JP2004091887A - 高炉用羽口およびその交換方法 - Google Patents

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兼井 玲
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平尾 裕二
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Abstract

【課題】高温雰囲気でも寿命が長く、また、その交換時期を羽口本体の実際の損耗状況に応じて適切に判断することができる高炉用羽口およびその交換方法を提供すること。
【解決手段】先端冷却室2および胴体冷却室3を有する銅または銅合金製の羽口本体1を備える高炉用羽口において、羽口本体1を鋳造により形成するときに鋼製配管を同時に鋳込んで先端冷却室2とし、羽口本体内部の鋼製配管の外方に、羽口本体先端部の温度を計測する温度センサを同時に鋳込んで設けた。この温度センサの計測温度の急激な上昇あるいは破断を検知して羽口本体1を交換する。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、羽口本体の先端部を冷却する先端冷却室と胴体を冷却する胴体冷却室を有する高炉用羽口およびその交換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多くの高炉に採用されている羽口の羽口本体は銅製鋳物構造である。羽口は、高炉内に突き出ており高温雰囲気にさらされるため、溶損を防止することを目的として、羽口本体内部に水路を設け冷却水を循環している。しかしながら、高炉炉内ガス温度は最高で2000℃以上にも上昇すると言われており、冷却構造を有する羽口においても高温雰囲気における母材(羽口本体)の強度低下が起こり、炉内の内容物による摩擦に対し充分な強度を有しているものではない。その結果、先端部の摩耗が進行し、ついには冷却用水路まで羽口本体が摩耗することによって冷却水の高炉内への漏水トラブルが発生することがある。また、高炉内反応によって生成する溶銑が直接、羽口本体の先端部に接触し、銅製の羽口本体を溶損させることもある。
【0003】
したがって、高温雰囲気でも破損しにくく長寿命が期待できる羽口に対する要求は強く、そのために改良された羽口が、特開平11−217610号公報、特開平11−217611号公報、実開平7−9964号公報等に開示されている。特開平11−217610号公報に開示されている羽口は、羽口の表面に粉体セラミックスを硬化肉盛材として溶着させたもので、特開平11−217611号公報に開示されている羽口は、羽口の外表面に高純度アルミナ等の耐溶銑滓性の高いセラミックスをスタッドにより銅製の羽口本体表面に接着し、その外表面に金属性のジャケットを装着して3重構造としたものである。また、実開平7−9964号公報に開示されている羽口は、羽口先端を耐熱・耐摩耗性の布で覆い、自然に鉱滓が堆積することを利用した耐熱・耐摩耗羽口構造である。これらの公報に開示されているで羽口では、先端部摩耗や溶銑アタックに対する耐久性が向上し、寿命についても延びている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報に開示されている羽口によっても、先端部の摩耗を完全に無くすることはできず、また、どの時点で溶損が進行し冷却水路まで摩耗が進行するかを事前に予測することはできない。そのため、羽口破損による高炉操業への影響の大きさを考え、一定期間を使用した羽口については破損する以前に定期的に交換しているのが現状である。
【0005】
例えば、上記の特開平11−217610号公報および特開平11−217611号公報に開示されている、粉体セラミックスを硬化肉盛材として溶着させた羽口や3重構造の羽口では、羽口損耗の寿命を延ばすことはできるが、先端部の摩耗が無くなるわけではない。一般的に高炉用羽口は、高炉操業条件などによって異なるものの、通常、半年から1年半程度の期間で交換しているのが現状である。また、溶銑アタックによる突発的な損傷は予想することが難しく、予想外の短期間で損傷が発生することもある。この場合には、高炉を臨時的に休風し、当該羽口を交換する必要があるため、生産に多大な影響を及ぼすことになる。
【0006】
また、上記の特開平7−9964号公報に開示されている羽口は、羽口先端部を耐熱・耐摩耗性の布で覆い鉱滓のセルフコーティングを生じせしめ、羽口の寿命を大幅に向上せしめるものであるが、羽口の寿命を予測することは困難である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高温雰囲気でも寿命が長く、また、その交換時期を羽口本体の実際の損耗状況に応じて適切に判断することができる高炉用羽口およびその交換方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、鋼製配管を羽口本体と同時に鋳込み、この鋼製配管を先端冷却室としたことによって羽口の長寿命化を達成し、また、先端冷却室を構成する鋼製配管の外方に温度センサを設けたことによって、羽口本体の実際の損耗状況に応じて交換時期を適切に判断できるようにしたものである。
【0009】
すなわち、本発明の高炉用羽口は、先端冷却室および胴体冷却室を有する銅または銅合金製の羽口本体を備える高炉用羽口において、羽口本体を鋳造により形成するときに鋼製配管を同時に鋳込んで先端冷却室としたことを特徴とするものである。羽口本体内部の鋼製配管の外方に、羽口本体先端部の温度を計測する温度センサを同時に鋳込んで設ければ、羽口本体の交換時期を適切に判断することができる。
【0010】
そして、本発明の高炉用羽口の交換方法は、鋼製配管を鋳込んで形成した先端冷却室および胴体冷却室を有する銅または銅合金製の羽口本体を備える高炉用羽口の交換方法において、羽口本体内部の鋼製配管の外方に羽口本体先端部の温度を計測する温度センサを鋳込んで設け、摩耗や溶損により羽口本体先端部が脱落したことを、この温度センサの計測温度の急激な上昇あるいは温度センサの破断によって検知し、羽口本体を交換することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づき説明する。
【0012】
図1は本発明の高炉用羽口の全体を示す側面図、図2はその拡大側面図である。図1に示すように、高炉用羽口の羽口本体1は、高炉の炉壁を形成する耐火物7内に設けられた羽口支持金具8に支持され、高炉炉内に突出して配置されている。
【0013】
羽口本体1は、銅または銅合金製であって、鋳造によっていわゆる収縮筒型と称される形に形成されている。羽口本体1の内部には、先端冷却室2および胴体冷却室3が形成されており、高炉の鉄皮6側より注入される冷却水は、図中に矢印で示すように、羽口本体1の内側に設けられた冷却水水路4を通って先端冷却室2に注入され、羽口本体1の先端部を一巡して胴体冷却室3を通って羽口本体1より排出される。
【0014】
先端冷却室2は、羽口本体1を鋳造により形成するときに、リング状の鋼製配管を同時に鋳込むことによって羽口本体1の先端部内に形成されている。鋼製配管としては、配管用炭素鋼鋼管(SGP)、圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)、ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管(STB)などからなる鋼管を使用できる。
【0015】
先端冷却室2を構成する鋼製配管の外方には、羽口本体1先端部の温度を計測する温度センサ5が設けられている。この温度センサ5も鋼製配管と同様に、羽口本体1を鋳造するときに同時に鋳込まれて設けられる。
【0016】
このように、本発明の羽口本体1の先端冷却室2は、鋼製配管を銅と一緒に鋳込んだ構造としているので、先端部が溶銑アタック等により摩耗して先端冷却室に至っても鋼製配管が障壁となり、直ちに冷却水が炉内に漏れることはない。また、羽口本体1が銅製なので、先端冷却室2を構成する鋼製配管内に通水される冷却水により充分に冷却効果はあり、鋼製配管を鋳込んでない場合に比べても冷却効果はあまり変わらない。また、鋼製配管がなく鋳造により水路を形成する場合は、冷却水との接触面が鋳肌面であるのに対し、鋼製配管を鋳込む場合は、なめらかな接触面となるため冷却水の流れがスムーズとなり冷却効果の向上が期待できる。
【0017】
さらに、本発明の羽口本体1では、先端冷却室2を構成している鋼製配管の外方であって、羽口本体1を構成している銅の中に温度センサ5を設けているので、羽口本体1先端部が摩耗する際の温度上昇を監視しておけば、羽口本体1先瑞部の摩耗の進捗状況を把握でき、羽口本体1の交換時期を適切に判断することができる。図3および図4は、温度センサ5の計測温度と羽口本体1の交換時期との関係を示すグラフである。この温度センサ5による計測温度は、通常100℃以下で推移する。しかし、コークスや溶銑アタックにより羽口本体1の先端部が摩耗すると、先端部内部の温度が上昇し始め、図3に示すように温度センサ5による計測温度が急激に上昇し始め異常値を示す。さらに羽口本体1の先端部が摩耗し温度センサ5を鋳込んだ位置まで達すると、図4に示すように温度センサ5は破断し、計測温度値は異常値を示す。このように温度変化を監視して、温度センサ5による計測温度の急激な上昇あるいは破断による異常値を検知して羽口本体1を交換する。
【0018】
【発明の効果】
本発明では、鋼製配管を羽口本体と同時に鋳込み、この鋼製配管を先端冷却室としたことによって、羽口本体先端部の銅部分が完全に脱落した後も、鋼製配管内、即ち、先端冷却室内の冷却水が直ちに漏洩することが避けられる。また、先端冷却室を構成する鋼製配管の外方に温度センサを設けたことによって、羽口本体先端部の銅部分の摩耗あるいは溶損の進捗状況を把握でき、羽口本体の交換時期を適切に判断することができる。
【0019】
これらのことによって、羽口破損および冷却水の漏洩に伴う休風の実施、即ち、高炉生産停止の損害を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高炉用羽口の全体を示す側面図である。
【図2】本発明の高炉用羽口の拡大側面図である。
【図3】温度センサの計測温度と羽口本体の交換時期との関係を示すグラフである。
【図4】温度センサの計測温度と羽口本体の交換時期との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 羽口本体
2 先端冷却室
3 胴体冷却室
4.冷却水水路
5.温度センサ
6 鉄皮
7 耐火物
8 羽口支持金物

Claims (3)

  1. 先端冷却室および胴体冷却室を有する銅または銅合金製の羽口本体を備える高炉用羽口において、羽口本体を鋳造により形成するときに鋼製配管を同時に鋳込んで先端冷却室としたことを特徴とする高炉用羽口。
  2. 羽口本体内部の鋼製配管の外方に、羽口本体先端部の温度を計測する温度センサを鋳込んで設けたことを特徴とする請求項1に記載の高炉用羽口。
  3. 鋼製配管を鋳込んで形成した先端冷却室および胴体冷却室を有する銅または銅合金製の羽口本体を備える高炉用羽口の交換方法において、羽口本体内部の鋼製配管の外方に羽口本体先端部の温度を計測する温度センサを鋳込んで設け、この温度センサの計測温度が異常値を示したら羽口本体を交換することを特徴とする高炉用羽口の交換方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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