JP2002075791A - 陰極箔に貫通孔を有する固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
陰極箔に貫通孔を有する固体電解コンデンサおよびその製造方法Info
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Abstract
容量の平板積層型固体電解コンデンサおよびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 貫通孔を設けた陰極電極箔2と陽極電極
箔1とをセパレータ3を介して積層し、両極箔間に3,
4−エチレンジオキシチオフェンを酸化剤により加圧下
で加熱して重合した後、高温高湿条件下で再化成し、水
分除去を行い固体電解質層を形成する。
Description
解コンデンサおよびその製造方法に関し、特に導電性有
機固体電解質を用いた固体電解コンデンサに関するもの
である。
ウム等の弁作用金属からなり微細孔やエッチングピット
を備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化皮膜層を
形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出した構成から
なる。
は、導電性を有する電解質層により行っている。したが
って、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を
担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサ
では、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極は
この液状電解質層と外部端子との電気的な接続を担って
いるにすぎない。
皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。
特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部にお
ける密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしてお
り、従来数々の電解質層が提案されている。
えているため高周波領域でのインピーダンス特性に欠け
る液状の電解質層の代わりに、導電性を有する固体の電
解質を用いるもので、なかでも二酸化マンガンや7,
7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯
体が知られている。
硝酸マンガン水溶液にタンタルの焼結体からなる陽極素
子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温度で熱分解し
て生成している。このような固体電解質層を用いたコン
デンサでは、硝酸マンガンの熱分解時、酸化皮膜層が破
損し易く、そのため漏れ電流が大きくなる傾向が見られ
る。また二酸化マンガン自体の比抵抗が高いためにイン
ピーダンス特性において充分満足できる特性を得ること
も困難である。また熱処理によるリード線損傷も生じる
ため、後工程として接続用の外部端子を別途設ける必要
がある。
としては、特開昭58−191414号公報に記載され
たものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶融して
陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成してい
る。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特性や
温度特性において良好な結果を得ることができる。
絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製造過
程における温度管理が困難である。さらに、TCNQ錯
体自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する
際、ハンダ熱により著しい特性変動が見られる。
つ不都合を解決するため、ポリピロール等の導電性高分
子を固体電解質層として用いることが試みられている。
は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合
法(電解重合)により生成される。ところが、化学重合
では強度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であっ
た。一方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧
を印加する必要があり、表面に絶縁体である酸化皮膜層
が形成されている電解コンデンサ用陽極電極に適用する
ことは困難である。そのため、酸化皮膜層の表面に、予
め導電性のプレコート層、例えば酸化剤を用いて化学重
合した導電性高分子膜のプレコート層を形成し、その後
このプレコート層を電極として電解重合による電解質層
を形成する方法などが提案されている(特開昭63−1
73313号公報、特開昭63−158829号公報:
二酸化マンガンをプレコート層とする)。
を形成する工程が予め必要となるため製造工程が煩雑と
なるほか、陽極電極の被皮膜面に配置した重合用の外部
電極の近傍部分から固体電解質層が生成されるため、広
範囲にわたって均一な厚さの導電性高分子膜を連続的に
生成することが非常に困難である。
セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコン
デンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等
のモノマー溶液と酸化剤を含浸し、化学重合のみにより
生成した導電性高分子膜からなる電解質層を形成するこ
とが試みられた。
ルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電
性高分子層をセパレータで保持することにより電解重合
の煩雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔
状の電極により容量を拡大させることが期待された。
た混合溶液をコンデンサ素子に含浸したところ、コンデ
ンサ素子の内部にまで固体電解質層が形成されず、期待
された電気的特性を得ることはできないことが判明し
た。
浸する方法や、重合反応温度を低くする方法などが試み
られ、ある程度良好な電気的特性を備えた固体電解コン
デンサを得たが、静電容量が十分なものではなく、イン
ピーダンスも高いものになるという問題が残った。その
原因は、前記方法ではコンデンサ素子の端部付近に生成
された固体電解質層が、コンデンサ素子内部への溶液の
浸透を妨害し、結果として緻密で均一な固体電解質層を
形成するには至っていないことによると考えられた。ま
た、重合反応温度を低くした場合、厳重な温度制御が必
要となり、製造装置が複雑になるため、製品コストが高
くなってしまう問題点もあった。
て検討を重ねたところ、反応速度が緩やかで、かつ陽極
電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオ
キシチオフェンに着目し(特開平2−15611号公
報)、その結果、陽極電極箔と陰極電極箔とを、セパレ
ータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチ
レンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸し、その後緩
やかに進行する該モノマーと酸化剤との化学重合反応で
固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンをコ
ンデンサ素子内部に生成させることを特徴とする発明を
出願した(特願平8−131374号)。この発明によ
り、ポリエチレンジオキシチオフェンの重合反応速度が
緩やかであることを利用し、巻回型のコンデンサ素子の
内部に緻密で均一な導電性高分子からなる固体電解質層
を生成することが可能となり、電気的特性に優れかつ比
較的高い容量の固体電解コンデンサを得た。
構成の電解コンデンサ素子はいずれも、近年の回路の高
機能化に伴う高耐電圧、高静電容量および平板化への要
求と、さらには優れた高周波特性を有することへの要求
とに対応しきれていない。たとえば巻回型コンデンサ素
子の場合、高容量要求を満たすためには巻回数を増やす
必要があるが、その円筒形の形状のためコンパクトに格
納することが困難となる。
る場合、その巻き閉めの力が両極の電極と固体電解質層
との密着性に貢献しているとの示唆はあるが、両極の電
極とセパレータを巻き閉める緊締力を均一にすることは
難しく、さらにこの緊締力を調節することは困難であ
る。このため、密着性の効率は上がらず、十分な静電容
量が得られるに至っていない。
て、高容量要求、高耐電圧要求、平板化の要求及び優れ
た高周波特性を有することへの要求全てを同時に満たす
ことはなされていない。その原因は、高耐電圧要求を満
たすために、陽極箔の誘電体皮膜の厚さを大きくする
と、得られる静電容量が少なくなってしまう。静電容量
を補うためには、陽極箔の誘電体皮膜の面積を広くする
必要が有る。そこで、この高容量要求を満たすために積
層型コンデンサの形状を単に大きくすると、コンデンサ
素子の端部付近に生成された固体電解質層がコンデンサ
素子内部への溶液の浸透を妨害し、積層内部まで溶液を
充分量、均一に浸透させることができない。結果として
緻密で均一な固体電解質層を形成できず、両電極箔と導
電性高分子を密着させることが困難となるため十分な静
電容量が得られないという問題が起きてしまう。
し、インピーダンス特性を向上させ、高耐電圧性及び高
周波特性に優れ、静電容量が大きくかつ格納が容易な大
型平板の積層型固体電解コンデンサおよびその製造方法
を提供することである。
する陰極電極箔と、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽
極電極箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレー
タに3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸
化剤とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合
して形成した、高耐電圧性、高静電容量、および優れた
高周波特性を有することを特徴とする大型平板の固体電
解コンデンサによって達成される。
極電極箔と、表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極
箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレータに
3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤
とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合さ
せ、常温以上の高湿条件下で再化成し、水分除去を行う
ことによって製造し得る。
ンタル等の弁作用金属であればいずれを用いても良い
が、通常アルミニウムが使用されている。この陽極電極
箔の表面にはホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を
印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成している。
的な接続をする物質であればいずれでも良く、本発明の
一態様ではアルミニウム等を用い、貫通孔を形成してい
る。なお、陰極電極箔の表面に窒化チタン膜を形成する
と静電容量が増大するので好適である。
〜50%、特に10〜30%が好ましい。貫通孔の面積
比が1%未満では貫通孔を形成したことによる水分浸透
効果が十分発揮されず、高耐電圧化は達成されない。一
方、貫通孔の面積が50%より大きな場合も、陰極箔の
固体電解質層に接触する面積が低下してしまうため、静
電容量が減少する。すなわち、高周波特性が悪化する。
さらに、貫通孔の間隔は、1〜5mmが好ましい。貫通
孔の間隔が1mm未満では、陰極箔の強度が低下し、5
mmより大きい場合、貫通孔を形成したことによる水分
浸透効果が十分発揮されない。貫通孔の形状は、円形、
長方形等任意であり、その大きさは通常、1〜20mm
2である。
電極を外部に接続するためのリード線が、ステッチ、超
音波溶接等の公知の手段により接続されている。このリ
ード線は、アルミニウム等からなり、陽極電極箔、陰極
電極箔との接続部と外部との電気的な接続を担う外部接
続部からなり、積層したコンデンサ素子の端部から導出
される。
加工の段階で受けた皮膜損傷部分や切断面を修復するた
めに、化成液中で修復化成を行い、さらに、硼酸水溶液
に浸漬することによって、酸化皮膜を安定化させ、高耐
電圧を高めている。
が用いられているが、別の実施の形態として、通常の電
解コンデンサ用として用いられる電解紙を用いることが
できる。つまり、合成繊維、これらの混抄によるもの、
また、合成繊維と電解紙用の繊維又はガラス繊維の混抄
による不織布を用いることができる。合成繊維としては
ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レー
ヨン繊維等が挙げられる。さらには、合成樹脂の多孔質
セパレータを用いることができる。これらの合成樹脂と
しては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド等を挙げる
ことができる。なお、前記セパレータは、10〜300
0μm、好ましくは20〜1500μm厚のものを用いて
いる。この範囲の厚さのものを用いると、安定な等価直
列抵抗が得られる。
心部に3,4−エチレンジオキシチオフェン及び酸化剤
が浸透する大きさであればよい。さらに陰極箔で陽極箔
を挟み込むことができる大きさとしてもよく、製造する
固体電解コンデンサの仕様に応じて任意である。セパレ
ータも陰極電極箔と陽極電極箔の寸法に応じて陰極箔よ
りやや大きい幅寸法のものを用いればよい。本発明の性
能を有するコンデンサを得るには、両電極箔の縦寸法
は、通常10mm以上、好ましくは20mm以上であ
り、典型的には25〜50mmである。同様に、陽極電
極箔の横寸法は、通常10mm以上、好ましくは20m
m以上であり、典型的には25〜50mmである。陰極
電極箔の横寸法は、陽極電極箔を挟み込む場合は陽極電
極箔の2倍以上あれば良く、通常20mm以上であり、
好ましくは50mm以上であり、典型的には50〜10
0mmである。
セパレータを重ね、セパレータを介した状態で陽極電極
を挟み込むように積層することで形成するのが好まし
い。この構成により、陽極箔両面の酸化皮膜層がセパレ
ータを介して陰極箔と重なるため、陽極箔の両面の酸化
皮膜層が誘電体として作用する。この挟み込むように積
層する構成により、単に陽極箔と陰極箔をセパレータを
介して積層する場合より、同じ静電容量を得るために必
要な陽極電極箔の枚数を減らすことができ、薄型、低背
化が可能となる。
チレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸させること
で、コンデンサ素子の内部にまで3,4−エチレンジオ
キシチオフェンと酸化剤が浸透し、その浸透する過程及
び浸透後に適宜起こる穏やかな化学重合反応で3,4−
エチレンジオキシチオフェンの重合体、すなわち固体電
解質層がコンデンサ素子の内部においてセパレータで保
持された状態で形成される。
特開平2−15611号公報等により開示された公知の
製法により得ることができる。また、前記の3,4−エ
チレンジオキシチオフェンの重合体とは、常温で固体と
なる程度に重合したポリ3,4−エチレンジオキシチオ
フェンである。
スルホン酸の鉄塩であるp−トルエンスルホン酸第二鉄
を溶解したものを用いている。この酸化剤における溶媒
は、エタノール、ブタノール等のアルコール類など、通
常の有機溶媒を用いることができる。
化剤をコンデンサ素子に含浸させる方法として、あらか
じめ3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤を混
合した液にコンデンサ素子を浸漬する方法だけでなく、
他の実施の形態として、3,4−エチレンジオキシチオ
フェンに浸漬したコンデンサ素子を酸化剤に浸漬する方
法、及び酸化剤に浸漬したコンデンサ素子を3,4−エ
チレンジオキシチオフェンに浸漬する方法、さらには、
前記浸漬操作をシリンジからの溶液の吐出に置き換える
方法が同様に可能である。
しい。重合温度が20℃以下では、3,4−エチレンジ
オキシチオフェンの生成が良好に進行せず、静電容量が
低減し等価直列抵抗値が上昇する。また、180℃より
高い温度では3,4−エチレンジオキシチオフェンの分
解が起こり、静電容量が低減し等価直列抵抗値が上昇す
る。すなわち、優れた高周波特性が得られない。
cm2、特に100〜600kg/cm 2が好ましい。30
kg/cm2未満の加圧では生成される重合体と電極箔と
の接合が良好に進行しないため、静電容量が低減し等価
直列抵抗値が上昇する。さらに1000kg/cm2より
高い加圧の場合も、電極箔間のモノマーおよび酸化剤の
量が減少するので、生成する重合体の量が減少し、等価
直列抵抗値が上昇する。すなわち、優れた高周波特性が
得られない。前記重合条件で、重合反応を30分以上進
めることにより固体電解質層が得られる。この重合反応
の反応時間は重合反応が完全に終了し得る30分以上が
好ましい。
後、酸化皮膜を修復するために、常温以上の高湿条件
下、陰極に形成された貫通孔から浸透する水分で再化成
を良好に進める。再化成をするに当って、温度条件は4
0℃以上、特に50〜120℃が好ましく、さらに60
〜90℃が好ましい。40℃未満では再化成電圧が上昇
せず、再化成処理を行うことができない。湿度条件は、
20〜60%RHが好ましい。湿度が20%RH未満で
は、再化成に必要な水分が不足し、電圧が安定に上昇し
ない。60%RHを超えると、水分が過剰となり、同じく
電圧が安定に上昇しない。この時、高電圧で化成した陽
極箔を用いても高い電圧で再化成することができるの
で、高耐電圧化を図ることができる。
加することで、等価直列抵抗値、漏れ電流の上昇を防止
する。水分除去の他の実施の形態として、高温放置、低
湿度条件下での放置も可能である。水分除去を行うこと
により、残留した水分による電極箔の劣化に伴うガス発
生、コンデンサの膨れ及び高周波特性の悪化を抑制し、
高温寿命特性が向上する。
ンサの少なくとも片側に支持板を配置することにより、
平板のコンデンサの強度を高めることも可能である。な
お、支持板を得られた固体電解コンデンサの両側に配置
すると強度が向上するので好適である。
高耐電圧性、5μF以上の高静電容量、および5〜10
00KHzでの等価直列抵抗が100mΩ以下の優れた高
周波特性を有する大型平板の固体電解コンデンサが得ら
れる。
製造方法と、その方法によって得られた固体電解コンデ
ンサについて図面を用いて実施例により具体的に説明す
る。
は、縦寸法が30mm、横寸法が40mmのアルミニウ
ム箔である。陽極電極箔1については、その表面に化成
処理を施し、表面に酸化アルミニウムからなる酸化皮膜
層4を形成した。陰極電極箔2は、縦寸法が30mm、
横寸法が85mmのアルミニウム箔からなり、その表面
に前記陽極電極箔1と同様の化成処理を施した後、陰極
アークプラズマ蒸着法にて窒化チタン膜を形成した。更
に、陰極箔面に貫通孔を3mm間隔、箔に対する面積比で
10%形成した。前記加工の段階で受けた両極箔の皮膜損
傷部分や切断面を修復するために、リン酸アンモニウム
水溶液中で修復化成を行うことで、再度酸化皮膜を形成
し、酸化皮膜安定のためさらにホウ酸水溶液に浸漬し
た。
縦寸法が35mm、横寸法が90mmのガラスセパレータ3
を重ね、セパレータ3を介した状態で陽極電極1を挟み
込むように積層し(図2)、コンデンサ素子10を得
た。なお、コンデンサ素子10の陽極電極箔1、陰極電
極箔2にはあらかじめそれぞれリード線6、7が電気的
に接続されており、コンデンサ素子10の端部から突出
させた。
10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤
とを含浸させた。酸化剤は、ブタノールに溶解したp−
トルエンスルホン酸第二鉄を用い、これらの混合液を作
成した。
含浸槽にコンデンサ素子10を浸漬する方法で実施し
た。次いで、混合溶液を含浸したコンデンサ素子10を
含浸槽から引上げ、400kg/cm2の加圧下かつ1
50℃の加熱下で2時間、重合反応による重合体、すな
わち固体電解質層5を生成させた。
て電圧印加することで再化成を行った。電圧印加時に、
貫通孔を通して水分が浸透するため、化成電圧が安定し
て上昇した状態で酸化皮膜の再化成処理を行うことがで
きた。この再化成処理に続き、85℃にて電圧印加し、
固体電解質中の水分を除去する工程の後、本固体電解コ
ンデンサを、ラミネートシートで形成した袋体にリード
線が袋外に突出した状態で挿入し、開口部をポリプロピ
レンの溶融による熱圧着することで封口、密閉する工程
を経て一連の製造工程が終了した。
エンスルホン酸第二鉄溶液に浸漬した後、ピロールから
なるモノマー溶液に浸漬し、常温放置してポリピロール
からなる固体電解質層を形成したコンデンサを形成し
た。
じ構成からなるコンデンサの製造を試みた。しかしなが
ら、比較例1は再化成工程においてショートを起こし、
試料を作り上げることができなかった。
電気的な特性について比較した。それぞれ各10個の試
料を準備し、初期の電気的特性を測定し、その平均値を
決定した(初期特性)。さらに実施例1の試料を温度1
05℃の条件で1000時間放置した後、電気的特性を
測定し、その平均値を決定した(寿命特性)。その結果
を表1に示す。なお、表1に示した実施例1と比較例1
は、それぞれ定格電圧100V、定格静電容量5μFで
ある。
比較例1と比較して、静電容量において高い値を取り、
高容量化が達成された。また、ここで得られた静電容量
は箔容量の90%にも達しており、巻回型コンデンサと
比較しても高容量化が図られている。さらに、等価直列
抵抗値、tanδおよび漏れ電流等において低い値を取
り、優れた高周波特性が得られた。
ールは、酸化剤と接触した時点で急速に反応が進行し
て、電極箔の間に良好に重合体が生成されないのに対
し、実施例1に使用している3,4−エチレンジオキシ
チオフェンは重合反応が穏やかであるため、コンデンサ
素子の内部にまで十分浸透した後に重合反応が完了する
ため、緻密で均一な固体電解質層が良好に形成される。
さらに本発明では、積層面から圧力を加えた状態で重合
反応を進行させるため、酸化皮膜との接合力が加わった
状態で重合体が形成されるので、陽極電極箔上の酸化皮
膜と固体電解質層との密着性が高まり、これらの相乗作
用によってこれまでにない良好な状態の固体電解質が得
られることによる。
例1の陰極箔には貫通孔がないため、再化成における電
圧印加時、固体電解コンデンサに十分な水分が浸透して
いなかったためである。実施例1の陰極箔には貫通孔が
形成されているため、貫通孔を通過して固体電解質層へ
浸透した水分により、高い化成電圧で再化成、すなわち
陽極酸化皮膜の修復が良好に進行し、高耐電圧性に特に
優れた結果が得られた。
オキシチオフェンモノマーは、穏やかに重合反応が進行
するため、大型平板コンデンサ素子の内部にまで十分該
モノマーと酸化剤が浸透した後、重合反応が完了する。
この結果、緻密で均一な固体電解質層が良好に形成さ
れ、陽極電極箔上の酸化皮膜と固体電解質層との密着性
が高まるため、静電容量が増大し等価直列抵抗値が低減
する。すなわち、高静電容量でありながら優れた高周波
特性を有する固体電解コンデンサが得られる。さらに耐
電圧特性においては、3,4−エチレンジオキシチオフ
ェンの重合体自身の特性により、従来の導電性高分子を
固体電解質層に用いた固体電解コンデンサとの比較で改
善が顕著である。
態で重合体を生成するため、陽極電極箔上の酸化皮膜層
と固体電解質層との密着性が顕著に良好となる。なお、
前記圧力を加える方法として、本発明では積層両面から
挟み込んで圧力を加える方法をとっている。このため、
陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して均一に
加圧することが可能となった。本方法を用いることで、
圧力の強さを最も好ましい条件に任意に設定することが
可能となった。その結果、最適の加圧条件を作り出し重
合反応を進めることができ、陽極電極箔上の酸化皮膜層
と固体電解質層との密着性を高める効率が良い。
したことで、貫通孔を通過して固体電解コンデンサ内部
に液状体が十分浸透しうる。このため、大型平板の積層
内部まで3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤
を充分量、均一に浸透させることができ、緻密で均一な
固体電解質層を形成することが可能となる。その上、常
温以上の高湿条件での再化成時、貫通孔を通過して両極
箔の間に挟まれた固体電解質層へ浸透した水分により、
高い化成電圧で再化成、すなわち陽極酸化皮膜の修復が
進行する。その結果得られる固体電解コンデンサは、高
耐電圧性に優れたものとなる。
う方法を取ることで、静電容量を増やすことが可能であ
り、所望の静電容量を得ることができる。本発明の固体
電解コンデンサは、電極箔およびセパレータの厚さが薄
いため、前記積層を繰り返しても薄型を維持することが
できる。
デンサは、近年の回路の高機能化に伴う高容量要求およ
び高耐電圧要求、平板化の要求すなわち薄型、低背化の
要求、優れた高周波特性を有することへの要求に対応し
ており、車載等の用途において、優れた高周波特性であ
りながら、特に優れた高耐電圧および高静電容量化が図
られており、コンパクトに格納することが可能となっ
た。
る。
す斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 貫通孔を有する陰極電極箔と、表面に誘
電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介
して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキ
シチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で
加熱して該モノマーを重合して形成した、高耐電圧性、
高静電容量、および優れた高周波特性を有することを特
徴とする大型平板の固体電解コンデンサ。 - 【請求項2】 加圧時の圧力が30〜1000kg/c
m2であることを特徴とする請求項1記載の固体電解コ
ンデンサ。 - 【請求項3】 100V以上の高耐電圧性、5μF以上の
高静電容量、および5〜1000KHzでの等価直列抵抗
が100mΩ以下の優れた高周波特性を有することを特
徴とする請求項1または2記載の固体電解コンデンサ。 - 【請求項4】 貫通孔を有する陰極電極箔と、表面に誘
電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介
して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキ
シチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で
加熱して該モノマーを重合させ、常温以上の高湿条件下
で再化成し、水分除去を行うことを特徴とする、請求項
1の固体電解コンデンサの製造方法。 - 【請求項5】 加圧時の圧力が30〜1000kg/c
m2であることを特徴とする請求項4記載の固体電解コ
ンデンサの製造方法。
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