JP2002061654A - 動圧軸受部品およびそれを用いた動圧軸受、スピンドルモータ - Google Patents

動圧軸受部品およびそれを用いた動圧軸受、スピンドルモータ

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Takeshi Hattori
剛 服部
Rieishi Horibe
理英子 堀辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼き付きを生じず、しかも長期間にわたって
劣化しない動圧軸受部品を提供する。 【解決手段】 表面硬度Hvが600以上の基材上にダ
イヤモンドライクカーボン膜を形成する。ここで基材と
して鋼を用い、鋼表面を熱処理することによって表面硬
度Hvを600以上としてもよい。処理が容易である点
および処理できる鋼の選択幅が広い点から、前記熱処理
としては窒化処理が好ましい。また処理後の表面粗度を
抑えるためには、窒化処理により形成される層の層厚を
10μm以下にするのがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動圧軸受部品に関
し、より詳細には、ダイヤモンドライクカーボン(以下
「DLC」と記すことがある)膜が表面に形成された動
圧軸受部品に関するものであり、さらにはそれを用いた
動圧軸受、スピンドルモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】HDDや高容量FDDなどの磁気ディス
ク装置は年々著しく高容量化、小型化が進み、そこで使
用されるスピンドルモータには、高速化に耐えられる寿
命と静寂性、優れた振れ精度が要求される。そこで、ス
ピンドルモータの軸受け構造として玉を使わずに、気体
や液体を介して軸のまわりを回転させる方式の動圧軸受
が開発されてきた。動圧軸受の構造は、大きくはスラス
トプレートを有する軸(シャフト)部材と回転軸を支え
るスリーブ部材とからなる。動圧軸受において、スピン
ドルモータ回転中は軸と回転体の間に普通は流体が介在
しているが、シャフト部材とスリーブ部材との間に接触
が起こらないわけではない。特にスピンドルモータの起
動時と停止時には、シャフト部材とスリーブ部材との間
で接触が起こるのが普通である。したがって、ここで使
用されるシャフト部材の特性として、相対するスリーブ
部材との耐焼き付き性と耐摩耗性を確保することが重要
である。さらに回転部を支えるための機械的強度と硬度
を確保することも重要である。
【0003】このような軸部材およびスリーブ部材に使
用する材料としては、汎用性及び低コスト、優れた加工
性を有することから、鋼材、中でもステンレス鋼が広く
用いられていた。しかしながら、軸部材およびスリーブ
部材の双方にステンレス鋼を使用した場合、軸部材とス
リーブ部材が何らかの原因で接触すると、接触部での温
度が急激に高くなって、両部材の金属が溶融しやすくな
り焼き付きが生じる。そこで従来は、このような焼き付
きを防止するため、軸部材とスリーブ部材とを異なる材
料にしていた。例えば一方にステンレス鋼を用い、もう
一方に窒化処理により表面硬度を高くしたステンレス鋼
を用いる組み合わせ、あるいは一方にステンレス鋼を用
い、もう一方に硬質なDLC膜を表面に形成したものを
用いる組み合わせなどが一般的に用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窒化処理による表面の
高硬度化で焼き付きをある程度抑制することはできる
が、未だ充分とはいえない。また窒化処理後は表面の面
粗度が大きくなるため表面研磨する必要がある。一方、
DLC膜によれば焼き付きは有効に防止できるものの、
DLC膜を形成する基材が柔らかいと、衝撃に対する変
形度合いの差からDLC膜にクラックが入ったり、DL
C膜が剥離するといった問題があった。
【0005】本発明は、このような従来の問題に鑑みて
成されたものであり、焼き付きを生じず、しかも長期間
にわたって劣化しない動圧軸受部品を提供することをそ
の目的とするものである。
【0006】また本発明の目的は、焼き付きが発生せ
ず、長期間安定して使用できる動圧軸受およびスピンド
ルモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の動圧軸受部品は、表面硬度Hvが600以上の
基材上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成する構成
とした。
【0008】ここで基材として鋼を用い、鋼表面を熱処
理することによって表面硬度Hvを600以上としても
よい。処理が容易である点および処理できる鋼の選択幅
が広い点から、前記熱処理としては窒化処理が好まし
い。また処理後の表面粗度を抑えるためには、窒化処理
により形成される層の層厚を10μm以下にするのがよ
い。
【0009】また本発明によれば、軸部材と、該軸部材
に対し微小間隙を有して周設されたスリーブ部材とを備
え、前記スリーブ部材が前記軸部材の回りに相対的に回
転可能にされた動圧軸受において、前記スリーブ部材お
よび前記軸部材の一方に請求項1〜3のいずれかに記載
の動圧軸受部品を用い、他方に表面硬度Hvが300以
下の金属部品を用いたことを特徴とする動圧軸受が提供
される。
【0010】さらに本発明によれば、前記の動圧軸受を
備えたことを特徴とするスピンドルモータが提供され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者等は、動圧軸受部品の焼
き付きを防止するためにDLC膜を用いることとし、D
LC膜の欠点であるクラックや剥離の発生を防止できな
いか鋭意検討を重ねた結果、DLC膜のクラックや剥離
現象は、基材とDLC膜との硬度の差が大きいことに起
因して生じることを突き止め本発明をなすに至った。
【0012】すなわち本発明の動圧軸受部品の大きな特
徴は、表面硬度Hvが600以上の基材上にDLC膜を
形成した点にある。表面硬度の高い基材を用いること
で、基材とDLC膜との硬度差を小さくし、DLC膜の
クラック及び剥離を防止するのである。
【0013】本発明では基材の表面硬度Hvを600以
上とすることが重要である。表面硬度が600未満の場
合、DLC膜との硬度差が大きくなりすぎて、DLC膜
にクラックや剥離が生じるからである。より好ましい表
面硬度Hvとしては900以上である。このような基材
としては特に限定はなく、例えば熱処理により表面硬度
が比較的簡単に挙げられる点で鋼が好ましく、加工性と
汎用性の点からステンレス鋼がより好ましく、さらには
快削性ステンレス鋼が特に好ましい。このようなステン
レス鋼としては例えばSUS303、SUS304Se、SUS304Pbなど
のオーステナイト系ステンレス鋼やSUS416、SUS420F、S
US420Pbなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS430F
などのフェライト系ステンレス鋼などを一例として挙げ
ることができる。もちろん本発明で使用できる鋼はこれ
らに限定されるものではない。
【0014】鋼の表面硬度を上げるために行う熱処理と
しては、一般的な真空焼き入れ、浸炭焼き入れの他、浸
炭窒化、浸硫窒化および窒化処理が挙げられる。これら
の熱処理の中でも窒化処理は、ステンレス鋼の選択肢が
広く、Hv1,000以上の非常に高い表面硬度が得られる
ことから特に望ましい。ここで窒化処理としては、塩浴
窒化に代表される液体窒化、ガス窒化、イオン窒化など
従来公知の処理方法を用いることができる。
【0015】ただし、窒化処理は、通常の真空焼き入
れ、浸炭焼き入れに比べ、Hv1,000以上という高い表
面硬度が得られる反面、窒化処理により材料が膨張して
寸法が大きくなり、また化合物層が形成されるために表
面が荒れて凹凸が生じるので、通常は最表面層を研磨・
除去して使用する必要がある。このような窒化処理後の
表面研磨・除去を回避するためには、窒化処理により形
成される層の層厚を10μm以下とすることが推奨され
る。より好ましい層厚としては5μm以下である。なお
窒化処理層の層厚の制御は主に処理時間により行えばよ
い。
【0016】前記基材上に形成するDLC膜は、膜中の
炭素同士が部分的にダイアモンド結合(SP3)をして
いるため硬度が高く傷や摩耗に強い。このようなDLC
膜は、たとえばプラズマCVD法やイオンプレーティン
グ法により形成することができる。DLC膜の形成方法
の一例を図1に示す。図1は、プラズマCVD法を用い
てDLC膜を成膜する場合の概説図である。このプラズ
マCVD装置においては、高真空容器101の中に一端
が開放されたカップ状の反応器102が配置されてい
る。この反応器102内の底部にはフィラメント104
は配設され、このフィラメント104の近接上方にはア
ノード106が配設されている。また、フィラメント1
04はフィラメント電源103に、アノード106はア
ノード電源105にそれぞれ接続されている。反応器1
02の開放端から所定の距離を隔てて対向するようにし
て、基材107が配置されている。この基材107と、
上記反応器102との間に、リフレクタ電源108及び
バイアス電源109によって所定の電圧が印加されてい
る。
【0017】このような装置において、エチレンガス等
の炭化水素ガスが反応器102の底部から供給される
と、反応器102内における200℃〜500℃の加熱
下でのアーク放電プラズマによって、上記炭化水素ガス
は分解され、それにより生成されたプラズマ中のイオン
や励起分子が、基材107の表面に対して所定の電気的
加速エネルギーをもって衝突し、その結果、DLC膜が
基材107上に成形される。
【0018】このようにして成膜されたDLC膜の厚さ
としては0.5〜2μmの範囲が好ましい。膜厚が0.
5μm未満の場合には、薄すぎて破損するおそれがあ
り、また焼き付き防止作用が充分に得られないおそれが
ある。一方、膜厚が2μmを超える場合には、膜の形成
に長時間が必要となる割に作用が強化されないので非効
率となる。より好ましい膜厚は0.8〜1.2μmの範
囲である。
【0019】次に本発明の動圧軸受について説明する。
本発明の動圧軸受の大きな特徴は、スリーブ部材および
軸部材の一方に、DLC膜が形成された前記動圧軸受部
品を用い、他方に表面硬度Hvが300以下の金属部品
を用いる点にある。このような構成によれば、スリーブ
部材と軸部材との表面硬度の差が大きいので、両者が接
触しても焼き付きが起こりにくく、また接触時の衝撃を
表面硬度Hv300以下の金属部品が吸収するので、D
LC膜の剥離も起こりにくい。
【0020】図2に、本発明の動圧軸受の一実施態様を
示す断面図を示す。スリーブ部材であるスリーブ2は、
軸部材の一部であるシャフト1に微小間隙(クリアラン
ス)を隔てて周設されている。そして、シャフト1の表
面にはDLC膜4が形成されている。クリアランスには
潤滑流体3が保持されている。またスリーブ2には、ヘ
リングボーン状やスパイラル状の動圧発生溝(不図示)
が形成されている。このような構成の流体動圧軸受にお
いて、スリーブ2が回転すると、スリーブ2とシャフト
1とのクリアランスに保持されている潤滑流体3が動圧
発生溝(不図示)の溝パターンに沿って押圧されて潤滑
流体3中に局部的な高圧部分が生じて、スリーブ2のラ
ジアル方向及びスラスト方向の荷重を支持するようにな
る。
【0021】図2の動圧軸受では、シャフト1にDLC
膜4が形成されているが、スリーブ2側にDLC膜を形
成してももちろん構わない。この場合、動圧発生溝はシ
ャフト側に形成するのが望ましい。DLC膜は非常に硬
度が高いため、DLC膜が形成される側の部材に動圧発
生溝を刻設するのは困難であるばかりでなく、DLC膜
が形成された部材と対向する部材の表面の摩耗が動圧発
生溝によって促進されることになるからである。
【0022】また図2の動圧軸受は、潤滑流体を用いた
流体動圧軸受であるが、本発明の動圧軸受は潤滑流体を
用いない空気動圧軸受であってもよい。
【0023】本発明で用いる表面硬度Hvが300以下
の金属部品としては、特に限定はなくステンレス鋼や真
鍮、銅などの金属を所定形状に加工したものが挙げられ
る。加えて、軸部材やスリーブ部材の形状に加工した基
材上に硬度Hvが300以下である金属層を形成したも
のであってもよい。
【0024】軸部材やスリーブ部材上に金属層を形成す
る方法としては、電気メッキや無電解メッキ、溶融メッ
キなどのメッキ;真空蒸着やスパッタリングなどの物理
的蒸着(PVD);熱CVD、プラズマCVD、光CV
Dなどの化学蒸着(CVD)など従来公知の方法を用い
ることができる。どの方法により金属層を形成するか
は、部材の材料や用いる金属の種類、金属層厚などを考
慮して適宜決定すればよいが、生産性およびコストの点
からメッキにより金属層を形成することが望ましい。
【0025】本発明で使用できる潤滑流体としては、特
に限定はなく従来公知のものが使用でき、例えばポリオ
ールエステル系油やジエステル系油、ポリ−α−オレフ
ィン系油、鉱油、フッ素油などが挙げられる。
【0026】次に本発明のスピンドルモータについて説
明する。本発明のスピンドルモータは、前記説明した動
圧軸受を備えていることが大きな特徴である。以下、図
に沿ってさらに説明する。図3は、本発明の動圧軸受を
備えたスピンドルモータの一実施形態を示す断面図であ
る。ブラケット11は中心部に設けられた基部111
と、この基部111の外周方向に設けられた周壁112
と、この周壁112からさらに外方向に延設された鍔部
113とからなり、これらが一体且つ同軸的に形成され
ている。
【0027】基部111の中心部には環状突部114が
形成され、そこに固定スリーブ(スリーブ部材)2が例
えば圧入により嵌合固定されている。この固定スリーブ
2の中心には軸線方向に貫通孔121が形成され、そし
てその下端には軸線方向下方向に開口したスラスト溝部
122が形成されている。
【0028】シャフト(軸部材)1は、軸部131と、
軸部131の下端に形成されたスラストプレート132
とからなる。そしてその表面にはDLC膜(不図示)が
形成されている。固定スリーブ2の貫通孔121および
スラスト溝部122に、シャフト1の軸部131および
スラストプレート132を一定の間隙を介して挿入し、
スラストプレート132の外側に蓋をする形で、カウン
タプレート14を装着している。
【0029】シャフト1の上端は、略円筒状のロータハ
ブ15の上面中央部に形成された孔部151に嵌合固定
されている。ロータハブ15の内周面には、周方向に多
極着磁されたロータマグネット16が全周にわたり配設
されている。またロータマグネット16の半径方向内方
には、ロータマグネット16に対向してステータ17が
ブラケット11の基部111に形成された環状突部11
4に配設されている。ステータ17と環状突部114と
の固定は、圧入による嵌合固定の他、接着剤による固定
でもよい。
【0030】ロータハブ15の外周下側には鍔部151
が形成され、ここにハードディスクが装着される。具体
的にはロータハブ15の外周部152により位置決めさ
れて、鍔部151の上に複数のハードディスクが装着さ
れた後、クランプ部材などにより孔部153にネジ止め
されて、ハードディスクはロータハブ15に対して保持
固定される。
【0031】シャフト1の軸部131と固定スリーブ2
の内周面、およびスラストプレート132とスラスト溝
部122の間には微小間隙が形成され、潤滑流体3が保
持されている。そして固定スリーブ2の内周面の上部・
下部の潤滑流体保持部分には、シャフト1の回転にとも
ない潤滑流体中に動圧を発生するヘリングボーン状の動
圧発生溝123a,123bが形成されている。動圧発
生溝123a,bは、モータ回転時にシャフト1を半径
方向に保持する支持力を発生する。またスラストプレー
ト132の上面およびカウンタープレート14の上面に
も、シャフト1の回転にともない潤滑流体中に動圧を発
生するヘリングボーン状の動圧発生溝133,141が
形成されている。この動圧発生溝133,141は、モ
ータ回転時にシャフト1を軸線方向に保持する支持力を
発生する。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0033】(テストピンの作製)ステンレス鋼(SUS4
20J2)を円柱形状に加工し、ガス窒化法により窒化処理
したもの(テストピンP1:表面硬度Hv:900、窒
化処理による層厚:10μm)、イオン化蒸着法でDL
C膜を形成したもの(テストピンP2:表面硬度Hv:
3,000)、ガス窒化法による窒化処理した後、イオ
ン化蒸着法でDLC膜を形成したもの(テストピンP
3:表面硬度Hv:3,000、窒化処理による層厚:
10μm)をそれぞれ作成した。なお、表面硬度は施さ
れる加工によって変化するため、この実施例における表
面硬度はすべて加工後の実測した値である。
【0034】(Vブロックの作製)ステンレス鋼(SUS4
20J)をVブロック(1対)の形状に加工した。これを
ブロックB1(表面硬度Hv:250)とした。そして
このVブロックを焼き入れ処理したものをブロックB2
(Hv:700)とした。また真鍮(表面硬度Hv:2
00)、高力黄銅(表面硬度Hv:300)、高力黄銅
(表面硬度Hv:350)をVブロックの形状に加工し
たものを、それぞれブロックB3、B4、B5とした。
【0035】(焼き付き評価)図4に示す評価装置を用
いて、前記作製したテストピンP1〜P2及びVブロッ
クB1、B2による焼き付き評価を行った。評価手順は
次のとおりである。まず、テストピンを回転部材に取り
付ける。そしてテストピンの軸に対して垂直方向から8
82Nの力を加えてVブロックでテストピンを挟み込
む。次に回転部材を300rpmで回転させる。そして
焼き付きが発生するまでの時間を測定した。なお、3分
間のうちに焼き付きが発生しないときは、焼き付きなし
と評価した。測定結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、表面硬度Hvが
250であるVブロックB1を用いた場合には、本発明
の動圧軸受部品であるテストピンP3では焼き付きは発
生しなかったのに対し、テストピンP1及びP2では3
秒及び70秒でそれぞれ焼き付きが発生した。一方、表
面硬度Hvが700であるVブロックB2を用いた場合
には、本発明の動圧軸受部品であるテストピンP3では
130秒で焼き付きが発生したが、30秒及び50秒で
それぞれ焼き付きが発生したテストピンP1及びP2に
比べれば長時間焼き付きが発生しなかったといえる。
【0038】(剥離性評価)テストピンP2,P3とV
ブロックB3〜B5を用いて、焼き付き評価と同じ評価
装置・条件でテストピンを3分間回転させた後、テスト
ピンの表面を顕微鏡で観察し、DLC膜のクラック及び
剥離の有無を調べた。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなように、本発明の実施例
であるテストピンP3では、VブロックB3,B4にお
いてはDLC膜のクラックおよび剥離は見られず、Vブ
ロックB5においてクラックおよび剥離が一部見られ
た。これに対し、テストピンP1,P2では、Vブロッ
クB3,B4においてDLC膜のクラックおよび剥離が
一部見られ、VブロックB5においてはDLC膜の剥離
が見られた。
【0041】
【発明の効果】本発明の動圧軸受部品では、表面硬度H
vが600以上の基材上にダイヤモンドライクカーボン
膜を形成した構成としたので、焼き付きを生じず、しか
もDLC膜のクラックや剥離といった劣化が長期間にわ
たって発生しない。
【0042】また本発明の動圧軸受では、スリーブ部材
および軸部材の一方に前記の動圧軸受部品を用い、他方
に表面硬度Hvが300以下の金属部品を用いるので、
焼き付きやDLC膜の剥離といった劣化がさらに抑制さ
れる。
【0043】さらに本発明のスピンドルモータでは、前
記の動圧軸受を備えるので、同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DLC膜の形成方法の一例を示す図である。
【図2】 本発明の動圧軸受の一実施態様を示す図であ
る。
【図3】 本発明のスピンドルモータの一実施態様を示
す図である。
【図4】 焼き付き評価装置の概説図である。
【符号の説明】
1 シャフト(軸部材) 2 スリーブ(スリーブ部材) 3 潤滑流体 4 DLC膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA04 BA02 CA02 CA05 SE02 5D109 BB01 BB12 BB18 BB21 BB22 BB31 5H605 BB05 BB19 CC02 CC04 CC05 EB01 EB02 EB21 5H607 BB01 BB14 BB17 CC01 CC05 DD03 FF12 GG01 GG02 GG12 GG15 JJ04 JJ06 KK10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面硬度Hvが600以上の基材上にダ
    イヤモンドライクカーボン膜を形成したことを特徴とす
    る動圧軸受部品。
  2. 【請求項2】 鋼からなる基材表面を熱処理することに
    よって表面硬度Hvを600以上とした請求項1記載の
    動圧軸受部品。
  3. 【請求項3】 前記熱処理が窒化処理である請求項2記
    載の動圧軸受部品。
  4. 【請求項4】 前記窒化処理により形成される層の層厚
    が10μm以下である請求項3記載の動圧軸受部品。
  5. 【請求項5】 軸部材と、該軸部材に対し微小間隙を有
    して周設されたスリーブ部材とを備え、前記スリーブ部
    材が前記軸部材の回りに相対的に回転可能にされた動圧
    軸受において、 前記スリーブ部材および前記軸部材の一方に請求項1〜
    4のいずれかに記載の動圧軸受部品を用い、他方に表面
    硬度Hvが300以下の金属部品を用いたことを特徴と
    する動圧軸受。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の動圧軸受を備えたことを
    特徴とするスピンドルモータ。
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