JP2002076747A - アレーアンテナの制御装置及び制御方法 - Google Patents

アレーアンテナの制御装置及び制御方法

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JP2002076747A JP2000268608A JP2000268608A JP2002076747A JP 2002076747 A JP2002076747 A JP 2002076747A JP 2000268608 A JP2000268608 A JP 2000268608A JP 2000268608 A JP2000268608 A JP 2000268608A JP 2002076747 A JP2002076747 A JP 2002076747A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来例に比較して構成が簡単であって、時間
的にかつビーム形成方向として正確にビーム・ヌル制御
ができる。 【解決手段】 可変移相器3−1乃至3−Nは、複数N
個のアンテナ素子からなるアレーアンテナ100によっ
て受信された複数N個の無線信号をそれぞれ所定の移相
量だけ移相させ、合成器4は移相された複数N個の無線
信号を合成して出力する。復調器7は合成後の無線信号
をベースバンド信号に復調し、時分割フィルタバンク回
路10は復調されたベースバンド信号に基づいて1つの
非摂動項のサンプル信号と系列信号内の摂動項の複数の
サンプル信号とが異なる出力信号として出力されるよう
に時分割処理を行う。ビーム制御回路20は、時分割処
理後の信号に基づいてアレーアンテナ100の主ビーム
を所定の方向に向けるような所定の適応ビーム制御法を
用いて、可変移相器3−1乃至3−Nの各移相量を計算
して出力して適応ビーム制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のアンテナ素
子を備えたアレーアンテナを制御するための制御装置及
び制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来例のアレーアンテナの制
御装置の構成を示すブロック図である。図10におい
て、複数N個のアンテナ素子1−1乃至1−Nが互いに
所定の間隔で1直線上に並置されてなるアレーアンテナ
100によって無線信号が受信され、各アンテナ素子1
−1乃至1−Nで受信された無線信号はそれぞれ、低雑
音増幅器(LNA)2−1乃至2−N、所定の中間周波
数の中間周波信号に周波数変換するダウンコンバータ5
−1乃至5−N、中間周波信号をベースバンド信号に復
調する復調器7−1乃至7−N及びアナログ/ディジタ
ル変換を行うA/D変換器9−1乃至9−Nを介してビ
ーム制御回路93及び可変移相器91−1乃至91−N
に出力される。可変移相器91−1乃至91−Nはそれ
ぞれ、入力されるベースバンド信号を、ビーム制御回路
93から指示される移相量だけ移相した後、合成器92
に出力する。合成器92は入力される複数N個のベース
バンド信号を電力合成して、合成後のベースバンド信号
をビーム制御回路93に出力するとともに、外部装置に
出力する。
【0003】ここで、ビーム制御回路93は、A/D変
換器9−1乃至9−Nから入力される各ベースバンド信
号と、合成後のベースバンド信号とに基づいて、例えば
公知のLMS(Least Mean Square)法等のMMSE(M
inimizing Mean Square Error)の基準に基づく手法な
どの適応ビーム制御アルゴリズムを用いて、合成後のベ
ースバンド信号が最大となりかつアレーアンテナ100
が所定の方向に主ビームを向けるような可変移相器91
−1乃至91−Nの各移相量を計算して各可変移相器9
1−1乃至91−Nを制御するために出力する。
【0004】以上のように構成された、いわゆる適応型
アレーアンテナの制御装置は、複数のアンテナ素子1−
1乃至1−N及び無線受信機回路に、デジタル信号処理
回路である可変移相器91−1乃至91−N、合成器9
2及びビーム制御回路93を組み合わせることにより、
受信電波環境に適応した指向性パターンを得ることがで
きる高機能なアンテナ制御装置である。図10の従来例
では、ディジタルビーム形成回路(DBF)を用いた構
成であり、アレーアンテナの主ビームを所望到来波の方
向に形成したり、干渉波の方向にヌル点を形成してこれ
を除去するという機能を有する。
【0005】しかしながら、アンテナ素子1−1乃至1
−N毎に受信回路(低雑音増幅器2−1乃至2−N、ダ
ウンコンバータ5−1乃至5−N、及び復調器7−1乃
至7−N)並びにA/D変換器9−1乃至9−Nを用い
る必要があるので、ハードウエア規模や消費電力が大き
くなるという問題点があった。特に、アンテナ素子の素
子数が多い高利得アンテナの場合に特にこの問題は深刻
なものとなる。さらに、アンテナ素子毎に受信するので
信号レベルが低下した環境下では動作が困難となるとい
う欠点もある。
【0006】この問題点を解決するために、本発明者ら
は、例えば、従来技術文献1「田野ほか,“M−CMA
(Modified Constant Modulus Algorithm),−マイク
ロ波信号処理による適応ビーム形成のためのディジタル
信号処理アルゴリズム−”,電子情報通信学会研究報
告,A・P99−62,pp.15−22,1999
年」において、このマイクロ波帯でビーム形成を行いデ
ィジタル信号処理制御を行うアダプティブアレーに適し
た適応アルゴリズムとして、M−CMA(ModifiedCons
tant Modulus Algorithm)が提案されている。このM−
CMA法では、ハードウェア構成の簡易化のため、ビー
ム形成器を可変移相器と加算器で構成することを前提と
している。M−CMA法はCMA法と同じように振幅偏
差の平均自乗誤差の最小化を評価基準とするため、CM
A法と同様にビームステアリングとヌルステアリングの
同時制御が可能である。言うまでもなく、M−CMA法
はブラインドアルゴリズムに位置づけられるため、フレ
ーム同期や周波数・位相同期を確立する前にビーム形成
可能である。従って、種々の同期確立以前にビーム形成
が行われ、ビーム形成器からはSINR(Signal to In
terference and NoiseRatio)の高い信号がIF段以降
に供給されるため、劣悪なSINR環境下においても種
々の同期が容易に確立できるという利点もある。原理的
にM−CMA法は各可変移相器の制御電圧に対する誤差
平面における傾斜ベクトルを摂動を用いて推定する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、M−C
MA法では、同じ時刻の受信信号に対して摂動を与えた
時のビーム形成器の出力信号(摂動項)と、与えないビ
ーム形成器の出力信号(非摂動項)が更新式において必
要になる。これを近似的に求める手段として、高速サン
プリングを用いる方法がある。これは摂動をかけると同
時に、ビーム形成器の出力信号をシンボルレートに対し
て高速にサンプリングし、この出力の隣り合った信号を
「非摂動項」と「摂動項」として用いるのである。この
動作原理には、雑音の影響を無視すれば、高速サンプル
されたビーム形成器の出力信号の隣り合った信号の相関
は非常に高く、両者の違いは摂動の有り無しの違いだけ
であることを利用している。ただしこの場合、ビットレ
ートに比較して非常に高速なサンプリングを行えるA/
D変換器が必要になること、サンプリングタイミング調
整が困難であって、回路構成が複雑になるという問題点
があった。
【0008】本発明の目的は以上の問題点を解決し、従
来例に比較して構成が簡単であって、時間的にかつビー
ム形成方向として正確に主ビームの制御やヌルの制御が
できるアレーアンテナの制御装置及び制御方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアレーアン
テナの制御装置は、複数N個のアンテナ素子が互いに所
定の間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ
素子で受信された複数N個の無線信号をそれぞれ所定の
移相量だけ移相させて出力する複数N個の移相手段と、
上記各移相手段から出力される複数N個の無線信号を合
成して、合成後の無線信号を出力する合成手段と、上記
合成手段から出力される無線信号をベースバンド信号に
復調して出力する復調手段と、上記復調手段から出力さ
れるベースバンド信号を所定の利得で利得制御して出力
する利得制御手段と、上記利得制御手段から出力される
ベースバンド信号と所定値の基準信号との間の誤差信号
を発生して出力する減算手段と、上記複数の移相手段の
各移相量をそれぞれ所定のシフト量だけ摂動させ、各移
相量に対する、上記減算手段から出力される誤差信号の
電力の傾斜ベクトルを計算し、計算された誤差信号の電
力の傾斜ベクトルと上記誤差信号に基づいて当該誤差信
号が最小となるように、上記アレーアンテナの主ビーム
を所定の方向に向けるための各移相量及び上記利得制御
手段の利得を計算してそれぞれ上記各移相手段及び上記
利得制御手段に出力する制御手段とを備えたアレーアン
テナの制御装置において、上記ベースバンド信号は複数
個のサンプル信号を含む系列信号を含み、上記復調手段
と上記利得制御手段との間、又は上記利得制御手段と上
記制御手段及び上記減算手段との間に挿入して設けら
れ、入力されるベースバンド信号に基づいて、摂動され
ない期間における少なくとも1つのサンプル信号と、摂
動された期間における上記系列信号内の複数のサンプル
信号とが異なる出力信号として出力されるように時分割
処理を実行する時分割処理手段をさらに備えたことを特
徴とする。
【0010】上記アレーアンテナの制御装置において、
上記利得制御手段は、好ましくは、トランスバーサルフ
ィルタ回路であることを特徴とする。
【0011】また、本発明に係るアレーアンテナの制御
装置は、複数N個のアンテナ素子が互いに所定の間隔で
並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子で受信
された複数N個の無線信号をそれぞれ所定の移相量だけ
移相させて出力する複数N個の移相手段と、上記各移相
手段から出力される複数N個の無線信号を合成して、合
成後の無線信号を出力する合成手段と、上記合成手段か
ら出力される無線信号をベースバンド信号に復調して出
力する復調手段と、上記復調手段から出力されるベース
バンド信号を所定の利得で利得制御して出力する利得制
御手段と、上記利得制御手段から出力されるベースバン
ド信号の符号を判別して符号判別値を示す符号判別値信
号を出力する符号判別手段と、上記符号判別手段から出
力される符号判別値信号と、上記利得制御手段から出力
されるベースバンド信号との間の誤差信号を発生して出
力する減算手段と、上記複数の移相手段の各移相量をそ
れぞれ所定のシフト量だけ摂動させ、各移相量に対す
る、上記利得制御手段から出力されるベースバンド信号
の摂動前後の変化量を計算し、計算された変化量と、上
記復調手段から出力されるベースバンド信号と、上記利
得制御手段から出力されるベースバンド信号と、上記減
算手段から出力される誤差信号とに基づいて、上記誤差
信号の自乗平均が最小となるように、上記アレーアンテ
ナの主ビームを所定の方向に向けるための上記各移相量
及び上記利得を計算してそれぞれ上記各移相手段及び上
記利得制御手段に出力する制御手段とを備え、上記ベー
スバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系列信号を
含み、上記復調手段と上記利得制御手段との間、又は上
記利得制御手段と上記制御手段及び上記減算手段との間
に挿入して設けられ、入力されるベースバンド信号に基
づいて、摂動されない期間における少なくとも1つのサ
ンプル信号と、摂動された期間における上記系列信号内
の複数のサンプル信号とが異なる出力信号として出力さ
れるように時分割処理を実行する時分割処理手段をさら
に備えたことを特徴とする。
【0012】上記アレーアンテナの制御装置は、好まし
くは、上記復調手段の後段に挿入して設けられ、上記復
調手段から出力されるベースバンド信号に対してアナロ
グ・ディジタル変換して、変換後のディジタルのベース
バンド信号を出力する変換手段をさらに備えたことを特
徴とする。
【0013】さらに、本発明に係るアレーアンテナの制
御方法は、複数N個のアンテナ素子が互いに所定の間隔
で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子で受
信された複数N個の無線信号を、複数の移相手段を用い
て、それぞれ所定の移相量だけ移相させるステップと、
上記移相された複数N個の無線信号を合成して、合成後
の無線信号を出力するステップと、上記合成後の無線信
号をベースバンド信号に復調するステップと、上記復調
されたベースバンド信号を、利得制御手段を用いて所定
の利得で利得制御するステップと、上記利得制御された
ベースバンド信号と所定値の基準信号との間の誤差信号
を発生するステップと、上記複数の移相手段の各移相量
をそれぞれ所定のシフト量だけ摂動させ、各移相量に対
する、上記誤差信号の電力の傾斜ベクトルを計算し、計
算された誤差信号の電力の傾斜ベクトルと上記誤差信号
に基づいて当該誤差信号が最小となるように、上記アレ
ーアンテナの主ビームを所定の方向に向けるための各移
相量及び上記利得制御するステップの利得を計算してそ
れぞれ上記各移相手段及び上記利得制御手段に出力する
ステップとを含むアレーアンテナの制御方法において、
上記ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系
列信号を含み、上記復調するステップと上記利得制御す
るステップとの間、又は上記利得制御するステップと上
記計算するステップ及び上記誤差信号を発生するステッ
プとの間で実行され、入力されるベースバンド信号に基
づいて、摂動されない期間における少なくとも1つのサ
ンプル信号と、摂動された期間における上記系列信号内
の複数のサンプル信号とが異なる出力信号として出力さ
れるように時分割処理を実行するステップをさらに含む
ことを特徴とする。
【0014】上記アレーアンテナの制御方法において、
上記利得制御するステップは、好ましくは、トランスバ
ーサルフィルタ回路を用いて実行されることを特徴とす
る。
【0015】またさらに、本発明に係るアレーアンテナ
の制御方法は、複数N個のアンテナ素子が互いに所定の
間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子
で受信された複数N個の無線信号を、複数の移相手段を
用いてそれぞれ所定の移相量だけ移相させるステップ
と、上記移相された複数N個の無線信号を合成して、合
成後の無線信号を出力するステップと、上記合成後の無
線信号をベースバンド信号に復調するステップと、上記
復調されたベースバンド信号を、利得制御手段を用いて
所定の利得で利得制御するステップと、上記利得制御さ
れたベースバンド信号の符号を判別して符号判別値を示
す符号判別値信号を出力するステップと、上記符号判別
値信号と、上記利得制御されたベースバンド信号との間
の誤差信号を発生するステップと、上記複数の移相手段
の各移相量をそれぞれ所定のシフト量だけ摂動させ、各
移相量に対する、上記利得制御されたベースバンド信号
の摂動前後の変化量を計算し、計算された変化量と、上
記復調されたベースバンド信号と、上記利得制御された
ベースバンド信号と、上記誤差信号とに基づいて、上記
誤差信号の自乗平均が最小となるように、上記アレーア
ンテナの主ビームを所定の方向に向けるための上記各移
相量及び上記利得を計算してそれぞれ上記各移相手段及
び上記利得制御手段に出力するステップとを備え、上記
ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系列信
号を含み、上記復調するステップと上記利得制御するス
テップとの間、又は上記利得制御するステップと上記計
算するステップ及び上記誤差信号を発生するステップと
の間で実行され、入力されるベースバンド信号に基づい
て、摂動されない期間における少なくとも1つのサンプ
ル信号と、摂動された期間における上記系列信号内の複
数のサンプル信号とが異なる出力信号として出力される
ように時分割処理を実行するステップをさらに含むこと
を特徴とする。
【0016】上記アレーアンテナの制御方法は、好まし
くは、上記復調するステップの後に実行され、上記復調
されたベースバンド信号に対してアナログ・ディジタル
変換して、変換後のディジタルのベースバンド信号を出
力するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。
【0018】<第1の実施形態>図1は、本発明に係る
第1の実施形態であるアレーアンテナの制御装置の構成
を示すブロック図であり、図10と同様のものについて
は同一の符号を付している。また、図2は、図1の時分
割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20と摂動
付加回路30の詳細な内部構成を示すブロック図であ
る。
【0019】この第1の実施形態のアレーアンテナの制
御装置は、複数N個のアンテナ素子1−1乃至1−Nが
互いに所定の間隔で配置されてなるアレーアンテナ10
0(例えばリニアアレーであって、2次元形状又は3次
元形状で配置されてもよい。)のビームをM−CMA法
を用いて制御するためのビーム制御回路20を備えた適
応制御型制御装置において、A/D変換器9とビーム制
御回路30との間に、入力されるベースバンド信号に基
づいて、摂動付加回路30で摂動されない期間における
1つの信号(少なくとも1つの信号でもよい。)と、摂
動付加回路30で摂動された期間におけるトレーニング
信号であるM系列信号内の複数のサンプル信号とが異な
る出力信号として出力されるように時分割処理を実行す
る時分割フィルタバンク回路10を備えたことを特徴と
している。すなわち、この実施形態では、M−CMA法
を用いたビーム制御における上述の問題を解決する方法
としてポリフェーズ表現で構成された時分割フィルタバ
ンク回路10を利用し、これにより、同時刻における摂
動項と非摂動項が厳密な形で得られるため、正確なビー
ム・ヌル制御を可能にする。ここで、時分割フィルタバ
ンク回路10内のディジタルフィルタ13−0乃至13
−(M−1)は、例えば、ディジタル位相変調システム
で帯域制限フィルタとして用いられる、ルートロールオ
フフィルタをポリフェーズ構成したものである。
【0020】以下、図1に示すアレーアンテナの制御装
置の構成について説明する。図1において、複数N個の
アンテナ素子1−1乃至1−Nが互いに所定の間隔で配
置されてなるアレーアンテナ100によって無線信号が
受信され、各アンテナ素子1−1乃至1−Nで受信され
た無線信号はそれぞれ、低雑音増幅器(LNA)2−1
乃至2−Nを介して可変移相器3−1乃至3−Nに入力
される。各可変移相器3−1乃至3−Nはそれぞれ、入
力される無線信号を、摂動付加回路30から出力される
各移相制御電圧vk,i(i=1,2,…,N)に対応し
た各移相量だけ移相した後、合成器4に出力する。合成
器4は入力されるN個の無線信号を電力合成して、合成
後の無線信号を、所定の中間周波数の中間周波信号に周
波数変換するダウンコンバータ5及び中間周波信号の帯
域成分のみを帯域ろ波する帯域通過フィルタ(BPF)
6を介して復調器7に出力する。復調器7は、入力され
る無線信号を、送信機側の変調方法(例えば、QPS
K、PSK、FSKなど)に対応した復調方法を用いて
ベースバンド信号に復調して、所望のベースバンド信号
のみを取り出す低域通過フィルタ(LPF)8を介して
A/D変換器9に出力する。A/D変換器9は、入力さ
れるアナログのベースバンド信号をディジタルのベース
バンド信号にA/D変換して、変換後のベースバンド信
号信号ukを外部装置に出力するとともに、時分割フィ
ルタバンク回路10を介してビーム制御回路20にに出
力する。
【0021】なお、可変移相器3−1乃至3−Nと合成
器4とは、例えば公知の大規模GaAsMMICにてな
るマイクロ波シグナルプロセッサによって構成すること
ができる。また、本実施形態においては、ベースバンド
信号はトレーニング信号として例えばM系列信号を含
み、A/D変換器9のサンプリングレートをfs=2M
fcとする。ここで、Mは1以上の自然数であり、fc
はシンボルクロック周波数である。
【0022】時分割フィルタバンク回路10は、図2に
示すように、互いに縦続に接続されそれぞれ1/(2M
fc)の遅延時間を有する(M−1)個の遅延回路11
−1乃至11−(M−1)と、それぞれ(M/2)倍の
ダウンサンプリングレートを有するM個のダウンサンプ
ラ12−0乃至12−(M−1)と、それぞれ詳細後述
する伝達関数を有し例えばFIRフィルタで構成される
M個のディジタルフィルタ13−0乃至13−(M−
1)と、それぞれ(1/4)倍のダウンサンプリングレ
ートを有するM個のダウンサンプラ14−0乃至14−
(M−1)とを備えて構成される。時分割フィルタバン
ク回路10において、A/D変換器9からのベースバン
ド信号ukは、ダウンサンプラ12−(M−1)、ディ
ジタルフィルタ13−(M−1)及びダウンサンプラ1
4−(M−1)を介して、時分割処理されたベースバン
ド信号Ψk,M-1としてビーム制御回路20に出力される
とともに、互いに縦続接続された(M−1)個の遅延回
路11−(M−1)乃至11−1を介してダウンサンプ
ラ12−0に出力される。ここで、遅延回路11−(M
−1)から出力されるベースバンド信号ukは、ダウン
サンプラ12−(M−2)、ディジタルフィルタ13−
(M−2)及びダウンサンプラ14−(M−2)を介し
て、時分割処理されたベースバンド信号Ψk,M-2として
ビーム制御回路20に出力される。以下、同様にして、
遅延回路11−mから出力されるベースバンド信号uk
は、ダウンサンプラ12−m、ディジタルフィルタ13
−m及びダウンサンプラ14−mを介して、時分割処理
されたベースバンド信号Ψk,mとしてビーム制御回路2
0に出力され、ここで、m=M−3,…,0である。
【0023】図3は、図2の時分割フィルタバンク回路
10の動作例を示すブロック図であり、本実施形態で
は、一例として、N=M−1の場合を示している。
【0024】本実施形態では、図3に示すように、1シ
ンボルの時間Tを2分割して、時間T/2において、M
個のサンプル信号(これはM系列信号を対応する。)を
含み、M個のサンプル信号は、摂動付加回路30で摂動
されない期間における1つの非摂動項のサンプル信号
(Δv=0)と、摂動付加回路30で摂動された期間に
おけるトレーニング信号であるM系列信号内の複数N
(=M−1)個の摂動項のサンプル信号(摂動付加電圧
Δvが付加された)とを含む。そして、時分割フィルタ
バンク回路10は、M個のサンプル信号のうち、1つの
非摂動項のサンプル信号(Δv=0)と、M−1個の摂
動項のサンプル信号(摂動付加電圧Δvが付加された)
が異なる出力信号として出力されるように時分割処理を
実行する。
【0025】図2において、時分割フィルタバンク回路
10から出力される時分割処理後のベースバンド信号Ψ
k,0は、ビーム制御部21に直接に出力されるととも
に、ビーム制御部21により指定される制御利得gk
有する可変増幅器22−0を介してビーム制御部21及
び減算器24に入力される。また、時分割フィルタバン
ク回路10から出力される時分割処理後のベースバンド
信号Ψk,mは、ビーム制御部21により指定される制御
利得gkを有する可変増幅器22−mを介してビーム制
御部21に入力され、ここで、m=1,2,…,M−1
である。ここで、制御利得は正又は負の値をとりうる。
一方、基準信号発生器23は所定の一定値を有する基準
信号σを発生して減算器24に出力する。減算器24は
基準信号σから利得増幅後のベースバンド信号yk,0
減算して、その誤差(又は偏差)信号ekをビーム制御
部21に出力する。ビーム制御部21は、入力される誤
差信号ekと、それぞれ利得制御されたM個のベースバ
ンド信号yk,0乃至yk,M-1と、利得制御前のベースバン
ド信号Ψk,0とに基づいて、詳細後述するように、M−
CMA法を用いて、摂動付加回路30のスイッチングコ
ントローラ32を制御して各可変移相器3−1乃至3−
Nの各移相制御電圧vk,i(i=1,2,…,N)を所
定のシフト量だけ摂動させ、これにより対応する各移相
量を所定の対応シフト量だけ摂動させ、各移相量に対す
る減算器22から出力される誤差信号e kの電力の傾斜
ベクトルを計算し、計算された誤差信号ekの電力の傾
斜ベクトルに基づいてA/D変換器9から出力されるベ
ースバンド信号ykの電力を最大にしかつ、減算器22
から出力される誤差信号ekに基づいて当該誤差信号ek
が最小となるように、アレーアンテナ100の主ビーム
を所定の方向に向けるための各移相量に対応する各移相
制御電圧vk,i及び可変増幅器21の増幅度gkを計算し
て、計算した各移相制御電圧vk,iを摂動付加回路30
を介して各可変移相器3−1乃至3−Nに出力するとと
もに、計算した増幅度gkを可変増幅器21に出力す
る。
【0026】摂動付加回路30は、摂動付加電圧Δvを
発生する摂動付加電圧発生器31と、N個のスイッチ3
4−1乃至34−Nと、N個の加算器33−1乃至33
−Nとを備えて構成される。ここで、摂動付加電圧発生
器31により発生された摂動付加電圧Δvはスイッチ3
4−1乃至34−Nの各接点bに入力され、スイッチ3
4−1乃至34−Nの各接点aはそれぞれ接地されてい
る。これらスイッチ34−1乃至34−Nの切り換え
は、ビーム制御部21の制御により動作するスイッチコ
ントローラ32により制御され、ここで、各スイッチ3
4−1乃至34−Nは通常接点a側に接続されている
が、スイッチングコントローラ32は、例えばトレーニ
ング信号を受信しているときに、図3に示すように、1
シンボルの半分の時間T/2において、M系列信号のM
=N+1個のサンプル信号のうちの1つの非摂動項のサ
ンプル信号(Δv=0)に続いて、各移相器3−1乃至
3−Nに対応する複数N(=M−1)個の摂動項のサン
プル信号(摂動付加電圧Δvが付加された)が順次出力
されるように、N個のスイッチ34−1乃至34−Nの
うちの1つのスイッチのみを順次接点b側に切り換える
ことにより、ビーム制御部21から出力される移相制御
電圧vk,n(n=1,2,…,N)に対して加算器33
−1乃至33−Nのうちの1つで加算して付加する。摂
動付加回路30から出力される移相制御電圧は移相制御
電圧vk,n(n=1,2,…,N)としてそれぞれ移相
器3−1乃至3−Nに出力される。
【0027】なお、トレーニング信号を受信していると
きに、摂動付加電圧Δvを付加するときは、ビーム制御
回路20から出力される移相制御電圧vk,nと、摂動付
加回路30から出力される移相制御電圧vk,nとは異な
るが、説明の便宜上同一の記号を付す。
【0028】次いで、本実施形態で用いるM−CMA法
の原理と課題について説明する。マイクロ波信号処理に
よるビーム形成とディジタル信号処理を融合したアダプ
ティブアレーの構成を示す図1では、間隔dで空間に配
列されたアレーアンテナ100のアンテナ素子1−1乃
至1−Nによって受信された受信信号は、LNA2−1
乃至2−Nを介して、MMIC等で構成される可変移相
器3−1乃至3−Nによって重み付けされたのち合成器
4で加算され、ビーム形成器の出力信号となる。時刻k
においてi番目の給電素子で受信された信号をuk,i
するとビーム形成器の出力信号skは、等価低域モデル
(例えば、従来技術文献2「エス.スタインほか,”現
代の通信回線理論”,森北出版,1970年」参照。)
を用いて次式ように表される。
【0029】
【数1】
【0030】上記数1において、vk,iはi番目のアン
テナ素子1−iに接続された可変移相器3−iに印加さ
れる制御電圧であり、θ(・)は可変移相器3−iの制
御電圧に対する移相特性関数であり、Nはアンテナ素子
の数,jは虚数単位を示している。このビーム形成器の
出力信号はダウンコンバータ5によりベースバンド帯に
変換され、A/D変換器9によりA/D変換される。こ
こで、周波数変換された信号sk’とビーム形成器の出
力信号skは全く異なったものであるが、周波数変換と
フィルタリングが理想的に行われたとすると、両者の違
いはexp(j2pft)の有無だけである。ただし、
fは搬送波周波数で、iは虚数単位、tは時刻を表して
いる。本実施形態では、ビーム形成器の理論上の特性の
上界を検証するため、RF帯の不完全性等は考慮しな
い。この場合、exp(j2pft)の有無は本質的な
問題ではないので、本実施形態では周波数変換された信
号sk’とビーム形成器の出力信号skを同一視して説明
を行う。
【0031】A/D変換された受信信号はベースバンド
帯のAGC増幅器である可変増幅器22−0乃至22−
(M−1)により増幅される。増幅後の信号ykと所望
レベルσとの誤差は誤差信号ekとして次式のように定
義される。
【0032】
【数2】ek=σp−gk p|skp=σp−|ykp ただし、
【数3】yk=gkk
【0033】ここで、gkは時刻kにおける可変増幅器
22−0乃至22−(M−1)の利得である。また、上
記数2における|・|は、複素数の絶対値をとることを
意味している。一方、pはM−CMA法における乗数で
あり、1以上の自然数をとり、本実施形態では例えばp
=2である。この、可変増幅器の利得gkを下記の評価
基準によって最適化する。
【0034】
【数4】J=E[|ekq]→min
【0035】上記数4において、Jはコスト関数であ
り、E[・]は集合平均を取る関数であり、qはpと共
にM−CMA法の乗数を意味している。従って、数4
は、コスト関数Jを最小化する評価基準を表している。
この解を公知のSGD(Stochastic Gradient Decent)
の原理に基づいて求めると、可変増幅器の利得gkに関
しては以下の式を繰り返すことにより最適値が求められ
る。
【0036】
【数5】
【0037】上記数5のmはステップサイズパラメータ
と呼ばれる係数である。さらに、上記数4の評価基準に
基づいて、上記数1のビーム形成器の制御電圧まで最適
化を図るなら、SGDの原理から次式を繰り返すことに
より最適値が求まる。
【0038】
【数6】
【0039】ここで、Δi|・|はi番目のアンテナ素
子1−iに接続された可変移相器3−iの制御電圧に対
する微係数を表しており、以下のように近似的に求め
る。
【0040】
【数7】
【0041】上記数6を用いることにより、可変増幅器
の利得gkだけでなく、通常のCMA法と同様に数2で
定義された振幅偏差までも抑圧することができる。ただ
し、上記数6及び数7から制御電圧の最適値を求めるに
は同時刻の「摂動項」と「非摂動項」が必要になる。こ
れは、摂動をかけると同時に、シンボルレートに比較し
て高速にA/D変換し、隣あった信号を利用することで
解決できる。すなわち、隣り合った信号は信号相関が高
いため、ほとんど同一と見なせ、かつその片方が摂動を
受けているため上記の要求条件を満足できる。しかしな
がら、精度を上げるには、かなり高速でサンプルする必
要があり、今後ビットレートが高速化することを考慮す
るとハードウェアの実現が困難となる。そこで、本実施
形態では、このサンプリングレートを低減でき、高精度
な「非摂動項」、「摂動項」を得るために時分割フィル
タバンク回路10を利用しており、次いで、これについ
て詳述する。
【0042】上記数1で示されたビーム形成器の出力信
号はダウンコンバータ5によって周波数変換され、A/
D変換器9によってディジタル信号に変換されるが、そ
の時のサンプリングレートを情報レートのM倍で行い、
ディジタルフィルタで不要信号の除去を行い、デシメー
ションを行うことで復調信号を得るシステムを利用す
る。このディジタルフィルタをFIR(Finite Impulse
Response)フィルタで構成する場合、一般にその伝達
関数T(z-1/M)は以下のようにポリフェーズ表現する
ことができる。
【0043】
【数8】
【0044】ただし、Tl(z-1),l=0,…,M−
1は各ポリフェーズフィルタを構成するフィルタバンク
であり、次式のように定義される。
【0045】
【数9】
【0046】各フィルタの入力信号は、バンク内の各フ
ィルタの動作速度がナイキストレート以上であれば、サ
ンプリングレートに関わらず一定のスペクトラム情報を
保持している。このとき、雑音がなければすべてのフィ
ルタバンクからは、同一の信号が出力される。ただし、
以下の条件を満足させる必要がある。
【0047】
【数10】 Tl(z-1)=Tm(z-1);l,m=0,…,M−1
【0048】ここで、当該フィルタバンクにより同一の
信号が得られることを示す。入力信号をuk-(i+l/M)
すると、上記数10で定義されたポリフェーズフィルタ
の出力信号は次式のように表される。
【0049】
【数11】
【0050】この信号をDFT(Digital Furrier Tran
sform)すると次式のように表される。
【0051】
【数12】
【0052】ただし、F(・)は・のDFT後の信号を
表している。すなわち、全てのポリフェーズフィルタか
らは同一の周波数スペクトラムを持つ信号が得られる。
従って、この出力をIDFT(Inverse DFT)すれば疑
いもなく同一の時系列が得られる。
【0053】次いで、ポリフェーズ表現のフィルタバン
クの伝達関数を行列表現するため、次式で定義する遅延
行列F(l)を導入する。
【0054】
【数13】Φ(l)≡diag[z-l-l-1/M
-l-(M-1)/M] l=−L,…,L−1
【0055】ここで、≡は「定義する」ことを意味し、
diag(・)は括弧内ベクトルを対角要素とする対角
行列を意味している。この遅延行列を用いることで、フ
ィルタバンクの伝達関数は次式のようにベクトル表現で
きる。
【0056】
【数14】 Φ≡[T0(z) T1(z) … TM-1(z)]T =[Φ(−L) Φ(−L+1) … Φ(L−1)]
【0057】ただし、H=[h-L,h-L+1/M,…,h
L+(M-1)/MTはポリフェーズ化される前のフィルタのイ
ンパルス応答を表している。一方、数1で表されるビー
ム形成器において、1番目のアンテナ素子1−1から順
次摂動をかけていく場合、その出力信号は以下のように
数式表現できる。
【0058】
【数15】
【0059】上記数15におけるUk,iとWk,iはそれぞ
れi番目のアンテナ素子1−iの出力信号と、その出力
信号に対する重み係数行列であり、次式のように表され
る。
【0060】
【数16】Wk,j=diag[exp(−jθ
(vk,i)) exp(−jθ(vk+1/M,i))… ex
p(−jθ(vk+(M-1)/M,i))]
【数17】Uk,i=diag[uk,ik-1/M,i
k-(M-1)/M,i
【0061】このビーム形成器の出力信号を上記数14
で表されたポリフェーズフィルタバンクである時分割フ
ィルタバンク回路10に入力すると、可変増幅器22−
0乃至22−(M−1)への入力信号が得られる。すな
わち上記数14に出力信号を入力して逆z変換すると、
その出力信号ベクトルΨkは上記数15で定義された行
列を用いて次式のように表される。
【0062】
【数18】
【0063】ここで、ベクトルΘk,i
【数19】Θk,i≡[Uk+L,i,…,Uk-(L-1),i]H と導入する。ここで、雑音の影響がなく、上記数10の
条件が満足されていれば、上述のようにベクトルΘk,i
の要素は全て同一となる(数11及び数12を用いて上
述した通りである。)そこで、その値をθk,iとおく
と、ベクトルP=[1,…,1]を用いて、ベクトルΘ
k,i
【数20】Θk,i≡θk,iP と表される。すると上記数18も次式のように書き換え
られる。
【0064】
【数21】
【0065】上記数21は各アンテナ素子1−1乃至1
−Nからの信号を一旦、ベースバンド帯に変換し、伝達
関数T(z)のディジタルフィルタを通過した後に、重
み係数
【数22】Wk T=[exp(−j2θ(vk,i),…,
exp(−j2θ(vk+l/M,i)),…] で重み付けしたものと等価な信号が、ポリフェーズフィ
ルタバンクである時分割フィルタバンク回路10のl/
M番目のフィルタから出力されることを意味している。
そこで、重み係数Wk,iを次式のように動作させる。た
だし、M≧N+1とする(図1乃至図3の実施形態で
は、M=N+1としている。)。
【0066】
【数23】vk+l/M,i=vk,i;i≠lのとき vk+l/M,i=vk,i+Δv;i≠lのとき ここで、i=1,…,N,及びl=0,…,M−1であ
る。
【0067】すなわち、M個の連続した入力信号系列に
おいて、最初のサンプル信号には全く摂動を与えず、そ
の次のサンプルから各素子に接続された可変移相器3−
1乃至3−Nの制御電圧に摂動を順次かけていく。具体
的には、l番目のサンプル信号では、l番目の可変移相
器3−lの制御電圧にだけ摂動を与える。これにより、
ポリフェーズフィルタバンクである時分割フィルタバン
ク回路10の0番目のフィルタ(図2の時分割フィルタ
バンク回路10では、ディジタルフィルタ13−0及び
ダウンサンプラ14−0)からは非摂動項の信号Ψk,0
が出力され、l番目のフィルタ(図2の時分割フィルタ
バンク回路10では、ディジタルフィルタ13−l及び
ダウンサンプラ14−l)からはl番目のアンテナ素子
1−lに対する摂動項の信号Ψk,lが出力される。従っ
て、ポリフェーズフィルタを応用することで、上述した
問題が解決できることがわかる。すなわち、ポリフェー
ズフィルタを応用したM−CMA法のアダプティブアレ
ーは以下の逐次的な係数更新式に基づき最適係数を求め
ることができる。
【0068】
【数24】yk,i=gkΨk,i ここで、i=0,1,…,M−1
【数25】ek=σp−|yk,0p
【数26】vk,i=vk-1,i+μ|ekq-2k|yk,0
p-1(|yk,i|−|yk,0|) ここで、i=0,…,M−1
【数27】 gk-1=gk-1+μ|ekq-2k|yk,0p-1|Ψk,0
【0069】一般に、ポリフェーズフィルタとしてはア
ンチエリアジングフィルタが適用されるが、通信システ
ムではA/D変換器9の前にアナログ低域通過フィルタ
が備えられているため、アンチエリアジングフィルタは
不要である。そこで、本実施形態では、例えば、位相変
調システムでしばしば利用されるナイキストフィルタ系
における、受信機のルートロールオフフィルタをポリフ
ェーズ化することにより時分割フィルタバンク回路10
を構成する。
【0070】図1において、A/D変換器9によるA/
D変換前にエリアジングフィルタである低域通過フィル
タ8を経た後にポリフェーズフィルタである時分割フィ
ルタバンク回路10に入力される。図2の時分割フィル
タバンク回路10であるポリフェーズフィルタバンク内
の各ルートロールオフフィルタであるディジタルフィル
タ13−0乃至13−(M−1)は、信号にエリアジン
グ歪みを与えないようにナイキストレートの2倍以上で
動作させる必要がある。従って、ルートロールオフトフ
ィルタをM−フェーズ化する場合には、A/D変換器9
はナイキストレートの2M倍以上でサンプルする必要が
ある(本実施形態では、サンプリングレートを上述のよ
うに、f=2Mfcとしている。)。そして、縦続接続
された遅延回路11−1乃至11−(M−1)により時
分割した後、M/2倍のダウンサンプラ12−0乃至1
2−(M−1)でM/2倍にデシメーションし、ディジ
タルフィルタ13−0乃至13−(M−1)を経た後、
4倍のダウンサンプラ14−0乃至14−(M−1)で
4倍にデシメーションすることにより、時分割処理され
た並列でM個のサンプル信号からなるM系列の復調信号
を得る。なお、ダウンサンプラ12−0乃至12−(M
−1)の倍数と、ダウンサンプラ14−0乃至14−
(M−1)の倍数は、好ましくは、それらの積が2Mと
なるように選択される。
【0071】時分割フィルタバンク回路10の動作例を
示す図3では、1シンボル内を2(N+1)倍、すなわ
ちアンテナの素子数N+1の2倍でオーバサンプルし、
N+1個のフィルタバンクに分配する。各フィルタバン
クはシンボルレートの2倍で演算を行う。一方、同期し
て1/2シンボル内で順次、各アンテナ素子1−1乃至
1−Nに接続された可変移相器3−1乃至3−Nに対し
て摂動を与える。ただし、必ず1/2シンボル毎に摂動
をリセットし、すなわち、非摂動項の信号を発生させ
る。なお、図3では1シンボル内で全ての摂動を行った
が、1シンボルの信号を受信する毎に1つのアンテナ素
子の可変移相器への摂動を与え、これを1素子ずつ行い
ことで演算速度を低減させることも可能である。この場
合、N個のシンボル信号を受信して初めて、全素子の摂
動を終了する。ただし、摂動を与えない期間を1/2シ
ンボルに挿入する必要があることを考慮すると、サンプ
リングレートはシンボルレートの4倍まで低減できる。
【0072】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、ポリフェーズフィルタバンクである時分割フィルタ
バンク回路10を用いることにより、処理すべき信号の
レートを低下させかつ各アンテナ素子に対応する複数の
摂動項の信号を正確に取り出すことができる。従って、
ビットレートに比較して非常に高速なサンプリングを行
えるA/D変換器を必要とせず、低速となるのでサンプ
リングのタイミング調整も容易となる。それ故、回路構
成が簡単であって、時間的正確にかつ、ビーム形成方向
として正確に主ビームの制御やヌルの制御ができる。
【0073】<第1の変形例>図4は、第1の実施形態
の変形例である、本発明に係る第1の変形例のアレーア
ンテナの制御装置における時分割フィルタバンク回路1
0とビーム制御回路20aの構成を示すブロック図であ
り、図1及び図2と同一のものは同一の符号を付してい
る。
【0074】第1の実施形態においては、M個の可変増
幅器22−0乃至22−(M−1)を時分割フィルタバ
ンク回路10とビーム制御部21との間に備えていた
が、これに代えて、ビーム制御部21で指定される制御
利得gkを有する1個の可変増幅器22をA/D変換器
9と、時分割フィルタバンク回路10との間に挿入した
ことを特徴としている。ここで、ビーム制御部21は、
M−CMA法によるビーム制御処理において、利得制御
前のベースバンド信号yk,0(図2のベースバンド信号
Ψk,0)を必要とするが、これは、図4の時分割フィル
タバンク回路10から出力されるベースバンド信号Ψ
k,0を制御利得gkで除算することにより計算することが
できる。また、これにとって代わって、図4において1
点鎖線で示すように、A/D変換器9からのベースバン
ド信号ukから利得制御前のベースバンド信号yk,0(図
2のベースバンド信号Ψk,0)を時分割分離して取り出
してもよい。
【0075】以上のように構成された第1の変形例によ
れば、第1の実施形態における作用効果に加えて、可変
増幅器22の個数を大幅に減少させることができ、これ
により、回路構成をより簡単にできるという特有の効果
を有する。
【0076】<第2の実施形態>図5は、本発明に係る
第2の実施形態であるアレーアンテナの制御装置におけ
る時分割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20
tの構成を示すブロック図であり、図5のTRF回路6
1−1乃至61−(M−1)(以下、総称して、符号6
1を付す。)の詳細な内部構成を示すブロック図であ
り、図1乃至図4及び図10と同一のものについては同
一の符号を付している。この第2の実施形態のアレーア
ンテナの制御装置は、第1の実施形態に係る図1及び図
2のビーム制御回路20に代えて、TDL(Tapped Del
ay Line;タップ付き遅延線)回路70を有するトランス
バーサルフィルタ回路(以下、TRF回路という。)6
1を備えるとともに、詳細後述する時空間信号処理M−
CMA法を用いて適応型のビーム制御を行うビーム制御
部21tを備えるビーム制御回路21tを備えたことを
特徴としている。その他の構成は第1の実施形態と同様
であり、ここで詳細説明を省略する。
【0077】図5において、A/D変換器9から時分割
フィルタバンク回路10を介して出力されるベースバン
ド信号Ψk,m(m=0,1,2,…,M−1)は、ビー
ム制御部21t及びTRF回路61内の可変増幅器72
−0に入力されるとともに、複数(L−1)個の遅延回
路71−1乃至71−(L−1)が縦続接続されてなる
TDL回路70の第1段の遅延回路71−1に入力され
る。上記ベースバンド信号Ψk,mは可変増幅器72−0
を介して加算器73に出力されるとともに、複数(L−
1)段の遅延回路71−1乃至71−(L−1)及び可
変増幅器72−(L−1)を介してビーム制御部21t
及び加算器73に出力される。TDL回路70におい
て、各遅延回路71−1乃至71−(L−1)はそれぞ
れ入力される信号を所定の遅延時間τだけ遅延して出力
する。ここで、遅延時間τは、好ましくは1シンボル時
間の1/2に設定されるが、例えば1シンボル時間、も
しくはそれ以下に設定されてもよい。
【0078】遅延回路71−1から出力される、ベース
バンド信号Ψk,m=bpkの遅延信号bpk-1はビーム制
御部21tに出力されるとともに、可変増幅器72−1
を介して加算器73に出力される。また、遅延回路71
−2から出力されるベースバンド信号bpkの遅延信号
bpk-2はビーム制御部21tに出力されるとともに、
可変増幅器72−2を介して加算器73に出力される。
さらに、遅延回路71−3から出力されるベースバンド
信号bpkの遅延信号bpk-3はビーム制御部21tに出
力されるとともに、可変増幅器72−3を介して加算器
73に出力される。さらに同様にして、遅延回路71−
(L−2)から出力されるベースバンド信号bpkの遅
延信号bpk-Lはビーム制御部21tに出力されるとと
もに、可変増幅器72−(L−2)を介して加算器73
に出力される。ここで、可変増幅器(又は利得制御器)
72−0乃至72−(L−1)はそれぞれ、ビーム制御
部21tにより設定される増幅度w0乃至wL-1で入力さ
れる信号を増幅(又は利得制御)して出力し、ここで、
増幅度(又は利得)は正又負の値をとる。そして、加算
器73は入力されるベースバンド信号bpk及びその複
数(L−1)個の遅延信号bpk-1乃至bpk-L+1を加算
して加算結果の信号を出力信号yk,m(m=0,1,
2,…,M−1)としてビーム制御部21tに出力す
る。なお、出力信号y k,0は、減算器24にも出力され
る。このように構成することにより、TDL回路70
と、可変増幅器72−0乃至72−(L−1)と、加算
器73とを備えたTRF回路61を構成する。すなわ
ち、第2の実施形態では、第1の実施形態における各可
変増幅器22−0乃至22−(M−1)を図6のTRF
回路61で構成している。
【0079】一方、基準信号発生器23は所定の一定値
を有する基準信号σを発生して減算器24に出力する。
減算器24は基準信号σから出力信号yk,0を減算し
て、その誤差(又は偏差)信号ekをビーム制御部21
tに出力する。ビーム制御部21tは、入力される誤差
信号ekと、ベースバンド信号bkkと、その遅延信号b
k-1乃至yk-L+1と、TRF回路61−0乃至61−
(M−1)の通過後のベースバンド信号yk,m(m=
0,1,2,…,M−1)とに基づいて、時空間信号処
理M−CMA法を用いて、各可変移相器3−1乃至3−
Nの各移相制御電圧v k,i(i=1,2,…,N)を摂
動付加回路30を制御することにより所定のシフト量だ
け摂動させ、これにより対応する各移相量を所定の対応
シフト量だけ摂動させ、各移相量に対する減算器24か
ら出力される誤差信号ekの電力の傾斜ベクトルを計算
し、計算された誤差信号ekの電力の傾斜ベクトルに基
づいて、減算器24から出力される誤差信号ekに基づ
いて当該誤差信号ekが最小となるように、アレーアン
テナ100の主ビームを所定の方向に向けるための各移
相量に対応する各移相制御電圧vk,i及び各可変増幅器
72−0乃至72−(L−1)の増幅度w0乃至wL-1
計算してそれぞれ各可変移相器3−1乃至3−N及び各
可変増幅器72−0乃至72−(L−1)に出力して設
定する。
【0080】以上のように構成された第2の実施形態に
係るアレーアンテナの制御装置においては、ビーム制御
回路20tは、誤差信号ekが最小となるように、アレ
ーアンテナ100の主ビームを希望波方向に向けかつ、
干渉波方向にヌルを向けるように、適確に適応ビーム制
御することができる。また、マルチパス伝送路において
生じる希望波の遅延波をTRF回路61を用いて取り込
んで同相合成することができ、希望波における信号対雑
音電力比(S/N)を改善することができる。また、第
2の実施形態では、低雑音増幅器2−1乃至2−N及び
可変移相器3−1乃至3−Nは、アンテナ素子1−1乃
至1−Nの素子数Nに対応したN個を必要とするが、合
成器4以降の回路では、各回路構成要素は1つのみで済
む。従って、図10に示す従来例に比較して、従来例に
比較してハードウエア構成が簡単であって、回路構成要
素の数が少ないので消費電力が少ない。
【0081】次いで、第2の実施形態で用いる適応ビー
ム処理について以下に説明する。第2の実施形態に係る
アダプティブアレーアンテナの構成において、ベースバ
ンド信号yk=yk(vk,1,…,vk,N)は公知の等価低
域モデルを用いて上記の数1のように表わすことができ
る。このベースバンド信号ykは、TDL回路70を有
するTRF回路61に入力される。TRF回路61で
は、TDL回路70の各タップから出力される信号はそ
れぞれ、可変増幅器72−0乃至72−(L−1)によ
りタップ係数である増幅度wk(i)で重み付けされた
後、加算器73で加算されて、以下に示す出力信号y
k,m(=zkとおく。)を出力する。
【0082】
【数28】
【0083】ここで、ビームとヌルのブラインド制御を
行うため、公知のCMA法と同様に、TRF回路61の
出力信号zkの振幅偏差の最小化を図る。すなわち、出
力信号yk,0=zkと基準信号σとの誤差を次式のように
定義すると、
【数29】ek=σp−|zk(vk,1,…,vk,N)|p 以下の式を満足することが必要条件となる。ただし、σ
は基準信号のレベルであり、所望の振幅レベルを示して
いる。
【0084】
【数30】
【数31】
【0085】ここで、pとqはCMA法の推定の次元を
示すもので、実際は、p=q=2のときがCMA法と呼
ばれ、それ以外はゴダードのアルゴリズムと呼ばれる。
数30の偏微分は、上記数1と数28によりCMA法で
は求めることができない。そこで、本実施形態において
は、第1の実施形態に係るM−CMAと同様に、可変移
相器3−1乃至3−Nの制御電圧vk,1,…,vk,Nを摂
動させて、これにより各移相量を摂動させて求める。ま
た、上記数31は通常のCMA法と同様に求めることが
できる。ここで、出力信号zkをzk=zk(vk(1),
…,vk(N))として、係数更新処理を以下のように
行う。
【0086】上記数29を誤差関数とし、上記数30及
び数31を満足する解を探すアルゴリズムは、公知の最
急降下法の原理を適用すれば、次式のように表わすこと
ができる。
【0087】
【数32】
【数33】
【0088】上記数32と数33はそれぞれ、上記数3
0及び数31を満足するさせるためのアルゴリズムの式
である。上記数32における偏微分項は、上記数26の
偏微分の近似式を用いて得ることができる。一方、上記
数31における偏微分項は、上記数28の両辺を偏微分
することによって直接的に求めることができる。従っ
て、上記数32及び数33は次式となり、次式の係数更
新式を用いて収束処理を実行する。
【0089】
【数34】vk,i=vk-1,i+μvk q-1|zkp-2Δi
k|,(i=1,…N)
【数35】wk(i)=wk-1(i)+μwk q-1|zk
p-2k *k,(i=0,…L−1)
【0090】ただし、
【数36】Δi|zk| =Δi|zk(vk,1,…,vk,i,…,vk,N)| =|zk(vk,1,…,vk,i+Δv,…,vk,N)| −|zk(vk,1,…,vk,i,…,vk,N)| である。
【0091】上記数46において、Δvは摂動のための
微少項であり、上記数34及び数35におけるμvとμw
はそれぞれ、移相器3−1乃至3−Nの制御電圧と、可
変増幅器72−0乃至72−(L−1)の増幅度である
タップ係数のステップサイズである。本実施形態に係る
時空間信号処理M−CMA法のアルゴリズムを正しい収
束させるには、この2種類のステップサイズは以下の条
件を満足する必要がある。
【0092】
【数37】μw=μvΔv ここで、Δvの単位はラジアンである。
【0093】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、ポリフェーズフィルタバンクである時分割フィルタ
バンク回路10を用いることにより、処理すべき信号の
レートを低下させかつ各アンテナ素子に対応する複数の
摂動項の信号を正確に取り出すことができる。従って、
ビットレートに比較して非常に高速なサンプリングを行
えるA/D変換器を必要とせず、低速となるのでサンプ
リングのタイミング調整も容易となる。それ故、回路構
成が簡単であって、時間的正確にかつ、ビーム形成方向
として正確に主ビームの制御やヌルの制御ができる。
【0094】<第2の変形例>図7は、第2の実施形態
の変形例である、本発明に係る第2の変形例のアレーア
ンテナの制御装置における時分割フィルタバンク回路1
0とビーム制御回路20taの構成を示すブロック図で
あり、図5及び図6と同一のものは同一の符号を付して
いる。
【0095】第2の実施形態においては、M個のTRF
回路61−0乃至61−(M−1)を時分割フィルタバ
ンク回路10とビーム制御部21tとの間に備えていた
が、これに代えて、ビーム制御部21tで指定される重
み係数を有する1個のTRF回路61をA/D変換器9
と、時分割フィルタバンク回路10との間に挿入したこ
とを特徴としている。ここで、ビーム制御部21tは、
時空間信号処理M−CMA法によるビーム制御処理にお
いて、利得制御前のベースバンド信号yk,0(図5のベ
ースバンド信号Ψk,0)を必要とするが、これは、図7
の時分割フィルタバンク回路10から出力されるベース
バンド信号Ψk,0を重み付け係数で除算することにより
計算することができる。また、これにとって代わって、
図7において1点鎖線で示すように、A/D変換器9か
らのベースバンド信号ukから利得制御前のベースバン
ド信号yk,0(図7のベースバンド信号Ψk,0)を時分割
分離して取り出してもよい。
【0096】以上のように構成された第2の変形例によ
れば、第2の実施形態における作用効果に加えて、TR
F回路61の個数を大幅に減少させることができ、これ
により、回路構成をより簡単にできるという特有の効果
を有する。
【0097】<第3の実施形態>図8は、本発明に係る
第3の実施形態であるアレーアンテナの制御装置におけ
る時分割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20
mの構成を示すブロック図であり、図1乃至図7及び図
10と同一のものについては同一の符号を付している。
本実施形態のアレーアンテナの制御装置は、ビーム制御
部21mを有するビーム制御回路20mを備えたことを
特徴としている。
【0098】ビーム制御回路20mは、復調器7及び時
分割フィルタバンク回路10を介してA/D変換器9か
らの出力信号であるベースバンド信号Ψk,m(m=0,
1,2,…,M−1)に基づいて、詳細後述する変形さ
れた最小平均二乗法(以下、M−LMS法という。)を
用いて、可変移相器3−1乃至3−Nの各移相量を摂動
付加回路30を制御することによりそれぞれ所定のシフ
ト量だけ摂動させ、各移相量に対する、可変増幅器82
−0乃至82−(M−1)から出力されるベースバンド
信号yk,mの摂動前後の変化量Δyk,mを計算し、計算さ
れた変化量Δy k,mと、A/D変換器9から時分割フィ
ルタバンク回路10を介して出力されるベースバンド信
号Ψk,0と、可変増幅器82から出力されるベースバン
ド信号yk ,mと、ベースバンド信号Ψk,0を可変増幅器8
2により利得制御されたベースバンド信号yk,0とそれ
の符号判別値dk(符号判別器83の出力である。)と
の間の誤差信号ekとに基づいて、当該誤差信号ekの自
乗平均が最小となるように、上記アレーアンテナの主ビ
ームを所定の方向に向けるための上記各移相量及び上記
利得gkを計算してそれぞれ各可変移相器3−1乃至3
−N及び可変増幅器82−0乃至82−(M−1)に出
力することを特徴としている。
【0099】ビーム制御回路20mは、ビーム制御部2
1mと、可変増幅器82−0乃至82−(M−1)と、
符号判別器83と、減算器84とを備えて構成される。
ここで、各可変増幅器82−0乃至82−(M−1)
は、入力されるベースバンド信号Ψk,mを、ビーム制御
部81により示される制御利得gkで増幅して、利得制
御されたベースバンド信号yk,mをビーム制御部21m
に出力し、また、そのうちベースバンド信号yk,0を符
号判別器83、減算器84及びビーム制御部21mに出
力する。次いで、符号判別器83は、後述するように、
入力されるベースバンド信号ykの符号判別値dkを演算
して減算器84に出力する。さらに、減算器84は、符
号判別値dkからベースバンド信号yk,0を減算して減算
結果の誤差信号ekをビーム制御部81に出力する。そ
して、ビーム制御部81は、入力されるベースバンド信
号Ψk,0及びyk,m、並びに誤差信号ekに基づいてM−
LMS法を用いて制御利得gkを演算して可変増幅器8
2に出力するとともに、可変制御電圧vk,i(i=1,
2,…,N)を演算してそれぞれ可変移相器3−1乃至
3−Nに出力する。
【0100】このビーム制御回路80では、A/D変換
後のベースバンド信号Ψkのみに基づいて、M−LMS
法を用いて、例えば、データ伝送を行う前の所定のトレ
ーニング期間において、各可変移相器3−1乃至3−N
に対する各移相制御電圧vk, iを摂動付加回路30を制
御することにより所定のシフト量だけ摂動させることに
より、各移相量に対する、可変増幅器82から出力され
るベースバンド信号y k,mの摂動前後の変化量Δyk,m
計算し、計算された変化量Δyk,mと、A/D変換器9
から時分割フィルタバンク回路10を介して出力される
ベースバンド信号Ψk,0と、可変増幅器82−0乃至8
2−(M−1)から出力されるベースバンド信号yk,m
と、ベースバンド信号yk,0の符号判別値dk(符号判別
器83の出力である。)とベースバンド信号yk,0との
間の誤差信号ekとに基づいて、当該誤差信号ekの自乗
平均が最小となるように、上記アレーアンテナの主ビー
ムを所定の方向に向けるための上記各移相量及び上記利
得を計算してそれぞれ各可変移相器3−1乃至3−N及
び可変増幅器82−0乃至82−(M−1)に出力す
る。
【0101】以上のように構成されたアレーアンテナの
制御装置においては、ビーム制御回路20mは、ビーム
制御回路20mの減算器84で発生される誤差信号ek
の自乗平均が最小となるように、アレーアンテナ100
の主ビームを適応的に所定の方向に形成する。構成され
たアレーアンテナの制御装置では、低雑音増幅器2−1
乃至2−N及び可変移相器3−1乃至3−Nは、アンテ
ナ素子1−1乃至1−Nの素子数Nに対応したN個を必
要とするが、合成器4以降の回路では、各回路構成要素
は1つのみで済む。従って、図10に示す従来例に比較
して、ハードウエア構成が簡単であって、回路構成要素
の数が少ないので消費電力が少ない。
【0102】次いで、ビーム制御回路20mにおける制
御アルゴリズムについて説明する。まず、可変増幅器8
2−0乃至82−(M−1)から出力される利得制御さ
れたベースバンド信号yk,mは次式で表される。
【0103】
【数38】yk,m=gkΨk,m
【0104】ここで、Ψk,mはA/D変換器9から時分
割フィルタバンク回路10を介して出力され複素数で表
されたベースバンド信号であり、gkは実数で表された
可変増幅器82−0乃至82−(M−1)の利得であ
り、yk,mは複素数で表された可変増幅器82−0乃至
82−(M−1)の各出力信号を示している。このと
き、誤差信号ekを次式のように定義される。
【0105】
【数39】ek=dk−yk,0
【0106】ここで、dkは符号判別器83からの、符
号判別値を示す出力信号であり、次式のように求められ
る。
【0107】
【数40】dk=sgn[Re(yk)]+j・sgn
[Im(yk)]
【0108】ここで、Re[・]は引数の実数を示す関
数であり、Im[・]は引数の虚数を示す関数である。
また、sgn[x]は符号判別関数であり、以下のよう
に定義される。
【0109】
【数41】sgn[x] =1;x≧0のとき =−1;x<0のとき
【0110】この時、各可変増幅器82−0乃至82−
(M−1)の利得は次式のように更新される。
【0111】
【数42】gk=gk-1+μRe[Ψk,0k *
【0112】ここで、μはステップサイズパラメータと
呼ばれ、0<μ<1での適当な定数である。また、*は
複素共役を示す。一方、可変位相器3−iの制御電圧は
次式のように更新される。
【0113】
【数43】vk,i=vk-1,i+μRe(ek *Δyk,i
【0114】このとき、変化量Δyk,iは次式のように
求められる。
【0115】
【数44】Δyk,i =yk,0(vk-1,1,…,vk-1,i+Δv,…,vk-1,N) −yk,0(vk-1,1,…,vk-1,i,…,vk-1,N
【0116】数44の右辺の第2項は、摂動電圧を付加
しないときの時刻k−1の移相制御電圧vk-1,1,…,
k-1,i,…,vk-1,Nを各可変移相器3−1乃至3−N
に印加したときの利得制御されたベースバンド信号yk
を示す。また、数44の右辺の第1項は、時刻k−1の
移相制御電圧vk-1,1,…,vk-1,i,…,vk-1,Nに加
えて、第i番目のアンテナ素子1−iに対応する可変移
相器3−iのみに摂動電圧Δvを余分にかけたときの利
得制御されたベースバンド信号yk,0を示す。そして、
数44で表されるΔyk,iはこれら2つの信号の変化
量、すなわち、摂動前後のベースバンド信号yk,0の変
化量である。
【0117】従って、数43から明らかなように、計算
した摂動前後のベースバンド信号y k,0の変化量Δyk,i
と、誤差信号ekとに基づいて移相制御電圧vk,iを演算
して設定する。そして、数42から明らかなように、誤
差信号ekの自乗平均が最小となるように、可変増幅器
82−0乃至82−(M−1)の利得gkを決定して設
定する。このようにビーム制御することにより、当該ア
レーアンテナの主ビームを所定の方向に向けることがで
き、特に、TDMA等で利用されるプリアンブルやCD
MA等で利用されるパイロット信号を所望信号として用
いることで、搬送波対干渉波電力比(CIR)がマイナ
ス、すなわち、所望信号が干渉波よりもレベルが低い場
合にも、所望波方向にビームを向け、干渉波方向にヌル
を形成できる。
【0118】本実施形態においては、振幅制御は、A/
D変換器9から時分割フィルタバンク回路10を介した
出力ベースバンド信号yk,mに対してディジタル信号処
理により行い、マイクロ波帯(RF帯)の可変移相器制
御では、移相器入力信号を観測できないため、摂動によ
り係数の更新量を求める。また、振幅制御では、出力ベ
ースバンド信号yk,mがディジタル信号として得られる
ため、数42の形式で、振幅推定アルゴリズムが得られ
る。また、発明したアルゴリズムは誤差信号e kの二乗
平均の最小化という公知のLMS法と同様の規範を用い
ているため、発明したアルゴリズムを「M−LMS法」
と呼んでいる。
【0119】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、M−LMS法を用いてビーム制御するので、DBF
回路で実現されたアダプティブアレーと同様に、ビー
ム、ヌル制御が可能で有ることに加えて、RF帯でビー
ム形成が行えるため、従来例に比較して回路規模やコス
トの削減が可能になるという利点がある。従って、構成
が簡単であって消費電力が少ない。また、TDMA等で
利用されるプリアンブルやCDMA等で利用されるパイ
ロット信号を所望信号として用いることで、搬送波対干
渉波電力比(CIR)がマイナス、すなわち、所望信号
が干渉波よりもレベルが低い場合にも、所望波方向にビ
ームを向け、干渉波方向にヌルを形成できる。従って、
劣悪な環境であっても安定に適応動作を行うことができ
る。
【0120】また、本実施形態によれば、ポリフェーズ
フィルタバンクである時分割フィルタバンク回路10を
用いることにより、処理すべき信号のレートを低下させ
かつ各アンテナ素子に対応する複数の摂動項の信号を正
確に取り出すことができる。従って、ビットレートに比
較して非常に高速なサンプリングを行えるA/D変換器
を必要とせず、低速となるのでサンプリングのタイミン
グ調整も容易となる。それ故、回路構成が簡単であっ
て、時間的正確にかつ、ビーム形成方向として正確に主
ビームの制御やヌルの制御ができる。
【0121】<第3の変形例>図9は、第3の実施形態
の変形例である、本発明に係る第3の変形例のアレーア
ンテナの制御装置における時分割フィルタバンク回路1
0とビーム制御回路20maの構成を示すブロック図で
あり、図8と同一のものは同一の符号を付している。
【0122】第3の実施形態においては、可変増幅器8
2−0乃至82−(M−1)を時分割フィルタバンク回
路10とビーム制御部21mとの間に備えていたが、こ
れに代えて、ビーム制御部21mで指定される重み係数
を有する1個の可変増幅器82をA/D変換器9と、時
分割フィルタバンク回路10との間に挿入したことを特
徴としている。ここで、ビーム制御部21mは、M−L
MS法によるビーム制御処理において、利得制御前のベ
ースバンド信号yk,0(図8のベースバンド信号Ψk,0
を必要とするが、これは、図9の時分割フィルタバンク
回路10から出力されるベースバンド信号Ψk,0を制御
利得gkで除算することにより計算することができる。
また、これにとって代わって、図9において1点鎖線で
示すように、A/D変換器9からのベースバンド信号u
kから利得制御前のベースバンド信号yk,0(図9のベー
スバンド信号Ψk,0)を時分割分離して取り出してもよ
い。
【0123】以上のように構成された第3の変形例によ
れば、第3の実施形態における作用効果に加えて、可変
増幅器82の個数を大幅に減少させることができ、これ
により、回路構成をより簡単にできるという特有の効果
を有する。
【0124】<他の変形例>以上の実施形態において
は、A/D変換器9を用いてベースバンド信号をA/D
変換した後、その後の回路においてディジタル信号処理
を行っているが、A/D変換器9を挿入せず、その後の
回路においてアナログで信号処理を実行してもよい。
【0125】以上の実施形態においては、摂動付加回路
30は、各ビーム制御回路20,20a,20t,20
ta,20m,20maとは別の回路で構成されている
が、摂動付加回路30の機能を各ビーム制御回路20,
20a,20t,20ta,20m,20ma内におい
てソフトウエア又はハードウエア回路で統合して構成し
てもよい。
【0126】
【実施例】さらに、本発明者らは、第1の実施形態に係
る、ポリフェーズフィルタを応用したM−CMA法のア
ダプティブアレーの干渉抑圧特性を計算機シミュレーシ
ョンにより実験したので、その実験方法及び実験結果に
ついて以下に詳述する。
【0127】変調方式としてQPSK変調方式を用い、
検波器には遅延検波を適用した送受信機構成を前提とし
た。また,伝送路はAWGN(Additive White Gaussia
n Noise)チャネルを適用した。アンテナは半波長間隔
のリニアアレーアンテナで、その素子数は4とした。ま
た、リニアアレーアンテナの正面方向を0度とすると、
希望波は−50度の方向から、干渉波は30度の方向か
ら等レベルで入射する環境を想定した。また、M−CM
A法の乗数をp=q=1に設定し、ステップサイズμ=
0.0001とした。処理速度の低減のためオーバサン
プルはシンボルレートの4倍とした。また、アレーアン
テナの初期状態は正面方向にビームを形成している。
【0128】図11は、第1の実施形態のシミュレーシ
ョン結果であって4素子リニアアレーアンテナの場合の
指向性パターンを示すグラフである。図11から明らか
なように、希望波方向に理論限界の12dB程度のアレ
ーファクタを持つビームを形成している。干渉波方向に
は深いヌルを形成できていることがわかる。ただし,S
NRが低い場合には、若干ヌルの位置がずれている。こ
れは、SNRが低い場合には、ビームを形成する方に制
御が集中し、ヌルには多少感度が落ちるためと考えられ
る。
【0129】図12は、第1の実施形態のシミュレーシ
ョン結果であって4素子リニアアレーアンテナの場合の
搬送波/雑音電力比(CNR)に対するビットエラーレ
ート(BER)の特性を示すグラフである。図12にお
いては、理論値として、干渉がない条件での4素子最大
比合成ダイバーシチ受信時の遅延検波の特性を示してい
る。M−CMA法を用いたアダプティブアレーは希望波
にビームを向けるだけでなく干渉波方向に鋭いヌルを形
成できるため、すべてのCNR条件において、理論値に
1.5dBにまで漸近する優れた特性が得られることが
分かる。この1.5dBの劣化は上述したヌルに対する
感度低下によるものと考えられる。
【0130】以上説明したように、小型・低価格化が可
能なアナログビーム形成型アダプティブアレーにおいて
適応ビーム制御を可能とするM−CMA法の効果的な実
現方法として、ポリフェーズフィルタを利用した。原理
的にM−CMA法の係数更新式においては同時刻の「摂
動項」と「非摂動項」が必要となる。この信号を簡易に
得る方法として、ポリフェーズフィルタを構成する各フ
ィルタバンクを備えた時分割フィルタバンク回路10が
同時刻に全く同じ波形を出力することを利用する。すな
わち、時分割フィルタバンク回路10内の各ポリフェー
ズフィルタには摂動を受けた信号と受けない信号を振り
分けることで、フィルタ毎に異なった摂動あるいは、非
摂動項が出力されるのである。
【0131】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ポ
リフェーズフィルタバンクである時分割フィルタバンク
回路を用いることにより、処理すべき信号のレートを低
下させかつ各アンテナ素子に対応する複数の摂動項の信
号を正確に取り出すことができる。従って、ビットレー
トに比較して非常に高速なサンプリングを行えるA/D
変換器を必要とせず、低速となるのでサンプリングのタ
イミング調整も容易となる。それ故、回路構成が簡単で
あって、時間的正確にかつ、ビーム形成方向として正確
に主ビームの制御やヌルの制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態であるアレーア
ンテナの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の時分割フィルタバンク回路10とビー
ム制御回路20と摂動付加回路30の詳細な内部構成を
示すブロック図である。
【図3】 図2の時分割フィルタバンク回路10の動作
例を示すブロック図である。
【図4】 第1の実施形態の変形例である、本発明に係
る第1の変形例のアレーアンテナの制御装置における時
分割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20aの
構成を示すブロック図である。
【図5】 本発明に係る第2の実施形態であるアレーア
ンテナの制御装置における時分割フィルタバンク回路1
0とビーム制御回路20tの構成を示すブロック図であ
る。
【図6】 図5のTRF回路61の詳細な内部構成を示
すブロック図である。
【図7】 第2の実施形態の変形例である、本発明に係
る第2の変形例のアレーアンテナの制御装置における時
分割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20ta
の構成を示すブロック図である。
【図8】 本発明に係る第3の実施形態であるアレーア
ンテナの制御装置における時分割フィルタバンク回路1
0とビーム制御回路20mの構成を示すブロック図であ
る。
【図9】 第3の実施形態の変形例である、本発明に係
る第3の変形例のアレーアンテナの制御装置における時
分割フィルタバンク回路10とビーム制御回路20ma
の構成を示すブロック図である。
【図10】 従来例のアレーアンテナの制御装置の構成
を示すブロック図である。
【図11】 第1の実施形態のシミュレーション結果で
あって4素子リニアアレーアンテナの場合の指向性パタ
ーンを示すグラフである。
【図12】 第1の実施形態のシミュレーション結果で
あって4素子リニアアレーアンテナの場合の搬送波/雑
音電力比(CNR)に対するビットエラーレート(BE
R)の特性を示すグラフである。
【符号の説明】 1−1乃至1−N…アンテナ素子、 2−1乃至2−N…低雑音増幅器(LNA), 3−1乃至3−N…可変移相器、 4…合成器、 5…ダウンコンバータ、 6…帯域通過フィルタ(BPF)、 7…復調器、 8…低域通過フィルタ(LPF)、 9…A/D変換器、 10…時分割フィルタバンク回路、 11−1乃至11−(M−1)…遅延回路、 12−0乃至12−(M−1)…ダウンサンプラ、 13−0乃至13−(M−1)…ディジタルフィルタ、 14−0乃至14−(M−1)…ダウンサンプラ、 20,20a,20t,20ta,20m,20ma…
ビーム制御回路、 21,21t,21m…ビーム制御部、 22−0乃至22−(M−1)…可変増幅器、 23…基準信号発生器、 24…減算器、 30…摂動付加回路、 31…摂動付加電圧発生器、 32…スイッチコントローラ、 33−1乃至33−N…加算器、 34−1乃至34−N…スイッチ、 61,61−0乃至61−(M−1)…トランスバーサ
ルフィルタ回路(TRF回路)、 70…TDL回路、 71−1乃至71−(L−1)…遅延回路、 72−0乃至72−(L−1)…可変増幅器、 73…加算器、 100…アレーアンテナ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田野 哲 東京都千代田区永田町二丁目11番1号 株 式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ内 Fターム(参考) 5J021 AA05 AA06 CA06 DB02 DB03 DB04 EA04 FA05 FA14 FA15 FA16 FA17 FA20 FA23 FA24 FA26 FA29 FA30 FA31 FA32 GA02 HA05 HA10 5K059 CC03 CC04 DD37 EE02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数N個のアンテナ素子が互いに所定の
    間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子
    で受信された複数N個の無線信号をそれぞれ所定の移相
    量だけ移相させて出力する複数N個の移相手段と、 上記各移相手段から出力される複数N個の無線信号を合
    成して、合成後の無線信号を出力する合成手段と、 上記合成手段から出力される無線信号をベースバンド信
    号に復調して出力する復調手段と、 上記復調手段から出力されるベースバンド信号を所定の
    利得で利得制御して出力する利得制御手段と、 上記利得制御手段から出力されるベースバンド信号と所
    定値の基準信号との間の誤差信号を発生して出力する減
    算手段と、 上記複数の移相手段の各移相量をそれぞれ所定のシフト
    量だけ摂動させ、各移相量に対する、上記減算手段から
    出力される誤差信号の電力の傾斜ベクトルを計算し、計
    算された誤差信号の電力の傾斜ベクトルと上記誤差信号
    に基づいて当該誤差信号が最小となるように、上記アレ
    ーアンテナの主ビームを所定の方向に向けるための各移
    相量及び上記利得制御手段の利得を計算してそれぞれ上
    記各移相手段及び上記利得制御手段に出力する制御手段
    とを備えたアレーアンテナの制御装置において、 上記ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系
    列信号を含み、 上記復調手段と上記利得制御手段との間、又は上記利得
    制御手段と上記制御手段及び上記減算手段との間に挿入
    して設けられ、入力されるベースバンド信号に基づい
    て、摂動されない期間における少なくとも1つのサンプ
    ル信号と、摂動された期間における上記系列信号内の複
    数のサンプル信号とが異なる出力信号として出力される
    ように時分割処理を実行する時分割処理手段をさらに備
    えたことを特徴とするアレーアンテナの制御装置。
  2. 【請求項2】 上記利得制御手段は、トランスバーサル
    フィルタ回路であることを特徴とする請求項1記載のア
    レーアンテナの制御装置。
  3. 【請求項3】 複数N個のアンテナ素子が互いに所定の
    間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子
    で受信された複数N個の無線信号をそれぞれ所定の移相
    量だけ移相させて出力する複数N個の移相手段と、 上記各移相手段から出力される複数N個の無線信号を合
    成して、合成後の無線信号を出力する合成手段と、 上記合成手段から出力される無線信号をベースバンド信
    号に復調して出力する復調手段と、 上記復調手段から出力されるベースバンド信号を所定の
    利得で利得制御して出力する利得制御手段と、 上記利得制御手段から出力されるベースバンド信号の符
    号を判別して符号判別値を示す符号判別値信号を出力す
    る符号判別手段と、 上記符号判別手段から出力される符号判別値信号と、上
    記利得制御手段から出力されるベースバンド信号との間
    の誤差信号を発生して出力する減算手段と、 上記複数の移相手段の各移相量をそれぞれ所定のシフト
    量だけ摂動させ、各移相量に対する、上記利得制御手段
    から出力されるベースバンド信号の摂動前後の変化量を
    計算し、計算された変化量と、上記復調手段から出力さ
    れるベースバンド信号と、上記利得制御手段から出力さ
    れるベースバンド信号と、上記減算手段から出力される
    誤差信号とに基づいて、上記誤差信号の自乗平均が最小
    となるように、上記アレーアンテナの主ビームを所定の
    方向に向けるための上記各移相量及び上記利得を計算し
    てそれぞれ上記各移相手段及び上記利得制御手段に出力
    する制御手段とを備え、 上記ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系
    列信号を含み、 上記復調手段と上記利得制御手段との間、又は上記利得
    制御手段と上記制御手段及び上記減算手段との間に挿入
    して設けられ、入力されるベースバンド信号に基づい
    て、摂動されない期間における少なくとも1つのサンプ
    ル信号と、摂動された期間における上記系列信号内の複
    数のサンプル信号とが異なる出力信号として出力される
    ように時分割処理を実行する時分割処理手段をさらに備
    えたことを特徴とするアレーアンテナの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちの1つに記載のア
    レーアンテナの制御装置において、 上記復調手段の後段に挿入して設けられ、上記復調手段
    から出力されるベースバンド信号に対してアナログ・デ
    ィジタル変換して、変換後のディジタルのベースバンド
    信号を出力する変換手段をさらに備えたことを特徴とす
    るアレーアンテナの制御装置。
  5. 【請求項5】 複数N個のアンテナ素子が互いに所定の
    間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子
    で受信された複数N個の無線信号を、複数の移相手段を
    用いて、それぞれ所定の移相量だけ移相させるステップ
    と、 上記移相された複数N個の無線信号を合成して、合成後
    の無線信号を出力するステップと、 上記合成後の無線信号をベースバンド信号に復調するス
    テップと、 上記復調されたベースバンド信号を、利得制御手段を用
    いて所定の利得で利得制御するステップと、 上記利得制御されたベースバンド信号と所定値の基準信
    号との間の誤差信号を発生するステップと、 上記複数の移相手段の各移相量をそれぞれ所定のシフト
    量だけ摂動させ、各移相量に対する、上記誤差信号の電
    力の傾斜ベクトルを計算し、計算された誤差信号の電力
    の傾斜ベクトルと上記誤差信号に基づいて当該誤差信号
    が最小となるように、上記アレーアンテナの主ビームを
    所定の方向に向けるための各移相量及び上記利得制御す
    るステップの利得を計算してそれぞれ上記各移相手段及
    び上記利得制御手段に出力するステップとを含むアレー
    アンテナの制御方法において、 上記ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系
    列信号を含み、 上記復調するステップと上記利得制御するステップとの
    間、又は上記利得制御するステップと上記計算するステ
    ップ及び上記誤差信号を発生するステップとの間で実行
    され、入力されるベースバンド信号に基づいて、摂動さ
    れない期間における少なくとも1つのサンプル信号と、
    摂動された期間における上記系列信号内の複数のサンプ
    ル信号とが異なる出力信号として出力されるように時分
    割処理を実行するステップをさらに含むことを特徴とす
    るアレーアンテナの制御方法。
  6. 【請求項6】 上記利得制御するステップは、トランス
    バーサルフィルタ回路を用いて実行されることを特徴と
    する請求項1記載のアレーアンテナの制御方法。
  7. 【請求項7】 複数N個のアンテナ素子が互いに所定の
    間隔で並置されてなるアレーアンテナの各アンテナ素子
    で受信された複数N個の無線信号を、複数の移相手段を
    用いてそれぞれ所定の移相量だけ移相させるステップ
    と、 上記移相された複数N個の無線信号を合成して、合成後
    の無線信号を出力するステップと、 上記合成後の無線信号をベースバンド信号に復調するス
    テップと、 上記復調されたベースバンド信号を、利得制御手段を用
    いて所定の利得で利得制御するステップと、 上記利得制御されたベースバンド信号の符号を判別して
    符号判別値を示す符号判別値信号を出力するステップ
    と、 上記符号判別値信号と、上記利得制御されたベースバン
    ド信号との間の誤差信号を発生するステップと、 上記複数の移相手段の各移相量をそれぞれ所定のシフト
    量だけ摂動させ、各移相量に対する、上記利得制御され
    たベースバンド信号の摂動前後の変化量を計算し、計算
    された変化量と、上記復調されたベースバンド信号と、
    上記利得制御されたベースバンド信号と、上記誤差信号
    とに基づいて、上記誤差信号の自乗平均が最小となるよ
    うに、上記アレーアンテナの主ビームを所定の方向に向
    けるための上記各移相量及び上記利得を計算してそれぞ
    れ上記各移相手段及び上記利得制御手段に出力するステ
    ップとを備え、 上記ベースバンド信号は複数個のサンプル信号を含む系
    列信号を含み、 上記復調するステップと上記利得制御するステップとの
    間、又は上記利得制御するステップと上記計算するステ
    ップ及び上記誤差信号を発生するステップとの間で実行
    され、入力されるベースバンド信号に基づいて、摂動さ
    れない期間における少なくとも1つのサンプル信号と、
    摂動された期間における上記系列信号内の複数のサンプ
    ル信号とが異なる出力信号として出力されるように時分
    割処理を実行するステップをさらに含むことを特徴とす
    るアレーアンテナの制御方法。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7のうちの1つに記載のア
    レーアンテナの制御方法において、 上記復調するステップの後に実行され、上記復調された
    ベースバンド信号に対してアナログ・ディジタル変換し
    て、変換後のディジタルのベースバンド信号を出力する
    ステップをさらに含むことを特徴とするアレーアンテナ
    の制御方法。
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JP2008172641A (ja) * 2007-01-12 2008-07-24 Ricoh Co Ltd アンテナ最適設計方法、アンテナ最適設計プログラム、記録媒体、アンテナ及び情報通信機器
US7499727B2 (en) 2003-01-10 2009-03-03 Fujitsu Limited Communications apparatus using adaptive antenna
JP2011239293A (ja) * 2010-05-12 2011-11-24 Advanced Telecommunication Research Institute International アンテナ装置およびそれを備えた受信機
KR20190063373A (ko) * 2017-11-29 2019-06-07 국립 중산 과학 기술 연구원 위상 제어기와 그를 이용하는 안테나 어레이 및 통신장치용 위상 제어방법

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