JP2002060486A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

ポリアミドの製造方法

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JP2002060486A
JP2002060486A JP2000253613A JP2000253613A JP2002060486A JP 2002060486 A JP2002060486 A JP 2002060486A JP 2000253613 A JP2000253613 A JP 2000253613A JP 2000253613 A JP2000253613 A JP 2000253613A JP 2002060486 A JP2002060486 A JP 2002060486A
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dicarboxylic acid
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JP2000253613A
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Kazumi Tanaka
一實 田中
Takatoshi Shida
隆敏 志田
Hideyuki Kurose
英之 黒瀬
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分縮器を備えた回分式反応槽を用い溶融状態
にあるジカルボン酸にジアミン化合物を添加して、直接
重縮合させてなるポリアミドの回分式製造方法におい
て、閉塞トラブルの無い安定した回分式製造方法を提供
する。 【解決手段】 分縮器を備えた回分式反応槽を用い、溶
融状態にあるジカルボン酸に、キシリレンジアミン又は
ビスアミノシクロヘキサンの1種以上を含むジアミンを
連続的にもしくは間欠的に添加して、重縮合させるポリ
アミドの製造方法であって、ジアミンを添加し始めてか
らジアミンの少なくとも40モル%を添加し終わるまで
の間、重縮合反応により発生する縮合水を主体とする、
反応槽で発生する蒸気を反応槽から分縮器に導く蒸気上
昇管の内部温度、および分縮器の内部温度を制御して、
水蒸気の一部を凝縮させ、昇華付着したジカルボン酸お
よび/あるいは付着したナイロン塩、オリゴマーを洗い
流し、反応槽に凝縮水と共に循環させることを特徴とす
るポリアミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジカルボン酸とジア
ミンを、溶媒の非存在下に直接反応させるポリアミドの
製造方法に関する。更に詳しくは、溶融状態にあるジカ
ルボン酸にジアミンを添加し直接反応させるポリアミド
の回分式製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なポリアミドの製造方法は、ナイ
ロン塩又はその水溶液を供給原料とし、回分式では一つ
の反応槽でナイロン塩水溶液を加圧下に加熱し、ジアミ
ンの留出を抑えながら均一相で重合を進め、ジアミンを
固定化したのち系内の水蒸気を徐々に放圧し、最終的に
常圧もしくは減圧とし重合を完結させる。このとき、供
給原料として約50質量%のナイロン塩の水溶液を用い
るのが一般的であるが、重合初期において溶媒である水
の留出を防ぐため高度の耐圧仕様が求められ、最終的に
溶媒である多量の水と縮合水を除去しなければならず、
このとき発泡、水の蒸発潜熱によるポリマーの固化、お
よび反応中の大きな液面変動に伴い反応槽壁面にポリア
ミドが付着し、熱劣化を起こす等様々な不都合を回避す
るための対策が必要である。また、多量の水を除去する
ため多くの熱エネルギーを必要とし、更に1回の反応で
得られるポリアミド収量が少ない等、技術的にも経済的
にも課題が多い。一方、ナイロン塩を供給原料とする場
合(特公昭33−15700号公報、特公昭43−22
874号公報)、これらの欠点はかなり解決されるが、
ナイロン塩の単離、精製工程が必要であり、効率の良い
方法とはいい難い。
【0003】ナイロン塩およびナイロン塩の水溶液を供
給原料としない重合方法として、溶融状態にあるジカル
ボン酸に少量の水を含んだジアミンを常圧下220℃以
下の温度で滴下して反応を行う方法(特開昭48−12
390公報)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミン
を常圧下滴下し直接反応させる方法(特開昭57−20
0420号公報、特開昭58−111829号公報等)
もある。これらの方法は技術的にも経済的にも有利であ
るが、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを直接添
加することに伴う問題点がある。
【0004】溶融状態にあるジカルボン酸には昇華性が
あり、重合装置の天井部にジカルボン酸の昇華物が付着
する。また重合装置上部に接続された各種配管の内壁、
例えば添加剤の投入口、ジアミンの添加口、および重合
反応によって発生する縮合水を主体とする蒸気を反応槽
から分縮器に導く配管(以後蒸気上昇管と言う)の内
壁、および分縮器の内部にも、ジカルボン酸の昇華物が
付着する。付着したジカルボン酸の昇華物は、重合反応
過程においてはその反応で発生する縮合水の蒸気によっ
てその殆どが溶解洗浄される。ジカルボン酸の昇華物
は、溶融ジカルボン酸が重合装置に単独で存在するとき
に発生するだけでなく、ジカルボン酸の固定化が不十分
なジアミンの添加工程で発生する。
【0005】このため、蒸気上昇管および分縮器には、
重合反応によって発生する縮合水の蒸気によって同伴さ
れたジカルボン酸の昇華物のため、重合装置の部位の中
で最も多くジカルボン酸の昇華物が付着する。また同伴
されるジアミンと反応しナイロン塩もしくはオリゴマー
を生成し、縮合水で溶解しないものが、バッチ数を重ね
る毎に付着堆積し熱履歴を受ける。この蒸気上昇管およ
び分縮器に堆積したこれらの固形物が、反応中に欠落し
ポリアミドに混入すると、フィルム、ボトル、モノフィ
ラメント等の最終製品に成形したとき、フィッシュア
イ、ゲル等の外観不良を招く危険性がある。また、付着
物が堆積し続けると蒸気上昇管および分縮器を閉塞さ
せ、連続した回分式生産が実施できなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分縮
器を備えた回分式反応槽を用い溶融状態にあるジカルボ
ン酸にジアミンを添加し、直接重縮合させてなるポリア
ミドの回分式製造方法において、閉塞トラブルの無い安
定した回分式製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、常圧下に溶融状態にあるジカルボン酸にジアミ
ンを添加し、直接重合してなるポリアミドの回分式製造
方法において、ジアミンの添加初期に蒸気上昇管あるい
は分縮器を特定の温度に保持することにより、蒸気上昇
管あるいは分縮器内に固形物の堆積が無くなり閉塞トラ
ブルが解消され、更に固形物の反応系内への混入が無く
なりフィッシュアイ、ゲル等の外観不良の少ない成型品
を与える高品位なポリアミド樹脂の安定した連続の回分
式生産が可能となることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0008】すなわち本発明は、分縮器を備えた回分式
反応槽を用い、溶融状態にあるジカルボン酸に、キシリ
レンジアミン又はビスアミノシクロヘキサンの1種以上
を含むジアミンを連続的にもしくは間欠的に添加し、ジ
アミンとジカルボン酸とを直接重縮合してなるポリアミ
ドの製造方法であって、ジアミンを添加し始めてからジ
アミンの少なくとも40モル%を添加し終わるまでの
間、重縮合反応により発生する縮合水を主体とする、反
応槽で発生する蒸気を反応槽から分縮器に導く蒸気上昇
管の内部温度、および分縮器の内部温度を制御すること
により、水蒸気の一部を凝縮させ、昇華付着したジカル
ボン酸および/あるいは付着したナイロン塩、オリゴマ
ーを洗い流し、反応槽に凝縮水と共に循環することを特
徴とするポリアミドの製造方法に関する発明である。
【0009】本発明で用いるジアミンは、キシリレンジ
アミン又はビスアミノシクロヘキサンを少なくとも1種
以上含むジアミンである。キシリレンジアミンとしては
メタ、パラおよびオルソキシリレンジアミンが例示で
き、ビスアミノシクロヘキサンとしては1,2−、1,
3−、1,4―ビスアミノシクロヘキサンが例示でき
る。ジアミンの80モル%以上がキシリレンジアミンの
場合、キシリレンジアミンの50モル%以上がメタキシ
リレンジアミンであることが望ましく、より好ましくは
70モル%以上である。また、ジアミンの80モル%以
上がビスアミノシクロヘキサンの場合、ビスアミノシク
ロヘキサンの50モル%以上が1,3−ビスアミノシク
ロヘキサンであることが望ましく、より好ましくは70
モル%以上である。
【0010】その他のジアミンとしてはテトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミ
ン、パラフェニレンジアミン等が上げられ、適時選択さ
れる。
【0011】ジカルボン酸としては、アジピン酸、琥珀
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、2−6−ナフタレンジカルボン酸等が上げられ
る。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合して
も使用可能である。得られるポリアミドの実用的な物性
から考えて、特に50モル%以上がアジピン酸であるジ
カルボン酸成分が好適に使用できる。また、ジアミンお
よびジカルボン酸以外のポリアミド構成成分は、カプロ
ラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカ
ラクタム等のラクタム、11−アミノウンデカン酸、1
2−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸を例示する
ことができ、ジカルボン酸と共に、もしくは添加される
ジアミンとともに反応槽に供給される。
【0012】本発明では所望のモルバランスを有するポ
リアミド(ジアミン過剰、ジカルボン酸過剰および等モ
ル)得るため、仕込みのモルバランスは任意に選択され
る。仕込みのモルバランスの調整方法は、例えば溶融状
態にあるジカルボン酸を溶融槽ごと質量計量器で計量
し、反応槽に供給した後、ジアミン貯槽を質量計量器で
計量しつつ、ジアミンを反応系に供給する方法が例示で
きる。本発明においてジアミンおよびジカルボン酸の質
量を計量する場合、ロードセル、天秤等の質量計量器が
好適に利用可能である。
【0013】ジカルボン酸の溶融工程は、酸化着色を避
ける目的から窒素等の不活性ガス雰囲気で行われること
が望ましい。ジカルボン酸の溶融は反応槽もしくは専用
の溶融槽で実施可能であるが、反応槽の利用効率を高め
る目的から、専用の溶融槽の利用が望ましい。
【0014】溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを
添加する際、実質的にアミド化反応が進行する温度であ
る160℃以上の温度に溶融ジカルボン酸が昇温される
ことが望ましく、かつ中間体として生成するオリゴマー
および/または低分子量ポリアミドが溶融状態となって
反応系全体が均一な流動状態を保持しうる温度に設定さ
れていることが望ましい。具体的なジアミンの添加操作
は、反応槽中で溶融状態にあるジカルボン酸を攪拌し、
ジアミンを連続的にもしくは間欠的に添加し、添加の間
に反応混合物の温度を逐次昇温させ、所定の温度に保持
することによって行われる。昇温速度はアミド化反応
熱、縮合水の蒸発潜熱、供給熱等に依存するため、ジア
ミンの添加速度が適時調整され、添加終了時点で反応混
合物の温度はポリアミドの融点以上35℃未満、望まし
くは15℃未満、更に望まししくは5℃未満に調整され
る。ジアミンの添加中の圧力は常圧が望ましいが、ジア
ミンを固定化する上で有利であれば、絶対圧0.5MP
a以下の微加圧状態でもかまわない。
【0015】本発明の直接重合方法においても、公知の
ナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合と同様に、
ジアミンの反応系外への留出は避けがたく、反応槽は分
縮器を備えていることが必要である。また、ジアミンの
添加前から添加初期において反応槽からジカルボン酸の
昇華物が発生する。分縮器を備えることにより、ジアミ
ンおよびジカルボン酸の系外への留出を効果的に防止す
ることができる。反応の進行と共に生成する縮合水は、
縮合水と共に反応槽から留出するジアミンおよび昇華に
より留出するジカルボン酸と、分縮器で分離され全縮器
で凝縮し反応系外に除かれる。ジアミンは分縮器で凝縮
し、ジカルボン酸は凝縮したジアミンに洗い流され、反
応槽に再度戻される。
【0016】本発明ではジアミンを添加し始めてからジ
アミンの少なくとも40モル%を添加し終わるまでの
間、重縮合反応により発生する縮合水を主体とする、反
応槽で発生する蒸気を反応槽から分縮器に導く蒸気上昇
管の内壁温度を制御することにより、水蒸気の一部を凝
縮させ、昇華付着したジカルボン酸および/あるいは付
着したナイロン塩、オリゴマーを洗い流し、反応槽に凝
縮水と共に循環する。例えば、ジアミンとしてメタキシ
リレンジアミン、ジカルボン酸としてアジピン酸を使用
する場合、常圧下の反応では蒸気上昇管の内部温度は5
0℃以上150℃以下、更に好ましくは、80℃以上1
40℃以下に設定される。蒸気上昇管には昇華したジカ
ルボンが堆積するので、蒸気上昇管の内部温度が高すぎ
ると、縮合水および留出するジアミンの凝縮が少なく、
蒸気上昇管に堆積したジカルボン酸は洗い流されない。
蒸気上昇管に堆積したジカルボン酸は、留出するジアミ
ンと反応しナイロン塩を生成し、更に熱履歴を受けアミ
ド化反応が進行しオリゴマーとなる。その結果、縮合水
に対する溶解度が急激に低下しバッチ数を重ねる毎に蒸
気上昇管に固形物が堆積していき、最終的に蒸気上昇管
は閉塞する。また、蒸気上昇管の内部温度および分縮器
の内部温度が低すぎるとき、重合反応によって発生する
縮合水の凝縮が顕著となり、蒸気上昇管に堆積したジカ
ルボン酸の洗浄は充分行えるが、蒸気上昇管内部で還留
状態となり、効率的に分縮器へ蒸気を導くことが困難と
なる。
【0017】ジカルボン酸の昇華物は、ジカルボン酸が
溶融状態で反応槽に単独で存在するときに発生するばか
りか、ジアミンの添加工程でも発生し、特にジカルボン
酸の固定化が不十分な添加初期に多くの発生が認められ
る。従って、蒸気上昇管内のジカルボン酸を縮合水で溶
解し洗い流すことが出来れば、固形物の堆積原因が除か
れる。このため、蒸気上昇管の内壁温度を制御するの
は、ジアミンを添加し始めてから少なくとも40モル%
を添加し終わるまでの間が望ましく、より好ましくは6
0モル%を添加し終わるまでの間であり、より好ましく
は80モル%を添加し終わるまでの間である。
【0018】本発明では、蒸気上昇管が水平部分の無い
構造であることが望ましい。水平部分があると、縮合水
の凝縮が充分であったとしても、蒸気上昇管に堆積した
ジカルボン酸を完全には除去できない。このため、縮合
水に同伴されるジアミンと反応し、ナイロン塩を生成す
る。ナイロン塩の水に対する溶解度が低いとき、ナイロ
ン塩は溶解せず、バッチ数を重ねる毎にアミド化反応が
進行しオリゴマーとなり、さらに水に対する溶解度は低
下する。その結果、蒸気上昇管に固形物が堆積してい
き、最終的に蒸気上昇管は閉塞する。
【0019】分縮器にはジアミン、縮合水の他に昇華し
たジカルボン酸も存在する。ジカルボン酸は留出したジ
アミン成分とナイロン塩を生成し、更に熱履歴によりオ
リゴマー化する。この様な分縮器に存在する固形物であ
るジカルボン酸、ナイロン塩、およびオリゴマーはジア
ミンに溶解し難く、ジアミン成分で洗い流される他は、
分縮器から排出されない。この様な固形物が分縮器内壁
に固着していると、ジアミンによる容易なる洗浄は期待
できず、バッチ数を重ねる毎に堆積し、益々熱履歴を受
けオリゴマーの重合度が高くなり、ついには分縮器から
反応槽への凝縮液の戻り部分等を閉塞させる。
【0020】本発明ではジアミンを添加し始めてからジ
アミンの少なくとも40モル%を添加し終わるまでの
間、分縮器の内部温度を制御することにより、水蒸気の
一部を凝縮させ、昇華付着したジカルボン酸および/あ
るいは付着したナイロン塩、オリゴマーを洗い流し、反
応槽に凝縮水と共に循環する。例えば、ジアミンとして
メタキシリレンジアミン、ジカルボン酸としてアジピン
酸を使用する場合、常圧下の反応では蒸気上昇管の内部
温度は50℃以上140℃以下、更に好ましくは、95
℃以上120℃以下に設定される。分縮器の内部温度を
一定温度以下に制御することにより、分縮器内で縮合水
が凝縮しジアミンに溶解し辛い上記固形物成分を効果的
に溶解させ、分縮器内に固形物が堆積するのを防ぐこと
ができる。また、分縮器の内部温度が低すぎると、縮合
水の凝縮が顕著となり、上記固形物成分の洗浄は充分行
えるが、反応槽への縮合水の戻り量が多くなり、反応槽
で効率的に反応を進めることが困難となる。
【0021】ジカルボンの昇華物は、ジカルボン酸が溶
融状態で反応槽に単独で存在するときに発生するばかり
か、ジアミンの添加工程でも発生し、特にジカルボン酸
の固定化が不十分な添加初期に多くの発生が認められ
る。従って、分縮器内のジカルボン酸を縮合水で洗い流
すことが出来れば、固形物の堆積原因が除かれる。この
ため、分縮器の内部温度を制御するのは、ジアミンを添
加し始めてから少なくとも40モル%を添加し終わるま
での間が望ましく、より好ましくは60モル%を添加し
終わるまでの間であり、より好ましくは80モル%を添
加し終わるまでの間である。
【0022】ジアミンの添加中、添加終了後もしくは反
応槽からポリアミドを取り出した後に、蒸気上昇管およ
び分縮器内にスチームもしくは温水を流すことも、ジカ
ルボン酸、ナイロン塩およびオリゴマーを溶解洗浄する
上で効果的である。スチームもしくは温水の流通は、蒸
気上昇管の内部および分縮器の内部の温度制御と共に実
施する事も可能であり、単独で行うことも可能である。
【0023】ジアミンを添加終了後は反応槽内を常圧以
上で適時保持し、ジアミンの固定化を促す。この結果、
仕込みのモルバランスが精度良くポリアミドのモルバラ
ンスに再現される。また、反応槽内を常圧以上で保持し
た後は、反応槽内を減圧状態とし気相部分に存在する水
蒸気を反応系外に留去し、アミド化平衡を利用し重合度
を更に高めることができる。あるいは、不活性ガスを反
応槽の気相に流通させたり、反応混合物中に曝気して、
水蒸気を留去することで重合度を高めることも可能であ
る。
【0024】
【発明の効果】本発明に係るポリアミドの製造方法によ
って以下の効果が得られる。 (イ)蒸気上昇管の閉塞トラブルが解消され、安定した
連続の回分式生産が可能となる。 (ロ)蒸気上昇管および分縮器に固形物が堆積しないた
め、熱履歴を受けた固形物の反応系内への混入が無くな
り、フィッシュアイ、ゲル等の外観不良の少ない成型品
を与える高品位なポリアミド樹脂が得られる。 (ハ)蒸気上昇管および分縮器にジカルボン酸が堆積し
ないため、仕込みモル比が精度良く再現され、高度なモ
ル比制御が可能となる。
【0025】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明する。なお本発明における評価のための測定
は、冷却後のポリアミドについて以下の方法によった。 (イ)末端アミノ基濃度 ポリアミドを精秤し、フェノール/エタノール=4/1
容量溶液に20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解し
た後、攪拌しつつ0.01モル/L塩酸水溶液で中和滴
定して求めた。 (ロ)末端カルボキシル基濃度 ポリアミドを精秤し、ベンジルアルコールに窒素気流下
160〜180℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、
窒素気流下80℃以下まで冷却し、攪拌しつつメタノー
ルを10ml加え、0.01モル/リットル水酸化ナト
リウム水溶液で中和滴定して求めた。
【0026】(ハ)数平均分子量 末端アミノ基濃度および末端カルボキシル基濃度から次
式により求めた。 数平均分子量=2×106 /(〔NH2 〕+〔COO
H〕) (〔NH2 〕は末端アミノ基濃度(μeq/g)、〔CO
OH〕は末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を表
す。)
【0027】実施例1 温度調整されたオイルが流通する半割状コイルを巻いた
水平部分の無い蒸気上昇管、温度調整されたオイルが流
通する半割状コイルを巻いた分縮器、全縮器、攪拌機、
窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたジャケ
ット付き50リットルのステンレス製の反応槽にアジピ
ン酸(純度:99.85質量%、水分:0.15質量
%)10kgを仕込み、窒素置換し更に少量の窒素を流
通させながら250℃の熱媒をジャケットに流し、攪拌
しつつ190℃に昇温した。次いで300℃の熱媒をジ
ャケットに流し、溶融したアジピン酸を攪拌しながら、
メタキシリレンジアミン(純度:99.70質量%)
9.335kgを常圧下に連続的に3時間かけて滴下し
た。仕込みモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は1.0
00である。この間内温を250℃まで連続的に昇温し
た。メタキシリレンジアミンの滴下とともに留出する水
は分縮器および全縮器を通して反応系外に除いた。
【0028】メタキシリレンジアミンの滴下開始から4
0モル%滴下し終るまでの間、蒸気上昇管および分縮器
にまいたコイルに温度調整されたオイルを流し、蒸気上
昇管の内部温度を100℃〜140℃に、分縮器の内部
温度を98℃に制御した。メタキシリレンジアミンの4
0モル%を滴下し終ったところで、コイルに温度調整さ
れたオイルを流すのを止め、引き続きメタキシリレンジ
アミンの滴下を継続した。滴下終了後、常圧下に攪拌し
ながら260℃まで昇温し所定時間保持した。その後5
分かけて80kPaまで圧力を低下させ、80kPaで
20分間保持した。その後常圧とし反応槽下部のノズル
からポリアミドを取り出し、水冷固化した。反応槽が1
00℃以下まで冷えたところで、同様の操作による次の
反応を開始した。この様に合計10バッチ連続して反応
を行い、得られたポリアミドの末端基濃度の定量を行っ
た。結果、ポリアミドのモル比は、0.997〜0.9
98であり、数平均分子量は14000〜14500と
安定していた。10バッチ連続して反応を行った後蒸気
上昇管および分縮器内部の状況を観察したところ、固形
物は一切認められなかった。
【0029】比較例1 メタキシリレンジアミンの滴下開始から滴下し終るまで
の間、蒸気上昇管および分縮器にまいたコイルにオイル
を流さず、温度を制御しなかった他は、実施例1と同様
の方法で反応を行った。蒸気上昇管の内部温度は、メタ
キシリレンジアミンの20モル%を滴下し終わったと
き、155℃に達していた。連続して4バッチの反応を
行ったところで、分縮器で凝縮したメタキシリレンジア
ミンの反応槽への戻りが認められなくなった。4バッチ
目で得られたポリアミドの末端基濃度の定量を行ったと
ころ、ポリアミドのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)
は、0.987であり、数平均分子量は10400であ
った。
【0030】蒸気上昇管および分縮器を開放点検したと
ころ、蒸気上昇管の内壁に淡黄色の固形物が堆積してお
り、蒸気上昇管の断面積が最大で約30%失われてい
た。また、分縮器の下部に接続された凝縮液の反応槽へ
の戻り配管が黄色の固形物で閉塞していた。蒸気上昇管
および分縮器から採取された固形物を90℃の温水で溶
解させたところ、15〜35質量%が不溶であった。こ
の固形物はアジピン酸,ナイロン塩およびオリゴマーの
混合物と考えられ、一部重合が進み温水に不溶となった
と考えられる。
【0031】実施例2 ガラス製の水平部分の無い蒸気上昇管、ヴィグリュウ分
留管、リービッヒ冷却管、攪拌機、窒素ガス導入管及び
滴下ロートを備えた2Lのステンレス製容器にアジピン
酸(純度:99.85質量%:水分:0.15%)58
5.44g(4モル)を仕込み、窒素置換し更に少量の
窒素を流通させながら、マントルヒーターで加熱し、攪
拌しつつ170℃に昇温した。次いで溶融したアジピン
酸を攪拌しながら、滴下ロートから1,3−ビスアミノ
メチルシクロヘキサン(沸点:244℃、純度:99.
95質量%)569.00g(4モル)を常圧下に連続
的に3.5時間かけて滴下した。この間内温を245℃
まで連続的に昇温した。
【0032】1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
の滴下とともに留出する水は分縮器および全縮器を通し
て反応系外に除いた。このときヴィグリュウ分留管の塔
頂の最高温度は101℃であった。滴下終了後、常圧下
に攪拌しながら265℃まで昇温し所定時間保持した。
その後5分かけて80kPaまで圧力を低下させ、80
kPaで20分間保持した。その後常圧とし加熱を中止
した。反応終了後、水平部分の無い蒸気上昇管およびヴ
ィグリュウ分留管には固形物の堆積は一切認められなか
った。
【0033】比較例2 約20mmの水平部分を有する蒸気上昇管を用いた他
は、実施例2と同様の方法で反応を行った。アジピン酸
の溶解中および1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ンの滴下中に蒸気上昇管の水平部分に固形物が堆積し
た。この固形物は反応中に洗い流される事なく、反応終
了後まで認められた。
【0034】実施例3 水平部分の無い蒸気上昇管、温度調整されたオイルが流
通する半割状コイルを巻いた分縮器、全縮器、攪拌機、
窒素ガス導入管および滴下ロートを備えたジャケット付
き50Lのステンレス製の反応槽にアジピン酸(純度:
99.85質量%、水分:0.15質量%)10kgを
仕込み、窒素置換し更に少量の窒素を流通させながら、
250℃の熱媒をジャケットに流し、攪拌しつつ190
℃に昇温した。次いで300℃の熱媒をジャケットに流
し、溶融したアジピン酸を攪拌しながら、メタキシリレ
ンジアミン/パラキシリレンジアミン:70/30の混
合ジアミン(純度:99.70質量%)9.335kg
を常圧下に連続的に4時間かけて滴下した。仕込みモル
比(ジアミン/ジカルボン酸)は1.000である。
【0035】この間内温を260℃まで連続的に昇温し
た。混合ジアミンの滴下とともに留出する水は分縮器お
よび全縮器を通して反応系外に除いた。混合ジアミンの
滴下開始から80モル%滴下し終るまでの間、分縮器に
まいたコイルに温度調整されたオイルを流し、分縮器の
内部温度を98℃に制御した。混合ジアミンの80モル
%を滴下し終ったところで、コイルにオイルを流すのを
止め、蒸気上昇管および分縮器にスチームを5分間流通
させた。その後、引き続き混合ジアミンの滴下を継続
し、滴下終了後、常圧下に攪拌しながら275℃まで昇
温し所定時間保持した。その後5分かけて80kPaま
で圧力を低下させ、80kPaで20分間保持した。そ
の後常圧とし反応槽下部のノズルからポリアミドを取り
出し、水冷固化した。反応槽が100℃以下まで冷えた
ところで、同様の次の反応を開始した。この様に合計1
0バッチ連続して反応を行った後、蒸気上昇管および分
縮器内部の状況を観察したところ、固形物の堆積は一切
認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 DB04 DC13 DC14 DC15 EB02 EB08 EC14 EC47 FA01 FB03 FB05 FC03 FC05 FD01 GA12 GB02 GC04 JB01 JB16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分縮器を備えた回分式反応槽を用い、溶
    融状態にあるジカルボン酸に、キシリレンジアミン又は
    ビスアミノシクロヘキサンの1種以上を含むジアミンを
    連続的にもしくは間欠的に添加し、ジアミンとジカルボ
    ン酸とを直接重縮合してなるポリアミドの製造方法であ
    って、ジアミンを添加し始めてからジアミンの少なくと
    も40モル%を添加し終わるまでの間、重縮合反応によ
    り発生する縮合水を主体とする、反応槽で発生する蒸気
    を反応槽から分縮器に導く蒸気上昇管の内部温度、およ
    び分縮器の内部温度を制御することにより、水蒸気の一
    部を凝縮させ、昇華付着したジカルボン酸および/ある
    いは付着したナイロン塩、オリゴマーを洗い流し、反応
    槽に凝縮水と共に循環することを特徴とするポリアミド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 蒸気上昇管が、水平部分の無い構造であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ジアミンの添加中、添加終了後、又は反
    応槽からポリアミドを取り出した後に、蒸気上昇管内部
    および分縮器内部に、直接スチームもしくは熱水を流す
    ことを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方
    法。。
  4. 【請求項4】 ジアミンの80モル%以上がキシリレン
    ジアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のポリアミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 キシリレンジアミンの50モル%以上が
    メタキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項
    4に記載のポリアミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 ジアミンの80モル%以上がビスアミノ
    シクロヘキサンであることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 ビスアミノシクロヘキサンの50モル%
    以上が1,3−ビスアミノシクロヘキサンであることを
    特徴とする請求項6に記載のポリアミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 ジカルボン酸の50モル%以上がアジピ
    ン酸であることを特徴とする請求項1〜7記載のいずれ
    かにポリアミドの製造方法。
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