JP2002080267A - 多孔質の陶磁物及びその製造方法 - Google Patents

多孔質の陶磁物及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水の浄化作用を向上させた陶磁物を提供す
る。 【解決手段】 陶磁物1は、イオン交換を行う活性土壌
が含まれていると共に、多孔質で多数の孔2を有してい
る。活性土壌は珪素、アルミナ、アロフェン、ヒューミ
ン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からな
っている。活性土壌は、水との接触面積を増やすため
に、多孔質の陶磁物1の内部に含まれていると共に、表
面に被覆されているのが好ましい。更には、水との接触
面積を増やすために、多孔質の陶磁物1の表面が凹凸表
面をなしているのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水の浄化作用を持
つ多孔質の陶磁物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水槽内で観賞魚を飼育する場合、餌等の
残りによって水垢が発生し、水が汚れてくるため、定期
的に水を交換する必要がある。しかし、水の交換作業は
手間がかかるため、なるべく交換時期が長いことが望ま
しい。このため、水を浄化する物が知られている。この
種の従来品に、珪素、活性アルミナ、アロフェン、ヒュ
ーミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素か
らなっている活性土壌の粉末をセメントで固化したもの
や、前記活性土壌の粉末を合成樹脂に練り込んだものが
知られている。前記活性土壌は、表面が負に荷電してお
り、その表面にマグネシウムイオン、カリウムイオン、
カルシウムイオン、ナトリウムイオン等の金属イオンや
水素イオンなどの陽イオンが吸着されている。そして、
水中の微生物の呼吸により発生する水素イオンが活性土
壌の表面に吸着されている金属イオンと交換し、交換に
より金属イオンが水中に移動して、イオン交換が行われ
る。このイオン交換により水中に生じる金属イオンが微
生物に摂取される。これにより、水中の微生物が繁殖
し、その微生物が水中の水垢等を分解することにより、
水の浄化が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来品
は、活性土壌がセメント固化や樹脂固化されているた
め、活性土壌と水の接触面積があまり大きくないので、
イオン交換が活発に行われない等の欠点を有している。
【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、水の浄化作用を向上させた陶磁物及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の解決手段を採る。すなわち、本発明の
陶磁物は、イオン交換を行う活性土壌が含まれていると
共に、多孔質であることを特徴とする。活性土壌は珪
素、アルミナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、
無機質、及び有機質の複合炭素からなっている。活性土
壌は、水との接触面積を増やすために、多孔質の陶磁物
の内部に含まれていると共に、表面に被覆されているの
が好ましい。更には、水との接触面積を増やすために、
多孔質の陶磁物の表面が凹凸表面をなしているのが好ま
しい。
【0006】活性土壌は、表面が負に荷電しており、そ
の表面にマグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシ
ウムイオン、ナトリウムイオン等の金属イオンや水素イ
オンなどの陽イオンが吸着されている。そして、水中の
微生物の呼吸により発生する水素イオンが活性土壌の表
面に吸着されている金属イオンと交換し、交換により金
属イオンが水中に移動して、イオン交換が行われる。こ
のイオン交換により水中に生じる金属イオンが微生物に
摂取される。これにより、水中の微生物が繁殖し、その
微生物が水中の水垢等を分解することにより、水の浄化
が行われる。
【0007】この際、本発明においては、陶磁物が多孔
質であるため、水が陶磁物の中まで入り込むので、活性
土壌と水の接触面積が大きく、イオン交換が活発に行わ
れる。更には、陶磁物の表面にも活性土壌が被覆される
と、活性土壌と水との接触面積が一層大きくなる。ま
た、表面が凹凸表面をなしていると、活性土壌と水との
接触面積が一層大きくなる。その結果、イオン交換がよ
り一層盛んになり、微生物がよく繁殖する。また、本発
明においては、陶磁物の孔が微生物の棲家になり、微生
物の繁殖場所として最適なため、微生物の繁殖に寄与す
る。
【0008】多孔質の陶磁物の製造方法は、イオン交換
を行う活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材とを混合する
混合工程と、その混合物を成型する成型工程と、成型物
を8時間以上、1000〜1500℃の温度で焼成する
本焼き工程とを有することを特徴とする。この場合、焼
成時間は12〜16時間、焼成温度は1000〜120
0℃がより好ましい。なお、上記本焼き工程の前に、成
型物を5時間以上、400〜900℃の温度で焼成する
素焼き工程を有するのが好ましい。この場合、焼成時間
は5〜8時間、焼成温度は500〜700℃がより好ま
しい。更には、素焼き工程の前に、成型物を乾燥する乾
燥工程を有するのが好ましい。乾燥は例えば自然乾燥で
よい。
【0009】なお、前記活性土壌を多孔質の陶磁物の表
面に被覆する場合は、素焼き工程の後に、素焼き物の表
面に活性土壌の粉末を被着する被覆工程を設ける。
【0010】前記混合工程における混合材は、前記活性
土壌の粉末と粘土と多孔形成材の他に、瓦粉末及び焼却
灰の少なくとも1つを含むようにしてもよい。このよう
にすれば、産業廃棄物である瓦くずやごみ焼却後に発生
する焼却灰や火力発電所等で発生する石炭の焼却灰を利
用できる利点がある。
【0011】前記多孔形成材としては、豆かす、発泡
剤、おがくず、木片、樹脂片、繊維片、及び穀物片の少
なくとも1つを使用すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
により説明する。
【0013】陶磁物1は多孔質で、孔2を多数有してい
る。孔2は陶磁物1の表面に露出し、内部へ連続してい
る孔で、例えば直径が1〜500μmの細孔である。多
孔質の陶磁物1は球状をなしており、その表面は凹凸表
面をなしている。球状は加工し易く、且つ、熱が内部ま
で均一に伝わるため硬度を高く均一にでき、耐破壊性に
も優れる。又、球状であると、水との接触面積を他の形
状より広く確保することができる。そして、多孔質の陶
磁物1にはイオン交換を行う活性土壌が含まれている。
活性土壌は珪素、活性アルミナ、アロフェン、ヒューミ
ン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からな
っている。活性土壌は、水との接触面積を増やすため
に、多孔質の陶磁物1の内部に含まれていると共に、表
面に被覆されている。
【0014】多孔質の陶磁物1の製造は、活性土壌の粉
末と粘土と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混
合物を球状に成型する成型工程と、成型物を1ヶ月程度
の間自然乾燥する乾燥工程と、乾燥された成型物を8時
間、550〜700℃の温度で焼成する素焼き工程と、
活性土壌の粉末を水に溶かしてそれに素焼き物を含浸さ
せて素焼き物の表面に活性土壌を被着する被覆工程と、
被覆工程後に素焼き物を12時間、1150〜1200
℃の温度で焼成する本焼き工程とからなる。
【0015】なお、本実施形態では、多孔形成材として
コーヒー豆の搾り滓を細かくしたものを使用した。コー
ヒー豆の搾り滓は焼成時に消失し、その部分に孔2が形
成される。
【0016】多孔質の陶磁物1は、水の浄化を必要とす
る種々の場合に利用することができる。例えば、観賞魚
等の水槽用の水、植物及び切花用の水、飲料用水、浴槽
用の水、炊飯用の水、洗顔用の水等の浄化に利用でき
る。
【0017】例えば、観賞魚が数匹入れられた数リット
ルの水槽の場合、前記多孔質の陶磁物1(直径10〜2
0mm)を水槽内に数10個入れれば、水が多孔質の陶
磁物1で浄化されるため、水の交換時期を長くできる。
【0018】なお、多孔質の陶磁物1によるイオン交換
によりミネラル分が水中に含まれることになるので、多
孔質の陶磁物1は温泉水等にも利用できる。また、多孔
質の陶磁物1は軽いので、種々の利用に際して都合がよ
い。
【0019】本発明の多孔質の陶磁物の形状は上記球状
に限ることはなく、その形状は問わない。例えば、棒状
や板状等でもよい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明の多孔質の陶
磁物は、これを水中に入れれば、水が浄化されるので、
水を清浄に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 多孔質の陶磁物 2 孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/68 510 C02F 1/68 510J 520 520U C04B 38/02 C04B 38/02 K 38/06 38/06 B 41/85 41/85 C

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換を行う活性土壌が含まれてい
    ることを特徴とする多孔質の陶磁物。
  2. 【請求項2】 イオン交換を行う活性土壌が内部に含ま
    れていると共に、表面に被覆されていることを特徴とす
    る多孔質の陶磁物。
  3. 【請求項3】 表面が凹凸表面をなしていることを特徴
    とする請求項1又は2記載の多孔質の陶磁物。
  4. 【請求項4】 前記活性土壌が珪素、アルミナ、アロフ
    ェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の
    複合炭素からなっていることを特徴とする請求項1,2
    又は3記載の多孔質の陶磁物。
  5. 【請求項5】 イオン交換を行う活性土壌の粉末と粘土
    と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を成
    型する成型工程と、成型物を8時間以上、1000〜1
    500℃の温度で焼成する本焼き工程とを有することを
    特徴とする多孔質の陶磁物の製造方法。
  6. 【請求項6】 イオン交換を行う活性土壌の粉末と粘土
    と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を成
    型する成型工程と、成型物を5時間以上、400〜90
    0℃の温度で焼成する素焼き工程と、素焼き物を8時間
    以上、1000〜1500℃の温度で焼成する本焼き工
    程とを有することを特徴とする多孔質の陶磁物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 イオン交換を行う活性土壌の粉末と粘土
    と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を成
    型する成型工程と、成型物を乾燥する乾燥工程と、乾燥
    された成型物を5時間以上、400〜900℃の温度で
    焼成する素焼き工程と、素焼き物を8時間以上、100
    0〜1500℃の温度で焼成する本焼き工程とを有する
    ことを特徴とする多孔質の陶磁物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記素焼き工程の後に、素焼き物の表面
    に前記活性土壌の粉末を被着する被覆工程を有すること
    を特徴とする請求項6又は7記載の多孔質の陶磁物の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記混合工程における混合材が、前記活
    性土壌の粉末と粘土と多孔形成材の他に、瓦粉末及び焼
    却灰の少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請
    求項5〜8のいずれかに記載の多孔質の陶磁物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記多孔形成材が豆かす、発泡剤、お
    がくず、木片、樹脂片、繊維片、及び穀物片の少なくと
    も1つであることを特徴とする請求項5〜9のいずれか
    に記載の多孔質の陶磁物の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記活性土壌の粉末が珪素、アルミ
    ナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及
    び有機質の複合炭素からなっていることを特徴とする請
    求項5〜10のいずれかに記載の多孔質の陶磁物の製造
    方法。
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