JPH09161542A - 透明導電積層体およびこれを用いたタッチパネル - Google Patents
透明導電積層体およびこれを用いたタッチパネルInfo
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Abstract
層体を再現性よく得、また、入力精度の高いタッチパネ
ルを再現性よく得る。 【解決手段】 インジウムInと、錫Snと、チタンT
i,イリジウムIr,イットリウムY,クロムCr,亜
鉛Zn,ジルコニウムZr,ハフニウムHf,タンタル
Ta,コバルトCo,ビスマスBiおよびマンガンMn
からなる群より選択された少なくとも1種の金属元素
と、酸素Oとを構成元素とし、前記金属元素の総量の原
子比(全金属原子)/(In+Sn+全金属原子)が
2.2〜40at%である酸化物膜からなり、膜厚および
比抵抗が添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点
とする四角形の範囲内にある透明導電膜を電気絶縁性の
透明基材上に形成して透明導電積層体を得る。また、タ
ッチパネルを構成している2枚の透明電極基板の少なく
とも一方として、上記の透明導電積層体を用いる。
Description
よびこれを用いたタッチパネルに関する。
プロセッサ,電子手帳等のコンピュータ本体(主記憶装
置)へのデータ入力を行うための入力装置の1つとし
て、入力面に指やペン等によって単に荷重を加えるだけ
でデータ入力を行うことができるタッチパネル(タッチ
スクリーンを含む。以下同じ。)が多用されるようにな
ってきた。このタッチパネルには種々の原理のものがあ
るが、その1つとして、抵抗膜方式のものがある。抵抗
膜方式のタッチパネルはアナログ型とデジタル型とに大
別されるが、入力位置の検出感度の向上に伴い、最近で
はアナログ型が採用されつつある。
とこの透明基材上に平膜状に形成された透明電極膜(抵
抗膜)とを備えた透明電極基板が2枚、前記の透明電極
膜同士が対向するようにしてスペーサ等によって所定間
隔に保たれつつ配置されており、2枚の透明電極基板の
うちの一方が入力面側に位置している。そして、入力面
側に位置している透明電極基板の外部から当該透明電極
基板に荷重が加えたときに透明電極膜同士が導通するよ
うに、これらの透明電極膜の各々は、当該透明電極膜の
所定の位置に設けられた電極端子やリード線(取出し電
極)を介して所定の駆動回路と電気的に接続されてい
る。また、透明電極膜の各々は、比較回路,マイクロプ
ロセッサー,アナログ/デジタル変換器等を用いた座標
検出手段とも電気的に接続されている。
は、入力面側に位置している透明電極基板の外部から荷
重が加えられて透明電極膜同士が導通したときに、一方
の透明電極膜における所定の端部から前記の導通が生じ
た箇所を経て他方の透明電極膜における所定の端部へ電
流が流れるように回路が組まれている。そして、この回
路における電気抵抗値は、前記の導通が生じた箇所、す
なわち前記の荷重が加えられた箇所の位置座標に応じて
変化することから、この電気抵抗値の変化に基づいて、
前記の荷重が加えられた箇所の位置座標が座標検出手段
によって検出される。このため、アナログ型のタッチパ
ネルに使用される透明電極膜については、デジタル型の
タッチパネルに使用される透明電極膜よりも高電気抵抗
で、かつ、表面抵抗の均一性に優れていることが要求さ
れる。
にアナログ型のタッチパネルについては、近年、入力精
度の高精度化に対する要望が高まっており、当該要望を
満たすためには、表面抵抗が概ね800Ω/□以上であ
る透明電極膜を用いることが望まれている。
によって形成されたITO膜が多用されているが、当該
ITO膜は比抵抗が通常5×10-4Ω・cm未満の透明
導電膜となる。したがって、ITO膜を透明電極膜とし
て用いて入力精度が向上したアナログ型のタッチパネル
を得るためには、ITO膜の膜厚を6nm程度と非常に
薄くする必要がある。しかしながら、このように極めて
薄い薄膜は、島状構造の域を脱していない(『薄膜の基
本技術』(東京大学出版会)第90〜91頁参照)た
め、実用に耐え得るものではない。このため、特にアナ
ログ型のタッチパネルの透明電極膜については、ITO
膜に代わる新たな高電気抵抗膜の開発が望まれている。
酸化インジウムに酸化錫と共に酸化ケイ素および/また
は酸化アルミニウムを所定量ドープした透明導電膜が知
られている(特開平4−206403号公報参照)。
ている透明導電膜は、表面抵抗、光透過性および耐環境
性の点で、アナログ型のタッチパネルの透明電極膜とし
て好適なものである。しかしながらこの透明導電膜で
は、酸化インジウムに酸化錫と共にドープされている酸
化ケイ素および/または酸化アルミニウムの混合濃度の
僅かな違いが、得られる透明導電膜の比抵抗のバラツキ
に大きく反映され、結果として、所望の電気的特性を有
する透明導電膜を再現性よく得ることが困難である。
を有するものを再現性よく得ることができる透明導電積
層体を提供することにある。
精度を有するものを再現性よく得ることができるタッチ
パネルを提供することにある。
実状に鑑みて鋭意研究を行った結果、インジウム(I
n)、錫(Sn)および酸素(O)の他に特定の金属元
素を構成元素とする酸化物を用いることにより、所望の
電気的特性を有する透明導電膜が再現性よく得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
明の透明導電積層体は、電気絶縁性の透明基材と、この
透明基材上に形成された透明導電膜とを有し、前記透明
導電膜が、インジウム(In)と、錫(Sn)と、チタ
ン(Ti),イリジウム(Ir),イットリウム
(Y),クロム(Cr),亜鉛(Zn),ジルコニウム
(Zr),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),コ
バルト(Co),ビスマス(Bi)およびマンガン(M
n)からなる群より選択された少なくとも1種の金属元
素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素の総
量の原子比(全金属原子)/(In+Sn+全金属原
子)が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、当該
透明導電膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示
す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にある
ことを特徴とするものである。
タッチパネルは、所定のパターンに形成された透明電極
膜を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明
電極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で
配置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部
から当該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電
極膜同士が導通するタッチパネルであり、前記2枚の透
明電極基板の少なくとも一方が、上述した本発明の透明
導電積層体からなることを特徴とするものである。
て詳細に説明する。まず本発明の透明導電積層体に説明
すると、この透明導電積層体は、上述したように、電気
絶縁性の透明基材と、この透明基材上に形成された透明
導電膜とを有しており、前記の透明導電膜は、特定の酸
化物膜からなる。
材は、可視光の透過率が概ね70%以上である電気絶縁
性の基材であればよく、その具体例としてはポリカーボ
ネート樹脂,ポリアリレート樹脂,ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル樹脂,ポリエーテルスルホン
樹脂,アモルファスポリオレフィン樹脂,ポリスチレン
樹脂,アクリル樹脂等の透明高分子材料や、ソーダ石灰
ガラス,鉛ガラス,硼硅酸ガラス,無アルカリガラス等
のガラスからなるフィルム状物、シート状物および板状
物が挙げられる。これらの中でも、可撓性およびコスト
の点からポリエチレンテレフタレートからなるものが好
ましい。
要に応じてガスバリア層、ハードコート層、反射防止層
等を設けてもよい。ガスバリア層の具体例としては、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアルコ
ール,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニリデン,ポ
リフッ化ビニリデン等からなるものが挙げられる。ま
た、ハードコート層の具体例としては、チタン系やシリ
カ系のハードコート剤、ポリメチルメタクリレート,ポ
リフォスファゼン等の高分子材料等からなるものが挙げ
られる。そして、反射防止層の具体例としては、フッ素
系アクリルポリマー等の低屈折率ポリマー、MgF2 や
CaF2 等の無機フッ化物、TiO2 ,SiO2 ,Zn
O,Bi2O3 ,Al2O3 等の無機酸化物、およびこれ
らの積層体からなるもの等が挙げられる。
導電膜は、前述したように、インジウム(In)と、錫
(Sn)と、チタン(Ti),イリジウム(Ir),イ
ットリウム(Y),クロム(Cr),亜鉛(Zn),ジ
ルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),タンタル
(Ta),コバルト(Co),ビスマス(Bi)および
マンガン(Mn)からなる群より選択された少なくとも
1種の金属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記
金属元素の総量の原子比(全金属原子)/(In+Sn
+全金属原子)が2.2〜40at%である酸化物膜から
なる。そして、この透明導電膜の膜厚および比抵抗は、
添付図面の図1に示す点A,B,C,Dを頂点とする四
角形の範囲内(境界線上を含む。)にある。なお、図1
中の線分ABは表面抵抗が10kΩ/□である酸化物膜
についての膜厚と比抵抗との関係を示しており、線分C
Dは表面抵抗が800Ω/□である酸化物膜についての
膜厚と比抵抗との関係を示している。
の製造過程での不可避的な混入物を除き、上記の構成元
素のみからなる。この酸化物膜(透明導電膜)は、(1)
非晶質、(2) インジウム酸化物、錫酸化物および上記の
群より選択された金属元素の酸化物との混合物(混晶を
除く結晶質。)、(3) インジウム酸化物、錫酸化物およ
び上記の群より選択された金属元素の酸化物との混晶、
(4) 上記(3) の混晶と、上記の群より選択された金属元
素の酸化物との混合物、のいずれからなるものでもよ
い。
視光の透過率が概ね85%以上であるので、その膜厚を
200nm以下にすることにより、透明導電膜として好
適に使用することが可能になる。この酸化物膜の膜厚が
200nmを超えると可視域での光吸収が大きくなり、
光透過率の低下が避けられない。そのため、このような
酸化物膜を例えばタッチパネルの電極膜として利用した
場合には、当該タッチパネルの入力面が暗く見づらくな
る。一方、当該酸化物膜の膜厚が12nm未満では、実
用に耐え得る導電膜を形成することが困難になる。した
がって本発明では、図1に示すように、上述した酸化物
膜からなる透明電極膜の膜厚を12〜200nmとす
る。上記の酸化物膜の膜厚は、アナログ型のタッチパネ
ルの透明電極膜として使用する場合には12〜50nm
とすることが特に好ましい。
の群より選択された金属元素の総量の原子比(全金属原
子)/(In+Sn+全金属原子)を、2.2〜40at
%に限定する。ここで、上記の群より選択された金属元
素の総量の原子比を表す式中の「全金属原子」とは、上
記の群より選ばれた金属元素についての原子数(相対
値)の総和を意味する(以下同様。)。
比の下限値を2.2at%に限定する理由は、当該原子比
が2.2at%未満の酸化物膜では比抵抗が9.6×10
-4Ω・cm未満となるため、酸化物膜の膜厚を実用に耐
え得る最小膜厚(約12nm)とした場合には表面抵抗
が800Ω/□未満となり、この膜厚下では入力精度が
向上したアナログ型のタッチパネルを得るための高抵抗
電極膜に要求される電気的特性を満足し得なくなるから
である。また、当該原子比が40at%を超える酸化物膜
では比抵抗が2.0×10-1Ω・cmを超えるため、表
面抵抗を10kΩ/□としてもその膜厚は200nmを
超え、このように厚い酸化物膜では可視域での光吸収が
無視できず、光透過率の低下が避けられない。そして、
このような酸化物膜を例えばタッチパネルの電極膜とし
て利用した場合には、当該タッチパネルの入力面が暗く
見づらくなる。したがって、本発明では上記金属元素の
総量の原子比の上限値を40at%に限定する。上記金属
元素の総量の原子比は、目的とする透明導電積層体の用
途およびその電気的特性ならびに金属元素の種類等に応
じて適宜選択可能である。
n)の原子比In/(In+Sn+全金属原子)および
錫(Sn)の原子比Sn/(In+Sn+全金属原子)
は、電気抵抗の経時的安定性の高い酸化物膜を得るうえ
から、前者が60〜95at%、後者が2.8〜20at%
であることが好ましく、特に、前者が60〜90at%、
後者が3.0〜15at%であることが好ましい。
物膜の組成および膜厚を調整することによって適宜変更
可能であり、目的とする透明導電積層体の用途およびそ
の電気的特性等に応じた所望値とすることができるが、
表面抵抗が10kΩ/□を超える膜では抵抗値分布が大
きくなる。
が向上したアナログ型のタッチパネルを作製しようとす
る場合には、酸化物膜(透明導電膜)の表面抵抗が概ね
1000〜5000Ω/□、より好ましくは1000〜
3000Ω/□、更に好ましくは2000〜3000Ω
/□、比抵抗が9.6×10-4〜2×10-1Ω・cm、
より好ましくは3×10-3〜9×10-3Ω・cm、更に
好ましくは6×10-3〜9×10-3Ω・cmとなるよう
に当該酸化物膜(透明導電膜)の組成および膜厚を調整
することが好ましい。
る本発明の透明導電積層体は、前述した透明基材上に、
スパッタリング法,プラズマCVD法,スプレーパイロ
リシス法,ゾルゲル法,イオンプレーティング法等の方
法によって上記の酸化物膜を形成することにより得るこ
とができる。均一性や透明基材との密着性に優れた透明
導電膜を得るうえからは、スパッタリング法(反応性ス
パッタリング法を含む。)によって上記の酸化物膜を形
成することが好ましい。
酸化物膜を形成する場合、スパッタリングターゲットと
しては、目的とする透明導電膜の組成に応じた酸化物か
らなる焼結体ターゲットを用いることが好ましい。ここ
で、「目的とする透明導電膜の組成に応じた酸化物から
なる焼結体ターゲット」とは、目的とする組成の透明導
電膜を得ることができる組成の酸化物からなる焼結体タ
ーゲットを意味する。当該焼結体ターゲットの組成は、
スパッタ率および目的とする透明導電膜の組成に応じて
適宜選択される。
とする透明導電膜を構成する元素のうちの酸素(O)以
外の各元素について、その酸化物または焼成により酸化
物となる化合物を所定量づつ混合し、この混合物を仮焼
した後に粉砕し、この後、成形し、焼結することにより
得ることができる。例えば、目的とする透明導電膜がイ
ンジウム(In)、錫(Sn)、チタン(Ti)および
酸素(O)を構成元素とするものである場合には、次の
ようにして目的とする焼結体ターゲットを得ることがで
きる。
化インジウムとなる化合物(例えば塩化インジウム、硝
酸インジウム、酢酸インジウム、水酸化インジウム、イ
ンジウムアルコキシド等)と、酸化錫または焼成により
酸化錫となる化合物(例えば塩化錫、硝酸錫、酢酸錫、
水酸化錫、錫アルコキシド等)と、酸化チタンまたは焼
成により酸化チタンとなる化合物(例えば塩化チタン、
硝酸チタン、硫酸チタン等)とを、所定量づつ秤量して
混合する。次いで、得られた混合物を500〜1200
℃で仮焼し、この仮焼物をボールミル,ロールミル,パ
ールミル,ジェットミル等で粉砕して、粒子径が0.0
1〜1.0μmの範囲内でかつ粒子径の揃った粉末を得
る。なお、仮焼物の粉砕に先立って、当該仮焼物に10
0〜800℃で還元処理を施してもよい。また、必要に
応じて、前記の粉末について更に仮焼、粉砕を所望回数
繰り返してもよい。この後、得られた粉末を所望形状に
加圧成形し、成形物を800〜1700℃で焼結する。
このとき、必要に応じてポリビニルアルコール,メチル
セルロース,ポリワックス,オレイン酸などを焼結助剤
として用いてもよい。このようにして焼結体を得ること
により、目的とする焼結体ターゲットを得ることができ
る。
ッタリングは、RFスパッタリング,DCスパッタリン
グ等により行うことができるが、生産性や得られる酸化
物膜の膜特性の観点から、工業的には一般的にDCスパ
ッタリングが好ましい。DCスパッタリングのスパッタ
リング条件の一例を挙げるとすれば、以下のようにな
る。
ンガス等の不活性ガス、または不活性ガスと酸素ガスと
の混合ガスとし、スパッタ時の雰囲気圧(スパッタ圧)
は1×10-2Pa〜5Pa程度、ターゲット印加電圧
(放電電圧)は1000V未満とする。スパッタ時の雰
囲気圧(スパッタ圧)が1×10-2Pa未満ではプラズ
マの安定性が悪く、5Paを超えると得られる酸化物膜
の基材への密着性が悪くなる。また、ターゲット印加電
圧(放電電圧)が1000V以上では酸化物膜がプラズ
マによるダメージを受け、目的とする電気的特性を有す
る酸化物膜が得られなかったり、ターゲットが割れる等
の問題が発生し易い。ターゲット印加電圧(放電電圧)
の好ましい値は800V未満、さらに好ましくは500
V未満である。高品質の酸化物膜を得るためにはターゲ
ット印加電圧(放電電圧)をできるだけ低くすることが
好ましいが、極端に低い場合には生産性の問題が生じて
くる。したがって、ターゲット印加電圧(放電電圧)の
最適値は、要求される透明導電膜の品質と生産性とを総
合的に考慮したうえで適宜選択される。また、成膜時の
基板温度(透明基材の温度)は、透明基材の耐熱性に応
じて、当該透明基材が熱により変形や変質を起こさない
温度範囲内で適宜選択される。
は、当該透明導電膜を用いるタッチパネルの種類に応じ
て適宜選択される。例えばデジタル型のタッチパネルに
使用する場合には、成膜時に所定のマスクを使用するこ
とによって、あるいは成膜後に所定のパターニングを行
うことによって、所望の平行ストライプパターンに形成
される。また、アナログ型のタッチパネルに使用する場
合には、成膜時に必要に応じて所定のマスクを使用する
ことによって、あるいは成膜後に必要に応じて所定のパ
ターニングを行うことによって、1枚の平膜に形成され
る。
の透明導電積層体においては、当該透明導電積層体を構
成している透明導電膜が、前述したように、インジウム
(In)と、錫(Sn)と、チタン(Ti),イリジウ
ム(Ir),イットリウム(Y),クロム(Cr),亜
鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(H
f),タンタル(Ta),コバルト(Co),ビスマス
(Bi)およびマンガン(Mn)からなる群より選択さ
れた少なくとも1種の金属元素と、酸素(O)とを構成
元素とする酸化物膜からなる。
化物(化学量論比の酸化物)となったときに室温付近で
いずれも半導体的な性質(比抵抗が10-3〜1010Ω・
cm;『酸化物便覧』(サムノフ監修;日・ソ通信社)
第208〜209頁参照)を示すため、酸化物膜を得る
にあたってインジウム(In)、錫(Sn)および酸素
(O)の他に上記の群より選択された少なくとも1種の
金属元素を当該酸化物膜の構成元素とすることにより、
インジウム(In)、錫(Sn)および酸素(O)のみ
を構成元素とする酸化物膜よりも高電気抵抗の酸化物膜
を得ることが可能になる。
金属元素の総量の原子比の増大に伴って上昇するが、イ
ンジウム(In)、錫(Sn)および酸素(O)の他に
アルミニウム(Al)やケイ素(Si)等、酸化物(化
学量論比の酸化物)となったときに電気絶縁性を示す元
素(Al2O3 の比抵抗は1×1022Ω・cm、SiO2
の比抵抗は1×1021Ω・cm)を構成元素とする酸
化物膜において前記酸化物となったときに電気絶縁性を
示す元素の原子比を増大させた場合よりも、その上昇の
度合いは緩慢である。
している透明導電膜(酸化物膜)については、当該透明
導電膜(酸化物膜)の電気抵抗値を所望の値にするため
の制御が容易であり、その結果として、所望の電気的特
性を有する透明導電積層体を再現性よく得ることができ
る。
する。本発明のタッチパネルは、前述したように、当該
タッチパネルを構成している2枚の透明電極基板の少な
くとも一方が、上述した本発明の透明導電積層体からな
っている。本発明の透明導電積層体を一方の透明電極基
板として用い、上述した酸化物膜以外の膜からなる透明
電極膜が形成されている透明電極基板を他の1枚として
用いて本発明のタッチパネルを構成する場合、前記の
「上述した酸化物膜以外の膜からなる透明電極膜」とし
ては、ITO膜や酸化錫膜等、透明性および電気抵抗の
経時安定性に優れているものが好ましい。入力精度の高
いアナログ型のタッチパネルを得る場合には、本発明の
透明導電積層体を上記2枚の透明電極基板の両方として
用いることが望ましい。
ルを構成する2枚の透明電極基板のうちの少なくとも一
方として、上述した本発明の透明導電積層体を用いるこ
との他は、従来のタッチパネルと同様にして構成され
る。このとき、2枚の透明電極基板は、透明電極膜同士
が対向するようにしてスペーサ等によって所定間隔に保
たれつつ配置され、これらの透明電極基板のうちの一方
が入力面側に位置する。そして、入力面側に位置してい
る透明電極基板の外部から当該透明電極基板に荷重が加
えたときに透明電極膜同士が導通するように、これらの
透明電極膜の各々は、当該透明電極膜の所定の位置に設
けられた電極端子やリード線(取出し電極)を介して所
定の駆動回路と電気的に接続される。また、透明電極膜
の各々は、比較回路,マイクロプロセッサー,アナログ
/デジタル変換器等を用いた座標検出手段とも電気的に
接続される。上述のようにして構成される本発明のタッ
チパネルは、抵抗膜方式のタッチパネルとすることが好
ましく、特にアナログ型のタッチパネルとすることが好
ましい。
位置の検出原理は従来と同じであるが、当該タッチパネ
ルを構成している2枚の透明電極基板の少なくとも一方
は、前述した本発明の透明導電積層体からなる。すなわ
ち、互いに対向する2枚の透明電極膜の少なくとも一方
は、前述した酸化物膜からなる。そして、本発明の透明
導電積層体は、前述のように、所望の電気的特性を有す
るものを再現性よく得ることができるものであるので、
当該透明導電積層体を用いた本発明のタッチパネルもま
た、所望の入力精度を有するものを再現性よく得ること
ができる。
互いに対向している2枚の透明電極膜の少なくとも一方
は、表面抵抗が800〜10kΩ/□と高い前述の酸化
物膜からなっているので、座標検出の際のデータ誤認が
起こりにくく、確実なデータ入力を安定して行うことが
可能である。
レンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと略
記する。)を用い、スパッタリングターゲットとして表
1に示す原子組成比(酸素を除く。)の混合酸化物から
なる焼結体ターゲットを用いて、表2に示す原子組成比
(酸素を除く。)の酸化物膜(透明導電膜)を下記の条
件のスパッタリング法によって上記のPETフィル上に
形成して、実施例ごとに透明導電積層体を得た。なお、
酸化物膜の原子組成比は誘導プラズマ発光分光分析(I
CP)によって求めた。
のそれぞれについて、当該透明導電積層体を構成してい
る酸化物膜の膜厚、表面抵抗、表面抵抗の標準偏差およ
び比抵抗を求めた。また、各透明導電積層体について、
波長550nmの光の透過率を求めた。これらの結果を
表3に示す。
を用いて上記の条件で別途成膜を行ったものについて、
スローン社製のDEKTAK3030を用いた触針法に
より測定した。表面抵抗は、三菱油化社製のロレスタF
Pを用いた四端子法により測定し、表面抵抗の標準偏差
は実施例ごとに上記の条件での成膜を5回行い、これら
の膜の表面抵抗から求めた。比抵抗は、酸化物膜の平面
視上の中央部において測定した表面抵抗に、前記のスラ
イドガラス上に成膜した酸化物膜の膜厚を乗じることに
より算出した(『薄膜材料の測定・評価』(技術情報協
会)第114〜115頁参照)。そして、透明導電積層
体についての光の透過率は、(株)島津製作所製のUV
−3100を用いて測定した。
トとして表1に示す原子組成比(酸素を除く。)の酸化
物からなる焼結体ターゲットを用いた以外は実施例1〜
実施例11と同様にして、表2に示す原子組成比(酸素
を除く。)を有する酸化物膜をPETフィル上に形成し
て、本発明の限定範囲外の金属元素を構成元素としてい
る酸化物膜を備えた透明導電積層体を比較例ごとに得
た。各透明導電積層体を構成している酸化物膜の各々に
ついて、実施例1〜実施例11で求めたと同じ項目をこ
れらの実施例と同様にして求めた。また、各透明導電積
層体における光透過率を実施例1〜実施例11と同様に
して求めた。これらの結果を表3に示す。
1で成膜した酸化物膜の表面抵抗の標準偏差は18.5
〜28.5Ω/□である。したがって、これらの酸化物
膜は所望の表面抵抗のものを再現性よく得ることができ
るものであることが判る。また、実施例1〜実施例11
で成膜した酸化物膜は、表面抵抗が980〜1250Ω
/□と高抵抗である。これらのことから、各実施例で得
られた透明導電積層体は、入力精度の高いタッチパネ
ル、特にアナログ型のタッチパネルの透明電極基板とし
て好適な優れた特性を有していることが判る。
物膜の表面抵抗の標準偏差は97.6〜102.0Ω/
□である。したがって、これらの酸化物膜は所望の表面
抵抗のものを再現性よく得ることが困難なものであるこ
とが判る。このため、各比較例で得られた透明導電積層
体を用いて所望の入力精度を有するタッチパネルを再現
性よく得ることは困難である。
フタレートフィルムの長尺物(サイズ:300mm×1
0m、厚さ125μm。以下PETロールという。)を
用い、スパッタリングターゲットとして実施例1で用い
たと同一組成の焼結体ターゲット(サイズ:5インチ×
15インチ×5mm厚)を用いて、以下の要領で酸化物
膜を成膜した。
ネトロンスパッタリング装置に装着し、真空槽内を5×
10-3Pa以下まで減圧した。次に、アルゴンガス(純
度99.99%)を真空槽内圧力が2×10-1Paにな
るように導入し、スパッタリング出力を1.6W/cm
2 (ターゲット印加電圧は400V)に、基板温度を2
0℃にそれぞれ設定して、プレスパッタを行った。プレ
スパッタ後、スパッタリング出力および基板温度を前記
の値に保持したまま、アルゴンガスと酸素ガスとの混合
ガス(アルゴンガスと酸素ガスの体積比=97:3)を
真空槽内圧力が2×10-1Paになるように導入し、1
00cm/分の走行速度でPETロールの片面に酸化物
膜(透明導電膜膜)を成膜した。
ロールから、平面視上の大きさが16×16cmの酸化
物膜付きPETフィルムを切り出すことにより、透明導
電積層体を得た。この透明導電積層体に形成されている
酸化物膜の中央および4隅の計5点について、その表面
抵抗を実施例1〜実施例11と同様にして測定したとこ
ろ、1000±10Ω/□と高電気抵抗でありながら均
一性に優れていた。
視上の大きさが16×16cmの酸化物膜付きPETフ
ィルム(透明導電積層体)を計2枚切りだし、これら2
枚の透明導電積層体を用いて、図2によってその概略が
示されるアナログ型のタッチパネルを以下のようにして
実施例ごとに作製した。
る酸化物膜(透明導電膜)2において互いに対向してい
る1組の辺縁部上に、幅3mmの帯状を呈する電極端子
3a,3bを銀ペースト(藤倉化成社製のD−550)
によってそれぞれ設けた。また、他方の透明電極基板5
を構成している酸化物膜(透明導電膜)6において互い
に対向している1組の辺縁部上にも、同様にして幅3m
mの帯状を呈する電極端子7a,7bをそれぞれ設け
た。
を、酸化物膜(透明導電膜)2,6が互いに対向し、か
つ、電極端子3a,3bを結ぶ方向と電極端子7a,7
bを結ぶ方向とが平面視上直交するようにして貼り合わ
せた。このとき、SiO2 からなる粒径15μmの球状
のスペーサー(図示せず。)を用いて、酸化物膜(透明
導電膜)2,6間の距離が15μmとなるようにした。
た電極端子3a,3bと15Vの直流電源V1 とを、リ
ード線10a,10bを介して接続した。このとき、リ
ード線10aの途中にはスイッチS1 を介在させ、リー
ド線10bの途中にはスイッチS2 を介在させた。ま
た、酸化物膜(透明導電膜)6に設けた電極端子7a,
7bと15Vの直流電源V2 とを、リード線11a,1
1bを介して接続した。このとき、リード線11aの途
中にはスイッチS3 を介在させ、リード線11bの途中
にはスイッチS4 を介在させた。このようにして電極端
子3a,3bと直流電源V1 、および電極端子7a,7
bと直流電源V2 とを電気的に接続することにより、タ
ッチパネル15が得られた。このタッチパネル15にお
いては、酸化物膜(透明導電膜)2,6が透明電極膜と
して機能する。
bの途中からアースをとり、リード線10bとリード線
11aとの電位差を測定するための電圧計12(図2参
照)を設置した後、スイッチS1 ,S2 およびS3 を閉
にし、スイッチS4 を開にした。この状態下で、図2中
に矢印Aで示すように、電極端子3aの長手方向の中心
と電極端子3bの長手方向の中心とを結ぶ線に沿って、
透明導電積層体1の外側表面を電極端子3b側から電極
端子3a側に向けて1.5mmおきに計100点、入力
端の曲率半径が1mmの入力ペン13(図2参照)によ
って順次押圧し、このときの検出誤差を次式によって求
めた。
理論電圧からのズレを示し、この値が小さいほど押圧位
置の誤認が少ないタッチパネルが得られる。また、上記
の式中の|Vn+1−Vn|は隣合う2つの押圧点での測定
電圧の差を示し、この値が大きいほど押圧位置の差を電
位差として精度よく検出し易くなる。上記の式によって
求められた検出誤差の値は0.03であった。このこと
から、上記のタッチパネルは入力精度の高いものである
ことが確認された。
一組成の焼結体ターゲット(サイズ:5インチ×15イ
ンチ×5mm厚)を用い、PETロールの走行速度を2
00cm/分とした以外は実施例12(1)と同様にし
て、PETロールの片面に酸化物膜を成膜した。次に、
実施例12(2)と同様にして透明導電積層体を得、こ
の透明導電積層体上の酸化物膜について実施例12
(2)と同様にして表面抵抗を測定したところ、100
0±400Ω/□と均一性に劣っていた。
ナログ型のタッチパネルを作製し、その性能を実施例1
2(3)と同様にして評価した。その結果、検出誤差の
値は0.86であった。この値は、押圧位置の違いによ
る電位差と測定電圧の理論電圧からのズレ(表面抵抗の
バラツキ)とがほぼ同じであることを意味している。上
記のタッチパネルでは押圧位置の違いを電気的に検出す
ることが非常に困難であり、入精度の低いものであっ
た。
所望の電気的特性を有する透明導電積層体を再現性よく
提供することが可能になる。また、所望の入力精度を有
するタッチパネルを再現性よく提供することが可能にな
る。さらには、入力精度の高いタッチパネルを再現性よ
く提供することも可能になる。
成の酸化物膜(透明導電膜)の膜厚と比抵抗との関係を
示すグラフである。
ルの概略を示す斜視図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 電気絶縁性の透明基材と、この透明基材
上に形成された透明導電膜とを有し、 前記透明導電膜が、インジウム(In)と、錫(Sn)
と、チタン(Ti),イリジウム(Ir),イットリウ
ム(Y),クロム(Cr),亜鉛(Zn),ジルコニウ
ム(Zr),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta),
コバルト(Co),ビスマス(Bi)およびマンガン
(Mn)からなる群より選択された少なくとも1種の金
属元素と、酸素(O)とを構成元素とし、前記金属元素
の総量の原子比(全金属原子)/(In+Sn+全金属
原子)が2.2〜40at%である酸化物膜からなり、該
透明導電膜の膜厚および比抵抗が、添付図面の図1に示
す点A,B,C,Dを頂点とする四角形の範囲内にある
ことを特徴とする透明導電積層体。 - 【請求項2】 酸化物膜におけるインジウム(In)の
原子比In/(In+Sn+全金属元素)が60〜95
at%、錫(Sn)の原子比Sn/(In+Sn+全金属
元素)が2.8〜20at%である、請求項1または請求
項2に記載の透明導電積層体。 - 【請求項3】 抵抗膜方式のタッチパネルに使用され
る、請求項1または請求項2に記載の透明導電積層体。 - 【請求項4】 アナログ型のタッチパネルに使用され
る、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の透明導
電積層体。 - 【請求項5】 所定のパターンに形成された透明電極膜
を有する2枚の透明電極基板を備え、前記2枚の透明電
極基板が前記透明電極膜同士を対向させて所定間隔で配
置されており、前記透明電極基板のうちの一方の外部か
ら該透明電極基板に荷重を加えたときに前記透明電極膜
同士が導通するタッチパネルにおいて、 前記2枚の透明電極基板の少なくとも一方が、請求項1
〜請求項4のいずれか1項に記載の透明導電積層体から
なることを特徴とするタッチパネル。 - 【請求項6】 抵抗膜方式のタッチパネルである、請求
項5に記載のタッチパネル。 - 【請求項7】 アナログ型のタッチパネルである、請求
項5または請求項6に記載のタッチパネル。
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