバイスの製造方法である。また、本
発明は、ガラス成分、好ましくは低軟化点の硼珪酸ガラ
スと1500℃以上の軟化点を有する珪酸ガラスとの混合物
からなる誘電体基板と、実質的に銀でなる回路及び/又
は電極からなる、銀のマイグレーションが抑制された電
子回路デバイスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘電体基板と実
質的に銀でなる回路もしくは電極の少なくとともいずれ
か一方からなる、銀のマイグレーションが抑制された電
子回路デバイスに関し、また、該電子回路デバイスの製
造方法に関する。特には、低誘電率を有する基板の表面
上に又は基板に穿たれた貫通孔に銀の導体あるいは電極
を、酸素濃度が調整された雰囲気下に比較的低温で焼成
して設けた回路を有する電子回路デバイスとその製造方
法に関するものである。この発明の技術を使用すれば、
電子回路デバイスの誘電材料は良好な誘電特性を持ち、
銀の拡散による悪影響を受けることもない。
【0002】
【従来の技術】最近では、携帯型の電気製品、情報機
器、情報電子製品が普及し、またこれらは小型軽量化が
進む一方で、その性能や信頼性は確実に格段に向上して
きている。更に、半導体素子、コンデンサ、抵抗器、イ
ンダクタ、基板、加減抵抗器などから構成されるエレメ
ントや複数のエレメントが複雑に組み合わされた電子回
路デバイスの材料開発や製造技術に関する研究が加速さ
れている。その中で、信号伝達回路用の厚膜導電体はあ
らゆる電子回路デバイスの設計に組込まれているが、そ
の形態、目的は要求される電気特性によって異なってい
る。この回路用導体の使用量は大きく、通常は高価な貴
金属を含有し回路の安定性、信頼性を上げているが、低
価格化も重要な懸案事項になっている。
【0003】電子回路デバイス及びそのエレメントには
高信号伝送率が要求されることから、低抵抗の金属導体
として純度の高い金、銀、銅などが使用され続けてき
た。なかでも、価格及び製造方法の利便性から銀を導体
とするエレメントが徐々に普及してきた。ところが、銀
を導体とするエレメントについて、その信頼性がシリア
スな問題として発生してきている。即ち、銀導電ペース
トなどの回路用導体を塗布し焼成して製造される電子回
路デバイスあるいはその積層セラミックエレメントの焼
成過程において、銀の拡散と揮発が起こり、エレメント
ないし電子回路デバイスの電気的性能が損なわれたり、
場合によっては誘電セラミックが破損されるなど、軽視
することができない問題が生じる。銀はセラミック誘電
層に拡散進入すると、エレメント全体の電気特性と性能
に悪影響を与える。
【0004】銀を電極とした抵抗器に関して、J.R.Raid
en等は、Am. Ceram. Soc. Bull. 第50巻第6号、第536頁
(1971)において、この抵抗器は当初予定したものより
も低い抵抗特性をもたらすと報告している。また、銀を
電極としたコンデンサに関して、G. H. Maher等は、Pro
ceedings of 1992 Capacitor and Resistor Technology
Symposium. Components Technology Institute、第23
頁(1992)にて、このコンデンサは頻繁に誘電層の組成
構造を変化させ、誘電率を低下させ、誘電損失を増加さ
せると報告している。
【0005】高電気伝導度、低損失の、即ち低抵抗の銀
を導体とした電子回路デバイス又はその積層セラミック
エレメントにおいて、銀は多種のガラスや金属酸化物の
中に拡散する。即ち、焼成処理の過程において、銀はセ
ラミック誘電層に銀イオンあるいは銀原子の状態で拡散
進入し、そしてその中で銀粒子として析出する。例え
ば、硼珪酸ガラスに拡散する銀の濃度は0.45wt%に達す
る。M. Maric等は、Phys. Chem. Glasses、第30巻、第1
号、第12頁(1989)に、銀イオンと銀原子は融解状態の
硼珪酸ガラスに共存することができると報告している。
また、J. E. Shelby等は、J. non-crystalline solid
s、第50巻、第107頁(1982)にて、銀とガラスあるいは
セラミック材料との界面反応に関するそのすべての研究
において、中間酸化物(Ag2O)の形成の重要性を提起
し、酸素が存在してこそ熱処理過程において銀の拡散や
移動(migration)が起ると述べている。これによれ
ば、酸素分圧の大小が銀の酸化反応の発生に関係し、銀
イオンの状態でガラスやその他のセラミック中に銀が拡
散進入する。
【0006】銀のガラスやその他のセラミックに対する
拡散は、通常外観からおおよその判断を下すことができ
る。例えば、大部分の銀がイオンの状態でガラス中に存
在するならば、ガラスは薄黄色を呈する。銀イオンが、
原子、そしてまたゲル凝結粒子の状態に還元されたなら
ば、その外観は灰色を呈する。銀の拡散がガラスの色に
変化をもたらすので、米国特許第3973069号公報では、
この技術を既にガラス染色工業に応用している。それ以
外に、銀のガラスへの拡散反応は光通信システム中の光
導波路や光ファイバー材料などにも応用されている。T.
Kanekoは、J.Mater. Sci. Lett., 第7巻、第999頁(19
88)で、銀がガラス導波管に進入する深さをコントロー
ルすることで、ガラスに異なる屈折率の区域を持たせ、
光信号の伝送がガラス導波管中でも維持され、光の散失
を防ぐことができると報告している。
【0007】電子回路デバイス又はその積層エレメント
の製造過程において、銀と誘電体基板の焼成温度は一般
に850-950℃とされており、銀の融点(961℃)に非常に
近い。このとき、銀の基板内における拡散係数は室温状
態よりかなり大きくなり、また銀の誘電層内における拡
散深度も深くなる。特に、最近の電子製品の小型化が進
む中で、焼成時における拡散距離と誘電層の厚さは徐々
に接近しており、この結果、エレメントの電気特性と信
頼性は実際かなり犠牲を強いられている。更に大量の銀
が誘電層に進入し、誘電材料の構造組成が変化していく
と、熱膨張率の変化に伴う体積変化によって、誘電層内
に亀裂が起り、エレメントの破損につながる恐れもあ
る。
【0008】銀とセラミック等の誘電材料を焼成する
時、銀の拡散を抑制したり、避ける場合、エレメントの
設計、材料の選択、製造方法の改善の三方面から検討す
る必要がある。エレメント設計に関しては、銀と誘電体
間に拡散阻害層を設ける方法もあるが、これは電気伝導
度が低下して銀を導体とする意義を喪失し、更に製造過
程における煩雑さも増加する。材料の選択に関しては、
導電性に優れ、拡散しにくいパラジウムを銀に添加し、
銀の拡散を有効的に防止することができる。しかし、パ
ラジウムは高価な貴金属であり、製作コストを上げてし
まう。そのため、この発明は、比較的安価な銀ペースト
を使用し、製造方法を改善することで、焼成時における
銀の拡散を防止し、所期の目的を達成したものである。
【0009】この発明は、導体あるいは電極として低抵
抗の銀を含有する導電ペーストを塗布した低温焼結誘電
体基板からなる電子エレメントを焼成する過程において
銀の拡散を防ぐことを目的としている。誘電体内に銀が
進入するには、銀が酸化され、イオン状態にならなくて
はならない。そこで、焼成工程において、雰囲気気体に
占める酸素分圧を極力低く押さえた状態で焼結させ、銀
酸化物の生成及び銀イオンの拡散を防止し、基板とエレ
メントの所望の電気特性を維持するものである。
【0010】米国特許番号3,909,680号公報には、印刷
回路基板中に銀の移動(migration)を阻止するため
に、誘電樹脂あるいは有機障害物の利用により、銀が高
電位から低電位の方に移動するのを阻止することが提起
されている。米国特許番号5,091,114号公報には、高導
電度の金属粉末Ag(x)M(1-x)が銀の移動を抑えると記さ
れている。なお、前記一般式中、MはNi、Co、Cuあるい
はFeであり、x は0.01≦x≦0.4を満足する。米国特許番
号5,422,190号には、銀粉末、金粉末、パラジウム粉
末、耐火酸化物及び担体(溶媒に溶解した樹脂など)か
らなる電子回路用ペースト又はデバイス内の貫通孔充填
用ペーストを開示し、これで異なる金属の層を電気的に
結合することにより、例えば金と銀の導体層間を連結さ
せれば、Kirkendahl voidsの形成をミニマムにできる
(層の境界面における異種金属の拡散を抑制できる)と
記されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上の技術的背景から
知り得るように、当業界では現在、銀の拡散を抑制する
技術が逼迫して求められている。すなわち、低抵抗の銀
を導体あるいは電極として有し、信号の伝送率を高め、
信頼性を向上した低温焼成誘電体基板や電子エレメント
などからなる電子回路デバイス、及びその製造方法が求
められている。そこで、この発明は、高い信号伝送率及
び高い信頼性を有する低温焼結誘電体基板やエレメント
などでなる電子回路デバイス及びその製造方法を提供す
ることを課題とする。特には、焼成過程において焼成気
体中の酸素分圧をコントロールして銀の拡散を阻止する
方法で、例えば、誘電損失を1MHzにおいて 0.3%以下、
漏電流を印加電圧10 Vにおいて6×10-12A以下に抑えた
ガラスを含む誘電セラミックよりなる電子回路デバイス
及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0012】
【発明を解決するための手段】この発明は、(1)誘電
体基板に銀を含有する導電ペーストを塗布する工程、及
び(2)導電ペーストが塗布された誘電体基板を、酸素
濃度をコントロールした気体中で800〜950℃で焼成する
工程とからなる銀のマイグレーションが抑制された電子
回路デバイスの製造方法である。また、本発明は、ガラ
ス等の成分からなる誘電体基板と、実質的に銀でなる回
路及び/又は電極からなる、銀のマイグレーションが抑
制された電子回路デバイスである。このような製造方法
を用いて得られた電子回路デバイスは、銀のマイグレー
ションがないので、高い信号伝送率及び高い信頼性を有
する。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の主要な特徴は、銀を含
有する導電ペーストが塗布された誘電体基板を、酸素濃
度をコントロールした気体中で800〜950℃、好ましくは
850〜900℃と比較的低い温度で焼成処理することにあ
る。酸素濃度のコントロールは、例えば、該焼成過程に
おいて窒素等の不活性ガスを入れ、焼成炉内の酸素分圧
を極力下げることによって行うことができる。銀は銀イ
オン状態で誘電体の誘電層に移動するので、銀の拡散に
は銀の酸化反応が伴うが、焼成炉内の酸素分圧(酸素濃
度)を極力下げることによって銀は酸化されず(Ag2Oの
生成はなく)、銀の拡散が起こらないのである。こうし
て、誘電層への銀の拡散は避けられるので、誘電体の誘
電損失と漏電流の増大を避けることができ、電子回路デ
バイス又はその誘電体基板の電気特性と信頼性が悪化す
ることを防止することができる。
【0014】前記のように、銀の酸化を起こさせないた
めに、酸素濃度がコントロールされた雰囲気下において
焼成する。酸素濃度は、具体的には5容量%以下、さら
には3容量%以下、特には1容量%以下にコントロール
することが好ましい。酸素濃度が0%、例えば窒素ガス1
00%の雰囲気にて焼成処理しても良いことはいうまでも
ない。また、不活性ガスとしては、アルゴンなども用い
ることができる。これらの不活性ガスは窒素も含めて、
それぞれ単独であるいは混合した混合ガスの形で用いる
こともできる。また、これらの不活性ガスに、特には窒
素に水素を混合した混合ガスを使用することもできる。
この場合、水素ガスは0.1〜3容量%、さらには0.5〜1.5
容量%含有されるように調整することが好ましい。
【0015】この発明の製造方法は、主に低抵抗の銀を
導体あるいは電極とする低温焼成積層誘電体基板や電子
エレメントなどの電子回路デバイスを製造する場合に応
用される。そのため上述の焼成過程の雰囲気として用い
る気体は、製造する電子回路デバイスに適合したものを
用いることが必要である。
【0016】この発明に用いる誘電体基板は、ガラス成
分、即ち、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化ナトリウ
ム、酸化アルミニウム及び酸化カルシウムなどのガラス
成分からなるのもが好ましい。これらには、更に微量
(1重量%以下)のアルカリ金属及び/又はその酸化物
を含有していてもよい。上記ガラス成分の酸化物等を3
種以上含有するものが好ましく、特に、750〜850℃、さ
らには780〜820℃の軟化点を有する硼珪酸ガラス10〜60
重量%と1500℃以上の軟化点を有する珪酸ガラス40〜90
重量%の混合物からなるものが好ましい。前記硼珪酸ガ
ラスの成分組成は、二酸化ケイ素70〜90重量%、酸化ホ
ウ素8〜18重量%、酸化ナトリウム2〜7重量%、および
酸化アルミニウム1〜5重量%が好ましく、その代表的な
成分組成は、二酸化ケイ素81重量%、酸化ホウ素13重量
%、酸化ナトリウム4重量%、酸化アルミニウム2重量
%である。また、珪酸ガラスの成分組成は、二酸化ケイ
素90〜97重量%、酸化ホウ素2〜7重量%、および酸化ア
ルミニウム1重量%以下が好ましく、代表的な成分組成
は、二酸化ケイ素95重量%、酸化ホウ素4重量%、酸化
アルミニウム1重量%以下である。
【0017】誘電体基板は、(a)粉末状のガラス成分
に有機担体を混合してゲル状組成物を調製し、(b)該
ゲル状組成物をスクレーバーで基板に成形し、そして、
(c)成形された基板を850〜950℃の比較的低い温度で3
0〜240分間焼結することにより製造することができる。
なお、有機担体は、有機溶剤に分散剤、粘着剤、可塑化
剤等の添加剤を配合したものであリ、これらは公知のも
のを適宜選択して用いればよい。また、好ましくは、基
板を焼結する前に、空気中に400〜500℃で10〜60分保持
して脱脂する。なお、誘電体基板は、焼結により95%以
上の緻密度に到達させることが好ましい。
【0018】この発明の製造方法における第1の製造工
程は、以上のようにして得られた誘電体基板に銀を含有
する導電ペーストを塗布するものである。ペーストは、
回路導体又は電極としての役割をするために、誘電体基
板上に又は誘電体基板を貫通して設けられた所定の位置
に塗布、充填される。これは、スクリーン印刷、刷毛、
スプレー、ローラー塗布、ディッピングなどの手段を用
いて行うことができる。なかでも、スクリーン印刷が好
ましい。銀導電ペーストが塗布された誘電体基板を、必
要により、折り曲げて圧縮したり、あるいは複数の基板
を重ねて積層することもできる。次いで、好ましくは、
焼成する前に、空気中に400〜500℃で10〜60分保持して
脱脂する。脱脂後、第2の製造工程を実施し、即ち、既
に記したように酸素濃度のコントロール下に800〜950℃
で焼成し、積層基板あるいはエレメントなどの電子回路
デバイスを製造する。
【0019】また、この発明の製造方法は、乾燥圧縮や
冷却圧縮と熱圧縮などの手段を用いる伝統的製法によっ
て、銀を端電極とする電子エレメントや、誘電体を用い
る各種異なる用途の電子回路デバイスの製造などにも応
用できるものである。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づいてこの発明をより詳細
に説明する。 実施例1 先ず低温焼結の誘電体基板を作製し準備する。軟化点約
800℃の硼珪酸ガラス60重量%と軟化点1500℃以上の珪
酸ガラス40重量%を混合する。ここで用いた低軟化硼珪
酸ガラスの成分組成はSiO2 81重量%、B2O3 13重量%、
Na2O 4重量%及びAl2O3 2重量%であり、また高軟化点
珪酸ガラスの成分はSiO2 95重量%、B2O3 4 重量%と微
量のAl2O3である。上記混合比率のセラミック粉末の混
合物と市販有機担体を充分に混合させゲル状にし、スク
レーバーにて誘電体基板を形成した。該誘電体基板を脱
脂した後、温度850-950℃にて30-240分間焼結した。焼
結により、基板は約5%収縮した(緻密度約95%)。市
販有機担体は、有機溶剤、分散剤、粘着剤、可塑化剤な
どの成分を含むものである。
【0021】焼結した緻密な誘電基板に銀導体ペースト
をスクリーン印刷を用いて塗布し、乾燥機にて銀ペース
トを乾燥させてから、450℃で30分間脱脂してシルバー
ペースト内の有機物を除去した。脱脂が終了した銀/誘
電体複合体を空気中と窒素気体中にて、それぞれ875℃
で480分間焼成した。図1に、空気中で焼成した誘電体
基板の断面(銀導体と誘電体界面)を電子顕微鏡にて観
察した結果を示す。図1(A)は走査型電子顕微鏡写真
であり、図1(B)は銀分布を説明する図である。空気
中で熱処理したため、基板の誘電体層には銀の拡散層が
あることが分かる。また、図2は、銀ペースト塗布誘電
体基板を窒素気体(100%)中にて焼成処理したものの
電子顕微鏡写真であり、(A)は走査型電子顕微鏡写真
であり、(B)は銀分布を説明する図である。窒素気体
内で処理したため、誘電体層に銀拡散層は見当たらな
い。
【0022】また、誘電体の表面の焼成銀を硝酸で溶解
させ洗浄し乾燥させた後、再度低温導電銀を塗布し、オ
ーブンで80℃、60分間焼成した。図3に示すように、銀
ペースト塗布誘電体基板を空気中で焼成処理した時、銀
の拡散によって銀の多いところと少ないところの構造部
分が形成されて、異なる2つの構造部分の熱膨張の差異
によって、その界面上に亀裂を生じて絶縁セラミックの
内部に分離が生じていることがわかる。
【0023】異なる気体の雰囲気下で焼成処理したチッ
プの誘電特性(誘電率、誘電損失)と漏電流の測定結果
を図4(誘電率)、図5(誘電損失)および図6(漏電
流)に示す。これらにおいて、凡例はそれぞれ、1…銀
ペーストを塗っていない誘電体基板、2…窒素雰囲気下
で焼成処理した銀ペースト塗布誘電体基板、3…空気中
で焼成処理した銀ペースト塗布誘電体基板を示す。銀ペ
ーストの塗布後、窒素中で熱処理した誘電体基板2の誘
電率は図4より5.2(@1MHz)、誘電損失は図5より0.3
%であり(@1MHz)、また漏電流は図6より6×10-12A
(@10 V)と何れも良好な数値である。窒素中で熱処理
した誘電体基板2は、銀拡散が発生していないので、そ
の誘電特性と漏電流の値は銀ペーストと焼成処理を施し
ていない誘電体基板1の値に近いものであり、また、銀
拡散がある誘電体基板3と比較すると、極めて良好な電
気特性を有していることがわかる。
【0024】実施例2 この実施例では焼成時における雰囲気気体を窒素99%と
水素1%の混合ガスを用いた以外、材料、製造工程、測
定はすべて実施例1と同じである。銀の酸化と拡散が防
止されるため、顕微鏡による構造は図2と同じであり、
誘電特性も図4〜図6の窒素雰囲気下で焼成処理した実
施例1の銀ペースト塗布誘電体基板の結果に極めて近
い、良好なものであった。
【0025】実施例3 この実施例では誘電体基板に市販の低誘電低温焼結の誘
電セラミック基板(DuPont 社製、T-951)を使用する以
外、その他の製造工程や測定の手順は実施例1と同じで
ある。空気中で熱処理したセラミック基板の電子顕微鏡
の写真を図7に示す。これから分かるようには明らかに
銀の拡散が存在する。一方、窒素中で処理したセラミッ
ク基板には図8に示すように銀分布銀拡散層は見られな
い。
【0026】実施例4 この実施例は、誘電体基板に市販の低誘電低温焼結のセ
ラミック基板(Ferro社製 、A-6)を使用する以外、そ
の他の製造工程や測定の手順はすべて実施例1と同じで
ある。空気中で熱処理したセラミック基板の結果を図9
に示す。電子顕微鏡の写真(図9(A))と銀分布の写
真(図9(B))から、空気中で熱処理されたセラミッ
ク基板には比較的多量の銀の拡散が見られる。しかし、
窒素中で処理されたセラミック基板内には、図10に示
すように明らかな銀拡散層は見られない。
【0027】また本発明の方法により、即ち、低融点低
抵抗の銀導体ペーストを塗布して酸素の無い雰囲気で焼
成処理すると、全てのガラスを含む誘電セラミック基板
において、銀がセラミック内に拡散進入することを効果
的に阻止でき、銀の拡散がない。したがって、積層受動
素子などのコンデンサー、インダクタンスなどの高信号
伝送度で、高性能な積層セラミック基板あるいは素子で
なる電子回路デバイスを容易に作製することができる。
【0028】また、セラミックの粉末を有機溶剤と有機
添加剤を混合させてゲル状にし、スクレーバーにて誘電
体基板を形成した後に、例えば、10cm角のチップに裁断
する。このチップに鋳型を使って長さを125ミクロンの
孔を開ける。スクリーン印刷にて、孔に銀導体ペースト
を充填し、更に、チップ上に導体回路もスクリーン印刷
によってシルバーペーストを印刷した後、チップを公知
の手順に従って積層し、積層セラミックチップを作成す
る。該チップの脱脂後、窒素、窒素/空気、あるいは窒
素/水素の混合気体を用い酸素濃度がコントロールされ
た雰囲気中で、焼成処理を行うことによって積層型の回
路素子を作製することができる。この発明の製造方法
は、乾燥圧縮や冷却圧縮と熱圧縮などの手段を用いる伝
統的製法によって、銀を端電極とする電子エレメント
や、誘電体を用いる各種異なる用途の電子回路デバイス
の製造などにも応用できるものである。
【0029】
【発明の効果】この発明は、銀を含有する導電ペースト
が塗布された誘電体基板を、酸素濃度をコントロールし
た気体中で焼成するからなる電子回路デバイスの製造方
法及びその電子回路デバイスであることから、誘電体層
内に銀のマイグレーションによる拡散浸入が防止される
ものである。したがって、この発明は、高信号伝送度
で、高性能な積層体基板あるいはエレメントからなる電
子回路デバイスを製造ことができ、しかも容易に製造す
ることができるという格別の効果を奏するものである。
この発明の電子回路デバイスは、携帯型電気機器、情報
電子製品、OA機器、各種コンピュータなどに好適に使
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の銀ペーストを塗布した誘電体
基板を空気中にて875℃、480分間焼成処理したものの電
子顕微鏡写真であり、図1(A)は走査型電子顕微鏡写
真であり、図1(B)は銀分布を説明するもの(Ag-map
ping)である。
【図2】図2は、銀ペースト塗布誘電体基板を窒素中に
て875℃、480分間焼成処理したものの電子顕微鏡写真で
あり、(A)は走査型電子顕微鏡写真であり、(B)は
銀分布を説明するものである。
【図3】図3は、銀ペースト塗布誘電体基板を空気中で
焼成処理した時、銀の拡散によって内部に亀裂が生じた
もののを説明するものである。
【図4】図4は、空気中と窒素中で875℃、480分間焼成
処理した誘電体基板の誘電率と周波数の関係を示すグラ
フである。なお、凡例は次のとおりである。1…銀ペー
ストを塗っていない誘電体基板、2…窒素雰囲気下で焼
成処理した銀ペースト塗布誘電体基板、3…空気中で焼
成処理した銀ペースト塗布誘電体基板。
【図5】図5は、空気中と窒素中で875℃、480分間焼成
処理した誘電体の誘電損失と周波数の関係を示すグラフ
である。なお、凡例は図4と同じである。
【図6】図6は、空気中と窒素中で875℃、480分間焼成
処理した誘電体の電圧と電流の関係を示すグラフであ
る。なお、凡例は図4と同じである。
【図7】図7は、銀ペーストを塗布したDu Pont社の誘
電体を空気中で875℃、480分間焼成処理したものの電子
顕微鏡写真である。
【図8】図8は、銀ペーストを塗布したDu Pont社の誘
電体を窒素中で875℃、480分間焼成処理したものの電子
顕微鏡写真である。
【図9】図9は、銀ペーストを塗布したFerro社の誘電
体を空気中で875℃、60分間焼成処理したものの電子顕
微鏡写真であり、(A)は走査型電子顕微鏡写真、
(B)は、銀分布を説明するものである。
【図10】図10は、銀ペーストを塗布したFerro社の
誘電体を窒素中で875℃、60分間焼成処理したものの電
子顕微鏡写真であり、(A)は走査型電子顕微鏡写真、
(B)は、銀分布を説明するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/12 610 C04B 35/18 Z Fターム(参考) 4G030 AA01 AA03 AA35 AA36 AA37 BA09 CA08 GA01 GA18 GA27 GA34 GA35 5E343 AA02 AA24 BB25 BB72 DD03 ER33 ER37 ER38 ER39 FF02 FF13 GG20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板に銀を含有する導電ペースト
    を塗布する工程、及び導電ペーストが塗布された誘電体
    基板を、酸素濃度がコントロールされた雰囲気下に800
    〜950℃で焼成する工程からなることを特徴とする電子
    回路デバイスの製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成が、窒素もしくは窒素と水素の混合
    気体の雰囲気下に行われる請求項1に記載の電子回路デ
    バイスの製造方法。
  3. 【請求項3】 誘電体基板が、二酸化ケイ素、酸化ホウ
    素、酸化ナトリウム、酸化アルミニウム及び酸化カルシ
    ウムでなる群から選択されるガラス成分を3種以上含有
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    電子回路デバイスの製造方法。
  4. 【請求項4】 誘電体が、750〜850℃の軟化点を有する
    硼珪酸ガラス10〜60重量%と1500℃以上の軟化点を有す
    る珪酸ガラス40〜90重量%の混合物からなる請求項3に
    記載の電子回路デバイスの製造方法。
  5. 【請求項5】 硼珪酸ガラスが二酸化ケイ素70〜90重量
    %、酸化ホウ素8〜18重量%、酸化ナトリウム2〜7重量
    %、および酸化アルミニウム1〜5重量%よりなり、珪酸
    ガラスが二酸化ケイ素90〜97重量%、酸化ホウ素2〜7重
    量%、および酸化アルミニウム1重量%以下よりなるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の電子回路デバイスの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 誘電体が、更にアルカリ金属及び/又は
    その酸化物を1重量%以下含有する請求項3〜5のいず
    れかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 誘電体基板が、(a)粉末状のガラス成
    分に有機担体を混合してゲル状組成物を調製する工程、
    (b)該ゲル状組成物をスクレーバーで基板に成形する
    工程、及び(c)成形された基板を850〜950℃で30〜240
    分間焼結する工程を経て製造される請求項1〜6のいず
    れかに記載の電子回路デバイスの製造方法。
  8. 【請求項8】 誘電体基板への導電ペーストの塗布をス
    クリーン印刷で行う請求項1〜7の何れかに記載の電子
    回路デバイスの製造方法。
  9. 【請求項9】 電子回路デバイスが、導電ペーストが塗
    布された誘電体基板を積層して形成された後、焼成され
    る請求項1〜8のいずれかに記載の電子回路デバイスの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 ガラス成分からなる誘電体基板と、実
    質的に銀でなる回路及び/又は電極からなる、銀のマイ
    グレーションが抑制された電子回路デバイス。
  11. 【請求項11】 誘電体基板が、二酸化ケイ素、酸化ホ
    ウ素、酸化ナトリウム、酸化アルミニウム及び酸化カル
    シウムでなる群から選択されるガラス成分を3種以上含
    有し、所望により更に微量のアルカリ金属及び/又はそ
    の酸化物を含有するセラミックからなる請求項10に記
    載の電子回路デバイス。
  12. 【請求項12】 誘電体基板が、750〜850℃の軟化点を
    有する硼珪酸ガラス10〜60重量%と1500℃以上の軟化点
    を有する珪酸ガラス40〜90重量%の混合物からなる請求
    項10〜11に記載の電子回路デバイス。
  13. 【請求項13】 硼珪酸ガラスが二酸化ケイ素70〜90重
    量%、酸化ホウ素8〜18重量%、酸化ナトリウム2〜7重
    量%、および酸化アルミニウム1〜5重量%よりなり、珪
    酸ガラスが二酸化ケイ素90〜97重量%、酸化ホウ素2〜7
    重量%、および酸化アルミニウム1重量%以下よりなる
    請求項12に記載の電子回路デバイス。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007081324A (ja) * 2005-09-16 2007-03-29 Tdk Corp 多層セラミックス基板及びその製造方法
JP2016213410A (ja) * 2015-05-13 2016-12-15 日立金属株式会社 回路基板およびその製造方法
JPWO2016208671A1 (ja) * 2015-06-23 2018-04-12 旭硝子株式会社 焼成成形体およびその製造方法、焼成成形体を備える物品、焼成成形体用材料、ならびに、焼成前成形体およびその製造方法
WO2020184577A1 (ja) * 2019-03-14 2020-09-17 帝人株式会社 インペラ及びその樹脂組成物

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