JP4513044B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大型平板の固体電解コンデンサおよびその製造方法に関し、特に導電性有機固体電解質を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電解コンデンサは、タンタル、アルミニウム等の弁作用金属からなり微細孔やエッチングピットを備えた陽極電極の表面に、誘電体となる酸化皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出した構成からなる。
【0003】
そして、酸化皮膜層からの電極の引出しは、導電性を有する電解質層により行っている。したがって、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を担うことになる。例えば、アルミニウム電解コンデンサでは、液状の電解質を真の電極として用い、陰極電極はこの液状電解質層と外部端子との電気的な接続を担っているにすぎない。
【0004】
真の陰極として機能する電解質層は、酸化皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部における密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしており、従来数々の電解質層が提案されている。
【0005】
固体電解コンデンサは、イオン伝導性を備えているため高周波領域でのインピーダンス特性に欠ける液状の電解質層の代わりに、導電性を有する固体の電解質を用いるもので、なかでも二酸化マンガンや7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。
【0006】
二酸化マンガンからなる固体電解質層は、硝酸マンガン水溶液にタンタルの焼結体からなる陽極素子を浸漬し、300℃〜400℃前後の温度で熱分解して生成している。このような固体電解質層を用いたコンデンサでは、硝酸マンガンの熱分解時、酸化皮膜層が破損し易く、そのため漏れ電流が大きくなる傾向が見られる。また二酸化マンガン自体の比抵抗が高いためにインピーダンス特性において充分満足できる特性を得ることも困難である。また熱処理によるリード線損傷も生じるため、後工程として接続用の外部端子を別途設ける必要がある。
【0007】
TCNQ錯体を用いた固体電解コンデンサとしては、特開昭58−191414号公報に記載されたものなどが知られており、TCNQ錯体を熱溶融して陽極電極に浸漬、塗布して固体電解質層を形成している。このTCNQ錯体は、導電性が高く、周波数特性や温度特性において良好な結果を得ることができる。
【0008】
しかし、TCNQ錯体は溶融後、短時間で絶縁体に移行する性質があるため、コンデンサの製造過程における温度管理が困難である。さらに、TCNQ錯体自体が耐熱性に欠けるため、プリント基板に実装する際、ハンダ熱により著しい特性変動が見られる。
【0009】
前記二酸化マンガン及びTCNQ錯体の持つ不都合を解決するため、ポリピロール等の導電性高分子を固体電解質層として用いることが試みられている。
【0010】
ポリピロールに代表される導電性高分子は、主に化学的酸化重合法(化学重合)や電解酸化重合法(電解重合)により生成される。ところが、化学重合では強度の強い皮膜を緻密に生成することは困難であった。一方、電解重合では、皮膜を生成する対象物に電圧を印加する必要があり、表面に絶縁体である酸化皮膜層が形成されている電解コンデンサ用陽極電極に適用することは困難である。そのため、酸化皮膜層の表面に、予め導電性のプレコート層、例えば酸化剤を用いて化学重合した導電性高分子膜のプレコート層を形成し、その後このプレコート層を電極として電解重合による電解質層を形成する方法などが提案されている(特開昭63−173313号公報、特開昭63−158829号公報:二酸化マンガンをプレコート層とする)。
【0011】
しかし、電解重合では、前記プレコート層を形成する工程が予め必要となるため製造工程が煩雑となるほか、陽極電極の被皮膜面に配置した重合用の外部電極の近傍部分から固体電解質層が生成されるため、広範囲にわたって均一な厚さの導電性高分子膜を連続的に生成することが非常に困難である。
【0012】
そこで、箔状の陽極電極及び陰極電極を、セパレータを介して巻き取って、いわゆる巻回型のコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子にピロール等のモノマー溶液と酸化剤を含浸し、化学重合のみにより生成した導電性高分子膜からなる電解質層を形成することが試みられた。
【0013】
このような巻回型のコンデンサ素子は、アルミニウム電解コンデンサにおいて周知であるが、導電性高分子層をセパレータで保持することにより電解重合の煩雑さを回避するとともに、併せて表面積の大きい箔状の電極により容量を拡大させることが期待された。
【0014】
しかし、モノマー溶液と酸化剤とを混合した混合溶液をコンデンサ素子に含浸したところ、コンデンサ素子の内部にまで固体電解質層が形成されず、期待された電気的特性を得ることはできないことが判明した。
【0015】
そこで、モノマー溶液と酸化剤を別々に含浸する方法や、重合反応温度を低くする方法などが試みられ、ある程度良好な電気的特性を備えた固体電解コンデンサを得たが、静電容量が十分なものではなく、インピーダンスも高いものになるという問題が残った。その原因は、前記方法ではコンデンサ素子の端部付近に生成された固体電解質層が、コンデンサ素子内部への溶液の浸透を妨害し、結果として緻密で均一な固体電解質層を形成するには至っていないことによると考えられた。また、重合反応温度を低くした場合、厳重な温度制御が必要となり、製造装置が複雑になるため、製品コストが高くなってしまう問題点もあった。
【0016】
本発明者等は、各種の導電性高分子について検討を重ねたところ、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェンに着目し(特開平2−15611号公報)、その結果、陽極電極箔と陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸し、その後緩やかに進行する該モノマーと酸化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部に生成させることを特徴とする発明を出願した(特願平8−131374号)。この発明により、ポリエチレンジオキシチオフェンの重合反応速度が緩やかであることを利用し、巻回型のコンデンサ素子の内部に緻密で均一な導電性高分子からなる固体電解質層を生成することが可能となり、電気的特性に優れかつ比較的高い容量の固体電解コンデンサを得た。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の構成の電解コンデンサ素子はいずれも、近年の回路の高機能化に伴う高耐電圧、高静電容量および平板化への要求と、さらには優れた高周波特性を有することへの要求とに対応しきれていない。たとえば巻回型コンデンサ素子の場合、高容量要求を満たすためには巻回数を増やす必要があるが、その円筒形の形状のためコンパクトに格納することが困難となる。
【0018】
しかもコンデンサ素子の形状が巻回型である場合、その巻き閉めの力が両極の電極と固体電解質層との密着性に貢献しているとの示唆はあるが、両極の電極とセパレータを巻き閉める緊締力を均一にすることは難しく、さらにこの緊締力を調節することは困難である。このため、密着性の効率は上がらず十分な静電容量が得られるに至っていない。
【0019】
現在、積層型の固体電解コンデンサにおいて、高容量要求、高耐電圧要求、平板化の要求及び優れた高周波特性を有することへの要求全てを同時に満たすことはなされていない。その原因は、高耐電圧要求を満たすために、陽極箔の誘電体皮膜の厚さを大きくすると、得られる静電容量が少なくなってしまう。静電容量を補うためには、陽極箔の誘電体皮膜の面積を広くする必要が有る。そこで、この高容量要求を満たすために積層型コンデンサの形状を単に大きくすると、コンデンサ素子の端部付近に生成された固体電解質層がコンデンサ素子内部への溶液の浸透を妨害し、積層内部まで溶液を充分量、均一に浸透させることができない。結果として緻密で均一な固体電解質層を形成できず、両電極箔と導電性高分子を密着させることが困難となるため十分な静電容量が得られないという問題が起きてしまう。
【0020】
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、インピーダンス特性を向上させ、高耐電圧性及び高周波特性に優れ、静電容量が大きくかつ格納が容易な大型平板の固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、陰極電極箔と表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合して形成した、高耐電圧性、高静電容量、および優れた高周波特性を有することを特徴とする大型平板の固体電解コンデンサによって達成される。
【0022】
この電解コンデンサは、陰極電極箔と表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合することによって製造し得る。
【0023】
【発明の実施の形態】
陽極電極箔は、アルミニウム、タンタル等の弁作用金属であればいずれを用いても良いが、通常アルミニウムが使用されている。この陽極電極箔の表面にはホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成している。
【0024】
陰極電極箔は、リード線と電解質との電気的な接続をする物質であればいずれでも良く、本発明の一態様ではアルミニウム等を用いている。なお、陰極電極箔の表面に窒化チタン膜を形成すると静電容量が増大するので好適である。
【0025】
陽極電極箔及び陰極電極箔にはそれぞれの電極を外部に接続するためのリード線が、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。このリード線は、アルミニウム等からなり、陽極電極箔、陰極電極箔との接続部と外部との電気的な接続を担う外部接続部からなり、積層したコンデンサ素子の端部から導出される。
【0026】
なお、陽極電極箔及び陰極電極箔は、前記加工の段階で受けた皮膜損傷部分や切断面を修復するために、化成液中で修復化成を行い、さらに、硼酸水溶液に浸漬することによって、酸化皮膜を安定化させ、高耐電圧を高めている。
【0027】
セパレータとして通常、ガラスセパレータが用いられているが、別の実施の形態として、通常の電解コンデンサ用として用いられる電解紙を用いることができる。つまり、合成繊維、これらの混抄によるもの、また、合成繊維と電解紙用の繊維又はガラス繊維の混抄による不織布を用いることができる。合成繊維としてはビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。さらには、合成樹脂の多孔質セパレータを用いることができる。これらの合成樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド等を挙げることができる。なお、前記セパレータは、10〜3000μm、好ましくは20〜1500μm厚のものを用いている。この範囲の厚さのものを用いると、安定な等価直列抵抗が得られる。
【0028】
陰極電極箔と陽極電極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意であるが、積層中心部に3,4−エチレンジオキシチオフェン及び酸化剤が浸透する大きさであればよい。セパレータも陰極電極箔と陽極電極箔の寸法に応じてこれよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。本発明の性能を有するコンデンサを得るには、陰極電極箔と陽極電極箔の縦横寸法は、通常10mm以上、好ましくは20mm以上であり、典型的には25〜50mmである。
【0029】
コンデンサ素子は、前記陰極電極箔と陽極電極箔の間にセパレータを挟み積層することで形成するのが好ましい。
【0030】
そして、このコンデンサ素子に3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸させることで、コンデンサ素子の内部にまで3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤が浸透し、その浸透する過程及び浸透後に適宜起こる穏やかな化学重合反応で3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合体、すなわち固体電解質層がコンデンサ素子の内部においてセパレータで保持された状態で形成される。
【0031】
3,4−エチレンジオキシチオフェンは、特開平2−15611号公報等により開示された公知の製法により得ることができる。また、前記の3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合体とは、常温で固体となる程度に重合したポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンである。
【0032】
酸化剤としては、ブタノール溶媒に芳香族スルホン酸の鉄塩であるp−トルエンスルホン酸第二鉄を溶解したものを用いている。この酸化剤における溶媒は、エタノール、ブタノール等のアルコール類など、通常の有機溶媒を用いることができる。
【0033】
3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤をコンデンサ素子に含浸させる方法として、あらかじめ3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤を混合した液にコンデンサ素子を浸漬する方法だけでなく、他の実施の形態として、3,4−エチレンジオキシチオフェンに浸漬したコンデンサ素子を酸化剤に浸漬する方法、及び酸化剤に浸漬したコンデンサ素子を3,4−エチレンジオキシチオフェンに浸漬する方法、さらには、前記浸漬操作をシリンジからの溶液の吐出に置き換える方法が同様に可能である。
【0034】
重合時の温度条件は20〜180℃が好ましい。重合温度が20℃以下では、3,4−エチレンジオキシチオフェンの生成が良好に進行せず、静電容量が低減し等価直列抵抗値が上昇する。また、180℃より高い温度では3,4−エチレンジオキシチオフェンの分解が起こり、静電容量が低減し等価直列抵抗値が上昇する。すなわち、優れた高周波特性が得られない。
【0035】
重合時の加圧条件は30〜1000kg/cm、特に100〜600kg/cmが好ましい。30kg/cm未満の加圧では生成される重合体と電極箔との接合が良好に進行しないため、静電容量が低減し等価直列抵抗値が上昇する。さらに1000kg/cmより高い加圧の場合も、電極箔間のモノマーおよび酸化剤の量が減少するので、生成する重合体の量が減少し、等価直列抵抗値が上昇する。すなわち、優れた高周波特性が得られない。
前記重合条件で、重合反応を30分以上進めることにより固体電解質層が得られる。この重合反応の反応時間は重合反応が完全に終了し得る30分以上が好ましい。
【0036】
重合反応による固体電解質層を形成した後、酸化皮膜の修復、すなわち再化成を行う。この工程は、重合後に残存する酸化剤により空気中から吸湿した水分の存在で、化成電圧を印加することで実施する。この時、高電圧で化成した陽極箔を用いても高い電圧で再化成することができるので、高耐電圧化を図ることができる。
さらに、本発明で得られた固体電解コンデンサの少なくとも片側に支持板を配置することにより、平板のコンデンサの強度を高めることも可能である。なお、支持板を得られた固体電解コンデンサの両側に配置すると強度が向上するので好適である。
【0037】
上記実施の形態によれば、50V以上の高耐電圧性、20μF以上の高静電容量、および5〜1000KHzでの等価直列抵抗が100mΩ以下の優れた高周波特性を有する大型平板の固体電解コンデンサが得られる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明における固体電解コンデンサの製造方法と、その方法によって得られた固体電解コンデンサについて図面を用いて実施例により具体的に説明する。
【0039】
実施例1
図1は、本発明の固体電解コンデンサで、陽極電極箔1及び陰極電極箔2は、縦寸法が30mm、横寸法が40mmのアルミニウム箔である。
【0040】
陽極電極箔1については、その表面に化成処理を施し、表面に酸化アルミニウムからなる酸化皮膜層4を形成した。陰極電極箔2については、その表面に前記陽極電極箔1と同様の化成処理を施した後、陰極アークプラズマ蒸着法にて窒化チタン膜を形成した。前記加工の段階で受けた両極箔の皮膜損傷部分や切断面を修復するために、リン酸アンモニウム水溶液中で修復化成を行うことで、再度酸化皮膜を形成し、酸化皮膜安定のためさらにホウ酸水溶液に浸漬した。
【0041】
前記陰極電極箔2と陽極電極1との間に厚さ100μm、縦寸法が35mm、横寸法が90mmのガラスセパレータ3を挟み積層し、コンデンサ素子10を得た。なお、コンデンサ素子10の陽極電極箔1、陰極電極箔2にはあらかじめそれぞれリード線6、7が電気的に接続されており、コンデンサ素子10の端部から突出させた。
【0042】
以上のような構成からなるコンデンサ素子10に、3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤とを含浸させた。酸化剤は、ブタノールに溶解したp−トルエンスルホン酸第二鉄を用い、これらの混合液を作成した。
【0043】
含浸は、一定量の前記混合溶液を貯溜した含浸槽にコンデンサ素子10を浸漬する方法で実施した。次いで、混合溶液を含浸したコンデンサ素子10を含浸槽から引上げ、400kg/cmの加圧下かつ150℃の加熱下で2時間、重合反応による重合体、すなわち固体電解質層5を生成させた。
【0044】
さらに常温放置することで、重合後に固体電解質層中に残存している酸化剤が空気中の水分を吸湿し、この水分によって陽極酸化皮膜の修復、すなわち再化成が進行した。この工程を経て一連の固体電解質層5の生成工程が終了した。
【0045】
比較例1
実施例1と同じ構成からなるコンデンサ素子を、p-トルエンスルホン酸第二鉄溶液に浸漬した後、ピロールからなるモノマー溶液に浸漬し、常温放置してポリピロールからなる固体電解質層を形成したコンデンサを形成した。
【0046】
試験例
次に、前記実施例1と比較例1の固体電解コンデンサの電気的な特性について比較した。それぞれ各10個の試料を準備し、それぞれの初期の電気的特性を測定し、その平均値を決定した。その結果を表1に示す。なお、表1に示した実施例1と比較例1は、それぞれ定格電圧50V、定格静電容量20μFである。
【0047】
【表1】
Figure 0004513044
【0048】
この結果から明らかなように、実施例1は比較例1と比較して、静電容量において高い値を取り、高容量化が達成された。また、ここで得られた静電容量は箔容量の90%にも達しており、巻回型コンデンサと比較しても高容量化が図られている。さらに、等価直列抵抗値、tanδおよび漏れ電流等において低い値を取り、優れた高周波特性が得られた。
【0049】
この原因は、比較例1に使用しているピロールは、酸化剤と接触した時点で急速に反応が進行して、電極箔の間に良好に重合体が生成されないのに対し、実施例1に使用している3,4−エチレンジオキシチオフェンは重合反応が穏やかであるため、コンデンサ素子の内部にまで十分浸透した後に重合反応が完了するため、緻密で均一な固体電解質層が良好に形成される。さらに本発明では、積層面から圧力を加えた状態で重合反応を進行させるため、酸化皮膜との接合力が加わった状態で重合体が形成されるので、陽極電極箔上の酸化皮膜と固体電解質層との密着性が高まり、これらの相乗作用によってこれまでにない良好な状態の固体電解質が得られることによる。
【0050】
【発明の効果】
本発明で用いられた3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーは、穏やかに重合反応が進行するため、大型平板コンデンサ素子の内部にまで十分該モノマーと酸化剤が浸透した後、重合反応が完了する。この結果、緻密で均一な固体電解質層が良好に形成され、陽極電極箔上の酸化皮膜と固体電解質層との密着性が高まるため、静電容量が増大し等価直列抵抗値が低減する。すなわち、高静電容量でありながら優れた高周波特性を有する固体電解コンデンサが得られる。さらに耐電圧特性においては、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合体自身の特性により、従来の導電性高分子を固体電解質層に用いた固体電解コンデンサとの比較で改善が顕著である。
【0051】
本発明は前記重合反応時、圧力を加えた状態で重合体を生成するため、陽極電極箔上の酸化皮膜層と固体電解質層との密着性が顕著に良好となる。なお、前記圧力を加える方法として、本発明では積層両面から挟み込んで圧力を加える方法をとっている。このため、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して均一に加圧することが可能となった。本方法を用いることで、圧力の強さを最も好ましい条件に任意に設定することが可能となった。その結果、最適の加圧条件を作り出し重合反応を進めることができ、陽極電極箔上の酸化皮膜層と固体電解質層との密着性を高める効率が良い。
【0052】
さらに本発明の構成の素子を積層するという方法を取ることで、静電容量を増やすことが可能であり、所望の静電容量を得ることができる。本発明の固体電解コンデンサは、電極箔およびセパレータの厚さが薄いため、前記積層を繰り返しても薄型を維持することができる。
【0053】
上記方法で得られた本発明の固体電解コンデンサは、近年の回路の高機能化に伴う高容量要求および高耐電圧要求、平板化の要求すなわち薄型、低背化の要求、優れた高周波特性を有することへの要求に対応しており、車載等の用途において、優れた高周波特性でありながら、高耐電圧および高静電容量化が図られており、コンパクトに格納することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるコンデンサの分解斜視図である。
【符号の説明】
1 陽極電極箔
2 陰極電極箔
3 セパレータ
5 固体電解質層
6、7 リード線
10 コンデンサ素子

Claims (5)

  1. 陰極電極箔と表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合して形成した、高耐電圧性、高静電容量、および優れた高周波特性を有することを特徴とする大型平板の固体電解コンデンサ。
  2. 加圧時の圧力が30〜1000kg/cmであることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 50V以上の高耐電圧性、20μF以上の高静電容量、および5〜1000KHzでの等価直列抵抗が100mΩ以下の優れた高周波特性を有することを特徴とする請求項1または2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 陰極電極箔と表面に誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極箔とをセパレータを介して積層し、前記セパレータに3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーと酸化剤とを含浸させ、加圧下で加熱して該モノマーを重合することを特徴とする、請求項1の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 加圧時の圧力が30〜1000kg/cmであることを特徴とする請求項4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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JPH1187178A (ja) * 1997-09-16 1999-03-30 Nippon Chemicon Corp 固体電解コンデンサの製造方法
JP2000058389A (ja) * 1998-08-04 2000-02-25 Sanyo Electric Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法

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