JP2002060821A - 高炉炉壁構造および高炉の操業方法 - Google Patents

高炉炉壁構造および高炉の操業方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅及び銅合金製のステーブクーラーを使用し
た個所においても、炉内の変動をいち早く推定すること
ができる高炉炉壁構造及び高炉の操業方法を提供する。 【解決手段】 高炉炉体側壁にステーブクーラーを張設
して炉体を形成する高炉の炉壁構造において、前記炉壁
の内周面円周上に所定の間隔をあけて複数の鋳鉄製リブ
1を配設し、該リブ1の長手方向を炉高方向に向け、該
リブ1に炉内圧力を検知する圧力計6および前記鋳鉄製
リブの温度を検知する温度計5を埋設したことを特徴と
する高炉炉壁構造。前記内周面に配設した鋳鉄製のリブ
1内に埋設した圧力計6及び温度計5の検知結果により
炉内状況を推定することを特徴とする高炉の操業方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉炉体の側壁、
特に高熱負荷部の炉壁構造及び高炉の操業方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高炉炉壁においては、鉄皮の内側に内部
冷却機構を備えたステーブクーラーを張設して炉壁が構
成されている。ステーブクーラーとしては鋳物製のもの
が採用されており、一般的にステーブクーラーは冷却媒
体を循環させる冷却管を内部に配置した鋳鉄製であり、
ステーブクーラーの炉内側表面には定型煉瓦が間隔をお
いて複数段埋め込まれている。
【0003】また、特開平11−293312号公報に
開示されているように、ステーブクーラーの冷却能力を
向上させるため、鋳鉄に替わって銅や銅合金を用いたス
テーブクーラーも採用されている。従来、これらのステ
ーブクーラーは、高炉本体シャフト部の中上部や羽口部
のような比較的負荷の低い低熱負荷部11には鋳鉄製の
ステーブクーラーが採用され、高炉の炉腹部のような高
熱負荷部10には銅や銅合金製のステーブクーラーが採
用され、ステーブクーラーの冷却能力に応じた使い方が
行われている。
【0004】高炉炉内の炉況を監視する方法として、特
開平10−60510号公報が開示されている。この方
法は、シャフト部に複数の圧力センサーを配設して、こ
の圧力センサーで検知した圧力を時間周波数解析し、特
定の周波数付近を監視して異常炉況を事前に予知する方
法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】低熱負荷部に採用され
る鋳鉄製のステーブクーラーは、銅及び銅合金製ステー
ブクーラーに比べて冷却能力が低いため、その炉内に面
した部分は比較的高温の状態を保っている。このため、
ステーブクーラー表面への付着物の付着は少なく、炉況
の変化を察知しやすい状態にある。
【0006】高熱負荷部に採用される銅及び銅合金製の
ステーブクーラーの表面には炉内の溶融物の凝着や鉄鉱
石粉からなる付着物が付着し、この付着物が成長してス
テーブクーラー本体を熱衝撃や磨耗から守るセルフライ
ニング現象が生じる。このセルフライニングによりステ
ーブクーラーの寿命は結果的に延長される。
【0007】また、高熱負荷部に採用されている銅及び
銅合金製のステーブクーラーにおいては、冷却能力が高
いことから、ステーブクーラーの温度は通常70℃程度
であり、温度変動も少ないという特徴がある。従って、
この銅及び銅合金製ステーブクーラーを用いて炉体部の
炉内状況を判断しようとしても、温度変動が非常に小さ
いため、この温度変動を基に炉内の熱負荷状況を推定す
ることができなかった。このため、炉内の状況変化を察
知することが遅れ、炉況不調に陥ったり、それを避ける
ためややもすると高燃料比操業となる傾向があった。
【0008】本発明は、銅及び銅合金製のステーブクー
ラーを使用した個所においても、炉内の変動をいち早く
推定することができる高炉炉壁構造及び高炉の操業方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨とす
るところは以下のとおりである。 (1)高炉炉体側壁にステーブクーラーを張設して炉体
を形成する高炉の炉壁構造において、前記炉壁の内周面
円周上に所定の間隔をあけて複数の鋳鉄製リブ1を配設
し、該リブ1の長手方向を炉高方向に向け、該リブ1に
炉内圧力を検知する圧力計6および前記鋳鉄製リブの温
度を検知する温度計5を埋設したことを特徴とする高炉
炉壁構造。 (2)高炉炉体側壁にステーブクーラーを張設して炉体
を形成する高炉の炉壁構造において、前記炉壁の内周面
に所定の間隔で鋳鉄製リブ1を複数段配設し、該鋳鉄製
リブ1の長手方向を炉高方向に向け、該リブ1に炉内圧
力を検知する圧力計6および前記鋳鉄製リブの温度を検
知する温度計5を埋設したことを特徴とする高炉炉壁構
造。 (3)前記鋳鉄製リブに、該リブを冷却する冷却管7を
埋設したことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載
の高炉炉壁構造。 (4)前記鋳鉄製リブの炉内側表面に耐磨耗性材料8を
鋳込んだことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいず
れかに記載の高炉炉壁構造。 (5)前記炉壁に配設する鋳鉄製のリブ間に張設したス
テーブクーラーが銅または銅合金製のステーブクーラー
2であることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいず
れかに記載の高炉炉壁構造。 (6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の高炉炉
壁構造を有する高炉の操業方法であって、前記内周面に
配設した鋳鉄製のリブ1内に埋設した圧力計6及び温度
計5の検知結果により炉内状況を推定することを特徴と
する高炉の操業方法。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の高炉炉壁構造を示
す縦断面図で図2のE−E矢視図、図2は図1のA−A
端面図、図3は図1の部分拡大図、図4は図3のB−B
断面図、図5は図3のC−C断面図、図6は図3のD−
D断面図、図7は本発明の鋳鉄製リブ配置に関する他の
実施例を示す高炉炉壁構造の縦断面図、図8は銅または
銅合金製ステーブクーラーの温度と鋳鉄製リブ内の温度
グラフ、図9は従来の高炉炉壁構造を示す縦端面図であ
る。
【0011】図1に示す高炉炉壁構造において、高炉炉
体の高熱負荷部10に銅または銅合金製ステーブクーラ
ーが張設され、該銅または銅合金製ステーブクーラー張
設部に本発明の鋳鉄製リブ1を採用したものである。図
2に高炉の鋳鉄製リブ1配設部の横断面図を示す。鋳鉄
製リブ1は、本発明の上記(1)では高炉炉体の内周面
円周方向に所定の間隔をあけて複数個を配設し、本発明
の上記(2)では高炉炉体の内周面炉高方向に所定の間
隔で複数段配設する。図1、2に示す実施の形態は、本
発明の上記(1)(2)を組み合わせたものであり、鋳
鉄製リブ1を円周上に等間隔で8個を配設すると同時
に、上下方向に連続的に4段配設している。なお、図1
に示す実施の形態では、高炉炉体の低熱負荷部11には
鋳鉄製のステーブクーラー2aを配設している。
【0012】鋳鉄製リブ1は、その長手方向を炉高方向
に向ける。即ち、鋳鉄製リブ1は縦リブとする。鋳鉄製
リブ1は高炉内容物に直接接触し、該高炉内容物は高炉
内を下降するので、縦リブとしないと高炉内容物がこの
鋳鉄製リブ1に堆積してしまうからである。
【0013】図3には鋳鉄製リブ1の拡大構造を示す。
図3において、鋳鉄製リブ1は炉高方向に複数分割して
配設している。この複数に分割して縦方向に配設した各
鋳鉄製リブ1にはそれぞれ炉内の圧力を検知する圧力計
6を設けており、このそれぞれの圧力計6で検知する圧
力の差圧(炉内差圧)を観察することにより、炉内の変
動状況を推定するようにしている。高炉の操業におい
て、炉内差圧は一定の範囲内に収まるように操業管理し
ている。従って、炉内差圧が変動して該一定の範囲を超
えた場合には、高炉の炉況に変動が生じたこととなり、
即ち炉内差圧を観察することによって炉況変動を事前に
予知することができる。
【0014】銅または銅合金製ステーブクーラーは、冷
却能力が非常に高いために該ステーブクーラーの炉内側
表面の温度が低く、その表面には図9に示すように付着
物4が付着している。一方、本発明の鋳鉄製リブは、銅
または銅合金製ステーブクーラーに比較して冷却能力が
低いので、鋳鉄製リブ1の炉内側表面は炉内温度を反映
して高温の状態となり、その表面には付着物が付着しに
くい。このため、鋳鉄製リブ1の炉内側表面近傍の温度
を測定すれば、炉内温度を検知することができる。
【0015】炉高方向に複数分割して配設した各鋳鉄製
リブ1には、長さの異なる温度計5をそれぞれ複数配置
している。一番長い温度計5aは鋳鉄製リブ1の炉内側
表面近くまで達して埋設しており、この温度計5aによ
って炉内の温度状況を検知するようにしている。この温
度計5aにより、炉内の温度分布を調査し、炉内の温度
状況から炉況の異常を推定するようにしている。
【0016】各鋳鉄製リブ1には、長さの異なる温度計
5b、5c、5dを順次配設している。この温度計5
b、5c、5dは、銅及び銅合金製ステーブクーラー2
の炉内表面に付着する付着物4の付着厚みを推定するた
めのものである。
【0017】鋳鉄製リブ1の両側には銅または銅合金製
ステーブクーラーが張設されている。鋳鉄製リブ1はこ
のステーブクーラーの炉内側表面よりもさらに張り出し
て炉内側に露出している。ステーブクーラー表面に付着
した付着物の厚さが薄い場合には、高温の炉内容物の熱
が鋳鉄製リブ1の側面からも供給されるので、最も長さ
の短い温度計5cの温度も高温に保たれる。ステーブク
ーラーに付着した付着物の厚さが厚くなると、鋳鉄製リ
ブ1側面のうち、付着物4に覆われた部分からは熱が伝
わりにくくなる。そのため、付着物厚さが厚くなるとと
もに、長さの短い温度計5dから5c、5bの順に温度
が低下する傾向が見られる。即ち、温度計5b、5c、
5dの測定結果に基づいて銅または銅合金製ステーブク
ーラー2の表面に付着した付着物の厚さを推定すること
ができる。
【0018】図4は図3に示す圧力計6を示す図で、鋳
鉄製リブ1に取り付けたもので、圧力計6本体は一般的
に使用される圧力計を使用している。図5は温度計5a
を鋳鉄製リブ1に取り付けた図である。また、図6に示
すように鋳鉄製リブ1にはその鉄皮側に鋳鉄製リブ1を
冷却する冷却管7を埋設している。
【0019】鋳鉄製リブ1の炉内に面する側には、図4
〜図6に示すように耐磨耗性材料8を鋳込んで製造する
ことにより、鋳鉄製リブ1の耐久性を高めることができ
る。耐磨耗性材料8としては、耐熱鋳鋼(SCH22
等)等を用いることができる。
【0020】図7は本発明の他の実施の形態を示すもの
で、鋳鉄製リブ1を炉体の内周面で円周方向に所定の間
隔で配置し、その上段に配置する鋳鉄製リブ1は、下段
に位置する鋳鉄製リブ1よりも円周方向にずらして配置
したものである。
【0021】図8には銅合金製ステーブクーラー2と鋳
鉄製リブ1との温度の時間変化状態を示す。この図に示
すように銅合金製ステーブクーラー2は冷却能力が高い
ため、ステーブクーラー2本体の温度分布の変動はあま
りないが、鋳鉄製リブ1においては銅合金製ステーブク
ーラー2に比べて温度変動が大きい。この知見を見出
し、鋳鉄製リブ1に圧力計および温度計を埋設して炉内
の状況を推定することを見出した。
【0022】
【発明の効果】以上のように、鋳鉄製リブの表面付近は
高温に維持され、銅または銅合金製ステーブクーラーの
表面に成長した厚い付着物に覆われることはなく、炉内
の温度変化と圧力変化を敏感に検知できるので、炉内の
変動をいち早く推定することができる。また、炉況の変
化を遅滞なく検知して迅速に対応することができるの
で、高炉の安定操業を維持でき、さらに、低燃料比を追
及して溶銑の製造コストを低減できる。また、鋳鉄製リ
ブに水冷管および表面には耐磨耗性材料を鋳込んでいる
ので、鋳鉄製リブの耐久性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高炉炉壁構造を示す縦断面図で図2の
E−E矢視図である。
【図2】図1のA−A端面図であり、鋳鉄製リブの配置
を示す図である。
【図3】図1の部分拡大図であり、鋳鉄製リブを示す図
である。
【図4】図3のB−B断面図であり、鋳鉄製リブに埋設
した圧力計を示す図である。
【図5】図3のC−C断面図であり、鋳鉄製リブに埋設
した温度計を示す図である。
【図6】図3のD−D断面図であり、鋳鉄製リブに埋設
した冷却管を示す図である。
【図7】本発明の鋳鉄製リブ配置に関する他の実施例を
示す高炉炉壁構造の縦断面図である。
【図8】銅または銅合金製ステーブクーラーの温度と鋳
鉄製リブ内の温度の時間変化推移を示すグラフである。
【図9】従来の高炉炉壁構造を示す縦端面図である。
【符号の説明】
1 鋳鉄製リブ 2 銅または銅合金製ステーブクーラー 2a 鋳鉄製ステーブクーラー 3 鉄皮 4 付着物 5 温度計 6 圧力計 7 冷却管 8 耐磨耗性材料 9 断熱材 10 高熱負荷部 11 低熱負荷部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉炉体側壁にステーブクーラーを張設
    して炉体を形成する高炉の炉壁構造において、前記炉壁
    の内周面円周上に所定の間隔をあけて複数の鋳鉄製のリ
    ブを配設し、該リブの長手方向を炉高方向に向け、該リ
    ブに炉内圧力を検知する圧力計および前記鋳鉄製リブの
    温度を検知する温度計を埋設したことを特徴とする高炉
    炉壁構造。
  2. 【請求項2】 高炉炉体側壁にステーブクーラーを張設
    して炉体を形成する高炉の炉壁構造において、前記炉壁
    の内周面に所定の間隔で鋳鉄製のリブを複数段配設し、
    該鋳鉄製リブの長手方向を炉高方向に向け、該リブに炉
    内圧力を検知する圧力計および前記鋳鉄製リブの温度を
    検知する温度計を埋設したことを特徴とする高炉炉壁構
    造。
  3. 【請求項3】 前記鋳鉄製リブに、該リブを冷却する冷
    却管を埋設したことを特徴とする請求項1又は2に記載
    の高炉炉壁構造。
  4. 【請求項4】 前記鋳鉄製リブの炉内側表面に耐磨耗性
    材料を鋳込んだことを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れかに記載の高炉炉壁構造。
  5. 【請求項5】 前記炉壁に配設する鋳鉄製のリブ間に張
    設したステーブクーラーが銅または銅合金製のステーブ
    クーラーであることを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れかに記載の高炉炉壁構造。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の高炉
    炉壁構造を有する高炉の操業方法であって、前記内周面
    に配設した鋳鉄製のリブ内に埋設した圧力計及び温度計
    の検知結果により炉内状況を推定することを特徴とする
    高炉の操業方法。
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