JP2002066871A - 加工方法と極微小ミスト生成装置、ワークの冷却方法、主軸の冷却方法 - Google Patents

加工方法と極微小ミスト生成装置、ワークの冷却方法、主軸の冷却方法

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JP2002066871A
JP2002066871A JP2000267350A JP2000267350A JP2002066871A JP 2002066871 A JP2002066871 A JP 2002066871A JP 2000267350 A JP2000267350 A JP 2000267350A JP 2000267350 A JP2000267350 A JP 2000267350A JP 2002066871 A JP2002066871 A JP 2002066871A
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work
mist
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cooling
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Hisashi Ukai
久 鵜飼
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Enshu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】切削油の使用量を最小限にし、また切削油を使
用量を最小限にしたために起こるワークや主軸の温度上
昇を抑制することにより、クリーンな加工を高い運用レ
ベルで提供することを可能とする。 【解決手段】MQLユニット53により切削油の粒子径
を極めて小さくすることにより切削油の使用量を極めて
少なくし、またワーク10や主軸55を熱電対等のセン
サーにより温度管理し、温度上昇した場合は冷却水ミス
トブローWNを適宜行うことにより効果的に冷却する。
これにより本来温度上昇による熱膨張で精度不良を起こ
すことなく、切削油の使用量を最小化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、工作機械の切削工
具にあけた貫通孔の先端を刃部に開口し、この噴射口か
ら微少の切削油ミストを混合した圧縮エアーや切削用ガ
スを刃部に噴射すると共に別設のノズルから防錆剤を含
む水溶媒のミストをワークに噴射するミスト生成装置や
その方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種企業では、地球環境を守るた
めの自主的な取り組みが盛んになってきており、その取
り組みの一環としてISO14001取得への動きも活発
であり、またISO14001認定の有無が企業イメージ
をも左右する時代になってきている。特に製造業におい
ては生産過程において廃棄物を出さないような工夫が強
く求められている。その中でも機械加工分野では環境保
護への具体的な試みとして、従来の切削油を使用する加
工から、切削油を使用しないドライ(乾式)加工への取
り組みが積極的に行われる等、切削油の依存度を減らし
切削油による環境汚染を削減するためのさまざまな努力
がなされている。
【0003】現在知られている上記ドライ加工技術につ
いて、その具体的手段と課題を図22から図28により
説明する。はじめに、ドライ加工をするための一般的な
工作機械100の構成を、図22で示す。切削工具4が
装着された工具ホルダ3を主軸2に装着することによ
り、主軸2と切削工具4は一体化する。主軸頭1の内部
には電気モーターが格納されているが、このモーターが
上記主軸2を回転させることにより、主軸の回転運動が
切削工具4に伝達され、加工が可能となる。また、加工
対象であるワーク(被削材)10はテーブル11上に固
定される。主軸2、またはテーブル11は、モーター及
びボールネジ等で移動可能な構造であり正確に位置制御
されており、回転する切削工具4がワーク10に対し適
切な切込みを維持しつつ接触し、相対移動することによ
り切削が行われる。また、工作機械の外部に用意したエ
アーコンプレッサー9で生成した圧縮エアーは、配管8
で移送され、上記主軸頭1の周辺に取付金具19で固定
されたノズル7より噴射される。このエアーブローによ
り切削工具4及びワーク10が若干冷却され、切削ポイ
ントから発生する切粉も排除される。
【0004】次に工具ホルダ周辺を、図23に示す。主
軸2内部に設けられたテーパー穴14と、工具ホルダ3
のテーパー部13が密着することにより、上記工具ホル
ダ3は高精度かつ強固に保持され、切削工具4もコレッ
ト12を介して工具ホルダ3に高精度に保持される。し
かしながら、上記のドライ加工は切削油を全く使用しな
いため、切削時の潤滑性に乏しく加工面の品質・精度が
悪くなる等、顧客が要求するレベルを満たさないことが
多々あり、仕上げ加工には不向きであった。
【0005】次に、加工中の切削工具刃先周辺部の加工
プロセスを図24に示す。切削工具は回転することによ
り、(b)のように、切削工具刃先23がワーク10の
表面の一部を削り取り切粉21が発生する。この切粉2
1は切削工具刃先のすくい面22の先端22Aから発生
するが、この際、切粉生成による発熱、摩擦熱等により
切粉21及びすくい面22の先端22Aは非常に高温と
なっている。次に(c)に示すように、切削工具が回転
することにより、切粉21はすくい面22上に接触しな
がら移動するが、非常に高温となっている切粉21と長
く接触するため、切削工具のすくい面22は大きな熱的
ダメージにさらされている。次に(d)に示すように、
切削工具が更に回転することにより、切粉21は弾き飛
ばされ、無負荷となった切削工具刃先23は自然冷却す
る。
【0006】上述したように切削中は、(b)、
(c)、(d)の状態が繰り返えされ、切削工具刃先2
3は加熱と冷却のサイクルの中にさらされているが、比
熱の小さい空気を媒体とするエアーブローでは十分な冷
却効果はなく、刃先温度は常時高温であり、刃先周辺部
では切粉の溶着等、熱によるトラブルが発生しやすい状
態になっている。
【0007】熱によるトラブルの中では溶着が代表的な
ものであるが、図25にその状態を示す。(b)は、高
温になっている切粉21が、切削工具のすくい面22と
接触している状態であるが、双方が非常に高温のため、
切粉21がすくい面22に貼りつきやすくなっている。
つまり高温化のため、すくい面22と切粉21の接触面
25において双方が合金化し工具刃先の物性が低下して
いるうえに、切粉21がすくい面22に強固に密着する
ため、刃先先端に付着した切粉により工具刃先の切れ味
も低下し、 また、切削時の衝撃も加わり、接触面25
を伴った工具刃先の損傷が非常に起こりやすくなる。
(d)は溶着した切粉が刃先のすくい面の一部を犠牲に
しつつ脱落する様子を示している。脱落部分20の分だ
け工具刃先の刃厚は薄くなるため、刃先先端部26に応
力が集中し刃先が破綻しやすくなり、この一部でも破綻
すれば、切削状況は急激に悪化し加工は続行できない。
また、このように工具刃先の一部が破損すると、この脱
落した破片が切削時に再度かみ込まれ、二次的な工具の
破損を引き起こし、切削工具は急激に破綻してしまう。
このような溶着現象は、高速切削時やワークの融点が低
い場合や、粘りやすい材質の素材を加工する場合等にお
いて特に発生しやすくなる。
【0008】また、エアーブローだけでは切削工具及び
ワークを十分に冷却できないため、加工中に発生する熱
が周囲に伝導してしまい、切削工具及びワーク温度上昇
により双方が熱膨張を起こし、ワークの加工精度が悪化
する等の問題も明らかになっている。このような熱膨張
の問題は回避し難く、もしワークの熱膨張を抑制しよう
とすれば大量のエアーを噴射しなければならず、エアー
を大量に使用すれば、周囲にある切粉や粉塵を巻き上げ
るあげるだけでなく、コンプレッサーの消費電力が増大
すると共に、ノズルからの噴射による騒音が大きくなる
等、作業環境改善及び省エネルギーの思想に逆行してし
まう。
【0009】更に、加工中は高温となった切粉が周囲に
飛散するが、周囲に可燃物があれば火災の危険性があ
り、安全性にも問題があった。上記で述べたように従来
技術によるドライ加工の運用は問題が多く、使用用途が
きわめて限定されていた。
【0010】上述したドライ加工の機械構成を踏襲し、
加工面品質(面粗度)等の要求を満たすための加工方法
として、少量の切削油を使用するセミドライ加工も試み
られている。ミスト状態にした切削油をエアーと共に加
工ポイントに噴射し、刃先表面に潤滑性を与えることを
目的とするものであり、図26にこのセミドライ加工の
ための基本的な工作機械110を示す。工作機械部分の
基本構造に関してはドライ加工用とセミドライ加工用の
工作機械は同等であるが、セミドライ加工用の工作機械
には切削油ミストの混合機構が追加されている。エアー
コンプレッサー9により生成した圧縮エアーを配管8に
より移送するが、途中に設けたミスト生成器6により切
削油ミストが混合され、これがノズル7より噴射され
る。図27に切削油ミストを生成する混合器6周辺の一
般的な構造を示す。配管8で移送された圧縮エアーAが
ミスト生成器内部の配管17内部を高速で通過すること
により、切削油供給配管16側が負圧となり、切削油1
5が切削油タンク5から少量ずつ吸い出され、圧縮エア
ーAと混合した切削油ミスト18の状態で分散してい
く。
【0011】上記セミドライ加工では、オイルミストに
より切削ポイントで刃先の潤滑性が確保されるため、加
工面品質はある程度向上したが、使用後に加工ポイント
から周囲に拡散する切削油のミストは、工作機械内部に
侵入しトラブル等の原因となったり、工場内に更に拡散
することにより、作業者は勿論のこと、その他の工場内
設備等へ悪影響を及ぼすこととなる。現実問題として、
セミドライ加工においては、意外に多くの切削油が消費
されており、工場内の悪臭、工作機械の汚れ等の問題が
引き起こされている。また、切削油がミスト状態で工作
機械の壁面で硬化すれば、これがべたつきの原因とな
り、更に切粉が貼りつくなどの問題発生もあり、クリー
ンな切削に程遠い使われかたであった。加工中のワーク
自体も長時間ミストにさらされるため、結局は切削油に
まみれる状態である。
【0012】一般にセミドライ加工においては、生成さ
れる切削油ミスト18の粒子径は大きく、また切削油使
用量を適切に制御できないため、必要量以上の切削油を
使用してしするケースが非常に多い。また、この周囲に
飛散した切削油は切削時の熱や赤熱した切粉と接触する
ことにより発煙し、火災の原因になりうる危険な状況を
も引き起こしており、これら現状の切削油ミストの使い
方には大きな問題があると言わざるを得ない。
【0013】また、ノズルからのエアーブローを極大化
したり、オイルミストを過剰に噴射した場合は、作業環
境を悪化させるだけでなく、工具刃先に対して過剰な冷
却をしてしまうため、サーマルストレスによる切削工具
の破損を引き起こす。このサーマルストレスによる工具
破損の過程を図28で示す。先に述べたように、ワーク
の切削は切削工具の回転運動により行われるが、まず
(a)に示すように、工具刃先23がワーク10に切り
込み、切粉21が発生する過程で、切削工具の刃先で急
激な温度上昇が起こるが、(b)(c)に示すような無
不負荷状態のところに強力なエアーブローもしくは大量
の切削油ミストにより急激な刃先冷却がなされる。そし
て直後に再度(a)に示すように切削熱により急加熱す
るため、このような急激な温度変化が短時間に繰り返さ
れることにより切削工具の内部組成は破壊され、クラッ
ク28が成長し、ついに破損に至ることとなる。破綻し
た状態が(d)であり、この際の破損は溶着より大き
く、また、脱落物27も大きいため、これが加工ポイン
トにかみ込めば瞬時に切削工具は破壊され加工不可能と
なり、事故すら引き起こす。
【0014】これまで述べたように、従来のドライ加工
方法は、加工面品質の問題、熱膨張による精度不良、火
災の危険性等があり、また、セミドライ加工でも、加工
面の品質向上のために使用される切削油の飛散、環境汚
染、火災等の問題がある。これらの問題のため、ドライ
加工の使用範囲はすべからく限定され、その普及がなか
なか進まないのが現状であった。ドライ加工の本来の目
的である環境保護と、ワークの生産性の双方を満足する
新しい加工方法の開発・商品化を強く要望まれていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のドラ
イ加工、セミドライ加工における切削工具の寿命問題、
切削工具及びワークの熱膨張による精度問題、ワークの
加工面品質の問題、火災の危険性等の問題点を解消した
いという課題に鑑みてなされたもので、不燃性ガス、不
活性ガスをベースとする切削用ガス、希釈した防錆剤の
ミスト噴射、従来のセミドライをはるかに下回る極微少
量の切削油ミストを組み合わせ使用することにより、切
削工具刃先の酸化防止、ワーク加工面品質の向上、熱膨
張の抑制による加工精度維持、火災の防止等を可能にし
た加工方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の加工方法は、
切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワーク加工面と
直接触れて切削する切削刃面に開口されており、上記貫
通孔内に圧入したエアーを微少油のミストと共に切削刃
面からワーク加工面に向けて直接噴射させ加工すること
を特徴とする。
【0017】請求項2の加工方法は、切削工具の軸芯部
等にあけた貫通孔は、ワーク加工面と直接触れて切削す
る切削刃面に開口されており、上記貫通孔内に圧入した
切削用ガスを微少油のミストと共に切削刃面からワーク
加工面に向けて直接噴射させ、切削刃面の加工点及びこ
の近傍周辺を濃厚なガス雰囲気にした状態でワークを加
工することを特徴とする。
【0018】請求項3の極微小ミスト生成装置は、工具
刃先やワーク加工面にミストを供給するミスト生成装置
において、電気信号により、その周波数と振幅を制御可
能な振動体に切削油を微量ずつ供給し、振動体の発振エ
ネルギーで切削油を極微量で、かつ極微小径の噴霧状に
生成することを特徴とする。
【0019】請求項4の極微小ミスト生成装置は、工具
刃先やワーク加工面にミストを供給するミスト生成装置
において、電気信号により、その発熱量を制御可能な発
熱体に切削油を微量ずつ供給し、発熱体の発熱エネルギ
ーで切削油を極微量で、かつ極微小径の噴霧状に生成す
ることを特徴とする。
【0020】請求項5のワークの冷却方法は、ミスト状
態にした水と、圧縮エアーとをノズルより加工するワー
クに噴射し、水の気化熱と気化を促進させる圧縮エアー
との相乗作用により、ワーク冷却を行うことを特徴とす
る。
【0021】請求項6の主軸の冷却方法は、ミスト状態
にした水と、圧縮エアーとをノズルより工作機械の主軸
に装着した工具ホルダ周辺に噴射し、水の気化熱と気化
を促進させる圧縮エアーとの相乗作用により、主軸冷却
を行うことを特徴とする。
【0022】請求項7のワークの冷却・防錆方法は、防
錆剤を希釈しミスト状態にした水と、圧縮エアーとをノ
ズルより加工するワークに噴射し、水の気化熱と気化を
促進させる圧縮エアーとの相乗作用により、ワーク冷却
と、ワーク表面を防錆処理することを特徴とする。
【0023】請求項8のワーク冷却・防錆方法は、表面
処理剤を希釈しミスト状態にした水と、圧縮エアーとを
ノズルより加工するワークに噴射することにより、水の
気化熱と気化を促進する圧縮エアーの相乗作用により、
ワーク冷却と、ワーク表面を化学処理することを特徴と
する。
【0024】請求項9のワークの冷却方法は、加工する
ワーク温度をセンサーにより監視し、ワーク温度が設定
温度を超えると、適宜、水を溶媒とする液体をミスト状
態で圧縮エアーと共にノズルより加工するワークに噴射
し、ワーク温度を設定温度以下にして熱膨張を抑制する
ことを特徴とする。
【0025】請求項10の主軸の冷却方法は、加工中の
主軸温度をセンサーにより監視し、主軸温度が設定温度
を超えると、適宜、水を溶媒とする液体をミスト状態で
圧縮エアーと共にノズルより主軸付近に噴射し、主軸温
度を設定温度以下にして熱膨張を抑制することを特徴と
する。
【0026】請求項11の切削工具及び工具ホルダの冷
却・防錆・表面処理方法は、請求項5、又は7、又は
8、又は9において、対象となる上記ワークを切削工具
または工具ホルダに変更したことを特徴とする。
【0027】請求項12のワークの冷却・防錆・表面処
理方法は、請求項5、又は7、又は8、又は9におい
て、上記圧縮エアーを不活性ガスまたは不燃性ガスに変
更したことを特徴とする。
【0028】請求項13の切削工具または工具ホルダの
冷却・防錆・表面処理方法は、請求項11において、上
記圧縮エアーを不活性ガスまたは不燃性ガスに変更した
ことを特徴とする。
【0029】請求項14の主軸の冷却方法は、請求項
6、又は請求項10において、上記圧縮エアーを不活性
ガスまたは不燃性ガスに変更したことを特徴とする。
【0030】
【作用】上記請求項1によると、通常のセミドライ加工
では粒子径の大きい切削油ミストが使用されるが、この
ミストの粒子径を極微小にした切削油ミストを用いるこ
とで、切削油の使用量を最小限にすることができ、加工
後に周囲に飛散する切削油ミストも最小化される。切削
油ミストの粒子径が極めて小さくなると、単位体積当た
りの表面積が大きくなるため表面張力が強く作用し、切
削油粒子の衝突による切削油ミストの液化が抑制され
る。極微小の切削油ミストは切削工具に設けられた貫通
孔を通り刃先から供給されるため、直ちに高速回転する
切削工具と高い相対速度で衝突するため、本来液化しに
くい極微小の切削油ミストは効率よく刃先に付着・供給
される。また、圧縮エアーが主軸内部、工具ホルダ、切
削工具の内部を順次通過するため、切削ポイントからの
主軸への熱伝導が緩和されることにより主軸周辺の熱膨
張が抑制される。更に、切削工具に設けられた噴射口の
レイアウト変更により、ワークの加工個所に合わせて、
切削油ミストの供給バランスをコントロールすることが
可能であるため、切削油ミストは無駄に消費されること
がなくなり、合理的に切削油ミストの使用量削減がなさ
れる。
【0031】上記請求項2によると、上記請求項1にて
記載した圧縮エアーを、窒素、アルゴン、二酸化炭素、
ヘリウム等のような不燃性、または不活性ガスに置き換
えることにより、請求項1に対して更なる効果が付加さ
れる。つまり、切削ポイント周辺は切削用ガスで満たさ
れ、空気中の酸素が遠ざけられることにより切削工具の
刃先表面で通常起こりうる酸化反応が抑制され、刃先表
面の物理的な物性が維持されるため、切削工具は通常の
使用方法に対して100%以上の性能が発揮されること
となる。特に窒素ガスを使用した場合は工具刃先の酸化
抑制のみならず、切削熱により活性化した窒素原子が切
削工具のコーティング材に吸収される、もしくは切削工
具表面において窒化反応することにより、切削工具表面
が補強される。
【0032】上記請求項3によると、電気信号により変
形するピエゾ素子を振動板に貼り付け振動体とし、この
振動体の動きをマイクロポンプとして用いることによ
り、切削油をごく少量ずつ汲み上げると同時に一体化し
たノズルより切削油を吐出することにより微細なミスト
が生成され、これが圧縮エアと共に切削ポイントに供給
される。電気信号によりこの振動体は周波数と振幅が制
御され切削油の吐出能力がリアルタイムで適量になるよ
うにコントロールされる。
【0033】上記請求項4によると、電気信号により発
熱するマイクロヒーターによりノズルの一部を加熱する
ことによりノズル内部に気泡を発生させ、ノズル内部の
切削油を噴射させ、その後、気泡の消失によりノズル内
部が負圧となり切削油が汲み上げられる。ヒーターによ
る間欠的な発熱によるノズル内部で気泡の発生・消滅の
繰り返しにより、ノズルより微細な切削油ミストが連続
的に吐出され圧縮エアと共に切削ポイントに供給され
る。
【0034】上記請求項5によると、加工中の切削熱に
より温度上昇しているワークに向けて、圧縮エアーとミ
スト状態にした水をワークの近傍に設置したノズルから
噴射することにより、水のミストはワークに付着するが
圧縮エアーのブローにより直ちに水の気化が促進し、ワ
ークが冷却される。また、ワーク表面に過剰に付着した
水は、圧縮エアーのブローにより全て気化させられる。
ワークの温度上昇を抑制することにより、ワーク表面の
熱的な変質が防止され、また熱膨張が小さくなるため加
工精度が改善される。
【0035】上記請求項6によると、加工中の切削熱の
熱伝導により温度上昇している工作機械主軸に向けて、
圧縮エアーとミスト状態にした水を主軸近傍に設置した
ノズルから噴射することにより、水のミストは主軸周辺
に付着するが圧縮エアーのブローにより直ちに水の気化
が促進し、主軸周辺が冷却される。また、主軸表面に過
剰に付着した水は、圧縮エアーのブローにより全て気化
させられる。
【0036】上記請求項7によると、上記請求項5にお
いて使用する通常の水の代わりに、防錆剤を希釈した水
を用いることにより、ミストがワーク表面に付着し気化
した後、不揮発成分である防錆剤がワーク表面にコーテ
ィングされる。
【0037】上記請求項8によると、上記請求項5にお
いて使用する通常の水の代わりに、リン酸塩等の各種の
表面処理材を希釈した水を用いることにより、ミストが
ワーク表面に付着し、表面処理剤とワーク表面で化学反
応が起こりワーク表面がコーティングされる。リン酸塩
により表面されると、ワーク表面に各種のリン酸化合物
の層を形成させ金属そのものを守る働きがあり、 錆を
出にくくする働きをする。
【0038】上記請求項9によると、請求項5、7,8
において、ミスト状態にした水と圧縮エアーをワークに
噴射しワークの温度を下げるための自動制御に関するこ
とであり、切削時に干渉しないワークの一部に熱電対の
ような温度センサーを1ヶ所、または複数箇所に取り付
けるか、もしくは熱源から放射される赤外線を検知し温
度を測定可能な放射温度計などの熱センサーから送られ
てくる電圧・電流を演算処理し、ワークの温度状態を求
め、現在の温度及び温度変化を解析し、予め設定したプ
ログラム及びパラメータ等のソフトウエア処理により、
ワーク冷却のために噴射する圧縮エアー及び水の量を適
切に可変することにより、ワークの温度変化を最小限に
することにより、加工精度が改善される。
【0039】上記請求項10によると、請求項6におい
て、ミスト状態にした水と圧縮エアーをワークに噴射し
工具ホルダ及び主軸周辺の温度を下げるための自動制御
に関することであり、工具ホルダ及び主軸周辺部に熱電
対のような温度センサーを1ヶ所、または複数箇所に取
り付けるか、もしくは熱源から放射される赤外線を検知
し温度を測定可能な放射温度計などの熱センサーから送
られてくる電圧・電流を演算処理し、工具ホルダ及び主
軸の温度状態を求め、現在の温度及び温度変化を解析
し、予め設定したプログラム及びパラメータ等のソフト
ウエア処理により、主軸冷却のために噴射する圧縮エア
ー及び水の量を適切に可変することにより、ワークの温
度変化を最小限にすることにより、加工精度が改善され
る。
【0040】上記請求項11によると、請求項5、7、
8、9において、水、もしくは防錆剤、もしくは表面処
理材をミスト状態で、切削工具または工具ホルダに噴射
することにより、切削工具または工具ホルダを冷却、防
錆、表面処理することにより、切削熱による熱膨張を抑
制し加工精度を改善すると共に、それらの表面も防錆・
表面処理等で保護されるため、長期間に渡り表面を清浄
に保つことができる。
【0041】上記請求項12によると、請求項5、7、
8、9において、ワークの冷却・防錆・表面処理に関す
ることであり、圧縮エアーを不燃性ガス又は不活性ガス
に変更することによりあらゆる酸化反応が抑制されるた
め、ミスト状の水を用いても金属表面での錆の発生が抑
制させると共に、防錆剤や表面処理材の酸化も抑制され
るため、より高い効果を発揮することが可能となる。
【0042】上記請求項13によると、請求項11記載
の切削工具及び工具ホルダの冷却・防錆・表面処理方法
に関することであり、圧縮エアーを不燃性ガス又は不活
性ガスに変更することによりあらゆる酸化反応が抑制さ
れるため、ミスト状の水を用いても金属表面での錆の発
生が抑制させると共に、防錆剤や表面処理材の酸化も抑
制されるため、より高い効果を発揮することが可能とな
る。
【0043】上記請求項14によると、請求項6、10
において、主軸の冷却・防錆・表面処理方法に関するこ
とであり、水溶液に防錆剤や表面処理剤を加えることに
より主軸の冷却のみならず、主軸の防錆や表面処理を行
い、圧縮エアーを不燃性ガス又は不活性ガスに変更する
ことによりあらゆる酸化反応が抑制されるため、ミスト
状の水を用いても金属表面での錆の発生が抑制させると
共に、防錆剤や表面処理材の酸化も抑制されるため、よ
り高い効果を発揮することが可能となる。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態については図面
を参照して説明する。先ず、図1〜図4に示す4種類の
基本的な機械構成から説明する。これら機械構成は、以
下に述べる3種類の機能的ユニットの組み合わせにより
構成されており、状況に応じて自由に構成できることは
勿論である。
【0045】第1のユニットは、極微少切削油ミストを
発生するための極微小ミスト生成装置となる「MQL
(Minimum Quantity Lubrication、最少量潤滑)ユニッ
ト」であり、このMQLユニットで作られる切削油ミス
トの粒子径は非常に小さく、その平均粒子径はほぼ1μ
mほどであり、この超微細な切削油ミストが最小限生成
され、切削油切削ポイントに送られる。第2のユニット
は、防錆剤を希釈した冷却水のミストを生成する装置で
あり、主に加工するワークを冷却し、熱膨張による精度
不良を防止し、且つ錆の発生を抑制する。第3のユニッ
トは、切削用ガス生成ユニットであり、各種ガスボンベ
等の使用も可能であるが、一般的に窒素生成装置を使用
する。この切削用ガスにより、切削工具刃先表面の酸化
反応を抑制し、工具寿命を改善すると共に、赤熱した切
粉等の飛散による火災発生を未然に防ぐ。ここで生成さ
れた切削用ガスは、MQLユニット、冷却水ミスト生成ユ
ニットに送られ、ミストを噴射するための移送媒体とな
るが、エアーのような単なる移送媒体ではなく、切削用
ガスの機能を付加することができる。
【0046】図1に示す第1実施形態の工作機械120
は、ワーク10を切削する際の加工ポイントへのブロー
源として、本例では切削用ガスとして窒素ガスを使用し
ており、この切削用ガス中にMQLユニットで生成した
極少量の切削油を分散させている。切削用ガスとして
は、炭酸ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等さまざま
なものがあるが、窒素ガスを使用したガスブローが安
全、環境、コスト面において実行しやすいと思われるた
め、窒素ガスを用いた実施形態を代表例とした。まず、
エアーコンプレッサー9により生成した圧縮エアーが配
管8で窒素生成装置51に移送されるが、ここで圧縮エ
アー中に含まれる酸素がほとんど除去されるため、残っ
た高濃度の窒素Nが配管8によりMQLユニット53に
送られる。このMQLユニット53に、極少量の切削油
が切削油タンク54より供給され、これが極微小にミス
ト化され、さらに窒素ガス中に分散・混合されることに
より、窒素ガス中に極小径の切削油ミストMが希薄な状
態で分散され、これが内部配管52を経由し、主軸5
5、専用工具ホルダー56、専用孔付き切削工具57を
通過し加工ポイントに切削油ミストMを含んだ切削用ガ
スGNとして噴射される。
【0047】図2は、図1に示した機械構成にワークの
冷却ユニットを付加した構成図であり、代表的な機械構
成として第2実施形態の工作機械130を示す。主軸側
より切削油ミストMを含んだ切削用ガスGNが噴射され
るのと平行して、主軸横より冷却水ミストと圧縮エアー
による冷却水混合エアーWAをワーク10に噴射する。即
ち、エアーコンプレッサーより分岐した圧縮エアーEの
一部を配管8で冷却水ミスト生成装置60に送ると、冷
却水タンク61より冷却水Wが供給され、これが分散・
混合し、主軸横のノズル63より冷却混合エアーWAが
噴射する。
【0048】図3で示す第3実施形態の工作機械140
は、図2で示した冷却水ミストの移送媒体であった圧縮
エアーを窒素等の切削用ガスに置き換えたものである。
窒素ガス生成装置51で生成した窒素ガスNを配管8に
よりMQLユニット53側、冷却水ミスト生成装置60側
にそれぞれ分岐する。分岐された窒素ガスはそれぞれ極
微小の切削油ミストM、冷却水ミストW1が分散・混合
され、極微少切削油ミストMを含んだ窒素ガスGN、冷却
水ミストW1を含んだ窒素ガスWNがノズル63より噴射
される。これにより加工エリアから空気中の酸素が遮断
されることになるが、特に切削ポイント周辺が高濃度の
切削用ガスの雰囲気で保護されるため、ワーク及び切削
工具の酸化を最小限にしたい場合に採用すべき形態であ
る。また、高速加工時は切削熱の発生も著しく、酸化反
応も速くなり切削工具の寿命も極端に短くなるが、この
ような場合には、特に高濃度の切削ガス雰囲気で加工さ
せることにより切削工具表面の酸化反応を最大限抑制し
なければならない。従って、冷却水ミストW1の移送媒
体にエアーを使用すると切削ポイント周辺部での酸素濃
度が僅かでも上昇してしまうため、移送媒体として切削
用ガスを使用する。
【0049】図4は、図3で示した機械構成のうち、切
削用ガスを使用しない機械構成であり、その代表的な第
4実施形態の工作機械150を示す。エアーコンプレッ
サー9で生成した圧縮エアーEを分岐し、配管8で分岐
された圧縮エアーはそれぞれ極微小の切削油ミストM、
冷却水ミストW1が分散・混合され、極微少切削油Mを
含んだエアーGA、冷却水ミストMを含んだエアーWAがノ
ズル63より噴射される。切削用ガスを使用せずにエア
ーをそのまま使用するため、切削用ガスの恩恵は受けら
れないが、MQLや冷却ミストなどの効果を発揮するこ
とはできるため、トータルで十分な効果を得ることがで
きる。
【0050】本発明においては図5に示すように、切削
工具57の貫通孔73より極微小の切削油ミストMを含
んだ圧縮エアーまたは切削用ガスGNを噴射する方法が
最も適しており、主軸55の軸芯よりエアーEや切削用
ガスGを供給可能なセンタースルー対応の主軸の使用が
望ましく、切削工具ホルダ56を合わせて使用すること
が最も適している。専用工具ホルダ56は気密性をもつ
と共に、貫通された孔72が中心を通っており、ここを
通過した切削用ガスGは、同じく気密性を有する専用コ
レット71を経て、専用孔付き切削工具57より噴射さ
れる。
【0051】しかしながら、使用する工作機械の構造的
な理由等により、上記のようなセンタースルー方式が不
可能な場合は、図6に示すように、主軸55以外から切
削用ガスGを導入し、工具ホルダ内で軸芯にバイパスで
きるような専用の工具ホルダ75を使用する。ガスは主
軸外部より、ホルダ内ガス移送経路74を経由して軸芯
に至り、気密性を有する専用コレット71を経て、専用
孔付き切削工具57に開けられた貫通孔73から噴射さ
れる。
【0052】図7は、切削油ミスト、冷却水ミストの制
御及びフローを示したものである。極微小ミスト生成装
置となるMQLユニット53に関しては、工作機械の制御
装置からの指令が信号線78よりMQLユニット53に伝
えられると、MQLユニット内は切削油タンク54より極
微量の切削油Lをマイクロポンプ等で吸い出され、ミス
ト化させ、外部より導入した切削用ガスG1、またはエ
アーに分散・混合し、工作機械の内部配管52送り、こ
れが主軸貫通孔、工具ホルダ貫通孔、切削工具貫通孔を
順次通過し、切削工具57の刃先より切削ポイントに向
けて噴射される。冷却水ミスト生成装置60は、MQL側
とほぼ同様な方法であり、工作機械の制御装置からの指
令が信号線78より、防錆剤を含む冷却水タンク61よ
り適量の冷却水WWを吸い出され、これを冷却水ミスト
生成装置60でミスト化した後、外部より導入したエア
ーもしくは切削用ガスG2に分散・混合し、専用配管6
2を経由してノズル63よりワークに向けて噴射され
る。
【0053】冷却水ミスト生成側もMQL側とほぼ動作フ
ローはほぼ同様に見えるが、ミスト生成部分の構造は大
きく異なり、切削油Lを操作するMQL側が極小径の精密
な切削油ミストを安定して生成しなければならないのに
対し、冷却水側は一般的なミスト生成装置で十分な場合
が多いと思われる。これらの制御はNC機械の制御部によ
り、加工中リアルタイムでコントロール可能である。面
粗度を要求される場合や、タップ(ネジ穴)加工のよう
に摩擦抵抗の大きい加工の場合などは、切削油による潤
滑性の確保が大変重要になるため切削油の噴射量を増や
し、それ以外の加工においては、適宜、切削油の使用を
節約する等の操作を積極的かつ容易に行うことができ
る。勿論、冷却水ミストの関しても、ワーク等の発熱に
合わせて適宜使用量のコントロールが可能である。
【0054】図8にて、上記MQLユニット部分の構造的
な概要を述べる。ここでは2種類のMQLユニット記載
しているが、構造的に大きく異なる。まず第1の極微小
ミスト生成装置MJ1となるMQLユニット53を、図8
(a)に示すが、この方式におけるマイクロヘッド87
は、MQLユニット内のマイクロポンプ82により切削油
タンクから切削油Lが適量吸出され、これが超音波振動
素子83で微細な油滴に分散さる。これが配管8で導入
されたエアー、もしくは切削用ガスと混合室84内で分
散混合し、内部配管52を経由して刃先貫通孔73まで
移送され切削ポイントに噴射される。
【0055】このように主軸外部でオイルミストを生成
し、エアーもしくは切削用ガスに分散混合する場合は、
一般的なセンタースルー用の主軸をそのまま使用できる
ことが多く汎用的であるが、MQLユニットに高い性能が
求められる。つまり、生成される切削油ミストの粒子径
が大きいと、高速回転する主軸の遠心力で液化してしま
うため、これが移送中の損失となり、専用切削工具より
噴射する分が減ってしまい、必要以上に切削油を使って
しまう事になり、更に途中経路で液化した切削油の処理
・回収するための機構が別途必要になってしまう。従っ
て、主軸外で切削油ミストを生成する場合、途中経路上
で液化による損失を出さないようにするため、特に粒子
径の小さい切削油ミストを安定して生成することが運用
上重要なポイントとなる。上記MQLユニット53によ
ると、その平均粒子径はほぼ1μmとなる。
【0056】また第2の極微小ミスト生成装置MJ2とな
るMQLユニット53Aに関して、その基本構成を図8
(b)に示す。先に(a)で述べた構成に比べ、より噴
射ポイントに近いところで切削油を供給するためのもの
である。図8(b)では、工具ホルダの手前くらいの位
置で切削油ミストを供給しているが、構造的にシンプル
なため、設置場所は特に限定されるものではない。基本
的な構造は、マイクロヘッド87Aを切削用ガス、もし
くはエアーを移送するための主軸内に設けた貫通孔52
に割り込ませるように配置し、適宜切削油ミスト88を
噴射するものである。噴射される切削油の量は、工作機
械制御部より制御線86を経由してマイクロヘッド87
Aを直接動作コントロールすることにより行われる。こ
の方法の場合、切削工具刃先の噴射口により近いところ
で切削油ミストを供給することが可能であり、マイクロ
ヘッドを噴射口に近づくけることにより、より積極的に
切削油ミストの吐出量を制御できる。つまり、ミストを
供給した部分から切削工具刃先に設けられた噴射口まで
の距離が短いため、ミスト量の変更が極短時間で反映さ
れ、また短距離のため液化する量も非常に少なくするこ
とが可能である。部品加工のように加工内容が頻繁に変
わるような状況でも瞬時に適切な切削油ミスト量を無駄
なく供給することが可能である。
【0057】上記マイクロヘッド87、87Aに関して
はいくつかの機械構成があるが、その中で代表的と思わ
れる2種類を、図9、10にて説明する。第1のマイク
ロヘッド87の詳細構成は図9に示すものであり、振動
素子83としてピエゾ素子に代表されるような振動素子
92を使用しようしたものである。(a)がニュートラ
ル状態であり、(b)が切削油の吸い込み、(c)が切
削油の吐き出しを示している。稼働中は(b)(c)の
状態が交互に繰り返される。振動素子は電気信号により
制御され、(b)の状態になると振動素子92が奥にた
わみ、バッファータンク93の容積が大きくなろうとす
ることにより、切削油が配管91を経由してバッファー
タンク93に入る。次に(c)に示すように、振動素子
92が前にたわむことにより、バッファータンク93の
容積が小さくなろうとするため、中の切削油が噴射ノズ
ル94より切削油ミスト95(88)として飛び出す。
即ち、振動体となる振動素子92は、電気信号により、
その周波数と振幅が制御可能であって、この発振エネル
ギーが調節できる。上記振動体に、切削油を微量ずつ供
給し、この振動体の発振エネルギーで切削油を極微量
で、かつ極微小径の噴霧状の切削油ミストを生成する。
【0058】第2のマイクロヘッド87Aは図10に示
す。この方法では、急加熱より発生する気泡でノズル内
の切削油ミストを飛ばし、その後、気泡の消滅でノズル
内が負圧となり切削油を吸い込むという動作の繰り返し
により切削油ミストを連続的に噴射するものである。即
ち、噴射用ノズルの一部に取り付けられた発熱体となる
ヒーター97は電気信号によりリアルタイムの温度制御
が可能であり、パルス状の電気信号に合わせてヒーター
が瞬時に加熱・冷却をすることにより、ノズル内部で気
泡の発生、消失が繰り返され、切削油が極微量で、かつ
極微小径の噴霧状の切削油ミストが生成される。(a)
はニュートラル状態であり、(b)に示すように、噴射
ノズル94に接触配置された発熱体となるヒーター97
を急加熱させることにより、ノズル内部で気泡を発生さ
せ、この気泡によりノズル内の切削油が押し出され、噴
射ノズル94より切削油ミスト95(88)が飛び出
す。次に、(c)に示すように、気泡が発生した部分で
毛細管現象が起こり、切削油が吸い出され、気泡が発生
した部分に切削油が補充される。この(b)(c)の繰
り返しにより、連続的に切削油ミストが発生する。
【0059】なお、第1のマイクロヘッド87、第2の
マイクロヘッド87Aとも、簡略に表現するために図中
では噴射ノズルを1本として表現しているが、ノズル数
を増やせば切削油のミスト数を整数倍に増やすことが可
能であり、実際は数100本配置することも可能であ
り、能力的な問題はない。また、ノズルの内径を小さく
すれば切削油ミストの径を小さくすることも可能であ
る。上記の極微小ミスト生成装置MJ1、MJ2は、電
気的かつリアルタイム制御されるためミスト発生におい
て曖昧さがなく、その粒子径や吐出量の高精度な制御が
可能であり、また応答性にも優れるが、粒子径は現状1
0μm以上となっている。このマイクロヘッドに関して
は、そのコンパクトさ、応答性の良さ等の理由から切削
ポイントに近いところで使用されるため経路が短く、粒
子径の大きさが大きな問題となることは少ない。むしろ
瞬間の最大吐出量が大きいため、一時的に切削油が必要
になった場合でも、瞬時に対応することができる。な
お、数μm以下の粒子径にする必要がある場合は、マイ
クロヘッドから吐出された切削油ミストを別途気化器に
通し、内部で旋回流を起こし、ここで加熱することによ
り、粒子径を小さくすることが可能であり、切削油成
分、旋回流、温度を目的の粒子径に合わせて制御すれば
よい。
【0060】次に、図11において切削油ミスト95の
粒子径の違いに関して述べる。切削油ミストに関して
は、潤滑が主目的であるが、その使用量をいかに少なく
するかが重要であり、いかに切削油をできる限り薄く切
削ポイント周辺に塗布できるかがポイントとなる。従っ
て切削油ミストの単位体積当たりの表面積が大きくなる
ようにしたいので、粒子径を小さくするようにしたほう
が有利となる。(a)(b)の比較において明らかなよ
うに、(a)のように粒子径D1が大きい場合に比べ、
(b)の粒子径D2はより少ない切削油で切削ポイント
周辺を潤滑できる。一般にミスト粒子形状を球として考
えた場合、表面積は半径の2乗、体積は半径の3乗に比
例するため、単位体積当たりの表面積は、粒子径が小さ
いほど有利になることは明らかであり、いかに小径のミ
ストを作り出すかが鍵となるが、現状では1μm前後が
装置のコストとのバランスがとれた限界と思われる。
【0061】図12は切削油ミストが配管内で衝突等す
ることにより、切削油ミストが液化・損失する様子を示
す。(a)に示すように粒子径が大きい切削油ミスト1
01の場合、衝突により配管103内で液化104しや
すいため、途中の損失が大きく、切削油が無駄になる
が、それだけにとどまらず、配管等に切削油がある程度
溜まると、それがあるタイミングで一度に吹き出すなど
のトラブルが発生したり、内部に停滞した切削油の分、
実質的な配管径が小さくなり、これにより配管内の流速
が速くなり、更に切削油ミストの液化を促す悪循環も引
き起こす。また、センタースルーの主軸内部を通過する
際は、回転する主軸の遠心力により更に液化が進行する
ため、切削ポイントに到達する前に切削油ミストの大部
分を失ってしまう上に、液化した切削油の回収に注意を
払わなければいけなくなる。
【0062】これに対し、(b)で示すように、粒子径
が1μm程度に小さい切削油ミスト102の場合、単位
体積(質量)当たりの表面面積が大きいため、表面張力
が大きく働き、配管103に付着しにくくなる。仮に配
管内で衝突しても、そのまま反射105し、大部分が液
化することなく切削ポイントに到達することができる。
また、切削油ミストの液化に関しては配管内の衝突だけ
でなく、センタースルーの主軸内部を通過する際も、回
転する主軸の遠心力により液化をすることも少ない。つ
まり、ミストの粒子径が小さければ液化による途中の損
失を低く押さえることができ、切削油の有効使用効率、
環境面で非常に有利であり、このようにして切削工具の
噴射口まで到達した切削油ミストは、噴射口の先端を適
切に絞ることにより更に流速が増し、高速回転する切削
工具の刃先やワーク表面に衝突することにより、最終的
に切削油ミストが切削油が付着し、潤滑コーティングさ
れ、スムーズな切削が可能となる。
【0063】次に、図13において冷却水ミストに関す
る概略を説明する。冷却水ミストは一般に主軸外部より
ワークに噴射されるものであり、ノズル位置は主に2種
類が考えられる。第1に、主軸横に噴射ノズルを設置す
る例を(a)に示す。冷却水ミスト生成装置MJから冷
却水ミストエアーMAを配管62で主軸周辺まで移送
し、専用金具62で主軸横に取り付けられたノズル63
からワーク10に向けて噴射する。主軸横に設置した場
合は、常に加工ポイント付近に噴射することが可能であ
り、また、1個のノズルでも効率よくワーク全体を冷却
でき、加工ポイントに近いことから、加工中に発生する
切粉の排除にも貢献する。
【0064】第2に、テーブル側に噴射ノズル106を
設置する例を(b)に示す。冷却水ミスト生成装置MJ
から冷却水ミストエアーMAを配管62でテーブル上、
またはワーク付近まで移送し、専用金具107で主軸横
に取り付けられたノズル106からワーク10に向けて
噴射する。このようにテーブルに設置した場合は、冷却
ミストの噴射位置が固定されるため、随時移動する加工
ポイントに追従する冷却はできないが、ノズル等が主軸
周辺に干渉物がないため、工具交換時の干渉問題等に対
する特別な配慮をする必要がない。また主軸の位置によ
らずワークの重要な部位に対して集中的にブローできる
ため、特に精度維持が必要な部分や、特に切粉の溜まり
やすい部分に連続的にブローすることにより加工の信頼
性を向上させることができる。
【0065】また、ノズルに関しては固定式のみなら
ず、ノズル部分に関しては油圧、空圧、モーター等で工
作機械制御部、もしくは加工プログラム中の指令から自
由に可動させることも可能であり、ノズル先端部の向き
を揺動させれば1個のノズルで広範囲にワークを冷却す
ることも可能である。また冷却エアーを間欠で噴射すれ
ば、その衝撃により切粉が容易に排除できるため、加工
ポイント周辺において切粉の再噛み込みによる工具折損
を未然に防止できる。このような切粉除去に関しては、
余圧タンクを組み込めば間欠のブローの出力が増幅さ
れ、更なる切粉除去効果が期待できる。
【0066】噴射する冷却水ミストの量に関しては、常
に一定量であっても、ワークの急激な温度上昇を抑制す
る主目的は完遂できるが、より高度な制御も可能であ
る。つまり温度変化のない場合は冷却水ミストの噴射を
停止し、加工中にワークの温度が上昇した場合にのみ、
その温度上昇分に合わせ冷却水ミストの噴射量を可変さ
せることにより、より正確な温度管理が可能となり、ワ
ークの熱膨張による精度低下を最小限に押さえることが
可能である。
【0067】上記冷却水ミストによる、より高度な制御
の一例を、図14(a)に示す。ワーク10に取り付け
られた熱電対等の温度センサー108を取り付け、この
電気信号が信号線109を経由し、工作機械の制御装置
内に設けられた演算ユニットEUに送られ、ここで電気
情報が温度情報に変換され、冷却水ミストを噴射するた
めの指令が冷却水ミスト生成装置MJに送られ、ノズル
63より最適な量の冷却水ミストWAがワークに噴射さ
れる。冷却水噴射量の調整に関しては、ワーク表面に取
り付けた熱電対等の温度センサー108によりワークの
温度をリアルタイムで計算し、単位時間当たりの温度変
化より冷却水ミストの噴射量を調整することが可能であ
り、変動の少ない温度管理が可能である。これによりワ
ーク温度を安定化し、熱膨張を抑制することにより、よ
り高精度な加工が可能となる。温度管理としては、ワー
ク温度が室温と同じであることが理想条件であり、室温
に対してプラスマイナス数度の範囲内で制御されること
が望ましい。
【0068】ところで、金型加工の荒加工に代表される
ような重切削では、ワークだけでなく、切削工具の温度
上昇も無視できない状況になるが、図14(b)に示す
ように、冷却ミストを工具ホルダに噴射すれば、切削工
具から主軸への熱伝導による加工精度の悪化を積極的に
抑制することができる。その一例として図14(b)で
は、主軸55に熱電対等の温度センサー108を取り付
け、この電気信号が信号線109を経由し、工作機械の
制御装置内に設けられた演算ユニットEUに送られ、ここ
で電気情報が温度情報に変換され、冷却水ミストを噴射
するための指令が冷却水ミスト生成装置MJに送られ、
ノズル63より最適な量の冷却水ミストWAが主軸周辺
に噴射される。また、ノズルの方向を工具ホルダ56に
向ければ、工具ホルダ周辺部の切粉等を排除でき、工具
交換時の切粉の噛み込みなどのトラブルを未然に防止で
きる。
【0069】更に、ノズル63に関しては、これを可動
できるようにすることで、1個のノズルで主軸、ワーク
を交互に冷却できるし、ノズルを複数装備すれば、ワー
ク及び主軸に対して同時に対処できるようになる等の熱
膨張による精度低下を防止しつつ、切粉の除去、工具ホ
ルダの清掃に至り、トータルで大きな改善をもたらすこ
とができる。
【0070】また、これらの冷却水ミストに関しては、
各種の薬剤を添加することにより、冷却効果のみなら
ず、更なる効果を付加することができる。図15では、
防錆剤を希釈した冷却水ミストの例であり、これがどの
ように機能するかを示す。防錆剤としては、防錆油を界
面活性剤等で懸濁状態にして水に分散させたもの(エマ
ルジョン型)や、ベンゾトリアゾールのナトリウム塩や
カリウム塩を希釈したもの、リン酸塩等あるが、エマル
ジョン型の防錆剤の使用例を示す。まず、図15(a)
に示すように、ノズル63より防錆剤を含む冷却水ミス
トエアーWAがワーク10の表面に向けて噴射される
と、Cのように防錆剤の水溶液がワーク表面に薄く付着
する。そして図15(b)に示すように、ワーク表面に
薄く塗布された防錆剤を含む冷却水は、ワーク10に蓄
積した熱とエアーブロにより、溶媒である水分の気化が
促進され、ワークから積極的に気化熱を奪いただちに蒸
発し、これによりワークの温度が下げられる。そして、
水分が気化により、図15(c)に示すように、混合さ
れていた防錆剤がワーク表面を極薄く覆うことにより、
防錆のためのコーティングが施され、以降錆の発生が防
止される。
【0071】冷却水ミストによる塗布、ワーク冷却及び
乾燥、防錆剤によるワーク表面のコーティングは連続的
に進行するものであり、防錆剤によるワーク表面のコー
ティング層に関しては、時間と共に積層され徐々に成長
する。従って、切削時の発熱、ワークの錆やすさに応じ
て防錆剤の希釈率を調整する必要があるが、冷却水ミス
ト生成装置内においてバルブ制御等を付加すればリアル
タイムで希釈率を制御可能となり、荒加工から仕上げ加
工まで切削時の発熱量が大きく異なる場合でも常に理想
的な条件で冷却が可能となる。
【0072】次に、図16おいて、専用切削工具57の
酸化を抑制するために、刃先より噴射する切削用ガスG
Nに関して説明する。本例は、一般的なエンドミルによ
る平面加工の一例であり、この場合はまさしく刃先先端
の保護が重要なポイントとなる。図16に示すように、
切削用ガスGNは主軸、工具ホルダ、コレットを通過し
切削工具に至り、切削工具57の軸芯に設けられた貫通
穴73を通過し、工具刃先の噴射口42より噴射する。
切削中に最も熱的な負荷にさらされ酸化反応によるダメ
ージを受けやすい切削工具刃先を効率よく保護するため
に、切削用ガスは工具刃先に向けて直接噴射することが
望ましい。
【0073】上記の平面加工以外の例として図17に、
側面加工用孔付き切削工具(a)、溝加工用孔付き切削
工具(b)を示す。先ず、図17(a)においては、切
削工具114の軸芯に設けられた貫通孔73より切削用
ガスを導入し、これが切削工具内部で分配され、刃先側
面の複数の噴射口42から噴射する。側面加工のように
横刃を重点的に使用する場合は図17(a)のように噴
射口を一定間隔で上下方向に並べ、切削用ガスの噴射が
均一になるようにすることが望ましく、切削ポイントの
幅が大きくなるような場合は複数の噴射口を適切に配置
する必要がある。
【0074】次に図17(b)においては、切削工具1
11の軸芯に設けられた貫通孔73より切削用ガスを導
入し、これが切削工具内部で分配され、刃先底面及び刃
先側面の複数の噴射口42から噴射する。溝加工のよう
に刃先が広範囲にワークと接触するような加工において
は、横刃から側面まで隙間なく切削用ガスを供給し、更
に特に熱的負荷の大きい部分に対応するため特に刃先コ
ーナー部分に切削用ガスを確実に供給している。噴射口
のバリエーションに関しては、使用する切削工具により
様々な対応が必要になるが、熱的負荷の高いところに確
実にブローする事が第1の基本である。
【0075】しかしながら、切削用ガスを単純に噴射す
ればよいというわけではなく、噴射する方向が重要であ
る。つまり、切削用ガスによる効果の原則は工具刃先の
酸化防止であり、高温下で酸化しやすい状態にある工具
刃先周辺を切削用ガスで保護しなければならず、切削用
ガス雰囲気を刃先に作り出す必要がある。平面加工の例
における噴射口位置の根拠を図18で示す。図18
(a)に示すように、切削工具57の軸芯に設けられた
貫通孔73から直下に切削用ガスを噴射口42より噴射
した場合は、切削用ガスは真上に反射するか、もしくは
ワーク表面上に沿って流れてしまうため、肝心の刃先先
端のコーナー部分112の切削用ガスが希薄になってし
まう。これに対し図18(b)のように噴射口42を刃
先先端のコーナー部分112に向けて切削用ガスを噴射
すれば、適度な噴射角度の効果も伴い、刃先部分の切削
用ガス濃度が高くなり、かつ、切削用ガスの噴射により
切粉排除もスムーズになる。また、高濃度の切削用ガス
を使用する場合などにおいて、コスト面から切削用ガス
の量を最小にした場合であっても、上記のように適切な
噴射口を設ける事により少量の切削用ガスであっても切
粉の排除性を維持することが可能となる。
【0076】上記では切削用ガスの噴射する方向に関す
る重要性を述べたが、重要なのはそれだけではなく噴射
する強さも考慮しなければならない。つまり切削用ガス
に関しては、単純に強く噴射すれば良いというわけでは
ない。図19(a)に示すように、切削用ガスを噴射口
42から切削用ガスGNを強く噴射すれば、切削工具周
辺の気流の流れが大きくなり、結果的に周辺の空気を取
り込んでしまうことになり、空気中の酸素Aが不燃性ガ
ス雰囲気に侵入するぶん酸素濃度が上昇し、切削用ガス
の酸化抑制効果が減少してしまう。これに対し、図19
(b)のように噴射口42より噴射される切削用ガスの
出力を適度に絞ることにより周囲の空気の巻き込みが少
なくなり、切削用ガス雰囲気の酸素濃度の上昇を押さえ
ることができるため、切削用ガスを効率良く運用でき
る。
【0077】切削用ガスとして窒素を選択した場合、切
削工具表面の酸化防止にとどまらず、窒素原子の吸着や
窒化反応等の効果により、切削工具の寿命を更に延長で
きる。第1の効果は溶着防止効果であり、図20におい
て、切削中の高温下で化学的に活性化している工具刃先
表面、及び切粉表面に対して、適度な窒化反応が起こり
表面が保護される様子を示す。(b)に示すように、切
削中に発生する熱により、高温状態になっている工具刃
先表面に、切削用ガスとして窒素ガスNが吹き付けられ
ると、工具表面上に窒素が吸着後反応し、工具表面がコ
ーティング113され、工具表面が化学的に安定化し、
切粉と貼り付きにくくなるため溶着等のトラブルを起こ
しにくくなる。続いて(c)に示すように、切削により
発生した切粉21が切削工具の刃先表面に接触しても切
粉と切削工具表面の反応が抑制されているため、溶着が
起こりにくく、同時に切粉表面も適度に窒化されるた
め、双方で溶着が抑制される。続いて(d)に示すよう
に、切粉が工具刃先から離れれば、切削工具刃先表面に
再度窒素によるコーティングが再生され、効果が持続す
ることになる。
【0078】図21では、TiN等の組成でコーティン
グされている市販工具に対する窒素ガスの効果を示す。
切削工具表面のコーティングは、その大部分がTiN、
TiAlN、TiCN等に見られるように、チタンと窒
素の化合物で構成されており、窒素がコーティングの物
性に大きな影響を与えている。 (a)に示すように、加工中の切削工具表面のコーティ
ングは、高温状態であるたり、コーティング中から窒素
Nが脱離してしまい、代わりに酸素Oが取り込まれるこ
とによりコーティングの物性が低下していた。 (b)のように、切削用ガスとして窒素ガスを用いた場
合、周囲の酸素濃度が低下し高濃度の窒素ガスで満たさ
れているため、切削熱や多少の酸化反応により窒素Nが
脱離しても、それと平行して、周囲の窒素Nが吸着さ
れ、コーティング中に再吸収されるため、工具表面のコ
ーティング材の劣化を抑制することが可能となり、工具
寿命が更に改善されることとなる。また窒素はコーティ
ング層だけへの作用にとどまらず、コーティングが剥離
し切削工具の母材が露出した部分に対しても窒化反応に
より母材を強化・保護するため、切削工具の急激な破綻
をある程度食い止めることができる。
【0079】一般に金属表面に対しては酸素が非常に化
学吸着されやすいため、切削時の摩擦熱により高温にさ
らされるコーティング層は酸化により劣化しやすい。コ
ーティングの性能評価の重要な項目に耐酸化性があるこ
とから明らかなように、工具メーカーは耐酸化性の改善
に努めており、酸化反応がコーティング層に及ぼす悪影
響は非常に大きい。本発明の一形態である、窒素ブロー
加工では、刃先周辺が窒素雰囲気であり、酸素濃度が低
く抑制されている。このため、本来反応性に富む酸素の
影響が減少し、代わりに、切削による熱エネルギーを逆
に利用し、酸化反応を押さえつつ、コーティング層と窒
素が反応させることにより新たな効果をもたらすことが
できる。切削工具の改善のために、工具メーカーは切削
工具の表面に各種のコーティング膜を施しているが、コ
ーティングの物理的及び化学的な性能の差はあるもの
の、TiN、TiCN、TiAlN等の組成が一般的で
ある。これらは全てチタンと窒素の化合物であり、窒素
原子がコーティング中に非常に多く含まれており、これ
がコーティングを化学的に安定なものにしている所が、
従来のエアーブローにより加工すると、切削熱によりチ
タンと窒素の結合がゆるむが、窒素とチタンの結合エネ
ルギーをこえて発熱すれば、コーティング中の窒素原子
が脱離しコーティングの物性が低下する。切削工具の発
熱に関しては温度分布があり、刃先先端は非常に高温と
なり窒素原子の脱離は不可避となる。チタンは本来高温
下で反応性に富む金属であるため、周囲に酸素があれば
直ちに酸化反応を起こす。チタンと窒素の結合に代わり
チタンと酸素の結合に置換し、さらにコーティング中の
窒素も酸素と結合して脱離してしまい、コーティングと
しての物性が更に低下する。これにより、急激にコーテ
ィング層が物理的及び化学的に劣化し、早期に工具交換
に至ることになる。本発明の一形態である窒素ブロー加
工においては、金属との反応性が高い酸素が周囲にほと
んど存在しないため、コーティング中のチタンが酸素の
攻撃を受けず、酸素濃度も低いため、切削熱によりコー
ティング中から窒素が脱離しにくい。切削熱により、コ
ーティング中の窒素のいくらかは周囲に脱離するが、周
囲が窒素雰囲気のため、窒素がコーティング層に再吸着
し、高温下で反応性をもったチタンと窒素が再結合し、
コーティング層が再生される。これにより、窒素ブロー
に関しては、切削工具表面の酸化反応抑制だけの効果の
みならず、コーティング層の修復効果があるため、窒素
を含むコーティング層に関しては、非常に有効と言え
る。本来、窒素は安定な分子であり、通常のエアーブロ
ー加工のように、周囲に酸素が多く存在すると、先に酸
化反応が起こってしまうが、窒素ブロー加工では周囲に
酸素が存在しないため、酸化反応が抑制され、代わりに
窒素の反応が起こる。
【0080】チタン、モリブデン、タングステン、鉄、
クロム等の金属と窒素の吸着に関しては、状況により形
態が異なる。つまり、窒素は低い温度では分子状吸着、
高い温度では原子状吸着している。分子吸着はコーティ
ングの表面に付着している程度のものであるのに対し、
原子状吸着は化学的にコーティング層に浸透した状態で
ある。窒素の分子吸着から始まり、更に窒素がコーティ
ング層内部に侵入し、コーティング層に吸収されてい
く。
【0081】本発明は、上記各実施形態に限定されるこ
となく、発明の要旨内での設計変更が自由に行えるこ
と、勿論である。例えば、切削用ガスは窒素ガス以外
に、炭酸ガス、ヘリウムガス等の1種類の不活性ガス、
不燃性ガスや、2種類以上の不活性ガス、不燃性ガスを
混合したもの、また、消火専用ガスも使用できること勿
論であり、工具に関してもスクエアエンドミルだけでな
く、ボールエンドミル、スロアウエイエンドミル、フェ
イスミル、ドリル等の切削工具にも使用できること勿論
である。また、温度センサーに関しては、熱電対をワー
クに貼り付けるのが一般的であるが、それ以外にも熱源
が発生する赤外線を検知し、非接触でワークの温度を測
定できる線放射温度計の利用も可能である。
【0082】小径工具の場合、軸芯と工具刃先の半径距
離が小さいため、工具軸芯よりそのままガスを噴射して
も十分な効果が期待できる。更にガス噴射が切削工具の
逃げ面に対して行われたとしても、加工点周辺を効率よ
くガス雰囲気にし、工具刃先の酸化を防止する趣旨に違
いはなく、このような噴射方法によっても発明の要旨内
であること明白である。
【0083】
【発明の効果】本発明の請求項1によると、本発明のM
QLユニットに代表されるような極微小の切削油ミスト
を使用することにより切削油の使用量を従来より大幅に
少なくすることができ、更に加工後のワークに付着する
切削油も同様に少なくなることにより、ワークに付着し
た切削油の除去の手間がかからないうえ、切削油を媒介
とした切粉の貼り付きも少なくなるため、切削油の使用
削減による環境改善と後処理の工数を削減できる。ま
た、切削油の飛散が極めて少なくなることにより、加熱
した切粉が周囲に飛散しても引火による火災の危険性が
無くなり安全に加工を行うことができる。
【0084】本発明の請求項2によると、請求項1のエ
アーの代わりに不活性ガスや不燃性ガスである切削用ガ
スを使用することにより、無酸化状態にし、切削工具の
刃先表面で進行する酸化反応を抑制し工具寿命の改善を
もたらすことができる。金型材に代表されるような高硬
度材では切削時の発熱が非常に大きい。このため従来
は、工具刃先において酸化反応が進行し工具寿命が短か
くなり、頻繁に工具を交換しなければならず、工具交換
の工数と切削工具のコストが非常に大きなウエイトをし
めていた。しかし、切削用ガスを用いることにより工具
寿命を大きく延ばすことができるため、大きな改善をも
たらすことができる。更に、本発明のMQLユニットのよ
うに極微小の切削油ミストと併用すれば、工具寿命、加
工面品質とも向上し、後行程の省力化も実現でき、トー
タルで大きな改善が可能である。また、不燃性ガスと本
発明のMQLユニットは切削時のメリットだけでなく、主
軸内の潤滑にも応用可能であり、切削油が酸化しない状
況から主軸内のベアリングの寿命も延長できるなど二次
的な効果をもたらすことができる。
【0085】本発明の請求項3によると、本発明のMQ
Lユニットとなる極微小切削油ミスト生成装置に関し
て、ピエゾ素子等の振動体を用いることにより、従来型
ユニットより小型でシンプルな機械構成とすることがで
き、噴射されるミスト粒子の数は振動体の周波数とほぼ
比例する程の制御性も兼ね備えている。また小型軽量の
ため設置場所を選ばないため、切削工具により近いとこ
ろから切削油ミストを供給可能となる。従って、リアル
タイムで必要なミスト量の正確に供給できるうえ、加工
行程の内容によりミスト噴射量の指令が大きく変動して
も、途中経路が短いため直ちにミスト量変更が反映され
る。つまり、多くのミストを使用するネジきり加工の際
は切削油ミストを瞬時に増やし、その行程が終了したな
ら瞬時にミスト量を下げるというような制御が現実に可
能である。
【0086】本発明の請求項4によると、請求項3の振
動体の振幅に替えて発熱体による発熱エネルギーによる
機構であるが、請求項3に示した切削油ミスト生成装置
と同様の効果をもたらすことができる。
【0087】本発明の請求項5によると、冷却水ミスト
を圧縮エアーと共にワークに噴射することにより、切削
熱の温度上昇によるワーク熱膨張を抑制し加工精度の維
持を可能にすると共に、切削ポイント周辺の切粉除去も
可能である。冷却水ミストに関しては、圧縮エアーを伴
っているため、ワークに付着した水分の気化が促進され
速やかにワークが冷却できるうえ、過剰に冷却水ミスト
が噴射した場合でも気化促進により直ちに蒸発するため
周囲を濡らすことがない。また、錆びやすいワークを冷
却する場合、窒素ガス等と共に冷却水ミストを噴射すれ
ばワーク表面の錆の発生を抑制できる。更に、圧縮エア
ーの噴射を脈動にすれば更に切粉の排除能力が高まり、
切削工具に切削中の切粉の噛み込むトラブルを未然に防
止することができる。
【0088】本発明の請求項6によると、冷却水ミスト
を圧縮エアーと共に主軸、工具ホルダ、切削工具等に噴
射することにより、切削熱が主軸に伝導していくのを防
ぎ、主軸の熱膨張による精度劣化を抑制する。また、こ
の冷却水ミストブローは冷却のみならず、クリーニング
効果もあり、工具ホルダ等に付着した切粉等を速やかに
除去することが可能であり、工具交換時に工具ホルダと
共に切粉が機内に持ち出されることを防ぐことができる
ため機会トラブルの発生を未然に防止することができ
る。工具ホルダの清掃効果に関しては、工具交換の際に
顕著となり、工具交換時にむき出しとなる工具ホルダの
テーパー面をブローすることにより、精度上重要なテー
パー面に切粉等が付着しないため、切粉を大量に発生さ
せる加工に関しては非常にメリットが大きい。更にノズ
ルをプログラム指定等により可動できるようにすれば、
1個のノズルであらゆる個所を冷却・清掃でき、また複
数のノズルを設ければ、より確実に上記効果をもたらす
ことができる。
【0089】本発明の請求項7によると、請求項5にお
いて、冷却水ミストに防錆剤を希釈することにより、請
求項5で述べた効果に合わせて、ワークの錆発生を防ぐ
ことができる。また、冷却水に洗剤を希釈した場合は、
ワークに表面に僅かに残る油分を除去することができ、
後の洗浄行程を減らすことが可能となる。
【0090】本発明の請求項8によると、請求項5にお
いて、冷却水ミストに各種の表面処理剤を希釈すること
により、ワーク表面の化学処理を行うから、冷却水にリ
ン酸塩を希釈した場合は、これがワーク表面で化学反応
することによりリン酸塩の皮膜が生成し防錆効果を得る
ことができるまた、冷却水に洗剤を希釈した場合は、ワ
ークに表面に僅かに残る油分を除去することができ、後
の洗浄行程を減らすことが可能となる。
【0091】本発明の請求項9によると、加工するワー
クの温度を監視し、リアルタイムで冷却水ミストとエア
ーがワークに噴射する量を制御することにより、ワーク
の温度変化を抑制し、熱膨張を最小限に押え加工精度の
安定化をもたらすことができる。制御に関しても、温度
差による制御だけでなく、単位時間当たりの温度変化を
はかり、より積極的にワーク温度の安定化することが可
能である。また、異常な温度上昇があった場合には、切
削工具の異常とみなし加工を中断させるなどの措置を自
動で行うことも可能であり、事故を防ぎ、切削工具のト
ラブルによる損失を削減することが可能である。
【0092】本発明の請求項10によると、加工中の主
軸の温度を監視し、リアルタイムで冷却水ミストとエア
ーが主軸に噴射する量を制御することにより、主軸の温
度変化を抑制し、熱膨張を最小限に押え加工精度を安定
化をもたらすものである。制御に関しても、温度差によ
る制御だけでなく、単位時間当たりの温度変化をはか
り、より積極的にワーク温度の安定化することが可能で
ある。また、異常な温度上昇があった場合には、切削工
具の異常とみなし加工を中断させるなどの措置を自動で
行うことも可能であり、事故を防ぎ、切削工具のトラブ
ルによる損失を削減することが可能である。
【0093】本発明の請求項11によると、請求項5、
7、8、9において、ワークに対して行っていた冷却、
防錆、表面処理を、切削工具や工具ホルダに対して行う
ことにより、切削工具や工具ホルダを冷却するととも
に、表面の防錆や表面処理等も行うことにより、切削工
具や工具ホルダを高精度かつ清浄な状態で維持すること
が可能である。
【0094】本発明の請求項12によると、請求項5、
7、8、9において、圧縮エアーの代わりに窒素ガス、
炭酸ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等に代表される
ような不活性ガスや不燃性ガスを用いることにより、加
熱されているワークにミスト状態の水溶液を噴射して
も、ガスがワーク周辺を覆い酸素濃度を下げるため、ミ
スト状の水分が加熱したワーク表面で錆を発生させるこ
とを防ぐことができる。また、防錆剤や表面処理剤等が
高温下で酸化により変質することを防ぐこともでき、こ
れらの効果が十分に発揮される。さらに、仮に可燃物に
相当するような物質が含まれていても、不活性ガスや不
燃性ガス雰囲気中では燃焼に必要な酸素の濃度が低いた
め出火する危険も防止できる。
【0095】本発明の請求項13によると、請求項11
において、圧縮エアーの代わりに窒素ガス、炭酸ガス、
ヘリウムガス、アルゴンガス等に代表されるような不活
性ガスや不燃性ガスを用いることにより、加熱されてい
るワークにミスト状態の水溶液を噴射しても、ガスがワ
ーク周辺を覆い酸素濃度を下げるため、ミスト状の水分
が加熱した工具及び工具ホルダ表面で錆を発生させるこ
とを防ぐことができる。また、防錆剤や表面処理剤等が
高温下で酸化により変質することを防ぐこともでき、こ
れらの効果が十分に発揮される。さらに、仮に可燃物に
相当するような物質が含まれていても、不活性ガスや不
燃性ガス雰囲気中では燃焼に必要な酸素の濃度が低いた
め出火する危険も防止できる。
【0096】本発明の請求項14によると、請求項6、
10において、圧縮エアーの代わりに窒素ガス、炭酸ガ
ス、ヘリウムガス、アルゴンガス等に代表されるような
不活性ガスや不燃性ガスを用いることにより、ミスト状
の水分が主軸周辺に錆を発生させることを防ぐことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す工作機械の正面図
である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す工作機械の正面図
である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す工作機械の正面図
である。
【図4】本発明の第4実施形態を示す工作機械の正面図
である。
【図5】本発明の専用切削工具を保持する専用工具ホル
ダの正面図である。
【図6】本発明の専用切削工具を保持する専用工具ホル
ダの正面図である。
【図7】本発明の切削油ミスト及び冷却水ミストの供給
を示すフロー図である。
【図8】本発明のMQLユニットの構成図である。
【図9】振動素子を使用したマイクロヘッドの構成図で
ある。
【図10】ヒーターを使用したマイクロヘッドの構成図
である。
【図11】切削油ミストの粒子径と体積の関係を示した
概略図である。
【図12】配管内で起こる切削油ミストの液化現象の説
明図である。
【図13】冷却水ミストブローによるワークの冷却を示
す概略図である。
【図14】冷却水ミストによるワーク及び主軸の温度調
整を示す概略図である。
【図15】防錆剤を含む冷却水ミストの保護膜生成を示
す作用図である。
【図16】本発明に使用される専用切削工具の断面図で
ある。
【図17】本発明に使用される専用切削工具の断面図で
ある。
【図18】本発明に使用される専用切削工具の切削用ガ
ス噴射角度の効果を示す概略図である。
【図19】本発明に使用する専用切削工具の切削用ガス
雰囲気を示す概略図である。
【図20】窒素ガスによる刃先表面保護を示す作用図で
ある。
【図21】窒素ガスによる刃先表面の修復を示す作用図
である。
【図22】ドライ加工用の従来の機械構成を示す概観図
である。
【図23】従来の工具ホルダの断面図である。
【図24】従来のドライ加工の加工プロセスを示す概略
図である。
【図25】溶着による工具刃先の損傷を示す概略図であ
る。
【図26】セミドライ加工用の従来の機械構成を示す概
観図である。
【図27】従来のセミドライ加工の切削油供給部を示す
概観図である。
【図28】サーマルストレスによる工具の破損を示す概
略図である。
【符号の説明】
1 主軸頭 2 主軸 3 工具ホルダ 4 切削工具 5 切削油タンク 6 ミスト生成装置 7 ノズル 8 配管 9 エアーコンプレッサー 10 ワーク 11 テーブル 12 コレット 13 テーパー部 14 テーパー穴 15 切削油 16 切削油供給配管 17 配管 18 切削油ミスト 19 取付金具 20 刃先の脱落部分 21 切粉 22 すくい面 22A すくい面の先端 23 工具刃先 25 接触面(溶着部分の界面) 26 刃先先端部 27 刃先の脱落部分(サーマルストレス) 28 クラック 42 刃先の噴射口 51 窒素生成装置 52 内部配管 53 MQLユニット(極微小ミスト生成装置) 53A MQLユニット(極微小ミスト生成装置) 54 切削油タンク 55 主軸 56 工具ホルダ 57 孔付き専用切削工具 58 主軸頭 60 冷却水ミスト生成装置 61 冷却水タンク 63 冷却水ミストブロー用ノズル 64 取付金具 71 専用コレット 72 工具ホルダ内の貫通孔 73 切削工具内の貫通孔 74 工具ホルダ内ガス移送経路 75 工具ホルダ 78 信号線 82 マイクロポンプ 83 超音波振動素子 84 混合室 87、87A マイクロヘッド 86 制御線 88、95 切削油ミスト 91 配管 92 振動素子 93 バッファータンク 94 噴射ノズル 95 切削油ミスト 97 ヒーター 101 大径ミスト 102 小径ミスト 103 配管 104 液化 105 反射 106 ノズル 107 取付金具 108 温度センサー 109 信号線(温度センサー用) 111 溝加工用切削工具 112 刃先コーナー部 113 窒素によるコーティング 114 側面加工用切削工具 A 圧縮エアー C 保護膜 D1 大径ミストの直径 D2 小径ミストの直径 E 圧縮エアー EU 演算ユニット G 切削用ガス G1 切削用ガス G2 切削用ガス GA 切削用ガス+エアー GN 切削用ガス+窒素ガス L 切削油 M 切削油ミスト MA 冷却水ミストエアー MJ 冷却水ミスト生成装置 MJ1、MJ2 極微小ミスト生成装置 N 窒素 O 酸素 W 冷却水 W1 冷却水ミスト WA 冷却水混合エアー WN 冷却水混合窒素ガス WW 冷却水 100 従来のドライ式工作機械 110 従来のセミドライ式工作機械 120 第1実施形態の工作機械 130 第2実施形態の工作機械 140 第3実施形態の工作機械 150 第4実施形態の工作機械

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面に開口されて
    おり、上記貫通孔内に圧入したエアーは切削油を微少量
    としたミストと共に切削刃面からワーク加工面に向けて
    直接噴射させ、加工することを特徴とする加工方法。
  2. 【請求項2】切削工具の軸芯部等にあけた貫通孔は、ワ
    ーク加工面と直接触れて切削する切削刃面に開口されて
    おり、上記貫通孔内に圧入した切削用ガスは切削油を極
    微少量としたミストと共に切削刃面からワーク加工面に
    向けて直接噴射させ、切削刃面の加工点及びこの近傍周
    辺を濃厚なガス雰囲気にした状態でワークを加工するこ
    とを特徴とする加工方法。
  3. 【請求項3】工具刃先やワーク加工面にミストを供給す
    るミスト生成装置において、電気信号により、その周波
    数と振幅を制御可能な振動体に切削油を微量ずつ供給
    し、振動体の発振エネルギーで切削油を極微量で、かつ
    極微小径の噴霧状に生成することを特徴とする極微小ミ
    スト生成装置。
  4. 【請求項4】工具刃先やワーク加工面にミストを供給す
    るミスト生成装置において、電気信号により、その発熱
    量を制御可能な発熱体に切削油を微量ずつ供給し、発熱
    体の発熱エネルギーで切削油を極微量で、かつ極微小径
    の噴霧状に生成することを特徴とする極微小ミスト生成
    装置。
  5. 【請求項5】ミスト状態にした水と、圧縮エアーとをノ
    ズルより加工するワークに噴射し、水の気化熱と気化を
    促進させる圧縮エアーとの相乗作用により、ワーク冷却
    を行うことを特徴とするワークの冷却方法。
  6. 【請求項6】ミスト状態にした水と、圧縮エアーとをノ
    ズルより工作機械の主軸に装着した工具ホルダ周辺に噴
    射し、水の気化熱と気化を促進させる圧縮エアーとの相
    乗作用により、主軸冷却を行うことを特徴とする主軸の
    冷却方法。
  7. 【請求項7】防錆剤を希釈しミスト状態にした水と、圧
    縮エアーとをノズルより加工するワークに噴射し、水の
    気化熱と気化を促進させる圧縮エアーとの相乗作用によ
    り、ワーク冷却と、ワーク表面を防錆処理することを特
    徴とするワークの冷却・防錆方法。
  8. 【請求項8】表面処理剤を希釈しミスト状態にした水
    と、圧縮エアーとをノズルより加工するワークに噴射す
    ることにより、水の気化熱と気化を促進する圧縮エアー
    の相乗作用により、ワーク冷却と、ワーク表面を化学処
    理することを特徴とするワークの冷却・表面処理方法。
  9. 【請求項9】加工するワーク温度をセンサーにより監視
    し、ワーク温度が設定温度を超えると、適宜、水を溶媒
    とする液体をミスト状態で圧縮エアーと共にノズルより
    加工するワークに噴射し、ワーク温度を設定温度以下に
    して熱膨張を抑制することを特徴とする請求項5または
    7または8記載のワークの冷却方法。
  10. 【請求項10】加工中の主軸温度をセンサーにより監視
    し、主軸温度が設定温度を超えると、適宜、水を溶媒と
    する液体をミスト状態で圧縮エアーと共にノズルより主
    軸付近に噴射し、主軸温度を設定温度以下にして熱膨張
    を抑制することを特徴とする請求項6記載の主軸の冷却
    方法。
  11. 【請求項11】請求項5のワークの冷却方法、又は請求
    項7のワークの冷却・防錆方法、又は請求項8の冷却・
    表面処理方法、又は請求項9のワークの冷却方法におい
    て、上記ワークの冷却に替えて、切削工具または工具ホ
    ルダの冷却を行うことを特徴とする切削工具及び工具ホ
    ルダの冷却・防錆・表面処理方法。
  12. 【請求項12】上記圧縮エアーを不燃性ガス又は不活性
    ガスに変更したことを特徴とする、請求項5、又は7、
    又は8、又は9記載のワークの冷却・防錆・表面処理方
    法。
  13. 【請求項13】上記圧縮エアーを不燃性ガス又は不活性
    ガスに変更したことを特徴とする、請求項11記載の切
    削工具及び工具ホルダの冷却・防錆・表面処理方法。
  14. 【請求項14】上記圧縮エアーを不燃性ガス、又は不活
    性ガスに変更したことを特徴とする請求項6、又は10
    記載の主軸の冷却方法。
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