JP2002073280A - 透明タッチパネル用基板及び透明タッチパネル - Google Patents

透明タッチパネル用基板及び透明タッチパネル

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JP2002073280A
JP2002073280A JP2000261205A JP2000261205A JP2002073280A JP 2002073280 A JP2002073280 A JP 2002073280A JP 2000261205 A JP2000261205 A JP 2000261205A JP 2000261205 A JP2000261205 A JP 2000261205A JP 2002073280 A JP2002073280 A JP 2002073280A
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substrate
transparent
conductive film
transparent touch
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JP2000261205A
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Toshiaki Anzaki
利明 安崎
Eiji Kusano
英二 草野
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い透過率で、省電力型のタッチパネルとし
得る適度な表面抵抗値、比抵抗の耐熱安定性を併せ有す
る透明タッチパネル用基板とこの透明タッチパネル用基
板を用いた透明タッチパネルを提供する。 【解決手段】 透明基板3の板面に、金属として錫とニ
オブ又はタンタルとを含む金属酸化物透明導電膜2が形
成されている透明タッチパネル用基板1。この透明タッ
チパネル用基板において、透明基板としてガラス板3を
用いた透明タッチパネル用基板1を備える抵抗膜方式透
明タッチパネル7。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明タッチパネル
用基板及びそれを用いた透明タッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】抵抗膜方式透明タッチパネルは、一般
に、ディスプレイ側に透明電極を設けたガラス板を設
け、タッチ側に同様に透明電極を設けたフレキシブルな
透明樹脂フィルムを設けて、両電極面を絶縁スペーサを
介して対向配置して作られた一種のフラットパネルデバ
イスであり、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等
と組み合わされて広く使用されている。
【0003】このような抵抗膜方式透明タッチパネルに
あっては、光透過率が高く、視認性に優れること、透明
電極が適度な中程度の表面抵抗値を有すること、即ち、
スイッチ動作時に確実に電気的導通を確保し得るに十分
な低い抵抗値であり、かつ過度に大きな電流が流れず省
電力を図ることができるに十分な高い抵抗値であるこ
と、更には、スイッチパネル組立時の熱処理工程で付加
される熱に対して抵抗値が大きく変化せず安定している
ことが要求される。
【0004】従来、透明タッチパネルの透明基板に形成
される透明電極としては、液晶ディスプレイの透明電極
に用いられる酸化錫を3〜10重量%含有する酸化イン
ジウム(以下「ITO」と略する)が、透明で電極加工
がし易いことから広く用いられている。また、酸化錫の
透明導電膜も透明性が良いことから、透明タッチパネル
の透明電極として用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】液晶ディスプレイ用の
ITO透明導電膜は、その電気抵抗率(比抵抗)ができ
るだけ小さくなるようにその膜の組成が設計されてい
る。このため透明導電膜は、透明タッチパネルの電極と
しては、抵抗が低すぎ(小さすぎ)、中程度の適度な表
面抵抗を必要とする透明タッチパネル用の透明導電膜と
しては不適当であった。
【0006】従来、ITO透明導電膜の表面抵抗を中程
度にするために、膜の厚みを薄くすることが試みられて
きた。しかしながら、必要とする中程度の表面抵抗を得
るためには、その厚みを10nm程度あるいはそれ以下
にする必要があり、このように薄い膜厚の透明導電膜で
は、成膜工程の変動や製造プロセス中の熱履歴などによ
る変化により、所望の抵抗値を再現性良く得ることが困
難である。
【0007】また、この厚みのITO透明導電膜を設け
た透明基板の透過率は、ITO膜の屈折率(550nm
の波長で約2.0)から、図4に示すように厚みに大き
く依存し、所望の高透過率を安定して得にくく、また透
過率が透明導電膜が形成されていない透明基板と大きく
異なり、透明電極のある部分が容易に視認できてしまう
という、商品としての美観の不具合がある。
【0008】このような問題を回避、克服するために、
ITO膜の光学膜厚(屈折率nと実膜厚dの積nd)を
可視光線領域の中央部分の波長である550nmの半波
長(1/2)λ(λ=550nm)となる膜厚である1
38nm付近にすると、高透過率となることが知られて
いる(図4参照)。しかしながら、ITO膜の比抵抗が
適切でないために、高い透過率が得られる光学膜厚が半
波長の厚みでは、抵抗値が低くなりすぎ、その結果、透
明タッチパネルのON状態で流れる電流が大きくなり消
費電力が増大してしまうという問題があった。
【0009】一方、酸化錫を透明電極に用いる場合は、
通常、フッ素(F)や塩素(Cl)をドープすることに
よって導電性を発現させる。このようにして得られる導
電性酸化錫膜の比抵抗はITOに比較して大きいため、
タッチパネルの透明電極に要求される中程度の表面抵抗
が得られやすい。しかしながら、酸化錫は、タッチパネ
ル組立工程において熱処理などを経ると、望ましい抵抗
値の範囲から抵抗値が増大する傾向があるため、とりわ
け微細なタッチスイッチ機能が要求されるタッチパネル
においては、その特性の再現性を確保するのが難しいと
いう問題があった。更に、フッ素や塩素をドープした酸
化錫膜を厚さ1.1mmのガラス板に形成した基板の透
過率は、高々85〜90%であり、タッチパネル用基板
としては、実用上、制限があった。
【0010】本発明は、上記従来の問題点を解決し、 1)高い透過率 2)スイッチ動作時に電気的導通を確実に得ることがで
き、しかも、省電力型のタッチパネルとし得る適度な表
面抵抗値 3)比抵抗の耐熱安定性 を併せ有する透明タッチパネル用基板とこの透明タッチ
パネル用基板を用いた透明タッチパネルを提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の透明タッチパネ
ル用基板は、透明基板の板面に、金属として錫と、ニオ
ブ又はタンタルとを含む金属酸化物透明導電膜が形成さ
れていることを特徴とする。
【0012】酸化錫は、膜の耐磨耗性の向上、耐アルカ
リ性などの耐薬品性の向上に有効であるが、酸化錫のみ
からなる膜は、その結晶中に電子伝導に関与し得る電子
又は正孔を有しないので、実質的に導電膜としての機能
が発現しない。本発明は、酸化錫の結晶に不純物として
の酸化ニオブ又は酸化タンタルを添加することにより、
比抵抗を調整し、適度な導電性を発現させるものであ
る。即ち、結晶中に4価の状態で配位している錫のサイ
トに5価のニオブ又はタンタルを置換させることによ
り、余剰電子が生成し、これがキャリアとなって導電性
を発現するようになる。
【0013】本発明では、このように、導電性を発現さ
せるためのキャリアが結晶中に生成した余剰電子である
ため、タッチパネル製造工程における加熱過程を通過し
ても、透明導電膜の比抵抗の変化を小さく抑えることが
できる。これに対して、結晶中の酸素欠陥(正孔として
挙動する)をキャリアとした導電膜の場合は、酸素雰囲
気下での加熱により酸素欠陥が壊れることにより比抵抗
が大きく変化する。
【0014】本発明に係る透明導電膜は、550nmの
波長における屈折率がいずれも大略2.0である酸化錫
と酸化ニオブ又は酸化タンタルとの混合物の膜で構成さ
れている。従って、この金属酸化物透明導電膜の550
nnmの波長における屈折率は約2.0である。
【0015】550nmにおける屈折率が約1.5であ
るガラス板の一方の板面に、このような屈折率約2.0
の透明導電膜が被覆形成された基板(透明導電膜とガラ
ス板の両者)を透過する光の透過率は、図4に示される
ように膜の厚みにより変化する。
【0016】図4から明らかなように、この透明導電膜
の光学膜厚を設計波長λの大略半波長の整数倍とするよ
うに選択すれば、透過率は約90%と高くなるため、タ
ッチパネルの表示が暗くなることがない。例えば、透明
導電膜の厚みを110〜150nm、245〜285n
m、もしくは380〜420nmの範囲とすることによ
り、透明導電膜とガラス板を透過する光透過率は、ガラ
ス板のみの透過率(90%)により近づけることができ
る。
【0017】一方で、本発明に係る金属酸化物透明導電
膜の比抵抗は9.0×10−3〜4.0×10−1Ω・
cmの範囲で極めて高範囲に制御することができる。こ
のため、透明導電膜の表面抵抗値と膜厚との組み合わせ
を広い範囲で選択することができ、タッチパネル用基板
として好適に用いられる表面抵抗値と高い透過率とをあ
わせ有する基板を容易に設計することができる。
【0018】本発明に係る金属酸化物透明導電膜は、ニ
オブ又はタンタルが全金属に対して0.2〜7.0原子
%の範囲で含有されていることが好ましい。
【0019】ニオブ又はタンタルが全金属に対して7原
子%を超えると、膜の比抵抗が大きくなるので好ましく
ない。即ち、これらの添加物が錫に置換できる適正な濃
度を超え、結晶構造を乱すことから、キャリアの移動度
が小さくなり、良好な導電性膜とならない。なお、移動
度とは物質内のあるサイトから次のサイトへのキャリア
の移動のしやすさ、つまり、軌道の広がりもしくは軌道
間の重なりや相互作用の大きさをいう。
【0020】一方、ニオブ又はタンタルの全金属に対す
る割合が0.2原子%未満であると、膜の比抵抗を望ま
しい領域まで低くできないため好ましくない。即ち、こ
れらの添加物が錫に置換することにより生成する電子数
が少なくなり、キャリア密度が小さくなり、良好な導電
性膜とならない。なお、キャリア密度とは、物質内で電
子伝導に関与しうる電子又は正孔の単位体積当りの個数
をいう。
【0021】本発明では、ニオブ又はタンタルの全金属
に対する割合を0.2〜7.0原子%として、その膜厚
を前述の如く、調整することにより、透明導電膜の表面
抵抗を200〜10000Ωとすることが好ましい。透
明導電膜の表面抵抗が200Ω未満であると、2枚の透
明基板を透明導電膜側が対面するように配置されるよう
にしてタッチパネルを構成すると、対向する透明導電膜
が接触(ON時)するときに流れる電流が大きくなり、
消費電流が大きくなるので好ましくない。また、透明導
電膜の表面抵抗が10000Ωを超えると、接触時の電
気導通が不安定になるので好ましくない。
【0022】ニオブ又はタンタルの全金属に対する割合
を、0.2〜7.0原子%とすると共に、膜厚を調整す
ることにより、透明導電膜の表面抵抗を200〜100
00Ωとして、ガラス板の透過率と同レベルのあるいは
ガラス板よりも高い透過率を有するとともに、省電力で
ありかつON−OFFのスイッチング動作が確実に行え
る透明導電膜とすることができる。
【0023】本発明の透明タッチパネル用基板は、透明
基板としてガラス板を用いることにより、高透明の基板
とすることができる。
【0024】本発明の透明タッチパネルは、このように
透明基板としてガラス板を用いた透明タッチパネル用基
板を備えるものであり、透明電極部分の透過率が高いの
で表示品質がよい。しかも、透明電極の表面抵抗を所定
の値に制御することにより、省電力にてスイッチング動
作を確実に行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明の透明タッチパネル用基板
の実施の形態を示す断面図である。
【0027】この透明タッチパネル用基板1は、透明基
板としてのガラス板3の一方の板面に金属酸化物透明導
電膜2が被覆形成されている。
【0028】透明基板としては、ガラス板3や樹脂板
(樹脂フィルム)を用いることができる。ガラス板のガ
ラス組成としては特に制限はなく、窓ガラスと同じ組成
のソーダライムシリカ組成のフロートガラス(屈折率
1.52)や硼珪酸ガラスなどが用いられる。ガラス中
にソーダ成分を多量に含む場合は、金属酸化物透明導電
膜2形成面に二酸化珪素などのアルカリ溶出防止膜を下
地膜として設けてもよい。樹脂板としてはアクリル、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ
エチレンなどの樹脂板を用いることができる。一般にガ
ラス板としては厚さ0.7〜1.8mm程度のものが用
いられ、樹脂板としては厚さ1.0〜2.5mm程度の
ものが用いられる。
【0029】金属酸化物透明導電膜2は、[酸化錫−酸
化ニオブ]系又は[酸化錫−酸化タンタル]系という二成
分系の導電膜である。酸化ニオブ又は酸化タンタルは膜
の比抵抗を調整する成分であり、酸化錫は、膜の耐磨耗
性を向上させ、また耐アルカリ性などの耐薬品性を向上
させる成分である。
【0030】本発明において、金属酸化物透明導電膜2
のニオブ又はタンタルの含有割合は、全金属に対して
0.2〜7.0原子%の範囲とするのが好ましい。この
割合が0.2原子%未満であっても7.0原子%を超え
ても膜の比抵抗が大きくなり、透明導電膜として好まし
くない。より好ましいニオブ又はタンタルの含有割合は
全金属に対して1〜6原子%、特に2〜5原子%であ
る。
【0031】本発明の透明タッチパネル用基板において
は、金属酸化物透明導電膜中のニオブ又はタンタルの含
有割合を上記範囲とすることにより、金属酸化物透明導
電膜の比抵抗を9.0×10−3〜4.0×10−1Ω
・cmの広範囲で制御することにより、透明導電膜の表
面抵抗値と膜厚との組み合わせを広い範囲で選択して、
タッチパネル用基板として好適に用いられる中程度の表
面抵抗値と高い透過率を共に実現することができる。
【0032】本発明において、金属酸化物透明導電膜の
表面抵抗値は200〜10000Ωとするのが好まし
い。透明導電膜の表面抵抗値が200Ω未満であると、
タッチパネルを構成した際スイッチ(ON時)動作時に
流れる電流が大きくなり、消費電流が大きくなるので好
ましくない。また、透明導電膜の表面抵抗値が1000
0Ωを超えると、接触時の電気的導通が不安定になり、
ON−OFFのスイッチング動作を確実に行うことがで
きず好ましくない。より好ましい透明導電膜の表面抵抗
値は500〜5000Ωである。
【0033】また、金属酸化物透明導電膜2の膜厚は、
前述の如く、この透明導電膜の光学膜厚を設計波長λの
大略半波長の整数倍とするように選択して、透過率約9
0%或いはそれ以上の高い透過率を確保するのが好まし
く、例えば、透明導電膜の厚みを110〜150nm、
245〜285nm、もしくは380〜420nmの範
囲とすることにより、透明導電膜とガラス板を透過する
光透過率を、ガラス板のみの透過率(90%)に近づけ
るようにするのが好ましい。
【0034】このような本発明の金属酸化物透明導電膜
2は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの公知
の方法で基板表面に被覆形成することができる。なかで
も、スパッタリング法は基板を高温に加熱する必要がな
く、樹脂板にも被膜形成することができる点で好まし
い。スパッタリングで被覆する場合は、酸化錫と酸化ニ
オブ、又は酸化錫と酸化タンタルとの微粉末を焼結した
混合酸化物をターゲットとし、ターゲットの若干の導通
性を利用して直流グロー放電によるスパッタリングで被
覆することができる。
【0035】透明タッチパネル用基板は、タッチパネル
製造工程内の加熱過程により、その表面抵抗が大きく変
化しないものであることが望ましいが、本発明の透明タ
ッチパネル用基板であれば、前述したように加熱による
抵抗値の変化を小さく抑えることができる。
【0036】しかし、より安定性、再現性のよい透明導
電膜を得ようとする場合には、加熱による抵抗値変化を
小さくするために、加熱を受ける工程に移る前に予め透
明タッチパネル用基板を酸素雰囲気下でアニールしても
よく、あるいは、タッチパネル製造工程内の加熱過程に
よる抵抗変化を予め見込んだ初期表面抵抗を設定しても
よい。アニールを行う場合、アニール温度は200〜4
00℃程度が好ましい。
【0037】図2は、本発明の透明タッチパネルの実施
の形態を示す断面図である。この透明タッチパネル7
は、本発明の透明タッチパネル用基板1と、透明導電膜
4を形成した樹脂板5とを、本発明にかかる金属酸化物
透明導電膜2と透明導電膜4とが対向するように配置
し、樹脂板5と本発明の透明タッチパネル用基板1との
間をガラススペーサ6により約10μmの間隔で固定し
たものである。
【0038】図3は、この透明タッチパネル7の動作状
態を説明する断面図であり、矢印の方向に指で押圧する
ことにより樹脂板5が変形し、樹脂板5に形成された透
明導電膜(透明電極)4とガラス板3に形成された透明
導電膜(透明電極)2が接触してON状態になり、両電
極4,2間に電流が流れる。指を樹脂板5から離すこと
により、樹脂板5の形状は初期の位置に戻り、OFF状
態になる。
【0039】このような本発明の透明タッチパネルは、
透明電極2の組成を酸化錫と、酸化ニオブ又は酸化タン
タルとの2成分系とし、表面抵抗値を200〜1000
0Ω、好ましくは500〜5000Ωとすることによ
り、ON状態の電流を小さくすることができ、かつON
時の電気的接触を確実にすることができる。また、この
抵抗範囲を確保しながら、透過率を高くすることができ
るので表示品位に優れる。
【0040】なお、本発明において、透明導電膜を構成
する金属酸化物は、酸化錫と、酸化ニオブ又は酸化タン
タルとの2成分系に限らず、本発明の目的を達成する範
囲内で、酸化錫、酸化ニオブ、酸化タンタル以外の金属
酸化物を含んでいてもよい。
【0041】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0042】なお、以下の実施例及び比較例において
は、透明基板として、ソーダライムシリカ組成のフロー
トガラス板(厚み1.1mm、ガラス板のみの波長55
0nmでの透過率は90%)を用いた。また、この透明
基板への透明導電膜の形成は直流スパッタリング法によ
り下記の条件で行った。
【0043】[スパッタリング条件] 被覆時のガラス板の加熱温度:200〜300℃。 スパッタリングターゲット:表1に示す酸化錫と酸化ニ
オブ、或いは酸化錫と酸化タンタルの混合粉末をコール
ドプレス法で焼結成型したもの。 スパッタリング時の圧力:0.65Pa スパッタリング時の雰囲気:アルゴンと酸素との混合ガ
ス(酸素の割合は0.3又は1.0体積%)
【0044】また、製造した透明タッチパネル用基板の
特性評価は次の方法で行った。この評価はタッチパネル
製造工程内の加熱過程の影響を想定して、アニール後の
被膜の特性についても評価を行い、透明タッチパネル用
基板としての評価は、より実使用条件に近いこのアニー
ル後の特性をもって判定した。アニール条件は以下に示
す通りとした。
【0045】[評価方法] 1)表面抵抗 表面抵抗(シート抵抗)値は、四端針法を用いて測定し
た。比抵抗は触針式表面段差計で測定した膜の厚みと表
面抵抗値から計算により算出した。抵抗膜方式タッチパ
ネル用の基板として、表面抵抗を次の基準で評価した。 ◎:500Ω以上5000Ω以下(省電力効果を有し、
かつスイッチ動作が確実に行える) ○:200Ω以上500Ω以下(省電力効果が低下する
が、スイッチ動作が確実に行える) ○:5000Ωを超え10000Ω以下(省電力効果を
有するが、スイッチ動作の確実性が低下する) ×:10000Ωを超える(スイッチ動作が確実に行え
ない) 2)透過率 550nmの波長における透過率は、市販の分光光度計
で測定した。得られる抵抗膜方式タッチパネルの表示品
質と透過率との関係から次の基準で評価した。 ◎:ガラス板の透過率より大きくなった(増透過率効果
があった) ○:ガラス板の透過率と大略同程度であった。 ×:透過率がガラス板より低下した。 3)総合評価 上記特性より下記の基準で評価した。 ◎:実用上極めて良好な特性を示す ○:実用上良好な特性を示す ×:実用不可
【0046】[アニール条件] 雰囲気:大気圧空気 加熱温度,時間;400℃で30分、又は300℃で3
0分
【0047】実施例1 酸化錫(SnO)及び酸化ニオブ(Nb)の粉
末試薬を用いて、表1に記載の組成となるように乳鉢を
用いて混合し、コールドプレス法にて焼結してスパッタ
リングターゲットとした。この焼結ターゲットを用いて
直流マグネトロンスパッタ法により、基板温度200
℃、酸素流量0.3体積%で、ガラス板上に、膜厚40
5nmの透明導電膜を形成した。得られた透明タッチパ
ネル用基板は、表1に示す如く、表面抵抗が初期:44
00Ω、アニール(400℃)後:430Ωであり、透
過率が95.3%という、所望の抵抗値よりやや低い抵
抗値で省電力効果が小さいながら、高透過な基板であっ
た。総合評価:○(実用可)
【0048】実施例2 表1に示す組成のターゲットを用いたこと以外は実施例
1と同様にして、膜厚405nmの透明導電膜をガラス
板上に形成した。得られた透明タッチパネル用基板は、
表1に示す如く、表面抵抗が初期:6540Ω、アニー
ル(400℃)後:220Ωであり、また透過率は9
0.4%であった。透明タッチパネル用基板として省電
力効果が不十分ながら、スイッチ動作が確実に行え、ま
た透過率の値はガラス板と大略同程度の高透過な基板で
あった。総合評価:○(実用可)
【0049】実施例3 表1に示す組成のターゲットを用いて、スパッタリング
時の基板温度200℃、酸素流量1.0体積%で、ガラ
ス板上に膜厚135nmの透過導電膜を形成した。得ら
れた透明タッチパネル用基板は、表1に示す如く、表面
抵抗が初期:3130Ω、アニール(400℃)後:1
620Ωであり、透過率は90.0%であった。この基
板は、省電力効果を有し、かつスイッチ動作も確実に行
われるものであり、透過率はガラス板と大略同程度の高
透過な基板であった。総合評価:○(実用可)
【0050】実施例4 表1に示す組成のターゲットを用いて、基板温度300
℃、酸素流量0.3体積%で、ガラス板上に膜厚135
nmの透明導電膜を形成した。得られた透明タッチパネ
ル用基板は、表1に示す如く、表面抵抗が初期:227
0Ω、アニール(300℃)後:2170Ωであり、透
過率は95.9%であった。この基板は、省電力効果を
有し、かつスイッチ動作が確実に行われるものであり、
さらに透過率がガラス板の透過率より大きく、増透過率
効果をも併せ持つもので、特に好ましい特性を有する基
板であった。総合評価:◎(実用可)
【0051】実施例5 表1に示す組成のターゲットを用いたこと以外は実施例
4と同様にして、膜厚270nmの透明導電膜をガラス
板上に形成した。得られた透明タッチパネル用基板は、
表1に示す如く、表面抵抗が初期:3780Ω、アニー
ル(300℃)後:4000Ωであり、透過率は96.
0%であった。この基板も実施例4と同じく、省電力効
果を有し、かつスイッチ動作が確実に行われるものであ
り、さらに透過率がガラス板の透過率より大きく、増透
過率効果をも併せ持つもので、特に好ましい特性を有す
る基板であった。総合評価:◎(実用可)
【0052】実施例6 表1に示す組成のターゲットを用いたこと以外は実施例
4と同様にして、膜厚405nmの透明導電膜をガラス
板上に形成した。得られた透明タッチパネル用基板は、
表1に示す如く、表面抵抗が初期:9190Ω、アニー
ル(300℃)後:9390Ωであり、透過率は96.
0%であった。この基板は、表面抵抗は、上記望ましい
抵抗範囲より大きいが、実用上透明電極の接触により電
気的導通が確保できるものであり、省電力効果を有する
が、スイッチ動作の確実性がやや低下するものであっ
た。ただし、透過率は極めて高く、増透過率効果が認め
られた。総合評価:○(実用可)
【0053】実施例7 酸化錫(SnO)、酸化タンタル(Ta)の粉
末試薬を用いて、表1の組成となるように乳鉢を用いて
混合し、コールドプレス法にて焼結し、スパッタリング
ターゲットとした。この焼結ターゲットを用いて直流マ
グネトロンスパッタ法により、基板温度300℃、酸素
流量0.4体積%で、ガラス板上に、膜厚270nmの
透明導電膜を形成した。得られた透明タッチパネル用基
板は、表1に示す如く、表面抵抗が初期:4260Ω、
アニール(300℃)後:3890Ωであり、透過率は
94.0%であった。この基板は酸化ニオブを用いた実
施例5と同じく、省電力効果を有し、かつスイッチ動作
が確実に行われるものであり、さらに透過率がガラス板
の透過率より大きく、増透過率効果をも併せ持つもので
あった。総合評価:◎(実用可)
【0054】比較例1 ニオブの添加量を0.1原子%と少なくしたこと以外は
実施例4と同様の方法で、ガラス板上に、膜厚405n
mの透明導電膜を形成した。得られた透明タッチパネル
用基板は、表1に示す如く、表面抵抗は初期、アニール
後ともに10kΩ以上となり、実質的に導電膜は形成で
きなかった。透過率は95.1%となり、増透過率効果
が認められた。総合評価:×(実用不可)
【0055】比較例2 ニオブの添加量を8.0原子%と多くしたこと以外は実
施例4と同様の方法で、ガラス板上に、膜厚405nm
の透明導電膜を形成した。得られた透明タッチパネル用
基板は、表1に示す如く、表面抵抗は初期、アニール後
ともに10kΩ以上となり、実質的に導電膜は形成でき
なかった。透過率は95.1%となり、増透過率効果が
認められた。総合評価:×(実用不可)
【0056】
【表1】
【0057】以上の実施例及び比較例から明らかなよう
に、金属として錫とニオブまたはタンタルとを含有する
金属酸化物透明導電膜は、透明タッチパネル用基板とし
て好適な広範囲の比抵抗を有しており、その結果、高い
透過率と中程度の大きさの表面抵抗を兼備するものとす
ることができる。従って、このような本発明の基板を用
いた抵抗膜方式タッチパネル(タッチスイッチ)は、表
示品位がよく、加えてスイッチ動作が確実であり、かつ
省電力タイプのタッチパネルとすることが可能である。
【0058】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の透明タッチ
パネル用基板は、タッチパネルとして良好な比抵抗領域
を有し、かつ高い透過率と優れた耐熱性を有している。
このため、表示品位が良好な高特性透明タッチパネルを
製作することができる。
【0059】特に、本発明では、錫とニオブ、或いは錫
とタンタルの2成分について透明導電膜中の比率を所定
範囲にすることにより、透明導電膜の表面抵抗を中程度
の適度な抵抗値にすることができる。これにより抵抗膜
方式透明タッチパネルを、オン動作時に流れる電流量が
小さい省電力型とすると共に、そのON−OFFスイッ
チング動作を確実かつ安定なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明タッチパネル用基板の実施の形態
を示す断面図である。
【図2】本発明の透明タッチパネルの実施の形態を示す
要部の断面図である。
【図3】本発明の透明タッチパネルのスイッチON動作
状態を説明する断面図である。
【図4】透明導電膜の550nmの波長の光の透過率と
膜厚との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 透明タッチパネル用基板 2 金属酸化物透明導電膜 3 ガラス板 4 透明導電膜 5 樹脂板 6 スペーサ 7 透明タッチパネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23C 14/08 C23C 14/08 K Fターム(参考) 4F100 AA17B AA28B AG00A AR00A BA02 EH66 GB41 JG01B JG04B JJ03 JN01 JN01A JN01B YY00B 4K029 AA09 BA50 BC03 BC09 BD00 CA06 DC05 DC09 5B087 AA03 CC12 CC14 CC36 5G006 AA07 BB07 CD06 FB14 FB30 FD02 HB02 JA01 JB05 JB07 JC01 JD01 JE03 JF02 5G046 AA02 AA04 AB02 AC22 AC33 AC37 AE09 AE13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板の板面に、金属として錫と、ニ
    オブ又はタンタルとを含む金属酸化物透明導電膜が形成
    されていることを特徴とする透明タッチパネル用基板。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物透明導電膜の比抵抗が
    9.0×10−3〜4.0×10−1Ω・cmであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の透明タッチパネル用基
    板。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物透明導電膜は、ニオブ又
    はタンタルが全金属に対して0.2〜7.0原子%の範
    囲で含有されていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の透明タッチパネル用基板。
  4. 【請求項4】 前記透明基板がガラス板であることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透明
    タッチパネル用基板。
  5. 【請求項5】 抵抗膜方式透明タッチパネルにおいて、
    請求項4に記載の透明タッチパネル用基板を備えること
    を特徴とする透明タッチパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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