JP2002076294A - 薄膜キャパシタ及び半導体記憶装置 - Google Patents

薄膜キャパシタ及び半導体記憶装置

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JP2002076294A
JP2002076294A JP2000267527A JP2000267527A JP2002076294A JP 2002076294 A JP2002076294 A JP 2002076294A JP 2000267527 A JP2000267527 A JP 2000267527A JP 2000267527 A JP2000267527 A JP 2000267527A JP 2002076294 A JP2002076294 A JP 2002076294A
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ferroelectric
lower electrode
thin film
barrier layer
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JP2000267527A
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Ryoichi Ohara
亮一 尾原
Tatsuo Shimizu
達雄 清水
Shin Fukushima
伸 福島
Takashi Kawakubo
隆 川久保
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャパシタ絶縁膜にBTOを用いた場合に、
BTO膜を十分に歪ませて良好な強誘電特性を得ること
ができ、且つ電圧ストレスによるBTO膜中の酸素欠損
の発生を防止できる。 【解決手段】 Siプラグ10上にバリア層11,下部
電極14,BTO強誘電体層15,上部電極16を形成
した薄膜キャパシタにおいて、バリア層11としてTi
AlNを用い、下部電極14としてSrNbO3 を用
い、バリア層11のa軸長Ab,BTO強誘電体層15
の本来のa軸長Ao,及び下部電極14のエピタキシャ
ル成長後のa軸長Aeが、 Ab/Ao≦0.995 Ae/Ao≦0.995 の関係式を満足するように設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャパシタ絶縁膜
に強誘電体を用いた薄膜キャパシタに係わり、特に下部
電極の改良をはかった薄膜キャパシタ、更にはこの薄膜
キャパシタを用いた半導体記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、強誘電体薄膜からなる薄膜キャパ
シタ(強誘電体キャパシタ)を用いた半導体記憶装置
(強誘電体メモリ)の開発が行われており、一部には既
に実用化されている。強誘電体メモリは不揮発性であ
り、記憶保持のために電源を必要としない。しかも、強
誘電体薄膜の膜厚が十分薄い場合には自発分極の反転が
早く、DRAM並みに高速の書き込み,読み出しが可能
であるなどの特徴を持つ。また、1ビットのメモリセル
を1つのトランジスタと1つの強誘電体キャパシタで作
成することができるため、大容量化にも適している。
【0003】強誘電体メモリに適した強誘電体薄膜に
は、残留分極が大きいこと、抗電界が小さいこと、残留
分極の温度依存性が小さいこと、残留分極の長時間保持
が可能であること(リテンション)などが必要である。
現在、強誘電体材料としては、主としてジルコン酸チタ
ン酸鉛(以下、PZTと略称する)が用いられている。
PZTは、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛の固溶体である
が、ほぼ1:1のモル比で固溶したものは自発分極が大
きく、低い電界でも反転することができ、キャパシタ絶
縁膜として優れていると考えられている。しかも、強誘
電体と常誘電体の転移温度(キュリー温度)が300℃
以上と比較的高いため、通常の電子回路が使用される温
度範囲(120℃以下)では、記憶された内容が熱によ
って失われる心配は少ない。
【0004】しかしながら、PZTの良質な薄膜は作成
が難しいことが知られている。第1に、PZTの主成分
であるPbは500℃以上で蒸発しやすく、そのため組
成の正確な制御が難しい。第2に、PZTはペロブスカ
イト型結晶構造を形成したときに初めて強誘電性が現れ
るが、このペロブスカイト型結晶を持つPZTが得にく
く、パイロクロアと呼ばれる結晶構造の方が容易に得ら
れやすいという問題がある。また、シリコンデバイスに
応用した場合には、主成分であるPbのシリコン中への
拡散を防ぐことが難しいという問題もある。
【0005】PZT以外ではチタン酸バリウム(BaT
iO3 :以下BTOと略称する)が代表的な強誘電体と
して知られている。BTOはPZTと同じくペロブスカ
イト型結晶構造を持ち、キュリー温度は約120℃であ
ることが知られている。Pbと比べるとBaは蒸発しに
くいので、BTOの薄膜形成においては、組成の制御が
容易である。また、BTOが結晶化した場合は、ペロブ
スカイト型以外の結晶構造をとることは殆どない。
【0006】これらの長所にも拘わらず、BTOの薄膜
キャパシタが強誘電体メモリの記憶媒体としてさほど検
討されていない理由として、PZTと比べて残留分極が
小さく、しかも残留分極の温度依存性が大きいことが挙
げられる。この原因は、BTOのキュリー温度が低い
(120℃)ことにあり、このため強誘電体メモリを作
成した場合、100℃以上の高温に晒された場合に記憶
内容が失われる恐れがあるばかりではなく、通常電子回
路が使用される温度範囲(85℃以下)でも残留分極の
温度依存性が大きく、動作が不安定であるためである。
従って、BTOからなる強誘電体薄膜を使用した薄膜キ
ャパシタは、強誘電体メモリの記憶媒体としての用途に
適さないと考えられていた。
【0007】本発明者らは、新しい強誘電体薄膜とし
て、下部電極(例えばSrRuO3 )の格子定数に比較
的近くやや大きな格子定数を持つ誘電材料(例えば、B
x Sr1-x TiO3 、以下BSTと略称する)を選択
し、かつまたRFマグネトロンスパッタ法という成膜過
程でミスフイット転移が比較的入りにくい成膜方法を採
用して、単結晶基板上にエピタキシャル成長させること
により、エピタキシャル効果により本来の誘電体の格子
定数よりも膜厚方向(c軸)に格子定数が伸び、面内方
向(a軸)の格子定数が縮んだ状態を保つことができる
ことを見出した(特許公報第2878986号、登録日
平成11年1月22日)。その結果、強誘電キュリー温
度を高温側にシフトさせ、室温領域で大きな残留分極を
保持できる強誘電体薄膜が実現可能であることを確認し
ている。
【0008】例えば、基板としてMgO単結晶基板やS
rTiO3 単結晶基板を用い、下部電極としてSrRu
3 (格子系は擬立方晶系であり、立方晶に換算したと
きの格子定数a=0.3930nm)を使用し、誘電体として
BSTの組成領域x=0.30〜0.90を用いること
により、本来室温では強誘電性を示さないはずの組成領
域(x≦0.7)でも強誘電性が発現し、またもともと
室温で強誘電性を示す組成領域(x>0.7)において
は、本来室温以上にあるキュリー温度がさらに上昇する
という、実用上好ましい強誘電体特性を実現できること
を実験的に確認している。即ち、c軸長を人工的に伸長
させたBST強誘電体キャパシタを使用することによ
り、化学的,熱的に安定なBSTプロセスと、Pbを使
用したPZT並みかそれ以上の強誘電特性を両立させる
ことが可能になった。
【0009】ところで、上記の技術をBTO膜に適用し
て超高集積度の不揮発性半導体メモリを作成するために
は、トランジスタのソース/ドレイン電極上、或いはそ
の上部に成長させた単結晶Siプラグ上に酸化物強誘電
体キャパシタを形成する必要がある。このとき、Si基
板とBTO強誘電体層の間には、下部電極,バリア層な
どの多層膜を形成しなければならないが、下部電極,バ
リア層などの多層膜に以下のような条件を満たすことが
要求される。
【0010】(1)全て導電性であること、(2)Si
の格子定数0.543nmとBTOの面内格子定数0.
399nmと26%の大きな格子ミスマッチを緩和する
こと、(3)強誘電体キャパシタを形成後、サブミクロ
ンレベルに微細加工する際に強誘電体層に導入された歪
みが緩和せず、強誘電特性が劣化しないこと、(4)構
成元素の相互拡散が起こらないこと、(5)キャパシタ
形成時の酸素雰囲気、形成後の高温プロセスにより界面
の酸化反応が進行するような熱力学的に還元されやすい
材料でないこと。
【0011】本発明者らは、以上の(1)から(5)の
要求を満たす下部電極、バリアメタル材料の例として、
SrRuO3 /SrTiO3 :Nb/TiO2 :Nb/
TiAlNの4層からなる導電膜を開発し、その上部に
歪んだエピタキシャルBTO強誘電体薄膜を積層し、ベ
タ膜では良好な強誘電特性を確認している。また、全セ
ラミック構造で形成しているため、サブミクロンレベル
に微細加工してもBTOの歪みの緩和が生じないことも
併せて確認している。
【0012】しかしながら、この構造では酸素との結合
が弱いSrRuO3 を下部電極として使用しているた
め、BTO膜成膜時の温度を上げるとSrRuO3 から
脱離した酸素が下方に拡散する。そして、バリアメタル
であるTiAlNの酸化を引き起こし、コンタクト抵抗
の大幅な上昇、ひどい場合には酸化反応の進行と共に発
生する窒素ガスにより密着性が低下し、膜の剥離が起こ
ることが分かっている。また、下地の酸化を抑制しつつ
BTO膜を酸素雰囲気中で積層する必要があるので、B
TO成膜のプロセスウィンドウが狭く、僅かな成膜条件
の変動により下地の酸化が発生してしまい、実用化が難
しいという問題点があった。
【0013】以上の問題点から、SrRuO3 に替わる
電極材料が望まれているが、ここで電極として必要な特
性を挙げると、以下の4点になる。
【0014】(A)BTO膜を十分に歪ませ、良好な強
誘電特性を得るために、BTO本来のa軸長(0.39
9nm)よりも0.5%以上a軸長が短いこと、(B)
強誘電体キャパシタ動作時の読み出し/書き込み時に加
わる電圧ストレスによる強誘電体膜中の酸素欠損の発生
を防止するために、酸素との結合が弱い電極材料である
こと、(C)酸化性雰囲気や結晶の不完全性に対して導
電性が安定であること、(D)還元性雰囲気に対して安
定であること。
【0015】上述した(B)から(D)の条件を満たす
下部電極材料としては、歪み誘起強誘電体キャパシタに
限らず、多くの材料が検討されてきた。特に歪み誘起強
誘電体キャパシタの場合は、上部強誘電体層と同じ結晶
構造を持つ導電性ペロブスカイト物質を使用すれば、高
い界面整合性が得られるため、強誘電特性の向上が期待
される。しかしながら、(A)から(D)の全ての条件
を満たす材料を見出すのは容易ではなく、従来知られて
いる如何なる材料を用いても(A)から(D)を満たす
ことはできない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、Si
基板上に直接形成された強誘電体キャパシタ、特にエピ
タキシャル効果によりBTOの強誘電性が強化された強
誘電体キャパシタにおいては、超高集積度の不揮発性メ
モリに使用される際に予想される前述した(A)から
(D)の問題を克服することは困難であった。
【0017】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、前述した(A)から
(D)の仕様を満足する下部電極を形成することがで
き、誘電特性の優れた信頼性の高い強誘電体キャパシタ
(薄膜キャパシタ)と、これを用いた半導体記憶装置を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】(構成)上記課題を解決
するために本発明は次のような構成を採用している。
【0019】即ち本発明は、表面に立方晶系の(10
0)面,又は正方晶系の(001)面が表れているバリ
ア層と、このバリア層上にエピタキシャル成長された下
部電極と、この下部電極上にエピタキシャル成長された
BTOを主成分とする強誘電体層と、この強誘電体層上
に形成された上部電極とを具備した薄膜キャパシタにお
いて、前記下部電極がSrNbO3 を主成分とする導電
性ペロブスカイトからなり、前記バリア層のa軸長Ab
は前記強誘電体層の本来のa軸長Aoよりも小さく、且
つ前記下部電極のエピタキシャル成長後のa軸長Aeが
Aoよりも小さいことを特徴とする。
【0020】ここで、本発明の望ましい実施態様として
は次のものが挙げられる。
【0021】(1) 各a軸長Ab,Ao,Aeが、 Ab/Ao≦0.995 Ae/Ao≦0.995 の関係式を満足すること。
【0022】(2) 下部電極の構成元素の一部が、Ca,
Ba,Ti,V,Mo,Cr,Ruから選ばれた少なく
とも一種の元素で置換してあるか、又は構成元素の一部
に欠損があること。
【0023】(3) バリア層が導電性ペロブスカイトAB
3 (Aはアルカリ土類,希土類から選ばれた少なくと
も一種、BはTi,V,Nb,Mo,Crから選ばれた
少なくとも一種)からなること。
【0024】(4) バリア層がIr及びRhの少なくとも
一方を含む金属膜からなること。
【0025】(5) バリア層の下部が実質的にTiN,T
1-x Alx Nから選ばれた一種で形成されているこ
と。
【0026】(6) 強誘電体薄膜は、エピタキシャル後の
c軸長Ce と、このc軸長Ce と対応するエピタキシャ
ル成長前の本来の正方晶系のc軸長或いは立方晶系のa
軸長のCoが、Ce/Co≧1.02を満足すること。
【0027】(7) 下部電極が、Sr1-x NbO3-d (0
≦x≦0.5,0≦d≦1)の化学式で表わされるこ
と。
【0028】(8) バリア層が、Ir,Rh,又はIr若
しくはRhの一部をRe,Ru,Os,Pt,Pd,I
r,Rhの中から選択された少なくとも一種類の金属で
置換したfcc構造を持つ合金からなること。
【0029】(9) 強誘電体層が、ABO3 の化学式で表
わされるペロブスカイト構造を持ち、AはBa,Sr,
Caの中から選ばれた少なくとも一種であり、BはT
i,Zr,Hf,Sn,Nbの中から選ばれた少なくと
も一種であること。
【0030】(10)下部電極としてのSrNbO3 は、酸
素を含まない不活性ガス(例えばAr)雰囲気中でRF
マグネトロンスパッタにより形成されること。或いは、
還元性ガス(例えばH2 )を含む雰囲気中でRFマグネ
トロンスパッタにより形成されること。
【0031】また本発明は、トランジスタと薄膜キャパ
シタからなる半導体記憶装置において、前記薄膜キャパ
シタは、表面に立方晶系の(100)面,又は正方晶系
の(001)面が表れているバリア層と、このバリア層
上にエピタキシャル成長されたSrNbO3 を主成分と
する導電性ペロブスカイトからなる下部電極と、この下
部電極上にエピタキシャル成長されたBTOを主成分と
する強誘電体層と、この強誘電体層上に形成された上部
電極とを具備してなり、前記バリア層のa軸長Abは前
記誘電体層の本来のa軸長Aoよりも小さく、且つ前記
下部電極のエピタキシャル成長後のa軸長AeがAoよ
りも小さいことを特徴とする。
【0032】(作用)本発明では、バリア層,下部電
極,強誘電体層,上部電極を積層したキャパシタ構造に
おいて、強誘電体層にBTOを主成分とするペロブスカ
イト、下部電極にSrNbO3 を主成分とする導電性ペ
ロブスカイトを用い、バリア層のa軸長Abを強誘電体
層の本来のa軸長Aoよりも小さく、且つ下部電極のエ
ピタキシャル成長後のa軸長AeをAoよりも小さくし
ている。これにより、前述した(A)から(D)の仕様
を満足する下部電極を形成することができる。
【0033】従って本発明によれば、エピタキシャル成
長時に導入される歪みを利用した強誘電体薄膜を利用し
たキャパシタを、Si上に良好な膜質で作成し、キャパ
シタ成膜時及びキャパシタ形成後のプロセスにおいて下
部電極/バリア層の界面が劣化することなく、良好な強
誘電特性を保持することが可能になる。そして、本発明
の強誘電体キャパシタとトランジスタをSi基板上に高
度に集積することにより、信頼性の高い超高集積化した
強誘電体メモリを作成することが可能になる。
【0034】
【発明の実施の形態】実施形態を説明する前に、本発明
の基本原理について説明する。
【0035】前述した目的を達成するために、本発明者
らは様々な導電膜の組み合わせについて検討した。その
結果、格子定数の小さいバリア層上に導電性ペロブスカ
イトSrNbO3 層をエピタキシャル成長することによ
り、a軸長を本来の値よりも短くして使用することが不
可欠であることを見出した。以下、この技術について詳
述する。
【0036】まず、歪み誘起強誘電体キャパシタの電極
材料について検討する。ペロブスカイト系酸化物強誘電
体(本発明ではBTO)を使用したキャパシタにおい
て、動作電圧を繰り返し印加したときに強誘電体内部の
酸素欠陥の生成に伴う強誘電特性の劣化を防止するとい
う観点から、電極は酸化物であることが望ましい。特
に、界面整合性が良いことから、強誘電体と同じ結晶構
造である導電性ペロブスカイト酸化物が望ましい。
【0037】次に、上部にBTOをエピタキシャル成長
させた場合に良好な強誘電特性を得るためには、BTO
の面内格子定数を0.5%以上圧縮する必要があること
が理論上示されている。図4は、BTOのa軸長とc軸
長の関係を示す図(理論計算値)であり、a軸長が大き
くなるに伴いc軸長は小さくなっている。ここで、BT
Oはc軸長が0.41nm以上になると良好な強誘電性
が得られることが分かっており、このときのa軸長は
0.397以下である。BTOの本来のa軸長は0.3
99nmであるから、a軸長を0.5%以上圧縮するこ
とにより良好な強誘電特性が得られる。
【0038】このように、BTOのa軸長はエピタキシ
ャル成長後には0.397nm以下に圧縮される必要が
あり、誘電体膜の歪み緩和がない場合でも下部電極のa
軸長は0.397nm以下である必要がある。SrRu
3 を始めとして、AサイトとしてSrを使用した多く
の導電性ペロブスカイトはこの条件を満足する。
【0039】 SrVO3 (0.3842nm) SrCrO3 (0.3818nm) SrFeO3 (0.3850nm) SrCoO3 (0.385nm) SrRuO3 (0,393nm) SrMoO3 (0.3975nm) SrNbO3 (0.402nm) しかしながら、上記の導電性ペロブスカイトを含めて、
Bサイトに遷移金属を有する導電性ペロブスカイトの多
くは酸素との結合が強いとはいえず、還元雰囲気、或い
は電極形成後の熱工程において脱離した酸素が下方に拡
散して、下地窒化物バリアメタル層を酸化するおそれが
ある。下地バリアメタル層の酸化は、コンタクト抵抗の
著しい増加をもたらし、またひどい場合には酸化反応の
生成物として窒素ガスを発生し、膜の剥離を引き起こ
す。従って、電極には酸素との結合の強い導電性酸化物
を使用することが望ましい。
【0040】さらに、電極形成後のプロセスで導電性が
容易に失われないことも重要である。例えば、絶縁体で
あるSrTiO3 にNb,Laなどをドーピングした
り、酸素欠損を導入したりすれば、熱力学的に安定な、
酸素との結合の強い導電性酸化物材料の候補となる。し
かしながら、絶縁体である母物質を酸素欠損や元素置換
により導電体化した材料は、膜の結晶性が僅かに劣化し
ただけで導電性が消失する、欠損量や置換量が僅かに異
なっただけで導電性が大きく変化してしまい導電性の制
御が困難である、といった問題がある。
【0041】本発明者らは、様々な導電性酸化物を比較
検討した結果、以上の条件を全て満たすためには下地と
の格子ミスマッチを利用してa軸長を圧縮した導電性ペ
ロブスカイトSrNbO3 が最適であることを見出し
た。即ち、 (i)SrNbO3 は酸素との結合が強く、その安定性
はSrTiO3 に匹敵すること。
【0042】(ii)SrNbO3 は単結晶だけでなく、
多結晶でも導電性を示し、膜の結晶性によって導電性が
失われたりしないこと。
【0043】(iii)SrNbO3 は強誘電体であるB
TOとは異なり、面内に圧縮され膜厚方向に伸張しても
分極によるエネルギーの得が見込めないため、歪みによ
ってa軸長を制御することは困難ではあるが、成膜方法
及び成膜条件を最適化して格子定数の小さい下地膜上に
エピタキシャル成長させればa軸長が0.397nm以
下に歪むこと。
【0044】(iV)構成元素からなる化合物の中に不安
定な物質が含まれないため、成膜装置内の汚染、ダスト
の発生などを引き起こさず、また加工も容易であるため
プロセス適合性が良いこと。
【0045】などが理由である。
【0046】以上説明したように、SrNbO3 を主成
分とした下部電極を、格子定数の小さなバリア層上にエ
ピタキシャル成長させ面内格子定数を圧縮することで、
前記(A)〜(D)の条件を全て満たすことが初めて可
能になり、半導体メモリとして最適な歪み誘起エピタキ
シャル強誘電体キャパシタを作成することが可能にな
る。
【0047】次に、本発明者らはSrNbO3 の組成に
ついて詳細な検討を行った。下部電極としてのSrNb
3 の構成元素の一部を、Ca,Ba,Ti,V,M
o,Cr,Ruから選ばれた少なくとも一種の元素で置
換するか、又は構成元素の一部に欠損を設けた。このよ
うにSrNbO3 のA,B各サイトに対して添加物を加
えるか、又はAサイト欠損,酸素欠損を加えることによ
り、SrNbO3 の特性、具体的には導電性,格子定数
がより精密に制御可能となる。
【0048】SrNbO3 はSr欠損、或いはAサイト
のCa置換、BサイトのTi置換などにより格子定数を
小さくできることが知られている。先にも説明したよう
に、下地との格子定数差を利用してSrNbO3 の単位
格子を面内に圧縮させることで、面内格子定数を制御す
ることは可能だが、特に下地バリア層が格子定数の小さ
なIr系金属(a=0.384nm)であるような場合は、格
子ミスマッチ量が大きくなり、良好な結晶性のSrNb
3 エピタキシャル膜を形成することが困難である。そ
こで、Sr欠損,BサイトのTi置換,AサイトのCa
置換によって、本来の格子定数を小さくすることが必要
となる。
【0049】しかしながら、上記のような構成元素の置
換は、いずれも比抵抗値の増大をもたらし、電極として
使用することを考えると、好ましくない手法である。そ
こで、導電性の低下を補うために、Nbの4d軌道から
なる伝導バンドの直下にレベルを作るドーパントを添加
してやればよい。具体的には、Ru,Mo,Vなどが挙
げられるが、このようなドーパント物質はいずれも酸素
との結合が弱い酸化物を形成するので、ドーパント量と
しては30%以下であることが好ましい。
【0050】このように、組成制御によって面内格子定
数を小さくしたSrNbO3 を使用することにより、I
rのようにSrNbO3 との格子ミスマッチが大きな膜
の上にも、結晶性,平坦性が共に優れたSrNbO3
電性ペロブスカイトをエピタキシャル成長することが可
能となる。
【0051】次に、本発明者らはSrNbO3 下部電極
の下地となるバリア層に関して検討した。バリア層は非
酸化物である下地バリアメタル層の上部に形成すること
から、熱力学的に安定でなくてはならない。従って、熱
力学的には極めて安定だが絶縁体であるSrTiO3
一部をNbやLaで置換して導電性を発現させた導電性
SrTiO3 膜をバリア層として使用することが好まし
い。誘電体膜を形成する場合とは異なり、SrNbO3
下部電極をエピタキシャル成長させるときのスパッタ雰
囲気は無酸素雰囲気であるので、例えば酸素欠損の導入
により導電体化したSrTiO3 をバリア層に用いて
も、下部電極成膜中に導電性を失う恐れはない。
【0052】また、SrTiO3 のa軸長は0.390
nmであり、上部にSrNbO3 がエピタキシャル成長
した場合に下地に整合してa軸長が圧縮されるので、歪
み誘起強誘電体の下部電極として使用することができ
る。さらに、この構造を使用する場合、Si基板から上
部強誘電体膜まで全てセラミック材料を用いているた
め、微細加工により歪みが緩和して強誘電特性が劣化す
ることがなく、超高集積化した場合の強誘電体キャパシ
タのプロセス適合性が高い。
【0053】このような観点から、バリア層としてエピ
タキシャル成長した導電性ペロブスカイトABO3 (A
はアルカリ土類,希土類から選ばれた少なくとも一種、
BはTi,V,Nb,Mo,Crから選ばれた少なくと
も一種)を使用するのが望ましい。
【0054】また、バリア層としてIr及びRhの少な
くとも一方を含む金属膜を用いるのが望ましい。Ir及
びRhは格子定数がそれぞれ0.384nm,0.38
0nmと小さく、またPtのような軟質な金属とは異な
り硬いため、強誘電体膜の歪みの緩和が起きないという
メリットを持つ。また、酸化物も導電性を示すため、ど
のようなプロセス下でも界面が劣化しコンタクト抵抗が
上昇するようなことはない。しかしながら、SrNbO
3 とは若干格子ミスマッチが大きいので、結晶性良くS
rNbO3 膜をエピタキシャル成長させるためには、前
述したようにSr欠損を導入したり、構成元素をTiで
置換したりすることにより、SrNbO 3 の格子定数を
短くすることが好ましい。
【0055】以下、本発明の詳細を図示の実施形態及び
比較例によって説明する。
【0056】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態に係わる薄膜キャパシタ、特に強誘電体メモ
リに用いられる薄膜キャパシタの素子構造を示す断面図
である。
【0057】本実施形態は、薄膜キャパシタの下部電極
として歪みSrNbO3 を用いたことを特徴としてお
り、図中の1はSi基板、2は素子分離絶縁膜、3はゲ
ート絶縁膜、4はゲート電極(ワード線)、5はn型拡
散層(ソース・ドレイン領域)、6,8,9は層間絶縁
膜、7はビット線、10はSiプラグ、11はTiAl
Nバリア層、12はTiNb(TiO2 :Nb)膜、1
3はSrTiNbO3 膜、14はSrNbO3 下部電
極、15は強誘電体膜としてのBaTiO3(BT
O)、16はSrRuO3 上部電極を示している。
【0058】まず、単結晶Si((100)方位)で作
成したSiプラグ10まで完成している基板上に、超高
真空チャンバーを有するヘリコンスパッタ装置を用いて
第1のバリア層として(Ti,Al)N膜11を10n
m堆積した。さらにこの上部に、DCスパッタ装置を用
いてTiNb膜12を8nm堆積した。(Ti,Al)
NはTiAl合金ターゲットを用いてAr/N2 雰囲気
で、TiNbはTiNb合金ターゲットを用いてAr雰
囲気でスパッタを行っている。
【0059】この上部に熱力学的に安定な導電性ペロブ
スカイトバリア層として、Sr(Ti,Nb)O3 膜1
3を30nm堆積した。このときの成膜雰囲気はAr
0.1 Paであるが、酸化物ターゲットからの酸素により
TiNb膜12は酸化され、アナターゼ構造の導電性T
iO2 :Nb単層が形成されていることをX線回折によ
り確認している。
【0060】なお、Sr(Ti,Nb)O3 バリア層1
3のNb置換量としては、多過ぎるとa軸長が大きくな
り、下部電極としてのSrNbO3 のa軸長も下地に整
合して大きくなるため、強誘電体膜としてのBTO膜が
良好な強誘電特性を示さない。逆に、Nb置換量が少な
過ぎると、安定した導電性が得られない。従って、Nb
置換量は0.1%から60%が好ましく、さらに1%か
ら20%が最も好ましい領域である。
【0061】このバリア層13の上部に下部電極として
SrNbO3 膜14をRFマグネトロンスパッタを用い
て30nm堆積した。その上に強誘電体としてBTO膜
15を20nm、さらにその上に上部電極としてSrR
uO3 膜16を100nm堆積し、強誘電体キャパシタ
を作成した。このときの成膜雰囲気は、SrNbO3
14はAr雰囲気、BTO膜15はAr/O2 雰囲気で
あり、温度は600℃としている。
【0062】作成した薄膜キャパシタのX線回折を行っ
たところ、(Ti,Al)N膜11,Sr(Ti,N
b)O3 膜13,SrNbO3 下部電極14,BTO誘
電体膜15,SrRuO3 上部電極16の全てがエピタ
キシャル成長していることが分かった。さらに、断面電
子顕微鏡観察を行ったところ、酸化層生成に伴う(T
i,Al)N膜11とSr(Ti,Nb)O3 膜13と
の界面の荒れは見受けられなかった。
【0063】また、四軸X線回折装置により格子定数を
測定したところ、SrNbO3 下部電極14のa軸長が
0.396nmと下地に整合して0.5%以上歪んでい
ることが確認できた。即ち、格子定数の小さいバリア層
上に導電性ペロブスカイトSrNbO3 を先の条件でエ
ピタキシャル成長することにより、a軸長を本来の値よ
りも短くすることができた。そして、このSrNbO3
下部電極14上のBTO膜15はc軸長が0.425n
mと十分に歪んでおり、(002)回折ピークのロッキ
ングカーブの半値幅も0.5°と結晶性も良好であっ
た。
【0064】また、キャパシタとしての強誘電特性を測
定したところ、残留分極0.52C/cm2 、抗電圧
2.1Vの特性が得られ、かつ2V印加時のリーク電流
密度は2×10-7A/cm2 以下であった。さらに、1
5VのDCストレスを印加しても絶縁破壊は発生しなか
った。
【0065】このように、Si/TiAlN/Ti
2 :Nb/SrTiNbO3 /SrNbO3 /BTO
/SrRuO3 構造のキャパシタにおいては、熱力学的
に安定なSrNbO3 を下部電極として使用しているた
め、バリアメタル層の酸化を抑制することができる。し
かも、下部電極としてのSrNbO3 を下地バリア層に
整合させてa軸長が本来の値よりも短くなるようにして
いるので、強誘電体膜としてのBTOを十分に歪ませる
ことができ、良好な強誘電特性のキャパシタが作成可能
となる。
【0066】(第2の実施形態)図2は、本発明の第2
の実施形態に係わる薄膜キャパシタの素子構造を示す断
面図である。なお、図1と同一部部には同一符号を付し
て、その詳しい説明は省略する。
【0067】本実施形態は、第1の実施形態と同様に、
薄膜キャパシタの下部電極として歪みSrNbO3 を用
いており、更にバリア層としてIrを用いている。
【0068】まず、単結晶Si((100)方位)で作
成したSiプラグ10まで完成している基板上に、超高
真空チャンバーを有するヘリコンスパッタ装置を用い
て、第1のバリア層として(Ti,Al)N膜21を1
0nm堆積した。さらにこの上部に、DCスパッタ装置
を用いて第2のバリア層としてのIr膜22を20nm
堆積した。(Ti,Al)N膜21はTiAl合金ター
ゲットを用いてAr/N 2 雰囲気で、Ir膜22はIr
ターゲットを用いてAr雰囲気でスパッタを行うことに
より形成している。
【0069】Irバリア層22の上部にRFマグネトロ
ンスパッタを用いて、下部電極としてSrTi0.25Nb
0.753 膜24を30nm堆積した。ここで、下部電極
24としてSrNbO3 ではなく一部をTiで置換した
のは、先にも説明したように下部電極24と下地バリア
層22としてのIrとの格子ミスマッチを小さくするた
めである。下地バリア層22としてIrの代わりにRh
を用いた場合にも同様にすればよい。
【0070】そして、下部電極24上に強誘電体膜とし
てBTO膜25を20nm、さらにその上に上部電極と
してSrRuO3 膜26を100m堆積し、強誘電体キ
ャパシタを作成した。このときの成膜雰囲気は、SrT
0.25Nb0.753 膜24はAr雰囲気、BTO膜25
はAr/O2 雰囲気であり、温度は600℃としてい
る。
【0071】作成した薄膜キャパシタのX線回折を行っ
たところ、(Ti,Al)Nバリア層21,Irバリア
層22,SrTi0.25Nb0.753 下部電極24,BT
O誘電体膜25,SrRuO3 上部電極26の全てがエ
ピタキシャル成長していることが分かった。さらに、断
面電子顕微鏡観察を行ったところ、酸化層生成に伴う表
面モフォロジ荒れは見受けられなかった。
【0072】また、四軸X線回折装置により格子定数を
測定したところ、下部電極24としてのSrTi0.25
0.753 のa軸長が0.392nmと下地に整合して
歪んでいることが確認できた。そして、その上部のBT
O膜25はc軸長が0.435nmと十分に歪んでお
り、(002)回折ピークのロッキングカーブの半値幅
も0.4°と結晶性も良好であった。
【0073】また、キャパシタとしての強誘電特性を測
定したところ、残留分極0.60C/cm2 、抗電圧
1.9Vの特性が得られ、かつ2V印加時のリーク電流
密度は1.5×10-7A/cm2 以下であった。さら
に、15VのDCストレスを印加しても絶縁破壊は発生
しなかった。
【0074】(比較例1)図3は、本発明の比較例とし
ての薄膜キャパシタの素子構造を示す断面図である。な
お、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい
説明は省略する。
【0075】まず、単結晶Si((100)方位)で作
成したSiプラグ10まで完成している基板上に、超高
真空チャンバーを有するヘリコンスパッタ装置を用いて
第1のバリア層として(Ti,Al)N膜31を10n
m堆積した。さらにこの上部に、DCスパッタ装置を用
いてTiNb膜32を8nm堆積した。(Ti,Al)
N膜31はTiAl合金ターゲットを用いてAr/N2
雰囲気で、TiNb膜32はTiNb合金ターゲットを
用いてAr雰囲気でスパッタを行うことにより形成して
いる。
【0076】TiNb膜32の上部に、熱力学的に安定
な導電性ペロブスカイトバリア層として、Sr(Ti,
Nb)O3 膜33を30nm堆積した。このときの成膜
雰囲気はAr0.1 Paであるが、酸化物ターゲットから
の酸素によりTiNb膜32は酸化され、アナターゼ構
造の導電性TiO2 :Nb単層が形成されていることを
X線回折により確認している。
【0077】導電性ペロブスカイトバリア層33上に、
RFマグネトロンスパッタを用いて下部電極としてSr
RuO3 膜34を30nm、さらにその上に強誘電体薄
膜としてBTO膜35を20nm、さらにその上に上部
電極としてSrRuO3 膜36を100nm堆積し、強
誘電体キャパシタを作成した。このときの成膜雰囲気
は、SrRuO3 ,BTO共にAr/O2 雰囲気であ
り、温度は600℃としている。
【0078】作成した薄膜キャパシタのX線回折を行っ
たところ、(Ti,Al)N膜31,Sr(Ti,N
b)O3 膜33,SrRuO3 下部電極34,BTO誘
電体膜35,SrRuO3 上部電極36の全てがエピタ
キシャル成長していることが分かった。
【0079】しかしながら、走査型電子顕微鏡により表
面観察を行ったところ、全面に渡って直径1μm程度の
膨れが生じていた。さらに、断面電子顕微鏡観察を行っ
たところ、(Ti,Al)N膜31とTiO2 :Nbと
の界面で膜の剥離が生じていた。次に、この積層膜をリ
ソグラフィー及びエッチング技術によりSiプラグまで
キャパシタに加工し、リーク特性を評価したところ、測
定した400個のキャパシタのうち99%のキャパシタ
が短絡により測定不可能であった。
【0080】また、(Ti,Al)N膜31の酸化を抑
えるために、SrRuO3 下部電極成膜時の温度を50
0℃に下げてキャパシタを形成したところ、上述したよ
うな表面モフォロジ荒れは観察されなかったものの、X
線回折の結果、結晶性の指標となるロッキングカーブの
半値幅が、SrRuO3 (002)ピークは2.0°、
BTO(002)ピークに関しては1.8°と結晶性が
悪く、良好な強誘電特性が得られなかった。
【0081】このように、SrRuO3 /BTO/Sr
RuO3 /SrTiO3 :Nb/TiO2 :Nb/Ti
AlN/Si構造のキャパシタにおいては、下部電極3
4に酸素との結合が弱いSrRuO3 を使用しているた
め、膜質を向上させるために成膜時温度を上げると下地
窒化物バリアメタル層が酸化してモフオロジが荒れると
いう問題があった。また、SrRuO3 を使わずにSr
(Ti,Nb)O3 層を下部電極にするという方法も考
えられるが、前述したようにNbが少ない領域では導電
性が結晶の不完全性や酸素雰囲気に対して不安定であ
る。逆に、Nbが多い場合は格子定数が大きくなってし
まい、上部にBTOをエピタキシャル成長したときに十
分に歪まないため、良好な強誘電特性が得られないとい
う問題がある。
【0082】これに対し先の第1及び第2の実施形態で
は、下部電極にSrNbO3 を用い、且つその下地と製
造条件の最適化によりa軸長を本来の値よりも短くする
ことによって、BTO強誘電体膜のa軸長を下部電極に
整合して0.5%以上歪ませる(圧縮する)ことがで
き、これにより良好な強誘電性と結晶性を得ることがで
きた。キャパシタに加工しても、大きな残留分極,抗電
圧2.1Vの特性が得られ、かつリーク電流も小さくで
き、さらにDCストレスに対する耐性も十分大きくでき
た。
【0083】即ち、下地バリア層との格子不整合を利用
して、熱力学的に極めて安定な導電性ペロブスカイトS
rNbO3 の面内格子定数を短くすることで、上部に十
分に歪んだBTO強誘電体膜をより好ましい成膜条件に
てエピタキシャル成長することができ、良好な強誘電特
性や高い信頼性を持つキャパシタが得られる。
【0084】なお、本発明は上述した各実施形態に限定
されるものではない。実施形態では、表面に立方晶系の
(100)面が表れているバリア層の例を説明したが、
バリア層は正方晶系の(001)面が表れているもので
あってもよい。また、下部電極はSrNbO3 に限るも
のではなく、その構成元素の一部が、Ca,Ba,T
i,V,Mo,Cr,Ruから選ばれた少なくとも一種
の元素で置換してあるか、又は構成元素の一部に欠損が
あるものであってもよい。さらに、バリア層は、導電性
ペロブスカイトABO3 (Aはアルカリ土類,希土類か
ら選ばれた少なくとも一種、BはTi,V,Nb,M
o,Crから選ばれた少なくとも一種)からなるもので
あればよい。
【0085】また、本発明の薄膜キャパシタは必ずしも
強誘電体メモリに限るものではなく、各種の半導体回路
の要素デバイスとして使用することが可能である。さら
に、バリア層,下部電極,強誘電体膜等の製法は必ずし
もスパッタに限るものではなく、エピタキシャル成長で
きる方法であればよい。その他、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0086】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、バ
リア層,下部電極,強誘電体層,上部電極を積層したキ
ャパシタ構造において、強誘電体層にBTOを主成分と
するペロブスカイト、下部電極にSrNbO3 を主成分
とする導電性ペロブスカイトを用い、バリア層のa軸長
Abを強誘電体層の本来のa軸長Aoよりも小さく、且
つ下部電極のエピタキシャル成長後のa軸長AeをAo
よりも小さく設定することにより、エピタキシャル成長
時に導入される歪みを利用したBTO強誘電体薄膜をS
i上に良好な膜質で作成し、キャパシタ成膜時及びキャ
パシタ形成後のプロセスにおいて下部電極/バリア層の
界面が劣化することなく、良好な強誘電特性を保持する
ことが可能になる。そして、本発明の強誘電体キャパシ
タとトランジスタをSi基板上に高度に集積することに
より、信頼性の高い超高集積化した強誘電体メモリを作
成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる薄膜キャパシタの素子
構造を示す断面図。
【図2】第2の実施形態に係わる薄膜キャパシタの素子
構造を示す断面図。
【図3】本発明の比較例に係わる薄膜キャパシタの素子
構造を示す断面図。
【図4】BTOにおけるa軸長とc軸長との関係を示す
図。
【符号の説明】
1…Si基板 2…素子分離絶縁膜 3…ゲート絶縁膜 4…ゲート電極(ワード線) 5…n型拡散層(ソース・ドレイン領域) 6,8,9…層間絶縁膜 7…ビット線 10…Siプラグ 11,21…TiAlN膜(バリア層) 12…TiNb(TiO2 :Nb)膜(バリア層) 13…SrTiNbO3 膜(バリア層) 14,24…SrNbO3 膜(下部電極) 15,25…BaTiO3(BTO)膜(強誘電体膜) 16,26…SrRuO3 膜(上部電極) 22…Ir膜(バリア層)
フロントページの続き (72)発明者 福島 伸 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 川久保 隆 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5F083 AD22 JA14 JA15 JA36 JA39 JA40 JA43 JA45 MA05 MA06 MA17 PR25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に立方晶系の(100)面,又は正方
    晶系の(001)面が表れているバリア層と、このバリ
    ア層上にエピタキシャル成長された下部電極と、この下
    部電極上にエピタキシャル成長されたBaTiO3 を主
    成分とする強誘電体層と、この強誘電体層上に形成され
    た上部電極とを具備した薄膜キャパシタにおいて、 前記下部電極がSrNbO3 を主成分とする導電性ペロ
    ブスカイトからなり、前記バリア層のa軸長Abは前記
    強誘電体層の本来のa軸長Aoよりも小さく、且つ前記
    下部電極のエピタキシャル成長後のa軸長AeがAoよ
    りも小さいことを特徴とする薄膜キャパシタ。
  2. 【請求項2】前記各a軸長Ab,Ao,Aeが、 Ab/Ao≦0.995 Ae/Ao≦0.995 の関係式を満足することを特徴とする請求項1記載の薄
    膜キャパシタ。
  3. 【請求項3】前記下部電極の構成元素の一部が、Ca,
    Ba,Ti,V,Mo,Cr,Ruから選ばれた少なく
    とも一種の元素で置換してあるか、又は構成元素の一部
    に欠損があることを特徴とする請求項1記載の薄膜キャ
    パシタ。
  4. 【請求項4】前記バリア層が導電性ペロブスカイトAB
    3 (Aはアルカリ土類,希土類から選ばれた少なくと
    も一種、BはTi,V,Nb,Mo,Crから選ばれた
    少なくとも一種)からなることを特徴とする請求項1記
    載の薄膜キャパシタ。
  5. 【請求項5】前記バリア層がIr及びRhの少なくとも
    一方を含む金属膜からなることを特徴とする請求項1記
    載の薄膜キャパシタ。
  6. 【請求項6】前記バリア層の下部が実質的にTiN,T
    1-x Alx Nから選ばれた一種で形成されていること
    を特徴とする請求項1記載の薄膜キャパシタ。
  7. 【請求項7】トランジスタと薄膜キャパシタからなる半
    導体記憶装置において、 前記薄膜キャパシタは、表面に立方晶系の(100)
    面,又は正方晶系の(001)面が表れているバリア層
    と、このバリア層上にエピタキシャル成長されたSrN
    bO3 を主成分とする導電性ペロブスカイトからなる下
    部電極と、この下部電極上にエピタキシャル成長された
    BaTiO3 を主成分とする強誘電体層と、この強誘電
    体層上に形成された上部電極とを具備してなり、 前記バリア層のa軸長Abは前記誘電体層の本来のa軸
    長Aoよりも小さく、且つ前記下部電極のエピタキシャ
    ル成長後のa軸長AeがAoよりも小さいことを特徴と
    する半導体記憶装置。
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