JP2002070317A - スラブ駄目穴の施工及び養生方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 コストを削減し、かつ作業効率を向上し、さ
らに安全性に優れたスラブ駄目穴の施工及び養生方法を
提供する 【解決手段】 床型枠１に設けた開口部１ａの上に、駄
目穴型枠を固定し、この駄目穴型枠の内部を除いて床型
枠１上にスラブコンクリ−ト７を打設する。このコンク
リ−ト７の硬化後、前記駄目穴型枠を撤去することで、
床スラブに駄目穴２を形成する。この駄目穴型枠は鋼板
からできていて、高さ方向の中途において開口部１ａを
挟む両側に段部を形成し、当該段部の上部が同段部の下
側よりも水平方向の長さ寸法を大にしてあることによ
り、駄目穴２には前記駄目穴型枠の段部に対応する段部
５１が形成される。この駄目穴２の段部５１間に、当該
段部５１の深さ寸法に対応する厚みをもつ鋼製の布板８
を掛け渡すことで前記駄目穴２を閉塞養生する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スラブに設ける駄
目穴の施工及び養生方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、スラブには基礎型枠資材等を搬出
入するためにいわゆる駄目穴と称する開口部が必要であ
るが、この駄目穴を形成するための型枠として、従来ベ
ニヤ板を使用している。駄目穴を形成するには、床型枠
に開口部を設け、この開口寸法に合わせて加工したベニ
ヤ板からなる駄目穴型枠を床型枠に対して垂直になるよ
うに開口部に固定した後、前記駄目穴型枠の内部を除い
た前記床型枠上に床配筋及びスラブコンクリ−トを打設
する。このコンクリ−トの硬化後、駄目穴型枠として使
用したベニヤ板を解体して撤去し、床スラブに駄目穴を
形成する。

【０００３】また、この駄目穴を閉塞養生するために、
木材あるいは金属製材料で加工した開口蓋を、駄目穴に
被せて床スラブ上に置いている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ベニヤ板からなる駄目穴型枠は耐久性がないため、駄目
穴ごとに個別に作成する必要があるとともに転用がきか
ない。このため、多数の駄目穴を形成するには多大な手
間を要し、かつコストも増大してしまう。また、駄目穴
を養生するための開口蓋も、夫々の駄目穴の開口寸法に
合わせて現場で加工していたため、その製造には多大な
手間を要するばかりでなく、コストも増大してしまう。
また、前記開口蓋は駄目穴の上側に被せてスラブコンク
リ−ト上に載置するため、駄目穴よりも一回り以上大き
な寸法に加工しなくてはならず、また、蓋の上に乗って
作業をしても蓋が破損しないような強度をもたせるため
に、全体としての重量は重くなってしまう。

【０００５】さらに、前記開口蓋は、強度をもたせて丈
夫に製作してあり、特に木材からなる開口蓋はかなりの
厚みをもたせてあるため、スラブコンクリ−トには開口
蓋の厚み分の段差が生じる。このため、歩行時につまず
かないように配慮しながら作業をする必要があるから、
作業効率が思わしくない。そこで、本発明は、コストを
押さえ、かつ作業効率を向上し、さらに安全性に優れた
スラブ駄目穴の施工及び養生方法を提供することを課題
としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、請求項１に係る発明は、床型枠に設けた開口部
の上に駄目穴型枠を固定し、この駄目穴型枠は全体が鋼
板でできていて、高さ方向の中途において前記開口部を
挟む両側に段部が形成されて当該段部の上側が同段部の
下側よりも水平方向の長さ寸法を大にしてあり、この駄
目穴型枠の内部を除いて床型枠上にスラブコンクリ−ト
を打設し、このコンクリ−トの硬化後に前記駄目穴型枠
を撤去することにより、当該駄目穴型枠の前記段部に対
応する段部が形成された駄目穴を床スラブに形成する。
しかる後、前記駄目穴の前記両側の段部間に、当該段部
の深さ寸法に対応する厚み寸法をもつ鋼製の布板を掛け
渡し、布板の両端に夫々固着された各一対のフック間に
夫々桟木を介在させて、この桟木により前記段部におけ
るフック間の凹部を埋め、以て前記布板と桟木により前
記駄目穴を閉塞することを特徴とするスラブ駄目穴の施
工及び養生方法である。

【０００７】請求項１に係る発明において、駄目穴型枠
の高さ方向の中途において開口部を挟む両側に段部を形
成し、当該段部の上側が同段部の下側よりも水平方向の
長さ寸法を大にしてあることより、前記駄目穴型枠を使
用して形成した駄目穴には、前記駄目穴型枠の前記段部
に対応して、スラブコンクリ−ト上面よりも一段低い段
部が形成される。この段部に、段部の深さ寸法と対応す
る厚みをもつ鋼製の布板を、この布板の両端に夫々固着
されたフックによって掛け渡して載置することで、床ス
ラブに設けた駄目穴開口部を閉塞養生することができ
る。このとき、床スラブ上面と布板上面とが面一又はこ
れに近い状態になるため、歩行時につまずく心配がな
く、安全性に優れている。

【０００８】また、予め鋼板で成形してある駄目穴型枠
を使用できるため、開口寸法に合わせてその都度作成す
る必要がなく、また、転用が可能であり、何度も繰り返
し使用することができる。このため、同一寸法の駄目穴
を容易かつ確実に製作することができ、さらに開口蓋も
同一寸法のものを繰り返し使用することができるため、
コストは削減でき、かつ作業効率も向上する。

【０００９】さらに、開口蓋を鋼製の布板で構成したこ
とによって、現場で加工する手間がかからないため、作
業効率を上げ、かつコストを削減できる。さらに、布板
は、本来枠組み足場の建枠間に架け渡して作業床として
使用するものであるため、軽量でかつ強度をもたせた構
造をしている。このため、従来の木材あるいは金属製材
料を加工して製作した蓋に比べて、全体として軽量でか
つ強度を備えているため、作業性も安全性も向上する。

【００１０】さらに、布板の両端に夫々固着された各一
対のフック間に桟木を介在させて、駄目穴に形成した段
部におけるフック間の凹部を埋めることによって、歩行
時につまずく心配がなく、安全性に優れている。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を用いて説明する。図１はスラブ駄目穴の斜視
図で、図２はスラブ駄目穴型枠施工の図１におけるＡ−
Ａ線断面図である。また、図３は開口養生を施したスラ
ブ駄目穴の図１におけるＡ−Ａ線断面図で、図４はスラ
ブ駄目穴の後打ちコンクリ−ト型枠施工の図１における
Ａ−Ａ線断面図である。

【００１２】床スラブに駄目穴２を形成するには、ま
ず、図２に示すように、床型枠１に駄目穴型枠４の底寸
法よりも一回り小さな底寸法の開口部１ａを設ける。床
型枠１の開口部１ａの近くに、床型枠１と追って打設す
るスラブコンクリ−ト７との剥離を防止するためにＦデ
ッキ垂れ防止ピン３を打ち込む。次に鋼板からなる駄目
穴型枠４を床型枠１に固定する。この駄目穴型枠４は、
高さ方向の中途において段部５を形成し、段部５の上側
が同段部５の下側よりも水平方向の長さ寸法を大にして
いて、これをビス６で床型枠１と固定する。その後、駄
目穴型枠４の内部を除いて床型枠１上に床配筋（図示し
ない）した後に、スラブコンクリ−ト７を打設する。そ
して、このコンクリ−トが硬化した後、ビス６を外して
前記駄目穴型枠４を撤去すると、図１に示す駄目穴２が
形成される。この駄目穴２には、駄目穴型枠４の段部５
に対応した、スラブコンクリ−ト７よりも一段低い段部
５１が形成される。この段部５１には、駄目穴２の長手
方向両側の段部５１ａ、５１ａと幅方向両側の段部５１
ｂ、５１ｂとがある。

【００１３】ここで、この実施の形態において、リ−ス
品の鋼製足場の布板８を長手方向に掛け渡すため、駄目
穴２を、図１に示すように長方形で、長手方向の両側に
形成した段部５１ａの幅が、幅方向両側に形成した段部
５１ｂの幅よりも広く形成できる駄目穴型枠４を使用し
ている。しかし、駄目穴型枠４は、開口蓋として布板８
が使用できる寸法で、かつ駄目穴２と布板８との間につ
まずく原因となる隙間ができない寸法であれば、いかな
る寸法で加工しても構わない。

【００１４】図３に示すように、駄目穴２を養生するに
は、本来枠組み足場の建枠間に掛け渡して作業床として
使用する鋼製の布板８を使用する。布板８は複数の鋼板
が長方形の枠に複数列取り付けられた構成をしており、
この布板８の両端には夫々各一対のフック９が固着され
ている。布板８を、このフック９で駄目穴２の両端に設
けた段部５１の間に掛け渡すことで、駄目穴２を閉塞養
生することができる。このフック９は、布板８の両端に
夫々各一対固着されており、このため、駄目穴２の長辺
両端部の段部５１ａには対をなすフック９間で段差が生
じてしまう。この段差をなくすために夫々一対のフック
９間に夫々桟木１０を介在させて、布板８の開閉時に外
れないように番線（図示しない）等で固定している。ま
た、駄目穴型枠４に形成した段部５の深さ寸法を、布板
８の厚さ寸法と対応させたことによって、駄目穴２に形
成した段部５１に布板８を載置すると、スラブコンクリ
−ト７上面と布板８上面とは面一又はこれに近い状態に
なる。

【００１５】図４に示すように、所定の工程が終了した
後に、駄目穴２に後打ちコンクリ−トを施す際には、ま
ず、スラブコンクリ−ト７よりも小さな底寸法をもつ床
型枠１上に平鉄板１１を掛ける。次に、駄目穴２を挟む
両側のスラブコンクリ−ト７の対向面に、高さをずらし
てアンカ−１２を打ち、そのアンカ−１２に、駄目穴２
の開口部１ａよりも長さの短いサシ筋１３を両側から中
央で重なるように差し込む。そして、駄目穴２の段部５
１間に架かるようにワイヤ−メッシュ１４を敷込んだ
後、駄目穴２内に後打ちコンクリ−トを打設する。

【００１６】ここで、駄目穴型枠４の底寸法よりも一回
り小さな寸法の開口部１ａを設けたことで、図１に示す
ように、駄目穴２の開口部１ａ周縁には一回り小さな枠
状の床型枠１が表れる。そこで、この床型枠１上に平鉄
板１１を掛けて底型枠とする。このため、従来の後打ち
コンクリ−トに使用していた吊り形式や下階から支える
形式の底型枠を施す煩雑さが解消される。また、駄目穴
型枠４の上部が下部よりも広げて構成したことにより、
前記の駄目穴型枠４の撤去は容易になる一方、後打ちコ
ンクリ−トを施工する際には、コンクリ−トを充填しや
すくなるが、コンクリ−トはズレやすくなってしまう。
このため、ズレ止めとして、駄目穴２を挟む両側のスラ
ブコンクリ−ト７の対向面に高さをずらしてアンカ−１
２を打ち込み、中央で重なるように夫々対向面に駄目穴
２開口部１ａよりも長さの短いサシ筋１３を打ち込む。
ここで、十分な長さのサシ筋１３をスラブコンクリ−ト
７の対向面に渡って差し込まないのは、駄目穴２の閉塞
後、再び配管その他の用途で駄目穴２を再度開口する際
に、サシ筋１３が邪魔にならないようにするためであ
る。さらに、駄目穴２の段部５１には、格子状に組み込
んだワイヤ−メッシュ１４を敷き込むことで、コンクリ
−トのひび割れを防止する。

【００１７】また、予め鋼板により形成された駄目穴型
枠４を使用したことによって、開口寸法に合わせてその
都度加工する必要がなく、さらに、駄目穴型枠４の上部
側壁には取っ手（図示しない）を取り付けてあり、取付
及び撤去を容易に行うことができる。このため、駄目穴
ごとに個別に加工していた従来の型枠施工と比べて、作
業効率は向上し、かつコストも削減できる。また、駄目
穴型枠４は転用が可能で、何度も使用することができる
ため、コストを押さえ、かつ作業効率を向上させるばか
りでなく、同一寸法の駄目穴２を容易かつ迅速に製作す
ることができる。このことより、開口蓋も同一寸法のも
のを何度も繰り返し使用することができるため、作業効
率を上げ、コストを削減することができる。ここで、今
回約１６０ヶ所の駄目穴２に対して、鋼板からなる大小
２つのサイズの駄目穴型枠４を２０ヶ用意し、１３回の
基礎スラブコンクリ−ト打設に転用して施工したが、何
ら問題はなかった。

【００１８】さらに、駄目穴型枠４に高さ方向の中途に
おいて開口部１ａを挟む両側に段部５を形成し、この段
部５の上側が同段部５の下側よりも水平方向の長さ寸法
を大にし、かつこの段部５の深さ寸法と布板８の厚み寸
法とを対応させたことによって、駄目穴２に形成した段
部５１に布板８を載置することができる。このとき、ス
ラブコンクリ−ト７上面と布板８上面とが面一又がこれ
に近い状態になるため、歩行時につまずく心配はなく、
安全性に優れている。その上、布板８の両端に夫々固着
された各一対のフック９間に夫々桟木１０を介在させて
いることで、駄目穴２の長辺両端に形成した段部５１ａ
におけるフック９間の凹部を埋めるため、歩行時につま
ずく心配はなく、安全性に優れている。

【００１９】さらに、駄目穴２を養生するため、鋼製足
場の布板８を使用している。このため、開口部１ａに合
わせて加工する必要がないため、手間がかからず作業効
率は上がる。さらに、鋼製足場用の布板８は、その構造
上軽量でかつ強度的に優れているため、従来の木材ある
いは金属製材料を加工して製作した蓋に比べて、全体と
して軽量で蓋の厚みも薄くなり、蓋の開閉にかかる労力
も少なくなるため、作業効率が向上する。また、軽量で
強度的に優れているため、確実にかつ安全に駄目穴２を
閉塞養生することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る発
明において、駄目穴型枠の高さ方向の中途において開口
部を挟む両側に段部を形成し、当該段部の上側が同段部
の下側よりも水平方向の長さ寸法を大にしてあることよ
り、前記駄目穴型枠を使用して形成した駄目穴には、前
記駄目穴型枠の前記段部に対応して、スラブコンクリ−
ト上面よりも一段低い段部が形成される。この段部に、
段部の深さ寸法と対応する厚みをもつ鋼製の布板を、こ
の布板の両端に夫々固着されたフックによって掛け渡し
て載置することで、床スラブに設けた駄目穴開口部を閉
塞養生することができる。このとき、床スラブ上面と布
板上面とが面一又はこれに近い状態になるため、歩行時
につまずく心配がなく、安全性に優れている。

【００２１】また、予め成形してある駄目穴型枠を使用
できるため、開口寸法に合わせてその都度作成する必要
がなく、また、転用が可能であり、何度も繰り返し使用
することができる。このため、同一寸法の駄目穴を容易
かつ確実に製作することができ、さらに開口蓋も同一の
寸法のものを繰り返し使用することができるため、コス
トは削減でき、かつ作業効率も向上する。

【００２２】さらに、開口蓋を鋼製の布板で構成したこ
とによって、現場で加工する手間がかからないため、作
業効率を上げ、かつコストも削減できる。さらに、布板
は、従来の木材あるいは金属製材料を加工して製作した
蓋に比べ、全体として軽量でかつ強度を備えているた
め、作業性も安全性も向上する。さらに、布板の両端に
夫々固着された各一対のフック間に桟木を介在させて、
駄目穴に形成した段部におけるフック間の凹部を埋める
ことによって、歩行時につまずく心配はなく、安全性に
優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】スラブ駄目穴の斜視図である。

【図２】スラブ駄目穴型枠施工の図１におけるＡ−Ａ線
断面図である。

【図３】開口養生を施したスラブ駄目穴の図１における
Ａ−Ａ線断面図である。

【図４】スラブ駄目穴の後打ちコンクリ−ト型枠施工の
図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ 床型枠 １ａ 開口部 ２ スラブ駄目穴 ３ Ｆデッキ垂れ防止ピン ４ 駄目穴型枠 ５、５１、５１ａ、５１ｂ 段部 ６ ビス ７ スラブコンクリ−ト ８ 布板 ９ フック １０ 桟木 １１ 平鉄板 １２ アンカ− １３ サシ筋 １４ ワイヤ−メッシュ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床型枠に設けた開口部の上に駄目穴型枠
   を固定し、この駄目穴型枠は全体が鋼板でできていて、
   高さ方向の中途において前記開口部を挟む両側に段部が
   形成されて当該段部の上側が同段部の下側よりも水平方
   向の長さ寸法を大にしてあり、この駄目穴型枠の内部を
   除いて床型枠上にスラブコンクリ−トを打設し、このコ
   ンクリ−トの硬化後に前記駄目穴型枠を撤去することに
   より、当該駄目穴型枠の前記段部に対応する段部が形成
   された駄目穴を床スラブに形成し、しかる後、前記駄目
   穴の前記両側の段部間に当該段部の深さ寸法に対応する
   厚み寸法をもつ鋼製の布板を掛け渡し、布板の両側に夫
   々固着された各一対のフック間に夫々桟木を介在させ
   て、この桟木により前記段部におけるフック間の凹部を
   埋め、以て前記布板と桟木により前記駄目穴を閉塞する
   ことを特徴とするスラブ駄目穴の施工及び養生方法。