JP4489919B2 - 多孔質の陶磁物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の浄化作用を持つ多孔質の陶磁物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水槽内で観賞魚を飼育する場合、餌等の残りによって水垢が発生し、水が汚れてくるため、定期的に水を交換する必要がある。しかし、水の交換作業は手間がかかるため、なるべく交換時期が長いことが望ましい。
このため、水を浄化する物が知られている。この種の従来品に、珪素、活性アルミナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からなっている活性土壌の粉末をセメントで固化したものや、前記活性土壌の粉末を合成樹脂に練り込んだものが知られている。
前記活性土壌は、表面が負に荷電しており、その表面にマグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン等の金属イオンや水素イオンなどの陽イオンが吸着されている。そして、水中の微生物の呼吸により発生する水素イオンが活性土壌の表面に吸着されている金属イオンと交換し、交換により金属イオンが水中に移動して、イオン交換が行われる。このイオン交換により水中に生じる金属イオンが微生物に摂取される。これにより、水中の微生物が繁殖し、その微生物が水中の水垢等を分解することにより、水の浄化が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来品は、活性土壌がセメント固化や樹脂固化されているため、活性土壌と水の接触面積があまり大きくないので、イオン交換が活発に行われない等の欠点を有している。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水の浄化作用を向上させた陶磁物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の解決手段を採る。すなわち、
本発明の多孔質の陶磁物の製造方法は、イオン交換を行う活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を成型する成型工程と、成型物を乾燥する乾燥工程と、乾燥された成型物を5時間以上、400〜900℃の温度で焼成する素焼き工程と、素焼き物の表面に前記活性土壌を被着する被覆工程と、被覆工程後に素焼き物を8時間以上、1000〜1500℃の温度で焼成する本焼き工程とを有することを特徴とする。この場合、素焼き工程の焼成時間は5〜8時間、焼成温度は500〜700℃がより好ましい。本焼き工程の焼成時間は12〜16時間、焼成温度は1000〜1200℃がより好ましい。乾燥は例えば自然乾燥でよい
【0006】
活性土壌は珪素、アルミナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からなっている。
【0007】
活性土壌は、表面が負に荷電しており、その表面にマグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン等の金属イオンや水素イオンなどの陽イオンが吸着されている。そして、水中の微生物の呼吸により発生する水素イオンが活性土壌の表面に吸着されている金属イオンと交換し、交換により金属イオンが水中に移動して、イオン交換が行われる。このイオン交換により水中に生じる金属イオンが微生物に摂取される。これにより、水中の微生物が繁殖し、その微生物が水中の水垢等を分解することにより、水の浄化が行われる。
【0008】
前記被覆工程は、活性土壌の粉末を水に溶かしてそれに素焼き物を含浸させて素焼き物の表面に活性土壌を被着することが好ましい
【0009】
発明においては、陶磁物が多孔質であるため、水が陶磁物の中まで入り込むので、活性土壌と水の接触面積が大きく、イオン交換が活発に行われる。更には、陶磁物の表面にも活性土壌が被覆されると、活性土壌と水との接触面積が一層大きくなる。その結果、イオン交換がより一層盛んになり、微生物がよく繁殖する。また、本発明においては、陶磁物の孔が微生物の棲家になり、微生物の繁殖場所として最適なため、微生物の繁殖に寄与する。
【0010】
前記混合工程における混合材は、前記活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材の他に、瓦粉末及び焼却灰の少なくとも1つを含むようにしてもよい。このようにすれば、産業廃棄物である瓦くずやごみ焼却後に発生する焼却灰や火力発電所等で発生する石炭の焼却灰を利用できる利点がある。
【0011】
前記多孔形成材としては、豆かす、発泡剤、おがくず、木片、樹脂片、繊維片、及び穀物片の少なくとも1つを使用すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1により説明する。
【0013】
陶磁物1は多孔質で、孔2を多数有している。孔2は陶磁物1の表面に露出し、内部へ連続している孔で、例えば直径が1〜500μmの細孔である。多孔質の陶磁物1は球状をなしており、その表面は凹凸表面をなしている。球状は加工し易く、且つ、熱が内部まで均一に伝わるため硬度を高く均一にでき、耐破壊性にも優れる。又、球状であると、水との接触面積を他の形状より広く確保することができる。そして、多孔質の陶磁物1にはイオン交換を行う活性土壌が含まれている。活性土壌は珪素、活性アルミナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からなっている。活性土壌は、水との接触面積を増やすために、多孔質の陶磁物1の内部に含まれていると共に、表面に被覆されている。
【0014】
多孔質の陶磁物1の製造は、活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を球状に成型する成型工程と、成型物を1ヶ月程度の間自然乾燥する乾燥工程と、乾燥された成型物を8時間、550〜700℃の温度で焼成する素焼き工程と、活性土壌の粉末を水に溶かしてそれに素焼き物を含浸させて素焼き物の表面に活性土壌を被着する被覆工程と、被覆工程後に素焼き物を12時間、1150〜1200℃の温度で焼成する本焼き工程とからなる。
【0015】
なお、本実施形態では、多孔形成材としてコーヒー豆の搾り滓を細かくしたものを使用した。コーヒー豆の搾り滓は焼成時に消失し、その部分に孔2が形成される。
【0016】
多孔質の陶磁物1は、水の浄化を必要とする種々の場合に利用することができる。例えば、観賞魚等の水槽用の水、植物及び切花用の水、飲料用水、浴槽用の水、炊飯用の水、洗顔用の水等の浄化に利用できる。
【0017】
例えば、観賞魚が数匹入れられた数リットルの水槽の場合、前記多孔質の陶磁物1(直径10〜20mm)を水槽内に数10個入れれば、水が多孔質の陶磁物1で浄化されるため、水の交換時期を長くできる。
【0018】
なお、多孔質の陶磁物1によるイオン交換によりミネラル分が水中に含まれることになるので、多孔質の陶磁物1は温泉水等にも利用できる。また、多孔質の陶磁物1は軽いので、種々の利用に際して都合がよい。
【0019】
本発明の多孔質の陶磁物の形状は上記球状に限ることはなく、その形状は問わない。例えば、棒状や板状等でもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、水の浄化作用を向上させた陶磁物の製造方法を提供でき、製造された多孔質の陶磁物は、これを水中に入れれば、水が浄化されるので、水を清浄に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 多孔質の陶磁物
2 孔

Claims (5)

  1. イオン交換を行う活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材とを混合する混合工程と、その混合物を成型する成型工程と、成型物を乾燥する乾燥工程と、乾燥された成型物を5時間以上、400〜900℃の温度で焼成する素焼き工程と、素焼き物の表面に前記活性土壌を被着する被覆工程と、被覆工程後に素焼き物を8時間以上、1000〜1500℃の温度で焼成する本焼き工程とを有することを特徴とする多孔質の陶磁物の製造方法。
  2. 前記被覆工程が、活性土壌の粉末を水に溶かしてそれに素焼き物を含浸させて素焼き物の表面に活性土壌を被着することを特徴とする請求項記載の多孔質の陶磁物の製造方法。
  3. 前記混合工程における混合材が、前記活性土壌の粉末と粘土と多孔形成材の他に、瓦粉末及び焼却灰の少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項又は記載の多孔質の陶磁物の製造方法。
  4. 前記多孔形成材が豆かす、発泡剤、おがくず、木片、樹脂片、繊維片、及び穀物片の少なくとも1つであることを特徴とする請求項のいずれかに記載の多孔質の陶磁物の製造方法。
  5. 前記活性土壌の粉末が珪素、アルミナ、アロフェン、ヒューミン酸、フルボ酸、無機質、及び有機質の複合炭素からなっていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の多孔質の陶磁物の製造方法。
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