JP2002078798A - 容器兼用注射器 - Google Patents

容器兼用注射器

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JP2002078798A JP2000272136A JP2000272136A JP2002078798A JP 2002078798 A JP2002078798 A JP 2002078798A JP 2000272136 A JP2000272136 A JP 2000272136A JP 2000272136 A JP2000272136 A JP 2000272136A JP 2002078798 A JP2002078798 A JP 2002078798A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末製剤等が充填されているバイアル瓶に対
し、容器兼用注射器から溶解液等の液剤を容易、確実に
注入することができると共に、ゴム栓の細片を含む薬液
を患者の体内に注射するおそれをなくす。 【解決手段】 容器兼用注射器本体Aのカートリッジ1
0の前端部には、その筒先部材14のノズル15に、穿
刺針22の装着部19を嵌合して穿刺針部材Bが装着さ
れている。前記穿刺針22の針軸部20には、ノズル1
5を介してカートリッジ10内に連通する薬液通路23
が設けられると共に、空気流通孔24、通孔24a、空
気室(空気導入室)26、空気穴21aからなる通気路
28が設けられている。穿刺針22をバイアル瓶30の
ゴム栓31を刺し通して、カートリッジ10内からバイ
アル瓶30に対し薬液の注入、吸引を行う。その際、通
気路28によりバイアル瓶30内が大気に開放される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カートリッジ内に
予め薬剤を充填してラバーストッパで密封してなる、所
謂、容器兼用注射器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】容器兼用注射器は、特に、一室式容器兼
用注射器の場合、注射器内に充填される薬品の使用目的
から大別すると、次の2種類になる。 (1)注射薬(液状薬剤)を直接注射器内に充填し、使
用時にそのまま内部の注射薬を患者に注射するもの。 (2)図4に示すように、バイアル瓶1に粉末製剤また
は凍結乾燥製剤等の製剤2があり、これらを溶解または
懸濁させるための液剤3を注射器4内に充填しておき、
使用時に注射針5を前記バイアル瓶1のゴム栓6に刺し
て貫通させ、前記注射器4の内部の液剤3をバイアル瓶
1内に注入して該液剤3にバイアル瓶1内の前記製剤2
を溶解または懸濁させた後、この溶解または懸濁した液
状薬剤を前記注射器4内に吸引して患者に注射するも
の。
【0003】前記使用目的(2)に対応する容器兼用注
射器4による注射に対し、一般的な方法として、バイア
ル瓶入りの粉末製剤または凍結乾燥製剤等の製剤があ
り、それとは別にアンプルやバイアル瓶に入った溶解液
や分散媒等の液剤があり、さらに、空の一般用注射器が
あって、最初に、空の一般用注射器を使用してアンプル
やバイアル瓶に入った液剤を前記一般用注射器内に吸引
し、この吸引した液剤を、前記製剤の入ったバイアル瓶
中に、ゴム栓に注射針を刺して注入し、バイアル瓶内の
製剤を前記液剤によく溶解または懸濁させてから、再度
注射器内に吸引し、それから患者に注射する等の手順で
行う方法も採用されている。
【0004】前記使用目的(2)に対応する容器兼用注
射器4を使用して注射をする場合には、予め、注射器の
内部に所定の溶解液等の液剤3を充填しておく形式であ
るので、前記一般的な方法で注射をする場合における、
空の注射器を使用してアンプルやバイアル瓶に入った液
剤を注射器内に吸引する最初の作業工程が省略されるた
め、病院内での準備作業が著しく軽減される上に、作業
中に発生する可能性を持つ院内感染や医薬品の誤用防止
のために大きな効果があると言われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、注射器4内に
吸引した溶解液等の液剤3を粉末製剤や凍結乾燥製剤が
等の製剤充填されているバイアル瓶1内に注入する際
は、一般的に患者に穿刺する注射針5をもってバイアル
瓶1のゴム栓6に穿刺して貫通させ、溶解液等の液剤3
をバイアル1内に注入するが、このとき、バイアル1内
の圧力は溶解液等の液剤3が注入されるに従って高ま
り、注射器4内がバイアル1内の圧力に押されて、注射
器4内の溶液が充分にバイアル1内に注入できなくなる
という問題が生じる。特に、溶解液等の液剤3の量が5
ml、10ml、20ml等の大容量になるほど、その
傾向が強く、10ml、20mlを注入する場合には、
注入が殆ど不可能になってしまう。
【0006】また、溶解液等の液剤3の注入の際、患者
に注射する注射針5を使用してバイアル瓶1のゴム栓6
を貫通させて溶解液等の液剤3を注入し、溶解後の薬液
を再度注射器4内に吸引して穿刺した注射針5を抜い
て、そのまま患者に注射する場合、注射針5による細菌
の感染の危険が多くなる上に、ゴム栓6を貫通する際、
注射針5の刃面によってゴム栓の一部を細片として注射
針5の管内に切り取ってしまう、所謂、コアリング現象
を生じ、このゴムの細片を薬液と一緒に患者の体内に注
射してしまうおそれがあった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、粉末製剤や凍結乾燥製剤等の製剤が充填され
ているバイアル瓶に対し、注射器から溶解液等の液剤を
容易、確実に注入することができると共に、ゴムの細片
を含む薬液を患者の体内に注射するおそれがなく、安全
で確実な注射が行える容器兼用注射器を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、以下の点を特徴としている。すなわち、
請求項1に係る容器兼用注射器は、円筒状のカートリッ
ジ内に前後に間隔をあけて第1、第2のラバーストッパ
が嵌合され、後側の第2のラバーストッパをプランジャ
ロッドで移動させることにより、前記第1、第2のラバ
ーストッパの間に充填されている薬液を、前記カートリ
ッジの先端に取り付けた筒先部材のノズルから吐出し、
または、前記ノズルから前記第1、第2のラバーストッ
パの間に薬液を吸引、充填するようにしてなる容器兼用
注射器本体と、前記筒先部材に着脱自在に取り付けられ
る穿刺針部材とを設けた容器兼用注射器において、前記
穿刺針部材には、その穿刺針の軸方向に沿って、前端が
針先に開口し後端が前記筒先部材のノズルの内孔に連通
する薬液通路と、前端が針先に開口し後端側が大気に連
通する通気路とが設けられていることを特徴とする。
【0009】前記容器兼用注射器においては、プランジ
ャロッドを操作することにより、容器兼用注射器本体の
カートリッジ内の薬液を、バイアル瓶のゴム栓に刺し通
した穿刺針部材を通してバイアル瓶内に注入し、また、
バイアル瓶内の薬剤を前記薬液で溶解した薬液を前記穿
刺針部材によって再び容器兼用注射器本体のカートリッ
ジ内に吸引する。上記薬液の注入、吸引の際には、バイ
アル瓶内が前記通気路により大気に開放される。そし
て、注射時には、前記穿刺針部材に代えて一般用の注射
器を用いて前記薬液を注射をするようにする。
【0010】この容器兼用注射器によれば、容器兼用注
射器本体とバイアル瓶との間で薬液の注入、吸引を一般
用の注射針を使用して行わないたので、バイアル瓶のゴ
ム栓に一度も刺し通したことのない新しい一般用の注射
針によって患者に薬液を注射することができる。したが
って、注射針がバイアル瓶のゴム栓を貫通する場合に、
該注射針内にゴム細片が入り込む所謂コアリング現象が
起こることがないと共に、注射針部が細菌で汚染されこ
となく、安全に注射を行うことができる。
【0011】しかも、容器兼用注射器本体とバイアル瓶
との間で薬液の注入、吸引を行う場合には、穿刺針に設
けた通気路によって、バイアル瓶内が大気に開放される
ので、その注入、吸引に伴ってバイアル瓶内が圧力上昇
したり、負圧になるといった不都合が生じることがな
く、前記薬液の注入、吸引を容易、円滑に行うことがで
き、薬液の注射時の準備作業が迅速にできる。
【0012】請求項2に係る容器兼用注射器は、請求項
1に記載の容器兼用注射器において、穿刺針部材は、そ
の穿刺針の外周部に環状の空気導入室が形成され、前記
通気路が該空気導入室を経て大気に連通していることを
特徴とする。この容器兼用注射器では、バイアル瓶に対
する薬液の注入、吸引時に空気が空気導入室に集合され
て通気路からバイアル瓶に対し導入、排出されるので、
バイアル瓶内が大気に速やかに開放される。
【0013】請求項3に係る容器兼用注射器は、請求項
2に記載の容器兼用注射器において、空気導入室は、前
記穿刺針の外周に設けたフランジと、該フランジに対向
させて穿刺針とフランジとに気密に取り付けた空気室部
材との間に形成されていることを特徴とする。この容器
兼用注射器では、穿刺針の回りに環状の比較的大きな空
気導入室が容易に形成され、通気路を通してのバイアル
瓶に対する空気の導入、排出が一層円滑に行われる。
【0014】請求項4に係る容器兼用注射器は、請求項
1〜3のいずれかに記載の容器兼用注射器において、通
気路の大気との連通部には、防細菌用フィルタが設置さ
れていることを特徴とする。この容器兼用注射器では、
バイアル瓶から薬液を容器兼用注射器本体に吸引する際
に、バイアル瓶内に通気路を通って導入される空気が防
細菌用フィルタによって濾過されるので、細菌や異物が
空気と一緒にバイアル瓶内に入るのを防止され、前記バ
イアル瓶内の薬液が汚染することはない。
【0015】請求項5に係る容器兼用注射器は、請求項
1〜4に記載の容器兼用注射器において、穿刺針部材
は、その穿刺針の後端側にテーパ穴を有する軸穴と外周
突起が設けられ、該テーパ穴が前記筒先部材のノズルに
嵌合されると共に、該外周突起が筒先部材の外周部に形
成した雌ねじに係合されることにより、筒先部材に着脱
自在に取り付けられるように構成されていることを特徴
とする。この容器兼用注射器では、穿刺針のテーパ穴と
筒先部材のノズルとの嵌合により、容器兼用注射器本体
のカートリッジと穿刺針の薬液通路とが気密に連絡され
ると共に、筒先部材の雌ねじ部と穿刺針の外周突起との
係合により、前記穿刺針が容器兼用注射器本体に前記気
密の状態を維持して確実に保持され、使用中、容器兼用
注射器本体から穿刺針部材が不用意に外れることはな
い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係
る容器兼用注射器を図1、図2にもとづいて説明する。
図において、10は、ガラス製の円筒状部材からなるカ
ートリッジであり、該カートリッジ10の内部には、前
端側(図1で左端側、図2で下端側)に位置して第1の
ラバーストッパ11aが、後端側(図1で右端側)に位
置して第2のラバーストッパ11bが、それぞれ、気密
(液密)に嵌合されている。各ラバーストッパ11a,
11の間に挟まれたカートリッジ10内の空間12に
は、溶解液や分散媒等の液剤(薬液)13が充填、保管
されている。前記カートリッジ10の前端の外周には、
長手方向の中間部の内側に段部14aを設けた円筒状の
筒先部材14が嵌合されている。
【0017】前記筒先部材14は、前記段部14aより
後方側(図2で上方側)が、大径穴14bに形成されて
前記カートリッジ10の先端部に気密に嵌合されてお
り、前記段部14aより前方側(図2で下端側)が、前
記カートリッジ10の内径より僅かに大きくした小径穴
14cに形成され、前記第1のラバーストッパ11aを
遊嵌させ得るようになっていると共に、前記小径穴14
cの内周面には軸方向に沿って1本以上の縦溝14dが
形成され、前記小径孔14cの底面には半径方向に向け
前記縦溝14dと連絡する横溝14eが形成されてい
る。
【0018】また、前記筒先部材14の前端部(図2で
下端部)の軸心位置には、軸方向の前方(図2下方)に
向けて延長されたノズル15が一体に設けられている。
該ノズル15は、その外周が前端側に行くに従い細くな
るテーパ軸として形成され、軸心には前記小径穴14c
を外部に連通する貫通孔(内孔)15aがあけられてい
る。さらに、前記筒先部材14の前端部には、前記ノズ
ル15の外周側でそれと同心状に離間した位置に円筒状
の筒先16が一体に設けられており、筒先16の内側に
は雌ねじ部16aが形成されている。
【0019】前記カートリッジ10の後端部(図1で右
端部)の外周には、後端部に手指を係止するフランジ1
7aを有するフィンガーグリップ17が嵌合されてお
り、また、前記第2のラバーストッパ11bには、前記
カートリッジ10の後端部からその内部に挿入されたプ
ランジャロッド18が、その前端部に設けたねじを介し
て着脱可能に取り付けられている。プランジャロッド1
8の後端には手指を係止するフランジ18aが設けられ
ている。前記カートリッジ10と、第1、第2のラバー
ストッパ11a,11bと、筒先部材14と、フィンガ
ーグリップ17と、プランジャロッド18とは、容器兼
用注射器本体Aを構成し、該容器兼用注射器本体Aは、
前記筒先部材14のノズル15に注射針を装着すること
により一室式容器兼用注射器として使用されるようにな
っている。
【0020】前記容器兼用注射器本体Aにおける筒先部
材14の前端には、穿刺針部材Bが着脱自在に取り付け
られるようになっている。前記穿刺針部材Bは、後端側
に前記筒先部材14に着脱される円筒状の装着部19を
設けると共に、該装着部19の前方に同軸状に延長して
一体に結合した針軸部20を設け、さらに、該針軸部2
0の外周部に一体に円盤状のフランジ21を設けてなる
穿刺針22を備えている。フランジ21は穿刺針22と
別体に形成して穿刺針22に嵌合してもよい。前記装着
部19は、その軸穴19aの後端部側が後端の開口部に
行くに従い直径が大きくなるテーパ穴19bに形成さ
れ、該テーパ穴19bが前記筒先部材14のノズル15
に気密に嵌合するようになっており、また、その後端の
外周部の対向位置には一対の突起(外周突起)19cが
設けられ、該突起19cが前記筒先部材14における筒
先16の雌ねじ部16aに係合され、該係合後にはノズ
ル15からの装着部19の不用意な脱落が防止されるよ
うになっている。
【0021】さらに、前記穿刺針22の針軸部20は、
先端(図1で左端、図2で下端)の針先部20aを尖鋭
角にしたテーパ状の軸部20bを有し、内側には軸方向
に沿って、液流通孔(薬液通路)23と空気流通孔24
とが互いに平行にして設けられている。前記液流通孔2
3は、針先部20aの側が外部に開放し、後端部側が前
記装着部19の軸穴19aに連通しており、また、空気
流通孔24は、針先部20aの側が外部に開放し、後端
部側が針軸部20の半径方向にあけた通孔24aにより
針軸部20の外へ開放されている。
【0022】前記穿刺針22の軸方向の略中間部に設け
た前記フランジ21の周方向には適宜間隔をあけて複数
個の前後(図2で上下)に貫通する空気穴21aがあけ
られている。そして、フランジ21と前記穿刺針22の
針軸部20との間にリング状の空気室部材25が設けら
れている。該空気室部材25は、中心側のボス部25a
の軸穴を前記針軸部20に嵌合させると共に、外周側の
円筒部25bの後端部を前記フランジ21の外周側に嵌
合させ、ボス部25aに円筒部25bを結合し前記フラ
ンジ21側に円錐状の凹所25dを有する円盤部25c
と前記フランジ21との間に環状の空気室(空気導入
室)26を形成している。
【0023】該空気室26は前記針軸部20の通孔24
aに連絡されている。前記フランジ21における空気室
26側の面には、前記空気穴21aから細菌や異物が通
過するのを阻止するメンブランフィルタ27が装着され
ている。前記空気流通孔24、通孔24a、空気室2
6、空気穴21aは、薬剤を収納されたバイアル瓶内の
圧力を開放させるための通気路28を構成している。な
お、図中29は、先端側が閉鎖され、後端側が開放され
ているキャップであり、開放部29aを前記空気室部材
25のボス部25aに着脱自在に嵌合させることによ
り、前記穿刺針22の針軸部20を覆い、その針先部の
保護と取扱者に対する安全が図られるようになってい
る。
【0024】次に、前記構成の容器兼用注射器の使用方
法について説明する。先ず、前記カートリッジ10の第
1、第2のラバーストッパ11a,11bの間の空間1
2に予め溶解液や分散媒等の液剤(薬液)13が充填さ
れている容器兼用注射器本体Aのノズル15を、前記穿
刺針22の装着部19のテーパ穴19bに挿入して気密
に嵌合させることにより、容器兼用注射器本体Aに穿刺
針部材Bを装着する。その際、穿刺針部材Bにおける穿
刺針22の装着部19の突起19cが容器兼用注射器本
体Aにおける筒先部材14の筒先16の雌ねじ部16a
に係合されるので、前記穿刺針部材Bが容器兼用注射器
本体Aに確実に保持され、使用中、前記装着個所が緩ん
で容器兼用注射器本体Aから穿刺針部材Bが不用意に外
れることはない。
【0025】次に、図2に示すように、容器兼用注射器
本体Aに装着した穿刺針部材Bを、その空気室部材25
のボス部25aがバイアル瓶30のゴム栓31に当接す
るまで、ゴム栓31に刺し通した後、容器兼用注射器本
体Aのプランジャロッド18を押し込むことにより、カ
ートリッジ10内の液剤13をバイアル瓶30内に注入
する。この場合、プランジャロッド18により第2のラ
バーストッパ11bがカートリッジ10の前端側へ移動
されて、第1のラバーストッパ11aと液剤13が該前
端側へ移動する。第1のラバーストッパ11aが筒先部
材14の小径穴14cに入って停止すると、液剤13は
小径穴14cの縦溝14dと横溝14eを通って、ノズ
ル15の貫通孔15aから穿刺針部材Bにおける穿刺針
22の装着部19の軸穴19aに入る。前記装着部19
の軸穴19aに入った液剤は、穿刺針22の針軸部20
の液流通孔23を通ってバイアル瓶30内に注入され、
その中の粉末製剤、凍結乾燥製剤等の製剤(薬剤)32
に混合され、それらの製剤32を溶解させた薬液33と
なる。
【0026】前記において、液剤13をバイアル瓶30
内に注入する際に、液剤13の注入によってバイアル瓶
30内に生じる圧力は、バイアル瓶30内の気体が前記
穿刺針22の針軸部20の空気流通孔24と通孔24a
を通り、さらに、空気室26から空気穴21aを経て大
気に排除されることによって開放されるので、前記液剤
13は、その量が10ml、20mlと多量であっても
何ら支障なく、円滑にバイアル瓶30内に注入される。
【0027】前記カートリッジ10内の液剤13が前記
バイアル瓶30内に全部注入されて前記製剤(薬剤)3
2が充分に溶解した薬液33となったなら、前記穿刺針
部材Bをバイアル瓶30に刺したままで、前記プランジ
ャロッド18を後退させてバイアル瓶30内で溶解した
薬液33を容器兼用注射器本体Aのカートリッジ10内
に吸引する。この場合、前記プランジャロッド18で前
記第2のラバーストッパ11bがカートリッジ10の後
方へ移動されることによって、カートリッジ10内の空
間13内が負圧となるので、バイアル瓶30内の薬液3
3は、前記穿刺針22の液流通孔23を通って装着部1
9の軸穴19aに入った後、ノズル15の貫通穴15a
を通って筒先部材14の小径穴14cに入り、さらに、
横溝14eと縦溝14dを通って第1のラバーストッパ
11aの外側を迂回するようにして、該第1のラバース
トッパ11aの後面側のカートリッジ10内に入る。
【0028】前記において、薬液33をバイアル瓶30
内から吸引する際に、薬液33の吸引によってバイアル
瓶30内が負圧になろうとするが、前記液剤13のバイ
アル瓶30内への注入の場合と反対の流れに従って、空
気が前記穿刺針22通気路(空気穴21a、空気室2
6、通孔24a、空気流通孔24)28を経てバイアル
瓶30内に入るので、バイアル瓶30内は負圧になるこ
とがなく、バイアル瓶30内の薬液33は何ら抵抗な
く、全量が円滑に容器兼用注射器本体Aのカートリッジ
10内に吸引される。前記薬液33の吸引にあたり、バ
イアル瓶30内に入る空気は、前記空気室25へ連通す
る空気穴21aの内側部分にメンブランフィルタ27が
設けられているので、細菌や異物がバイアル瓶30内に
よって前記薬液33を汚染することはない。
【0029】容器兼用注射器本体Aのカートリッジ10
内に薬液が全て吸引された後は、容器兼用注射器本体A
の筒先部材14の雌ねじ部16aと穿刺針22の装着部
19の突起19cとの螺合を解いて、ノズル15から装
着部19をテーパ穴19bを離脱させることにより、容
器兼用注射器本体Aから穿刺針Bを取り外す。そして、
容器兼用注射器本体Aのノズル15に一般用の消毒済み
注射針を取り付けて、前記カートリッジ10内に吸引さ
れた薬液の注射を行う。容器兼用注射器本体Aから取り
外された穿刺針部材Bには、その針軸部20を覆うキャ
ップ29を装着して処理する。
【0030】前記構成の容器兼用注射器によれば、容器
兼用注射器本体Aに穿刺針部材Bを装着して、容器兼用
注射器本体Aのカートリッジ10内の液剤13を該穿刺
針部材Bを通してバイアル瓶30内に注入し、また、バ
イアル瓶30内の製剤32が前記液剤13に溶解した薬
液33を前記穿刺針Bによって再び容器兼用注射器本体
Aのカートリッジ10内に吸引して、注射時には、前記
穿刺針Bに代えて一般用の注射器を用いて前記薬液32
を注射をするようにしたので、容器兼用注射器本体Aの
カートリッジ10とバイアル瓶30との間で液剤13と
薬液33の注入、吸引を一般用の注射針を使用して行う
必要がないため、バイアル瓶30のゴム栓31に一度も
刺し通したことのない新しい一般用の注射針によって患
者に薬液を注射することができる。
【0031】したがって、注射針がバイアル瓶30のゴ
ム栓31を貫通する場合に、該注射針内にゴム細片が入
り込む所謂コアリング現象が起こることがないと共に、
細菌が注射針部が細菌で汚染されるおそれもなく、安全
に注射を行うことができる。殺菌済みの注射針を容器兼
用注射器本体Aに添付しておいて注射器のキット化をす
ることも可能である。
【0032】しかも、容器兼用注射器本体Aのカートリ
ッジ10とバイアル瓶30との間で液剤13と薬液33
の注入、吸引を行う場合には、穿刺針部材Bの穿刺針2
2に設けた通気路28によって、バイアル瓶30内が大
気に開放されるので、その注入、吸引に伴ってバイアル
瓶30内の圧力が上昇したり、負圧になるといった不都
合が生じることがなく、前記カートリッジ10からバイ
アル瓶30への薬液13の注入と、バイアル瓶30から
カートリッジ10への薬液33の吸引を容易、円滑に行
うことができ、薬液の注射時の準備作業が迅速にでき
る。
【0033】なお、前記実施の形態の容器兼用注射器で
は、その穿刺針部材Bにおける穿刺針22の針軸部20
に液流通孔23と空気流通孔24をそれぞれ一個設けた
が、これに限らず、それぞれ複数個設けてもい。このよ
うにすれば、バイアル瓶30内の圧力の大気への開放が
速やかに行えて、容器兼用注射器本体Aとバイアル瓶3
0との間の液剤13、薬液33の注入、吸引が迅速に行
うことができる。
【0034】また、前記各実施の形態の容器兼用注射器
では、その穿刺針22の空気流通孔24を、フランジ2
1と空気室部材25との間に形成された空気室26に連
絡して大気に開放するように構成したが、前記空気室部
材25を設けずに、図3(A)に示すように、前記フラ
ンジ21を厚くしたフランジ21Aを設けてその外周側
もしくは後端側から前記空気流通孔24のフランジ21
A側の端部に連通する通気穴24bをフランジ21Aに
1ないし複数個設け、該通気穴24bにより大気に開放
するようにしてもよい。この場合には、前記通気穴24
bのフランジ21A側の開口部24cにメンブランフィ
ルタ27aを取り付ける。
【0035】また、前記空気室部材25は、前記フラン
ジ21側に円錐状の凹所24dを設けたリング状のもの
として形成したが、空気室部材24の形状は図のものに
限定されず、図3(B)に示すように、フランジ21側
に空気穴21aに連通してフランジ21との間に適宜形
状の空気室を形成する有底円筒状のもの25A、皿状の
もの、その他の形状であってもよく、さらに、フランジ
21の空気穴21aの代えて、空気室部材25Aにその
外周側から前記空気室26に連通する空気穴25fを設
けるようにしてもよい。さらには、図3(C)に示すよ
うに、フランジ21Bの前面側に環状の凹所21bを設
け、その前面側に前記空気室部材24に代わる円盤状部
材25Bを向い合わせて取り付けて空気室26を形成し
てもよい。この場合に、フランジ21Bに空気穴21a
を設ける代わりに、前記円盤状部材25Bに空気穴25
gを設けることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の優れた効果を奏する。請求項1に係る容器兼用注射
器によれば、容器兼用注射器本体とバイアル瓶との間で
薬液の注入、吸引を穿刺針部材によって行い、一般用の
注射針を使用して行わないので、バイアル瓶のゴム栓に
一度も刺し通したことのない新しい一般用の注射針によ
って患者に薬液を注射することができる。したがって、
注射針がバイアル瓶のゴム栓を貫通する場合に、該注射
針内にゴム細片が入り込む所謂コアリング現象が起こる
ことがないと共に、注射針部が細菌で汚染されことな
く、安全に注射を行うことができる。
【0037】しかも、容器兼用注射器本体とバイアル瓶
との間で薬液の注入、吸引を行う場合には、穿刺部材の
穿刺針に設けた通気路によって、バイアル瓶内が大気に
開放されるので、その注入、吸引に伴ってバイアル瓶内
が圧力上昇したり、負圧になるといった不都合が生じる
ことがなく、前記薬液の注入、吸引を容易、円滑に行う
ことができ、薬液の注射時の準備作業が迅速にできる。
【0038】請求項2に係る容器兼用注射器によれば、
バイアル瓶に対する薬液の注入、吸引時に空気が空気導
入室に集合されて通気路からバイアル瓶に対し導入、排
出されるので、バイアル瓶内を大気に速やかに開放させ
ることができる。請求項3に係る容器兼用注射器によれ
ば、穿刺針の回りに環状の比較的大きな空気導入室を容
易に形成することができるので、通気路を通してのバイ
アル瓶に対する空気の導入、排出を一層円滑に行わせる
ことができる。
【0039】請求項4に係る容器兼用注射器によれば、
バイアル瓶から薬液を容器兼用注射器本体に吸引する際
に、バイアル瓶内に通気路を通って導入される空気が防
細菌用フィルタによって濾過されるので、細菌や異物が
空気と一緒にバイアル瓶内に入って該バイアル瓶内の薬
液が汚染するのを確実に防止することができる。
【0040】請求項5に係る容器兼用注射器によれば、
穿刺針のテーパ穴と筒先部材のノズルとの嵌合により、
容器兼用注射器本体のカートリッジと穿刺針の薬液通路
とを気密に連絡させることができると共に、筒先部材の
雌ねじ部と穿刺針の外周突起との係合により、前記穿刺
針を容器兼用注射器本体に対し、前記気密の状態を維持
して確実に保持させることができ、使用中、容器兼用注
射器本体から穿刺針部材が不用意に外れることを防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る容器兼用注射器
を示す縦断面図である。
【図2】 同じく穿刺針部材の縦断面図である。
【図3】 穿刺針部材の他の例を示す縦断面図である。
【図4】 従来の一室式容器兼用注射器の縦断面図であ
る。
【符号の説明】
10 カートリッジ 11a 第1
のラバーストッパ 11b 第2のラバーストッパ 12 空間 13 液剤 14 筒先部
材 15 ノズル 17 フィン
ガーグリップ 18 プランジャロッド 19 装着部 19a 軸穴 19b テー
パ穴 20 針軸部 21 フラン
ジ 22 穿刺針 23 液流通
孔(薬液通路) 24 空気流通孔 25 空気室
部材 26 空気室(空気導入室) 27 メンブ
ランフィルタ 28 通気路 29 キャッ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状のカートリッジ内に前後に間隔を
    あけて第1、第2のラバーストッパが嵌合され、後側の
    第2のラバーストッパをプランジャロッドで移動させる
    ことにより、前記第1、第2のラバーストッパの間に充
    填されている薬液を、前記カートリッジの前端に取り付
    けた筒先部材のノズルから吐出し、または、前記ノズル
    から前記第1、第2のラバーストッパの間に薬液を吸
    引、充填するようにしてなる容器兼用注射器本体と、前
    記筒先部材に着脱自在に取り付けられる穿刺針部材とを
    設けた容器兼用注射器において、 前記穿刺針部材には、その穿刺針の軸方向に沿って、前
    端が針先に開口し後端が前記筒先部材のノズルの内孔に
    連通する薬液通路と、前端が針先に開口し後端側が大気
    に連通する通気路とが設けられていることを特徴とする
    容器兼用注射器。
  2. 【請求項2】 前記穿刺針部材は、その穿刺針の外周部
    に環状の空気導入室が形成され、前記通気路が該空気導
    入室を経て大気に連通していることを特徴とする請求項
    1に記載の容器兼用注射器。
  3. 【請求項3】 前記空気導入室は、前記穿刺針の外周に
    設けたフランジと、該フランジに対向させて穿刺針とフ
    ランジとに気密に取り付けた空気室部材との間に形成さ
    れていることを特徴とする請求項2に記載の容器兼用注
    射器。
  4. 【請求項4】 前記通気路の大気との連通部には、防細
    菌用フィルタが設置されていることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の容器兼用注射器。
  5. 【請求項5】 前記穿刺針部材は、その穿刺針の後端側
    にテーパ穴を有する軸穴と外周突起が設けられ、該テー
    パ穴が前記筒先部材のノズルに嵌合されると共に、該外
    周突起が筒先部材の外周部に形成した雌ねじに係合され
    ることにより、筒先部材に着脱自在に取り付けられるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1〜4に記
    載の容器兼用注射器。
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